議会の動き

◆19年12月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  竹内 英明 議員

一般質問  木戸 さだかず 議員
      石井 秀武 議員

代表質問

(竹内 英明 議員)[発言方式:一問一答]

1 関西広域連合のあり方について
2 神戸市立学校での教員いじめ事案と県教育委員会の人事制度について
3 学校における薬物乱用防止対策について
4 指定暴力団の抗争激化に伴う特定抗争指定暴力団の指定について
5 播磨と但馬を結ぶ「播但連絡道路」について
6 職員の超過勤務の削減について
7 「兵庫県行財政運営方針」への大規模事業の反映について

質問全文

第346回 定例県議会 代表質問

質問日 :令和元年12月6日(金)

質問者 :竹内 英明 議員

質問方式:一問一答 方式

1 関西広域連合のあり方について

関西広域連合が設立から12月1日で丸9年を迎えました。一方、先日11月26日の神戸新聞には「関西広域連合長退任に含み 井戸知事、任期の来年12月で」という記事も出ました。

知事の定例記者会見の内容も見ましたが、広域連合の設立の狙いの一つである国の事務の移譲がなかなか進まない状況に触れた上で、連合議会からは「大きなテーマとして、広域連合が期待された機能をもっと発揮しろという、激励、そのような意味の質問がかなりあった」「しっかりやっていきたいと思っているが、しかし、何年も私ばかりが連合長をやっているのもどうかと思う。」「ですから最後の1年になるということを心に留めて、しっかりバトンタッチできる体制を作り上げていければ、と私自身は決意しています」と発言されている。

一方、大阪を始めとして首長が関西広域連合の執行機関である広域連合委員会に出席しないことを自身の求心力に置き換えて、「そのような運用しかできない連合長は早く替えた方がいいのではないかと、自戒の意味を込めて私自身は思っています」とも述べているが、中長期的な視野で関西広域連合のあり方に危機感を感じておられる証左ではないだろうかと感じています。

私自身今年の6月まで2年間、関西広域連合議会に連合議会議員として出席しました。議会では定例会ごとに一般質問も行われましたが、事務が限られている一方、議会の定数が39人と多く、質問の重複がしばしばみられました。

常設ではないにしても府県同様の本会議場設定や答弁方式など府県議会と同様の誂にしているのも、丸ごと移管を前提にしたもので今の所掌事務には合っていないと感じました。

また、広域連合議会に首長として100%出席していたのは、井戸知事だけでありました。2年間で1回だけという出席の首長もいました。

こうした状況の中で、関西広域連合長から井戸知事が退き、かつ現状の事務程度に留まるならば一部事務組合への移管や議会規模の縮小、広域連合のあり方そのものを問う声が噴出してくることが容易に想像できます。

ドクターヘリや災害時のカウンターパート方式による被災地支援、資格試験事務など一定の成果を上げている一方で、当初の設立目的である、中央省庁からの関西広域連合に対する権限移譲については知事自身が「取り付く島もない」と答弁されていることからも現状はかなり厳しいと思いますし、国民の側にも地方分権に対する熱意を見て取ることはできません。連合委員会や議会への首長の出席率低下はそのような背景によるものではないでしょうか。

知事が退任することが関西広域連合の今後のあり方に大きく影響し、広域連合の一層の求心力低下につながりかねないという懸念をもちますがどう考えておられるか伺います。

2 神戸市立学校での教員いじめ事案と県教育委員会の人事制度について

神戸市立東須磨小学校で教員同士のいじめ事案が発生しました。大きく報道されたことで、市教育委員会がいじめた教員らに出勤停止を命じ、条例改正によって有給休暇の扱いを中止させるなど行政処分を行っているほか、刑事事件として県警の捜査も行われています。

この問題の背景の一つに、いじめを主導的に行ったとされる教諭について、元校長が自ら指名して東須磨小学校に呼び寄せた教員であり、校長側近という位置づけから、周囲からも一目置かれる存在となり、他の教員とは違うような位置づけとなっていたという報道がありました。これは同一校の滞在上限を迎えた教員等の人事について、校長が欲しい教員を市教委に連絡することにより、その希望に配慮して人事異動を行うという神戸市独自のもので俗に「神戸方式」と呼ばれています。

校長が指名して異動させた教員だから他の教員以上の権限を持つなんて通常はありえない話ですが、この度、来年度の人事異動からこの神戸方式を順次廃止していくことを決めたとのことであります。

兵庫県教育委員会でも県立学校の教員の人事については、校長が欲しい教員について在職校の校長と情報交換し、県教委に相談、提案する方法があることを私は従来から承知しています。ここでは「兵庫方式」と呼びますが、このことによりいじめや学校での教員の序列化といった負の側面が発生しているとは聞いたことがありません。

教育委員会が直接、教育現場にいる全ての教員の人事評価を行うことは困難であり、校長が人事についても一定の役割を果たすことはむしろ組織運営のあり方としては一般的であろうと思います。

実際に複数の校長や教職員課勤務経験者に話を聞きましたが、こうした提案制度は必要であるとの意見でありましたし、民間企業出身の神戸市立中学校の教諭も神戸新聞の東須磨小暴行・暴言問題教諭座談会において、神戸方式について問われ、「各学校で教育課題は違い、それぞれの学校が求める人材を取りに行くのは、僕は悪くないと思う。

ただ、民間企業にいた身からすると、異動希望の有無を本人が選べて、それが通ってしまうのは違和感があるし、今回の問題とも関係している気がする」と答えています。本人の異動希望が優先されることが問題と。

私自身もこの教諭と同じ認識で、校長の提案を受けるという「兵庫方式」は問題と捉まえておりませんが、神戸の事案に対する県民の関心が極めて高い実情を踏まえ、敢えて質問します。

県立学校の教員の人事異動、校長に提案権をもたせる、いわゆる兵庫方式についてこれからもこうした運用を続けるのかなど如何に考えているのか伺います。

3 学校における薬物乱用防止対策について

先月16日、来年のNHK大河ドラマで主要な役柄を演じる予定だった有名女優が合成麻薬MDMAの所持容疑で逮捕されました。長きにわたって様々な薬物を使用していたと報道されています。

国内における2018年中の薬物事犯の検挙人員は1万3,862人と、高い水準にあり、うち大麻事犯の検挙人員が3,578人と警察庁が保有する1958年以降の統計で最多となっています。約半数は未成年及び20歳代の若者が占めるなど、青少年を中心に大麻の乱用の裾野が拡大していることが指摘されています。

大麻については、「有害性はない」等の誤った情報が氾濫しており、医療用大麻の解禁を求める公約を出す国会議員の立候補者が出たり、先進国の一部で大麻が合法化されたと報道されるなど、使用へのハードル低下が指摘されていますが、大麻は、より幻覚性が強く、副作用や依存性も強い覚醒剤等へのゲートウェイドラッグ、つまり薬物使用の入口とも言われており、その拡大を防止しなければなりません。

元有名タレントが先月、5回目の覚せい剤取締法違反により逮捕されましたが、薬物の危険性を語る講演などをしており、更生しているとのイメージもあったので大変驚きました。改めて薬物の依存性の恐ろしさを見せつけられました。

昨年8月に厚生労働省で策定された「第五次薬物乱用防止五か年戦略」においては、児童生徒等の薬物乱用の根絶に向けた規範意識の向上を図るため、学校における薬物乱用防止教育を一層推進することを求めています。

その中で、学校保健計画の中に「薬物乱用防止教室」を、位置付け、すべての中学校及び高等学校において年1回は開催するとともに、小学校においても開催に努めることが明記されています。県内公立学校の実情はどうなのでしょうか。

全国では2017年度に京都府や大阪市など14府県市が小・中・高等学校で100%実施しているのに対して、兵庫県は72.9%、神戸市は56.5%。私立学校を含めた都道府県別のデータでは66.1%と47都道府県中41位となっています。直近2018年度の県のデータをみると県教委の足元の県立高校2校で実施されていません。学校の余裕時間がないことは承知していますがどうなのでしょうか。

私が中学生当時、たばこの害を教える授業はインパクトのある内容でした。保健体育の上山先生が教室で生徒に「トイレからトイレットペーパーをとってこい」と。そして自らタバコを吸って、息をトイレットペーパーに吹きかけると黄色の液体がつく。「これがたばこや。ニコチンやタール、中毒性や発がん性があるんや」。30年たった今でも鮮明です。

薬物の怖さを子どもの頃に意識させることで、好奇心、投げやりな気持ち、断りにくい人間関係といった麻薬使用の最初の一歩を踏みとどまらせる可能性があります。学校における「薬物乱用防止教室」を含めた対策について伺います。

4 指定暴力団の抗争激化に伴う特定抗争指定暴力団の指定について

先月27日、尼崎市で指定暴力団神戸山口組幹部が射殺される事件がありました。犯行には殺傷能力の極めて高い自動小銃が使われたと報道されています。また、襲われた場所は通常の飲食店の前であり、一般の人が流れ弾に当たって巻き込まれる可能性もありました。

8月には、神戸市にある六代目山口組の中核組織弘道会の関連施設の前で暴力団員が拳銃で撃たれました。10月には、神戸市にある神戸山口組の中核組織山健組の事務所の前で、暴力団員2人が拳銃で撃たれて殺害されました。8月の事件の報復とも報道されています。

こうした抗争によって先月、六代目山口組と神戸山口組の本部組事務所等について暴対法に基づき使用制限の本命令も出されましたが、今回の事件はこうした対策だけでは防ぎきれませんでした。両団体を更に厳しい「特定抗争指定暴力団」として指定することで、抗争事件を防ぎ、住民の安全を確保できるのではないでしょうか。

特定抗争指定暴力団とは、「指定暴力団等の相互間に対立が生じ、対立抗争が発生した場合において、当該対立抗争に係る凶器を使用した暴力行為が人の生命又は身体に重大な危害を加える方法によるものであり、かつ、当該対立抗争に係る暴力行為により更に人の生命又は身体に重大な危害が加えられるおそれがあると認めるとき」とされ、特に警戒を要する区域「警戒区域」を定めて、当該対立抗争に係る指定暴力団等を特定抗争指定暴力団等として指定するものであります。

組事務所の使用制限が近隣住民を「点」で保護するのに対し、特定抗争指定は警戒区域という「面」で幅広く市民を保護できるものであります。

過去に特定抗争指定がなされたのは、2012年の九州における道仁会と九州誠道会の抗争だけですが、その時は指定から半年で両組織が抗争の終結宣言を出しました。特定抗争指定の効果は絶大だったと言われます。

特定抗争指定によって、暴力団員が事務所に出入りすることや対立組織の事務所や組員の居宅周辺に近づくこと、組員が多数集まること等も犯罪となります。2つの暴力団ともいつ特定抗争指定暴力団の指定を受けてもおかしくないという自覚はあるはずで、指定までの間に駆け込みで報復をするなど抗争を頻発させる恐れもあります。一般人が巻き添えになったら大変なことになります。特定抗争指定暴力団の早期指定を求めますが、実務についてのことなので警察本部長に伺います。

5 播磨と但馬を結ぶ「播但連絡道路」について

播但連絡道路は、姫路JCTから朝来市の和田山JCTに至る、兵庫県道路公社が管理している一般有料道路です。兵庫県内の幹線道路網のうちの「播磨但馬軸」として位置づけられた路線で、1970年より建設が進められ2000年に完成しました。姫路で姫路バイパスと和田山で北近畿豊岡自動車道と接続しています。

この度、この「播但連絡道路の大規模修繕等に関する有識者会議」において、今後約170億円もの修繕費が必要になるというデータが示されました。

突如として多額の財源が必要になると提案されたことには大変驚きましたが、播但連絡道の建設当初の償還計画策定時の考え方として「道路の構造物は日常的な維持管理を行っていれば、機能や価値が損なわれない」「構造物の大規模な更新・修繕をするとういうこと自体が想定されていない」と、これまで大規模修繕費は全く見込んでいなかったとのことです。

一方、兵庫県道路公社の財務内容はどうでしょうか。「道路公社は計画に基づき償還を進めていますが、災害等が一度も発生しない場合でも、償還期限(2032年10月)時点での道路公社内部保留金はゼロ」「現計画で新たに大規模修繕費・耐震対策費が加わると償還は不可能」という説明ですが、財務諸表の動向から概ね妥当だと思います。

一方、11月20日に清元姫路市長や姫路市北部地域の連合自治会長らが出席して行われた「姫路市北部地域づくり推進協議会」の行政懇談会の場で、出席者から、播但連絡道と並走する国道312号の朝晩の渋滞の状況、姫路・福崎間で通勤に約1時間程度かかってしまう状況から、播但連絡道の側道や生活道路、通学路等への抜け道利用が頻発していることが報告され、国道312号の渋滞解消に向けた対策について県姫路土木担当者へ強く要望がなされたところであります。

早期に国道312号の拡幅を実施するか、迂回路としての播但連絡道の利用を拡大する、これは道路の設置目的である「国道312号の交通緩和を図り、住民福祉の増進と産業経済の発展に寄与する」にも合致するものであります。

有識者会議において県の担当者は現行料金、普通車・姫路和田山の全線利用時1,470円を維持して徴収期間を2042年まで延長するケースと、徴収期間は変更せずに料金を約1.5倍に値上げする2案を示し、委員間協議の場では、料金値上げを検討する声もあったと報道されています。

これまで播但連絡道では、但馬地域と播磨地域の交流促進を図るため、2015年度からETC割引等を実施し、2017年度からは平日の姫路・和田山間を普通車で上限1,000円とするなど利用者拡大を図ってきました。これを最大2,000円に戻すという話はこれまでの施策と矛盾しています。

値上げにより想定される課題等として「播但連絡道の利用者の減少に伴い、一般道に影響がでる」「料金値上げに伴い、観光、産業等に影響を及ぼす」等があげられていますが至極当然であります。

値上げにより、さらに一般道に流れ、渋滞がひどくなるといったことが許されるのか。どう考えても1.5倍の値上げはありえないと考えますが伺います。

6 職員の超過勤務の削減について

昨年、「働き方改革」関連法が成立しました。約 70 年振りに労働基準等を大きく改正し、「長時間労働の是正」などを行うもので、初めて時間外労働の罰則付き上限規制が導入されました。時間外勤務についての労使合意、いわゆる36協定でも超えることができません。

その上限は、原則・月45時間・年360時間とし、特別の事情があり労使が合意する場合でも、月100時間・年720時間を超えることはできません。上限を守らなかった企業の経営者等は、罰則として「6カ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科されます。

一方、県職員は地方公務員であり、多くの場合、労働基準法の適用を受けないことから独自にルールを定めています。知事部局の場合、規則により、上限を月45時間、年360時間にしています。また、特別の事情によりその上限を超える場合でも、年間720時間としており、民間と同じです。

ところが、公務員には上限を超えても罰則制度はありません。また、災害等の対応については、規則は適用されません。

とはいえ罰則等に関わらず長時間労働の是正は必要です。私は過去にもこの問題を取り上げてきました。知事部局が10年間の行革で人員を3割減らして、同じ事務量ではどこかにしわ寄せが来るのではないかという考えからです。

2015年には決算特別委員会で取り上げました。2014年度の知事部局の超過勤務手当の対象者が約5,400人で年間1,000時間を超えた職員が18人。最も多かった職員は、1,422時間でした。2番目に多い職員は、1,186時間でした。それに遡る2011年にも決算特別委員会で同じ質問をしました。2010年度の最も多かった職員は1,100時間でした。

委員会では、いずれも人事課長や管理局長が答弁に立ち、「1,100時間の職員はかなり突出したものだという認識をしている」「特定部署に集中しているこの超過勤務の縮減に地道に取り組んでいきたい」などと改善に向けた決意が示されました。結果として改善されているのでしょうか。

昨年度の知事部局を調べたところ、最も多い職員は年間1,071時間、手当額が297万円、次いで多いのは1042時間で372万円。1000時間を超えた人数こそ2人に減っていましたが年間360時間という規則の上限を超えている職員は434人、そのうち特別の事情のある場合の上限720時間を超えている職員は29人もいました。

また、年間時間の上位10人の所属課を調べると3名が同じ課でありました。災害対応等の突発事項があるとしても特定の部署で人が足りていないのではないでしょうか。震災時に他の自治体に応援派遣をするように突発事項の発生時には他部署からの応援派遣をするなど柔軟な対応も必要でありましょう。

過労死、労働災害の認定基準でも、心臓発作とか、発症前1ヵ月間に概ね100時間を超える時間外労働が認められる場合、あるいは発症前2ヵ月から6ヵ月にわたって毎月80時間を超える場合には、業務と発症との関連性が強いなどの目安が示されています。

こうしたことも、これまで委員会で取り上げてきましたが、次こうした質問をしなくてもいいように県幹部が一同に会する本会議で取り上げました。超過勤務の縮減のための知事の決意を聞きたいと思います。

7 「兵庫県行財政運営方針」への大規模事業の反映について

兵庫県の行財政についての中期的な方針「兵庫県行財政運営方針」は県議会での議決を経て定められ、2019年度~2028 年度の10 年間の財政フレームなどを定めています。また、3年ごとを目途に見直しを行うこととしています。

一方、知事は先月行われた自身の後援団体 新生兵庫 講演会での県政報告の最後に、県の財政について「震災関連県債が約3,600億円まだ残っている。行革期間内に発行した資金手当債も約2,900億円ある。これから10年も財政を再建しながら県庁舎の建替えや三宮再開発への協力などをしていく」と述べていました。

また過去の兵庫ジャーナルのインタビューでも知事は県庁周辺再編整備について「整備費用は約600億円を見込んでおり、現在約180億円の県有施設等整備基金があるので、着工までに半分は基金を積んで対応したい、残る300億は30年償還で毎年10億円の負担、これに耐えられる体質を5年で作る」と語っています。

昨年8月に開催された「行財政構造改革調査特別委員会」で私は財政フレームに県庁建て替え費用が捕捉されてないと指摘しましたが、当時の担当局長は「今後庁舎整備の事業費が仮に追加となった場合においても、このフロー指標の財政運営の目標というのは、変更するというようなことはない」「後はその中で、どう庁舎整備の財源を確保していくかということになる」「今のフロー指標の上限を超えないので、そのもとで適切に財政運営を行えば、今後10年間では必ずストック指標をはじめ、県債残高は確実に減っていくと見込んでいる」と答弁され、ある意味では既存の財政指標目標の枠内でこれらの追加の行政需要に対応するとのことでありました。

しかし、さらに神戸市市街地再開発事業への県補助金という新たな財政負担が持ち上がっています。これは、先月11日に開催された県公共事業等審査会において「新規着手妥当」と判断された「神戸三宮雲井通5丁目地区 市街地再開発事業」のことで、事業主体の負担に加えて、国県市の補助金による負担が必要との話であります。これは最大でどのくらいの県負担が予想されるのでしょうか。

県庁建て替えによる大きな負担に加えて、さらにこうした追加負担が加わる。県庁建替え前に300億円の基金がまず確保できるのか。今後の財政指標の改善は本当に目標とおり見込めるのか。

また、これら桁違いに大きなプロジェクトについては財政フレームに別途その費用や償還計画などを明記するなどしてその財源等を明確にさせておく必要があるのではないかと思うがどうか。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)

一般質問

(木戸 さだかず 議員)[発言方式:分割]

1 街路樹の景観阻害の問題について
2 農地集積率の将来目標と小農(生活農業、兼業農家)が果たす役割について
3 女性への健康支援の必要性について
4 児童虐待防止に向けた取組の推進について
(1)一時保護のあり方と課題解決について
(2)負の連鎖を断ち切る教育について
(3)アタッチメント(愛着)とトラウマへのケアの必要性について
(4)体罰等禁止の啓発について

質問全文

第346回 定例県議会 一般質問

質問日 :令和元年12月9日(月)

質問者 :木戸 さだかず 議員

質問方式:分割方式

1 街路樹の景観阻害の問題について

道路の景観向上、緑陰形成のために、多くの道路で街路樹が植えられています。

街路樹については、大きく成長し都市景観向上の役目を果たしているものや、ケヤキ並木など沿道景観を美しく彩っているものも多くありますが、一方で、大きくなることで住宅や農地に日が当たらなくなることや落ち葉の問題などの苦情も発生し、伐採を余儀なくされたものも多くある状況となっています。

本年9月定例会でも、北上議員から、街路樹の伐採、撤去の検討の必要性が述べられました。当局からは、街路樹剪定は概ね2~3年に一回実施することにしており、今後、多自然地域を中心に地元住民の意見を聞いた上で街路樹を撤去するとの回答がありました。

十分な予算を確保し剪定頻度をあげることができればこのような問題は減るとは思いますが、予算が無限にあるわけではありませんので、この方向性は理解するところです。

一方で、今回質問で取り上げさせていただくのは、景観を阻害する街路樹の問題についてです。

予算が限られていることが原因か、時折、強剪定の度を越えて、棒状にされた街路樹を見受けることがあります。

これは見た目にも悪く、街路樹本来の役割と真逆の不快感しか与えないもので、結果、新芽の時期には樹木の切り口から多くの枝が発生し、見た目の悪さに加え、翌年以降の剪定作業も煩雑になることになります。

街路樹の計画的な更新もままならない状況なのは理解しますが、このように景観を阻害してしまうような街路樹を生み出すことは、本末転倒なのは言うまでもありません。

そこで、こういった景観を阻害する街路樹を生み出さないためにも、街路樹の剪定や撤去の基準を盛り込んだ維持管理指針の策定が必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

2 農地集積率の将来目標と小農(生活農業、兼業農家)が果たす役割について

国の農業経営基盤強化促進法では、効率的かつ安定的な農業経営を育成するとして、農用地の利用集積を進めるとされています。

これを受けて、兵庫県でも農用地の利用の集積に関する目標を定めており、現在の国の目標値80%に対して、県内の多様な営農類型を踏まえ、耕作面積の3分の2、つまり66%を集積するという目標値を掲げています。

しかし、現実をみると、集積率は、2018年度で23.4%となっており、ここ4年の推移を見ても、年間1ポイント未満の上昇幅となっています。

2025年度の66%集積という目標に対し、このままのトレンドで推移すると、うまくいって30%と、目標の半分も満たさない状況となっています。

一方で、農林水産ビジョン2025で示されている農業の担い手数の推移をみると、経営体の区分ごとで見ても、2025年度の目標値に向かって概ね順調に推移していることがわかります。

ということは、農用地集積の目標値を達成、または近づけるためには何か劇的な変化、政策がない限りとても不可能であると理解できるというのが普通の見方であると思われます。

つまり、本県の農業構造と担い手数の推移をみると、農用地の大半は、今後もやはり小農といわれる生活農業や兼業農家が支えていくのであり、農用地の集積と農業振興施策も現実路線に転換すべきと考えます。

現状、県内自治体によっては、人口減少していく社会であるにもかかわらず、全ての農用地を維持する前提にたった政策を展開しています。例えば、獣害柵を今ある農地すべてを守るために山裾に設置しており、将来的な維持管理を考えると、先が見通せない現実があります。こういった投資は、将来的には無駄だったとなる可能性もあり、県として、現実的な路線を見極め、かつ、小農といわれる農用地の大半を支える人たちにどのような支援をしていくべきかを検討することが必要なのではないかと考えます。

そこで、農地集積と小農に対する考え方と今後の方針について、ご所見をお伺いします。

3 女性への健康支援の必要性について

今、女性活躍という名のもと、女性の社会進出の必要性が叫ばれています。

女性の社会進出が進む中、日経BP総研と一般社団法人ラブテリが働く女性を対象にした「仕事と健康に関する調査2019」においては、ヘルスリテラシーの高さが働き続ける自信につながっていること、会社から健康サポートを受けられていると感じている女性ほど、長く健康で働き続ける自信があるという結果が発表されました。

今、日本では、20~40代の母親となる世代の痩せ体型の増加、カロリー摂取量が終戦直後を下回る、貯蔵鉄不足の隠れ貧血が1,000万人、血中ビタミンD濃度の不足による新生児ビタミンD欠乏症・くる病や葉酸欠乏による二分脊椎症の発症など、次世代への影響が危ぶまれるという現状があります。

実際に、妊婦の葉酸不足が日本泌尿器学会で報告されており、正常新生児にビタミンD欠乏症が高頻度で見られることが、京都大学依藤(よりふじ)医学研究科講師らの研究グループから報告されています。

また、低出生体重児がOECD加盟国ワースト1位と、既に課題が顕在化しています。

また、一般社団法人ラブテリによると、顕在化できていない課題として、子どもの貧血があり、新生児の貯蔵鉄は母親の貯蔵鉄と比例し、出生週数・出生体重が影響を与えるとされています。

元々成長期の子どもは鉄分不足に陥りやすく、特に「離乳期貧血」が1歳前後に起こりやすくなると言われています。

乳幼児の鉄不足は脳の中枢神経の発達を妨げ、認知機能の低下などをもたらすとされていますが、現状、この年代へのスクリーニング機会はないに等しい状態です。

内閣府男女共同参画局の資料でも、20~40代の女性の痩せ志向の問題点と、女性のBMI低下に伴い、低出生体重児が増えたことの問題が取り上げられています。

兵庫県でも、低出生体重児の割合は、ここ10年9.5%程度で横ばいとなっており、女性の痩せ問題と低出生体重児の問題は継続しています。

県の健康づくり推進実施計画では、低出生体重児の割合を令和4年度に「減少」させるとの目標値が設定されていますが、これまでのトレンドを見ると、今まで以上の効果的な政策を展開していく必要があるのではないかと考えるところです。

また、女性の痩せ問題については、20代の痩せについては減少しているということでしたが、10代では増加しているなど課題も見受けられると考えられます。

先に挙げた一般社団法人ラブテリによる調査では、働く時間が増えるほど朝食の欠食率も高くなり、栄養摂取が悪化しているという結果も出ており、今後、女性の社会進出が益々進んでいく中、女性への健康支援の重要性は増していくのではないかと考えます。

そこで、これら女性への健康支援は、今後、より積極的にアプローチし支援していくべき政策分野であると考えますが、現状認識と課題、今後の取組方針についてご所見をお伺いします。

4 児童虐待防止に向けた取組の推進について

児童虐待事案が年々増加しています。

本県議会でも多くの議員がこの問題を取り上げ、国でも本年6月、児童虐待防止法と児童福祉法を改正し、児童虐待事案を防ごうと今、様々な取組が始まっています。

児童虐待に関する各議員の質問に対しても、井戸知事は前向きな答弁をされており、今後、児童福祉司などの専門職の増員、資質向上への取組充実や、虐待通報への対応強化、その他、一時保護について、介入的対応と支援との機能分化などについても速やかに進んでいくものと期待しています。

一方で、虐待は、その3~4割が世代間連鎖であり、こども家庭センターの機能強化を図っても、根本原因にアクションしない限り虐待事案を減らすことは難しいと言われています。

そこで今回は、虐待の負の連鎖、世代間連鎖を断ち切るための政策として、子どもたちの権利擁護、教育への支援、そして、しつけと体罰、虐待という概念を正しく周知していく必要性などについて、以下4点質問させていただきます。

(1)一時保護のあり方と課題解決について

まず1点目は、子どもたちの権利擁護の観点から、一時保護のあり方と課題解決について伺います。

県では、虐待や非行などにより、一時保護の必要性が生じた場合速やかに一時保護されています。

本年、健康福祉常任委員会の管内調査で一時保護所を視察させていただきましたが、施設は壁に穴があいていたり、子どもたちが外部と自由に出入りのできない状態になっていたり、また施設の構造からも、機能別に部屋が順番に配置されているだけで、生活者目線の環境整備がなされていないと感じました。

一時保護所のあり方については、全国的な課題として専門家からも意見されており、今は地域ごとに一時保護所を設置するという分散型が求められています。

また、大人数を同じ施設で保護することや、混合処遇についても課題とされています。

本県の一時保護所でもこれらの課題を抱えており、今後、施設の分散化や小規模化、施設構造の見直しも必要と考えます。

以上を踏まえ、一時保護のあり方と課題解決に向けた取組について、ご所見をお伺いします。

(2) 負の連鎖を断ち切る教育について

2点目は、虐待の負の連鎖を断ち切る子どもへの教育について伺います。

虐待事案の3~4割が世代間連鎖、つまり虐待サバイバーと言われる親によるものであると述べましたが、いわゆる親から継いだ虐待の負の連鎖が、児童虐待に大きく影響している現実があります。

半数以上の親は負の連鎖を断ち切っていますが、重症度が高い虐待事例ほど、世代間連鎖の割合が高いという専門家の報告があります。

大阪市生野区では、教育現場で「性・生教育」という事業が行われており、増え続ける虐待事案に対し、根本的なアクションが必要という意識から、取組が始まったと聞いています。(大阪府子ども虐待防止アドバイザー 辻 由起子氏より)

溢れる情熱で教育を展開し、実際に効果も確認されており、今後、さらに大きな教育成果が表れてくるのではないかと思っています。

本県でも、学校において命の尊さ、性に関する教育が実施されていますが、児童虐待の負の連鎖を断つという明確な目的意識をもって、より踏み込んだ教育プログラムの構築が必要と考えます。この点について、ご所見をお伺いします。

(3)アタッチメント(愛着)とトラウマへのケアの必要性について

虐待を受けた子どもたちは、トラウマを抱え、愛着障害を抱える子が多くいることが指摘されています。

この子たちにとって一番必要なのはアタッチメントの形成と言われています。虐待はトラウマになるケースが多く、トラウマとアタッチメントにアプローチする治療とケアを実施することは重要な取組です。

一方で、虐待をしてしまった親も同じく悩みを抱えています。

山梨県立大学の西澤教授は、重大な虐待事件を起こした親も、徐々に追い詰められていった心理状態があり、特に虐待サバイバーである親の治療とケアは大切と指摘されています。

そして、取り組むべき課題として、体罰等の有害性に関する理解の促進と適切な養育方法への志向性の動機付けやトラウマからの回復の他、アタッチメントへの手当や加害者臨床の視点からの学びをあげておられ、これらのケア充実を望むところです。

以上、アタッチメントとトラウマへのケアの必要性について、ご所見をお伺いします。

(4)体罰等禁止の啓発について

4点目は、体罰等禁止の啓発についてお伺いします。

悲惨な児童虐待事件において、虐待に関与した疑いで逮捕された親族が「しつけのためだった」と供述するケースが後を絶たないことから、本年6月、児童虐待防止法が改正され、親権者や里親、児童福祉施設長が子どもをしつける際の体罰禁止が明文化されました。

親権者に必要な範囲で子どもを戒めることを認めている民法の懲戒権についても、改正法施行後2年を目処にそのあり方を検討するとされており、今後、しつけという名目での体罰は民法上も禁止される可能性があり、しつけという名で体罰を行うことは許容されないことが法律上も明確になる時代が来ようとしています。

今は沢山のエビデンスもあり、「怒鳴る」「叩く」子育ては子どもの成長によい影響を与えないことがわかっており、厚生労働省も体罰・暴言は子どもの脳の発達に深刻な影響を及ぼすと啓発しています。

「子ども自身は否定せず、この手が悪いと手だけ叩く」、「お尻を叩く」という方法ならいいだろう……と思いきや、3歳半までにお尻などを叩かれた子が5歳半のときに問題行動を起こす(「落ち着いて話を聞けない」「約束を守れない」など)リスクが高いという研究結果も報告されています。

このように、しつけの中で行う体罰も、子どもたちの発達に深刻な影響を及ぼすことが明らかになっている一方で、しつけとしての体罰を容認する傾向は依然根強くあります。

2017年に実施されたセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの2万人アンケート(2017年7月実施)では、約7割が「しつけの一環として子どもを叩いたことがある」と回答。56.8%が「しつけのための体罰を容認」しているという結果が出ています。

インターネット上では、今も、「しつけ 体罰」と検索すると、子どものしつけに体罰は必要かというタイトルのページがトップにあがり、それでも体罰は必要だ!との見出しで、著名人が体罰の効果と必要性を訴える記事が出てきます。

本年5月10日の国会本会議において、議員の質疑に対し安倍首相が次のとおり答弁されました。

「体罰は、たとえしつけを目的とするものであっても許されないものであります。そもそも、親権者以外のものについては、民法上の懲戒権を持たないため、従来より、体罰を加えることは許されていません。いずれにしても、体罰はどのような理由があっても許されないということを法律の上でも国民の意識の上でも徹底し、虐待の根絶につなげてまいります」

県としても、しつけという名目での体罰容認も許されるものではないということを保護者だけではなく、すべての県民に広く周知し、徹底していく必要があると考えますが、ご所見を伺います。

木戸 さだかず

(選挙区:神戸市須磨区)

(石井 秀武 議員)[発言方式:分割]

1 サイクルツーリズムによる地域振興について
2 総合リハビリテーションセンターの今後の展開について
3 小規模林業への支援について
4 明石公園のリノベーションについて
5 競技スポーツ強化に向けた取組について
6 西神中央駅周辺のリノベーションに対する安全・安心の確保について

質問全文

第346回 定例県議会 一般質問

質 問 日:令和元年12月10日(火)

質 問 者:石井 秀武 議員

質問方式:分割方式

1 サイクルツーリズムによる地域振興について

サイクルツーリズムは自転車による健康づくりとともに、地域の景観を楽しみながら走ることができることから新たな地域資源として活用できる可能性があり、全国の各自治体で様々なイベント等が開催されています。

また、国では海外からの訪日外国人旅行者の観光のスタイルが買い物中心の「モノ消費」から、体験型中心の「コト消費」に変化してきたことから、インバウンド効果を全国へ拡大するため、「サイクル観光」による積極的な取組を進めようとされています。

このように、身近な自転車を活用することにより交流人口の拡大をもたらす地域創生につながる可能性が大いに期待できることから、私はこれまでもツール・ド・ひょうごや六甲山を活用したヒルクライムの実施などについて提案を行ってきたところですが、兵庫県においても関係するイベントとして、距離が50㎞以上となるロングライドでは、丹波のツール・ド・丹波や山陰海岸ジオパークコウノトリチャレンジライドin但馬、私も今年は9年ぶりに参加しましたが、第1回大会の設立に少し関わり、今年10回目の開催となった淡路島ロングライド150など、多くのイベントが開催されるようになりました。さらに各県民局等が関係する地域のイベントも開催されています。

また、新たな取り組みとして、先日大鳴門橋への自転車道の敷設に向けた風洞試験を徳島県と協力して実施し、大鳴門橋全体の耐風安定性に問題ないことが発表されました。この大鳴門橋の自転車道が完成すると、人気を集める「アワイチ」から四国へ周遊できる新たなコースが可能となり、さらに、将来的に海外からも高い評価を受けている「しまなみ海道」と結ぶことができれば、瀬戸内海を1周する「セトイチ」への期待も高まり、世界に誇れるサイクリングロードとなる可能性もあります。

このように、兵庫県でも着実に根付き、さらなる展開が見込めるサイクルツーリズムですが、今後も発展させるためには、走行環境の整備や国内・海外の方に来てもらうために必要な受入環境の整備、各地域の特色を活かした魅力づくり、魅力を伝えるための情報発信・プロモーション、関係地域との連携など、多くの課題があると考えています。

地域活性化につながるサイクルツーリズムを積極的に推進するには様々な課題に取り組み、「セトイチ」などは他県との連携を進めていく必要がありますが、現状では個々のイベントに個別に対応している状況です。

私は県内各地で取り行われようとしている自転車を利用した大会を開催時期や大会スタイル、例えば自転車の大会といっても、ロングライドをはじめ、ヒルクライム、クリテリウム、エンデューロ、タイムトライアル、シクロクロス等々さまざまな大会があり、それぞれに根強いファンがいる中で、全県を網羅しながら戦略的に大会を構成していくことにより国内外に発信力を持った県独自の魅力ある大会に育てていけるのではないかと考えています。これも一例ですが「関西シクロクロス」の大会も県内には会場がないようで、こういった大会を誘致することも重要だと思います。

そこで、更なる交流人口の拡大に向け、地域創生の推進策としてサイクルツーリズムを積極的に活用するにあたって、大会の効果的な集客のために、地域バランスを踏まえた開催時期や場所の調整等を行うことで、大会の参加者はもちろん大会を支える方達にも参加しやすい環境を整えるなど、県全体を見渡し、総合的な判断ができる体制づくりが必要と考えますが、当局のご所見をお伺いします。

2 総合リハビリテーションセンターの今後の展開について

先月、総合リハビリテーションセンター開設50周年記念式典が開催されました。式典の中で、センターの創設に関わった澤村顧問による基調講演があり、センター設立時のさまざまな困難や、2次圏域毎に地域リハビリテーション広域支援センターを整備する兵庫県方式が介護保険の導入の際に厚生省で採用され、現在、全国での地域リハシステムの整備の基礎となったことなど貴重な話があったと伺っており、あらためて兵庫県の総合リハビリテーションセンターの果たしてきた役割の重要性を再認識させられたところです。

この総合リハビリテーションセンターは医療・福祉の多様な施設機能を生かし、高度で専門的な医学、社会、職業リハビリテーションサービスを一体的に提供するなど、障害者や高齢者の自立した生活や社会参加の支援に加え、近年では福祉のまちづくり研究所を核として、最先端技術を活用した医療・介護用リハビリロボット等の拠点化を推進されるなど、兵庫県においてリハビリテーションの県域拠点として重要な役割を発揮されております。

しかしながら、9月にあった報道では、厚労省ががんや救急など高度急性期又は急性期医療の診療実績が少ない病院や近隣に機能を代替できる民間病院などがある病院等について「再編統合について特に議論が必要」と位置づけ、その再編の検討を求めた公立・公的病院のリストの中に、兵庫県立リハビリテーション中央病院が含まれておりました。総合リハビリテーションセンターはセンター内にある各施設が連携し、入院から社会復帰までの一貫したサービスを提供しており、専門医やセラピスト、看護師等チームアプローチによる高度で専門的なリハビリテーション医療を提供するリハビリテーション中央病院は欠かせません。今後も各施設が一体となって兵庫県におけるリハビリテーションの拠点としての役割を果たすよう、国に対してもリハビリテーション中央病院の重要性をしっかりと認識していただくように働きかけていただきたいと思います。

また、総合リハビリテーションセンターは、今後も地域の拠点となるような取組を積極的に展開する必要があると考えます。

開設50周年を記念して職員から募集し選定されたキャッチフレーズ「『FROM HERE!』ここから!」には、センターの持続的発展を目指すという強い思いが込められており、また式典後の懇親会で陳所長が総合リハビリテーションセンターの今後について、①場所:総合リハから全国へ、②質:レベルの向上、③時:未来に向けてという3つの思いを込めて発信していくとの発言がありましたが、是非その意気込みで取り組んでいただきたいと思います。

そこで、変化し続ける社会環境の中、先進的な取組をこれからも進めるために、どのように展開されようとしているのか、当局のご所見をお伺いします。

3 小規模林業への支援について

兵庫県の森林率は67%であり、その4割を占める人工林の多くが主伐期を迎えておりますが、全国的には昭和30年頃には9割を超えた木材自給率が4割を下回る状況となっており、我が国の林業はなかなか元気を取り戻せていないと感じています。

森林の公益的機能の発揮に向けて、人工林資源を、伐採・利用し、再造林、保育と続く林業生産サイクルを円滑に循環させ、林業が産業として十分に成り立っていくよう取り組んでいく必要があり、県においても、平成29年に兵庫県県産木材の利用促進に関する条例を議員提案により制定し、条例制定を契機として、県産木材の利用促進を通じた林業・木材産業の発展と、森林の多面的機能の持続的な発揮に向けて、林業の収益性向上や県産木材の新たな需要開拓、担い手の育成等のさまざまな取組を進めておりますが、その中で林業の収益性向上としては、主伐・再造林の推進に向けた低コストモデルの構築や高性能林業機械の導入促進を進められています。

しかし、県内には高性能林業機械の導入を進めて規模拡大を目指す企業的な事業体以外に、家族経営的な小規模の担い手もまだまだ多いのではないでしょうか。

私は今年4月末に徳島県で、家族経営で自ら所有する山林を経営されている自伐型林業の取組を視察してきました。そこでは、森林に小規模で壊れにくい作業道を張り巡らす「高密度路網」を整備して搬出コストを抑え、皆伐ではなく間伐や択伐による持続可能な林業経営をされていました。確かに林業を成り立たせるには、伐採利用が可能な森林の集約化や高性能林業機械の導入による生産性の向上、流通の合理化といった施策が重要であることは間違いありませんが、一方で森林の自然災害や地球温暖化の防止等の公益的機能の維持・向上を図るには、森林整備の一翼を担っている小規模の担い手に対する支援についても、しっかりと対応していく必要があると感じます。

この小規模な担い手の中には、森林を持っていなくても、地域の森林所有者から森林管理を請け負うことで新規に参入される方や、都会から移住して他の業種と組み合わせて行う方もあると聞きます。

そこで、主伐・再造林はもちろん進めていただきながら、家族経営的な小規模の担い手であっても、持続可能な林業経営ができるよう、森林環境譲与税を活用するなど、県独自の財政的な支援も含めて積極的に支援していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4 明石公園のリノベーションについて

私は10年前の平成20年2月定例会において、明石公園のあり方の質問をしました。その時は「新行革期間を経て、築城400年などを迎えるときに一定の方向性が得られるよう、着実に検討を進めていく」との回答でありましたが、今年はその明石城築城400周年を迎えています。

県土整備部においても、県立都市公園の魅力向上のための事業アイデアや収益施設の市場性の有無の把握について、今年7月から都市公園等のマーケットサウンディング調査をされております。

民間の力を活用して、様々な視点から明石公園のあり方を検討していくことは重要であり、特に明石公園の魅力向上としては明石城を活用し、城と一体となった検討が必要です。その上で、老朽化が進み今後大規模改修が必要なスポーツ施設などをどうするのかといった検討が必要と思いますが、その検討案の中にアリーナの新設を検討ができないでしょうか。私は全国でいろんな施設を見てきていますが、近接するスポーツ施設と共存するアリーナは大変魅力あるものになると確信しています。

6月定例会でも質問があったように、県内の施設では老朽化や収容人数の関係から、コンサートなど多目的に利用が可能で国際レベルの大会が開催できる施設の整備は、スポーツ振興や地域の活性化の観点からも選択肢の一つとして考えられます。

また、先日の新聞記事では、関西は首都圏に比べてアリーナの少なさが指摘されており、大阪では大阪・関西万博の開催までに万博記念公園内に民間事業者が整備して運営する民設民営方式により2~3万人規模を収容可能な国内最大級のアリーナが誕生することで大阪に需要が移る可能性もあることから、知事も「新アリーナは検討しないといけない課題」と発言されていました。

一方、国ではスタジアム・アリーナが地域活性化の起爆剤となることが期待されることから、多様な世代が集う交流拠点となるようなスタジアム・アリーナを2025年までに20カ所を整備することを具体目標として掲げています。

このような状況の中、明石公園は文化財保護法に基づく史跡の指定を受けている城跡に加え、史跡の保存に伴う空間的な制約や既存のスポーツ施設をどうするかなど、公園のあり方を検討するにはさまざまな課題等があることは認識しておりますが、都市近郊で交通アクセスも非常によい立地環境にあります。史跡保存等の課題点の整理やニーズを十分に把握した上で、史跡や既存のスポーツ施設との一体的な整備により、地域活性化につながるリノベーションの検討が求められているのではないでしょうか。

そこで、明石公園の今後の利活用を考える中で、アリーナの規模やイベント需要、地域に求められる施設機能などを具体的に打ち出すことにより、どのような関心が寄せられるのかサウンディングしていってはいかがでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

5 競技スポーツ強化に向けた取組について

県では、平成24年に概ね10年間のスポーツ施策の基本的な考え方や具体的な方向性を示す「兵庫県スポーツ推進計画」を策定し、スポーツ立県ひょうごの実現に向けて様々な取組が行われています。

計画では、重点目標として「競技力レベルの向上」を掲げられておりますが、県民の運動やスポーツに対する意識を高めるためには、選手の活躍が重要な要素であります。先日のラグビーワールドカップでは、日本は史上初となるベスト8進出を果たしましたが、この快挙により私の周りでも、ラグビーの「にわかファン」が増え、広くスポーツに対しても興味を示す方が増えました。

このように、選手やチームの活躍はスポーツへの関心に大きく影響し、さらに地元ゆかりの選手が活躍すれば、その競技人口の増加にも影響することが推測されますが、トップアスリートは簡単に発掘・育成等ができるものではありません。ジュニア期からの継続的な支援が重要となります。

私はこれまでから、国内最大の総合体育大会である国民体育大会に向け た競技力の向上について提案してきました。兵庫県スポーツ推進計画では、平成18年に開催されたのじぎく兵庫国体後の目標は、男女総合成績となる天皇杯、女子総合成績の皇后杯ともに8位以内の順位を目指すとなっていますが、のじぎく兵庫国体後、2億5千万円を越える強化費をかけ目標としている8位以内の成績もあったものの、それ以降はなかなか10位以内の成績が得られず、強化費自体も約1億8千万円に削減され、今年度の「いきいき茨城ゆめ国体」では天皇杯13位と残念な結果となっています。せめて目標である8位以内に入るよう、しっかりと来年度の予算確保に向けて取り組んでいただきたいと思います。

また、強化にあたっては必要な予算確保だけではなく、トレーニングの質の向上も重要です。先日、文教常任委員会の管外調査で福岡県の「タレント発掘事業」について調査を行いました。この事業は、個人の運動能力や形態特性に応じた競技種目に導く「競技種目選択型」モデルであり、小学4年生から中学1年生までを対象とした、子どもたちの能力を「見つけ・育て・活かす」事業です。平成16年度から開始され、一次選考会に申し込まれる児童・生徒数も増加傾向にあるなど参加者数が増加しています。また、成果についても平成16年度以降、国際大会出場者46名、全国大会優勝者63名を輩出しています。

兵庫県においても同じような取組をされておりますが、福岡県の事業の中で特に目をひいたのは科学的に能力等の情報分析をされ、その結果に基づき課題や特性を明らかにしたり、自己の能力適性や目標に応じた競技種目の提示などを行っていた点です。従来の競技指導は、指導者の過去の経験に基づく強化指導が中心だったと思いますが、このような客観的な情報に基づいた強化が今後ますます求められていくと考えています。

そこで、「スポーツ立県ひょうご」として、県内の競技スポーツ強化に向けて、必要な予算の確保はもちろん、アスリートを支える基盤づくりとして科学的な視点での効果的なトレーニング等を取り入れるなど充実が必要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

6 西神中央駅周辺のリノベーションに対する安全・安心の確保について

神戸市では現在、西区役所の新庁舎移転整備が進められており、この機会を契機として神戸市の西部地域や東播地域を含むエリアにおける商業・業務・文化などの都市機能の拠点として神戸市営地下鉄西神・山手線の西神中央駅周辺一帯のリノベーションに取り組まれています。西区新庁舎は令和3年度に竣工予定であり、西神中央駅周辺の本格的な文化・芸術ホールや機能を大幅に拡充した新西図書館の整備、新たな人を呼び込む住宅供給についても、今年4月に整備事業者の公募が行われるなど、着実に新たなまちづくりが進められています。

この西区は昭和57年に垂水区から分区し、当時9万4千人であった人口が平成27年度には24万8千人と約2.6倍に増加しました。特に西神ニュータウンでは約1千人から10万人と大幅に増加している中で、この庁舎移転整備と駅周辺のリノベーションが完成すれば、さらなるまちのにぎわいにつながり駅周辺の利用者が増えると考えられることから、今以上に治安の維持が求められます。

開発の中心に位置する西神中央駅には、すぐ近くに県民の安全・安心の確保の要となる神戸西署がありますが、神戸西警察署管内の大幅な人口増に伴い事件・事故等の事案も増加したことから、警察官の定員が増員されたことで狭隘化が進んでいます。実際に神戸西署は今年度の警察署員の定員は324人と県内6位、管内の人口は今年4月時点で24万940人の県内4位、また5年平均でありますが、刑法犯認知件数は約2,000件で県内10位、人身事故発生件数は約1,400件で5位、110番受理件数は約17,400件で5位と県内でも人口・事件等ともに上位を占めています。このような実態もあり、また、神戸西警察署の利用者からは駐車スペースが不十分であり不便であるとの声も伺っております。

私はこれまでも定例会の一般質問で、警察活動への支障や利用者の利便性向上の観点から神戸西警察署の整備に関する対策を講じるよう指摘してきましたが、増築による若干の狭隘化の解消を図っていただいたものの、根本的な解決には至っておりません。

老朽化が進む警察署については、計画的な耐震化や建て替え等による整備に取り組まれていると思いますが、神戸市が進めている西区役所の駅周辺への移転やリノベーションによる人口増に加え、現在、検討が進められている警察署等の再編整備により、全県的な警察職員の配置の見直しが行われることから、この機を捉えて神戸西警察署の整備促進についても検討すべきではないでしょうか。

そこで、今後も県民の安全・安心を確保するため、警察力の充実を図るには、核となる神戸西警察署の環境整備の見直しについて、早急に検討を進める必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

石井 秀武

(選挙区:神戸市西区)