議会の動き

◆14年12月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  石井 健一郎議員

一般質問  越田 謙治郎議員・藤井 訓博議員

代表質問

(石井 健一郎 議員)[発言方式:一括]

1 震災20年間の取組みと今後の課題について
2 地方創生を踏まえた地方分権改革への取組みについて
3 災害時医療体制の充実について
4 人口減少時代に対応した地域産業の創出について
5 これからの集落営農のあり方について
6 燃料電池自動車の普及に向けた課題について
7 力強い警察活動を支えるための警察署の適正な定員について

質問全文

第325回 2014年12月定例会 代表質問

質 問 日:2014年12月5日(金)

質 問 者:石井 健一郎 議員

質問方式:一括

1 震災20年間の取組みと今後の課題について

平成7年1月17日午前5時46分に淡路島北部を震源地とした大地震により、阪神・淡路大震災が発生しました。
その被害は関西全体に及び、特に震源に近かった神戸市をはじめとする市街地の被害は甚大で、その映像は国内はもとより世界に大きな衝撃を与えることとなりました。
阪神間および淡路島の一部では震度7の激震が観測され、当時、戦後最大規模の被害であるとともに、都市直下型地震であったことから、甚大な人的被害と家屋の倒壊、また、道路・鉄道・電気・水道・ガス・電話などのライフラインの寸断等、広範囲において全ての機能を喪失しました。関西において大きな地震はないという誤った認識や、自然災害に対する政府をはじめとする当時の脆弱な備え等が結果として被害をより大きくした一面も否めません。この未曾有の大災害となった阪神・淡路大震災は、建物・ライフラインの耐震強化等をはじめ、わが国の自然災害に対する備えを大きく変えるきっかけとなったわけであります。

さて、来年1月17日に、阪神・淡路大震災から20年を迎えます。井戸知事は震災の翌年に副知事として就任されて以来、今日に至るまで創造的復興を目指して先頭に立って指揮をとってこられました。これまで経験をしたことがない都市型大規模災害でしたが、その後の復旧・復興の取組みは、防災・減災対策のモデルとして、我が県からも積極的に発信するとともに、東日本大震災をはじめ、国内はもとより世界各地で頻発する自然災害においても役立ってきたのではないかと考えております。

阪神・淡路大震災では、建物や鉄道、港湾など総額9兆9千億円にも上る被害を受けましたが、貝原前知事を本部長とする部局横断の阪神・淡路大震災復興本部を立ち上げ、その後の復旧・復興に当たっては、平成17年までの10年間を復興期間とする阪神・淡路震災復興計画を策定し、インフラの整備をはじめ、仮設住宅から恒久住宅への住み替え等の生活支援、被災地を中心とした中小企業・商店街等の活性化、さらには、被災者支援としてのコミュニティの形成支援、心のケアなどハード・ソフトの両面にわたって復興を進めて参りました。

この結果、被災地旧10市10町の推計人口は、平成13年11月には震災前を上回り、また、産業面でも被災地の総生産額は、17年度以降は震災前を上回るまでに回復しています。

一方で、この震災は「ボランティア元年」とも言われるとおり、被災地内外から多くの市民がボランティアとして様々な活動に従事し、住民同士が支え合う自助・共助の精神が芽生えました。この震災を契機として、ボランティアによる支援の輪は確実に拡がっており、その後も、全国各地で発生した自然災害や事故において、全国から多くの支援者が集まりました。

震災後10年を経て、復興の取組みを検証するフォローアップが行われ、高齢者の自立支援やまちのにぎわいづくりなど、より生活者の視点に立った支援を目指して参りましたが、20年が経ち被災地の様子は大きく変化し、震災時の面影は薄れ、新しい街づくりの段階に入っています。
被災地においては震災を経験していない住民が4割を超えるなど、記憶を風化させないためにも、震災での経験と教訓を将来へ伝承していく取り組みが求められています。

また、これまでの歩みを振り返りますと、知事が掲げた創造的復興を多くの方が評価する一方、必ずしも震災復興に資する施策ばかりではなかったのではないかという厳しい指摘もございます。

そこで、まず、この20年間の歩みはまさに今まで経験したことのない、手探り状態での苦難の連続であったかと思いますが、21世紀の成熟社会に相応しい復興を目指し、着実に県政を推進してこられた知事にこれまでの阪神・淡路大震災に対する取組みの総括としてのご所見をお伺いします。

さて、一方で、震災から20年が経過して、被災地の状況を見てみますと、全体としての人口や鉱工業生産指数など統計上では、震災前の水準を回復していますが、個別の地域単位で見ると、例えば、再開発によってかつての商店街等を中心とした賑わいや経済活動に変化が生じ、結果として全体の復興から遅れをとり、地域格差が生まれたことも否定できません。

また、復興公営住宅に暮らす被災者の高齢化により、介護が必要になる人も増えており、単身世帯の見守り活動や高齢者の生きがいづくり等、引き続き、きめ細やかな支援が必要であります。

このように、引き続き、対応していかなくてはならない課題は様々ですが、今後とも地域全体の活力を底上げして維持していくためには、これら残された課題に、どのように対応していくのか、あわせてご所見をお伺いします。

2 地方創生を踏まえた地方分権改革への取組みについて

国が最重要課題として位置づけている地方創生関連2法が先月21日に参議院で可決成立しました。まち・ひと・しごと創生法は、人口減少に歯止めをかけ、東京圏への人口の過度な集中を是正し、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目的として、国と地方公共団体の役割分担を明確にすることにより、地方の実情に応じた自主的な施策を推進していくこととしています。また、一方の地域再生法の一部改正法は、地方公共団体から国に対する新たな支援措置等の提案制度などが創設されたところであり、これらの法律に基づいて、地方が主体となって、更なる知恵と独創性を発揮して、活力を取り戻していかなくてはなりませんが、これは大変難しい課題です。

地方創生が国会議論の主要課題の一つとして取り上げられていることは歓迎すべきですが、今回の地方創生は国、地方のあり方を根本から作り直さなければ成就しないものであり、政府には明治維新直後のその時に必要であった中央集権体制を確立した明治政府が示したように国全体の体制を変える断固たる決意が求められます。

かつての竹下内閣時代、全市町村に1億円を配布して国の関与なしに各自治体が自由に予算を組めるふるさと創生事業を行いました。この事業はばらまき予算の批判も多くありましたし、その指摘は今振り返ってみても、やはり的を射ていると思います。その一方で当時は地方分権意識が低く、仕組みもなかったことを考えますと現在と比較することが必ずしも適切であるとは思ってはおりません。

今回の地方創生事業はある面、そのふるさと創生事業を現代版にリニューアルしたものとも言えますが、現在は地方分権推進法、地方分権一括法が成立するなど、制度面での推進体制は当時と比べて随分と整備されてきています。しかしながら、分権改革が道半ばの状況にある中で、今回の地方創生事業は、地方の疲弊が進んだ中であり待ったなしの状態です。また、当時と比較し国の財政状況が一段と悪化していることを考えると、交付金等の国の財源をあてにすることなく、このたび成立した法律とともに、その他の特区制度や権限移譲等の制度も最大限に活用しながら、地方自らが持続可能な将来のビジョンを描き推進していくことが必要です。

現在行われている衆議院総選挙の争点の一つでもある地方創生については、よほど万全な体制で臨まなければ、先のふるさと創生事業同様、来年の統一地方選挙に向けたばらまき政策との批判を受けることは免れません。

最近の地方分権改革の動きをめぐっては、一括交付金が廃止され、人事や予算の実質的な権限は各省庁に戻りつつあるなど、国主導の動きが見られる中で、人口減少時代にも耐えうる地方創生を実現していくためには、地方の主体性が生かされる事業としなければなりません。衆院選挙後の政府の決断が大きく問われるところです。

一方、当事者である地方自治体においても相当の覚悟が求められていることは論を待ちません。今まで、国に言われて様々な制度設計を構築してきましたが、これは地方自治体が国の補助金をとりやすい政策を重視してきたということであり、地方自治体の意向、県民の意向を重視してきたというよりも、自治体の各部局が、国の各省庁の意向をくんで予算取りをし、県の施策としてパズルのように組み立ててきたものであり、地方のニーズとは必ずしも一致していないといえます。

そこで、地方分権改革が新たな段階に入ろうとする中、これからの地方創生を踏まえ、強いリーダーシップを発揮し、さらなる地方分権に向けて、国の意向に左右されることなく、目指すべき兵庫の明確な姿勢を示していくことが、知事に与えられた大きな使命であり課題であると考えますが、ご所見をお伺いします。

3 災害時医療体制の充実について

地域医療を確保するためには、医師の地域偏在や診療科偏在を解消していくことが重要ですが、その一方で、災害時にも安心して医療の提供を受けられる体制を整備しておく必要があります。阪神・淡路大震災においては、必要とされた病院も倒壊や火災、また、インフラ機能の停止により、およそ半数が機能を停止し、病床の数が足りず、ロビーや待合室まで患者が溢れ、また、治療を行う医師の数も患者の数に対して圧倒的に不足していたことにより、医療の現場で大混乱が起こったことを私たちは忘れてはなりません。

今年8月に全国各地で発生した集中豪雨による土砂災害など、近年、大規模な風水害が頻発しており、また、今後30年以内に70%程度と高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震などの地域、府県を越えた広域的な災害における医療提供体制を整備していく必要もあります。

県では、阪神・淡路大震災の経験や教訓を踏まえ、災害時の医療提供体制として、兵庫県災害医療センター及び神戸赤十字病院を基幹災害拠点病院に指定するとともに、2次医療圏域ごとに耐震耐火構造や資機材等の備蓄、応急収容のための転用スペース等を備える県立病院や市立病院等を災害拠点病院に指定して、傷病者の受け入れや医療救護班の派遣等を行っており、現在、県内には17病院が指定されています。

また、このほか、災害派遣医療チームが災害現場へ出動するための車両(DMATカー)の配備や、より広域的な災害を想定して、今年度から新たに災害時における重傷傷病者の搬送拠点として大阪国際空港や神戸空港など4カ所に広域医療搬送拠点臨時医療施設(SCU)の整備を進めています。

今年6月に県が発表した兵庫県南海トラフ巨大地震・津波被害想定では、死者数約2万9千人、負傷者数約3万4千人に上る人的被害が発生する等、阪神・淡路大震災をはるかに上回る被害が想定されており、短時間のうちにより多くの負傷者を収容し治療するためには、災害拠点病院を中心とする圏域内での医療機関の連携と役割分担、また、DMATカーやSCUを効果的に活用するための患者の搬送体制の整備などが必要です。

一方で、災害拠点病院とは別に、2次医療圏域ごとに設置している地域医療支援病院は、圏域内の病院や診療所の役割分担と連携を支援する中核的な医療機関として、県立病院や民間病院など27病院が指定を受けています。

医師の地域偏在や診療科偏在が課題となる中で、この地域医療支援病院を中心とする連携や役割分担は、一層重要になってきています。特に、産婦人科や小児科については、医師不足など医師や機器等の医療資源が限られていることから、圏域全体で医療資源の効果的な活用を図るための取組みが課題となっています。

先日の新聞で、10年後には全国26の県で産科医が減少するという報道がされていましたが、安心して子どもを産み育てる環境整備に欠かせない産科医の減少は、今後の少子化対策にとっても影響が懸念されます。

災害発生時には、かかりつけの医療機関が被災して、産科や小児科など診療科目によっては、圏域での適切な医療確保が困難になることも考えられることから、圏域における医療機関の連携と役割分担を推進するためには、例えば、地域医療支援病院と災害拠点病院の機能を併せ持つ拠点病院の拡充が必要であると考えます。

そこで、まず、今後の災害に備え、2次医療圏域を中心とする医療機関の連携と役割分担について、どのように対応していこうと考えているのか、当局のご所見をお伺いします。

また、今年8月31日に、阪神地域において、南海トラフ巨大地震を想定した合同防災訓練が県独自の被害想定発表後初めて実施され、医療関係機関として兵庫県災害医療センターや県立西宮病院などが参加して、DMATの搬送訓練やSCUの開設・運営訓練などが行われました。

体制を整備するだけではなく、災害を想定した実地訓練において、整備した災害時の医療体制が実際に機能するのか検証することこそが、一刻も早い負傷者を救護するうえで非常に重要です。
平時と異なり、災害時における負傷者の搬送や救護においては、自衛隊や警察、消防機関など様々な機関が関与することが想定され、これら関係機関との緊密な連携と的確な情報共有が欠かすことができません。

そこで、これまでの実災害での救援・救護活動や防災訓練を通して、被災負傷者の救護、治療に当たって、運用面における新たな課題も見えてきたのではないかと思いますが、その課題解決に当たって、当局のご所見をあわせてお伺いします。

4 人口減少時代に対応した地域産業の創出について

先月17日に内閣府が発表した7~9月期のGDP速報は、実質で前期比0.4%減、年率換算で1.6%減と残念ながら市場予測を大きく下回る結果となりました。今年4月に消費税率が引上げされて以降、増税前のかけ込み需要の反動減が影響し4~6月期に続くマイナス成長となったことで、上向きかけていた景気への影響も懸念されているところです。

個人消費の低迷が長引けば、企業の生産活動や設備投資が減少し、やがては雇用、個人所得に影響が出るなど、持続的な経済成長を目指す国の成長戦略路線に水を差すことになり、再びデフレ状態に陥る可能性も否定できません。

デフレからの脱却を目指すとする政府は、規制緩和や女性、高齢者等の活躍の場を強化することなどにより、企業業績を改善し雇用の拡大や所得の上昇につなげる経済の好循環の実現を目指しておられますが、前述のGDP速報値をはじめ、私たちをとりまく経済環境を考えますと必ずしも成功している状況ではないと言えます。

人口減少時代を迎え、人口の地域偏在が今後一層、顕著になると見込まれる中で、地域の活力を取り戻すためには、特に、将来を担う若者の定住人口を増やしていくことが重要ですが、県内でも進学や就職等で都市部へ移住してしまうと、地域には働く場所や魅力ある職業など十分な就業機会が確保されていないため、なかなか地元のふるさとには戻って来ることなく、都市部への人口流出が続いていることは、現状ではやむを得ない面もあります。
国家戦略特区に指定された養父市では、県内でも高齢化率が高く、人口減少に対応した地域の活性化が喫緊の課題となっていますが、この指定を機に農地の売買や貸借の許認可権限を農業委員会から市長へ移すことで、農業分野への民間事業者の参入を促し、農業を核とした様々な地域産業を創出しようとする新たな試みです。農業の6次産業化や特産品を活用した関連産業などへ裾野が広がり、地域経済への波及効果と新たな雇用創出を期待するところです。

このように、例えば、農業や水産業、観光産業など、従来から地域に存在する自然環境や資源を活用した産業を創出していくことは、地域が持続的に活力を維持していくうえでも重要な視点であり、このことは地域の魅力を再認識することにもつながり、工場などの企業誘致に頼るばかりではなく、地域で働く場所や働きたい仕事をつくり出していける可能性を秘めているのではないかと考えております。

そこで、この人口減少時代において、地域が独自性を発揮して、地域経済の活力を取り戻すためには、外部の産業等に過度に依存せず、地域固有の農林水産業や観光等をはじめとした地域資源を活用した地域産業の創出に創意工夫を凝らすことこそが大変重要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

5 これからの集落営農のあり方について

県では、農地中間管理事業の推進に関する基本方針において、平成35年に約5万haの農地を認定農業者や集落営農法人等に集積するとしていますが、農地を集積する一方で、その農地を引き受けることのできる意欲ある担い手を育成しなければなりません。

現在、県では、意欲ある担い手の一つとして、集落営農組織の育成を進めており、平成25年度末現在で1,040集落に達しています。ひょうご農林水産ビジョンの目標年度である32年度までに1,500集落とする予定ですが、これまで問題意識が高い集落やリーダーがいる集落などを中心に順調に組織化が進められてきましたが、未だ組織化できない集落では、集落内の担い手が高齢化して、とりまとめや調整機能を果たすリーダーがいないというような事態が想定され、今後とも目標に向けて組織化されていくか課題が残ります。

また、たとえ集落営農組織が育成されたとしても、持続していくだけの力がなければ、やがては、営農をあきらめて耕作放棄地となることも考えられます。育成とあわせて安定した営農を継続していくための支援が必要です。

県では、集落リーダーの育成や実務を担うスタッフの資質向上等の研修会を通じて人材養成等を図っていますが、あわせて、各集落が抱える様々な課題の解決につながる対策が望まれます。

その一方で国の成長戦略にもあるとおり、現在、国では農政改革の一環として、農業委員会・農業生産法人・農業協同組合の一体的改革において、農業者と企業等の技術・ノウハウとをつなぐ観点から、農業生産法人の要件の見直しが検討されており、新たな担い手として企業の力も期待されています。

今後の持続可能な農業経営のあり方として、例えば、高齢化や担い手不足等で活力が低下して組織化が進まない集落については、集落営農を促す手法以外にも農業参入を希望する企業との連携により、新たな農業会社を設立するといった可能性も考えられます。

そこで、ひょうご農林水産ビジョンの目標年度である1,500集落の達成に向け、県内には未だ組織化されていない集落が存在しますが、持続可能な農業経営のあり方として、これらの集落に対する県の対策と、農業参入に意欲的な企業等の外部力の導入についての可能性について当局のご所見をお伺いします。

6 燃料電池自動車の普及に向けた課題について

県では、「第3次兵庫県地球温暖化防止計画」に基づいて、自動車からの温室効果ガス排出を削減するため、環境負荷の少ない低公害車の普及に向け購入支援を行うとともに、次世代自動車のためのインフラ整備を拡大することとしています。

特に、究極のエコカーと呼ばれる燃料電池自動車については、今年7月に策定された普及促進ビジョンにおいて、2030年までに県内で25,000台を目標保有台数として普及促進していくこととしており、あわせて、この保有台数に必要な水素ステーションを県下に20カ所設置することも目標としています。

既に、国内の自動車メーカーでは、この燃料電池自動車の量産に向けた研究開発が行われており、トヨタ自動車が12月に国内販売を予定しており、量産型の燃料電池自動車としては世界初となる見込みです。
この燃料電池自動車は、水のみを排出し窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの大気汚染物質は一切排出しないなど、確かに走行時における環境への負荷低減の面において、例えば尼崎の公害訴訟に象徴されるように交通量が多いところや、渋滞が恒久化しているところでは一定の効果が見込まれますが、その一方でこの燃料電池自動車の生産や水素ステーションの設置、さらには燃料となる水素の生成過程、部品のリサイクルなどにおいて、新たなエネルギー消費やCO2の排出が考えられ、地球環境全体で見たときに、果たして現行の化石燃料を使用するガソリン車等に比較し、どういう面がどのように優れ、あるいは劣るのか、まだ判断しかねる部分も多くあるように感じます。

また、県内における乗用車等の自動車保有台数は約299万台で、約2人に1台、1世帯に約1.3台と全国的に見ても保有台数が多く、自動車は県民にとって日常生活の足代わりとなっています。最近では、地球環境保護への意識の高まりを受け、各自動車メーカーから次々と幅広い車種でハイブリッドカーやクリーンディーゼル車などが販売され、また、自動車にかかる税制面においても、いわゆるエコカー減税などの効果もあり、県内でも低公害車の保有台数は増加傾向にあるものの、依然として化石燃料を使用したガソリン車等の優位性には変わりがなく、特に燃料電池自動車については、その利便性の向上や税制のあり方次第で今後、普及するかどうかは疑問が残ります。

現状では、燃料電池自動車は市販価格で500万円~1,000万円程度と言われており、最近では、災害時の家庭用電源としても使えるという付加価値も加わったものの、本来的には、エコと言われる環境負荷軽減が一番のセールスポイントである燃料電池自動車でありますが、今申し上げたとおり、燃料電池自動車の優位性が今ひとつ釈然としないこともあり、今後の普及を促進するにはつねやや判断する材料が乏しいのではないかと考えます。

燃料電池自動車の普及に当たっては、今後、多額の税金が投入されることも考えられ、その投資に見合うだけの環境面でのメリットがあるかどうかの懸念も少なからずあるわけですが、県としてこの燃料電池自動車の普及にどのような目的を持ち、どのような効果を期待しているのか、ご所見をお伺いします。

7 力強い警察活動を支えるための警察署の適正な定員について

本県における刑法犯認知件数は年々減少しており、最近では、防犯意識の高まりから、地域の防犯力を高めるために、自治会や地域のボランティアなどによる自主的な防犯活動や街頭防犯カメラ設置などの取組みが浸透し、地域の安全・安心の確保に大きな役割を果たしています。

地域と警察との協働による情報提供や捜査への協力などを通じて、地域住民の体感治安は向上するものであり、今後とも地域で取り組む防犯活動に期待が寄せられています。

一方で、最近の高齢者等をターゲットにした詐欺事件やインターネットによるサイバー事件など地域の防犯活動では対応しきれない複雑・多様化した犯罪も増加してきたことなどを受け、地域住民に新たな不安を招いており警察活動の充実が求められています。

地域で発生する事件・事故の防止や早期解決に当たっては、力強い警察活動は欠かせません。そのためには、県警察の定数の充足はもとより、県民に身近な交番や駐在所を含めた警察署の人員の適正な配置が必要であると考えます。

しかしながら、単純に警察官を増やせば犯罪が起きにくくなるというものではありませんでしょうし、行財政構造改革を推進している本県において、今後の警察活動も引き続き限られた体制のもと、より一層の効率的で効果的な警察活動が期待されているところです。

それだけに、現在、兵庫県警察には条例で警察官の定数として11,842人が定められておりますが、管轄区域の広い兵庫県において、地域の安全・安心を確保し、力強い警察活動を実現するためには、どの地域にどれだけの警察官を配置すべきなのかということを常に検討していかなければなりません。事案や地域によっても異なると思いますが、少数体制でも効率的な警察活動が可能な場合や、人口が集中する都市部の警察官を手厚く配置するといったことが大切であり、そのことを踏まえた上で、各警察署の管内情勢を配慮した人員配置が求められます。

県下の48警察署について見ると、管内の治安情勢はそれぞれ違うため、真に必要な警察力に違いが出て参ります。区域内人口が同じ都市部においても、商業施設やレジャー施設等が多い繁華街と昼間人口は少ないものの子どもや学生が多い住宅密集地では、検挙に重点を置く警察署と防犯パトロールに重点を置く警察署など対応すべき警察事象に違いが出てきます。

このように、地域の事情を踏まえると、交番における管轄地域のパトロール活動の徹底、交通取締りの強化、未解決事件などの捜査等、警察署ごとに抱える事案や取り扱う件数に応じたきめ細やかな警察官の配置が大切ではないかと考えております。

そこで、兵庫県警察の警察官数の現状を踏まえ、県民の安全・安心を確保するために、交番、駐在所等を含め必要な警察署の適正な定員と配置について、当局の考え方と今後のあり方についてお伺いします。

石井 健一郎

(神戸市灘区)

一般質問

(越田 謙治郎 議員)[発言方式:分割]

1 人口減少に対応した公共施設等の管理について
(1)公共施設等総合管理計画の策定について
(2)「学ぶ場」の環境維持について
(3)信号機と道路標識の整備及び更新の考え方について
2 救急医療体制の強化について
(1)救急医療相談の導入について
(2)阪神北地域における救急医療体制の強化について
3 住環境における省エネ対策について
(1)エネルギーパスの導入について
(2)断熱窓の導入について

質問全文

第325回 2014年12月定例会 一般質問原稿

質 問 日:2014年12月8日(月)

質 問 者:越田 謙治郎 議員

質問方式:分割答弁方式

1 人口減少に対応した公共施設等の管理について

「2040年には全国の半数の自治体が消滅の可能性がある」、このような衝撃的な報道が今年5月になされ、そののち「地方創生」という言葉がクローズアップされています。

人口減少の問題は国力の問題や経済力等の観点から様々指摘をされていますが、問題の本質は、一部の世代に過度に負荷がかかっていくこと、持続可能性がない社会になるということです。

私たちは、人口の減少に歯止めをかけ人口を維持していくこと、具体的には少子化対策に取り組んでいくことが必要であると同時に、人口減少という社会状況が、今後少なくとも20-30年は続くことを前提として、社会の在り方を考えていかなければなりません。

(1)公共施設等総合管理計画の策定について

今年4月に、総務省から各自治体が老朽化した公共施設等を総合的かつ計画的に管理していくため、公共施設等総合管理計画を策定するよう通知が出されています。これは総人口や年代別人口についての今後30年程度の見通しを踏まえ、策定することとされています。

私も、今後の社会は人口が減少していくことが前提であるはずだから、当然今後策定する公共施設等に関する管理計画は、人口と連動していかなければならないと考えます。

県では、今年第3次行革プランがスタートしたばかりです。

これまでも行革プランのもと、平成12年度以降、29の公的施設の廃止・移譲を行ってきたほか、今回のプランでは、県営住宅について、人口及び将来的な世帯数の減少などを見込み、平成23年度に改訂した「ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画」に基づき、現在約53,000戸ある県営住宅を、2020年に5万戸程度とするなど、一定の計画的管理を実施、あるいは方針の打ち出しを行っています。県と市町との役割分担や県としての公営住宅の在り方を考えると、まだ改善の余地は残されているものの、人口減少を想定した計画を策定していることは全国的に評価されるべきものと考えています。

今回の計画にはより長期的な視点での、総合的な内容を盛り込むことになるが、それだけに人口の減少が今後確実に見込まれ、一人あたりの負担が大きくなっていくことが予想されている中で、次世代への負担のつけ回しを防ぐという命題に対し、どのような考え方で策定に臨まれるのかを伺います。

(2)「学ぶ場」の環境維持について

人口減少でもう一つ気になるのが、子どもたちの学習環境についてです。県立高校の場合で考えてみると、私が学生だった頃に比べて、生徒数は減っているのに、学校数にそれほど変化は見られません。一方で、私の地元の学校では、施設が老朽化し、厳しい財政状況の中、速やかな修繕等の対応に苦慮していると聞いています。

私の子どもは生まれたばかりだが、15年後高校入学を迎えるときには、このような環境を改善しておきたい気持ちから質問します。県立高校の場合は、住民の子ども皆が通うわけではないことから、県営住宅の戸数のような全体の管理計画をお持ちでないとお聞きします。

しかし、負担の担い手が減少していく中、また学校施設の老朽化が進んでいく中、今後どのように生徒たちの学びの場の環境維持、ひいては向上を行っていくのかということを考えていく必要があると思われます。当局の所見について伺います。

(3)信号機と道路標識の整備及び更新の考え方について

次は、信号機と道路標識の管理のあり方についてお聞きします。県の人口がこれまでに一番多かったのは、平成21年のおよそ556万人、それ以降人口は減少傾向にあり、今年10月時点で約554万人と、およそ1.1%少なくなっていますが21年度から25年度にかけて、信号機は102基、道路標識は4,060本増加しています。これは住民から設置の要望も多く、また安全性への配慮にも十分対応いただいた結果だと認識しています。しかし、県下には耐用年数が過ぎている信号機が現在1,890基あると聞いており、兵庫県警において1年間で更新できる基数は限られることから、今後の更新が困難ではないかと考えます。

今ある信号や道路標識を撤去することは非常に困難であることは十分承知しています。しかし、2040年には、人口が470万人とピーク時から約90万人減少することが想定されているわけであり、それに基づいた今後の方向性を示すべきだと考えます。今後の対応について、兵庫県警としての見解をお聞きします。

2 救急医療体制の強化について

(1)救急医療相談の導入について

これから超高齢化社会を迎える中、救急医療への依存度はますます高まっていきます。今でも、搬送のたらい回しの問題がたびたび指摘されていますが、今後も救急医療を安定的に機能させていくためには、需要面と供給面双方の対策が必要です。そこでまず、需要面の対策についてお聞きします。

需要面の対策とは、需要の抑制です。これまで、軽症での救急車使用が問題になってきましたが、こういった事態を防ぐため、私が提案したいのは、いわゆる#7119などの救急医療相談窓口の整備です。

兵庫県では、子どもを対象とした、時間を区切った小児救急医療電話相談は実施していますが、成人も対象とした相談窓口はありません。効率的な救急医療体制を実現するためにも、救急医療相談の窓口を設置する必要があると考えますが、当局の所見について伺います。

(2)阪神北地域における救急医療体制の強化について

次は供給面での対策です。平成24年度の、重症以上の状態で医療施設へ搬送された人のうち、受入照会回数4回以上を占める割合は、私の地元の猪名川町では県内で最も高い20.4%、川西市で2番目に高い19.9%となっています。なお、県平均では6.5%、全国平均は3.8%です。本来、救急医療を受ける機会は、地域差なく、全県民に偏りなく保障されるべきものですが、このような現状では、毎年高齢化率が1%ずつ上昇しているような川西市民は大変な不安を感じざるをえないだろうと思います。これらの問題は、尼崎医師会等が中心となって運用している「むこねっと」によって改善の傾向にあるとは聞いているものの、効率化だけでは今後急増する高齢者の救急搬送には十分な対応ではないと感じています。いかに供給体制を整備していくのかということが根本的な課題です。

県は、来年尼崎総合医療センター(仮称)の整備を以て、阪神地域の救急医療体制を補強するとの見解ですが、果たして、阪神北地域の救急医療体制はどこまで改善されるのでしょうか。とりわけ、阪神南県民センター管内には、尼崎病院統合後の県立病院が2か所、兵庫医科大学病院と3次救急に対応できる医療機関が3か所あるものの、阪神北地域にはなく、今後増えていく需要に対し、阪神北地域における県としての支援が必要だと考えていますが、当局の見解をお聞きします。

3 住環境における省エネ対策について

(1)エネルギーパスの導入について

省エネを実現するためには、技術的な問題と同時に住民の意識というものが重要です。製品を長く大切に使い続けるということも当然重要ですが、燃費の悪い車に長年乗り続けることが必ずしも地球環境によくないことを考えると、エネルギー効率の悪い家に住むということは、避けなければいけません。

省エネに関する基準は様々あるものの、住民にとってはなかなか分かりにくく、共有の指標が必要です。欧州では「エネルギーパス」という考え方を導入し、家のエネルギー効率の表示を義務づけていると聞きます。

環境問題対策の先頭を走る兵庫県においても、県民に分かりやすい指標が重要であり、家屋の販売の際にその家のエネルギー効率を表示するエネルギーパスを導入することを提案したいと思いますが、県の見解をお伺いします。

(2)断熱窓の導入について

福島原発の事故以降、エネルギー問題は大きな課題となっています。現在の原子力発電の置かれている状況を考えると、将来的に原子力発電に依存しない状況を創っていかなければならないということは異論がないはずです。

固定価格買い取り制度の効果もあり、太陽光発電等の再生可能エネルギーの発電量は増加しているものの、すぐに原子力発電に代わる代替エネルギーというところまでは存在感を発揮できていません。そういった面で、供給を増加させることは時間がかかることを考えると、いかに需要面を抑制するのかということを真剣に考えないといけません。

さて、暖房をしているのにも関わらず、室内で寒さを感じることが多くありますが、その最大の原因は窓にあるといわれています。一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会によると、冬の暖房時に室外に熱が出ていく原因として、窓が58%、換気と外壁がともに15%、床が7%となっています。これが夏の昼時の冷房時となると、開口部から熱が入る割合は73%までに高まります。日本は海外と比較すると、窓の断熱性の基準が低い上、法規制がないためこのような状況にあるといえます。少しの工夫でエネルギーの消費量を減らせる可能性があるのではないでしょうか。

県の窓の断熱性向上の施策としては、これまで「うちエコ診断」を通した啓発のほか、今年度から住宅用創エネルギー・省エネルギー設備設置特別融資の対象とするなど、省エネ対策の一項目として施策を展開されてきました。しかしこの際、県として「窓」にさらに着目することで、新たな視点での、効率的な省エネ、節電対策を実施することはできないでしょうか。

というのも、これまで県は節電対策として、冷暖房の適正温度での使用などを呼びかけてきましたが、このような消費エネルギーの削減に着目する視点から、窓の断熱性を高め、不本意なエネルギーの放出を防ぐ視点に転換することで、新たな省エネ、環境に配慮した施策を展開する余地が出てくるからです。民生部門の画期的な節電策として、断熱性の高い窓の普及にさらに焦点を絞った対策を取ることはできないでしょうか。当局に所見を伺います。

越田 謙治郎

(選挙区:川西市・川辺郡)

(藤井 訓博 議員)[発言方式:分割]

1 県行政の県民への広報のあり方について
2 公共交通の活性化とまちづくりについて
3 年末における交通死亡事故抑止対策について
4 動物愛護管理対策の実効性ある推進について
5 多文化共生教育の充実について

質問全文

第325回 2014年12月定例会 一般質問原稿

質 問 日:2014年12月9日(火)

質 問 者:藤井 訓博 議員

質問方式:分割答弁方式

1 県行政の県民への広報のあり方について

質問の第1は、「県行政の県民への広報のあり方について」です。

行革による様々な見直しの中で、とりわけ、県行政各分野の広報において、広報誌の印刷部数の削減、カラーから白黒への変更など、様々な広報経費の削減がなされています。さらに、議会広報においても、サンテレビの広報番組の放映回数や時間の縮減、広報誌の印刷部数の削減、議会開会啓発ポスターの廃止など、様々な広報事業の見直しが行われてきました。

しかし、県民全体が兵庫への「ふるさと意識」を持ってもらうためには、県政を身近に感じ、共通理解を持っていただくことが不可欠であることから、県行政各分野における広報は最重要視しなくてはならないものであって、いくら行革とは言え、今後とも、広報経費の安易な数字あわせの削減はあってはならないと考えます。

ただ、限られた予算の中においても、県の施策を県民に広く伝え、県民に浸透させていく必要があり、真に県民に伝えるべき広報のポイントを的確にとらえ、わかりやすく工夫を凝らして行うことが重要なことは言うまでもありません。

具体的な取り組みを考えるに当たっては、まず、マスコミの活用も大きなポイントとなります。例えば、報道への発表を行う際においては、知事の定例記者会見等に加え、県政の最前線である現場において現場担当者が具体的にわかりやすい発表を行うなどして、報道に取り上げられやすく、また県民の興味を引く工夫が重要であります。

県の施策は市町の施策に比べて県民に浸透していないと一般的に言われる中、県民交流広場の全県展開、県民緑税を活用した事業等を通じて、はじめて県の施策がよくわかったし、興味を持ち始めたという県民の声をよく聞きます。のじぎく兵庫国体のマスコットキャラクターであった「はばタン」も同様であり、県の施策の浸透度に比べても県民の多くに認識され、いまや県の象徴としてお年寄りから子どもまで、全県的に親しまれています。様々な広報のあらゆる場面で、くまモンまではいかなくとも、もっともっと活用していくべきではないかと考えます。

さらに、県が進めようとする喫緊(きっきん)の重要施策、例えば「自殺防止対策」、「児童虐待防止」、「交通事故防止」等については、県民運動としての幅広い広報を行っていくことを検討すべきと考えます。そのため、例えば、県民運動としての盛り上げを図るため、県内の鉄道会社やバス会社等に、重要施策のスローガンを、ステッカー等にした上で、車体貼付への協力を依頼し、動く広告塔とするなど、効果的な推進を工夫していくとともに、県と密接な諸施設等おいても、掲示協力で同様の取り組みを行えば、効果は絶大なものになると考えられます。

そこで、行革を進める本県の厳しい財政状況の中にあって、今後、県施策を推進していく上で県民が県政を身近に思い、理解・協力していただくための広報のあり方をどのように考え、先に述べた取り組みも含め、より効果的に県民に伝えるために今後どのような工夫や取り組みを行っていこうと考えているのか伺います。

2 公共交通の活性化とまちづくりについて

質問の第2は「公共交通の活性化とまちづくり」についてです。

人口の低密度化と地域的偏在(へんざい)の同時進行というこれまでに経験したことがない新たな人口減少が今後進行すると考えられ、それに伴う地域公共交通ネットワークの減少や運行回数などのサービス水準の大幅な低下が見込まれています。現に、乗合バスについては、全国で過去5年間に約8,160㎞の路線が完全に廃止され、鉄道についても7ヵ所約105㎞の路線が廃止されています。兵庫県においても、平成20年の但馬地域での全但バス大量路線撤退により路線バスが維持できない事態が生じるなど、移動手段としての地域公共交通の役割等、様々な社会問題が顕在化しています。このような状況から、今後、社会全体のまちづくりと一体となった公共交通の活性化の取り組みが不可欠となってきています。

そういった中で、平成25年12月に国において交通政策基本法が公布・施行され、同法では国、地方公共団体、事業者のそれぞれの責務、さらに国民等の役割に加え、それぞれの関係者が連携・協力に努めると定められています。また、交通政策基本法の具体化に向け、平成26年5月には、本格的な人口減少社会における地域社会の活力の維持・向上のため、地方公共団体が中心となり、まちづくりと連携し、面的な公共交通ネットワークの再構築をめざし、その再構築を国が支援する枠組みを基本とした「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。

一方、本県では、それに先立ち、平成25年3月に、交通問題は交通分野だけで解決することには限界があるという従来からの課題に対して、公共交通を地域で支える仕組みへ再構築することを基本戦略の1つに掲げ、「観光、福祉・環境、まちづくり、教育、などの他分野との綿密な連携をはかり、地域特性を踏まえた移動手段の維持・確保に努める」との方向性を示した、新たな「ひょうご公共交通10カ年計画」が決定されたところでありますが、関係各部局、事業者、県民が、どう認識、理解されているかは未知数であり、今後の取り組みを注視する必要があります。

国では基本法に基づく基本計画の策定を年内目途(もくと)に閣議決定する予定で進めており、来年にも近々公表されるのではと考えられ、本県においても、国の基本法との整合性をはかりつつ、この交通政策基本計画の策定を契機に、国の動向をしっかりと把握し、例えば、公共交通を重要な広域的な社会インフラとしてとらえ、病院に通院する高齢者や学校に通う高校生等の交通手段の確保等の観点から、県、市町、交通事業者、県民のそれぞれが役割・責任を明確化して、まちづくりと一体となり、活性化や維持・確保に取り組むことを、今一度、再認識してスピード感を持って取り組んでいくべきと考えます。

そこで、公共交通の活性化とまちづくりについて、新たな「公共交通10ヵ年計画」に示された「まちづくりと一体となった取組の推進」に関して、現在の取り組みの進捗状況と課題を伺いますとともに、今後、同計画と交通政策基本法や改正地域公共交通活性化法との整合性をどのようにはかって進められようとされているのか伺います。

3 年末における交通死亡事故抑止対策について

質問の第3は「年末等における交通死亡事故抑止対策」についてです。

交通死亡事故問題については、かつて交通戦争とまで言われ、交通事故死亡者数が昭和20年代後半から急激に増加し、昭和45年には全国で1万6,000人以上もの死者を記録しました。その後、同年6月の交通安全対策基本法の制定をはじめ、様々な安全確保に向けた取り組みの結果、現在では、死亡者数は当時の3分の1以下にまで減少しています。また、本県においては、昭和44年に740人とピークを迎えましたが、昭和42年の知事部局への交通安全対策室の設置、9次にわたる交通安全計画の策定、県民運動として県民一丸となった交通安全への取り組み等を通じ、平成20年以降では交通死亡事故数は200人をきる状況で推移しています。全国都道府県との比較では昨年は187人で全国2位になるなど、本県は常にワースト上位にあることも指摘されますが、人口10万人あたりで比較すると昨年は37位、過去5年間も30位台後半で推移していることからも、この間の県警察をはじめとした関係者の努力に改めて敬意を表するものであります。

そういった中、先月、県内の交通事故による死者数が10月以降急増しているという報道がありました。今年9月末までは115人で、過去最少であった平成21年同期の113人とほぼ同じペースで推移していたところ、その後一転して10月以降に40人以上が事故によって死亡し、特に10月15日~11月20日の間には35人もの事故死亡者が発生し、7年ぶりに「交通死亡事故多発警報」が兵庫県交通安全対策委員会から発令されたとのことであります。

交通事故は、最悪の結果、一瞬にして尊い命を奪い、人生そのものを変えてしまう、県民の生活の安全を脅かす、大きな不安要因の一つであることは、言うまでもないことであります。

県では、平成23年度から第9次兵庫県交通安全基本計画を作成し、平成27年度までに交通事故による死者数を133人以下にするなどの目標を掲げ、県民に対して、交通安全意識の高揚を図っているところであります。

しかしながら、年末というこの時期は、過去の統計が示すとおり、例年、交通死亡事故が多発傾向にあります。ここ5年を見ても、10月~12月、とりわけ年末に多発することは、全国及び近畿各府県でも同様の傾向にあることから、我々が思う年末だから増えるのは当たり前ということではなく、根拠のあるしっかりとした要因の把握を行い、それに基づく対策がとられ、兵庫で実績をあげることができれば、その対策、ノウハウを全国に発信できると考えます。特に、今年のこの状況について、少なくとも10月以降の事故死の状況を早急かつ詳細に分析を行い、その傾向を把握し、これから年末までの対策に生かさなくてはならないと考えます。

そこで、県警察としてこのたびの10月、11月の異常事態も含め、10月~12月に多発する死亡事故の状況をどう分析、認識し、対策を講じてきたのか伺いますとともに、このような緊急事態を踏まえた上で、県警察として年末までの緊急対策や、今後、交通死亡事故抑止対策にどう取り組んでいこうとされているのか、本部長の決意も含めお伺います。

以下2問は、質問席で行わせていただきます。

4 動物愛護管理対策の実効性ある推進について

質問の第4は「動物愛護管理対策の実効性ある推進」についてです。

動物愛護管理法の改正を受け、本県において平成26年3月に「動物愛護管理推進計画」が策定されました。

ペットの中でも犬・猫については、国内の飼育数は2,000万匹を超えている現状にあります。その一方で、動物虐待、遺棄、飼育の途中放棄などが後を絶たず、このような生命尊重意識の低迷は、児童虐待、凶悪犯罪などの兆候となっているとの指摘もあり、警察においても「アニマルポリス・ホットライン」の設置等がなされるなど、動物愛護思想の高揚は人・動物に対する生命尊重意識の醸成として、県が取り組む喫緊の重要課題として計画の柱にも位置づけられています。

一方で、県においては、「動物愛護管理条例」が平成5年に制定され、動物愛護思想の高揚を軸に公衆衛生対策等も加えた総合的な動物愛護管理行政が進められ、その実効性は大いに期待するものですが、そのためには、動物飼育者に「狂犬病予防法」を含め、「法」「条例」の主旨・内容が十分認識されていることが必要なことは言うまでもありません。

今、日本のみならず、世界各国が頭を悩ませている犬のふんの放置による「糞害」の問題があります。街の美化の問題に加え、とりわけ衛生面での問題があり、公園の砂場等で子供たちを遊ばすことができないという現実にも直面し、まさに地域住民は「憤慨」しています。解決策は、飼い主のマナーアップに尽きるということは明白であり、その対策として県はもちろんのこと各自治体も様々な工夫を凝らして対策に当たっていますが、一定の効果はあるものの、いたちごっこの体をなしている現実があります。

しかし、前述した平成5年制定の動物愛護条例の第12条第2項には、糞の除去は飼い主の義務とされ、違反した者には、10万円以下の罰金が規定されています。私の自治会でも「糞害」は後を絶たず、先日、この12条の内容が回覧板で周知されました。驚いたのは、それ以後、極端に糞の放置が一気に減少したことです。現在の飼い主のほとんどの方が、この条例を認知されていなかったのではと危惧するところです。現実は、罰金を課すには、刑事罰として警察等に告発することが必要ということもあり、県として条例施行後、罰金徴収の例が今までにないことに加え、犬の登録、狂犬病予防注射の実績が約半数ということも含め、何のための法・条例の制定か、非常に疑問に思わざるを得ません。

昨年9月に改正された「動物愛護管理法」でも、飼い主が最後まで飼育する責務を規定し、自治体は安易な理由の引き取りを拒むことができるようになりました。しかしながら、連日報道されていた栃木県の悪質なブリーダー、販売業者等による犬の大量放置などは、法のしめつけも一因とも言われる中、業者等が法を守り各事案に適正に対処することが第一義であることは当然ですが、本県におけるブリーダー等への指導監視体制も気になるところです。

せっかくの法・条例が絵に書いた餅にならないように、社会の要請として実効性高く運用していくことが当然に求められます。合わせて、今、動物を「命あるもの」ではなく、ぬいぐるみのような「物」として扱う風潮も多々見られ、飼い主が管理事務所等に持ち込む理由の主なものに、「動物が病気になった」「高齢で飼えない」等が上位を占め、世話に手間がかかるために手放そうとする飼い主の身勝手さに首をかしげざるを得ません。これではいくら県当局が殺処分ゼロに向けて様々な施策を展開しても、焼け石に水と言わざるを得ません。

そのため、今後は、「動物愛護管理推進計画」の策定主旨を徹底し、県民への動物愛護意識の醸成を図ることに加え、ペット、特に犬の取得・飼育に対し、県の強い方針を示し、安易な飼育を止めさせ、「飼い主の責任をしっかりと果たせる人だけが動物を飼う資格がある」ということを認識、意識づけるためにも、「犬税」(いぬの税)の導入の検討を行うべきと考えます。

そこで、県民への動物を飼うことに対する責任感の醸成、あわせて殺処分ゼロへの取り組みを誘導する「犬税」の導入の検討を始め、法・条例の規定の普及・啓発を含めた実効性ある運用をいかに推進しようとされているのか伺います。

5 多文化共生教育の充実について

質問の最後は「多文化共生教育の充実」についてです。

本格的な人口減少社会を迎え、合わせて経済のグローバル化が急速に進むなか、本県においても、今後ますます外国人労働者が増えることが予想されています。現在、本県には約10万人の外国人県民が在住し、外国人労働者の増加予想も含めて勘案すると、今後、さらなる外国人県民の増加が見込まれます。

グローバル化は子どもたちの教育現場においても確実に広がってきており、当然、日本語指導等が必要な児童生徒も大幅に増えることが十分考えられることから、これまで以上に、民族や国籍を異にする人々と互いに自他の文化習慣、価値観を認め合い、共に生きる心を育成する多文化共生教育の充実が特に必要となってきます。そのためにも、その対策は急務となっています。

ちなみに、平成25年5月1日現在(学校基本調査)における県内の公立学校に在籍する外国人児童、生徒は3,233人で、そのうち日本語指導対象者数は740人であります。このような状況を踏まえ、先般の決算特別委員会でも、これまでの県下における多文化共生教育の取り組み成果と課題について伺い、回答を得ましたが、その中で、日本語指導が必要な中学校3年生の進学希望者数、合格率の質問に対して、その調査は県教委としては特に行っていないとのことでありました。

また、文教常任委員会の管内調査において、各市町における現状をいくつかの教育事務所に確認しましたが、いずれも十分な状況把握ができておらず、各市町教委との連携不足が否めず、加えて、国際交流協会が行っている「多文化共生社会の実現」に向けた各種事業とも、連携はしているものの系統立った取り組みは十分なされていない現状があります。つまり、教育委員会はサポーター等の派遣など、就学期間、校内での活動時間での指導が主となり、それ以外は国際交流協会の事業やNPO、各種ボランティアに概ね委ねている印象があります。とりわけ、本人の強い希望にも関わらず、日本語が不得手なために高校入試をあきらめなくてはならない生徒も多数いることも、支援団体等から大きな課題として報告されています。先の決算委員会では、高校入試については、県教委として様々な配慮を行っているが、入学については、公平性の担保、高校での学習が可能であることが前提との答弁がありましたが、「教育創造プラン」の基本方針に照らし合わせても、私は納得できません。

折りしも、今年、障害者権利条約が批准され、日本の大切な法として位置づけられ、その中でキーワードとして「インクルーシブ教育」「合理的配慮」がうたわれています。インクルーシブとは、「あらゆる人が排除されない」ことであり、全員参加、排除のない、すなわち、インクルーシブな社会づくりが人権教育の方針の要となることは言うまでもありませんし、一人一人の個人にとって、必要な当たり前のことが配慮される「合理的配慮」も必然であり、まさに、特別支援教育と同様に、多文化共生教育の本質を考えた時、「インクルーシブ教育」「合理的配慮」が成されて、然るべきと考えます。

そのための手立てとして、全県的にあらゆる情報の発信、集約等がなされ、だれもが活用・利用できる機関の体制づくりが急務であることは言うまでもありません。県教育委員会が芦屋市に設置した「子ども多文化共生センター」が大いに機能を発揮していることは評価しますが、全県で1ヵ所という状態では不十分であり、手立てが必要な児童生徒は全県に散らばっており、早急にブランチ拠点等の設置を考慮すべきと考えます。

さらに、最大の課題となる高校入試を考えた際の試験に必要な日本語指導については、教育委員会として適切な支援と入試における適切な配慮を行う一方で、多文化共生社会の実現に向けて国際交流協会で行う外国人県民の児童生徒への日本語学習支援等とも教育委員会が自ら積極的に連携して、支援がとぎれることなく、しっかりサポートしていくべきと考えます。

そこで、県教育委員会として取り組むべき課題は山積と考えますが、今後どのように多文化共生教育の充実、インクルーシブな教育達成に向け、豊かな心をはぐくむ具体的な諸施策に取り組んでいこうとしているのか伺います。

藤井 訓博

(選挙区:神戸市北区)