議会の動き

◆21年9月定例会 代表・一般質問

概要 代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  向山 好一 議員
一般質問  木戸 さだかず 議員 中田 英一 議員

代表質問

(向山 好一 議員)[発言方式:一問一答]

1 新県政推進室について
2 知事給与および退職金減額について
3 コウノトリ但馬空港について
4 コロナ対策について
5 播磨灘・大阪湾ベイエリア再生プランについて

質問全文

質 問 日:令和3年9月27日(月)

質 問 者:向山 好一 議員

質問方式:一問一答方式

まずは齋藤知事、ご当選誠におめでとうございます。

齋藤知事は、県政の刷新を訴えて85万票を上回る堂々たる成績で当選され、県民からその若さと行動力に大きな期待が寄せられています。県民は齋藤新知事の最大の公約である「県政の刷新」に対し何をどう刷新されるのか注目しています。私ども「ひょうご県民連合議員団」も勿論その具体的中身に注目していますが、井戸県政のときと同様、齋藤知事に対しても変わらず「是々非々」の態度で臨み、賛同できる政策に対しては積極的にバックアップし、改めるべき政策には遠慮なく苦言を呈し改善を求めていくことをまずは表明致します。

1 新県政推進室について

まずは、「新県政推進室」について伺います。

この「新県政推進室」は知事の肝煎りで誕生した新たな組織であり、知事の最大の公約である「県政の刷新」を具現化するものとして注目されています。

「県政の刷新」、私もその必要性を認識している1人ですから、それを否定するつもりは全くありません。しかし、その前提は、これまで長年培ってきた良きものは継続していく、言い換えれば「変えるべきものは変えるが守るべきものは守る」ということが大切ではないでしょうか。例えば兵庫県が行政の基本としてきた「参画と協働」の言葉に表れているように、「県政の刷新」もトップの独断ではなく多くの立場の人々からの声を聞き、出来るだけ県民のコモンセンスを反映させていくべきであります。齋藤知事は先週の本会議で「県民ボトムアップ型県政は私の基本姿勢」と発言されているので、そのことは大切にされると思っています。

今後、行財政運営方針を見直すうえで、まず「課題と検討方向」に沿って具体的な見直しを進め、行財政運営方針の見直し(一次案)を年内に策定し、来年2月に最終案を取りまとめるスケジュールをお考えのようですが、その際に先ほど触れました県民の「参画と協働」をどう担保されるおつもりなのでしょうか。こういった質問をさせていただく背景として、「課題と検討方向」や行財政運営方針の見直し案を考えるのは県庁内の部局、その旗振り役の「新県政推進室」も全員が県の職員、これでは行政サイドから見ただけの「県政の刷新」になりはしないかとの危惧を抱くのであります。

こういった懸念、指摘に対する知事のご見解を伺います。

2 知事給与および退職金減額について

次に知事給与および退職金減額について伺います。

この議会に「知事給与30%、退職金50%減額」をする条例改正案が知事より提出されています。知事が「まず隗より始めよ」の言葉の如く率先して行革に取り組む姿勢を示すことを否定はいたしません。しかし、それが何をもたらすのかを地に足を付けて慎重に議論する必要はあると思います。

そこで、まずこの減額案によって県の歳出がどれだけ削減できるかというと年額約1,000万円、本年度の一般会計予算2兆7,300億円に占める割合は0.0004%程度。金額の多寡ではなく姿勢を示すことが重要ということでしょうが、その削減からは残念ながら行革効果は殆ど生まれません。

一方、現在の兵庫県知事の給与126万円、一期4年分の退職金3,860万円という金額は、総務省の地方公務員給与実態調査によると、給与で全国47都道府県のうち上から14番目、退職金は8番目となり、兵庫県の人口、経済規模、県土面積からすると決して突出している額ではなく適切な水準にあると言えます。それを条例案通りに減額すると給与が93.8万円で下から5番目、退職金が2,026万円となり下から2番目となり急激にランクが下がります。

さらに同時に副知事の給与および退職金の減額案も提案されていますが、その内容は根拠に乏しく数字合わせの印象を受けます。

このようなことを踏まえ、知事給与および退職金の減額率がなぜ30%・50%なのか数値的根拠とそこに込めた狙いは何なのか、知事のお考えを伺います。

3 コウノトリ但馬空港について

次に、大型投資事業であるコウノトリ但馬空港について伺います。

コウノトリ但馬空港は開港以来27年間、一度として運営収支が見合ったことがなく、近年では空港管理や運営に要する費用として約5億円、航空会社への赤字補填に約2億円、毎年計7億円程度を兵庫県が支出しています。それに加え、羽田からの直行便や各地からの就航に対応することを目的として1,200mの滑走路を2,000mにまで延長する計画があり、その事業費として400億円とも言われる多額の投資を検討しています。

わが会派は、以前よりこのようなコウノトリ但馬空港の今後の在り方について疑問を呈し、幾度となく警鐘を鳴らし続けています。それは、この多額の投資に対しそれに見合った経営改善がなされる見通しが全く存在しないと認識しているからです。

齋藤知事はこれまでのしがらみに囚われず、事業をゼロベースで見直すことを大きな公約に掲げて知事に就任されただけに、この問題に対しても正しいご判断ができると期待しています。知事はコウノトリ但馬空港の滑走路の延長計画に対する費用対効果についてどのようなご認識をお持ちかお伺いいたします。

4 コロナ対策について

次にコロナ対策について質問します。

現在進行形の第5波はデルタ株への置き換わりによって感染者数を爆発的に増加させているだけにとどまらず、これまで感染しにくいと言われてきた子供たちを含め若者世代、働き盛りの30代・40代の感染者が大半を占めており、30代以下の感染者の比率が何と60%以上を占め若年化が顕著に表れています。

このことによって新たな課題となっていることは、自宅療養者や宿泊療養者に対していかに適切に医療を提供し重症化を防ぐとともに感染拡大を抑えるかという問題です。現在、減少傾向が続いているとはいえ9月21日時点で兵庫県には宿泊療養者526名、自宅療養者1,678名います。特に、若い人の自宅療養者は容体が急変しても見過ごされる可能性もあり早急に具体的対策が求められています。

その1つとしてお隣の大阪府では入院できない者や基礎疾患の無い40歳未満の者など、宿泊療養の対象にならない若者の軽症者を中心に受け入れる「臨時の医療施設」、いわゆる「野戦病院」をインテックス大阪に10月に開設する方針を打ち出しています。先ほど指摘しました最近の感染者の特徴は大阪と兵庫で大きな違いはありません。医療従事者の確保など課題はいろいろあろうとは思いますが、できない理由を並べるのではなくできる方法を考えてみてはいかがですか。

若者の軽症者を受け入れる「臨時の医療施設」の設置に対する知事の見解を伺うとともに、自宅療養者を減らしていく具体的な対策について伺います。

5 播磨灘・大阪湾ベイエリア再生プランについて

知事の大きな公約である「播磨灘・大阪湾ベイエリア再生プラン」について質問します。

兵庫県の海岸線、つまり播磨灘・大阪湾ベイエリアが辿ってきた歴史は兵庫県の歴史、特に経済活動分野の歴史そのものといえます。逆に言えば、ベイエリアの再生は、ものづくり産業の空洞化、観光産業の低迷、人口の転出超過問題など兵庫県が抱える様々な課題に対する回答となる重要な取り組みだと認識しています。

播磨灘・大阪湾ベイエリアは3大工業地帯にあたる阪神工業地帯を擁し、かつては紛れもなく兵庫にとどまらず日本の経済エンジンの役割を担ってきました。しかし、その一方でラストベルト(錆びた工業地帯)とも呼ばれ産業の空洞化が顕著に表れた地帯でもあります。

知事は「播磨灘・大阪湾ベイエリアの再生」を重要視されています。そのことは私も同感ですが、知事はその手法として大規模な集客やIT、医療、金融などの誘致をめざすと仰っておられます。確かに大規模集客施設で人の賑わいを創出することは必要とは思いますが、このコロナ禍で新たなライフスタイルが求められる時代に大きなリスクを伴うことになります。

私は「播磨灘・大阪湾ベイエリアの再生」で最も重要なのは「雇用と所得を生む次世代型のリーディング産業」を集積させることだと思っています。IT、医療、金融などもそれに位置づけされているのかもしれませんが、私は「水素エネルギー産業の集積」を兵庫県の目玉にすべきだと提案します。

このような提案に対する知事のご見解と、知事が描く「播磨灘・大阪湾ベイエリア再生プラン」の方向性について伺います。

向山 好一

(選挙区:神戸市北区)

一般質問

(木戸 さだかず)[発言方式:分割]

1 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)こどものコロナ患者の医療体制について
(2)疫学調査とPCR検査の強化について
2 30人学級実現の公約について
3 予算使い切り意識の是正について
4 女性の健康支援について
5 水上バイクの危険運転対策について

質問全文

質 問 日:令和3年9月28日(火)

質 問 者:木戸 さだかず 議員

質問方式:分割答弁方式

1 新型コロナウイルス感染症対策について

(1) こどものコロナ患者の医療体制について

新型コロナ感染第5波では、こどもたちの感染が増加し、こどもから家庭内感染し感染拡大するケースが多発しています。

こどもたちがコロナに感染した場合、基本的には、家庭で自宅療養することになりますが、家庭内感染等により保護者が入院、治療が必要となった場合は、こどもたちは行き場を失い、軽症や無症状でも入院患者として受け入れることになります。

県内では、現状こどもたちを専門に治療する病院は県立こども病院以外になく、こども病院の役割は非常に重要で代わりがきかない状況にあり、私のところにも関係者から緊迫した声が届いています。

9月1日、知事は県立こども病院を視察し、こどもの患者が増えてきた現状で、しっかり準備していただいていることが確認できたと述べられたとのことですが、現状の感染状況や第6波も見据えると、こどもの医療体制は今後、重要度を増すと考えます。

現状のこども病院への一極集中は負担感も大きく、こども病院以外にもこどものみを預かることができる専用の軽症ケアセンターを設置する等の対策を講じておくべきと考えますが、当局の所見を伺います。

(2) 疫学調査とPCR検査の強化について

9月7日、娘の通うこども園で、娘のクラスを担当する職員のコロナ感染が判明したことを受け、クラス全員が帰宅し、しばらく自宅待機するように指示がありました。

その際、保健所の疫学調査については、機能逼迫につき、すぐには実施できないかもしれないとのことで、保護者はどうしたらいいものか途方に暮れることになりました。

結局、二日後に保健所から児童は濃厚接触者ではないとの判断がおりましたが、念のため全員PCR検査を受けることになりました。

ところがPCR検査を受けるのは1週間後、自宅待機してから7日後になるので、それまでは自宅待機を継続してくださいとなり、保護者は外出するにもしにくい状況となりました。

PCR検査の結果が判明したのがそれから2日後で、ようやく登園可能となりましたが、濃厚接触者でない園児の保護者の多くが、何故こんなに待機することになったのかと複雑な思いをもちました。

実は、昨年にも、園では同じような状況が起こり、その際には、即日、調査と検査が実施されており、今回、保健所業務のひっ迫状況を、身をもって感じる出来事になりました。

これは神戸市での出来事ですが、現在、県においても保健所の疫学調査を縮小せざるを得ない状況となっています。

疫学調査の縮小により、これまで保健所が実際に聞き取りしていた調査も電話での対応になり、自分たちでフローチャートに従い濃厚接触を判断しなければならない状況も発生しています。

加えて、検査の実施が遅れると、仕事や生活への影響も大きく、国は積極的な疫学調査とPCR検査実施をコロナ対策の基本対処方針としており、調査、検査の強化は多くの県民の安心につながります。

そこで、今回の第5波において、疫学調査縮小は、コロナ感染の対処、対策にどのような影響を及ぼしたか、必要な検査はすみやかに実施できているかお伺いします。

また、今後の体制強化について、第5波と同程度の感染拡大においても、保健所の疫学調査を縮小しなくてもよい程度まで強化するのか、具体的な方針についても、当局の所見を伺います。

2 30人学級実現の公約について

知事は、選挙公約に30人学級実現を目指し検討を始めることを掲げられました。

現在、国は小学校の35人学級及び高学年の教科担任制の推進を掲げており、小学4年生まで35人学級を実現している兵庫県では、令和7年度に小学校の全学年35人学級を目指し、取組を進めています。

30人学級の実現については、これまでも議会の議員一般質問で取り上げられており、県教委は、先の議会まで、県独自で検討するのではなく、国に対して働きかけていくという方針でした。

当然のことながら、国に先駆けて30人学級実現を目指すには、教員の数、教室の確保などの財源がネックとなりますが、当局は、財政出動もいとわない姿勢で臨むと理解してよろしいでしょうか。

また、今以上の少人数学級を目指すとなると、兵庫モデルといわれる教科担任制と少人数学級集団の編成を組み合わせた「兵庫型教科担任制」をどう維持(堅持)するかも問われます。

そこで、県教委は、現在、35人学級実現に向けて取り組んでいるところであり、さらに30人学級を目指すにあたり、どのような枠組みで取り組みを進めていこうとされるのか、当局の所見を伺います。

3 予算使い切り意識の是正について

県民目線の行財政改革を謳われている知事へ、正しいお金の使い方、いわゆる財政的リテラシーをもった予算執行ができる体制構築についてお伺いいたします。

行政の予算使い切り主義が問題といわれて久しく、兵庫県でも平成20年、22年に、この問題が議会で取り上げられました。

県では、この問題に対処するため、予算節約インセンティブなどの取り組みを行っていますが、やはり予算の使い切り体質が改善されているとは言いがたい状況があることが分かりました。

今回、私は「スポーツ立県ひょうご」創出プロジェクト事業を調査させていただきました。この事業は教育事務所単位で事業が実施されています。

最近3年間の決算状況を見ると、毎年執行率が100%の事例が殆どで、内訳をみると、年度末近くに物品購入があり、1円単位まできっちり予算が使い切られています。

物品は来年度以降に備えるという理由で購入されています。そもそも来年度の物品を購入することもいかがかと思いますが、毎年のように1円単位まで調整していることも適切ではありません。

特に、ここ2年間は、コロナの影響でイベント事業の多くが中止となっているにもかかわらず、変わらず予算は使い切られています。

今回の事案は、この事業に限ったことでしょうか。使い切りを是として、そのことに違和感を持たない風土が未だ残っているのではないでしょうか。

県民目線からすると、こういった予算執行は理解できるものではありません。原因と対策について当局の所見を伺います。

4 女性の健康支援について

令和元年の12月議会では、若い女性の鉄分不足問題について取り上げましたが、今も変わらず、女性の鉄分不足、痩せ志向は問題となっています。

今回、一般社団法人ラブテリが2018年、2019年に実施した調査において興味深い結果があるので紹介させていただきます。

この調査は、子育て中の母親の健康支援と子どもの健やかな発育発達をサポートすることを目的に1,994名の子育て世帯のデータがまとめられています。

調査結果では、母親の幸福感、子育て満足感には、制度や保育環境といったソーシャルサポートだけでなく、体力や貧血と言ったフィジカル面も影響していること、体力や貧血に大きく影響していたのは1日のエネルギー摂取量と痩せていないこと、妊娠、出産、授乳、月経再開といった鉄分を多く消費する時期に、貧血のモニタリングを行う重要性などが示されています。

このレポートからも、20代、30代の母親となる世代の女性の健康をサポートすることの重要性がわかります。

また、コロナ禍で、海外では、低体重出生児が激減したと報告があります。妊娠初期の十分な休息が影響を受けた可能性も指摘されており、調査はこの先進んでいくと思われますが、これは、女性の働き方、女性活躍政策への在り方にも一石を投じると思われます。

県では、これら女性への健康支援として種々取り組んでおられますが、この分野への取組は、定期的な健康測定の実施などによりEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)を取り入れることが可能です。

現状の取組を見渡す限り、県は対策に対する肝心の政策効果を測る数値を持ち合わせていない状況です。

女性特有の健康測定を実施するなどすれば、ダイレクトに自分の状況を知ることが出来る上、現状の政策評価も可能で、その後の支援も効果的に展開していけるようになります。

こういった視点で政策を進めていただきたいと思いますが、当局の所見を伺います。

5 水上バイクの危険運転対策について

本年8月、明石市が水上バイクの海域等利用者へ危険を及ぼす行為に対し、神戸海上保安部に刑事告発したことは大きなニュースとなりました。9月15日には、兵庫県淡路市岩屋の海上での水上バイク死亡事故が発生し、知事も対策を検討されると報道がありました。

事故に先立つ9月13日に、明石市は海岸域の安全利用にかかる連絡会議を開催し、海上保安部長をはじめ国、県、マリンスポーツに関わる協会、水上バイクの販売業者など、関係機関が一堂に会し情報交換が行われました。

海上での危険運転については、速度超過など違反がなく、制度化されていない現状と、被害者が声をあげる必要もあり、取締りへのハードルが高い状況となっています。

知事も、水上バイクの危険運転に対し、取締りを強化する条例を検討しているとのことですが、やはりこの問題は、国や県で対策すべき事案です。

危険行為は決して許されるものではありません。知事のリーダーシップに期待し、県として現段階での課題認識、連絡会議での各関係者の情報共有の現状および知事が言及した条例の検討について、今後どのように取り組んでいくのか、当局の所見を伺います。

木戸 さだかず

(選挙区:神戸市須磨区)

(中田 英一 議員)[発言方式:分割]

1 投資的経費の配分について
2 青野ダムのダム湖周辺の管理・活用について
3 公共交通の支援について
4 消防車両の標準規格“兵庫モデル”の策定について
5 消防団員数とその活動の確保について
6 カルチャータウンの地区センター用地について

質問全文

質 問 日:令和3年9月29日(水)

質 問 者:中田 英一 議員

質問方式:一括方式

1.投資的経費の配分について

兵庫県では阪神淡路大震災からの復旧・復興で傷んだ財政の立て直しのためとして、シーリング削減など一律に各部局の予算が削られていくといった厳しい行革が行われてきた。

そのため、毎年定量的にかかる維持管理費用も削減せざるを得ない状況が各所にうまれ、例えば県土整備部の所管する道路路肩の草刈りや、舗装の修繕、県警の所管する道路標識・道路標示・安全設備の更新など、必要な管理・補修ができていない箇所がどんどん後回しになり、ツケが溜まっている。

一方で、こうした維持管理費用を抑える方法は存在する。

例えば、草刈りが必要な路肩を防草シートやコンクリートで覆ったり、前議会で我が会派の相崎議員からも指摘があったが、信号灯器をLED化すること等により、維持管理費を抑えることができる。

ところが、「縦割り行政」と揶揄されるように、部局ごとの予算枠に大きな変動をつけられない構造もあり、中長期的にみれば全体として費用を節約できる方法があっても、その対策が十分に進んでいないように思われる。

知事は県政を刷新するという目標を掲げて当選された。

そこで、これまでできなかったこの構造を刷新し、特定の部局や工種などに重点的に予算枠を配分するなど長期的に見て維持管理費用を抑えられるような箇所への思い切った投資を期待したいが当局の所見を伺う。

2.青野ダムのダム湖周辺の管理・活用について

三田市にある青野ダムは、治水と飲み水の確保を目的とした多目的ダムである。京阪神からのアクセスも比較的良いこと等から関西有数の釣りのスポットになっている。また、本年UNBYというアウトドアメーカーがこの湖畔のロケーションに目を付け本社機能を移転し、多くの集客を得ている。

また、湖畔には、現在の緊急事態宣言下では禁止となっているがバーベキューなど火気が許容される公園も三田市で整備しており、コロナ禍で都市部への密集が敬遠される傾向が定着しつつある昨今、さらに多くの人々がアウトドア・レジャーを楽しむ場となっている。

さらに、隣接する県立有馬富士公園の休養ゾーンでは「地球アトリエ」という集客施設の整備が進められており、数年後にはさらなるレジャーの集積地になることも期待されている。

しかし、一方で、マナーの悪い訪問者によるゴミ問題や不法駐車などが近隣住民を困らせている。特に湖面に漂うゴミについては、飲み水としてのダムの水質を低下させるものであるうえに、放置すればそこにもっとゴミが捨てられるという悪循環をもたらすことから、定期的な除去・回収と合わせて、そもそもの抑止対策が重要となっている。

個人的には、ダム敷地から伸びる雑草による周辺農業や生活への支障についての苦情も受けており、ゴミや不法駐車と合わせて総合的な対策を検討すべきと考えている。

具体的には、利用者から適切な使用料を徴収し、それを財源に見回りや周辺整備を実施することはできないか。そうすれば、利用者にとっても周辺住民にとっても、環境にとってもより良いダムの活用となりダム湖周辺の地域活性化につながると考えられる。

このような取り組みについて、公園を整備・管理する三田市への支援や、民間活力の導入に対するサポートなどを県が行うことはできないか。今後のダム湖周辺の管理方針と合わせて伺う。

3.公共交通の支援について

JR西日本は10月2日からの秋のダイヤ改正で、利用にあわせた列車ダイヤの見直しとして、兵庫県内山陽線(相生~上郡)等の一部路線において、昼間時間帯26本の運行を取りやめることとなっている。

人口減少や地方の過疎化によって、収益性の低下する地方公共交通は従来と同様の形では維持することが難しくなっていたところに、新型コロナウイルス感染症での度重なる緊急事態宣言による自粛、テレワーク推奨などの人流抑制の影響を受けて、交通事業者は甚大な損失を被っている。

JR西日本にとどまらず、これをきっかけに、あるいは近い将来に公共交通全体として更なる減便・撤退が続発する可能性もある。

今月のコロナ感染者数や病床使用率等の指標に関しては減少傾向にあるが、冬場を迎えて再度感染者が増加して公共交通の利用者が激減する恐れも十分にある。

バス路線では、コロナ禍の影響による乗客数の急激な減少により、一部で従来の補助要綱では要件に該当しなくなってしまう県単独補助路線が生じることが確定的となっている。

また、これから台風シーズンを迎え、近年の温暖化等による異常気象、豪雨災害の激甚化傾向も踏まえれば、今後、山間を走る神戸電鉄等が、土砂崩れ等の被災により、復旧に莫大な修繕費がかかることも想定される。

このような状況を知事の「地方も取り残さない」という方針に照らせば、鉄道については災害に備えた事前防災対策等への支援や、バスにおいては補助要件の緩和措置といった個別的な支援など、コロナ禍が続く中で、引き続き地域を支える公共交通全体を底支えするような取組みが必要になると考える。

人口減少社会、地方の過疎、異常気象にコロナが加わった公共交通を取り巻くこの厳しい状況を、県としてどのように対応していこうと考えているか伺う。

4.消防車両の標準規格“兵庫モデル”の策定について

兵庫県下に消防車両はおよそ2900台あり、主に各市町の消防署や消防団に配備されている。

三田市に工場のある消防車両メーカーのモリタでは、国内シェアの約6割を誇っているが、驚くことにそのほとんどがオーダーメイド・受注生産で、「それぞれの地域の実情に合わせる」という趣旨でこうした方式になっているとのことである。

しかし、オーダーメイド生産では、発注を受けてからしか製造に入れないため作り置きができず、また、毎回設計図から起こさなくてはならないためどうしても製造コストが高くなってしまう。また、受注の多い年度末に仕事が集中するなどメーカーにとっても工場を安定的に稼働できず、労働者にとっても不規則な就業となってしまい、発注者にとっても納品時期が延びるといったデメリットがある。

地域の実情に合わせることも大切であるが、ほとんどの自治体で行政費用の削減が続くなか、消防車両の適切な更新ができているか、今後も持続的にできるのかについては疑問が残る。

そこで、消防車両の製造コストを引き下げるため、引いては各市町の購入費用を下げるために、オーダーメイドではなく既製品にあたる標準規格「(仮称)兵庫モデル」を策定し、スケールメリットを出せるような取り組みを検討してはどうか。

消防車両と言っても、1台数千万円のポンプ車から1台数億円のはしご車まで幅広く存在するが、標準化によって仮に1台平均で100万円安くなるだけでも、県下の2900台で29億円。長めに10年更新としてみても年間約3億円市町の経費が下げられる計算になる。

一方メーカーにとっては、製造コストが下げられるということは、拡大する国際市場への競争力が高まるということにつながる。より計画的な生産が可能となり、労働者の負荷が低減されることにもなる。

本来は国レベルで取り組むべき問題であるが、国がやらないのであれば次は広域自治体である県が主導して進めるべき事柄であると考える。

近い将来に発生が予測される南海トラフ地震をはじめ、災害に対する広域連携は今後ますます必要性が高まると考えられることからも、広域で共通の車両・機材を使用できる「兵庫モデル」を検討すべきではないか。

5.消防団員数とその活動の確保について

消防団活動は火災発生時に地域の安全を守るというだけでなく、各種災害や行方不明者の捜索、あるいは地域活動の積極的な参画など多方面にわたり地域を支える重要な意義を担っている。

しかし、年々団員の確保が難しくなり、従来は自営業者の加入が多かったが、高齢化や担い手不足から、近年は被用者いわゆるサラリーマン団員の割合が増加している。

一般的にサラリーマン団員は自営業の団員にくらべて、仕事の調整が難しく消防団活動に参加しにくい傾向にある。

具体的には、消防団員に対して、火災をはじめとする災害発生時に加えて、豪雨警戒や本部待機といった出動要請もたびたび発されるが、就労先の規定が整備されていなかったり、規定はあっても十分周知されず労働者の消防団活動を許容する風潮が内部に無かったりすれば、団員にやる気があっても活動が制限されてしまうこととなる。

消防団員の段階には2つある。1つ目は「ただ入団する段階」で、その次に「活動に活発的に参加する段階」である。県では、消防団への入団を後押しするような各種取組みを実施しているが、入団したものの実際の活動ができなければいわゆる「幽霊団員」となってしまうことから、ここでは2つ目の「活動の確保」に絞って伺いたい。

県では、この点についても「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」第10条3項に従って、「人事委員会規則」第2条8号ないし第3条の規定で、消防団活動がある場合には職務に専念する義務の免除が認められているが、現場においては十分浸透しているようには感じられない。消防団員が活動しやすい環境作りに、県としても是非率先して取り組んで頂きたいと考えている。

また、民間企業にも同じような制度・考え方が広がってはじめて、いわゆるサラリーマン消防団員がもっと活動しやすくなり、消防団活動全体が活発化することから、民間事業者への積極的な働きかけも重要と考えるがどうか。

6.カルチャータウンの地区センター用地について

カルチャータウン中心部に長年空き地となっていた「地区センター予定地(南ブロック)」について、今年6月、三田市・兵庫県・関西学院大学との3者で「神戸三田国際公園都市の地域振興に係る連携協力協定」が締結され、その具体的な事項として、関西学院大学の学生寮とインキュベーション施設を併設した複合施設を整備するという内容で当該土地が兵庫県から関西学院大学に譲渡されることとなった。

地元議員として当初から当該土地の利用方策を提案してきたため、概ね前向きに進み出すこととなり嬉しい限りであるが、当初の構想と異なる面については、地域住民に対して丁寧な説明と理解を得る活動が不可欠であると考える。

具体的には、当初は商業施設や文化的施設、行政窓口や金融機関などカルチャータウン住民の便益に通じるような施設も入る中高層のファミリー向け住戸が構想されていたが、当概協定の「インキュベーション施設」はカルチャータウン住民よりは少しターゲットが広く三田市民や周辺住民くらいが対象になりそうであるし、住戸部分はファミリー向けが学生の単身向けに変わっている。

企業庁はこの街を切り拓いた北摂特別会計の事業を引き継いだ事業者であり、当該土地を売り渡して終わりとするのではなく、引き続きまちの発展のために取組んでもらいたいと考えるが、今後、住民の意見をどのような方法で汲み取り、関西学院大学が設置することになる施設の計画に取り込んでもらうのか、具体的な方策とスケジュールについて伺う。

中田 英一

(選挙区:三田市)