質問日:令和4年3月8日(火)
質問者:向山 好一 委員
1 コロナワクチンの副反応について
まず、コロナワクチンの副反応について伺います。
私の知人の24歳になる娘さんが、昨年1回目の職域接種としてモデルナ製ワクチンを受けました。その直後、体調異変を訴え肝機能が著しく低下し、入院・職場休職を余儀なくされました。現在、その娘さんは難病指定されている「自己免疫性肝炎」と診断され、確立された治療法がなく、生涯薬に依存しなければならないかもしれない体になり、これからの人生がワクチンによって一変してしまったのです。
コロナワクチンの副反応による健康被害は、予防接種健康被害救済制度により医療費等の給付がなされますが、申請の流れは、まずは市町が請求書を受理した後、予防接種健康被害調査委員会において医学的な見地から調査し、審査にかかる資料を整理した上で、県を通じて国へ申請し、国は疾病・障害認定審査会に諮問し、給付対象かどうか決めることになっています。
これまでの副反応の代表的事例としてアナフィラキシー、心筋炎、血栓症はよく聞きますが、さきほど例に挙げた若い娘さんの疾病は、因果関係が不明確なので認められるのか不透明と治療している医療機関から言われているとのことです。因果関係が明確でなくてもワクチン接種によって一生残る可能性が高い疾病が起こったのは紛れもない事実であり、せめて給付対象としないと本人もご家族も何を信じて生きていくのか分からなくなります。
そこで、兵庫県民でコロナワクチンによる副反応として予防接種健康被害救済制度を申請した人数と、どのような症状によるのかの内訳、認定の可否について、現状どうなっているのかをお伺いします。
2 コロナワクチンの選択について
次に、先程の質問と関連性がある問題について質問します。
現在、3回目のコロナワクチン接種を対策の切り札として前倒しして実施しています。しかし、2回目までのように思い通り進んでいない理由が、モデルナ製の副反応を警戒しファイザー製へシフトしていることが大きな要因だとのことです。
厚労省が実施した「3回目のワクチン接種後の副反応に関する調査」でも、37.5度以上の発熱がファイザー製39.8%に対しモデルナ製68.0%と約2倍。倦怠感や頭痛についてもモデルナ製が上回っています。ワクチン接種による抗体数の増加はモデルナ製が上回るにしても副反応の発生頻度からしてモデルナ製を避けたいと思うのは当たり前だと思います。特に、先程の若い女性を例に出したように大きな後遺症が残る可能性を天秤にかけるとファイザー製にシフトするのはやむを得ないことだと思います。
しかし、3回目の接種券には、2回目までと違ってチケット自体に接種日・時間・場所を指定している自治体が複数存在していると聞きます。現在、兵庫県はじめ各自治体が設置した大規模接種会場はモデルナ製が主流となっており、接種者の希望とミスマッチを起こしているのではないでしょうか。
本来、どちらのワクチンを接種するかは接種者自らの選択が保障されるものでなければいけません。日時等の指定は予約する煩わしさを解消するなど親切心から起因しているのかもしれませんが、結果としてモデルナ製へのシフト策と受け止められかねません。
ワクチン接種はこれからも続く可能性が高いので、ワクチン接種の選択をより自由にするようあらためるべきではないでしょうか。
3 子宮頸がんワクチンについて
つぎに、同じワクチンでも子宮頸がんワクチン接種について質問します。
子宮頸がんワクチン接種への積極的勧奨が今年の4月に8年半ぶりに再開されます。このワクチンは定期接種が始まった直後に副反応を疑う症例があったことから厚労省が積極的勧奨を差し控えし、その間殆ど接種が行われませんでした。
その結果として、日本全体で毎年1.1万人程度の女性が罹患し2,900人程度の尊い命が奪われているという残念な状況が続いています。しかも子宮頸がんは他のがんと比べて罹患年齢が若いという特徴があり早期の再開を望む声が各方面から寄せられていただけに、積極的勧奨再開は非常に喜ばしいことだと認識しています。
しかし、再開にはいろんな課題が残っています。
1つにはワクチンの接種勧奨が行われず接種機会を逃した兵庫県での対象者約21万人への対応をどうするかです。厚労省は無料で接種できる方針のようですが、兵庫県としてその方々への周知・徹底をどのような方法で行うおつもりでしょうか。
2つには、今なお副反応への懸念は根強く残っていると思いますが、再開後のワクチンに対する信頼の回復と接種促進の取り組みはどのようになされるのか伺います。
3つ目に、ワクチン接種も勿論ですが子宮頸がん検診も大事です。その検診は比較的簡単に出来るのに受診率が低いと聞きます。兵庫県ではがん対策推進条例にもがん検診による早期発見の推進をうたっており子宮頸がん検診の受診率を高める取り組みを強化すべきではないでしょうか。ご所見を伺います。
4 コロナパンデミックの終息に向けて
4-1 当面の自宅療養者や軽症者の重症化対策
2年以上におよぶコロナとの戦いはいつまで続くのでしょうか。終息させるうえで現段階での重要な対策は、早期に3回目のワクチン接種を完了させて感染しない抵抗力を備えることと、感染しても重症化させない医療を安定的に提供することではないかと思っています。
ワクチン接種に関しては供給体制が整備され順次進んでいくものと思われますが、一方の重症化させない医療提供にはまだまだ課題が多いように感じます。その中で、特に無症状や軽症者が重症化しないためには感染直後のいわゆる初動が大切で、初期段階でモノクロナール抗体の点滴治療を行う、あるいは「ラゲブリオ®」や「パキロビッド®パック」といった特例承認されている飲み薬を処方して重症化を防ぐ体制を確立すべきです。
先日の一般質問でも複数の議員からの指摘があって、当局は「薬剤は流通量が限られ国の管理のもと登録された医療機関や薬局に配分されている」と答弁されていますが、兵庫県は大阪府に比べてその提供体制が整備されていないと専門家から伺っています。大切なことは、供給はもちろんですが、抗体点滴治療や経口治療薬がどれだけ医療現場で使われているかではないでしょうか。その観点から現場での稼働状況はどうなっているのか伺います。
4-2画期的な新薬となりうる薬剤への対応
2点目は、出口戦略に画期的な貢献が期待できると期待される経口薬が開発されています。塩野義製薬が開発したS-217622と呼ばれている飲み薬で、2月25日に厚労省に「条件付き早期承認制度」を申請し既に3月末までに100万人分の製造できる体制を作っているとのことです。
この経口薬の優れている点は、まず国産であること。つまり国内供給が優先され海外製と比べて供給の心配が少ないこと。つぎに、これが重要なのですが、「ラゲブリオ®」や「パキロビッド®パック」はワクチン未接種、60才以上、肥満や高血圧などの重症化因子がある人等投与が必要な患者に限られるなど処方に条件がついて医療機関等の厳格な管理が必要であるのに対し、塩野義S-217622は容易に投与可能で、治験件数が少ないので今後の検証が必要とは言え重症化が大幅に抑えられていて高い効果が期待できることです。
コロナパンデミックの終息に向けて,感染しても重症化させないこが最も重要な対策であり、我が国は最大の武器を持とうとしているのではないでしょうか。
現在の第6波に間に合わないかもしれませんが、おそらく到来する第7波、第8波への備えとして県としても関係各方面と連携してS-217622が投与できる体制を早期に整えるべきではないでしょうか。ご見解を伺います。