議会の動き

北上 あきひと議員が質問(予算審査・教育委員会)

質問日:令和3年3月15日(月)

質問者:北上 あきひと 委員

1.公立夜間中学について

「教育機会確保法」によって、全ての地方公共団体に夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務付けられました。地方公共団体においては、夜間中学を新たに設置すること、夜間中学を既に設置している場合は受け入れる対象生徒の拡大を図ること等が求められます。本県においては、神戸市と尼崎市において公立夜間中学が運営されており、姫路市内においては設置に向けた取組みが展開されていると聞き及んでいるところです。義務教育を修了せずに学齢期を過ぎた人々や日本の義務教育に相当する教育が未修了の外国人が通う夜間中学のニーズは、2015年7月30日の文部科学省通知により、実質的に義務教育未修了と言える不登校によるいわゆる“形式卒業者”の再入学が認められるようになったことからますます高まったと考えます。夜間中学施策の一層の拡充を願い、質問をさせて頂きます。

(1)  夜間中学設置市と未設置市町との覚書・協定書締結について

県のご尽力と尼崎市はもとより阪神間各市のご理解、ご協力により、新年度より尼崎市立成良中学校琴城分校の入学要件が緩和されることになりました。神戸市立の夜間中学においても、市内在住在勤者以外にも門戸が開かれたと聞き及ぶところです。

今後、夜間中学未設置市町在住者で夜間中学に入学を希望する者の入学手続きが円滑に進むよう、設置市と未設置市町との間において、教育負担金等を定める覚書・協定書の締結が必要であると認識しますが、現状と課題、また県教育委員会として果たすべき役割についてお伺いします。

(2)経済的に困窮する生徒への支援について

昼間の義務教育課程においては、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して就学援助がなされます。これは、学校教育法に基づくものです。しかし、学齢期を過ぎた生徒を受け入れる夜間中学においては、経済的な理由で就学が困難な生徒であっても、残念ながら就学援助の対象にはなりません。夜間中学の生徒の通学圏は広域であり、交通費等の負担が多額になる場合も想定されます。経済的に困窮する夜間中学の生徒に対しては、在籍する期間中の何らかの経済的支援を保障することが求められていると認識しますが、現状と課題について、ご所見をお伺いします。

(3) 教職員の配置について

夜間中学の生徒は、年齢構成に幅があり、民族も多様で母語や習慣も異なり、また様々に複雑な課題を抱えた人も多いと認識します。学びの機会を逸してきた人々が、夜間中学での学習によって社会との結びつきを深め、暮らしの質を高めて行くために、教職員の果たす役割は大きく、幅広い知識と洗練された高い指導力、熱意とあくなき向上心など総合的な人間力が求められるのではないでしょうか。加えて、日本語を駆使することが困難な生徒が増加していることから、日本語指導の担当教員加配の必要性も感じるところです。教職員の配置の現状と課題について、ご所見をお伺いします。

(4) 全県的な広報について

夜間中学入学への潜在的ニーズは高いと思われるため、広く、的確な広報活動によって、大きな反響があると考えます。市町の枠を越えた広域的な受け入れが本格的に始まる新年度においては、県の積極的な広報活動が尚一層強く求められるのではないでしょうか。県は、夜間中学の生徒募集を、県民にどのように周知して行かれるのか、今後の広報活動の取組内容についてお伺いします。

2.中学校の部活動における合理的、科学的で適切な指導の徹底について

中学校の部活動は、体力や技術力の向上、学年や学校を超えた人間関係の構築、責任感や協調性の養成等に資するものであり、心身の成長が著しい時期における大変有益な取組だと考えます。一方、子どもたちを取り巻く社会経済環境が大きく変化し、教育課題が多様化、複雑化するなか、部活動のあり方について抜本的改革が求められており、スポーツ庁より「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が、文化庁より「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」がそれぞれ示され、本県教育委員会でも「いきいき運動部活動」の改定や「文化部活動の在り方に関する方針」の策定等、持続可能な部活動に向けた様々な改革が行われていると認識するところです。

昨今、県内の中学校部活動において、顧問教員による体罰、また言葉や態度により精神的に追い詰める指導に起因し、生徒が重傷を負ったり不幸な事案に至るケースが散見されるところであり、極めて残念なことです。合理的、科学的で適切な指導の徹底が求められていると考えます。生徒の心身の健康保持、顧問教員による体罰や言葉の暴力、ハラスメントの根絶等に向けて、県教育委員会としてどのような指導や支援を行うのか、その現状と課題について、ご所見をお伺いします。

3.学校給食について

新年度は、学校給食での地場農畜水産物の活用を図るために、農畜水産業の理解を深める研修会を開催し、学校における食育を推進することが示されています。県内産物を活用した学校給食は、子どもたちの心身の健全育成に寄与し、ふるさと意識醸成にも繋がるものです。本県は、日本海と瀬戸内海に面しており、多様性に富む気候風土と都市近郊の立地を活かした農畜水産業が力強く取組まれています。安全で美味しい食材が豊富なため、質の高い食育が展開できると考えます。県内市町においては、地域の特性を活かした食育や学校給食の取組がなされていますが、その内容の充実が求められており、県による一層の支援が肝要であると考えます。

また、農林水産省が2050年に有機農業用の農地を100万ヘクタール(全体の約25%)に増やす目標などを盛り込んだ新たな農業戦略を打ち出す等、食の安全や地球環境保全への意識の高まりから、有機農産物への関心が高まっていると認識します。

学校給食においては、地場農畜水産物による「地産地消」の一層の推進と、安全で環境に配慮した「有機農産物」の導入を期待するところですが、ご所見をお伺いします。