議会の動き

北上 あきひと議員が質問(予算審査・健康福祉部)

質問日:令和3年3月9日(火)

質問者:北上 あきひと 委員

1.新型コロナウイルス感染症対策における市町との連携について

新型コロナウイルス感染症への対応は、1.感染状況の把握、2.感染者に対する治療、3.感染の拡大を抑えるための対策、大きくこの三つだといわれ、いずれについても国や市町村と連携しつつ都道府県が中心的役割を果たしているものと認識します。限られた人員のなかでご奮闘頂く保健所職員はもとより、新型コロナウイルスへの対応にご精励頂く全ての関係者に敬意と感謝を表するところです。

より効果的、効率的な対応を行うためには、県と市町の連携が重要です。例えば、感染者・濃厚接触者で自宅待機となる場合において、健康面の支援については県保健所が対応していますが、生活面での支援は必要性が高いものの人員等の都合からその対応は困難であり、市町に担って頂くべきだと考えます。感染症拡大の状況は不確実性が大きく、またプライバシー保護も強く求められるなかであり、連携を図るには難しい面も多いと推察しますが、本県を対象にした緊急事態宣言が解除され、感染者数が比較的抑制されている時期に、県と市町の情報共有や役割分担についてのスキーム構築をより一層進めて頂きたいと存じます。一部市町とは連携が始まっていると聞き及ぶところでありますが、県内市町との情報共有や役割分担について、その現状と課題をどのように認識しておられるのか、県のご所見をお伺いします。

2.新型コロナウイルスワクチン接種における県の役割について

新型コロナウイルスワクチン接種における県の役割は、医療従事者の優先接種調整、市町支援、副反応への専門相談等だと認識します。県は新年度、「県内医療従事者への優先接種や市町における高齢者への優先接種を適切に実施するため、各種調整業務等に必要となる体制を整備する」とされていますが、その実施内容をお伺いします。

今後、県内市町が高齢者へのワクチン接種を実施していくにあたっての課題は、ワクチン供給時期の確定と、接種業務を担う医療スタッフ確保だといわれます。ワクチン供給については政府の対応に頼らざるを得ないところですが、医療スタッフ確保、特に医師確保に苦慮している自治体は多く、医師確保における県の支援は極めて重要だと考えます。県内各地域で医療を取り巻く事情が異なるなか、全県において円滑な住民接種が叶うよう、県が適切な役割を存分に果たして頂くことを切に期待するものです。県のご所見をお伺いします。

3.ギャンブル等依存症対策について

県においては「兵庫県ギャンブル等依存症対策推進計画」を策定し、新年度以降「計画」に基づく施策展開が図られる事を大いに期待するところです。「家族会」の方々にお話を伺うと、オンラインギャンブルの普及やコロナ禍の「ステイホーム」等が影響し、ギャンブル等への依存傾向が増していることを深く憂慮されており、速やか且つ果敢な取組が求められていると認識します。

薬物依存はそもそも多くの場合が違法行為であり、またアルコール依存症は健康被害等により顕在化し易い面があります。あらゆる依存症において、予防啓発や克服支援の取組は大切でありますが、ギャンブル等依存症の場合、違法行為にあたらない場合がほとんどであり、健康被害等によって顕在化する場合も稀で、自覚や他者の気づきが遅れがちになることから、啓発・教育・相談等の取組が殊更重要になります。また、DV、児童虐待、多重債務の背景に、ギャンブル等依存症が存在している場合もあり、健康福祉、消費生活、教育、医療等の関係機関が緊密な連携のもと対策を講じる必要があるのではないでしょうか。加えて、「自助グループ」や「家族会」の果たす役割は大きく、その支援や周知も行政の役割だと考えます。

公営ギャンブル主催者一員でもある県の責務を重く受けとめて頂くことを切に願うとともに、今後のギャンブル等依存症対策の取組について、県のご所見をお伺いします。

4. 児童虐待への対応について

県の報告によると、令和元年度に県内のこども家庭センターが受け付けた児童虐待相談件数は8,308件で、平成27年度の3,281件と比較して153%増、令和元年度の一時保護児童数は2,698人であり、平成27年度の1,402人と比較として92%増となっています。急増する児童虐待相談や一時保護に迅速かつ適切に対応するため、県においては児童福祉司や児童心理司等の専門職員の人材を確保するとともに人材育成にも努力して頂いているものと認識します。また、尼崎市、加東市において、こども家庭センターの新設が予定され、機能強化が図られるところです。

(1)児童福祉司等職員の確保、育成について

新年度には法令によって求められる専門職員の増員も見込まれるところであり、期待を致します。しかしながら、例えば、中央こども家庭センター一時保護所においては、令和元年度に18人の会計年度任用職員を追加募集したものの、未だ6人しか採用ができておらず、必要な職員配置が叶わないため、受け入れ児童数の増員は少数にとどまっています。昨年12月県議会一般質問において、その原因分析と改善を求めたところでもあります。新年度においては、児童福祉司や保育士等の専門職をはじめ必要な職員確保についてどのような改善策が講じられるのか、また資質の向上をどのように図っていかれるのか、県のご所見をお伺いします。

(2)一時保護所に対する今後の取組について

現在、県の一時保護所は、広い県域にも関わらず中央こども家庭センター1か所のみで、常に満床状態であり、民間児童養護施設や里親への一時保護委託件数が急増している状況です。加えて新型コロナウイルス感染症対策として、保護の必要な児童については、別途サテライト保護所を設け、一時保護を行っている状況であります。

新年度においては、県の「一時保護所のあり方検討部会」の提言に基づき、阪神間における一時保護所新規整備に向けた取組が見込まれており、大変心強く感じるものです。設計、設備、人員、運営等において、「子どもの最善の利益」に配慮したものとなることを期待するところですが、今後の取組について県のご所見をお伺いします。

5. 人権啓発施策の推進について

インターネットの普及に伴い、その匿名性、情報発信の容易さから、個人の名誉を侵害したり、差別を助長する表現等、インターネット等への差別的な書込みが後を絶たないことから、本県では平成30年より「インターネット・モニタリング事業」を実施し、悪質な人権侵害の抑止に取組んでおられるところです。モニタリングの対象は、県内の在留外国人に対する悪質・差別的な書込み、部落差別等の同和問題に係る悪質・差別的な書込みであり、令和2年6月からは新型コロナウイルス感染症に関する悪質・差別的な書込みも対象に加えられたところです。

本事業については、その内容を県民に十分周知をすることによって、「差別を許さない」県民意識の高揚を図ることが肝要ではないでしょうか。また県内の多くの市町においても類似の事業が展開されているところであり、県として全県の取組内容を把握分析し、人権課題の抽出や課題解決に向けた方策を追求し、共有することは、兵庫の人権文化構築に有用だと考えるところです。

「インターネット・モニタリング事業」における、これまでの取組の成果と今後の課題について、県のご所見をお伺いします。