議会の動き

竹内 英明議員が質問(財政状況)を実施

決算特別委員会  [ 10月13日(火)(財政状況・竹内 英明委員 ]

1 県財政の改善について

(1)県債利子の推移について

本県では、700億円を超える給与カットをはじめ、行革プランに基づき、様々な形で財政改善に向けた取組みを実施している。H20プラン策定後、策定時になかった県財政の改善にとってプラス要素、例えば、消費税増税、金融緩和・低金利政策、税収増等の状況も生じてきており、県財政は改善傾向にある。

そこで、まず、県債にかかる利子負担については、過去の年度を含めて、一般会計で最高どれだけの県債利子を払っていたのか。26年度と比較する形で答えてほしい。

(2)消費税増税の影響について

税と社会保障の一体改革で消費税の増税が決定され、消費税が8%になったのも当初の行革プラン策定時にはなかった要素である。現実に決算説明公表資料にも、地方消費税収入と関連経費等については詳しく記載されており、評価したい。

公表資料によると、「地方消費税の5%から8%への3%の増分が204億8000万円あり、市町村へ半分交付し、約100億円残ります。それに対して、社会保障の充実等所要額が62億円、上の表のとおり60.6%の執行率になっています。40%はどうなったかといえば、既に先取りをして、国は国債で、地方は臨時財政対策債などを充てていた社会保障の安定化に充てています。新規施策に6割、既存施策の財源対策に4割使われている構造です。」とのことである。

つまり、40億円については今年度は使われていないこと、要するに平成26年度単年度で40億円の県財政改善効果があったということになる。

そこで、平成29年4月から消費税を10%にあげることも決まっているが、もしこれを遅らせたとすると、財政フレームへの影響、県税収入の減少額はどの程度あるか伺う。

2 人口減少社会を踏まえた将来負担の見える化について

(1)(公社)兵庫県みどり公社のオーバーナイト融資について

国による今後の年金試算によると、現在受給世代、現役世代、将来世代、世代間格差が非常に大きく、不公平感を感じる。

一方、国の負債、借金は1000兆円時代に突入しているが、いずれ誰かが返さなくてはならない借金である。これまでは消費税負担も低かったが、これから高負担社会となることは明らかである。

県の財政も改善されたとはいえ、依然厳しい状況にあることは言うまでもない。先の本会議で少子化対策のための思い切った財政出動をという話が出たが、いまの財政状況では児童手当を1000円あげることも難しいという知事の答弁もあった。先行した借金の負担も重く、思い切った将来への投資も難しい状況である。

総務省の地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会でも、全国的にも財政指標の数値はよくなっている一方で、全ての負債等が網羅されていないという新たな問題点も指摘されている。オーバーナイト、短コロ、基金の繰替運用などの問題である。

そういう中、昨年の9月定例会での質問で、(公社)兵庫県みどり公社のオーバーナイト融資について、取り上げた。その半年後の3月末、質問の際に私が提案した県債管理基金の取り崩しによる県の長期貸付への移行ではなく、民間金融機関からの長期融資に切り替えた。

昨年の9月定例会での私の質問に対して、企画県民部長は「県としては公社独自の経営改善及び県の財政負担への影響等を、総合的に勘案し、当面必要最小限度の額について、単年度貸付金による支援を行わざるを得ないと考えている。」と答弁していたが、その半年後には方針を変えているが、それはなぜか伺う。

全額を民間金融機関の融資に変えた理由と、その時の融資条件について合わせて伺う。

(2) 短コロについて

「短コロ」とは一般会計の次年度の短期貸付金を当年度に実施したように見せかけること。総務省の地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会の資料では、「短コロ」を都道府県のうち2団体がやっているとのことである。

自治体の会計制度には、「出納整理期間」が設けられ、翌会計年度の4/1~5/31の間の収支については前年度に入れることも可能な制度を悪用したものと考える。

例えば、当年度の4月1日に、都道府県の一般会計から第三セクターに対し、年度末の3月31日を超えて資金を貸し付ける一方、次の日の翌年4月1日には次年度の予算で再び同額を貸し付ける。当然、貸付金額は二倍になると考えるとそうではない。第三セクターは一般会計の出納整理期間の5/31までに1年分を返済する。

第三セクターの側からは、借入金として3月末の年度末をまたぎ資金不足を免れる一方、一般会計は現金が同一年内に戻ったことになり、単年度貸付を実施したことになるだけなので決算上問題を指摘されることもない。しかし、一般会計の歳入は実際には穴が開いている。

結果的に同じお金を第3セクターの資金繰りと一般会計の穴埋めの双方で使うという手法で、会計制度の違いを悪用している。これを毎年繰り返すことを「短期コロガシ」、略して「短コロ」というそうだ。しかも、都道府県で2団体が今でも実施しているとある。「出納整理期間」を逆手にとったとんでもない手法である。この短コロでも財政指標は悪くならない。また、出納整理期間を悪用されると議会や外部からは簡単にわからない。

そこで、兵庫県ではやっていないと思うが、過去も含めて念のため確認したい。

(3)単年度貸付の実態について

短コロも、先のオーバーナイトも、自治体側は単年度貸付をしているため決算上はお金は戻っているように見え、赤字要素にならないという特徴がある。単年度ごと反復して貸し付けることにはメリットもある。

そこで、平成26年度決算における県の全ての会計で、第三セクターや関係団体に総額いくらの単年度貸付を実施したのか伺う。

また、単年度貸付を実施していたみどり公社は、26年度末からオーバーナイトをやめるということで長期借り入れに移行した。それ以外の第三セクター等で26年度末でオーバーナイト融資を続けているところがあれば、その団体と県の単年度貸付金額、オーバーナイトを続けている理由について教えてほしい。(A:資料要求内容)

(4)第三セクター等の県負担額について

① 公社等の将来負担額の現状について

第三セクター等の県の将来負担については財政指標の「将来負担比率」の算定に含めなければならないとされ、「設立法人の負債額等負担見込額」として指標に反映させられる。

みどり公社をはじめ、公社等の将来負担額はどうか。

② 将来負担額が増加している公社等の要因について

25年度の決算と比べて26年度比、兵庫県道路公社が29億円の増、兵庫県土地開発公社が49億円、住宅供給公社が13億円の増と単年度でかなり増えている。その理由は?

(A:資料要求、説明内容)

3 簿外債務発生を防ぐための仕組みについて

(1)出納整理期間中の資金移動の明示について

先程から検討状況を紹介している総務省の研究会は、将来負担比率の指標等で債務を反映させることを検討するという役割もある。

しかし、研究会で短コロを今後どうするかとか議論していたのは驚いた。総務省はこんな指導もできないのか、当該の議会は知っているのかと大変驚いた。ただし、公表されている資料ではわからない場合も結構ある。

例えば、短コロ(第3セクターとの関係)は外郭団体の公表資料に「キャッシュフロー計算書」があればわかる。出すと不自然な期初の現金の収入と支出がわかるからである。基金の出納整理期間を利用した資金移動等の方法は基金の5月末の出納整理後の状況を調べてみるとその間の増減がわかる。現在の自治体の決算では、基金残高の記載は3月末時点のもので、5月末の出納整理後の記載は義務付けられていない。決算本体と基金等を通じた外部等との数値の整合性が担保されていない。

実際、平成26年度の出納整理期間にどんな資金のやりとりがあったのか確認したが、決算附属書類614ページでは県債管理基金は物品・貸付金・有価証券・現金の計4602億円と土地の53万㎡87億円と合計4689億円となっているが、事前に確認したところでは、実際の出納整理後の金額は合計3762億円となっている。この差額についての議会や決算委に提出されている資料にはかかれていない。

出納整理期間に、有価証券が86億円増えて、現金が1014億円減っているということだ。この資金のやり取りは非常に難解で答弁時間も多岐にわたるため避けるが、公表されている財務資料ではわからない。

過去に県債管理基金に集約した第三セクター等の基金の内容や出納整理後の基金残高については、予算では説明資料の末尾に加えて改善してもらった。

個人的に、決算委員に就任した際には、依頼して真の年度末の基金残高やその内訳を照会しているが、こちらから問い合わせるべき事柄なのか。

決算附属書類の「決算に関する調書」に出納整理期間の増減、最終的な基金残高も附記するか、予算同様に公表説明資料に記載するなど議会や県民にわかりやすい開示資料とする必要があると思うがどうか。

(2)県の出資法人に係る経営状況説明書の改善について

また、第三セクターと県との関係でいえば、議会への提出が決まっている地方自治法第二百二十一条第三項の法人の財政状況の提出資料内容が団体ごとにばらばらで経営状況もわかりにくい。例えば、土地開発公社だと、貸借対照表に昨年度の記載がなく、前年比較もできない。また、キャッシュフロー計算書があれば単年度貸付の実態は一目瞭然で、最初に短コロなどを行う際に十分歯止めになる。提出資料に統一的基準をつくるなど改善を求めるがあわせて伺う。

4 将来負担の全容公表について

また、先の研究会の議論の中で、公共施設等のインフラの更新・撤去費用等だけでなく、これまでも何度となく私が指摘してきた県債管理基金の公営企業会計の基金を通じた一般会計への約320億円の融資も「基金からの一般会計への年度を超えた貸付(繰替え運用)」として議題になっていた。

本県財政の場合、外郭団体からの基金等の集約、美術品、土地や有価証券の問題など既存の問題に加えて、公共用地等先行取得特別会計、企業庁の地域整備事業会計等で事業化のめどがない広大な長期保有土地を、起債取得し、現在も簿価で保有しているなどという別の問題もある。これらに手付かずのまま新たな債務が追加されるとなると、またかという話になる。

そろそろ、全ての将来に負担となるべき事実等を自主的に公表し、県民の負債の全体像を明らかにするのが将来世代に対する責任のとり方だと思うがどうか。