質問日:令和6年3月8日(金)
質問者:黒田 一美 委員
1 底物の漁獲量向上を目指した豊かな海づくりについて
瀬戸内海は、古くから美しさを誇る景勝地として、また豊かな漁場として栄えてきました。しかし、高度経済成長期の都市化、工業化の進展に伴い、赤潮等の被害が発生するなど、一時は「瀕死の海」と呼ばれました。その後、厳しい排水規制や処理施設の整備等により、水質は大きく改善しましたが、一方で海中の栄養、とりわけ窒素が減少するなど、海の生態系に大きな影響を及ぼしております。
海中の栄養は、魚介類のエサとなるプランクトンやノリなどの海藻が育つのに欠かすことができないものであり、海の生き物にとっての生態系の基礎を支えるもので、このため漁業にとって「豊かな海づくり」は欠かせません。令和4年11月には、天皇皇后両陛下ご臨席の下、「全国豊かな海づくり大会」が明石市で開催され、漁業関係者による「豊かな海づくり」の活動が全国に発信されました。
しかし、今、直面している課題があります。それは、イカナゴの漁獲量の減少もありますが、特に海底にいるタコ、貝、カレイ、エビなど、いわゆる「底物」の不漁が続いていることです。私の大好きな明石ダコの値段が上がり、以前のようにしょっちゅう食せません。
これまでも、農業者と漁業者が連携し、ため池の「かいぼり」による栄養を増やす取組をしたり、海中の環境改善のための海底耕うんなど、漁業者の努力は計り知れません。なかなか効果がすぐに現れないのかもしれませんが、しっかりとした原因調査と対策が必要です。
そこで、瀬戸内海における漁獲量の向上、特に底物の漁獲量を増やす対策について、当局のご所見を伺います。
2 漁業における後継者づくりについて
農林水産業の大きな課題といえば、やはり高齢化や人口減少による労働人口の減少が挙げられます。中でも、漁業就業者の人材・後継者不足は深刻な問題であり、人材確保への対策や後継者の育成は喫緊の課題となっています。
私は、漁業の大切さを改めて実感しております。先ほども申し上げたとおり、海中の栄養塩類が減ることによるイカナゴなどの漁獲量が減少するといった多くの課題はありますが、漁業は人間が生きていくためには欠かせない食糧供給元の一つです。
兵庫県内の漁業就業者数は、30年前の平成5年度は約7,700人おりましたが、10年前の平成25年度では約5,300人、そして現在は約4,800人となっており、激減しております。兵庫県漁業協同組合連合会によりますと、漁協の正組合員の年齢構成は、70歳以上が約3割、60歳以上になると半数以上を占めているとのことですが、逆に30歳未満は約5%だそうです。30年前である平成5年度の60歳以上の割合は約3割程度でありますので、若者の割合が減少し、高齢化率が年々進行していることが見て取れます。
設備投資への問題や所得向上など課題は多くあると思いますが、県として、漁業就業者の人材確保、後継者の育成をどのように進めていくのか、ご所見を伺います。