議会の動き

予算特別委員会◆19年02月定例会

予算特別委員会

理   事 向山 好一  議員(神戸市北区)
委   員 黒田 一美  議員(神戸市垂水区)
委員外議員 前田 ともき 議員(神戸市東灘区)

向山 好一 議員
 企画県民部② | 健康福祉部 | 産業労働部 | 公安委員会 |
 農政環境部 | 県土整備部 | 総括審査

黒田 一美 議員
 財政状況 | 企画県民部① | 病院局 | 産業労働部 |
 企業庁 | 教育委員会

前田 ともき 議員
 企画県民部①


<向山 好一 議員>
●企画県民部②
1 水素社会の推進について
(1)兵庫水素社会推進構想について
(2)EVとFCVとの機能分担について

全文

平成31年 平成31年度予算特別委員会(企画県民部②)

日 時:平成31年3月4日(月)

質問者:向山 好一 委員

1 水素社会の推進について

(1)兵庫水素社会推進構想について

水素は次世代エネルギーの1つとして、燃料電池自動車への活用などを始めとして研究開発が進められており、2017年には国家戦略として「水素基本戦略」が打ち出されるなど、注目されている。

兵庫県においても、県としてめざすべき水素社会の姿とそれに向けた今後の取組みの方向性を示す「兵庫水素社会推進構想」を策定されようとしている。

その構想案には、詳しい未来像を描いておられるが、その中でもFCV普及台数の具体的目標として、2020年に3,000台、2030年に25,000台、そのための水素ステーション整備基数の見込みとして、2020年に8基、2030年に20基となっている。とても意欲的な構想案ではあるが、2020年といえば来年である。

そういう状況を踏まえ、この構想案を具体化していくにあたり、どのような課題があり、また取り組んでいくのかについて所見を伺う。

(2)EVとFCVとの機能分担について

次世代の自動車としてEVの技術の発展と普及が急速に伸びている。「兵庫水素社会推進構想」にはFCVが普及している社会を描いておられるが、インフラを整備する上で、ダブル投資になれば非効率にもなる。

そこで、当局として、将来のEVとFCVの機能分担・棲み分けについてどう考えるのか、お伺いする。

●健康福祉部
1 受動喫煙防止条例の改正について
(1)兵庫県飲食業生活衛生同業組合の意見広告に対する見解に
ついて
(2)加熱式たばこの取り扱いについて
2 国民健康保険証の不正使用について
(1)国民健康保険証不正使用の実態について
(2)国民健康保険証への写真掲載について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <健康福祉部>

質問日:平成31年3月5日

議員名:向山 好一委員

1 受動喫煙防止条例の改正について

今回の議会で「受動喫煙防止条例」の一部を改正する条例の提案がなされている。非喫煙者にとってみると規制が強化されればされるほど喜ばしいこと。一方、喫煙者は規制の強化は嫌だけどそれを声高に叫ぶことはできない。それだけに、この受動喫煙防止は感情論が先行する懸念が拭い去れない。

この観点から、愛煙家を代表して勇気をもって特に飲食業を営むサイドに立ってこの条例案に関する懸念・疑問について何点か質問する。

(1)兵庫県飲食業生活衛生同業組合の意見広告に対する見解について

まず、2月22日の朝刊の一面全面に「兵庫県飲食業生活衛生同業組合」さんが意見広告を出された。タイトルは、「兵庫県受動喫煙防止に関する条例改正案に対する意見、『加熱式たばこ専用室』の設置をめぐって」。

この中で、「私ども県下の事業者だけが他の都道府県と異なる措置を求められていることは不公平であるだけでなく、お客様のサービス低下につながりかねません。これは、日々の経営努力を続ける私たち中小の飲食事業者にとって、まさに死活問題です。」と書いてある。この指摘について、当局は不公平になるとお認めになられるのか。死活問題ではないとお思いなのか。この広告の内容ついての御見解をお聞きする。

(2)加熱式たばこの取り扱いについて

先の広告で取り上げられた「加熱式たばこ」の扱いについて、国が健康増進法で定めたものと根本的に違うことになっている。つまり、法律は「疑わしきは罰せず」の刑法上の原則を適用し、一方、県の条例は「疑わしきは罰する」という姿勢になっている。その根拠は「加熱式たばこが健康に害をあたえないと立証されていないから」ということのようだ。

しかし、加熱式たばこ紙巻きタバコより有害物質の含有量が少ないということは科学的にも立証されている。それならば、喫煙者を紙巻きタバコから加熱式に政策誘導させるという観点も必要ではないか。つまり、条例でも紙巻きタバコより加熱式を柔軟に扱うってことにすべきではないか、と考えるのだが所見を伺う。

2 国民健康保険証の不正使用について

(1)国民健康保険証不正使用の実態について

最近、健康保険制度を悪用し、健康保険証を不正使用しているという報道をよく見るようになった。特に、外国人が公的保険に加入して高額医療の自己負担額を低く抑えることを目的として留学や就労の資格で入国しているということである。我が国の国民皆保険制度を悪用して高額の医療費を不正に受給することは決して許される話でないし、それを放置していると保険制度そのものの信頼が崩れてしまう。

その対策として厚生労働省は、昨年各自治体に実態調査を要請したと聞いているが、兵庫県ではどのような実態であったかを伺う。

(2)国民健康保険証への写真掲載について

ある報道では、平成26年に神戸市である国の女性が妹の国民健康保険証を使って、2年以上にわたって総額1千万円以上のHIV治療を受けたケースが紹介されていた。

なぜ妹の保険証が使われても2年以上にわたって分からなかったのか。それは、保険証自体にも問題があるのではないか。国保にしても健保組合保険にしても協会健保でも氏名は書かれていても写真はない。外国人なら氏名だけではほとんどノーチェックではないのか。

先日の一般質疑でフリガナ併記の改善をわが会派の質問者から提案したが、併せて写真掲載も加えるべきではないか。

●産業労働部
1 兵庫県のインバウンド対策について
2 ひょうごツーリズム協会の改革について
(1)体制整備について
(2)今後の戦略について

全文

平成31年 平成31年度予算特別委員会(産業労働部・労働委員会)

日 時:平成31年3月6日(水)

質問者:向山 好一 委員

1 兵庫県のインバウンド対策について

外国人観光客は、日本全体で平成30年に遂に3,000万人を超え急激に伸びていることは言うに及ばない。特に、関西の伸びは全国でも突出しており、1つのブームになっている。

しかし、これも皆が指摘していることだが、大阪や京都は急速にインバウンドで訪れる外国人観光客が伸びているのに対し、兵庫の伸びはほぼ横ばいで大きく水を開けられている。インバウンドがもたらす経済効果が大きいだけに、もう看過できない状態である。

その対策について常に議論されているが、最も大切なのは「なぜ兵庫がスルーされているのか」という原因を探ることではないのか。

そこでお伺いするが、兵庫が大阪・京都に水を開けられた根本的要因は何だと分析されているのか。

2 ひょうごツーリズム協会の改革について

(1)体制整備について

兵庫県の観光振興を促進する外郭団体として「ひょうごツーリズム協会」がある。その役員構成は会長が井戸知事、理事長が但馬観光協議会会長、専務理事・常務理事が県の職員、その他の役員はそれぞれの分野の代表者。非常にバランスがいいが、逆に何の特徴もないのに加え、それぞれがあて職で就任しているのでルーティーンワークになっているのではないか。

このままではいけないとの認識があるのであれば、リーダーシップのある観光振興のプロをハンティングして実績をあげるように改革すべきではないか。ご見解を伺う。

(2)今後の戦略について

事業内容を見てみると、年間予算が約2億5千万円程度。毎年の決算を見ると、人件費などの経常経費を差し引いた支出の大半が「広告宣伝費」の5千万円と「支払助成金」の9千万円である。先程述べたルーティーンワークをよく示している。

これからも同じことを毎年繰り返しても成果は表れないと思う。

もっとマーケティングに予算を使って、しっかりとした戦略を立てるべきではないか。ご所見を伺う。

●公安委員会
1 神戸北警察署の改築について
2 カード詐欺にあった被害者の特殊な例への対応について
(1)刑事責任の所在について
(2)カード決済の厳格化について
3 御代替わりと運転免許証の印字の関係について
(1)表記の選択制について
(2)表記変更の時期について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <公安委員会>

質問日:平成31年3月6日

議員名:向山 好一委員

1 神戸北警察署の改築について

私も頻繁ではないけれど管内の警察署である神戸北警察署に行くことがある。その際に、駐車場が余りにも狭いので満車で停めるところがなく空きをまったり、諦めて出ようと思ってもUターンする場所もなくバックで出るしかない。北署は坂道の真ん中にあるので見通しが悪く非常に危険な思いをしている。交通安全を司る警察署が事故を誘発させているのではないかと疑問を感じている。

さらに、建屋は老朽化が激しく来訪者へのイメージが悪いばかりか危機管理ができているのかと思わざるを得ない状態にある。

神戸北署が開設された時期は昭和50年4月、その当時の定員は71名。しかし、現在は146名と倍以上の定員になっている。人員が倍以上ということは業務量も倍以上になっているにもかかわらず、建屋と駐車場は同じってどういうことなのでしょうか。もちろん、相談件数も平成26年の1,022件に対し平成30年は1,578件と5割増しになっている。しかももちろん耐震構造になっていない。こんな状態を一刻も早く解消しなければいけない。

神戸北署は建替え対象にはなっているようだが、いったいいつに完成させるおともりか、お考えを伺う。

2 カード詐欺にあった被害者の特殊な例への対応について

(1)刑事責任の所在について

1年ほど前に私の友人から深刻な相談を受けた。その内容は、ある女性が当時恋愛関係にあった男性からクレジットカードの表面と裏面をスマホで写真を取られ、その画像に映っている「氏名、カード番号、有効期限、個人コード番号」をもとに、その彼女になりすまし、ネット販売でアマゾンギフトカードを何と200万円、決済は彼女のカードで、送付先は自分に届くようにしてまんまとだまし取ったということ。

普通に考えれば男性のやったことは詐欺であり窃盗であるはずにもかかわらず、警察の判断は直接の被害者はアマゾンになり、彼女がいくら訴えても捜査も刑事責任を問うこともできないと言われたという。

私は最初、それは警察がおかしいと思った。それが本当なら彼女は泣き寝入りをするしかないではないかと。被害にあった人が苦しい思いをして、被害を与えた人は無罪放免なんておかし過ぎると。念のため申上げるが、私は警察の判断を批判してるわけではない。というもの、その話を聞いて、私は複数の法律の専門家の弁護士の友人に聞いてみたところ、それは刑事を問えるとう者と問えないという者に分かれた。つまりこれは法律の隙間、グレーゾーンではないかと感じた。

あらためて、今申上げた事例では県警として刑事責任は問えないとの判断なのか伺う。

(2)カード決済の厳格化について

そもそもこのような悲劇が起こった一因は、ネット通販の決済方法にもある。クレジットカードも銀行のキャッシュカード並みに現金引き落としを伴うのもにもかかわらず、全て印字されている情報のみで決済できてしまう。キャッシュカードでは個人しか知りえない暗証番号が必要なのにクレジットはその必要がない。

こういった犯罪を防止するためにも国に働きかけるなどして、カード決済の厳格化の制度化を行うべきではないか。お考えを伺う。

3 御代代わりと運転免許証の印字の関係について

平成という元号から新たな元号へと変わる時期が近づいてきた。現在の運転免許証は、生年月日も交付日も有効期限もすべて平成、つまり元号表記になっている。それが、この御代代わりを契機に西暦と元号併記に変わると聞いている。

そこで数点確認したいのだが、

(1)元号・西暦表記の選択制について

そもそも警察庁は外国人ドライバーの増加に対応して西暦表記に変更することを考えていたが、意見公募の結果を踏まえて併記に変更した。つまり、西暦表記にしてほしい人、元号表記を希望する人、併記がいいと思う人などさまざまいることを考えれば、選択制にしてもいいのではないかと思われるが、それはできないのか。

(2)表記変更の時期について

表記の変更日はいつになるのか。元号が代わるのは5月1日、その日は「即位の日」で国民の祝日、10連休が話題になっているとおりその後もしばらく休日・祝日が続くが、免許更新センターの稼働基準からすると5月7日なるのか。「生前退位」というこれまで経験したことのない事態によって起こるこの「おめでたい日」に免許更新が出来るようにはできないか。

●農政環境部
1 水素社会の推進について
(1)燃料電池自動車(FCV)の普及促進策について
(2)家庭用燃料電池の普及促進について
2 神戸ビーフ館の内容について

全文

平成31年 平成31年度予算特別委員会(農政環境部)

日 時:平成31年3月7日(木)

質問者:向山 好一 委員

 1 水素社会の推進について

(1)燃料電池自動車(FCV)の普及促進策について

先の一般質疑で井戸知事は水素社会推進のためには第一段階として「水素利用に慣れ親しむことが重要で、FCVや家庭用燃料電池の普及を目指し、導入経費の助成や規制緩和を国に提案していく」と答弁された。

「兵庫水素社会推進構想」にはその第一段階の数値目標が明記されている。その数値はFCVに関して「2020年に3,000台、2030年に25,000台」となっている。来年に3,000台は現実に無理ではあるが、今後、普及促進を積極的に行う必要がある。そのためには燃料を充填する水素ステーションを同時に整備する必要もあり、それには非常にコストがかかる。

こういった難しい問題を克服するには「導入経費の助成や規制緩和」といった仕組みももちろん重要ではあるが、同時に戦略というものが大切になる。EVとは違うFCVの「充填に時間がかからない、走行可能距離が長い」という長所を活かし、まずは輸送部門への導入をめざすべきだと思う。例えば、バスやタクシー、現在は残念ながらトラックの車両はないが、近い将来には現れると思われるので、こういった運輸部門には特別のインセンティブ策を設けるなどターゲットを絞るのも効果的だと思うが、ご所見を伺う。

(2)家庭用燃料電池の普及促進について

一方、家庭用燃料電池(エネファーム)の普及も慣れ親しむという観点からも非常に大切である。現在、兵庫県を含む近畿エリアでのエネファームの普及率はだいたい1%程度で知事の言う慣れ親しむレベルにはほど遠い段階である。

現在、エネファームの設置には国の助成制度と並行して各自治体が補助制度を設けて普及促進を図っている。兵庫県下でも神戸市・西宮市など独自の補助制度があるが、兵庫県は0.8%の低利融資を行っているのみである。一方、近畿エリアでは、例えば奈良県では一件当たり80,000円、滋賀県では100,000円の助成制度を持っている。

兵庫県が水素社会を先導していくお気持ちがあるのならば、低利融資にとどまらず、助成制度を新設してもいいのではないか。ご所見を伺う。

2 神戸ビーフ館の内容について

以前から構想のあった「神戸ビーフ館」がいよいよ3月末に新神戸オリエンタルアベニュー3階にオープンする。インバウンドで大阪や京都に後れをとっている神戸にとって、1つの起爆剤になればと期待している。

しかし、中身をみてみると残念と思わざるを得ない。確かに、現地は新幹線・新神戸駅に直結しアクセスとしては好条件ではあるが、カウンター席、ボックス席とテーブル席が1つずつ、食事メニューは焼肉セット中心の予定となっている。これでは試食会程度にしかならない。スクリーンやパネルで神戸ビーフの歴史などの情報発信をされるようだが、それならば同時に本格的な神戸ビーフを堪能してもらうほうが来訪者の満足感を得られるのではないか。今のままだと物寂しい「神戸ビーフ館」になるような気がしてならない。

なぜ、食事スペースがこんなに限られて、試食程度のメニューしか用意しないのか伺う。

●県土整備部
1 北神急行電鉄の市営化について
(1)兵庫県としての支援策について
(2)北神急行電鉄への支援策の継続について
2 神戸電鉄への防災・減災支援について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <県土整備部>

質問日:平成31年3月8日

議員名:向山 好一委員

1 北神急行電鉄の市営化について

(1)兵庫県としての支援策について

長年経営が厳しく兵庫県も神戸市と協調して支援をしている「北神急行電鉄」を神戸市が市営化するという新聞報道が昨年暮れにあった。その後、神戸市会でも議論がなされ、その内容は報道もされているが、久元神戸市長のコメントとして「今年の3月中には阪急電鉄とも合意を得て市営化に向けて早期の実現を図っていきたい」ということも明らかになっている。「どこに行くにも交通費が高い」という北区の最大の課題が1つ大きく前進する話なので確実に実現させて頂きたいと思っている。

しかし、課題も多く存在している。その1つに、神戸高速鉄道が保有しているトンネル施設等も含め、簿価約400億円に対し借入金約650億円、つまり債務超過に陥っているという財務状態がある。

つまり、税金の持ち出しが必要になる可能性が高いということである。

そこで、お聞きしたいのは、報道でも久元市長は「兵庫県にも支援を要請したい」と仰っている。この市営化に対して兵庫県としてどのような支援策があるのか、支援をする・しないではなく制度的にどんなものがあるのかを伺いたい。

(2)北神急行電鉄への支援策の継続について

これまで北神急行電鉄への支援策として、「安定運行対策費補助」で神戸市と協調して毎年1億3千5百万円の支援を行っており、平成31年度からも3年間の継続支援が予算化されている。

この支援策は、市営化されても継続して頂けるのか伺う。

2 神戸電鉄への防災・減災支援について

昨年は7月豪雨、8月の台風20号、9月の21号と記録的な大雨や暴風雨が発生したが、そのたびに有馬街道、新神戸トンネル、六甲山トンネルと神戸の北部へ向かう道が通行止めになるばかりではなく、神戸電鉄も運転見合わせとなり、北神急行電鉄は終日通常運行を続けていたものの、神戸市北区は文字通り「陸の孤島」となった。それには高校生はもちろん小・中学生も含まれた。これは生命を守るとの観点からも大問題である。道路は神戸市の管理下におかれているため、から県土整備部は直接関与できないらしいので、せめて神戸電鉄の防災・安全対策について県の支援を要請したい。

その神戸電鉄の運転見合わせとなった原因は、もちろん沿線での土砂崩れである。それは、箕谷・谷上間、花山・大池間、鈴蘭台西口付近、西鈴蘭台・藍那間、鵯越・鈴蘭台間とあちこちで発生した。懸命の応急措置や復旧工事で短期間の運転見合わせですんではいるが、北区では運転見合わせ自体が致命的なのである。

そこで、県民の生命の安全確保の観点から何らかの行政支援はできないものだろうか。せめて、現在赤字路線にのみ適用となっている「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費補助」を、このような路線に限ってでも黒字路線にも適用拡大できないか、ご所見を伺う。

●総括審査
1 新たな県政の推進について
2 自衛官募集への自治体協力について
3 悪質クレーム対策について
4 観光振興対策の強化について
5 北神急行電鉄の市営化について
6 大阪湾岸道路西伸部長大橋について
7 基礎学力を確実に身につける教育の推進について
8 政府認定拉致被害者の対応について

全文

平成31年度予算特別委員会 質問要旨(総括審査)

日 時:平成31年3月13日(水)

質問者:向山 好一 委員

1 新たな県政の推進について

平成31年度当初予算は、平成20年度からの11年間の行財政構造改革の取組により収支均衡を達成し、新たな行財政運営の枠組みに基づき編成される初めての予算となる。今後も、財源対策債や震災関連県債の償還は続くことから、使える予算が大幅に増えることにはならないが、新たな行財政運営方針に基づき、収支均衡をベースとした上で、未来のある積極的な施策の推進が求められているのではないかと考えている。

県では人口減少や少子高齢化に伴い、安全安心な基盤の確保や地域活力の創出、兵庫人材の活躍推進、交流・環流を生む五国の魅力向上、自立の基盤づくりなど様々な分野に対応していく必要がある。今回の予算特別委員会においても、自主防災組織の活性化や水素社会の推進、ツーリズム振興など様々な課題や提言がなされたところである。

現状、様々な課題がある中で、兵庫県が今後も活力に満ちた地域であり続けるためには、地域創生戦略や兵庫2030年の展望、21世紀兵庫長期ビジョンを踏まえた「すこやか兵庫」の実現が不可欠と考える。

知事は今定例会の冒頭で「150年後も、子どもたちから、『兵庫は希望に満ちあふれている』と言ってもらえるよう、『すこやか兵庫』を実現し、次の世代につないでいかなければならない」と言われたが、これまでの成果を踏まえながら、ポスト150年のスタートにあたり、元気兵庫の実現に向けて、今後どのような県政推進に取り組んでいこうとされているのか、お伺いする。

2 自衛官募集への自治体協力について

兵庫県では、自衛官の募集にあたり、ホームページに採用情報を載せたり、問い合わせ先である自衛隊兵庫地方協力本部のリンクを貼るなど、これまでも募集に当たって協力を行ってきている。

しかしながら、「都道府県の6割以上が自衛隊の新規隊員募集への協力を拒否している」と発言された方がおられる。その後、都道府県を市町村に訂正されたようだが、これが本当なら大問題である。自衛隊法第97条には、「自衛官募集の一部を自治体が行う」と明記され、同法施行令第120条にもとづき「必要な報告、資料を求めることができる」となっているからである。

この際、自衛隊からの協力依頼に対し、兵庫県の各自治体が行っている、住民基本台帳から抽出した適齢者情報の電子データや紙媒体での提供状況、また、住民基本台帳の閲覧状況、これらの対応への拒否等の状況について伺いたい。

3 悪質クレーム対策について

いま徐々に社会問題化しているものに「悪質クレーム」がある。飲食業・販売サービス業、金融、旅行業など、もちろん行政を含めてあらゆるお客様と接する業務の最中に、威嚇・脅迫、長時間拘束、土下座の強要、セクハラ行為、SNSでの誹謗中傷など「業務上受忍すべき範囲を超えて精神的・身体的に苦痛を与えられる行為」が最近増加の一途を辿っている。

ある民間団体が内部調査をしたところ、回答の7割以上がこの「悪質クレーム」を体験し大きな精神的ストレスを感じ、その1%が精神疾患になったということであった。このことはNHKをはじめマスメディアで取り上げられ社会的に注目されている。ごく一部の消費者による悪質クレームは、単に従業員だけの問題ではなく、企業にとっても販売機会のロス、生産性の低下、企業イメージの低下などに繋がっている。

現在開催されている通常国会でも、国民民主党から「悪質クレーム対策推進法」を国会に提出し、その議論が始まろうとしている。

兵庫県では、消費者教育や消費者トラブルなど、消費者を守る取組については消費生活総合センター等でしっかりと対応されているが、このような企業側に立った消費者の悪質クレームについては対策がとられていないのではないか。

一度、県下でその対策に悩んでいる企業や従業員はどの程度存在するのか、悪質クレームの実態を調査されてはいかがと思うが御見解を伺う。

4 観光振興対策の強化について

産業労働部への部局別審査の際に、特にインバウンドにおいて兵庫県が大阪や京都に大きく水を開けられている原因として、戦略とマーケティング力の不足を指摘して、それを推進する機関である「ひょうごツーリズム協会」に実績の責任を担い得る観光振興のプロが存在しないことを指摘した。

お隣の大阪府では、府と市の観光振興外郭団体を民間団体と統合し「大阪観光局」を設立し、プロをトップに据え大型のイベント誘致などの成果を挙げながら、この7年でインバウンドを7倍に伸ばしている。神戸市でも一年前に官民統合による「神戸観光局」を設立し、観光誘致のための宣伝や映画等のロケ誘致、MICE誘致事業などを行い、事業主体として取り組んでいる。

オール兵庫で関西に来るインバウンド観光客を取り込んだり、MICEを誘致するためにも、この際、「神戸観光局」と「ひょうごツーリズム協会」を統合し、1つの戦略とコンセプトで攻勢に打って出るべきではないか。ご所見を伺う。

5 北神急行電鉄の市営化について

先日の部局別審査において北神急行電鉄の市営化に向けて県としての支援策について質問した際には、具体的支援策に対するコメントはなかったが、久元市長は北神急行電鉄の市営化にあたり、「兵庫県にも支援を要請したい」と言われているので、井戸知事のところにも久元市長からそれなりの話があったのではないかと思う。

確かに公共団体が公営企業に財政的支援をすることは制度上も難しいことは理解するが、これまで北神急行電鉄には県市協調して支援をしてきた経緯と実績がある。

国交省も民間から公営移管による市民サービスの向上という新たな取り組みに興味と期待をもっていると聞いており、国も巻き込んで新たな枠組みを検討してもよいのではないか。

トップ同士、智恵を絞って何らかのスキームを作れないだろうか、井戸知事にご見解を伺う。

6 大阪湾岸道路西伸部長大橋について

悲願の大阪湾岸道路西伸部が昨年暮れに着工した。早期の完成を望んでいるが、1つ懸念が出てきている。それは、六甲アイランド~ポートアイランド間とポートアイランド~和田岬間に架かる2つの長大橋の高さのことである。

この2つの橋が完成したら神戸港はコンテナターミナルを除き、橋によって完全に蓋を閉められることになる。設計上では、東側の新港航路は最大の高さが65.7m、西側の神戸西航路のほうが59.4m、この高さならクイーンメリー2の62mもかろうじてクリアーできるし大型クルーズ船も橋をくぐって新港突堤にあるターミナルに寄港できると安心していた。

ところが、3月3日の神戸新聞の朝刊の記事を見て、本当に大丈夫なのかと懸念が生まれてきた。その記事には、今後の大型客船誘致を進めるうえで第3・第4突堤間の一部を埋め立ててクルーズ船乗客を乗せるバスの待機場とすることと併せて、「22万トン級も安心して寄港して貰える環境を整える」とのことであった。

現在、神戸港に寄港している最大級のクルーズ船は「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」の17万トンクラスで高さが62.5mである。これならばなんとかクリアーできる。しかし、現在就航している22万トンクラスの大型客船は「シンフォニー・オブ・ザ・シーズ」の高さ約65m、同じように「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」も約65m、だいたい22万トンクラスとなると高さが60m以上になり65m以下でも満潮時には寄港できなくなるのではないか。

豪華客船の世界トレンドは、客単価を下げるため年々大型化しており、さらなる大型化が予想される。一度架かった橋は変えることができないことを考えると、このままでいいのかと不安になる。

また、災害対策の面でも不安がある。昨年の台風21号の襲来時、関空連絡橋に漂流船がぶつかり一大事になった。兵庫県でも鳴尾橋に同じように漂流船が当たり橋げたがずれて、今なお片側通行である。一般的には、原因者負担の対象にはなるが、桁外れの金額になるので回収は困難と思われる。この教訓を活かし、せめて橋脚辺りには防護壁を作るべきではないか。

そこで、県においても、今後の観光振興や災害対策を見据えて、しっかりと国へ働きかける必要があると思うが、ご見解を伺いたい。

7 基礎学力を確実に身につける教育の推進について

我が国では、寺子屋で教育が行われていた時代から、いわゆる「読み書き算盤」を子どもたちの教育で大切にしてきた。文章を読むこと、内容を理解して書くこと、および計算すること、これは今で言うところの基礎学力であると思う。

その結果、過去から国民の識字率は高く、外国人も驚くほどだったという。これが列強来訪時にも日本人の文化度が高く評価され、日本は植民地化を免れた要因の1つであるのも事実である。また、高度な数学を扱っていたということがわかる算額が各地の神社で奉納されていたことからも、総じて日本人には勤勉を重視する伝統と文化が培われているのだろう。

ところで、全国学力・学習状況調査は、基礎学力を測るものといっても差し支えないのではないかと思っている。全国の結果が発表されると、ランキング1位の県などが大きく報道されているが、1位から47位まで数%程度の開きしかない。その中にあって、兵庫県は常に県の平均正解率が全国と比較して、いずれも±5%の範囲内にあり、基礎学力を身につけるための教育がなされていると思う。一世を風靡した百マス計算を考案した岸本裕史さんや、それを世に広めた陰山英男さんはいずれも本県出身であり、そのことからも本県は基礎学力の重要さをより理解している県であるべきだと思う。

しかし、最近の全国的な風潮として、英語を中心とした外国語教育やICT等の情報技術の発達に伴いプログラミング教育などが流行になっている風潮がある。その重要さを否定するものではないが、まずは基礎教育があってこそのものである。

そこで、基礎学力を確実に身につける教育の推進について、今後どう取り組んでいこうと考えているのか所見を伺う。

8 政府認定拉致被害者の対応について

この定例県議会の一般質問で、日本海沿岸部の木造船等の漂着事案への対応に関する件や、健康福祉部への審査の時に人権施策の推進にあたり、兵庫県の拉致問題への意気込みに対する質問があった。

それに関連して伺いたいのであるが、先日、共同通信が神戸市東灘区の住民である「田中実さんと、同じラーメン店で働いていて翌年失踪した金田龍光さんが平壌で生存しているとの情報を北朝鮮は日本政府に伝えている」との報道がなされたが、県警はどのように認識しているのか。

また、韓国籍の金田龍光さんについて、支援法上国籍条項があるために拉致認定はできないにしても警察として拉致と断定することはできないのか。同様な例として既に高敬美(コ キョミン)・高剛(コ ガン)姉弟は警察庁が拉致被害者と断定していることを鑑みると断定できるのではないか。ご所見を伺う。

向山 好一
神戸市北区

<黒田 一美 議員>
●財政状況
1 業務の効率化について
2 県営住宅使用料について
3 個人住民税の徴収支援に係る取組状況と結果について
4 軽油引取税、自動車税の納期内徴収率について
5 将来負担の考え方について
6 一人当たりの県債残高の抑制について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <財政状況>

質問日:平成31年3月1日

議員名:黒田 一美委員

1 業務の効率化について

県庁でも働き方改革を進めるなかで、平成29年4月に兵庫県庁ワーク・ライフ・バランス取組宣言をし、超過勤務の縮減、子育て・介護と仕事の両立支援、働きやすい職場の実現の3本柱で全庁を挙げて業務の見直し等に取り組まれている。

事務の見直しや効率化を図ることは、昨今、県庁に限らずいろいろな組織全般に対して要求されることであるが、特に行革で定員を3割削減してきた本県においては、今後も職員が健康で職務を遂行するためにも、大変重要な取組であると考える。

しかし一方で、県民サービスが低下しないようにしなければならない。以前と同水準あるいは多様化・複雑化する様々な要望に対し、的確に応えていく必要がある。

そこで、今後、どのような業務の見直し・効率化を検討しているのか、当局の所見を伺う。

2 県営住宅使用料について

県営住宅使用料については、その収入未済額、収入未済件数とも依然として多いことから、きちんと県営住宅使用料を支払っておられる方々との均衡を図るための債権管理を推進するためにも回収に努めていただく必要がある。

収納率向上に向けて、指定管理者へのインセンティブ制度や生活保護受給者の代理納付の拡大、口座振替の促進など、様々な取組を行われているようで、着実に成果があがっているものと考える。

これまでの取組への評価と、今後のさらなる収納率向上に向けた取組方針について、当局の所見を伺う。

3 個人住民税の徴収支援に係る取組状況と結果について

県税の徴収歩合は毎年向上し、収入未済額も着実に減少しているところであるが、そのような中、平成29年度個人県民税の収入未済額は収入未済額全体の83.4%にまで増加しているという。

県税収入の確保を果たすためには、この個人県民税をいかに確実に徴収していくかが大きな課題となっている。しかし、個人住民税は市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が図れるものではないことも承知している。

そこで、税務課に個人住民税特別対策官を設置し、市町の徴収能力を向上させ、個人県民税の徴収を確保するための支援を行っていると聞くが、30年度はどのような取組を行い、どのような成果があったのかお伺いしたい。

4 軽油引取税、自動車税の納期内徴収率について

県税各税について現年分の納期内徴収額やその比率を調べたところ、H29年度において、ワースト2は61.2%の軽油引取税と84.6%の自動車税であった。最終的な現年分の徴収歩合はそれぞれ100.0%、99.3%となっている為、県財政に与える影響は大きいとは言えないが、期限内に納めないことで、催告の必要が出たり、差し押えなど滞納処分が必要になるなど、他の納税者以上に余計なコストがかかり、県に損失を与えかねないと考えられる。

軽油引取税、自動車税の納期内徴収率が低い理由について、他府県との比較も含めて教えてほしい。また、今後、その対策としてどう取り組んでいこうと考えているのか所見を伺う。

5 将来負担の考え方について

平成20年度以降の改革の取り組みにより、単年度の財政収支不足は改善してきた。ただ、財政状況の持続可能性はフローである単年度収支ではなく、ストック指標である将来負担比率こそが今後の財政を見通すうえで重要であることは言うまでもない。

県としての将来負担比率が高止まりしている状況への評価ならびに平成31年度以降の展望をどのように考えているのか伺う。

6 一人当たりの県債残高の抑制について

財政指標の一つである将来負担比率は、将来の財政負担の目途ではあるが、分母は標準財政規模である。ということは、人口が減少し歳入が減少していくと、標準財政規模も減少していくわけである。

つまり、従来と同じ財政運営を行うことは困難であり、歳入を増やすか県債の発行を抑制していくのかを決断しなければならない。

さて、兵庫県民の一人当たりの県債残高は、人口500万人以上の都道府県の中では、北海道に次ぐ多さである。

県民の不安感を取り除くためにも、県債の発行抑制に努めていく必要があると思うが、今後の財政運営にあたってどのように発行抑制にどう取り組んでいくのか伺う。

●企画県民部①
1 自主防災組織体制強化推進事業について
2 私立幼稚園等子育て支援カウンセラー事業について 
(1)事業の目的と創設の背景等について
(2)今後の取組について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <企画県民部①>

質問日:平成31年3月4日

議員名:黒田 一美 委員

1 自主防災組織体制強化推進事業について

地域コミュニティの中で人と人との関係が希薄になってきている昨今、自主防災組織の活動が低調になることは時代の流れと言える。しかし、災害に遭ったときに、自助の次に重要なのはやはり近隣に住まう方々による共助である。自助ではカバーできないところを、公助の手が届く前に手を差し伸べることができれば、深刻な事態に陥る前に命を救うことが可能になる。阪神・淡路大震災や東日本大震災など大きな災害時に実例が多く紹介されていることは皆さんもご承知のとおりである。

そのため、やはり行政としては、その共助がきちんと機能するよう取り組んでいくことが重要であり、自主防災組織の活性化は重要なポイントになると思う。

県では、来年度、自主防災組織体制強化推進事業において、インセンティブ支援として訓練未実施組織の訓練の継続実施を促す支援を拡充策として行うとしている。具体的に訓練未実施の理由もある程度承知した上での取組だと思うのだが、それでは、自主防災組織の訓練未実施というのは全県でどれくらいあるのか、今後、こうした地域の訓練実施促進についてどのような取組みを展開していくのか伺う。

2 私立幼稚園等子育て支援カウンセラー事業について

(1)事業の目的と創設の背景等について

県では、今年度から、問題行動をとる園児やその保護者への継続的なケアを行うため、カウンセラーを配置する私立幼稚園等を支援することにより、幼児教育の質の向上を図ることを目的として私立幼稚園等子育て支援カウンセラー事業に取り組まれている。今回提案されているのは、今年度から対象園数を50園増やす、拡充するということなので、おそらく各園からもニーズがあり、専門家の対応が必要とされるほど問題行動をとる子どもたちが増えているとも考えられる。

そこで、まず、この事業の目的と創設の背景、具体的にどういう現場の声を反映したのかなどについて伺う。

(2)今後の取組について

次に、来年度、幼児教育無償化が始まることから、子育て支援の充実、幼児教育の質の向上につながるこの事業を、より多くの園において実施されるよう進めていくべきと考える。来年度は今年度から対象園数を50園増やすという案になっているが、実施園を増やすため、今後どのような取組を進めていくのか、考えを伺う。

●病院局
1 神戸陽子線センターの利用向上について
(1) 陽子線治療への保険適用について
(2)患者確保に向けた取組について
(3)今後の運営方針について

全文

平成31年 平成31年度予算特別委員会(病院局)

日 時:平成31年3月5日(火)

質問者:黒田 一美 委員

1 神戸陽子線センターの利用向上について

(1)陽子線治療への保険適用について

陽子線治療は一般的にがん治療に用いられるX線と比べ、陽子線のエネルギーによって体内に到達する深さをコントロールできることから、がんに集中して放射線を当てることが可能となり、その結果、陽子線治療だけであれば通院で治療ができるなど、患者の生活環境に大きな影響を与えない、負担の少ない治療である。

全てのがんが陽子線治療に向いているわけではないが、頭頸部腫瘍や脳腫瘍等の原発性がんに加え、単発性の転移性腫瘍(肺・肝・リンパ節のみ)、白血病を除く小児がん、骨軟部腫瘍などのがんを得意としており、これらのがんであれば、患者のクオリティ・オブ・ライフに配慮した治療が可能である。

しかしながら、大部分が先進医療であることから、健康保険の適用が限られているといった課題がある。治療費は「陽子線治療技術料」と診察検査などの「一般診療」の合計金額となるが、公的医療保険の対象となる一部の小児がんや頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍と前立腺がん以外の「陽子線治療技術料」は288万3千円で自己負担となることから、非常に高額となり、優れた治療であるものの、限られた人しか利用できないといった実態がある。

これまで2016年には小児がん(限局性の悪性腫瘍)が保険適応となり、更に昨年4月には頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍、前立腺がんなど一部の部位の治療に対する陽子線治療が公的医療保険制度の給付対象となるなど、少しずつではあるが適応範囲が広がっているが、多くの患者に利用してもらうには、保険適応となるかどうかが非常に大きな鍵となる。

そこで、保険適応に向けての現状と課題に加え、今後の保険適応の拡大の可能性について伺う。

(2)患者確保に向けた取組について

神戸陽子線センターは隣接する県立こども病院と連携した小児がん患者への治療提供を重点とするほか、あらゆる世代の県民に対する身体への負担が少ない粒子線治療を行う粒子線医療センターと一体となったがん医療に取り組むため、平成29年12月に開設した。

また、開設にあたっては、小児患者だけでなく成人患者への陽子線治療の提供として、神戸大学や神戸市立医療センター中央市民病院等近隣の医療施設との連携も進めると言われていたと思う。

これら近隣の医療機関との連携等により、患者は徐々に増加しているものと考えているが、近隣府県において、大阪府では大阪陽子線クリニックが、また岡山県ではがん陽子線治療センターなどがあり、神戸陽子線センターの優位性をしっかりと把握し、積極的にPR等をしていかなければ、実績をあげていくことは難しいのではないか。

そこで、平成30年度当初予算における患者確保数の目標は小児と成人患者で260人とのことであるが、実際の見込みはどうなっているのか、またあわせて現状の課題と今後の取組の考え方について伺う。

(3)今後の運営方針について

前の質問にも関連するが、実績を上げていくには他の医療機関との連携が重要となる。小児患者に対しては、隣接する県立こども病院と渡り廊下で直結し、物理的にも非常に連携しやすい状況であることに加え、神戸陽子線センターは通院が可能で交通の便も良いことから、近隣の医療機関との連携もしやすいのではないかと思う。

特に、当初は神戸大学や神戸市立医療センター中央市民病院等と連携し、化学療法・手術等との組み合わせによる高度な治療を提供すると言っておられたが、神戸陽子線センターでは陽子線治療に向いているかどうかを含めて相談が可能ともお聞きしており、そうであれば、患者の確保の点からも、地域の診療機関も含めて連携していくべきだと考える。

また、このような連携を図るためには、医療機関の連携だけでなく、実際の治療に携わる医師の連携も非常に重要となってくるのではないか。

そこで、他の医療機関との医師の連携はどのようにされているのか、また連携により行われた治療の実績と、今後、神戸陽子線の特色を生かしどのように運営を行っていくのかについて伺う。

●産業労働部
1 県内企業の海外進出支援について
2 外国人就労の拡大に伴う取組について
3 起業の支援について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <産業労働部>

質問日:平成31年3月6日

議員名:黒田 一美委員

1 県内企業の海外進出支援について

本県では、県内企業の海外展開を支援するため、ひょうご海外ビジネスセンターをはじめ、ひょうご国際ビジネスサポートデスク、ビジネスミッションの派遣等様々に取り組まれている。当然のことではあるが、国内で事業を行うのと違って海外進出は、進出する国の経済情勢は元より、法律の違い、文化の違い、安全の確保など、事前に十分リサーチをした上でなければ、メリットよりデメリットが多くなるわけであるから、その支援も、企業が求める多様なニーズに応えられる体制が必要となる。

もちろん、JETROなどの政府系の機関もあるし、神戸市など県以外の自治体、商工会議所などいろいろな機関でもそれぞれ海外進出支援を行っているし、進出しようとする国の大使館なども進出を促すための取組を行っていたりするので、県で対応できない部分は、そうした機関とうまく連携しながら、海外進出を希望する企業のニーズに応えていけばよいのだと思う。

そこで、県内企業の海外進出の支援について、これまでの取組の評価と、平成31年度の取組について伺う。

2 外国人就労の拡大に伴う取組について

昨年12月の我が会派の代表質問で、入管法の改正もあり今後増加が予想される外国人県民の生活にどう対応していくのか、と質問した。

その際の答弁の中で、「外国人県民インフォメーションセンター」を設置して、多言語により住宅、医療、就職など生活に密着した相談に対応しているとの答弁があった。

また、県国際交流協会の方で外国人コミュニティと地域住民のふれあいの場の提供を行っているということで、様々な角度から、外国人県民の方々への対応がなされていることがわかった。

ところで、外国人労働者の新制度が導入された。現在でも増えているとのことなので、それが加速することも考えられる。また、グローバル化がさらに進展するならば、県内に住む外国人は増加していくだろうが、数よりもその出身国が多様になれば、いろいろ課題も多様になるのではないか、と考えられる。

これはよその事例だが、群馬県の大泉町は町民約4万1千人のうち5人に1人程度が外国人であるばかりでなく、実に出身が44カ国にわたっているというから、日本人からすればコミュニケーションをとりづらいと感じるであろうし、逆に外国人からすれば日本語が理解できない、自分の言葉が通じない、ということから不安な心持ちで生活している方々もあることが想像される。

一つの例でしたが、そうした外国人県民が生活に係る不安をいくらかでも解消していただくための取組は進めていく必要がある。

先に挙げた現在ある「外国人県民インフォメーションセンター」は日本語を含む5カ国語対応のところ、新年度整備される「ひょうご多文化共生総合相談センター(仮称)」はさらに言語が追加され、11カ国語での対応が可能となるとのことである。これはこれで頑張っていただきたいと思っている。

そこで、言語数の増加をはじめ、どのように相談体制を強化していくのか。また、コミュニケーション支援の視点から生活者としての外国人県民をどのようにフォローしていくのか、伺う。

3 起業の支援について

世界銀行グループがビジネス環境の現状という報告書を出している。その中の起業のしやすさランキングをみると、世界190の国と地域の中で、我が国は89位だそうである。

あるSNS大手の元経営者がアメリカの大学で講演した際、日本にはそもそも起業家自体が少ない、つまり周囲に起業家が少なくロールモデルや手本となる身近な人がいない、起業家に身近に触れる環境がないので自分も起業できるかもしれない、自分で事業を起こそうという発想が湧かないのだと言っている。確かに、起業というのは、大きな責任を伴うものであり、身近に起業している人がいなければ起業など思いもよらず、企業等に勤める方を自然に選ぶ方が多くなるのは理解できるところである。

今定例会で提案された次期ひょうご経済・雇用活性化プランには、起業家数について記述があり、それによると、本県の起業家数は約5万人で全国8位だが、人口1人あたりでは0.91人で全国25位だという。

先に述べたように、我が国がそもそも起業の少ない国であり、その中でも本県は起業家の割合が少ないということになる。廃業率も上昇傾向と聞いているので、本県の経済・雇用環境をよりよくするためにも、起業支援の取組についてさらなるがんばりを期待したいところである。

そのような中、県では女性やシニアの起業支援に取り組んでいる。その内容は起業にあたって必要になる事務所開設費や初度備品費などを補助するようになっている。これは起業しようとする方にとっては非常に助かるものであるのでよいのだが、先ほどの視点、そもそも起業しようとする人を増やすために、起業家の数を増やしていく、そして起業した人たちと身近に触れることができるような取組にも力を入れていく必要があるではないかと考えるが所見を伺う。

●企業庁
1 安全・安心な水道用水の供給について
2 産業用地の分譲の取組状況と今後の展開について
3 「兼高かおる旅の資料館」の今後について

全文

平成31年 平成31年度予算特別委員会(企業庁)

日 時:平成31年3月8日(金)

質問者:黒田 一美 委員

1 安全・安心な水道用水の供給について

水道事業については、全国的に人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の課題があり、これらの課題に対して水道の基盤強化を図るため、昨年12月に改正水道法が成立した。

改正水道法では公共施設の運営権を民間企業に一定期間売却するコンセッション方式の導入が盛り込まれ、民間との連携による選択肢も選択できることとなったが、水は生活に欠かせないものであり、県は17市5町1企業団に水道用水を供給していることを考えると、県の対応によっては県民へ大きな影響を与える可能性もある。水道水は県民の命を支える大切な事業であり、安全・安心な水道用水の供給の観点からも、県の企業庁が直営として責任を持って運営していくべきである。

先日の一般質問において、県営水道のあり方を問う質問があったが、その中でコンセッション方式の導入については、「当面は導入の必要はないと考えている。先行団体の状況等も十分注視をして研究を行っていく。」との答弁があった。私は県民の安全・安心を考えると、安易に民間に頼ることなく、健全な経営体質の維持に取り組むことが必要ではないかと考えるが、ご所見をお伺いする。

2 産業用地の分譲の取組状況と今後の展開について

兵庫の元気づくりに取り組む地域創生戦略を推進するためには、企業立地による地域経済の活性化が重要な要素の1つであると考えている。

平成30年上期の工場立地動向調査においては、本県への立地件数は31件で全国3位(立地面積は26.6haで全国7位)となっており、本県に対する企業立地のニーズは大変高いものとなっている。

産業用地の分譲は、雇用の拡大や地元企業への受注拡大など、地域貢献が期待できる企業等の立地を進め、本県の産業基盤の提供に大きく寄与しているものと考えている。

現在、企業庁においては、播磨科学公園都市及び淡路津名地区産業用地の分譲を積極的に推進しており、引き続き企業庁が本県の企業立地を牽引していく必要があると考えるが、企業庁における産業用地の分譲の取組状況と今後の展開について伺う。

3 「兼高かおる旅の資料館」の今後について

企業庁が所有し、淡路市が指定管理者制度により運営している「淡路ワールドパークONOKORO」は、年間27万人をこえる観光客が利用されている。

このONOKOROには、先日亡くなられた旅行ジャーナリスト兼高かおる氏のコレクションが展示されている「兼高かおる旅の資料館」や、世界の「ミニチュアワールド」などの施設があり、淡路島のレクリエーション施設として一定の地位を占めている。

兼高かおる氏については、訃報が新聞記事でも大きく取り上げられるなど、偉大な旅行ジャーナリストとしての功績が改めて注目されているが、ONOKOROでも追悼イベントとして特別展が開催されているとも伺っている。

そこで、これまで兼高氏がどのように「兼高かおる旅の資料館」を含めたONOKOROの運営に関わってこられたのか、また今後この施設をどのように運営していくのか伺う。

●教育委員会
1 松帆銅鐸に係る今後の取組について
2 淡路島周辺エリアの歴史的価値について
3 文化財保存活用大綱について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <教育委員会>

質問日:平成31年3月11日

議員名:黒田 一美委員

1 松帆銅鐸に係る今後の取組について

平成27年4月に南あわじ市で見つかった松帆銅鐸は、今から2000年以上前に作られ、紀元前4世紀から2世紀の間に埋められたものと、南あわじ市のホームページで紹介されている。こういう古い時期の銅鐸が一度に大量に埋められたことが珍しいことや、発見された7個のうち1個は全国でも11例しかない菱環紐式(りょうかんちゅうしき)という最古段階の形で、他の6個も次に古い外縁付紐式(がいえんつきちゅうしき)という形であること、銅鐸を吊り下げて鳴らすための青銅製の舌(ぜつ)という棒が7個中6個に入っていたことなど、全国的に見ても非常に貴重な発見であると思う。

また、松帆銅鐸のうちの1個が、島根県出雲市の荒神谷(こうじんだに)遺跡で発見された銅鐸と同型の鋳型でつくられたこともわかり、古代の淡路と出雲の広域的なつながりも言われていると聞く。

銅鐸は全国で500個ほど見つかっていると聞くが、その中でも松帆銅鐸の価値は秀でているのではないかと考えている。

そこで、このような松帆銅鐸について、県としてどう評価しているのか伺うとともに、今後、どう活用していこうと考えているのか所見を伺う。

2 淡路島周辺エリアの歴史的価値について

先ほどの質問で、松帆銅鐸が埋められたのは紀元前4世紀から2世紀の間と申し上げた。いわゆる弥生時代である。邪馬台国よりはるかに古く、中国であれば秦の始皇帝が活躍した時代である。そういう時代に、淡路にも文明を持った我々の祖先が生活をしていた、ということである。

淡路島は、記紀の国産み神話で日本列島の中で最初に創造された島として知られる。平成28年4月、日本遺産に認定されているが、そのタイトルも「古事記」の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人(あま)の営み~となっている。海人というのは、優れた航海術をもって王権を支えた海の民のことだというが、大陸や朝鮮半島と畿内を結ぶ大動脈である瀬戸内の海の東端で、畿内の前面にある島として、古代国家形成期に重要な役割を果たした“海の民”の歴史があったと日本遺産のストーリーで紹介されている。

我が国の創生を支え活躍した淡路島周辺エリアには、松帆銅鐸以外にも鉄製品の加工、製作ができる鉄器工房があった可能性があるといわれる舟木遺跡があるなど、まさに古代史を解明する上でも非常に重要な歴史を持っていると思われる。

そこで、淡路島周辺エリアの歴史的価値について、県教育委員会ではどう評価しているのか、また、それを踏まえて今後どう取り組もうと考えているのか伺う。

3 文化財保存活用大綱について

昨年の文化財保護法の改正により、都道府県が文化財保存活用大綱を策定すること等が制度化された。その趣旨は、都道府県における文化財の保存・活用の基本的な方向性を明確化するもので、都道府県内で各種の取組を進めていく上で共通の基盤になるものだという。特に、域内の市町にある文化財の総合的な保存・活用の方針や複数の市町にまたがる広域的な取組、市町への支援の方針などが大綱に定められることにより、複数の市町にまたがる歴史的・文化的関連性を有する地域圏・文化圏域に特化した取組の方針を定められ、関連する市町が円滑に連携して取り組むことができるようになるという。

このことは、今回質問した淡路島のように、関連する文化財が市域を越えて点在する場合に、文化財の保存・活用がうまく進むことが期待される。

そこで、県として文化財保存活用大綱をどのように位置づけ、今後の文化財の保存・活用を図っていくのか、当局の所見を伺う。

黒田 一美
神戸市垂水区

●企画県民部①
1 県外の私立高等学校等に通学する生徒への授業料補助のあり方について 
(1)これまでの授業料軽減補助対象について
(2)授業料軽減補助対象の拡充について

全文

第343回定例県議会 予算特別委員会 <企画県民部①>

質問日:平成31年3月4日

議員名:前田 ともき

1 県外の私立高等学校に通学する生徒への授業料補助のあり方について

(1)これまでの授業料軽減補助対象について

昨年の代表質問で県民サービスの向上例として授業料軽減を取り上げた。例えば、年収350万円未満の県外に通学する私立高校生には年間2.7万円の県補助がある。しかし、なぜか大阪や岡山など隣接県のみが対象になっており、奈良や滋賀への通学は補助の対象外となっていることは問題だと考えていた。NHK放送文化研究所の2016年調査では高校生の往復通学時間は1時間33分だが、尼崎駅からだと奈良の私立高校にも1時間ちょっとで通学できる。

今回の予算案で関西圏に通学対象が拡大して上程されたので安心した。県民にとって、子どもにとってはどの学校で何を学びたいかが重要であり、その学校がどこの都道府県に所在しているのかは関係のないことである。

また、長時間の通学、多額の交通費をかけてでも学びたい意欲を私は応援したいと考えている。

そこで、まず、なぜ従来は隣接府県のみを対象としていたのか伺う。

(2)授業料軽減補助対象の拡充について

しかし、この予算案をよく見るとこの春新入生からの学年進行で適用、という附則があり驚愕した。

事前の説明では、過去の国の就学支援制度も新1年生からだったからだとのことだが、それは子どもには関係のないことである。そもそも、これまで補助対象外だったことがおかしいと考える。

ちなみに、奈良・滋賀・和歌山・徳島に通学する見込生徒数は152人で、そのうち、補助対象者は49人を見込んでいる。必要な予算は1学年あたり120万円であり、予算上の制約はないはずである。

新2年・新3年生も対象とすべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

前田 ともき
神戸市東灘区