議会の動き

前田 ともき議員が質疑を実施

第343回 定例県議会 緊急対策補正予算 質疑要旨

質問日:平成31年2月15日
質問者:前田 ともき 議員
質問方式:一括方式

1 人と防災未来センターのリニューアルについて

今回の補正予算は災害体験VRや避難行動シミュレーターなど総額4.8億円。昨年導入した津波避難体験装置と今回のリニューアルで東館が大きく変わるのを期待したい。

昨年の予算委員会ではダークツーリズムと体験型施設の導入について提言した。ダークツーリズムは人類の悲劇や悲しみから学ぶ旅で注目を浴びている。私も約50カ国を旅して、911のグラウンドゼロ、アウシュビッツ収容所、カンボジアのトゥール・スレン虐殺博物館などを訪れた経験から、当センターは世界から兵庫に観光客を呼び込むきっかけになると考えている。ともすれば、教育的意義や研究成果に意識が集中しがちだからこそ、ダークツーリズムの視点も入れて、敷居を下げ、きっかけを作り、より多くの人に来場していただきたい。

そのためには最新の体験型施設の導入だ。資料や映像は今やインターネットでほとんど事足りる。足を運ぶ必然性を作るにはココにしかないもの、ココでしか体験できないものの存在だ。

リニューアルのコンセプト作りや施設の中身が来場者満足、センターの成功を左右する大きな要因だ。しかし、アドバイザリー契約のプロポーザルでなぜ2社しか検討していないのか。委託費30万円は業務内容からして過小ではなかったか、疑問が残る。より良い体験を提供出来るようにどのような工夫を行っていくのか伺いたい。

トリップアドバイザーで外国人の口コミを調べてみると、KOBEの地震から学びにきた。というコメントを頻繁に見た。リニューアル案に足りないのは地震体験だ。阪神・淡路大震災の展示がメインなのに、地震が体験できないとはいかがなものか。

地震を体験できる起震車は3,000万近くするので購入はもったいない。既に兵庫県と神戸市は保有しているので、イベント派遣以外はここに常設して体験できるようにすべきでないか。

今回の体験型施設の導入を契機として、ダークツーリズムの視点で海外メディアやロンリープラネットなど旅行雑誌への掲載など積極的なマーケティング活動を行うべきだ。

これらの指摘を踏まえた人と防災未来センターの施設改革、見せ方、伝え方をどのように改善していくのか伺う。

2 考古博物館加西分館を世界一の古代鏡博物館に

なぜ、古代鏡展示館を、なぜこの地に、なぜ更に増築するのか。いろいろ指摘したい点はある。が、今回は所与の条件として、飛躍させる提言をしたい。

それは、古代鏡展示でダントツ世界一を目指せ。中国マーケットに全力フォーカスせよ。

加西分館は自動車アクセス中心の立地、古代鏡という小さな市場を考慮すると、日本人を対象してはジリ貧で終わる。古代鏡は中国に収蔵がほとんどなく、流通量も限定的と聞く。したがって、将来もココでしか見れない施設であり続ける可能性が高い。世界一で存在感を発揮できる可能性がある。

そのための検討課題として、

1.増築規模はむしろ過小ではないのか

2.他の博物館の古代鏡をここに集約する仕掛け

3.中国向け広報・マーケティングの強化

1点目について、寄贈された316の古代鏡のうち、常設展示は100程度。この展示規模では、はるばるやってきた来場者はガッカリするだろう。新規で来る動機作り、もう一度来たいと思うリピーター作りのためにも、展示価値のある鏡はすべて常設展示できるよう増築規模の拡大や将来の拡張性を考慮した設計を検討すべきだ。

2点目に付いて、類似美術館として、住友家の泉屋博古館や和泉市久保惣記念美術館があり、各200程度の所蔵品がある。寄付、企業版ふるさと納税、収蔵品交換などを駆使して、これら美術館から古代鏡をこの地に集約する提案をすべきでないか。ダントツ世界一を実現して圧倒的な展示を実現しなければ、ジリ貧で終わるし、増築する意味もない。

3点目について、古代鏡は日本にゆかりがあるわけでもなく興味がある日本人は少ないだろう。何度もリピートが期待できるものでもない。中国人向け集客に経営資源を集中させるべき。幸いなことに、中国の市場規模は広大かつ今後の成長が期待できる。

中国は2020年に世帯年収35,000ドル以上の富裕層が5600万世帯に増加する。日本は4600万世帯なので数年で逆転される。また、2030年にはGDPが世界一になると予想されるなど、中国人観光客の増加やコト消費の拡大は不変のトレンド。展示紹介の中国語対応や展示の拡充後には積極的な中国向け広報が必要と考える。

これら3点の指摘を踏まえ、世界一の古代鏡博物館を目指し、この地に多くの訪問者を呼び込む仕組みづくり、そして今回の増築の意義について伺う。

3 兵庫津ミュージアム(仮称)の整備について

初代県庁舎の復元はおいといて、併設する県政資料館を中心とした兵庫津ミュージアム。今回の補正予算案では24.5億円で初代県庁舎の7倍。元々は初代県庁舎の復元で始まったこのプロジェクトだが主従逆転の感すらある。

これほど高額な施設を建てて、本当に見せるべき、見たいと思っていただけるコンテンツが果たして提供出来るのか極めて疑問である。

47都道府県で同種の県政資料館はどの程度あるのか、どの程度集客しているのか、兵庫県公館の県政資料館にどの程度の入室者があるのか、兵庫津ミュージアム検討で行った市場調査の状況を示していただきたい。

資料館の基本構想支援のコンペ仕様書を拝見した。事務局案として、初代県庁舎は建物面積500平方メートルに対して、資料館は2000〜2500メートルを提示している。なぜ、初代県庁舎の4倍超の面積を想定されたのか。公館などにある県政資料展示は全てこちらに集約する認識でいいのか。

また、総事業費24.5億円のうち、展示物6.6億、建物17億と想定されている。多くの展示物はゼロから制作することになるので製作単価は高額となることが予想される。厚労省の私のしごと館は1体3百万円の人形や一度も利用されていない燻蒸庫など壮大な税金の無駄遣いとして批判された。同じ道を辿らないよう、展示物のあり方は今後よく吟味していただきたい。

また、入場料金はどう設定するのか、今後の維持・管理コストはどの程度を想定されているのか示していただきたい。

訴求力の弱い県政資料館を無理に設置するのではなく、集客力の高い民間施設を誘致して初代県庁舎への集客につなげる検討はされなかったのか。神戸市からは土地の無償貸与を受けることになっているが、更なる支援はないのか。

県政資料館だけでなく、神戸市の集客力あるコンテンツと一緒にできないか。

指摘すべき点、整理すべき課題は多々あるのでブレスト的に疑問点を提示した。

これらの質問について答弁をお願いする。