議会の動き

予算特別委員会◆15年02月定例会


●企画県民部②

1 フェニックス防災システムの運用支援について

2 消防広域化の推進について

3 南海トラフ巨大地震対策について

(1)市町における津波災害対応への支援について

(2)津波災害時の沿岸工業地帯の危険物について

4 市町への権限移譲について

全文

予算特別委員会部局審査(企画県民部②)

質 問 者   石井 健一郎 副委員長(民主党・県民連合)

今回の予算特別委員会では、今後ますます必要性が高まる市町との連携に着目し、質問を行う。

1 フェニックス防災システムの運用支援について

昨年、芦屋市において豪雨災害時にフェニックス防災システムへの入力遅れがあり、避難準備情報の伝達が遅れたと新聞報道されたことは記憶に新しい。その入力遅れの原因として、担当職員が市民からの問い合わせに忙殺されていたことが挙がっていたが、私には今後も同様の事態が起こるのではないかという懸念がある。特に規模の小さな自治体で、夜間に災害に見舞われた場合、その場にいる職員のうちシステムに入力できる職員が1人だけであるのに、その職員が住民やマスコミ対応に追われ、避難勧告や避難指示を速やかに入力できなくなるという事態も十分想定される。また、システムの操作に不慣れな、異動したばかりの職員が、入力作業に時間がかかることもあるだろう。

そこで県においては、災害発生時に、市町防災部局の特定の職員だけにシステム入力の負担がかからないようにすること、災害発生市町へのマスコミからの問い合わせをできるだけ減らすような方策を講じること、そして他の自治体と比べ災害発生時の職員の負担が大きいと予想される市町への支援はもとより、フェニックス防災システムが県民の信頼に応えられるよう、さらなる支援を行っていくことが必要だと考えるが、当局の見解を伺う。

2 消防広域化の推進について

今年1月に、阪神・淡路大震災20年を迎えたが、あのときに活躍した消防隊員を主人公にしたドラマがいくつか放映されていた。

さて現在、県内の消防職員の充足率は、76.0%であり、全国平均76.5%とほぼ同じであるが、人口減少と高齢化が進展していく中、今後発生が予想される大規模災害に対して、より効率的な消防活動の実現が求められることは言うまでもない。

県においては、このような事態に対応すべく、平成21年6月に、広域化に向けた具体的な協議を行う市町の組み合わせ等を定めるための「消防広域化推進計画」を策定し、これに基づき、阪神、北播磨、西播磨、但馬の市町を中心に広域化を推進しているところである。特に人口減少率が高い郡部における広域化は速やかに進める必要があると考えるが、現時点での進捗状況と課題、今後の方針について、当局の見解を伺う。

3 南海トラフ巨大地震対策について

(1)市町における津波災害対応への支援について

県では一昨年から南海トラフ巨大地震による津波浸水想定図を、地区ごとに公表している。綿密な想定の下、大変精緻な想定図を作成されていると思うが、今後大切なのは、この想定図を見て、実際の避難計画の策定をする市町との情報共有・連携である。

県においては、津波被害対策を市町と連携して推進するため、「市町津波災害対応マニュアル作成の手引き」を平成20年3月に策定しているが、東日本大震災の発生を受け、来年度同手引きの改訂を行うこととしている。東日本大震災の教訓を踏まえ、多くの事項について改訂を検討されていることと思うが、現在どのような視点で改訂しようとされているのか、当局の見解を伺う。加えて政令指定都市である、神戸市との連携における課題について伺う。

(2)津波災害時の沿岸工業地帯の危険物について

東日本大震災では工場タンクから漏れ出た重油や車のガソリンなどによる津波火災が多く発生し、沿岸の危険物対策の必要性が高まった。

現在、県の津波浸水予想地域における工業地帯の危険物の把握や指導については、消防法に基づき、地元市町が対応している。県としても、さらに現状の把握に努め、適宜石油コンビナート等防災計画の見直しなど県の施策に反映していくべきと考えるが、当局の見解を伺う。

4 市町への権限移譲について

最後に市町への権限移譲についてお聞きする。現在、人口減少社会に対応するための地方版総合戦略の策定に向け取組みが進められている。市町において、創意工夫を凝らし、地域の特性を活かした魅力ある施策を実現させるためには、市町における主体的な権限と実行力が必要となる。

地方分権については、これまでも、地域主体の取組みが可能となるよう国や県から基礎自治体である市町村に一定の権限が移譲されているところではあるが、人口減少社会への対策が新たなステージへと移り、地方創生の取組みを積極的に推進していくためには、市町の更なる権限移譲が重要になってくると考える。

知事が地方分権を提唱する本県では、これまでも市町への県独自の権限移譲を順次進めてきたところであるが、これまでの取組み成果と今後の方向性について、当局の見解を伺う。

●公安委員会

1 緊急事態を想定した警察署署長公舎の整備について

2 警察官採用にかかる広報のあり方について

3 総務・地域・交通警察等の課題と今後のあり方について

(1)総務部門について

(2)地域部門について

(3)交通部門について

全文

予算特別委員会部局審査(公安委員会)

質 問 者   石井 健一郎 副委員長(民主党・県民連合)

1 緊急事態を想定した警察署署長公舎の整備について

警察は、いざという時に執行力を最大限に発揮して、県民の安全安心を全力で確保しなければならない。特に緊急事態があった時、組織として十分な力を発揮しなければならず、警察署長等の指揮が不可欠であると考える。

このようなことを念頭に、県警では、大規模災害や重大な事件事故など緊急事態が発生した時、すぐさま指揮にあたることが出来るよう、警察署長は警察署の近くに構えられた「署長公舎」に居住し、もしもの時に、いつでも対応も図れるようにしていると認識している。

しかし、県内の各警察署の署長公舎について、見てみると即応体制がとられているとは必ずしも言い難い。尼崎北署をはじめ、何カ所かの署長公舎が警察署から遠方にあり、緊急事態が発生した時、いち早く、陣頭指揮をとらなければならない警察署長の役目を十分に果たせるのか不安である。

そこで、県警として、署長公舎の設置場所については緊急事態に備えて警察署に隣接するところに設置することが望ましいと思われるが当局の見解を伺う。また、公舎には老朽化が進んでいるところも多くあり、日常生活に不便を来している場合もあると思われるため、あわせて老朽化対策の方針についても伺う。

2 警察官採用にかかる広報のあり方について

昨年の12月の定例会の代表質問において私は「力強い警察活動を支えるための警察署の適正な定員について」を質問させていただいた。この質問の趣旨は、力強い警察活動を効果的、かつ継続的に持続していくためには、マンパワーである警察官の定員充足が必要ということであった。

しかしながら、現在、県警察の定員数は、約350人の欠員を抱えている状態であり、この欠員状態が続けば、力強い警察活動が維持できるのか不安に感じる。

県警察では、採用シミュレーションをしっかり持って、数年後には、欠員を解消することができるということであるが、定数の確保もさることながら、そのための優秀な人材を確保できるかということに不安を感じる。

応募者数をもっと増やすには、兵庫県警察の魅力をアピールする広報が必要不可欠である。

小学生・中学生・高校生がなりたい将来の仕事のアンケートでは小学生では比較的上位に位置するものの、中高生では順位が落ちている。ましてや、女の子ということになると上位には入っていない。

優秀な警察人材を確保するためには警察官になりたいという層を増やさなければならない。

そのためには「警察官になりたい」という思いや警察が「正義の味方」であるという気持ちをしっかりと醸成させる長期的視野に立った採用広報を実施してもらいたいと思う。

例えば、警察の様々なキャンペーンをイベントで見かける。そこには、「白バイ」「パトカー」があり、ミニ制服を着て写真撮影をする親子連れが多くいる。また先日兵庫県警察音楽隊の震災20年特別演奏会を観に行ったが、その演奏に心動かされた。こういったイベントを拡大することや、もう一工夫して、災害警備訓練を実施する際、訓練参加者に加え、見学者も同時に募り、訓練を披露する、災害警備で使う装備資機材を展示する、機動隊のキッチンカーで子どもたちの大好きなカレーを振る舞うなど、「警察はこんな装備があるのか」「実際にあんな活動をして人の命を救いたい」といった警察官になりたい気持ちを、幼い子どもの時から沸き立てるような採用広報をしてほしいと考える。それは、長年わたって警察に憧れを持つ人材を増やすとともに、高倍率の中で念願がかない警察官になった人材は、警察官としての規範意識を十分にもち得るからである。

そこで、将来の人材確保も見据えた魅力ある警察官採用広報について、県警としてどのように考えられているのか、所見を伺う。

3 総務・地域・交通警察等の課題と今後のあり方について

昭和50年前後に奉職された、ここに出席されている3人の部長が、春、退官される。警察官となられた時から、現在に至るまで、警察を取り巻く情勢は、犯罪の複雑多様化、広域・スピード化のほか、警察改革など、様々な対応を迫られながら、県民の安全安心の実現に取り組んで来られた。しかしながら、県警としての「県民の安全安心の実現」の取組みは、これからも変わらぬ課題であり、県警各部門の課題は今後とも続いていくものと考える。

特に、総務、地域、交通の各分野においては、私が気になる課題を抱えており、長年、警察官として県民のため、汗を流していただいてきた経験も踏まえ、各部門における課題と今後のあり方について、各部長の考えを伺いたい。

(1)総務部門について

まず、総務部門については、限られた予算のなかで、警察活動を支える施設・装備の充実、予算の獲得などにおいて課題があると思うが、総務部長の考えを伺いたい。

(2)地域部門について

続いて、地域部門だが、長田区の事件等で身近な地域の安全が再々度問われており、地域の安全対策が大きな課題と認識するが、地域部長の考えを伺いたい。

(3)交通部門について

最後に交通部門だが、昨年末にかけ交通死亡事故が多発し、交通死亡事故抑止対策に関しては、我が会派の他の議員も本会議等で指摘している。交通部長の考えを伺いたい。

● 企業庁

1 ひょうご情報公園都市について

(1)第1工区の分譲について

(2)第2~第4工区の今後の方針について

2 播磨科学公園都市における住宅地分譲の今後の取り組みについて

3 地域整備事業の土地評価について

全文

予算特別委員会部局審査(企業庁)

質 問 者   石井 健一郎 副委員長(民主党・県民連合)

1 ひょうご情報公園都市について

(1)第1工区の分譲について

先日、平成15年3月から分譲を開始していたひょうご情報公園都市の第1工区について、すべて売却先が決まったとの新聞報道があった。ひょうご情報公園都市は、山陽自動車道三木東インターチェンジに隣接していることから、生産・物流拠点としての優位性をアピールし、分譲を始めてから12年、ここに運送業や飲食関係など20社が立地することになるわけだが、造成当初の見込みと現状との比較、またそのことに対し、どのような評価をしているのか伺う。

(2)第2~第4工区の今後の方針について

今年度策定された企業庁経営ビジョンであるが、その中に、ひょうご情報公園都市については「平成30年度までに既開発用地の分譲完了を目指す」との表記がある。先ほどの質問でも触れたとおり、第1工区の分譲完了まで、12年かかった。そしてひょうご情報公園都市には平成25年度末時点で造成を行っていない第2~第4工区、いわゆる事業進度調整地が約215haあるとお聞きしている。この区域については、同じく経営ビジョンに、「県民・企業ニーズや事業の採算性を考慮の上、環境林や企業ニーズを踏まえた利活用を検討」とあるが、現状及びこれまでの地元自治体との協議も踏まえた、今後の方針についてもあわせてお聞きする。

2 播磨科学公園都市における住宅地分譲の今後の取り組みについて

現在企業庁が開発した住宅地の分譲済率は、潮芦屋、神戸三田国際公園都市(カルチャータウン)ともに69%、播磨科学公園都市が35%と、地域差が歴然としてある。潮芦屋と三田の分譲が進んでいるのは、アクセス面だけでなく、潮芦屋については阪神間における湾岸地区の立地という開放的なイメージの活用、神戸三田国際公園都市では、洋風の住宅が立ち並ぶ郊外の街並みや電線の地中化等により景観を大切にする街といったイメージの形成にある程度成功したためだと考える。

企業庁経営ビジョンによると、潮芦屋については、マリーナの良好な景観と調和した施設の整備などにより平成30年度を目処に分譲を完了、三田は平成30年代前半に、都心では味わえない環境や、余裕ある敷地を有する住宅の整備を進めることにより、「まちの熟成を図る」こととなっており、現在のイメージに沿った分譲の推進を目指している。そして、播磨科学公園都市については、そこまでの数値目標を打ち出さず、道の駅やコンビニエンスストアの開設、サッカー場の整備などを進め、交流人口の拡大を目指すほか、現在姫路や相生に下宿している県立大学の学生を呼び込む仕掛けを検討するとお聞きしている。

しかしながら、人口減少に伴うコンパクトシティ化の推進が進む中、立地的に不利な播磨科学公園都市の住宅地分譲の促進には、訴求力のあるイメージづくりなど今少し踏み込んだ仕掛けが必要だと考えるが、どのような方針を検討されているのか伺う。

3 地域整備事業の土地評価について

地方公営企業会計基準の見直しがあり、平成26年度当初予算から土地の評価損の計上が義務づけられることとなった。それに伴い当局が土地の時価評価を行ったところ、地価の変動等に伴い、播磨地域においては35億円、淡路地域では101億円の時価評価損が発生したことになっている。一方、評価益の計上に関する規定は基準にはないが、平成26年度補正予算において、阪神地域での116億円の評価益が計上されている。

つまり昨年度からは評価損については規定通り、評価益についてもいわば自主的に公表資料に記載されている訳だが、金額が金額であるだけに、県民への分かりやすい説明が必要だと考える。そこで、なぜこのような数値になったのか、今後の各地域の整備事業に影響はないのかなど、この度の土地評価について当局の見解を伺う。

石井 健一郎
神戸市灘区

●財政状況

1 新行革プラン7年間の人件費カット総額とその目的について

(1)人件費カット総額について
(2)人件費カットによる財源の目的について

2 財政改革の次なる課題について

(1)水道用水供給事業会計の県債直接引受について

(2)青野運動公苑土地信託事業にかかる105億円の負担処理について

①今後の運営形態について

②地域整備事業会計での受け入れについて

(3)県債管理基金の貸付金320億円の行方について

①県債管理基金の貸付金の扱いについて

(4)長期保有土地の今後について

(5)平成27年度から始まる滋賀県造林公社からの貸付金分割返済について

3 平成31年度以降の行革について

全文

予算特別委員会部局審査(企画県民部②)

質 問 者   石井 健一郎 副委員長(民主党・県民連合)

今回の予算特別委員会では、今後ますます必要性が高まる市町との連携に着目し、質問を行う。

1 フェニックス防災システムの運用支援について

昨年、芦屋市において豪雨災害時にフェニックス防災システムへの入力遅れがあり、避難準備情報の伝達が遅れたと新聞報道されたことは記憶に新しい。その入力遅れの原因として、担当職員が市民からの問い合わせに忙殺されていたことが挙がっていたが、私には今後も同様の事態が起こるのではないかという懸念がある。特に規模の小さな自治体で、夜間に災害に見舞われた場合、その場にいる職員のうちシステムに入力できる職員が1人だけであるのに、その職員が住民やマスコミ対応に追われ、避難勧告や避難指示を速やかに入力できなくなるという事態も十分想定される。また、システムの操作に不慣れな、異動したばかりの職員が、入力作業に時間がかかることもあるだろう。

そこで県においては、災害発生時に、市町防災部局の特定の職員だけにシステム入力の負担がかからないようにすること、災害発生市町へのマスコミからの問い合わせをできるだけ減らすような方策を講じること、そして他の自治体と比べ災害発生時の職員の負担が大きいと予想される市町への支援はもとより、フェニックス防災システムが県民の信頼に応えられるよう、さらなる支援を行っていくことが必要だと考えるが、当局の見解を伺う。

2 消防広域化の推進について

今年1月に、阪神・淡路大震災20年を迎えたが、あのときに活躍した消防隊員を主人公にしたドラマがいくつか放映されていた。

さて現在、県内の消防職員の充足率は、76.0%であり、全国平均76.5%とほぼ同じであるが、人口減少と高齢化が進展していく中、今後発生が予想される大規模災害に対して、より効率的な消防活動の実現が求められることは言うまでもない。

県においては、このような事態に対応すべく、平成21年6月に、広域化に向けた具体的な協議を行う市町の組み合わせ等を定めるための「消防広域化推進計画」を策定し、これに基づき、阪神、北播磨、西播磨、但馬の市町を中心に広域化を推進しているところである。特に人口減少率が高い郡部における広域化は速やかに進める必要があると考えるが、現時点での進捗状況と課題、今後の方針について、当局の見解を伺う。

3 南海トラフ巨大地震対策について

(1)市町における津波災害対応への支援について

県では一昨年から南海トラフ巨大地震による津波浸水想定図を、地区ごとに公表している。綿密な想定の下、大変精緻な想定図を作成されていると思うが、今後大切なのは、この想定図を見て、実際の避難計画の策定をする市町との情報共有・連携である。

県においては、津波被害対策を市町と連携して推進するため、「市町津波災害対応マニュアル作成の手引き」を平成20年3月に策定しているが、東日本大震災の発生を受け、来年度同手引きの改訂を行うこととしている。東日本大震災の教訓を踏まえ、多くの事項について改訂を検討されていることと思うが、現在どのような視点で改訂しようとされているのか、当局の見解を伺う。加えて政令指定都市である、神戸市との連携における課題について伺う。

(2)津波災害時の沿岸工業地帯の危険物について

東日本大震災では工場タンクから漏れ出た重油や車のガソリンなどによる津波火災が多く発生し、沿岸の危険物対策の必要性が高まった。

現在、県の津波浸水予想地域における工業地帯の危険物の把握や指導については、消防法に基づき、地元市町が対応している。県としても、さらに現状の把握に努め、適宜石油コンビナート等防災計画の見直しなど県の施策に反映していくべきと考えるが、当局の見解を伺う。

4 市町への権限移譲について

最後に市町への権限移譲についてお聞きする。現在、人口減少社会に対応するための地方版総合戦略の策定に向け取組みが進められている。市町において、創意工夫を凝らし、地域の特性を活かした魅力ある施策を実現させるためには、市町における主体的な権限と実行力が必要となる。

地方分権については、これまでも、地域主体の取組みが可能となるよう国や県から基礎自治体である市町村に一定の権限が移譲されているところではあるが、人口減少社会への対策が新たなステージへと移り、地方創生の取組みを積極的に推進していくためには、市町の更なる権限移譲が重要になってくると考える。

知事が地方分権を提唱する本県では、これまでも市町への県独自の権限移譲を順次進めてきたところであるが、これまでの取組み成果と今後の方向性について、当局の見解を伺う。

●病院局

1 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合検討について

2 病院事業会計に対する一般会計繰入金について

全文

予算特別委員会部局審査(病院局)

質 問 者   竹内 英明 理事(民主党・県民連合)

1 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合検討について

(統合に至った経緯、神大医学部の意向)

先日、県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院が統合し、2021年度にも新たな県立病院として姫路市内に開設する方針との報道があった。 まず、統合に至った経緯とともに、医局として医師を送り込んでいる神戸大学医学部の意向とあわせて伺う。

(統合検討の時期)

製鉄広畑病院には、先日、巨額の経費をかけて災害拠点病院としてのドクターヘリの準基地としての施設等を整備し、運用が始まったばかりである。一般的に考えて、このような統合の検討がなされているなら、この投資について、別の検討があったのかとも思う。

いつからこのような統合の検討を始めたのか伺う。

(地域の声の反映・姫路市、地元医師会)

報道では、県立病院と民間病院の統合は県内初で、循環器病センターの施設の老朽化などの課題と、製鉄記念広畑病院の救急医不足解消の課題を解決したいという考えが一致したとのことであった。

方針決定に当たっての地域の声の反映や姫路市、地元医師会などの意向はどうだったのか、また、今後詳細決定に向けては、どのように意見を聞いていくのか伺う。

(統合に伴う新日鉄住金との関係・新病院のネーミング)

製鉄広畑病院の院長が「企業病院から始まり、新日鉄の思いが入った病院だが、仮に名前が残らなくても、機能が高められることから統合を決断した」とのコメントが報道されている。このコメントからも、製鉄広畑病院には企業病院としての長い歴史があるし、製鉄広畑サイドのネーミングに関する思いが私にはうかがえる。

そこで、新病院のネーミングは、((姫路循環器・製鉄広畑病院?)でどうかと思うが、)どのように決めていくのか伺う。

(統合に向けた様々な課題)

統合に向けては、様々な課題があると考える。

先程も申し上げたように製鉄広畑病院は、巨額の経費をかけて災害拠点病院としてのドクターヘリの準基地としての施設等を整備し、多額の借入金があるが、その処理はどうするのか。また、両病院の職員の雇用は維持されるのか。さらに、現製鉄記念広畑病院は3次救急等を担っているが、広畑周辺の救急医療のあり方をはじめ、同病院の今後の役割はどうなるのかなど、課題をあげればきりがないと思う。県病院局として、現段階での課題をどう認識し、どのように解消していこうと考えているのか伺う。

(新病院の場所、病床数)

県民の皆さんが統合に当たって、一番注目しているのは、立地条件と機能だと思う。「JR姫路駅東の再開発用地を候補として市と協議」、「病床数は両病院をあわせた742床を軸に検討」との報道もあるが、新病院の場所や病床数に関する考えを伺う。

2 病院事業会計に対する一般会計繰入金について

(5事業の損益)

平成27年度の県立病院事業など5事業の損益見込みは、収益的収入1,154億7,248万2千円、収益的支出は1,213億5,695万3千円となっており、差し引き58億8,447万1千円の赤字の見込みである、この見込みは、一般会計からの繰入金を収入に入れた上でのものだが、平成27年度予算では、繰入金をいくら計上しているのか。

→136億円

(企業債に係る繰入金)

収益面での136億円の他に、病院の建設費など起債に係る企業債の償還費用の一部割合も一般会計から繰り入れていると思うが、それはいくらか。

→34億円

((コメント))

繰入金の合計は170億円になる。これには、国が繰出し基準を設けているもののほかに、県が独自の基準を設けて繰り出しているものも含まれる。今日は時間がないので個別の議論は避けるが、救急医療、高度医療等のためではあるものの、こうした支援を一般会計から実施しているということも、県民の皆さんに分かるようにしておく必要がある。

●公安委員会

1 姫路警察署に設置される姫路優良・高齢運転者運転免許更新センターについて

2 交通事故防止のための信号機の整備について

3 国家公安委員長の示した交通違反取締りのあり方について

4 外国人犯罪について

全文

公安委員会 3月6日(金)(竹内委員)

1 姫路警察署に設置される姫路優良・高齢運転者運転免許更新センターについて

姫路市など西播磨地域を中心に運転免許更新手続きをしやすくするため、同市内で進める3警察署の管轄区域の再編に伴い、姫路署にできる空スペースを活用して、新たに運転免許更新センターを設置することとなった。私も過去に政務調査会の席で、姫路市民の悲願として取り上げた。記憶に残っている幹部の方もいると思う。私にとっては大変思い入れのある施策である。
現在、鋭意、設置作業が進んでいると思うが、これまで免許の更新と言えば、明石の運転免許センター。西播磨在住者からすれば半日仕事だった。西播磨地域の県民の期待は非常に大きい。
そこで、姫路市に新たに設置される優良・高齢運転者運転免許更新センターについて、県民への設置のメリットについて伺う。

2 交通事故防止のための信号機の整備について

(1)昨年の本県における交通事故死亡者数は全国ワースト3位という結果となり、会派議員の本会議の質問等で何度も指摘しているが、交通事故対策は急務である。

交通安全施設の中でも、信号機の設置、更新は、とりわけ地域の安全を守る観点で要望が高い。そこで、27年度における設置、更新の予定数と、設置、更新の際の優先順位の判断基準を確認する。

(2)姫路市香寺町溝口、香福橋南にある交差点は、県立香寺高校の通学路となっているが、国道312号線の自動車交通路が多いため、危険個所となっている。住宅街との合流する際の横断歩道はあるものの、見通しが悪い交差点となっており、今年度だけでも、5月に3年生の女子生徒が横断歩道を自転車を押して歩いていたところ車と接触、右足内側骨折、また9月には、同横断歩道を自転車に乗って通行していたところ、車と接触し、頭蓋骨骨折、脳挫傷、現在でも後遺症で苦しんでいる生徒がいるとのこと。近隣住民の方の話では、今あげた事故は高校として把握している話だけで、他にも事故が多いという。私も現場に行ったが、まさに、信号機の設置がなく非常に危険な状態となっており、同校だけでなく、PTAや地元自治会も信号機の設置を要望していると聞いている。
そこで、同交差点における、信号機整備の検討進捗状況について伺う。

3 国家公安委員長の示した交通違反取締りのあり方について

一昨年、交通違反取り締まりについて、当時の国家公安委員長が「歩行者が出てくる危険もない直進道路で、20㎞超過を取り締まるのはどうかと思う。」との発言が報道され、大きな波紋を呼んだ。
交通取締り自体は必要なものとはいえ、一旦停止違反の後方に控えての取締りなどには、取り締まりのための取り締まりとの批判やノルマなどとの県民からの苦情もよく聞く。先の当時の国家公安委員長も「ドライバーが納得できる取締りが必要」と発言している。
私、個人的には、目標を決めて取り締まるという数値管理的手法は否定しないのだが、いずれにしろ、この発言の有無で取締りに変化があったようには感じないし、何も変わっていないとは思うが、念のため、この国家公安委員長の示した交通違反取締り発言で取締りに何か変化があったのか。

4 外国人犯罪について

(1)アベノミクスによる成長戦略の柱として外国人の受け入れ拡充が平成27年度から本格化する。金融緩和による円安誘導で、昨年の訪日外国人は1,341万人と過去最高を記録するなど、外国人の訪日、在留については、今後も増えていくものと推察される。また、産経新聞の報道では、政府が少子高齢化に伴って激減する労働力人口の穴埋め策として、移民の大量受け入れの本格的な検討に入ったとしている。毎年20万人を受け入れることで、合計特殊出生率が人口を維持できる2・07に回復すれば、今後100年間は人口の大幅減を避けられると試算しているという。
経済財政諮問会議の専門調査会を中心に議論を進めているというが、大量受け入れには単純労働者を認めることが不可欠となり、国籍を付与するほどの移民の大量受け入れとなれば国策の大転換となる。
日本で働く外国人の届け出数(13年10月末)は72万人弱で、前年より約3万5千人増えた。20万人はその6倍近い数。
政府が移民の大量受け入れの検討に乗り出したのは、勤労世代の減少による経済や社会への影響が現実になり始めたため。成長戦略では女性や高齢者の活用を打ち出す一方で、移民も有力な選択肢として位置付けることにした。
移民政策には雇用への影響や文化摩擦、治安悪化への懸念が強い。政府は移民議論と並行して、外国人労働者の受け入れ拡大を先行させる考えという。
人口減少社会を迎えて検討される可能性のある移民政策、人口だけでなく、それに伴う労働力補完、経済成長、租税負担者の増加などメリットもあるが、移民受入が治安にどのような影響を及ぼすかは、ヨーロッパ等の移民政策先行国で起こっている治安や宗教の状況をみると簡単なものではないと思う。
ここでは、まず、現状の外国人犯罪について伺いたい。

(2)県内の日本人の犯罪状況、年間にどれほどの人間が刑法犯・特別法犯として検挙されているのか、それが人口の何%なのか。この過去3か年の状況を確認したい。

(3)次に、県内の来日外国人のほか、永住者やその配偶者、特別永住者を含む「在留外国人」の検挙人数、「在留外国人」人口と検挙者の占める割合を確認したい。

外国人の犯罪率は、在留者、永住者共に関係なく、日本人の2倍位以上となっている。なぜ外国人の犯罪率は高いのかと考えるが、実は、日本人の犯罪率が世界的に見て極めて低いから比較すると高くなるということ。やはり日本はいい国ということがこういったことからもはっきりわかる。

●県土整備部

1 姫新線におけるSL車両の導入について

2 国道312号の整備促進について

3 宮田北交差点の改良について

4 市川の河川整備について

5 船場川の調節池整備について

全文

予算特別委員会部局審査(県土整備部)

質 問 者   竹内 英明 委員(民主党・県民連合)

1 姫新線におけるSL車両の導入について(交通政策課)

平成26年度補正予算で、西播磨県民局は「姫新線SLプロジェクト」として1,500万円を計上した。市民からの反響も大きく、播但線でも検討してほしいとの声も出るほどであり、観光面でも期待ができる。

県民局予算ではあるが、今後、県土整備部としては、JRとの軌道や車両導入等の折衝において、これまでの経験をどのように活かしていくのか。また計上された1,500万円は調査費用とのことだが、実際どのような調査をするのか、そして実施年度などの想定について伺う。あわせて、姫新線利用促進の他の方策についてもお聞きする。

2 国道312号の整備促進について(道路街路課)

国道312号は、姫路の中心部から朝来市和田山を経由して、京都府宮津市までの県管理国道である。国道312号は、姫路の中心部では4車線の道路だが、北上すると砥堀交差点で同国道と平行している県道砥堀本町線と合流し、その北の播但連絡道路砥堀ランプと接続する砥堀北交差点から以北は、2車線となる。但馬方面への交通は、播但連絡道路が有料道路ということもあり、多くは、2車線の国道312号に流れていく。

砥堀交差点、砥堀北交差点周辺でボトルネックとなっているなど、いろいろな問題がある、本日、聞きたいのは、砥堀北交差点から北の砥堀小学校周辺の未整備区間の改良計画である。当該区間は、通学路となっているが、ただでさえ車の通行量が多いにも関わらず、歩道の幅員が狭く、車と登校中の児童との接触事故が発生する可能性があり、平成24年の通学路安全点検でも危険箇所に指定されている(私の在学当時も、車に足を引かれて骨折した事例があった)。

調べてみると、同箇所の一部には河川が流れており、蛍橋という橋がかかっているが、その欄干には昭和11年と記されていた。以降ずっと同じところを子どもたちが通行しているということだろう。

今年度策定された社会基盤整備プログラムでも、当地については、今年度~平成30年度の間に改良工事に着手、平成31年度~35年度の間は継続と記されているが、早期整備を求めることから、スケジュールと整備内容についてご説明願いたい。

3 宮田北交差点の改良について(道路保全課)

県道421号(大江島太子線)の勝原橋交差点の改良が実施され、渋滞がほぼ解消された。長年の懸案事項の解消であり、地元民も感謝している。しかし、同じ県道の交差点である宮田北交差点での渋滞が残ったままである。社会基盤整備プログラムにも、今年度~平成30年度の間に改良工事に着手、平成31年度~35年度の間に完了と記されているが、今後の具体的な整備内容やスケジュールについて伺う。

4 市川の河川整備について(河川整備課)

近年ゲリラ豪雨等による河川の氾濫や床上・床下浸水などの被害が増えている。西播磨地域でも、平成23年、市川流域の生野橋付近を中心とする広範な地域に、豪雨による避難勧告が出され、その対象が10万人に及ぶなど、大変大きな影響が出た。

平成27年度予算においては、川下から整備するとの基本原則に従い、飾磨区阿成地区において、河床掘削、護岸工事などの事業を継続実施することとしているが、財源の関係でなかなか上流まで整備が進まない。

しかしながら、いつまでも待ってはおれないため、以前に大きな影響があった生野橋のある砥堀地区の暫定対策を急ぐべきと考えるが、当局の見解を伺う。

5 船場川の調節池整備について(河川整備課)

船場川においては、これまでも床下浸水などの被害を受けており、住民は不安な思いをしている。現在姫路競馬場に調節池を整備されているところだが、現在の進捗状況及び今後の整備スケジュールを伺う。

竹内 英明
姫路市


● 企画県民部①

1 「21世紀兵庫長期ビジョン」の更なる推進について

2 新しい公共と「県民の参画と協働の推進に関する条例」について

全文

平成27年度予算特別委員会質問要旨(企画県民部①)

質 問 日:平成27年 3月 4日(水)

質 問 者:掛水 すみえ委員

1 「21世紀兵庫長期ビジョン」の更なる推進について

震災から20年、創造的復興を推進すること、従来の枠にとらわれずタイムリーな課題解決が兵庫県の真骨頂だと思います。今議会では、人口減少対策・東京一極集中是正・豊かな生活の確立・持続可能な兵庫県創りのため、「兵庫県地域創生条例」が提案されていますが、ここまで追い込まれた状況を打破するためには、思い切った切り口が必要と考えます。

県では、平成13年に、2040年を目標年次として兵庫の目指すべき社会像とその実現方向を明らかにした「21世紀兵庫長期ビジョン」を策定しましたが、策定から10年が経過し、人口減少等の社会経済情勢の変化を受けて、平成23年に新たに将来像を設定するなど、ビジョンを改定しました。このビジョンの見直しでは、これから実現したい兵庫の姿を新たに12の将来像として、例えば、超高齢社会や人のつながりの希薄化に備えるため、「人と人のつながりで自立と安心を育む」ことや人口減少社会を見据え「個性を生かした地域の自立と地域間連携で元気を生み出す」として目指すべき方向性をより明確にしました。

先ほど申し上げたように、今、国・地方自治体の大きな課題になっているのが人口減少対策です。人口減少社会においては、労働力人口が減少するなど地域をどう維持していくかが課題となり、そのためには元気な高齢者はもちろんですが、これまで以上に女性の活躍も必要となってきます。その意味では、この長期ビジョンについても、男女共同参画の視点から、これからの目指すべき将来像を捉えるべきと考えます。

長期ビジョンの推進状況報告書によると、「兵庫らしい健康で充実した生涯を送れる社会を実現する」項にようやく男女共同参画社会づくりが登場しますが、列挙された内容を見て男女共同参画社会についての認識を疑わざるを得ません。

男性が多いこの予算特別委員会ではピンとこない方が多いと思いますが、

1979年女子差別撤廃条約が国連で採択され、政府は1999年に男女共同参画基本法制定、兵庫県では2002年に男女共同参画社会づくり条例が制定されました。条例では、「男女の人権尊重が記され、社会の対等な構成員として、県の政策決定に共同して参画する機会を確保し、必要な財政上の措置を講ずることを努める」となっています。新しい政治の枠組みのスタートを実感しました。

大きく話題になりました増田寛也編著の「地方消滅」には、企業における働き方の改革、長時間労働の是正、ワークマネジメントの実現、女性農業者をはじめ女性の活躍推進に言及されています。社会通念の根強い性別役割分業の強い国は、出生率が低い。共に家庭責任を負っていけるように働き方改革・暮らし改革を進めているところでは出生率は高まっていると。産業構造・社会構造の変化により男女の役割分担が大きく見直されてきました。人口減少問題は、例えると「慢性疾患」のようなもので、簡単には治らないが、体質改善が早期であればあるほど効果が上がるということです。

そこで、人口減少がもたらす変化は社会構造をも大きく変えようとしていますが、今こそ、持続可能な兵庫の未来を築いていくためにも、男女共同参画の活力ある社会づくりという視点を踏まえ、「21世紀兵庫長期ビジョン」を更に推進していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

【答 弁】

2 新しい公共と「県民の参画と協働の推進に関する条例」について

阪神・淡路大震災時、全国からボランティアが集まり、支援をいただいたことは決して忘れることはできません。1995年がボランティア元年と言われたことは、兵庫県にとって誇らしいことであり、そのことが、東日本大震災や台風など自然災害支援に率先して臨む気風が醸成されたことは、兵庫県の宝であると私は思います。NPO法が制定され兵庫県でのNPO法人の活躍する分野も広がり、NPO法人の発想で地域での下支えを果たしてきたと思います。

震災から20年、これからのポスト20年を考えた時、新しい公共の一翼を担うNPO法人は、ボランティアと異なりしっかり自立し、行政の補完ではなく、課題解決のパートナーとしての仕組み作りが求められます。たとえば、地域での高齢者・障碍者福祉・保育所問題・地域コミュニティ復興が急がれる今、富山県ではいわゆる富山型と言われるNPO法人設置の「共生型福祉施設」が富山県内はもとより全国で1,427カ所に増加し、兵庫県にもあります。はじめは、高齢者向け施設として180万円の補助金、次に、障碍者利用に対して300万円に増加。国から推進特区に認められ、東日本大震災では、被災地に設置推進と全国区になったのです。

地域でいろんな分野で活動する認定NPO法人も県内に23件と育ち、中間組織の立ち上げにも大きな力を発揮している兵庫県です。しかし、NPO法人の課題は深刻です。学生ボランティアが興味を持ち、生きがいを感じて事業に参画してくれますが、将来のことを考えるとせめて中小企業並みの賃金をと考えます。生活ができなければ持続することが難しくなります。善意の心だけでは維持することは難しいです。また、リーダーの高齢化も進んでいます。目の前にいる支援者を見捨てることはできないので人材育成に焦りを感じています。寄付税制が改正されましたが、寄付文化は発展途上です。運営基盤を確立するためには、企業への啓発のみならず、県として新しい公共としてのNPO法人との新たな仕組みが強く求められます。

現存するNPO法人が消滅してしまったらと思うと将来、兵庫県における地域支援事業は大変厳しくなることは必至です。富山県もスタートはNPOの活動からです。

そこで、将来を見据えての新しい公共としてのNPO法人とのパートナーシップをどう継続していくのかが問われていると思いますが、当局のご所見をお伺いします。また、この点について、「県民の参画と協働の推進に関する条例」において、どう定義づけられているのか合わせてお伺いします。

【答 弁】

●健康福祉部

1 生活困窮者への支援について

2 男女共同参画社会づくり条例の実効性について

3 DV対策について

4 子どもの性被害を防ぎ子どもを守る取組みについて

5 ピアサポートの拡大と充実について

全文

H27予算特別委員会部局審査(健康福祉・掛水委員)

1 生活困窮者への支援について

認知症・障碍者・介護疲れ・家庭内暴力等多数の要因が絡まって、お金もなく、仕事もなく周囲から孤立している人を自立に導くことは大変です。生活保護に頼らず働いて自立できるよう生活困窮者支援制度が4月から本格実施となります。県では、先行して、モデル事業を実施されましたが、課題解消するための仕組みつくりは進んでいるでしょうか?

県では、平成27年度予算案で生活困窮者への支援を拡大することを打ち出し、新たに任意事業の「就労準備支援事業」1,146万円などを計上されています。同事業は、一般就労に必要な知識・技能を習得するための訓練等を実施するもので、任意となっていますが、今後の生き方にも関わる重要な事業と考えます。

一般社団法人・協同総合研究所がまとめた「社会的事業体が取り組む就労準備事業から持続性のある中間的就労創出に向けた制度・支援に関する調査研究」によると、まず、①さまざまな困難を抱えている被支援者に対しては、伴走型の相談事業を合わせて実施することが望まれる、②中間就労は社会的企業が担うか、NPOとの連携実施が望ましい、③一般就労という出口についても行きつかない被支援者には、中間的就労は、就労訓練型と合わせて継続就労型が必要となる」とされ、先進事例として、豊中市・釧路市・京丹後市の報告があった。豊中市の事例は、多くの自治体が福祉部門中心であるのに対して、労働部門(市民協働部雇用労働課)が中心となっていることです。全庁的連携を容易にし、各分野の就労支援を支える共通の業務となっています。生活困窮者自立支援の他、分野ごと・対象ごとに進む自立就労支援をつなぎ、それぞれの良さを発揮できるように、地域や自治体をベースにした「総合的な就労支援」「地域政策としての就労支援」のための仕組みが欠かせないと記されています。

この調査研究では、生活者自立支援制度は、新しい課題として提起されており、自治体の雇用・就労支援策の見直し・体系化のアプローチともなると考えます。その観点では、この制度の推進は産業労働部との連携が鍵になると考えます。

また、今後の生活困窮者対策に向けての課題として、現状の若年層の雇用状況から考えると、近い将来の無年金者の増加、すなわち高齢者の生活困窮者のさらなる増加が危惧されます。4月から実施の生活困窮者自立支援制度が、将来の無年金者の問題に対応できる制度となっているのか気になるところです。

そこで、生活困窮者自立支援制度の4月からの本格実施に当たって、産業労働部初めとした他部局との連携を含め、どのように取り組んでいこうと考えているか伺います。

【答 弁】

2 男女共同参画社会づくり条例の実効性について

企画県民部の審査では、男女共同参画の視点での長期ビジョンの改訂をと述べてきましたが、政治・経済・雇用分野での女性の進出と平等の実現は著しく遅れています。特に、DVや性被害など女性の人権侵害の事象が深刻さを増しています。また、多くの女性は、非正規雇用を余儀なくされ、女性の貧困が進んでいます。

今年は、北京世界女性会議が開催されてから20年の節目をむかえます。国の「男女共同参画第3次基本計画」も5年目の最終年をむかえ、男性の働き方に言及するなど、新しい切り口がありました。兵庫県では、「新ひょうご男女共同参画プラン21」の改定をされますが、条例の実効性を担保するため、どのような点に重きを置いて改訂されるのかお尋ねします。

【答 弁】

3 DV対策について

2014年1月改正DV防止法が施行され、裁判所が加害者に接近禁止命令を出せる範囲が拡大されました。DVの認知件数も増加しています。

兵庫県においても基本計画を改定し、推進方策として6つの目標を決定しました。①NPO法人との協働による大学や高校でのデートDV防止出前講座等DV防止に向けた啓発・教育の推進、②市町のDV対策の促進、③相談体制の充実、④緊急時の安全確保、⑤自立支援の推進、⑥専門人材の育成と連携強化です。さらに、被害者の一時保護を受け入れる施設の確保、民間支援団体が運営するシェルターへの支援・連携強化が記されています。

また、2013年10月改正ストーカー規制法が施行され、自治体に公的な相談所の活用や民間避難施設などへの支援を通じ、被害者救済に努めるよう求めました。DV・ストーカー被害者が安全に生きることができる施策推進が急がれます。今ここで、売春防止法に基づき設置された婦人相談所に対する要望が相次いでいます。相談が増加する中、まず、駆け込むのが、婦人相談所である女性家庭センターという公の施設です。しかし、原則として、福祉事務所か警察を通しての相談でないと受け入れられない、また、一時避難も2週間程度、共同生活・外出制限・中学生以上の男子の同伴禁止など制約が多く、被害者が敬遠するケースもあると聞きます。一方民間シェルターは、継続した対応ができ、アパート一室を利用しているため長期滞在でき、被害者に避難先を紹介したり、加害者への対処法のアドバイス、働くことも含めて継続的に支えています。公的な責任で仕事をする女性家庭センターと継続した支援が可能な民間シェルターは双方に長所があります。

兵庫県の女性家庭センターは、平成26年度運営費の最終予算額は1億3,628万9,000円です。女性家庭センターは「売春防止法」に基づいて設置された機関ですが、DV防止法制定により配偶者暴力相談支援センターの位置づけも加わり、DV被害者の相談・一時保護を行っています。DV被害者にとって緊急一時保護できる機関・施設があることは、生きることを示すものです。しかし、あくまで緊急時ですので、今後の生活を考えた時、保護期間が短く、また、生活のための住居や就労を考えた時そのサポートも充分でないケースもあります。兵庫県においてはNPO法人が被害者に寄り添い、生活をサポートしていると聞きます。しかし、十分な財政援助があるわけではないので、このままの状態では、消滅しかねません。平成27年度当初予算には、売春防止法に基づき設置されている婦人保護施設2か所への入所委託費として計1億2,025万円が計上されています。婦人保護施設も調査に行きましたが、入所者にとって使い勝手が悪い状態であったと聞いています。現在は、DV被害者も多く入所していると聞きますが、入所委託費の事務費は定員に基づき支払われているため、入所者数が減っても、それ程変動していないようです。一方で、民間シェルター支援事業は96万円の家賃補助です。DV被害者の実質支援を考えたら、このままでいいとは思えません。もちろん女性家庭センターの活動も重要ですが、有効な予算の使い方を考えることも必要です。

そこで、DV対策については、民間シェルター等への支援を充実させるなど予算配分の見直しを検討するとともに、民間シェルター等の施設の運営に当たっては、NPO法人との連携のあり方を見直し、(企画県民部審査でも提案したような、ボランティアとは異なり、しっかりと自立し、行政の補完ではなく、課題解決に向けた対等パートナーとなる)新しい公共としてのNPO法人と協働できる仕組みを作ることが急務ではないかと考えますが、所見を伺います。

【答 弁】

4 子どもの性被害を防ぎ子どもを守る取組みについて

昨年7月に施行された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が一部改正され、単純所持の罰則が新設され、児童の保護に関する規定も整備されました。

厚生労働省による全国の児童相談所への調査では、全体の虐待対応件数は過去15年間(H11とH25の比較)で約6倍に増加しましたが、性的虐待は2.7倍の増加にとどまっています。これは、性的虐待が少ないのではなくて隠されているためと、子どもに「言わないで」と頼まれたという理由や被害を受けた責任の一端は自分にあるのではというバイアスが通告を阻んでいると考えられます。また、性的虐待の定義が「親権者・監護責任者」によるものと限られていることも要因と考えられます。

児童虐待に関する通告・相談があれば、児童相談所はまず子どもの安全確保を行いますが、多くの場合、性的虐待の被害は思春期以降まで隠されること、その影響は成人になっても続くことから、性暴力被害者支援センターの重要性を実感します。兵庫県内では、尼崎市内で立ち上げていますが、1カ所で県全域をカバーすることは難しいです。しかし、必要な施設と考えます。被害児童に対して早期に介入、ケアできれば、その後の悪影響は少ないという話を臨床医に聞きました。

そこで、県では、こども家庭センターで子どもに性的虐待が考えられるケースを見つけた場合、どのように対応されているのか、課題も含めてお聞きします。

【答 弁】

5 ピアサポートの拡大と充実について

心を病んだ人や認知症等が入院する精神科病院、全国では32万人を超す人が入院していて、3人に1人は5年以上の長期入院です。兵庫県の入院者数は約1万1千人(平成24年)と聞いていいます。その精神疾患患者の方々の地域社会への移行のために活躍しているのが、ピアサポーターのみなさんです。県議会の超党派の議員連盟「精神保健研究会」で平成23年度に淡路地区を調査した時、新淡路病院の取り組みを詳しく聞くことができました。また、今年度調査をした伊丹地区では、ピアサポーターのみなさんと交流する機会がありました。

ピアサポーターの皆さんの活動がより拡大し、充実していくことが求められますが、一方で、ピアサポーターの皆さんの生活・仕事が大きな課題となっています。ある雑誌に掲載されていたデータによると、生活困窮者の現況は生活保護受給者を除く低所得者が85%でほとんどですが、そのうちニート・ひきこもり・母子家庭と精神疾患を抱える者が40%台という状況となっていました。単に、病院からの社会への移行だけでなく、後から課題となる、地域社会で生きていくための方策も合わせて進めなくてはならないと考えます。

富山型福祉について、企画県民部で言及しましたが、私は何度も訪問しているNPO法人「にぎやか」では、全国からの訪問調査に対して説明をしている方達は、ピアサポートの有償ボランティアです。説明する回数が多くなってくると、自分なりに工夫して楽しく仕事をしているとの主催者の言葉です。

そこで、ピアサポートの拡大と充実に向けて、ピアサポーターのみなさんへの研修の充実について伺うとともに、ピアサポーターのみなさんを含めた精神障害者の方々が地域社会で生きていくための生活・就労についてのお考えをお聞きします。

●産業労働部

1 観光のあり方について

2 働き方改革について

3 中小企業の人材確保対策について

全文

予算特別委員会部局審査(病院局)

質 問 者   竹内 英明 理事(民主党・県民連合)

1 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合検討について

(統合に至った経緯、神大医学部の意向)

先日、県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院が統合し、2021年度にも新たな県立病院として姫路市内に開設する方針との報道があった。 まず、統合に至った経緯とともに、医局として医師を送り込んでいる神戸大学医学部の意向とあわせて伺う。

(統合検討の時期)

製鉄広畑病院には、先日、巨額の経費をかけて災害拠点病院としてのドクターヘリの準基地としての施設等を整備し、運用が始まったばかりである。一般的に考えて、このような統合の検討がなされているなら、この投資について、別の検討があったのかとも思う。

いつからこのような統合の検討を始めたのか伺う。

(地域の声の反映・姫路市、地元医師会)

報道では、県立病院と民間病院の統合は県内初で、循環器病センターの施設の老朽化などの課題と、製鉄記念広畑病院の救急医不足解消の課題を解決したいという考えが一致したとのことであった。

方針決定に当たっての地域の声の反映や姫路市、地元医師会などの意向はどうだったのか、また、今後詳細決定に向けては、どのように意見を聞いていくのか伺う。

(統合に伴う新日鉄住金との関係・新病院のネーミング)

製鉄広畑病院の院長が「企業病院から始まり、新日鉄の思いが入った病院だが、仮に名前が残らなくても、機能が高められることから統合を決断した」とのコメントが報道されている。このコメントからも、製鉄広畑病院には企業病院としての長い歴史があるし、製鉄広畑サイドのネーミングに関する思いが私にはうかがえる。

そこで、新病院のネーミングは、((姫路循環器・製鉄広畑病院?)でどうかと思うが、)どのように決めていくのか伺う。

(統合に向けた様々な課題)

統合に向けては、様々な課題があると考える。

先程も申し上げたように製鉄広畑病院は、巨額の経費をかけて災害拠点病院としてのドクターヘリの準基地としての施設等を整備し、多額の借入金があるが、その処理はどうするのか。また、両病院の職員の雇用は維持されるのか。さらに、現製鉄記念広畑病院は3次救急等を担っているが、広畑周辺の救急医療のあり方をはじめ、同病院の今後の役割はどうなるのかなど、課題をあげればきりがないと思う。県病院局として、現段階での課題をどう認識し、どのように解消していこうと考えているのか伺う。

(新病院の場所、病床数)

県民の皆さんが統合に当たって、一番注目しているのは、立地条件と機能だと思う。「JR姫路駅東の再開発用地を候補として市と協議」、「病床数は両病院をあわせた742床を軸に検討」との報道もあるが、新病院の場所や病床数に関する考えを伺う。

2 病院事業会計に対する一般会計繰入金について

(5事業の損益)

平成27年度の県立病院事業など5事業の損益見込みは、収益的収入1,154億7,248万2千円、収益的支出は1,213億5,695万3千円となっており、差し引き58億8,447万1千円の赤字の見込みである、この見込みは、一般会計からの繰入金を収入に入れた上でのものだが、平成27年度予算では、繰入金をいくら計上しているのか。

→136億円

(企業債に係る繰入金)

収益面での136億円の他に、病院の建設費など起債に係る企業債の償還費用の一部割合も一般会計から繰り入れていると思うが、それはいくらか。

→34億円

((コメント))

繰入金の合計は170億円になる。これには、国が繰出し基準を設けているもののほかに、県が独自の基準を設けて繰り出しているものも含まれる。今日は時間がないので個別の議論は避けるが、救急医療、高度医療等のためではあるものの、こうした支援を一般会計から実施しているということも、県民の皆さんに分かるようにしておく必要がある。

●教育委員会

1 教職員の長時間労働是正について

(1)学校運営における人材等が一体となった取組みについて

(2)勤務時間適正化プランの実効ある実施について

2 義務教育未修了者対策について

(1)義務教育未修了者の実態について

(2)義務教育未修了者の学びの支援及び県の役割について

3 学校図書館教育について

全文

予算特別委員会部局審査(教育委員会・掛水委員)

1 教職員の長時間労働是正について

(1)学校運営における人材等が一体となった取組みについて

全国学力・学習状況調査の結果公表について、静岡県教育長の辞任が報道されていました。どの県が第1位かのみが大きく報道され、学力向上がヒステリックに叫ばれています。よきものとしての教育の中身が、成績がいい、試験の点数が高いという非常に画一的にイメージされることに危惧を感じます。1960年代に「学力保障」という言葉が使われ、とにかく学力を支えて底上げしたら、その子は生き延びていけると考えられていました。当時は、すべての人達に仕事があった時代です。しかし、2000年以降は半分の若者にしか仕事がない状況です。それでも、「学力保障」「学力向上」で実践というのは60年代、70年代とあまり変わっていません。

教育は、社会学的には、社会配分機能と言えますが、教育を通過してそれぞれの社会の居場所、位置づけに配分する側の受け皿が今、枯渇しています。教育は、「人間が人間らしく生きる生存権が確立され、展開力を持って生きていくことができる」、そのようなベースを形成する過程です。学校に教員以外の専門スタッフを増やし仕事を任せ、教員の子どもに向き合う時間を捻出したら、教員の長時間労働は和らぐのではないか、という発想に立ち、学校運営を根本から見直す気運が高まっています。

学校基本調査によると、日本の小・中学校の職員は、教員・8割、教員以外・2割です。アメリカは6対4、イギリスはほぼ同等である。中央教育審議会に「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」が設置され、私は、学校事務職員は、学校全体を見渡し、問題を発見し、解決する思考力が必要であり、教育委員会・保護者・地域などと交渉し、連帯する力を身に付けること、危機管理に関する知識も持ってほしいとの期待もあります。実際、学校に配置されている学校事務職員の現在の人数では、ないものねだりでとなっており、大学での体系的な養成システムの確立が必要です。教員養成系大学の中には、カウンセラー・ソーシャルワーカーなどを含め教員以外の専門家を積極的に育成しようとの動きも芽生えています。

そこで、学校における様々な課題に対して、教諭だけでなく学校事務職員、栄養教諭、カウンセラーやソーシャルワーカー等の専門スタッフなどの人材も含め、学校に関係する人材が「チーム学校」として一体となって取り組むモデル事業の実施を提案するが、ご所見を伺います。

【答 弁】

(2)勤務時間適正化プランの実効ある実施について

昨年、OECD国際教員指導環境調査(TALIS)では、日本の教員の1週間当たりの勤務時間は、53.9時間で参加国平均38.3時間の約1.4倍でした。特に、課外活動の指導時間が長く、事務業務・授業計画・授業準備に使った時間等も多いことがわかりました。

また、NPO日本標準教育研究所が、昨年3月から今年1月まで、テーマ別に計3回、のべ1,000人に実施したアンケートによると、学校にいる時間は平均11時間18分、その上、76.3%が帰宅後に自宅で仕事をすることがあるとし、長い人は4時間から4時間29分、持ち帰り仕事の平均は1時間5分、休日出勤も月平均1.7日という結果が出ました。

県教育委員会では、教職員の長時間労働是正のため、学校業務改善モデル事業や勤務時間適正化対策プランが実施され、それぞれの事例集も出されていますが、学校現場で事例集を活用して、超過勤務を縮減するという共通理解ができていないように思います。管理職である校長・教頭に周知するだけでは、この実態是正は困難です。あまりにも、報告と実態がかけ離れていることを憂慮します。

そこで、教職員の長時間労働是正に向け、勤務時間適正化対策プランを実効あるものにするために今後どのように周知・実行していくか伺います。

【答 弁】

2 義務教育未修了者対策について

(1)義務教育未修了者の実態について

昭和48年第144回県議会本会議において、先輩である杉田哲議員が夜間中学校について質問されています。少し抜粋しますと「教育基本法第3条には、国及び地方公共団体は、能力があるにも関わらず経済的理由によって就学困難な者に対して奨学の方法を講じなければならないと明記しています。当時県内には、神戸市立丸山中学校西野分校ただ1校開設されているにすぎません。唯一のこの学校に通学している最高齢68歳、最年少16歳89名の中学生の学ぶということへの熱意が伝わってくる、教育権のすさまじさが身体を通して理解される」と言葉が続きます。

私も、一度現場を見たくて、現在県内に3校ある夜間学校のうち、生徒数55名の尼崎市立成良中学校琴城分校に伺いました。授業は午後5時30分から8時40分までです。各クラスの授業を見せてもらいました。ひらがな・カタカナから中学校の学習内容まで、外国から来た生徒さんには、生活に必要な言葉を本人の学力に応じて教えていました。日本語の授業が多くクラスごとに内容の難易度が違っていました。宝塚市・西宮市の方もおられました。在日・渡日・新渡日など本当にたくさんの苦労を抱えながら、でも、懸命に学ばれている姿に感動しました。尼崎市の広報誌に琴城分校の紹介が掲載されたら、電話での分校の問い合わせがとても多かったと聞きます。西宮市の市政ニュースにも小さく掲載されました。広報もバラバラです。

公立夜間中学校は、学校教育法施行令25条の5の「二部授業を行おうとするとき」に依拠しています。兵庫県では、義務教育未修了者の実態から、昭和24年2月、全国で初めて、神戸市立駒ヶ林中学校に「長期欠席・不就学児童生徒救済学級」を開設したという歴史があります。全国で31校・2100人ですが、義務教育未修了者は、12万人程度とも言われています。まずは、県内の義務教育未修了者の実態を把握することが重要と考えます。

そこで、県としての義務教育未修了者の実態把握ついて伺います。

【答 弁】

(2)義務教育未修了者の学びの支援及び県の役割について

昨年、県は、夜間中学校からの要望に対して「中学校夜間学級は、何らかの理由による学齢期の中学校不就学者や長期欠席者及び学齢期を過ぎた中学校未修了者の中学校教育への要求に応える機関であり、県としても重要な役割を担っているものと認識しています。」と回答されています。

支援については、大阪府下・奈良県下の各市町や神戸市・京都市が行っている学齢期の児童生徒と同様の就学援助制度や、西宮市・伊丹市・川西市・宝塚市の4市は教育助成制度を設置、しかし、制度すらない市もあり、生徒の居住地による格差を生み出し、就学が困難になっている現状を認識していただきたいと思います。

また、神戸市・尼崎市の学校設置市のみに、学校運営費の経費負担がかかっている現状では、今後、学校消滅へ向かうのではないかと危惧します。ようやく、国会でも「義務教育等学習機会充実のための法整備に向けた取り組み」が動き始めたと聞きます。

そこで、全国で初めて夜間学校の開設に踏み切った市町のある兵庫県として、義務教育未修了者の学びの支援と役割が重要と考えますが、所見を伺います。

【答 弁】

3 学校図書館教育について

全国学力・学習状況調査で毎年出される結果において、「応用問題が苦手」という結果が続いています。思考力・判断力・表現力の育成に言語力は欠かせません。その言語力を支えるのが、学校図書館の豊富な本や新聞などです。国は、2012年度(平成24年度)から5ヶ年で学校図書館図書標準(学校図書館が備えるべき図書の冊数の標準)の達成をめざすため、5ヶ年で約1,000億円の地方財政措置を行っております。学校図書館への新聞配備にも約75億円、学校司書の配置に約150億円の措置です。しかし、これらの図書整備・新聞配備・学校司書配置は、地方交付税措置のため県内でもばらつきが危惧されます。

今年度の文部科学省の調査でも図書標準を達成した学校は、兵庫県では小学校61.1%、中学校では53.9%です。ほぼ全国並みですがこれでいいとは思いません。子ども達がいつでも読み、調べる本・新聞がある環境が必要です。そのためには、子ども達に読書の魅力を伝え、調べ学習をサポートする専門職員の配置も重要です。昭和28年に制定された学校図書館法で「当分の間、司書教諭を置かないことができる」と明記された司書教諭が、法改正によりようやく平成15年からは12学級以上の学校には必置となり、現在、兵庫県では、司書教諭が発令されているのは、小学校、中学校共に100%となっています。しかし、司書教諭は、担任との兼務が当たり前として、司書教諭としての役割をこなすことに無理があり、発令されたもののなにをするのか理解していないという話を聞きます。司書教諭に対して軽減措置がとられ、司書教諭としての活動の時間が保持されているのは10校程度と聞きます。文部科学省や県教育委員会がモデル校として、長年実施されていたことが実を結ぶ状態になっていないのは、とても残念です。また、学校図書館担当職員の配置は、小学校10.7%、中学校11.3%、高校42.8%です。足らずはボランティアでお世話になっているのでしょうか。

鳥取県では、週あたり5時間、つまり1日1時間は司書教諭としての時間が割けるようにしています。教材研究が深まったり、子ども達が落ち着いて学習に集中するようになったとの効果も出ています。学校における読書の目的は、子ども達に読む力をつけることであり、読む力は内容を理解することだけでなく、自分が必要とする本を選ぶ力も含まれます。学校図書館教育は、このような意図的な指導です。学習指導要領にも学校図書館の重要性が指摘されていますが、それを、しっかり実体化していくことが求められます。

そこで、学校図書館を活用した学習活動や読書活動が授業の中にどう位置付けられているのかも含めて、本県の学校図書館教育の実態を伺うとともに、今後の方針について伺います。

【答 弁】

掛水 すみえ
西宮市

● 健康福祉部

1 認知症対策の推進について

(1)早期発見・対応に向けた取組みについて

(2)若年性認知症対策について

2 介護分野への若年者の人材確保について

3 次世代へつなぐ戦没者追悼行事のあり方について

全文

平成27年度予算特別委員会質問要旨(健康福祉部)

質 問 日:平成27年 3月 5日(木)

質 問 者:永富 正彦委員

1 認知症対策の推進について

(1)早期発見・対応に向けた取組みについて

高齢化の進展とともに認知症の人は更に増加しており、現在の462万人から団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、約700万人にまで増えると見込まれています。実に高齢者の5人に1人が認知症患者ということになります。県内でも推計によると現在の約19万人から2025年には30~33万人と約1.5倍以上に急増することになるとしています。

認知症対策については、早期の診断・治療が重要とされていますが、そのためには、家族や周りの身近な人たちの気づきやサポートに加え、日頃から高齢者と接する機会の多いかかりつけ医による正しい診断や介護事業者などの専門家による適切なアドバイスが欠かせません。

しかしながら、認知症は誰にでも起こりうる病気であると言われているように、今では若年性の認知症対策も大きな課題となるなど、医者や介護などのお世話にならない元気な高齢者が周囲の気づかないうちに認知症が進んでしまうことも十分に考えられます。認知症は高齢者ほど発症リスクが高いことから、高齢社会における身近な病気として一層の対策が必要です。

特に、高齢者でも独居の場合は、僅かな異変を指摘してくれる人が周囲におらず、発見が遅れて症状が進行してしまうリスクがあるため、小さな変化を見逃さずに適切なサポートをしていくためには、民生委員や認知症サポーター等による地域での見守り・支えの充実はもちろんですが、そのほかにも、例えば、地域の医師や保健師、介護福祉士など専門家による日頃からの積極的なサポートが欠かせません。国も認知症対策の方向性について、事後的対応から事前的対応に基本スタンスを置いています。

そこで、県には市町が主導する認知症対策の司令塔としての役割が期待されているところであり、来年度から新たに認知症の早期発見・早期対応を推進する認知症相談センターが全ての市町に順次設置されますが、重症化を未然に防ぐためにも、医師や介護事業者などの専門家による早めのアプローチが必要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

(2)若年性認知症対策について

認知症は誰にでも起こりうる病気だということは先ほど申し上げましたが、それは高齢者に特有の病気ではなく、若年者であっても認知症になることがあるということが、若年性認知症として最近になって大きく取り上げられていることからもご承知のとおりです。

若年性認知症は働き世代にも起こることから、本人だけでなく家族の生活への影響が大きく、その後の生活環境が大きく変わることがあります。特に、仕事への影響を考えると継続して働き続けることをあきらめざるを得ない場合もあり、生活支援はもとより心のケアも重要です。

若くして認知症になったということを自分で認めたくないと思うあまり、認知症であることを隠したり、あるいは医療機関への受診を拒否したりするようなケースがあるのではないでしょうか。全国で37,800人、本県には約1,600人の若年性認知症の方がいると推測されていますが、このようなことを考えると、実際にはもっと多くの方が悩み、苦しんでいるのではないかと思います。

たとえ認知症になったとしても、できる限り本人の希望する生活が持続できるような支援が必要です。そのためには、家族の理解はもちろんであり、働いている方にとっては、一日の大半を過ごす職場の理解は非常に重要であり、職場における認知症に対する正しい理解とサポートが欠かせません。本人の意思を尊重しつつ職場においては本人の体調や症状に応じた働き方を提案するなどの体制も必要です。

一方で、家族や職場以外に若年性認知症として同じ悩みを抱えている人やその家族との交流は、自分の中だけで悩み苦しんでいる本人にとって、社会活動などを通じて新たな生きがいや楽しみを見つけるきっかけとなるのではないでしょうか。また、こういった交流活動の輪を広げていくことにより、社会全体の理解が深まり、若年性認知症で苦しんでいる方や家族に対する支援のあり方も見えてくると思います。

そこで、若年性認知症の方が心身ともに充実した日々を送るためにも、同じ症状で苦しんでいる人たちとの交流活動を支援していくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

2 介護分野への若年者の人材確保について

本格的な超高齢社会を迎え、今後とも要支援・要介護認定者数が増加していくことが見込まれている中で、介護人材の確保はますます大きな課題となっています。国では、団塊世代が後期高齢者となる2025年には必要な介護職員数を約250万人と見込んでおり、確保できる職員数215万人に対して約30万人不足するとしています。

しかしながら、介護労働者の多くは非正規雇用と言われており、特に、就労時間が不規則となる訪問介護でその割合が高く、職員の高齢化も指摘されています。また、他の産業と比べても賃金が低いことや夜勤があることなどから離職率も高くなっており、安定して正規職員を確保することが難しい状況にあります。

先日、国において、来年度以降の介護報酬の引き下げが正式に決定しましたが、そのうち介護職員の賃金については平均1万2千円上がることになっています。介護労働を魅力あるものにしていくためには、このように賃金を引き上げるとともに、資格や経験に応じた処遇の見直しが必要であると考えます。

また、人材を確保するだけではなく、労働者一人ひとりがきめ細かな質の高いサービスを提供できるよう人材の育成も欠かせません。介護労働は介護サービスを提供するサービス産業であると言ってもよく、サービスの向上が介護分野全体の質や社会的評価を向上することで、安定した人材確保の循環は生まれるのではないでしょうか。

一方で、誰もがいつかは介護される側になるかもしれないということを考えれば、これまでのサービスにとどまらず、日常の買い物、趣味や社会活動などを含めると支援内容は幅広く、このように自分ならどう介護・支援して欲しいのかという視点をもった改善が新たな人材を確保するきっかけになると思います。

本県にも介護事業者は多数存在しますが、例えば、非常に質の高いサービスを提供し魅力ある職場づくりを実践している事業者の取組みをこれから介護分野で働こうとする意欲ある若年世代に向けて事例的に紹介することも人材確保の面では大きな意味があると思います。

そこで、安定的に介護人材を確保していくためには様々な課題がありますが、なかでもこれからの世代を担う若年者の人材確保について、当局のご所見をお伺いします。

3 次世代へつなぐ戦没者追悼行事のあり方について

今年は戦後70年の節目にあたります。国では、安倍首相が今夏に発表する戦後70年談話に関する有識者会議が先日開催されましたが、平和国家として生きる日本の決意とも言えるこの首相談話に世界中が注目しています。過去の談話をどのように引き継いで、これまで築いてきた平和主義をどう発信していくのか、しっかりと考えていただきたいと思います。

一方、県では、5年ごとに開催している兵庫県戦没者追悼式が今年7月に開催されます。この追悼事業は兵庫県における戦争で犠牲になられた109,553人に追悼の誠を捧げるとともに、戦争の悲惨な体験を伝承することを目的としています。

戦後一貫して、日本が世界に類を見ないほどの安定した平和を維持することができたのも、昭和27年から始まったこの追悼事業の果たしてきた役割が大きいと思います。

人口の80%が戦後生まれです。やがては、国民のほとんどが戦争を知らない世代へと交代していきますが、記憶が次第に薄れつつある今だからこそ、殉国の史実を風化させることなく、生命の尊さ、平和の大切さ、戦争の愚かさを後世に語り継ぎ、再び悲しみの歴史を繰り返さないため、永久に戦争を放棄する「不戦の誓い」を新たにしていくことが大切です。

そこで、戦後70年という節目にあたり、例えば、兵庫県戦没者追悼式を「兵庫県平和祈念戦没者追悼式」にするなど、この追悼行事についても、未来志向の下に次世代に向けた平和への願い・思いを語り継いでいく取組みが必要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

●農政環境部

1 今後の水田農業のあり方について

2 水田農業を担う担い手の確保・育成について

3 今後の米づくりの方向性と水稲品種対策について

4 ため池条例に基づくため池等の保全について

全文

平成27年度予算特別委員会質問要旨(農政環境部)

質 問 日:平成27年 3月 9日(月)

質 問 者:永富 正彦委員

1 今後の水田農業のあり方について

国では平成25年12月、「攻めの農林水産業」のため、新たに農政改革の方向性が示されました。米政策の改革として、生産者が国による生産数量目標に頼らずに自らの経営判断に基づいて生産が行えるよう環境整備を推進していくとしています。つまり、過去40年以上にも渡って実施されてきた「減反制度」が平成30年に廃止されることになるわけです。併せて、現在、生産調整に協力する農家の所得を補償するために実施されている米の直接支払交付金制度についても平成29年度で終了することが決定しています。

社会経済の国際化により、これからの日本の農業も世界市場で通用する成長産業へと変革が迫られており、そのためには、個々の担い手の経営者としての意識改革とともに、農地を最大限に活用していくことが必要と考えます。

本県は、農地の9割以上が水田であることから、今後も、米を中心とした作付体系の中、野菜や麦・大豆を始め、地域の特産物を組み合わせた幅広い営農活動を展開していくことが必要であると思います。

そこで、県として、いわゆる「減反廃止」後の平成30年以降を見据え、どのような水田活用を目指していくのか、当局のご所見をお伺いします。

2 水田農業を担う担い手の確保・育成について

食産業のグローバル化や健康志向ということもあり、近年、海外において和食が大きな注目を浴びており、その影響を受けて国内においても米を中心とした食事が見直されるなど、日本の農業にとって明るい話題も出てきています。

一方で、本県の水田農業を支えている担い手の現状についてみると、全国と比べて兼業農家の割合が高く、また65歳以上の農家が全体の68%を占めるなど高齢化が進んでおります。今後とも、酒米で有名な「山田錦」など全国に誇るブランド米を安定的に生産していくためには、生産基盤の強化、つまりは担い手の確保と育成が大きな課題となっています。

今定例会において知事の提案説明にもありましたように、最優先に取り組むべき課題は地方創生です。人口減少社会が現実のものとなってきている中で、地域を元気にして豊かにしていくためには、農業分野における担い手の確保、特に若手の新規就農者を一人でも多く育てなければならないと思います。

県では、「ひょうご農林水産ビジョン」に基づいて、平成32年を目標として新規就農者の確保や認定農業者、集落営農組織の育成などに取り組んでいますが、農協改革など農業をめぐる情勢が流動化している状況において、将来にわたって水田を最大限に活用していくためには、これら意欲ある担い手の確保と育成をより一層推進していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 今後の米づくりの方向性と水稲品種対策について

米づくりをはじめとする日本の主要な農業が今大きな岐路に立たされています。先ほどの質問でも触れましたが、食産業のグローバル化により米を中心とする和食が注目される一方で、TPP交渉の結果次第によっては、今後、日本の米が海外との激しい競争を強いられることが予想され、さらなる生産コストの低減が求められます。

また、米づくりは気象条件に大きく左右されるため、日照不足や低温といった天候不順により収穫量が左右されるだけでなく、品質低下を招いてしまいます。

近年では、全国各地において、香り・食味等の品質に優れたブランド米が栽培され、様々な銘柄で販売されるなど米の品質が向上し、高温や日照不足に負けない高品質な米づくりに向けた技術開発も進められています。

本県においても、キヌヒカリやヒノヒカリなどのブランド米が各地域で作付けされており、私の地元である稲美町の「万葉の香」など地域の特色を生かした高付加価値化商品に力を入れています。

米をめぐる情勢は、国内では米の消費量が依然として減少傾向にあるなど厳しい状況が続いていますが、海外市場への展開や地球環境の変化、産地間競争、農業従事者の推移、さらには消費嗜好の変化を踏まえ、本県らしい特色ある品種を導入するなど今後の米づくりに活路を見いだせるのではないかと思います。

そこで、今後、生産コストの低減や高品質化、品種対策について、どのように展開していくのか、当局のご所見をお伺いします。

4 ため池条例に基づくため池等の保全について

第324回定例県議会の一般質問において、「ため池の保全に関する今後の取組について」質問を行いました。そこで、知事は「ため池の保全、防災・多面的機能の活用など総合的に対応する観点から、ため池の保全に関する条例の改正を検討する。」と答弁され、県では、この条例を短期間で検討され、「ため池の保全等に関する条例」として本県議会に上程されました。

改正前の条例はため池の設置や管理について規制することを目的としていたのに対し、新たな条例はため池管理者にため池や疏水の機能の保全を義務づけるとともに、県民をはじめ多様な主体が自然環境の保全や地域住民の交流の場の創出などに努めるとしたものであります。これはため池や疏水の持つ多面的機能の発揮の促進を謳ったもので、時代に即した内容であると期待しています。

ため池や疏水は、美しい田園風景にとけ込み、我が県の農村の原風景として評価できるものであり、ため池等は次世代に引継ぐべき地域の貴重な財産であります。

特に、神戸市からいなみ野台地へ農業用水を導水する「淡山疏水」は、昨年9月に世界かんがい施設遺産に登録されました。また、東播磨のいなみ野ため池ミュージアムで保全活動に取組む舞台である「いなみ野のため池群」や「淡山疏水」の水利施設は、国のため池百選や近代化産業遺産にも選定されるなどの評価を受けています。

これらの水利施設は、先人のたゆまぬ努力や近年のため池協議会活動等により維持保全されており、地域ぐるみの保全という意味では、文化財そのものの評価のみならず、ため池協議会などが地域の風土に根ざした保全活動を展開している点において、今後、地域の貴重な財産を次の世代に引き継いでいくためにも、例えば、「日本遺産」への登録なども視野に入れた幅広い保全活動の展開も必要ではないかと思います。

そこで、条例の理念であるため池等を次の世代へ継承していくためには、管理者をはじめ関係者それぞれが条例の趣旨を十分に理解し協力していくことが重要と考えますが、今後、ため池等の保全についてどのように取組んでいくのか、当局のご所見をお伺いします。

●県土整備部

1 安全なふるさと兵庫の実現に向けた取組みについて

(1)「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」の推進について

(2)市町の老朽化対策への支援について

(3)一級河川水田川改修事業の推進について

2 東播磨道について

3 市街化調整区域における計画的なまちづくりの推進について

全文

平成27年度予算特別委員会(県土整備部)

質問日 : 平成27年3月10日(火)

質問者 : 永富 正彦

1 安全なふるさと兵庫の実現に向けた取組みについて

本定例会における提案説明で、「ポスト震災20年」の県政運営においては、安全の確保、つまり「安全なふるさと兵庫」を第一の目標にすると、井戸知事は述べられました。そのために重要なことは、自然災害などに対する施設の老朽化対策と防災インフラ等と考えます。そこで、安全なふるさと兵庫の実現に向けた取組みについて、まず、3点伺います。

(1)「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」の推進について

まず、施設の老朽化対策についてであります。施設の老朽化対策は、目立たない所も含め、定期的に点検し、目標を立てた計画を策定し、着実に修繕・更新することが、住民の安全を確保するうえで非常に重要であります。

本県では、県管理の社会基盤施設の多くが、今後、築50年を迎えることから、主要施設を平成24年度までに点検を行い、その結果を踏まえ、計画的・効率的に老朽化対策を推進するため、「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」を昨年度策定されました。これは全国に先駆けて策定した計画であり、非常に注目されています。施設の長寿命化等の取組みにより、今後50年間で施設の維持管理・更新費を約8,000億円も削減するという計画であり、財政的な効果も含め、この取組に大いに期待をしています。今年度は、本県にとって、その計画を実効に移す「維持管理元年」と言ってもいい重要な年であります。

そこで、「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」について、今年度は計画通りに進んでいるのか、その取組み状況と併せ、来年度の取り組みについて伺います。

(2)市町の老朽化対策への支援について

県以上に、市町施設の老朽化対策には大きな課題があります。市町の技術職員は、技術面でも、マンパワーでも不足しており、ノウハウの蓄積も少なく、指導する者も少ない状況にあります。そのため、様々な観点からの県の支援が必要と考えます。特に、橋梁への対策などには高度な技術が必要であることから、県からの支援・指導を期待する声を聞きます。

先月、高砂市道の谷川橋で、一部に腐食が見つかり、安全が確保できないとの判断から通行止めになったと新聞にも報道されていました。こういったことが頻発しないように、点検と修繕・更新を確実に実施していくことが必要でありますが、先に述べましたとおり、市町の職員だけではどこまで対応できるか疑問であります。

そこで、市町の老朽化対策に当たっては、市町のこのような現状を踏まえ、県として、具体的にどのように市町支援を実施していくのか伺います。

(3)一級河川水田川改修事業の推進について

次に、風水害に対する防災インフラの整備として、加古川市と播磨町を流れ別府川に至る、一級河川水田川改修事業の推進について伺います。

水田川の河川改修は、昭和60年度から、加古川市と播磨町によって用地買収に着手し、事業促進に取り組んでいましたが、平成2年9月の台風19号に伴う集中豪雨により、甚大な被害が生じ、住民からの河川改修の早期整備の強い要望を受け、平成4年度から県事業として着手されました。

着手以降、下流部の高潮対策事業、上流部の広域基幹河川改修事業等を行い、町道浜幹線阿閇橋(はまかんせん あえばし)までの河川改修が平成14年度に完成しました。その後、未整備区間を3工区に分け、順次整備を推進していますが、第2工区で山陽電鉄とJR山陽新幹線の横断があり、事業費が多額で工期も長期間を要すると聞いています。

一方で、水田川流域では、平成16年、23年、26年の台風、平成25年の大雨など、河川氾濫や低地浸水が頻発しており、地域住民からは早急な浸水対策の切実な要望が寄せられています。

そこで、水害から流域を守り、安全なふるさと兵庫を確保するため、河川改修等の早急な推進が必要と思いますが、第2工区の事業費が多額となる箇所の事業進捗状況と、今後の改修完成に向けたスケジュールを確認します。

2 東播磨道について

東播磨道は、東播磨地域と北播磨地域の連携を強化し、沿線市町の活性化を図り、東播磨地域における交通渋滞の緩和などの円滑な移動を確保することを目的とした「地域高規格道路」として、平成11年度より整備が始まりました。そして、昨年3月に第一期事業、国道2号~八幡稲美ランプ間、延長約6㎞が供用開始されました。

事業費は569億円要しましたが、救急車や消防車等の緊急車両の到着時間の短縮、バスの定時性が確保されたことによる路線バスの東加古川駅への乗り入れ本数の増加、加古川市役所から県立加古川医療センターまでの所要時間が22分から12分に短縮されるなど、稲美町や加古川市北東部からの加古川市内へのアクセスが大きく改善されたほか、様々な効果が生じていることが検証されています。

交通面での様々な効果が検証されている一方で、巨大な道路工作物はまちの原風景を一変させました。供用区間の高架下には利用可能な土地が約5.4ヘクタールもあります。地域の要望に応えながら、緑のミニ公園や光のオブジェなど、地域に根ざした最高にオシャレな高架下に生まれ変わる取組みが期待されます。

そして、今年度からは、北播磨医療センター近くの国道175号までの供用を目指し、第2期事業がスタート致しました。事業推進に当たっては、地域の期待感を醸成する意味でも、第一期の成果を含め、第二期完成後の全線供用時の様々な効果を、地元住民をはじめ県民の皆さんに、わかりやすくPRしていくことが重要と考えます。

そこで、まず、東播磨道について、供用部分の高架下の利活用推進に関する県としての考え方をおたずねします。さらに、第二期事業の進捗状況とその課題、平成27年度の実施計画、並びに全線供用後の役割・効果を伺いますとともに、県民の皆さんへの効果、役割のPRについて、いかに取り組んでいこうと考えているのか伺います。

3 市街化調整区域における計画的なまちづくりの推進について

県では、市街化調整区域における計画的なまちづくりを推進するため、地域の土地利用が円滑に図られる取組みが行われています。私の地元であります稲美町等におけるモデル検討を通じて、市町に対する地区計画制度の活用促進を図るとともに、特別指定区域制度の見直しを進め、地域の実情に応じた魅力あるまちづくりを積極的に推進しています。

稲美町は町域の9割が市街化調整区域であり、それらの地域は年々人口が減少していく状態にあります。先に述べたように、地区計画の策定を行い、計画的なまちづくりを行うことによって、地域に元気を取り戻そうと取り組んでいます。ただ、まちづくりの過程において、制度が複雑でわかりにくい、開発許可・申請書類等が膨大かつ複雑だ、頑張って取り組んでも本当に効果があがるのか疑問に感じるなどの、住民の間から様々な声が聞かれ、進捗に影響が出ていると感じます。

地域の将来設計とも言えるまちづくりでありますので、すぐ肌に感じる効果が出るものでないことは一定理解するところですが、地域一丸となっての取組みが重要であることから、住民へのまちづくりの効果などの理解促進に向け、県からの市町への一層の支援を望むところであります。

そこで、稲美町、猪名川町をモデルとして進める「市街化調整区域における計画的なまちづくりの推進」について、県として現状をどのように把握し、モデル地区への支援も含め、今後どのようなビジョンを描いて推進していこうと考えているのか伺います。

●総括審査

1 地域創生に向けた取組みについて

2 格差社会の是正に向けた取組みについて

3 次世代へつなぐ戦没者追悼行事のあり方について

4 県立病院の大規模化について

5 県内中小企業の振興について

6 水田農業のあり方について

7 安全な兵庫の実現に向けた取組みについて

8 学校における家庭や地域全体で子どもを育てる環境づくりの推進について

全文

平成27年度予算特別委員会質問要旨(総括審査)

質 問 日:2015年 3月13日(金)

質 問 者:永富 正彦 委員

1 地域創生に向けた取組みについて

県では、今議会に上程されている「兵庫県地域創生条例」に基づいて、今後、地域創生に向けた取組みを推進していくために、5年間の総合戦略を策定することとしています。

昨年12月に国が先行して「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しましたが、地方創生に向けた取組みを実効あるものとするために、短期・中期の政策目標を設定し、政策の進捗状況について検証・改善する仕組みを確立する必要があるとしています。地方においても2016年度以降、地方版総合戦略に基づいて、データによる政策効果の検証・改善を進めるPDCAサイクル、つまり計画、実施、評価、改善を本格的に稼働させるとしています。

人口減少対策においては、絶えず政策効果を検証し改善していくことが必要であります。このことは、言い方を換えれば人口減少対策に特効薬はないということを意味しています。従って、人口減少に歯止めをかけ地域を創生していくためには、幅広い観点からあらゆる施策を講じていくとともに、本条例にも規定しているとおり、施策の推進にあたっては、県民、事業者、市町など地域の多様な主体と連携することが重要です。地域を愛する多様な主体が参画するからこそ創意工夫が生まれ、地域に磨きがかかると思います。

しかしながら、地域創生において忘れてはならないのが、経済の豊かさ以上にその地域に暮らす人々の心の豊かさの実感が重要だということです。経済力だけを追い求めていたのでは、やがては地域格差を生んでしまいます。日本の良さ、兵庫の良さ、地域の良さを活かした「心のゆたかさ」が実感できる地域づくりを推進していく必要があるのではないでしょうか。

五国からなる本県は、地域によって風土や文化が異なることから、人口減少を始めとする地域創生に向けた取組みも地域によって様々であると考えます。

そこで、地域の多彩な主体が参画して地域の特色を活かした地域主導・住民主役の取組みにより、個性豊かで元気なふるさとが創生されると考えますが、知事の考えをお伺いします。

2 格差社会の是正に向けた取組みについて

残念ながら生活保護受給者が増加していますが、今年4月から、生活保護制度に頼らずに働いて自立できるよう就労、住居、子どもの学習を一体的に支援する生活困窮者自立支援法が施行されます。

県では、来年度から法律の施行に合わせて新たに関連事業として、住宅の確保や就労、生活習慣等の支援を行うこととしていますが、既に先行実施している生活相談、就労訓練等のモデル事業を通じて得られた成果や課題を4月からの事業実施に活かしていただきたいと思います。

この法律での支援対象者は、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者としていますが、基準が明確でないことから、実態把握に困難が伴うことが予想されるため、対象者を確実に把握できるよう国・市町をはじめ関係機関との緊密な連携が欠かせません。

また、生活困窮に至った経緯は様々であることから、自立に向けた就労支援では、これまでから障害者や離職者さらには引きこもりなどの方を対象とした支援で実績のあるNPO法人等との連携も必要であると考えます。

先の質問でも触れましたが、地域創生の推進にあたっては、経済力だけを追い求めていたのでは格差を生んでしまいます。「心のゆたかさ」が実感できる地域づくりを目指していかなければなりません。そのためには、格差社会の要因となっている働きたくても働けないで生活困窮に陥った人たちに目を向けて、一人ひとりが自立した生活が送れる地域社会を築いていくことが必要です。

そこで、様々な課題を抱える生活困窮者を生活保護に至る前の段階で支援し自立へ導くためには、詳細な実態把握に努めるとともに、国・市町等の関係機関とも連携した取組みが欠かせないと考えますが、あらためて今後の取組みについて当局のご所見をお伺いします。

3 次世代へつなぐ戦没者追悼行事のあり方について

今年夏には、県主催の「兵庫県戦没者追悼式」が県公館で、また秋には「終戦70年全国戦没学徒追悼式」が南あわじ市の若人の広場公園でそれぞれ開催されます。戦後70年という節目にこれら2つの追悼式が本県で執り行われることは、非常に意義深いことだと感じております。

これらの戦没者追悼式は、戦争で犠牲になられた人に追悼の誠を捧げるとともに、戦争の悲惨な体験を伝承することを目的としており、県内の市町でも独自に追悼式典が開催されていますが、遺族の高齢化や転居等で参加者が減少傾向にあるとも聞いており、これからの追悼行事に向けての課題となってくるのではないでしょうか。

また、人口の80%が戦後生まれとなり、やがては国民のほとんどが戦争を知らない世代へと交代していきますが、戦争の記憶が次第に薄れつつある今だからこそ、殉国の史実を風化させることなく、生命の尊さ、平和の大切さ、戦争の愚かさを後世に語り継ぎ、再び悲しみの歴史を繰り返さないため、永久に戦争を放棄する「不戦の誓い」を新たにしていくことが大切です。

部局審査では、戦後70年という節目にあたり、これらの追悼行事についても、未来志向の下に次世代に向けた平和への願い・思いを語り継いでいく取組みが必要であると提案したところであり、当局からは、平和への願い・思いを次世代へ継承していくという観点から、若年世代により多く参列してもらうため広く県民に参加を呼びかけていくとの答弁がございました。

国では、今年夏に安倍首相が戦後70年談話を発表しますが、平和国家として生きる日本の決意とも言えるこの首相談話に世界中が注目しています。過去の談話をどのように引き継ぎ、これまで築いてきた平和主義をどう発信していくのか、しっかりと考えていただきたいと思います。

一方で、これらの追悼式の開催地である本県からも、平和の尊さと戦争の愚かさを世界へ向けて発信していくことが重要だと考えますが、知事のお考えの下、何をメッセージとされるのかをお伺いします。

4 県立病院の大規模化について

県立病院の運営については、県民から信頼され安心できる県立病院づくりを推進するため、「第3次病院構造改革推進方策」に基づき、「より良質な医療の提供」、「安心してかかれる県立病院の実現」、「自立した経営の確保」、「安定した医療体制の確立」を進め、病院構造改革の一層の進展を図っていくこととしています。

そのような中、県立尼崎病院と塚口病院が統合し、平成27年7月に尼崎総合医療センター(仮称)が開院します。続いて、平成28年度には老朽化し、狭隘となっている「こども病院」のポートアイランドへの建替移転に続いて、翌年度には小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設が新こども病院整備地の隣接地に整備されます。そして、平成30年度には柏原病院と柏原赤十字病院が統合再編し、新病院が整備されます。

また、過去十数年を見ても、平成13年の粒子線医療センター、平成15年の兵庫県災害医療センター、平成21年には加古川医療センター、平成25年には淡路医療センターがそれぞれ開設されるなど、県立病院の新設や建替整備がなされています。

病院局の部局審査においては、我が会派の竹内委員が、先日報道された平成33年度に向けた姫路循環器病センターと製鉄広畑病院の統合検討についてお伺いしました。統合検討を行うに至った経緯や、製鉄記念広畑病院の統合後の地域医療の維持に関する問題などの課題等を確認いたしました。改めて救急医療の充実など中播磨、西播磨医療圏域における総合的かつ高度で専門的な医療を提供できる中核病院となることへの期待を答弁として受けましたが、経営面等を初めとした課題解決もしっかりと図りながら進めていただきたいと考えます。

また、経営面での課題という意味で、病院事業会計に対する一般会計繰入金についても部局審査で伺いました。平成27年度の県立病院事業の収益的収支は約59億円の赤字見込みとなっていますが、この赤字は、県立病院全体で約150億円に及ぶ一般会計からの繰入金を収入に入れた上での赤字であること、あるいは、資本的収支における約34億円も含め、約184億円の県からの繰入金が入っていることを確認しました。一方で、交付税措置があるとは言え、直接の病院利用者以外の負担額も多額となっていることから、適切な情報開示と県民の理解が必要です。

先日、3月2日の定例記者会見において、県立西宮病院と市立西宮病院の統合移転について、知事は「県立西宮病院は改築したばかりなので、統合は喫緊の課題ではない。」としながらも、西宮市から「熱いラブコールを受けている状況にあることは承知しており、両病院の置かれている現状分析等を行っている段階」と語っておられました。言うまでもないことですが、地域医療における必要性の検討はもちろんのこと、①病院事業における累積欠損金が平成26年度末で約130億円の見込みとなっていること、②県立病院が瀬戸内海沿岸に偏在して立地していること、③過去には小泉内閣が小さな政府を目指した診療報酬の大幅減額など、予期せぬ経営リスクが存在すること、そしてそれらが県財政に影響を与えること等を含め慎重な検討が望まれます。

そこで、県立病院の統合再編等による大規模化について、どのようなビジョンを持って進めようとしているのかお伺いします。

5 県内中小企業の振興について

景気回復の兆しが見える中、未だその恩恵を十分に受けていない中小企業の現場においては、人手不足や事業継承難といった課題を抱えています。部局審査では、我が会派の掛水委員から、中小企業対策として人材確保が重要であることを申し上げ、当局から関係機関との連携により事業継承支援と人材確保対策を更に取り組んでいくとの答弁がありました。総括審査においても、この課題認識のもと、県下の優れた技術力等を持つ中小企業が採用したい人材を確保・定着するための対策について質問させていただきます。

昨年4月に兵庫労働局が実施した中小企業ヒアリング調査によると、約4割の企業が正社員不足としており、そのうちの多くの企業が中途採用を予定しているとの結果が出ています。建設業では担い手不足が深刻になっているように、採用したい人材が集まらない、採用しても定着しない、人材が育たないなど業種によっても課題は様々です。

経済産業省が昨年8月に発表した中小企業の賃上げ等取組み状況調査では、中小企業にも賃上げの動きが広がってきていますが、従業員の定着・確保を賃金引上げの理由とする企業が多いことからもわかるように、中小企業において人材の確保が大きな課題となっていることがうかがえます。

県内における地域の雇用・経済を支えてきたのは、県内企業数の99.8%を占める中小企業であり、地域の活性化のためには地域の中小企業の活力が必要です。このことは、今県議会の知事提案説明において、地域の元気づくりは、地域の自発的・内発的発展を目指すことが基本であると述べられているように、大企業の繁栄のみでは地域の隅々まで豊かさは行き渡りません。

県内には古くから地域の特性を活かした“ものづくり産業”が各地で発展し、地場産業として地域経済を牽引してきました。今後とも地域の雇用を支えていくのは地域に根付いてきたこれら中小企業ではないでしょうか。また、地場産業のほかにも、県内にはオンリーワンの技術力を有する企業や障害者雇用に熱心な企業など魅力のある企業が各地域に存在しており、これらの企業と地域で働き続けたいと希望する新卒者やUターン、Jターン、Iターンで地域に戻ってくる人たちをマッチングしていくことが重要です。

そこで、地域の若者や都市部からの転入者が地域で働き続けられる環境を創るためには、地域の実情に応じ必要とされる人材の確保・育成を地域全体で取り組むことも重要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

6 水田農業のあり方について

平成25年12月に国では、過去40年以上にも渡って実施してきた「減反制度」を平成30年に廃止することを正式に決定しました。農家が国による生産数量目標に頼らずに自らの経営判断で生産が行えるようになるわけですが、国に守られてきた農業から“自立型農業”へと大きな転換を迎えます。

米をめぐる情勢は、国内では米の消費量が依然として減少傾向にあり厳しい状況が続いていますが、食産業のグローバル化や健康志向から、2014年の米の輸出量は4,516トンと過去最高を記録し、香港やシンガポール、台湾などアジア諸国を中心に海外で和食ブームが起こるなど、米農家にとっては明るい兆しも見え始めています。

社会経済の国際化により、これからの日本の農業は世界市場で通用する成長産業へと変革が迫られ、国内のみならず海外との激しい競争に立たされることになり、生産コストの低減や品質向上に加えて、香りや食味など消費者の嗜好に合わせた高付加価値型の米づくりが今まで以上に求められてきます。

一方で、米をはじめ日本の農業が力強い産業へと成長していくためには、担い手の高齢化が進む現状において、特に意欲ある若い担い手の確保と育成が重要な課題であることを部局審査において申し上げたところです。新規就農者や認定農業者のほか農業参入法人など多様な担い手を確保・育成し、農地を有効活用していくとともに、旧態依然とした米づくりではなく、「魅力ある地域産業」や「稼げる米づくり」として新しい発想を受け入れる柔軟な取組みも必要です。

知事は今県議会の提案説明において、地域創生を最重要課題の一つと捉え、地域創生のためには地域の元気づくりが重要であるとして、地域の創意工夫によって地域特性を活かした農林水産業を育成していく必要があると述べられていました。

農地の9割以上が水田を占める本県においては、米づくりが中山間地域や都市近郊など各地域で行われており、「コウノトリ育むお米」など地域の特性を活かした高品質型商品も次々に誕生しています。

今後も、米を中心とした作付体系の中、地域の特産を活かした幅広い営農活動を展開していくことが必要であり、今ある水田を最大限に活用していかなければならないと考えますが、今後の本県における水田農業のあり方について、当局のご所見をお伺いします。

7 安全な兵庫の実現に向けた取組みについて

県では、道路、河川、治山・砂防、港湾・漁港、など、様々な社会基盤の整備に当たって、昨年3月に策定された「ひょうご社会基盤整備基本計画」を踏まえ、「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」などの分野別計画を策定するとともに、同年6月には県民局ごとに策定している社会基盤整備プログラムを改定し、地域ニーズに応じた安全な県土づくりの効果的な推進に取り組んでいます。

そういう中、井戸知事は今定例会の提案説明で、「安全な兵庫。災害から県民の命と財産を守る強い県土づくり」を、新年度の県政の5つの柱の第一として掲げられました。この点は、平成27年度の社会基盤整備に当たっては、まず「安全」が必要な箇所や事業を第一に取り組んでいくことと理解しています。

部局審査で我が会派の各委員は、それぞれの部局で、巨大地震対策、施設の老朽化対策、河川改修などの取組みを伺いました。また、社会基盤の整備に関して、個別箇所の進捗状況等を本会議等も含めて当局に確認してきましたが、これらは昨年の8月豪雨からの災害復旧はもとより、津波・地震対策、風水害対策、土砂災害対策、施設の老朽化対策の確実な実施など、安全面での要望を県民から受けているという点で、会派を超えて共通であると思います。先ずは、県民の皆さんが第一に求めるものは「安全」のための社会基盤整備であり、知事の新年度の県政方針に合致するものと考えます。

そこで、地域の元気づくりの基となる安全な県土空間確保に向け、社会基盤整備に関し、今まで作ってきた計画を着実に推進するとともに、さらに拡充していくとの気概をもって、安全兵庫の実現のための「備える」を総合的にどのように取り組んでいこうと考えているのか、当局のご所見をお伺いします。

8 学校における家庭や地域全体で子どもを育てる環境づくりの推進について

平成26年度予算、今年度予算を審査する昨年3月の予算特別委員会において、我が会派の総括審査で「家庭及び地域の教育力の向上」について、教育委員会に伺いました。「地域のつながりが希薄化する傾向のある中で、地域において多様な世代が関わって子育てを支える必要があることから、子育て中の親が地域の身近な人たちとのつながりの中で子育てできる環境づくりに取り組む」との答弁を得ました。

また、今回の予算特別委員会の部局審査において、我が会派の掛水委員より、学校における様々な課題に対し、教職員の多忙化の状況も踏まえ、教諭だけでなく学校事務職員、栄養教諭、カウンセラーやソーシャルワーカー等の専門スタッフなどの人材も含め、学校に関係する人材が「チーム学校」として一体となって取り組むことを提案しましたところ、「国に要望してきた事務職員の配置拡充が来年度予算案で全国で150名が追加配置される予定である」ことなどを踏まえ、「まず、体制を整えていくことが先決である」との答弁を得ました。

「第2期ひょうご教育創造プラン」にも、子どもたちの学びを支えるためには、「学校・家庭・地域は、それぞれが子供たちの成長に関わる当事者として、責任と役割を果たし、互いに連携・協力して、子供たちの教育に取り組む必要がある。」と記載されており、家庭や地域全体で子どもを育てる環境づくりの重要性は十分に認識されていると感じますが、教職員の多忙化等の現状等から、なかなか効果的に進んでいないのではと感じます。

一方、子どもの安全安心の確保に関して、企画県民部では、「子どもを守る110番の家・店」の取組支援等を通じた地域全体で子供の安全を守る事業を、新年度より概ね小学校区を単位とした250カ所の地域団体で実施するとしています。もちろん教育委員会も連携して取り組むものと考えますが、この機を捉えて、家庭や地域全体で子どもを育てる環境づくりの推進にも一歩踏み出すべきではないかと考えます。

そこで、「チーム学校」の考え方に沿って、学校を中心とした家庭や地域全体の様々な人材が一体となった、家庭や地域全体で子ども育てる環境づくりの推進について、ご所見を伺います。

永富 正彦
加古郡