代表質問
1.行財政構造改革の推進について
2.21世紀兵庫長期ビジョンの点検・見直しについて
3.関西広域連合について
4.地域福祉の充実について
5.介護保険施設について
6.児童虐待の防止について
7.実効ある雇用対策の推進について
8.県の特性を踏まえた「兵庫の農業」の担い手育成対策について
9.教職員の勤務環境の改善について
質問全文
第306回定例会(9月)代表質問
2010年9月28日(火)
先週は厚生労働省に復職された、村木厚子さんの素晴らしい笑顔がありました。本当に良かったと思います。それにしても、時の主任検事の逮捕は我が国の信頼社会が揺らぎかねず、国家の危機にもつながりかねません。信頼社会は社会存立の基礎でありますが、まさに「信」無くば立たずの感が致します。私は県民の皆様から寄せられている県政への信頼を更に揺るぎないものにするため、民主党・県民連合議員団を代表して、以下9項目にわたり、知事並びに関係当局に質問を致します。
1 行財政構造改革の推進について
質問の第1は行財政構造改革の推進についてであります。
本県では、将来に向けて持続可能な行財政基盤を確立するため、平成20年10月に「新行革プラン」を策定し、職員の定員・給与を始め、事務事業、投資事業など、行財政全般にわたる改革を進めています。
この新行革プランについては、現在、行財政構造改革の推進に関する条例による3年ごとの総点検・見直しを行っておりますが、我が会派においては、これまでから主張してきたように、検討・協議に当たって、1つには、県民誰もが納得できる優先順位を捉えた改革とすること、2つには、現在の行財政環境を巡る動向が極めて不安定であることを踏まえ、大胆な見直しをすることを含め、実態に即した財政フレームとすること、3つには、トップダウンではなく現場の職員の声を反映すること、そして4つには、医療、福祉、教育、治安など県民の安全・安心を高めるための行財政基盤の確立が本来の目的であること、つまり以上4点の視点を踏まえながら、事業仕分けと併せて、継続の中での確実な改革、転換こそが信頼される行政の取り組みであることを基本に、財政面だけでなく、活力ある元気な兵庫の実現に向け、政策面も含めた創造的な改革への検討・協議を行っていくべきと考えます。
個別項目については、まず、県民局組織の再編について、再編後各地で生じた想定外の豪雨等による自然災害をはじめ、新型インフルエンザや口蹄疫等への対応等、県民の安全安心を第一に考えたときに、果たして再編が適当だったのか、その見直しも含めて十分な検証を行う必要があると考えます。特に組織体制については、地域が抱える課題や特性への対応体制として、各県民局に担当参事を配置されていますが、地域課題等に対し、より的確な対応ができるよう、さらなる組織体制の改編も検討すべきと考えます。
また、公社等外郭団体について、先日発表された平成21年度決算見込みでは、県の将来負担比率は前年度から6.3%増え、366.4%となり、早期健全化基準の400%に近づいています。特に、将来、県が負担する見込みである多額の負債等のうち、約800億円が公社に関連する負担額であります。重い金利負担も考えれば公社改革は行革の中でも最重要課題と言えます。各公社が公共の目的から見て本当に必要なのか、公社経営評価委員会での審議のみならず、財政面、政策面の両面からの根本的な事業仕分けが必要ではないかと考えます。
さらに、自主財源の確保について、特に、法人事業税超過課税については、経済情勢の悪化等、企業を巡る情勢が厳しい状況にある時、産業分野における事業の一般会計の単なる補填ではなく、企業等が将来を見据えた成長への取り組みができるような事業、あるいは中小企業をはじめとする兵庫県産業の底上げを図る事業に特化して充当すべきと考えます。
そこで、限られた財源の中で、県民意見を十分に踏まえた、実効ある県民本意の行財政構造改革とするために、具体的にどのように総点検・見直しを進めていこうとされているのか、ここで指摘した観点での考察も含め、お考えをお伺い致します。
2 21世紀兵庫長期ビジョンの点検・見直しについて
質問の第2は21世紀兵庫長期ビジョンの点検・見直しについてであります。
厳しい経済・雇用情勢や歯止めのかからない少子・高齢化等が進み、我が国全体が長期にわたって深い閉塞感に覆われ、将来不安を解消するような明るい兆しがなかなか見えてこない状況にあります。
そういう中で、本県では行財政構造改革を断行しておりますが、その推進と並行して、県民に対して本県の将来に元気が出るような政策を明確に示すことが重要と考えます。私は、その役割を果たすのは、21世紀兵庫長期ビジョンであり、その点検・見直しに当たっては、そういう視点での検討が重要となってくると考えます。
一方、新行革プランの総点検・見直しにおいても、時代潮流の変化を踏まえた検討を行っていますが、行革を断行した先にある将来の本県がめざす姿である21世紀兵庫長期ビジョンについては、同じ視点で検討する必要があります。また、その検討結果については、並行して県民にわかりやすく伝えていくことが、痛みを伴う厳しい行革の実施に対する県民への理解・協力にもつながり、極めて重要と考えます。
加えて、先日、厚生労働省から発表された労働経済白書によると、働く人の3分の1が非正規労働者で大半が年収300万円以下とあり、戦後の経済成長によって克服したはずの「貧困」が時を経て再び私達の目の前に現れつつあると指摘しています。これは、本県での生活保護者が95,000人にもなるなどの経済格差や、健康格差、教育格差等の格差社会の問題で、雇用情勢の悪化とともに注目されてきていますが、年間4万件を超える児童虐待案件、年間3万人を超える自殺者の問題等の多くの社会問題の要因にもなっているとも言われており、県民が最も不安視している部分ではないかとも思われます。そういう部分について、まさに長期展望に立ったしっかりとしたビジョンのもと全部局で取り組むことを県民に幅広くアピールすることは、将来に対する県民の不安解消を図り、将来の兵庫に希望を持てる政策を県民に示すこととなると考えます。
そこで、現在取り組んでいる21世紀兵庫長期ビジョンの見直し・点検の進捗状況を伺いますとともに、ここで指摘した観点も踏まえ、今後どのように見直し・点検を進めようと考えているのかお伺いします。
3 関西広域連合について
質問の第3は、関西広域連合についてであります。
我が国では、政治、経済、文化の中心を戦後60年かけて東京に一極集中させ、中央集権による政治が行われてきました。その結果、地域に根ざした文化や産業が衰退し、将来への不安、閉塞感が漂っています。
そういう中で、昨年8月の総選挙による政権交代以降、この国のあり方を大きく転換し、地域に元気を取り戻すため、多様な地域ニーズに沿った政策のもとに、住民参加による行政を実現する必要があるとして、民主党政権においては地域主権改革を強力に推進しています。
このような状況の中で、井戸知事が中心となって近畿、中四国の各府県で進めている関西広域連合については、国内初の府県境を超えた広域行政組織であり、国の地域主権改革を地方から先導して推進する取り組みとして早期設立が望まれます。
関西広域連合は、見直しが進む国の地方支分部局の事務の受け皿となりうることはもちろんのこと、我が国経済全体に閉塞感が漂う中、特に低迷している関西経済の浮上に当たって、産業振興、観光振興などの多様化する地域課題に対応し、関西のことは関西で決定、実行できる自立型システムを確立し、関西浮上の起爆剤となることが期待されます。
関西広域連合への取組みは、関西が一丸となって取り組む必要があると考えますが、奈良県が不参加であったり、参加しない事務のある府県があるとともに、神戸市をはじめとした政令市の参加状況が不明確であるほか、広域連合での意思決定方法等に参加各府県での意見の相違があったことなど、各府県によって参加スタンスや進捗状況が相当異なっていることが気になるところであります。
しかし、本格的な広域行政実現の第一歩として、まず、目標としている年内発足に向け、他府県への働きかけも含めて、当局、議会が一丸となって取り組むとともに、関西全体での盛り上がりによるさらなる促進を図る意味でも、認識が乏しい市町や県民への周知に努める必要があります。
そこで、関西が一丸となった取り組みという観点も含めて、関西広域連合の設立に向けた今後の予定、さらに今後の展望についてお伺いします。
4 地域福祉の充実について
質問の第4は地域福祉の充実についてであります。
人や地域の絆の希薄化が指摘される今日、国では、人々の支え合いと活気のある社会をつくることに向けた、様々な当事者の自発的な協働の場として「新しい公共」を掲げ、人や地域の絆を作り直すことを宣言しました。すなわち、活力ある「共に生きる社会」をつくるために、行政、団体、住民、企業等の当事者が役割を持って参加する協働の場、つまり行政が責任を持つ公的領域と住民や企業などの私的領域との中間にある社会的領域を、それぞれ社会のみんなで担っていこうとするものです。
高度経済成長の時代、あらゆる住民要求を行政が取り込んできました。そして、少子・高齢化社会を迎え、住民の要求も多種多様となっています。しかし、行政は大きな枠での支援はできますが、高齢者福祉等地域福祉に関する身の回りの小さな部分には対応できなくなっています。
そういう中で、県においては、地域福祉支援計画を策定し、市町の地域福祉計画の策定を支援するとともに、市町社会福祉協議会との連携も含めて、県民の安心・安全の確立のために、計画的に地域福祉を推進しています。
市町地域福祉計画については、公的な福祉サービスの対象とならない課題などを、様々な担い手の参画のもと取り組むしくみづくり等を行うものであり、地域の絆の再構築による地域福祉の推進には不可欠なものと認識しておりますが、県下の現在の策定状況は24市3町、65.9%に止まっており、県による早期の策定指導等が求められます。
また、地域の社会福祉協議会は、従来から地域福祉の充実に大きな役割を果たしてきましたが、市町合併によりかつて旧町村単位で措置されていた人員、予算、活動拠点が整理統合・削減されて、地域の絆の確保、地域福祉の推進に従来から果たしてきた役割を果たせなくなっていると聞きます。
さらに、少子高齢・人口減少社会を迎え、家族世帯の小規模化や価値観の多様化による地域の連帯感の希薄化、あるいは支え合い機能の低下に加え、過疎化の進行により地域の支え合い機能の維持そのものが困難となってきています。地域の社会福祉協議会が「新しい公共」を担って、行政と福祉事業者の間で従来のようなきめ細かな地域福祉が推進できるよう、人口規模、面積等の地域事情に応じて地域福祉の専門職員が配置できるような支援を行うなど、地域福祉の推進体制を確立することが求められます。
そこで、市町地域福祉計画の策定支援、市町社会福祉協議会への活動支援等を含め、地域の絆の再構築による地域福祉の充実に向けた今後の取り組みについて、ご所見をお伺い致します。
5 介護保険施設について
質問の第5は介護保険施設についてであります。
我が国においては、急速な少子・高齢化が進み、2010年の高齢化率は23.1%であり、2025年には30%に達するとも言われています。本県においても同様に高齢化率は22.4%と高い数字を示しており、まさに超高齢社会を迎えています。一方で、高齢化の進展の速度に比べて社会のシステムの対応は大幅に遅れていると思います。
中でも、制度発足から10年を経過した介護保険制度については、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるようなサービスを確保し、当時社会問題化していた社会的入院を解消し、在宅介護を推進する方向で導入されました。しかし、更なる高齢化の進展等による要介護者の増加や、人材不足等に加え、家族で介護をするにも限界があります。そのようにいろいろな要因が重なり、制度発足時より施設入所を希望する方が多く、その施設不足が制度導入以降、なかなか解消されないことが大きな課題となっています。
そのような施設不足により、特別養護老人ホーム等の施設に入所を申し込んでおられる方の総数は県内で約2万5千人、全国では42万人おられ、入所申込者のうち、入所コーディネートマニュアルにより施設入所が優先される、いわゆる施設入所待機者は、現在、県内に3,495人おられるという現状があります。この問題については、これまでから本会議等で何度も取り上げられており、一刻も早い施設整備が待たれるところです。そういう中で、各市町において施設整備が進められていますが、介護給付に係る費用が保険料に反映される現在の制度の中では、居宅サービスよりも施設サービスの方がその費用が高額であることなどから、制度発足当時はほとんどの市町が月額2千円台であった第1号被保険者の保険料も、現在では多くの市町が月額4千円台となっており、これ以上の増額を伴う新たな施設整備は困難な状況となっております。
国においては、平成24年度の制度改革に向け、孤立化のおそれのある「高齢単身・夫婦のみ世帯」への生活支援を基本目標に追加し、見守り付き高齢者向け住宅などを充実させる方針が首相から示されるとともに、特別養護老人ホームについて居室面積基準を引き下げる方針が示されるなど、制度改革に向けた動きが活発化しています。そのため、現場の実情を踏まえ、介護保険施設の整備を国民や地方の負担を増やすことなく進めるよう、県、市町等の地方が一体となって、国に働きかけていく必要があると考えます。
一方、県においては、介護保険施設の整備を行う事業者に対し支援を行い、計画的な整備推進を行っていますが、平成21年、22年度の整備予定分で1,620床余りであり、待機者の半分にも満たない状況にあります。待機者問題の放置は孤立高齢者を生じさせることにもつながるという観点からも、国の提案にある居室面積基準の引き下げなども含め、待機者解消に向けた実効ある取り組みの早急な実施が必要と考えます。
そこで、介護保険施設への入所待機者が多数となっている現状に対する認識と、今後、県としてその解消に向け、いかに取り組んでいこうと考えているのか伺います。
6 児童虐待の防止について
質問の第6は児童虐待の防止についてであります。
兵庫県内におけるこども家庭センターへの虐待相談件数は、2009年度で1,557件でありますが、2005年度は958件、1999年度は518件であり、10年間で約3倍以上にふえています。全国的に見ても、全国の児童相談所が2009年度に対応した件数は過去最高の4万4,210件で、10年前の4倍となったことが、厚生労働省から発表されています。
この数字は虐待件数でなく相談件数ですが、報道等により、全国で様々な児童虐待事案が頻発しており、事態が深刻化していることは言うまでもありません。中でも、食べ物も水も与えず、3歳と1歳の子どもをワンルームマンションに何ヶ月も放置した結果、死亡させた大阪の育児放棄の事案は、あまりの痛ましさに言葉を失いました。
また、これらの虐待事案は、背景も複雑多様化してきていると思います。家庭の貧困、近隣住民との絆の希薄化などが要因にあると言われますが、最近の事例ではいろいろな要因が重層的に絡まり合い、行政等に求められる対策も重層化してきていると考えます。
兵庫県においても、昨年11月に三田市で虐待死亡事案が発生しました。それを受けて、県においては、中央こども家庭センターに調整参事を配置し、県内機関の調整や情報交換の強化を行うとともに、児童虐待防止委員会での検証も進められ、先日報告書が提出されました。
報告書では、「かけがえのないものを次代につなぐ思いを共有し、子育てを支え合う社会の実現」が提言されていますが、最近の事案を見ていると、職員へのケアや体制整備がまず必要であることは言うまでもないものの、行政だけの力では限界があり、県民への啓発活動のさらなる強化を図るとともに、子どもは地域全体で守り育てるという環境づくりが不可欠だと考えます。
米国の小児科医で、虐待対応の礎を築いたケンプ氏は「虐待であるにもかかわらず判断を誤って保護せずに生命を落としてしまった子どもに謝罪するくらいなら、虐待ではないのに間違って子どもを保護したときに親に謝罪する方がまだいい」と言います。関係職員だけでなく、国民全体がこのような気持ちで子どもを守っていかなくてはならないのではないかとも思います。
そこで、最近の全国各地での事案等に対する当局の認識を伺いますとともに、児童虐待防止委員会からの提言を踏まえた新たな対策、今後の取り組みへの考え方等についてご所見をお伺いします。
7 実効ある雇用対策の推進について
質問の第7は実効ある雇用対策の推進についてであります。
我が国の経済・雇用情勢は、一部に持ち直しの動きがあるものの、景気回復は減速傾向を示しており、加えて急激な円高も進行し、明るい兆しは確認できないような状況にあります。
そういう中にあって、国においては、6月にまとめた新成長戦略で環境や介護・医療などで500万人の雇用を創出することを目標に、これまでの新たな雇用への奨励金に加え、雇用の増加に応じて企業の税負担を軽減する措置等行う方針としており、「雇用」を基軸とした経済成長をめざしています。加えて、8月以降の急激な円高等に伴う経済危機対策として、予備費等を活用した経済雇用対策を講じることとしています。
県でも、6月の段階では景況、需要、雇用とも持ち直しの動きがありましたが、急激な円高等による輸出を中心とした大企業への影響が中小企業にまで及び、県内情勢にもマイナスの方向に反映してくるのは確実ではないかと推察されます。
そういう状況の中にあって、国の補正予算等に基づく緊急雇用就業機会創出事業及びふるさと雇用再生事業や、新規学卒者等への就職支援などに県では取り組んでいますが、成果として一定の雇用は創出しているものの、県民1人1人が効果を実感するにはほど遠い状況と思われます。
県民意識調査による回答でも、県政への期待として、「雇用安定と職業能力開発」が最も多かったとの結果が出ています。つまり、雇用対策は県民が県の取り組みを最も期待する分野であります。
そのような県民の期待の高い雇用対策について、今年度までの3カ年計画として「ひょうご経済・雇用活性化プログラム」により推進していますが、来年度からの次期プログラム策定に当たっては、これまでの対策をしっかりと検証するとともに、社会経済情勢の変化に的確に対応したプログラムとし、県民が実感できる効果を生む雇用対策を講じなくてはならないと考えます。
また、県では企業誘致に力を入れて取り組んでおり、その結果、平成16年から20年の5年間で敷地面積1,000㎡以上の工場461件の立地が実現しておりますが、その一方で、5年間で約88億円もの立地に関する補助を行っております。それが本県の雇用にどの程度結びついたか、しっかりと検証を行い、今後の取り組みにつなげていく必要があると考えます。
そこで、過去5年間の企業立地策を含めた雇用創出への取り組みの成果を伺いますとともに、このような更に厳しさを増す経済・雇用情勢の中で、国の対策に呼応した県としての経済雇用対策の実施を含め、実効ある対策が必要と考えますが、ご所見をお伺いします。
8 県の特性を踏まえた「兵庫の農業」の担い手育成対策について
質問の第8は県の特性を踏まえた「兵庫の農業」の担い手育成対策についてであります。
先日農林水産省から発表された2010年農林業センサスの速報値によると、農業就業人口が2005年に比べて22.4%減の260万人となり、統計として比較可能な1985年以降最大の減少率となりました。これは、農業就業者の平均年齢が65.8歳と2005年に比べ2.6歳高くなっていることにより、高齢化が進んだことで離農する農家が増えたことなどによると考えます。また、過去1年以上作付けされず、この数年間に作付けされる見込みのない耕作放棄地の面積も2005年に比べ1万ha増え、40万haとなっています。
また、本県における農業就業者については、2000年の約108,000人から2005年には約94,000人と約13%減少しており、今回の全国における速報値から勘案しても、2010年においても前回以上の大きな減少率となっていることが予想されます。
そういう中で、本県では「ひょうご就農支援センター」を設置するなどして、新規就農を支援し、2009年度の新規就農者は180人と2年連続で県が目標とする年間200人を概ね達成しています。一定の成果を収めていることは評価しますが、農業への就業人口の減少が進む中、更なる取り組み強化が求められます。
また、本県の農業従事者の構造として、兼業農家が全体の約80%、約4万5千戸と全国で4番目に多い現状があり、高齢化に伴う離農による農業従事者や担い手の減少により、農業により支えられてきた農村地域における集落機能の維持にも大きな影響を与えるのではないかと危惧します。そういう点で、都市部だけでなく、農村地域においても人や地域の絆の希薄化が進むことが危惧され、集落機能の維持という観点からも担い手育成対策が強く求められています。
一方、国においては、平成23年度から戸別所得補償制度が本格実施される予定であり、農政が大きく転換しようとしています。そういう中で、本年度から先行実施される戸別所得補償モデル対策の加入申請については、7月末で全国132万戸のうち、兵庫県は76,393戸と全国一の加入申請件数となっており、県では来年度の本格実施に向け順調に進んでいるものと認識しております。
同制度は、スイス等でも実施されており、地方への定住促進等にも効果を上げています。特に兼業農家が多い本県では、同制度をうまく活用して、多様な担い手の育成・確保による集落維持等にもつなげていくべきと考えます。
そこで、兼業農家が特に多い本県の特性を踏まえ、さらには国における農政の大きな転換である戸別所得補償制度も十分活用しながら、「兵庫の農業」の担い手育成を総合的に進めていく必要があると考えますが、これらの取り組みについてのご所見をお伺いします。
9 教職員の勤務環境の改善について
質問の第9は教職員の勤務環境の改善についてであります。
児童生徒に対する学習指導や生活指導をはじめ、研修、保護者や地域住民との関係づくりなど、教職員の勤務実態はあらゆる面で多忙化しています。
平成18年度に全国の公立学校を対象に文部科学省が行った勤務実態調査によると、教員一人当たり1ヶ月に30時間を超える残業と、本来は行うべきではないのですが、持ち帰りによる仕事を行わざるを得ないという勤務実態が明らかになりました。また、本県においては、平成20年に実施したアンケート調査の結果、県内の公立小・中学校に勤務する教員の残業時間が全国平均より約20分長く、休憩時間もほとんど確保できず、9割を超える教職員が多忙であると感じていることが明らかになりました。
多忙化の背景には、成績処理や進路指導等の本来業務の複雑・多様化に加え、週休日等に及ぶ部活動の指導のほか、地域や保護者からの様々な要望に伴う学校の課題、役割の拡大による教職員の業務範囲・内容の拡大、そして当然のこととして生徒の成長のためには何事にも全力で取り組み、労力や時間を惜しまない教職員の職務に対する責任感などがあります。
このような現状を踏まえ、県教育委員会では、平成21年3月に「教職員の勤務時間適正化対策プラン」を策定し、県、市町教委、関係団体、学校が一体となって、様々な取り組みを実施することにより、超過勤務時間20~30%の削減をめざして取り組んでいますが、現実には多忙化の解消にはつながっていないのではないかと考えます。
そのような勤務実態の常態化の結果、教員の多忙等によるストレスを原因とする精神疾患が急増しており、兵庫県においては平成11年度から10年間で約3倍、平成20年度で321人となるなど、教員のおかれている現状は極めて厳しいと言えます。また、これらに起因する休業者の増加が、多忙な業務をさらに圧迫している状況にもあります。
このような教員の多忙化が続くことにより、本来じっくり行うべきである教材研究をはじめ、いじめや不登校などの問題行動への対応、教員が生徒と向き合う時間の確保等に支障が生じる懸念があります。教員の負担軽減を図るなど勤務環境を改善し、教員が本来の業務である授業や生徒指導などに常に創意・工夫を凝らし、児童生徒と向き合う時間をより確保するために、教員が意欲的に働きやすい環境を整備する必要があると考えます。
例えば、早朝練習、休日練習等への対応も行っている教職員の部活動への指導については、研修を十分に行った上で、地域の外部指導者を導入するなど、社会教育の観点での地域との連携した取り組みを推進すべきと考えます。ドイツでは地域のスポーツクラブをまちぐるみで支えていて、世代間交流や社会教育の場として浸透し、地域への愛着を育む力になっています。また、愛知県犬山市のように、外部指導員を公費で採用し、積極的に支援しているような自治体もあります。
学校を巡るこのような状況の中で、教員は地域や保護者の信頼を得るためには何事にも労力や時間を惜しまず取り組まざるを得ないという状況があります。一方で、より良い教育を行うには、教育内容について教員同士が十分に打ち合わせができるようなゆとりや、教員と児童生徒が十分に向き合える時間の確保が不可欠なことは言うまでもありません。
そこで、多忙化する教職員に対して、授業や生徒指導の充実や生徒と向き合う時間をしっかりと確保するための、実効ある教職員の勤務環境改善対策について、どのように考えているのかお伺いします。
永富正彦
(加古郡)
一般質問
1.公社等のあり方について
2.園芸特産物の新品種の育成等について
兵庫楽農生活センターを拠点とする農業ツーリズムの展開について
3.スポーツの振興について
(1) 地域活性化に資するスポーツイベントについて
(2) 道路を利用したスポーツイベントに伴う交通対策について
4.神戸第三学区の普通科等定員の適正配置等について
5.神戸市西区の警察機能の強化について
6.阪神高速7号北神戸線の最高速度の引き上げについて
質問全文
第306回定例会(9月)一般質問
2010年9月29日(水)
1 公社等のあり方について
現在、国においては、民主党政権のもと、行政の無駄を徹底的になくすために、事業仕分けを行っており、本年10月には、外郭団体の仕分けを行うべく準備をしております。
本県においては、これに先がけて、平成20年度に、佐竹兵庫県立大学教授を委員長とする「公社等経営評価委員会」を設置し、鋭意検討を進めてきていることは評価いたしております。
しかしながら、県民・市民からは公務、とりわけ外郭団体に対する視線はますます厳しいものとなっており、なぜ外郭団体を存続する必要があるのか、組織体制や経営、県民サービスの状況はどのようになっているのか、など丁寧に説明し、理解を得ていく必要があると考えます。
このような中、茨城県では、債務超過に陥っている「県住宅供給公社」を「第三セクター等改革推進債」380億円を活用して公社を破産させることとし、昨日(28日)水戸地方裁判所に対して破産手続き開始の申立が行われ受理された旨の報道がなされたところです。
「第三セクター等改革推進債」は、このような公社の解散などに活用できるものですが、発行可能期間が平成25年度までとなっており、茨城県は解散を前倒しする方針を決め、今月22日の県議会で、同債の起債を含めた解散関連議案が可決されたことから、破産手続きを開始したと聞いております。
一方、本県においては、総資産から負債総額を差し引いた正味財産がマイナスになっている公社等はないものの、資産を時価評価すれば、どのようになるのか、その結果が懸念される公社等もあるのではないでしょうか。
さらに、平成20年度決算において、当期収支差額がマイナスになっているのは、兵庫県社会福祉事業団、ひょうご情報教育機構、兵庫県営林緑化労働基金など多数あり、それに加え、正味財産のうち剰余金がマイナスとなっているのは、新西宮ヨットハーバーや夢舞台であります。
また、県が多額の損失補償や貸し付けを行っているところは、兵庫みどり公社、兵庫県土地開発公社、兵庫県住宅供給公社などがあります。
そこで、このような公社等の経営状況や他府県の動きを踏まえ、第3セクター等改革推進債の発行可能な期限が迫る中、思い切った見直しも必要だと思いますが、本県として今後どのように見直していくのか、お伺いします。
2 園芸特産物の新品種の育成等について
園芸特産物は、本県農業の中でも重要な位置を占めており、これらの生産振興を図るためは、機械・設備の整備支援や新しい栽培技術の普及などの対策とあわせて、対策の基本となる優良品種の導入・普及が極めて重要で、これに対する生産者の要望も強いものがあります。
県内では、国や他府県が育成した新品種を導入し、生産している例も少なくありませんが、近年、産地間競争が激化し、育成県の産地保護が進むなかで、種苗法の規制も強化され、県独自の品種を持たない産地は衰退が必至の情勢であると聞いております。
私の地元である西区でも、ブドウやイチジクなどの果実をはじめ、花、野菜と多様な園芸特産物の生産が盛んであり、今後、産地間の競争に打ち勝っていくために、いかにして魅力ある作物や品種を導入するかが大きな課題となっています。私は、大消費地の近郊という本県のポテンシャルを生かすためにも、他の府県に対抗しうる品種の開発が必要であると考えます。
例えば、いちごをとって見ると、全国で様々な個性を持った品種が開発され、まさに激しい産地間競争が繰り広げられております。本県では、昭和35年に県農業試験場宝塚分場で育成された「宝交早生」という、かつて全国の市場を席巻した品種を開発した時期もありますが、近年では、平成14年に「夢甘香」という新品種を開発したものの、残念ながら現在は、栃木の「とちおとめ」、佐賀の「さがほのか」、福岡の「あまおう」といった他府県産の品種が市場の主流を占めております。実に50年近くも全国を市場とした売れる品種の開発ができていなかったことになります。西区でみても451アールの農地に27農家が栽培をしており、栽培技術も確立されてきていますが、全国的には兵庫県の知名度は今一つではないかと思います。ここは、ひとつ知事の強いリーダーシップのもと、新品種の開発を行い、「いどおとめ」として全国的に売り出してはいかがでしょうか。
しかし一方で、本県では新行革プランを推進しており、その中で、農林水産技術総合センターをはじめとする試験研究機関も改革に取り組んでおり、事業の選択と集中を進める上では、新品種の開発も例外ではないと聞いております。
品種の開発は、長い時間と多額の費用を要するもので、また近年、民間の種苗会社等の技術水準も相当に高くなっており、そのような中で、府県が取り組むのは非効率であるとの判断もあるようですが、だからといって、撤退してしまって、県として何もしないというのでは、折角の本県のポテンシャルを捨ててしまうことと同義であります。
そこで、本県として、優れた先見性を持って、民間や大学等との連携のもとに、産地間競争に打ち勝てる新品種の開発を進め、生産技術の開発・普及など生産基盤の強化策と相まって、産地育成を図っていただきたいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
3 兵庫楽農生活センターを拠点とする農業ツーリズムの展開について
4年前の一般質問において兵庫楽農生活センターを拠点とした魅力ある地域づくりについてお尋ねいたしました。井戸知事からは「兵庫楽農生活センターの周辺には、市民農園、観光農園など、農を生かした取り組みや、神出神社等の史跡も多い地域であることから、同センターを核としながら、周辺施設の相互連携の展開を図るため、JA、神戸市や地元自治会等を含めた連絡会議において、近隣観光農園等と共同で実施する収穫祭の開催などセンターと周辺施設との連携を強化する各種取り組みを検討し、魅力ある楽農生活を実践するモデル地域となるように努めます」との力強いご答弁をいただきました。
そこで今回はさらに踏み込み、兵庫楽農生活センターを拠点とする農業ツーリズムの展開についてお尋ねいたします。
地域の活性化を図るためには、観光などによる交流人口の増加も必要であり、特に最近は、経済発展により富裕層が増加する中国人の、訪日観光客が増加しております。
また、一方で、中国や台湾の富裕層では、日本産の米をはじめ、りんご、いちごなど農産物について、安全・安心・おいしい、という評価が定着しており、高価であるにもかかわらず、現地の百貨店で販売と同時に売れきれるなど、人気がある状況であります。
このような状況を踏まえて、兵庫県において、特色ある取り組みとして、いちごや米、果樹などの農業生産現場が見ることができ、体験もできる農業ツーリズムの展開を提案させていただきます。
私の地元、西区の農業公園では現在、神戸ワイン用のぶどう、なし、ももと言った果樹が栽培されており、また、その周辺では観光農園も盛んで、いちご狩りをはじめ、現在はなし狩り、ぶどう狩り、いも掘りが行われており、10月には、かき狩りもはじまり、神戸市民はもとより、遠方からも多くの観光客で賑わっております。また、施設園芸も盛んで、特に、神戸の軟弱野菜や、花卉など都市近郊農業も盛んに行われています。それに加えて神戸牛の生産地でもあります。
一方、兵庫楽農生活センターのある地は、神出神社のある雌岡山の麓にあり、神出神社の社伝記によると、「素盞鳴尊(スサノオノミコト)・奇稲田(クシナダ)姫命の二柱がこの雌岡山に降臨し薬草を採取していた住民の病苦を救い、農耕を指導された。」とあり、いにしえから、農耕に大変深い関わりのあった土地であります。また、中国の辛亥革命の指導者 孫文の経済的支援者であった呉錦堂氏が、明治41年から大正6年の10年間に、自分の夢であった大規模な果樹園をつくるため、神出町の小束野に土地を求め、故郷の中国淅江省から農民を呼び寄せ松林を開墾しました。その後、満蒙開拓移民者の西日本研修施設、県の農業試験場などそれぞれの時代に応じた変遷を経て、今日の兵庫楽農生活センターとなっており、同センターの直売所は、小束野の開墾を記念して建てられたとも言われる「移情閣」の面影を取り入れ、八角形の建物であります。また、小束野地区のほ場整備竣工記念碑の碑文には井戸知事により「呉錦堂翁の拓きし 小束野の里に 豊かな稔りあり」と読み込まれています。
来年、辛亥革命100周年の時にあたり、呉錦堂氏を顕彰することにより、すでに高いポテンシャルを持ったこの地周辺の探訪ルートを確立し、農業観光体験エリアとしてPRしていってはいかがでしょうか。
そこで、兵庫楽農生活センターにおいて、これらの取り組みを推進するとともに、農業生産現場が見ることができ、体験もできる農業ツーリズムの促進を図るべきと考えますが、ご所見を伺いいたします。
4 スポーツの振興について
(1) 地域活性化に資するスポーツイベントについて
スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つであります。心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有していることから、その意義を踏まえて、促進を図っていくことが重要であります。
兵庫県では、「のじぎく兵庫国体」「のじぎく兵庫大会」を契機として高まった県民のスポーツへの関心及び全国トップレベルにある競技力等の継承・発展を図るとともに、県民一人ひとりが“いつでも、どこでも、気軽に”スポーツに参加できる環境整備の推進を図っております。
そのような中、スポーツの多様な意義の中で、今、スポーツイベントの開催による地域活性化の効果に注目が集まっております。
東京都では、平成19年2月に都心部で行う3万人規模の市民マラソンを実施し、都心を走ることができることや市民ボランティアのおもてなしなどにより、昨年度の応募数は約31万人と人気を博しており、その実施による東京都における経済効果ははかりしれません。
兵庫県においても、本年9月8日の実行委員会設立後、知事、神戸市長、実行委員会会長による共同記者会見で、「阪神・淡路大震災の教訓・体験を風化させない」を基本理念に掲げ、神戸市役所前を出発して海岸近くを西へ向かい、明石海峡大橋のたもとで折り返し、ポートアイランドにゴールする「神戸マラソン」を来年11月20日に開催することを発表しております。最大7時間という制限時間も大変魅力的であり、約2万人の市民ランナーが神戸市内を駆け抜けることになり、大いに注目されているところであります。一方、大阪や京都でも同様の市民マラソン大会を検討しているとのことから、兵庫・神戸ならではのおもてなしも期待されるところです。
また、私も参加を予定しておりますが、スローライフを実践するために、自転車で淡路島を一周する「淡路島ロングライド150」が10月31日に初開催され、民間主導ではありますが、淡路島地域が一体となり地域活性化を目指すものであり、大いに期待しております。大会の出走受付が前日ということもあり、前泊する参加者も見込まれ、島内の経済効果も期待されます。
その他に、毎年11月に2日間、神戸市が主催する六甲全山縦走大会で、今年は9月1日の申し込み時に、郵便受付も含め、定員各2,000人のところ、1時間半で申込用紙が完売するなど、スポーツイベントに対する関心は高くなっております。「神戸マラソン」を開催するにあたっては、全国から多くの市民ランナーに参加していただくことは、もちろんであるが、楽しみにしている兵庫県民にも大勢参加して頂くためにも、兵庫県民枠も必要ではないでしょうか。
交通の便もよく、全国から人が集まりやすい立地にある本県の特性と魅力ある世界的観光資源である世界一の架橋大橋・明石海峡大橋を借景としたマラソンやサイクリングの開催は、工夫次第では、兵庫県にあたえるPR効果や経済波及効果は莫大なものとなると思われます。(出来れば、明石海峡大橋そのものを活用できれば、さらに効果があると思いますが・・・。)
そこで、地域経済が低迷する中にあって、観光産業をはじめとする地域経済に多大な効果をもたらすとともに、もてなす住民にとっても、地域の良さの再発見など地域に誇りを持つことにもつながり、地域の元気につながるスポーツイベントの開催について部局横断的に積極的に取り組む必要があると思いますが、どのように振興していくのか、ご所見を伺います。
(2) 道路を利用したスポーツイベントに伴う交通対策について
また、マラソン、サイクリング、自転車競技など公道を利用する場合は、当然のことながら一般の交通に障害となってしまうわけであり、交通規制や警備など警察の協力と理解が不可欠でありますが、明石市における歩道橋事件以来、兵庫県警は警備を重視するあまり、計画段階での主催者側に対する指導が厳しく、なかなか許可が得ることが難しいとの話も聞いております。もちろん安全が最優先であることに異を唱えるものではありませんが、「羹に懲りて膾を吹く」では地域の活性化は図れません。
そこで、公道を活用するスポーツイベントに対して、地元・主催者と協力の姿勢で取り組む必要があると考えますが、警察本部長のご所見をお伺いします。
5 神戸第三学区の普通科等定員の適正配置等について
県教育委員会では、平成21年度に「兵庫県高等学校通学区域検討委員会」を設置し、全県的な見直しを含めた県立高等学校全日制普通科における通学区域の望ましいあり方について検討を行い、本年4月にその中間報告がとりまとめられました。
その報告では、生徒がそれぞれの能力・適性、興味・関心、進路希望等に対応した高校を選択できるようにするためには、各学区内に生徒にとって望ましい多様な選択肢を確保する必要がある。また、魅力ある高校づくりをさらに推進・発展させるためには、学区を統合し、通学区域を広げる必要があるとしております。
今後、具体的に協議を進めていかれると思いますが、通学区域を広げる検討にあたっては、今後の生徒数の推移が観点の一つとされております。少子化が進む中にあって、今後、中学校を卒業する生徒数も減少することから、通学区域の見直しに併せ、県立全日制高校の定員減を検討しているのではないかと危惧しております。
私の地元である神戸第三学区も、今後、中学校を卒業する生徒数の減少が見込まれており、単純に考えれば定員減は避けられない状況であります。
しかしながら、神戸第三学区は、平成22年度3月の中学校卒業者数に比べ、現行の学区内普通科等の定員総数が少なく、隣接する北播、明石学区でも10人中6.5人以上が公立高校普通科等に進学できるのに対して、神戸第三学区は、学区内においては10人中4.7人しか公立高校の普通科等に進学できない状況になっております。神戸第三学区内の一部の中学校は、自由学区として明石学区等へ進学できることなどから、神戸第三学区の進学率については、神戸の他学区よりは、高いとのことですが、あくまでも結果であり、学区内への進学する機会の均等を確保するべきであります。
また、本年度より開始された、高校授業料無償化により、公立高校への進学希望者の増加も予想されることから、神戸第三学区の生徒の公立高校普通科等への進学は、より厳しい状況になると予想されます。
公立高校普通科等へ進学する機会の均等を図るためにも、通学区域の見直しに併せて、普通科等の定員の適正配置も検討すべきと考えます。
そこで、今回の通学区域の見直しに併せて、公立高校普通科等の定員数の見直しを行い、各学区の公立高校への進学の機会均等を図るべきであり、特に、神戸第三学区については、少なくとも学区統合までの間、ただでさえ少ない普通科等の定員を生徒の減少にあわせて一律で減らすべきではないと考えますが、ご所見をお伺いします。
また、学区を統合するにあたっては歴史的、地理的要因も勘案し、隣接する地域事情も考慮し、神戸第三学区においては、明石学区等への自由学区も残していただけるものと思うが併せて、当局のご所見をお伺いいたします。
6 神戸市西区の警察機能の強化について
この件につきましては、私が議員になって以来、当局に対して要望してまいりましたし、平成18年の11月定例県議会においても質問いたしました。
また、我が会派の杉尾議員も本年2月の定例県議会において質問しておりますが、喫緊に対応すべき課題でもあることから、少し別の角度から質問させていただきます。
神戸西警察署は、神戸市の西端に位置する西区を管轄し、その範囲は、東西約15キロメートル、南北約13キロメートル、その面積は、神戸市全体の約25%を占めています。管内人口は、約25万人で、神戸市の中でもっとも多く、今後も増加していく見込みであり、管内の面積が広大であることから、自動車利用が多く、交通事故などの警察事案も多発傾向にあり、引き続き神戸西警察署の警察官の増員など、機能強化が必要であると考えております。
現在の神戸西警察署は、平成3年に西神中央駅の近くに建設されて以降、管内人口の増加に伴い、現在では、署員は約320名と倍増しており、建物は何度かの増改築を行ったものの、狭隘化は否めない状況であります。
また、管内の犯罪情勢をみますと、玉津、岩岡、伊川谷などの地域での警察事案が増加しており、これらの地域への対応については、現時点の神戸西警察署から向かうには距離的な関係などから、迅速な初動対応という点で、不安をぬぐえません。これらの地域に対する警察機能の強化が急務であります。特に区の南部に対する警察機能の強化は喫緊の課題であります。
先ほども申し上げたように、神戸西警察署は、西神中央駅に近くにありますが、西区管内は広いうえに、玉津・平野・神出は、国道175号沿いにあり、これらの地域の方は、乗用車や明石駅に向かうバスの利用が多いことから、現有施設のさらなる増改築が困難であるならば、例えば、交通や生活安全を取り扱う警視派出所を国道175号沿いに設置することも一つの方法であると考えております。
また、現在、神戸市では、区役所の改築等が進められており、西区役所もこの10年の内に改築が進められると聞いております。西区内における交通の要所にある区役所は、警察の機動力を考えたとき、大変魅力的な場所にあり、その改築の際には、警察機能を併設することにより、さらに地域の治安強化が図れるものと考えます。
そこで、神戸市西区における警察機能の強化を図るため、現有施設の整備をはじめ、提案している機動力を備えた警視派出所等の設置などについて、前向きに検討すべき時期に来ていると思いますが、ご所見をお伺いします。
7 阪神高速7号北神戸線の最高速度の引き上げについて
阪神高速7号北神戸線は、神戸市西区の第二神明道路、伊川谷ジャンクションから西宮市の中国自動車道へ至る総距離35.6kmの自動車専用道路であり、1日に3万台が通過する幹線道路であります。
しかしながら、本線は昭和50年に計画された時に、設計速度が時速60km/hにされていることから、全線の最高速度は60km/hとされております。
これまでの高速道路等については、国が建設前にインターチェンジ間の交通量などを予測し、それを基に、カーブの大きさや幅員と同時に「設計速度」を定めることとなっております。この設計速度に基づいて、各都道府県の公安委員会が、設計速度以下で、規制速度を決めております。
しかしながら、直線で見通しが良い場所などでは、規制速度より速いスピードで走っていても問題がないと感じることも多く、さらに設計当時に比べて、自動車の性能、安全装置の向上や道路環境の改善も進んでおります。
このような状況から、警察庁では、国会などでも実勢速度との差が大きいと指摘された阪神高速7号北神戸線で、平成20年10月に調査を実施しました。その結果、規制速度は、60km/hであるが、実勢の速度は80~100 km/hであり、事故が多く発生している状況ではないことを確認しています。
この結果や研究会での検討を受けて、警察庁では、昭和43年に速度基準を制定後、42年を経過して初めて、制限速度を、実態に合わせて引き上げる方針をこの8月に発表しました。
新基準では、カーブの半径や勾配、道幅など道路構造に関する要素を基礎とし、4~5キロ程度を単位に規制が設定できるようになり、時速60~80キロに規制され、中央分離帯のある区間を、都道府県警が年内に対象を選んで見直し計画を策定し、可能な区間について、年明け以降に規制速度を10~20キロ引き上げる方針であります。
この件につきまして、平成17年度予算特別委員会において、道路の構造あるいは交通量などの交通環境、あるいは安全設備の整備状況、交通事故の発生状況等を勘案して、規制速度を設定するべきと質問させていただきました。先ほども申し上げましたが、阪神高速7号北神戸線は、時速60キロに規制され、中央分離帯のある道路であり、国の調査においても、問題のない区間であると認定されていることから、安全が担保されるのであれば実態に応じた制限速度の引き上げを期待しております。
そこで、阪神高速7号北神戸線の制限速度の引き上げについて、どのように考えているのか方針をお伺いします。
石井秀武
(西区)
1.県立大学の環境防災学科創設について
2.学校現場の活性化について
(1) 教師の採用に係る年齢制限の撤廃について
(2) 教師の社会的評価の向上と待遇改善について
(3) クレーマー対策について
3.刑務所出所者等に対する就労支援について
4.海外事務所の必要性について
5.“もう一つのワールドカップ”について
質問全文
第306回定例会(9月)一般質問
2010年9月30日(火)
1 県立大学の環境防災学科創設について
私は、2月の定例兵庫県議会の一般質問で“県立大学の環境防災学科創設について”を取り上げました。結果、県立大学で学問として、環境防災を導入するという知事のご意向を伺うことが出来ました。しかし、その後の取り組みの実態を見ますと、実現に向けての具体的なスケジュールが見えない中途半端な現状に不安さえ感じております。そこで、再度、阪神・淡路大震災の被災県の責務としての観点から、この問題を取り上げたいと思います。
阪神・淡路大震災から15年が経過します。6,400余名の犠牲者を出した、あの大震災は、尊い犠牲のもとに多くの教訓を私達に教えてくれました。その一つが「生命の尊さ」であります。私達は、その教訓をしっかりと活かし、後世に引き継いで行かなければなりません。
しかし、現実はどうでしょうか? 残念なことに、逆に生命が軽んじられ、親が子を餓死させたり、子が親を殺したり、悲しみが胸を打つ、堪えられないような悲惨な事件が、全国各地で頻発しています。今こそ私達は、あの大震災で学んだ、生命の大切さを自覚し、もっと社会全体で生命を大切にすることを学び、心の豊かさを育むことに力を注ぐべきではないでしょうか! 安全・安心な社会を取り戻すためにも、私達は“お互いを思いやる日本の心”、震災で学んだ“お互いに助け合う被災地の心”を大切にしていかねばならないと思います。
一方、昨年の8月に、台風9号が本県佐用町を襲い大きな被害が発生し、今年になっても日本各地をゲリラ豪雨に見舞われ、多くの犠牲者が出ました。今までの経験では推し量れないような豪雨や土石流が続発しており、近い将来、東南海・南海地震による被害も想定されます。
災害はいつやって来るか分かりません。兵庫の安全・安心のためにも、また国内外をリードする防災先進県「兵庫」としても、もっと環境防災に力を入れていくべきだと考えます。
21世紀は、環境の時代であり、かつ防災と環境は不可分の関係にあるとも言われています。開発は環境破壊を誘発し、災害をもたらす一面も指摘されています。自然とのつきあいも開発から共生の時代へと方向転換が図られています。
その先導的取り組みの一環として、9年前、兵庫県は、全国に先駆けて県立舞子高校に環境防災科を創設しました。この取り組みは、各方面から高く評価され、平成22年度において、近隣の私立大学では、舞子高校環境防災科を指定校推薦として、関大1名、関学1名、甲南1名、神戸学院2名の枠を設置するなど、積極的に取り組みを始めました。しかし、まだまだ環境防災に関心を持った高校生を受け入れ、環境防災を学問として研究していく大学が、圧倒的に少ないという現状です。
私は、永年にわたり県立大学への環境防災学科の創設を要望して参りました。皆さんが、「良いことだ」「大切なことだ」と賛同してくれます。生命を守ること、備えをすることに異論を持つ人はいないと思います。
是非、県立大学に環境防災学科を創設し、将来、兵庫県を初め全国・全世界を舞台に減災・防災に活躍する人材を育成して欲しいと願っています。
さらに、兵庫には国際的な防災関係機関が集積しており、県立大学が、これらの機関との連携を図り、実践的な環境防災の学問を高めていくことも重要であります。防災で一定の位置を占めている「人と防災未来センター」を、将来的には県立大学の付置研究機関にすることも考えられます。
こうした取り組みこそが、被災地としての責務であり、社会に対する貢献であり、大震災で受けた様々なご支援に対するご恩返しでもあると、強く確信するものです。是非、県立大学の個性化・特色化に環境防災学科等の設立を加えて戴き、全国に向かってアピールをして戴きたいと熱望するところでありますが、
今後の具体的な計画についてご所見をお伺いします。
2 学校現場の活性化について
先日、会派の調査でインドのムンバイにある小学校を訪問しました。インドでは経済格差が大変大きく、路上生活をしている人も多く見受けられます。それでも教育には大変力を入れています。有名なインド数学など国を挙げての理数系学問は、世界トップクラスで目を見張るものがあり、インドの工科大学で不合格になった学生が、アメリカのMITを受験するという現実もあります。また、小学校で全教科を英語で教えるなど、英語・ITに対する力の入れようには驚きさえ感じます。こうした子供達を見ていると、今後のインドの発展振りが容易に想像出来ます。
一方、今の日本の若者はどうでしょうか? 身体的に働けるのに働こうとしないニートが63万人、フリーターが178万人いるとも言われています。働こうとしない若者が多いのは、最低限の文化的な生活が保障されているからでもありますが、これは戦後、コツコツ真面目にワーカホリックのように働いてきた先輩達の財産を、食いつぶしている状況にあると言えます。
現代の若者に目を向けると、自分に投資する意欲の欠如が気になります。学力の低下もさることながら、前向きに取り組むという“やる気”“ハングリー精神”等の意欲が少ないことが問題であり、これらの問題すべて基本は教育にあると思います。
かつて世界のトップクラスであった日本の教育は、今や、先進国の最低レベルまで軽んじられていると言えます。我が国の教育予算は、対GDP比でOECD加盟国中、最低レベルであったことは、あまりにも情けないと言わざるを得ません。
先進国OECDの1クラス生徒数の平均が21.6人であるのと比較して、日本では、やっと中教審が40人以下学級の方針を打ち出しました。教育創造プランに基づく、実効のある教育施策のためにも、教育予算についてしっかり考えていかねばなりません。
ここ数回の県議会知事提案説明には、教育に関する項目がありませんでした。県として、次代を担う若者を育む大変重要な教育問題に対し、もっと積極的に考えを打ち出して頂きたいと考えます。
(1) 教師の採用に係る年齢制限の撤廃について
そこで、学校現場を活性化するために、まず教師の採用に係る年齢制限の撤廃について伺います。
海外から帰国した人や、子育てなどの理由で家庭に入っていた母親、或いは他業種から教師に転職しようとする有能な人が、年齢制限のために受験出来ないという話をよく聞きます。何のために年齢制限が必要なのでしょうか! アメリカでは、年齢制限を法律違反だとする州もあります。
東京では、校長のなり手が足らず、1/3が定年後の再任用対応で何とか乗り切っているそうですし、神戸市でも、産休や精神疾患で休まれる教師の代替要因が不足し、欠員が生じている学校もあると聞いています。そこで、優秀でやる気のある教師希望者には、どんどん門戸を開くべきではないでしょうか! 教師の増員、そして質も下げない対策として、教師の採用で年齢制限を撤廃すべきと考えますがご所見を伺います。
(2) 教師の社会的評価の向上と待遇改善について
次に、教師の社会的評価の向上と待遇改善について伺います。
今、マスコミや社会も、教師の誤った行為を大々的に取り上げる風潮があります。しかし、教師バッシングするのではなく、教師の良い面を取り上げ、元気づけることが大切です。生徒も教師も「2つ叱って、3つ褒め、5つ教えて良き人に育てよ!」だと思います。
さらに、子供達を元気にさせるには、教師自らが元気で頑張ること。そんな教師に、生徒は魅力を感じ尊敬もし、結果的にいろんな面で伸びていくものと信じます。
しかし、現実はこれとは逆に、厳しい勤務環境下で、教師の魅力が低下しているのではないでしょうか。例えば、小学校の教頭は、朝の7時頃登校し、夜9時10時頃まで学校に勤務しています。一般教師はクラブ活動などで休日出勤し、手当は僅か2400円です。さらに、授業後、家庭訪問を行い、自宅に採点を持って帰るなど、忙し過ぎる毎日です。
こういった厳しい現実に加え、2年前に年収ベースで、校長が90万円、教頭が60万円、一般教師が30万円という給与カットが行われました。厳しい職種で、給料的にも魅力がないでは、教師希望者が減っても当然かもしれません。
教師の魅力は勿論、お金だけで図られるものではありません。学校現場で先頭に立って、未来を担う子供を育てること自体に、やり甲斐があります。精神的に落ち込んでいた教師が転勤し、新しい学校で心機一転頑張り、3学期の終わりに生徒が一斉に立ち上がり「先生、ありがとうございました!」と言われ、涙ぐむ。この生徒達の一言で、1年の苦労は吹っ飛び、教師が立ち直った事例があります。只、教師の頑張りは精神的な善意だけでは続きません。教師という職業を魅力あるものとするため、その社会的評価の向上と待遇改善のあり方について所見を伺います。
(3) クレーマー対策について
最後に、クレーマー対策について伺います。
深夜に教師の自宅にまで、理不尽な要求や苦情を長時間にわたって電話をしてくる“モンスターペアレンツ”の事例を耳にします。
教師に子供が叱かられると、「そんなに怒られるなら帰っておいで!」と言う親、「給食を食べる時、『頂きます』と強制するのはおかしい。お金を払っているのだから」とか「うちの子、風邪で学校休んだのだから、給食費をその分返して!」と言う親。さらに「うちの子、人参が嫌いなので食べるように指導して欲しい」とか「卒業アルバムに、うちの子の写真が少ない」等々、何でも学校に要求する親。挙げれば切りがありません。
余りにも理不尽な要求に対し、悩み精神疾患に陥る教師、疲れ切って早期退職をするベテラン教師が、増えているとも聞きます。こうした課題に対応するためには、これらを一括して受ける機関の設置と活動が必要と考えます。
教育委員会におかれては、学校関係者OBやスクールソーシャルワーカーなどから成る「学校支援チーム」を各教育事務所等に設置すると共に、本年度からは「高等学校問題解決サポートチーム」を高校教育課内に配置されておりますが、前述したクレーマー等は、未だに学校や教師に直接来ているという現実があります。
こうした対策機関の機能を一層拡充するとともに、より広く普及・啓発を含め、こうしたクレーマー対策の現状と今後のあり方について所見を伺います。
私は、学校現場を活性化し、教師が元気づくことで、生き生きとした、優秀な生徒が育ち、同時に落ちこぼれの生徒が減り、ひいては社会犯罪の減少、安全・安心な住み良い社会に繋がると確信します。
学校に携わってきた者からの“学校現場の声”として、学校現場の活性化という観点から取り上げました。当局のご所見をお伺いします。
3 刑務所出所者等に対する就労支援について
私は、これまで保護司としての経験から、再犯率の抑制が安全・安心な社会づくりに効果的な取り組みであることを訴えてきました。平成21年版犯罪白書によると、満期出所者の再犯率は約55%、仮釈放者で約32%、全体では約42%と非常に高い状況です。そこで特に、障害者や高齢者で、刑務所等の矯正施設から退所した後、直ちに自立した生活を営むことが困難な人に対する就労支援策が必要であることを訴えたいと思います。
現在の福祉政策は、「自立」を基本理念に推し進められていますが、特に高齢者や障害者の中には、十分な支援が受けられず、社会で孤立し、排除され、その結果、再度刑務所に至るというケースも多く見受けられます。
こうした中で、県では、今年7月1日に、知的障害者や高齢者の社会復帰をサポートする「兵庫県地域生活定着支援センター」を開設するなど、取り組みは一定程度前進したと評価しています。
しかしながら、その一方で、県知的障害者施設協会の調査では、出所後の受け入れを巡り、県内知的障害者支援施設と相談支援事業所の約9割が「準備態勢が整っていない」との現状が浮き彫りとなっており、今後は、障害者手帳の取得や生活保護申請手続きを支援すると共に、福祉施設やハローワークと連携した就労支援を早急に実行して行かねばなりません。
こうした背景を踏まえ、私は、県が行う就労支援策の一環として、公共工事等の入札に係る社会貢献評価数値への反映等による雇用の推進を提案したいと思います。すなわち、障害者を雇用した場合に、社会貢献評価数値が加点される現行の格付け制度に、刑務所出所者の雇用を加え、雇用主にもメリットが出るような支援体制を保護司会と連携しながら作って頂きたいと思うのです。
山形県や岩手県、栃木県では、協力雇用主が出所者を雇用すると、保護観察所や県協力雇用主協会が証明書を発行し、「地域に於ける社会貢献活動」中「地域貢献活動」として、公共工事の競争入札の際に加点するという制度が既に出来ており、新潟県でもその方向で検討されていると聞きます。
一方、吹田市では、過去に犯罪や非行で保護観察の対象となった人を、臨時の事務員として雇用すると8月18日付けの新聞に掲載されていました。
是非、県においては、各関係機関と連携した就労支援を、より一層推進されると共に、先に申し上げた入札参加者に係る加点制度を検討するなど、刑務所出所者等の雇用促進に向けて、創意工夫を凝らした積極的な取り組みを進めて頂きたいと思いますが、ご所見を伺います。
4 海外事務所の必要性について
兵庫県は、約140年前の神戸開港以来、欧米、中国、アジアなど世界への窓口として、発展してまいりました。そして、歴史的に培われてきた高い国際性という重要な特性を持った地域として発展し、貿易の拠点であるだけでなく、多数の外資系企業や外国人が定着する国内有数の国際色豊かな地域と住民を育んでまいりました。
このような“国際力”ともいうべき特性の上に、経済、文化、生活、芸術、教育などの面で、兵庫県は我が国をリードして来たと言えます。
しかしながら、かつて17を数えていた神戸における外国領事館が移転し、今や韓国とパナマのみとなってしまった現実が一方で認められます。
今一度、私達は、この“国際力”という優位性を強く認識して、貿易の振興、外資系企業誘致といった国際経済交流に役立てるべきと考えます。
兵庫県は、7つの友好姉妹州省のみならず、多くの地域との関わりを持ち、さらに、友好・経済分野のみならず、防災や環境等での交流も進めて参りました。
中でも中国・アジアとの関わりが強い本県にとって、今後発展する中国・アジアとの関係強化が大変重要です。中国は、広東省・海南省との友好提携関係のほか、上海長江交易促進プロジェクト、四川省等との防災協力、上海・北京・大連・広州などの本県企業の支援やネットワーク化等で密接な関係にあり、本県製造業・物産の大きな市場としても期待されています。
しかし、そのような中、躍進著しい中国・アジアへの重要な窓口である兵庫県の香港事務所が、2008年3月に行財政構造改革に伴って閉鎖されました。
国際交流・経済交流の進展を図るには、現場主義で情報収集を行い、本県観光・経済などのPRや県事業の実施という業務の他、企業や諸団体の海外活動を支えていくことが大切であります。本県の顔としての活動、本県企業や団体への支援、また現地事情を踏まえての物産展や観光PR等の実施は、香港事務所が閉鎖された今、容易なことでは無く、私は、この事務所閉鎖は、適切ではなかったという思いを持っております。
海外事務所は、これまでも本県の国際・観光PRに数々の貢献をしてまいりました。特に西豪州事務所は、日豪文化交流に大きく貢献したとして、平成18年に、外務大臣表彰を受賞し、パリ事務所は、昨年、フィンランド航空の機内誌に、3ヶ月にわたり兵庫県の観光PR記事が掲載されて話題になりました。
これから中国でも、7月1日に中国富裕層への観光ビザの発給制限が緩和され、観光客の増加が期待されます。先に行われた日中韓観光担当相会合でも、2015年の旅行者を09年実績1350万人の約2倍にすると言う共同声明が発表されています。また、日本の高水準の医療を受ける“医療ツーリズム”の拡大に向け、政府も短期滞在ビザの取得をしやすくする方向で進んでいます。加えて、南アジアの大国インドの発展もめざましく、今後のアジアでの交流拡大は極めて重要な課題となって参ります。今県会本会議の知事提案でも、兵庫から全国、アジア太平洋地域の未来を築き、交流が推進されることを期待しますと述べられています。
発展著しい中国・アジア方面での関係を強化し、現地の興味・情報をいち早く入手し、集客・交流拡大に結び付けていくためにも、アジアの拠点としての兵庫県海外事務所を、中国の適切な場所に再び設置し、今後の両地域の関係強化を支えていく必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。
5 “もう一つのワールドカップ”について
オリンピックを知らない人は、いないと思います。さらに、オリンピックの年には身体障害者のためのパラリンピックがあり、同じく4年に1度知的障害者のためのスペシャルオリンピックスがあり、ワールドカップの年には、“もう一つのワールドカップ”という「知的障害者のためのサッカー世界選手権大会」が開催されているのを、皆さんはご存知でしょうか。
“もう一つのワールドカップ”は、1994年にオランダで初めて開催されて以来、国際知的障害者スポーツ連盟主催により、2002年の日韓ワールドカップ以降、FIFAワールドカップの開催年に同じ開催国で行われるサッカーの一大祭典となりました。
4年前のドイツ大会では、16カ国による参加のもとデュイスブルグMSVアリーナ等で開催されました。FIFAの基準で、試合会場の収容人数は、どこも5万人以上の素晴らしい会場です。日本で言う国立球技場のような所で、ワールドカップと同じ会場で、大観衆に見守られ試合が出来たことに対して、選手達もさぞかし感無量であったと思います。試合も大声援が飛び交い、大変な盛況であったと聞いています。日本では、選手と関係者だけのこぢんまりとした大会であるのを考えると、いかに障害者に当たる“光”の大きさの違いに驚きを感じます。
今回は、南アフリカで行われ、16カ国、選手と役員を含む総勢約480名の参加のもと開催されました。本県からも選手1名が参加し、日の丸を背負ったもう一つの日本代表20名の選手達が、8月23日から9月11日の間、世界の頂点を目指して闘った結果、日本代表は、過去最高に並ぶ10位を獲得しました。
今回、遠征費の総額が4,000万円を要し、選手の一人当たりの負担金は約10万円でしたが、その負担金が払えなくて参加を断念した人もいたように聞いています。参加した選手達は、コミュニケーションが上手く図れないという困難に直面しながら、日本の代表としての強い自覚を持って最後までハードなトレーニングに耐えて戦い抜き、サッカーを通じて大きな自信と達成感を得ると共に、本人はもちろん家族も、未来に夢を持って生きていける大切な希望を得たものと思われます。
知的障害を引き起こす典型的な病状の一つに「ダウン症候群」があります。染色体の異常が原因で、どれだけ文明社会になろうとも、出生1,000人に対し1人の割合で発症する病気だと言われます。どの家庭でも、その症状を持った子供が生まれてくる可能性があります。予防や治療は現代医学では困難で、合併症も多々起こり得る病気で、知的にも身体的にも制限が出て来ます。さらに知的障害を引き起こす原因は多岐に渡っています。
この「もう一つのワールドカップ」には、こうした誰しもがなり得る可能性のある病状を抱えた知的障害者が、チームの勝利のために、真剣に一丸となって参画しているのです。
ネルソン・マンデラ元・南アフリカ共和国大統領が、「スポーツには、世界を変える力があります。人びとを鼓舞し、団結させる力があります。」と言いましたが、障害というハンデイを乗り越え、スポーツに全力投球で溶け込んでいる障害者の姿には、それ以上の力があると考えます。
障害者スポーツに取り組む県として、この「もう一つのワールドカップ」に対し、支援・啓発を含め、どのように認識されており、また県民への周知についてどのように取り組んでいこうとされているのか伺います。
積極的なご答弁を期待して、私の質問を終わります。
小池ひろのり
(中央区)
1.加古川医療センターの現状と課題及び今後の方向性について
(1) 医師及び看護師等の医療スタッフの充実と育成について
(2) 緩和ケア体制の充実について
(3) ドクターヘリの今後の展開について
2.安全・安心のまちづくりについて
(1) 安全で快適な歩道の整備ついて
(2) 県下における無電柱化の取り組みについて
3.殺人事件における時効撤廃による捜査体制等のあり方について
4.最低賃金制度への県としての対応について
質問全文
第306回定例会(9月)一般質問
2010年10月1日(水)
1 加古川医療センターの現状と課題及び今後の方向性について
(1) 医師及び看護師等の医療スタッフの充実と育成について
まず、私たちの念願でありました、播磨地域における第3次救命救急センターが、やっと昨年11月に加古川市神野町の見晴らしの素晴らしい場所に「兵庫県立加古川医療センター」として開院しました。
知事をはじめ多くの関係者の方々に心より感謝申し上げます。
当センターは、25の診療科と353病床数を持ち、基本的な機能としては、東播磨地域における三次救急医療、糖尿病等の生活習慣病医療、緩和ケア、感染症、神経難病などの政策医療を中心に提供するとともに、地域医療に対する補完機能を担う病院として、大いに期待されております。
又、患者本位の病院として、外来部門の1階への集中配置やアメニティ向上への積極的な対応、さらに職員の接遇態度、環境に配慮したグラスパーキング等、今までの県立病院にはなかった施設運営となっております。
特に、加古川医療センターの重要な機能の一つとして、東播磨・北播磨医療圏域の3次救急医療の提供があります。
これまで、東播磨・北播磨地域は、約100万の人口を有するにもかかわらず、今まで高度診療機能を備えた重篤救急患者に対応する救命救急センターが設立されていませんでした。そのため、医療圏域内の重篤な救急患者は、県立姫路循環器病センター、兵庫県災害医療センター、神戸大学医学部附属病院など圏域外の病院に搬送されておりました。
このような中、県医療審議会の答申を踏まえて、新病院の設立に当り。3次救命救急医療を担う「救命救急センター」を設置し、現在、ICU 8床、HCU 6床、救急科病床16床の併せて30病床を整備し、医師13名を確保して、24時間365日、重篤な救急患者の対応にあたっており、東播磨・北播磨地域の救急医療の一翼が担われております。
そこで、開院して約11月が経過しましたが、救命救急センターの今後ますますの充実を図っていくためには、医師の確保あるいは看護師等のスタッフの資質の向上等を図っていくことは必要不可欠ではないかと考えますが、これらの課題に対して、どの様に取り組まれるのかお伺いします。
(2) 緩和ケア体制の充実について
近年、国民の2人に1人が何らかのがんに罹り、3人に1人ががんで死亡する時代と言われております。平成19年4月にがん対策基本法が施行され、その中では、がんの予防、早期発見、がん医療の普及などがんに対する研究向上が謳われています。
特にがん医療のなかで、緩和ケアがクローズアップされ、①がんの痛みをとってもらうことは、患者の権利であり、自宅においても科学的な根拠に基づいた医療を受けること。②緩和ケア関連施設として、一般病院、緩和ケア病棟、在宅医療関係施設が連携して、患者さん、ご家族を診ていくことが求められています。そして最も重要なことは、がん患者の多くは、がんと診断された時から身体的な苦痛や精神心理的な苦痛を抱えており、また、その家族も様々な苦痛を抱えていることから、治療の初期段階から緩和ケアが実施されるとともに、診断、治療、在宅医療など様々な場面において切れ目なく実施される必要があると言われています。
兵庫県下では、緩和ケア病棟を有する病院は9病院ありましたが、東播磨・北播磨地域にはありませんでした。一方で、がん治療を専門とする県立がんセンターが明石市にありますが、同センターで、がんの診断・治療から終末期ケアまで一貫して実施するのは困難であります。そのような中、県立病院としてはじめて緩和ケア病棟を備えた緩和ケア体制が県立加古川医療センターに整備されたことは、今後、大いに期待するものであります。
緩和ケアについては、医療的な治療だけではなく、精神面などからの心のケアも重要なことから、医療スタッフの他にも、ボランティアなどの支援も必要と考えます。また、緩和ケアは新しい分野であることから、緩和ケアに精通した看護師の育成も必要となります。
また、自宅での治療を求められる方には、緩和ケアを扱える地域の開業医などとの連携も必要となります。
そこで、これらの課題について、加古川医療センターとして、緩和ケアの現状をどのように認識され、今後どのように取り組まれるのか伺います。
(3) ドクターヘリの今後の展開について
迅速な災害医療が行えなかった阪神・淡路大震災の教訓から生まれたと言われているドクターヘリは、全国に導入が進み、ある新聞社の調べでは、11年度内に26道府県に広がると報道されています。
加古川医療センターもドクターヘリから搬送される救急患者の対応が可能なように、敷地内にヘリポートを設置しており、今までに8件の受入れを実施しております。
本年5月に我が会派が同センターを視察した際、現場の医師からは、救命救急センターとしての機能と、ヘリポートを設置している当センターに、ドクターヘリ運航の要望の声を聞いたところであります。
ドクターヘリは、医療スタッフが乗り込み、現場で初期治療したうえで搬送できるため、救命率の向上と重い後遺症を減らすことが可能となり、医療の信頼回復が期待されるものであります。今年4月に兵庫、京都、鳥取の3府県が共同運航するドクターヘリが公立豊岡病院に配備され、1日平均2.7件と全国的にもトップクラスの頻度の出動を行っているとの事です。
瀬戸内側の人口密集地帯では、現在、神戸市と共同で運航している防災ヘリ3機を活用して、必要な場合に、兵庫県災害医療センターの医師を搭乗させて、ドクターヘリ的な運用を行っております。しかしながら、兵庫県災害医療センターについては、周辺が住宅密集地であることからヘリの発着回数に制限があるため、県災害医療センターの医師が、防災ヘリが常駐するポートアイランドへ移動するため、どうしても出発までの初動時間がかかってしまう課題があります。
現在、救急科医師13名を配備し、ヘリポートを有する加古川医療センターに、ドクターヘリの基地を設置すれば、瀬戸内側の救命率の向上が図れると考えます。
そこで、3次救急医療病院の役割を果たすため、県として、当センターにおけるドクターヘリの配置について、今後どのように考えているのか、ご所見をお伺い致します。
2 安全・安心のまちづくりについて
(1) 安全で快適な歩道の整備ついて
平成20年に策定した、新行革プランにおいて、投資事業の整備の基本的な考え方として、県民の安全と安心の確保、整備の遅れている分野や時代の変化に対する分野への選択と集中を図り、県民生活に密着した社会基盤整備を重点的・効率的に推進するとしております。
特に、歩道の整備については、歩道設置率は36.5%と全国で30位と整備の遅れている分野であり、県民の安全と安心を確保する重要な社会基盤であり、整備の促進が求められています。特に最近では、福祉のまちづくりの観点からも本当に利用しやすい歩道の整備が求められております。
私の地元・加古川市においては、市内を2分する加古川を渡る相生橋や池尻橋は、車はもちろん、通学や通勤のために自転車等の交通量が多く、一部では人が歩くにも狭い歩道があるなど危険な状況であり、多くの県民から改善の要望を受けています。
県下の歩道設置の状況を見ると、県が管理する道路では、歩道整備が必要とする道路のうち、69%が設置され、東播磨県民局管内でも59%と言われていますが、実感としてはもっと低いのではないか、また、この数値には幅員が狭いものも含まれており、今後かなりの整備が必要と考えます。
人通りが多く、危険で、通学路となっている箇所から優先的に進めていくべきと考えます。
そこで、東播磨県民局管内の歩道整備について、指摘した箇所も含めて、今後、どのように整備・改修を行っていこうとするのか、ご所見をお伺いします。
(2) 県下における無電柱化の取り組みについて
道路の地下空間を活用して、電力線や通信線などをまとめて収容する電線共同溝などの整備や、表通りから見えないように配線する裏配線などにより、道路から電柱をなくす無電柱化が、最近、注目されております。
これは、例えば、①電線が多すぎて景観が悪い。②電柱で道幅が狭くなり、歩行者には歩きにくく、自動車が来たときにも危険。③地震や台風などの災害で電柱が倒れたり、電線が垂れ下がったりする危険もあるなど、電線や電柱についての課題が指摘されています。道路の無電柱化は、こうした様々な問題の解決に役立ち、特に地震の多い日本では、防災面から、無電柱化は重要であります。
こうしたことから、国は、「安全で快適な通行空間の確保」「都市景観の向上」「都市災害の防止」「情報通信ネットワークの信頼性向上」などを目的として、無電柱化を推進しております。
しかしながら、欧米の主要都市では無電柱化がほぼ出来上がっているのに対して、日本の無電柱化率は市街地の幹線道路に限っても13%と、大きく立ち遅れています。また、兵庫県においても、県管理道路における無電柱化延長は、76.7kmに過ぎません。
道路の無電柱化の推進にあたっては、確かに、電線管理者の経営環境や国・地方公共団体の財政状況の悪化等の大きな課題がありますが、快適な生活空間の確保や防災面、交通安全対策の必要性からも、道路管理者、電線管理者及び地方公共団体や地域住民の地元関係者が三位一体となった密接な協力のもと、より一層の無電柱化の積極的な推進が必要と考えます。
そこで、今後、県下の無電柱化についてどのように進める方針なのか、ご所見をお伺い致します。
3 殺人事件における時効撤廃による捜査体制等のあり方について
殺人など最高刑が死刑の罪については、25年の時効が廃止され、傷害致死など人を死なせた罪は時効期間が2倍に延長されるとともに、さらに時効が未成立の事件にも適用される刑事訴訟法が、本年4月27日に改正、即日施行されました。
これは、「逃げ得は許さない」という犯罪被害者・遺族らの声が政府や国会を動かし、法改正につながったものであり、時効の壁で、犯人が見つからず、事件の真相も背景もわからないままになっていた遺族にとっては悲願だったと言えます。
一方、これらの事案の時効が撤廃されたことにより、未解決事件についての捜査体制の継続が必要となります。本県でも現在、14件の未解決の殺人事件を抱えており、今後、新たな事件も発生していくことになりますと、捜査員の数に限りがある中で、捜査体制の継続や、莫大な捜査記録や証拠物の保管・管理、長期化による情報収集の困難が予想されるなど多くの課題があり、一方で警察の捜査は年々難しくなっております。捜査員の聞き込みで逮捕される割合は年々落ち込んでおり、加えて団塊世代のベテランの捜査員の大量退職期を迎え、一層捜査が困難になる恐れがあります。
また、県下での未解決事件の一つに、平成19年10月に私の地元加古川市で発生した小学生女児殺害事件があります。容疑者確保に直結する有力な情報を提供した方に支払われる公的懸賞金制度の該当事件として取り扱われていましたが、適用期間2年間で、平成22年7月29日をもって終了したと聞いています。
この事件については、前県警本部長の就任会見でも特に「証拠や捜査経過を検証し、方針を立てて解決に向けて努力する」と意気込みを語っておられました。事件の解決にあたっては、情報収集がもっとも必要であり、情報収集にかかる懸賞金制度の延長等も含めて検討すべきではないか、県民をはじめ多くの方々からの一層の情報収集を図るための新たな取り組みが必要と考えます。
そこで、殺人の控訴時効が廃止されるなど刑事訴訟法が改正された後、県警における捜査体制や証拠物の保全などを、どのように取り組まれるのか、また、情報収集のあり方についての方針をお伺いします。
4 最低賃金制度への県としての対応について
最低賃金制度とは、ご存知のとおり、国が法律に基づいて下限を決め、その金額未満で労働者を雇うことを禁止する制度であります。毎年、労使の代表と公益委員の3者で構成する中央最低賃金審議会が、都道府県別の引き上げの目安額を示し、その目安を受けて、地方の審議会が具体的な引き上げ額を決める方式となっております。
しかし、最低賃金は、本来、労働者の生活水準を守るための制度であったが、生活保護の水準を下回るという「逆転現象」が起きており、つまり働いている人の所得が、働いていない人の所得よりも低いという異常な状態が続いていました。
このため、平成20年に施行された改正最低賃金法では、この逆転現象の解消を義務付けるとともに、審議会では2~5年での解消を求めております。
また、民主党は、本年6月の新成長戦略において「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円を目指す」と明記し、労使代表らによる「雇用戦略対話」でも合意を得たところであります。
働いているのに、貧困から抜け出せない「ワーキングプア」の問題を解消するには、最低賃金の引き上げが必要とする労働者側と、景気回復はまだ弱く、経営状況の悪化や雇用を控える恐れがあるとする経営者側との激しい対立がありましたが、本年8月に、全国平均で現状の713円から728円と15円引き上げる答申を決め、兵庫県の上げ幅を10円と答申しました。8月末に兵庫地方最低賃金審議会は、生活保護との開きを解消するために、時給で13円引き上げ、兵庫県は734円にするべきと、兵庫労働局長に答申され、決定したところであります。労働者の就労意欲を刺激し、かつ所得向上に向け、大いに評価するものであります。
最低賃金制度については、企業の遵守義務であり、罰則規定はあるものの、罰金が50万円以下と少なく、県としても労働局と一緒になって、この制度について、県下企業に遵守させるよう努力すべきであります。
そこで、県が発注する公共工事や受託事業で受注企業に対して、最低賃金制度の趣旨を徹底させ、例えば、千葉県野田市では、市発注の公共事業の受注者に対し、市が定めた最低賃金以上の支払いを義務づける「公契約条例」を昨年に制定したと聞いております。
県として、最低賃金制度についてどのように認識し、どの様に県下企業に周知徹底される考えなのかご所見をお伺いします。
宮本博美
(加古川市)
質疑
1.国の経済対策に対する評価について
2.緊急雇用就業機会創出事業の実施について
3.県単独生活関連道路緊急対策事業の実施について
4.地域子育て創生事業について
質問全文
第306回定例会(9月)質疑
2010年10月6日(水)
私は、民主党・県民連合議員団を代表して、本日知事から提案のありました平成22年度補正予算案に対し、質疑を行ってまいりたいと思います。
1 国の経済対策に対する評価について
まず1点目は、国の経済対策に対する評価についてであります。
我が国の経済・雇用情勢は、一部に持ち直しの動きがあるものの、景気回復は減速傾向を示しており、加えて8月からの急激な円高の進行もあり、明るい兆しは確認できないような状況にあります。
先日、日銀が発表した2010年9月全国企業短期経済観測調査(短観)によると、全産業における業況判断指数(DI)はマイナス10となり、前回の6月短観から5ポイント改善しましたが、12月予測はマイナス17となっており、先行きへの大きな不安を示す結果となっています。
そういう中にあって、国においては、円高等の景気下振れリスクへの対応、デフレ脱却の基盤づくりのための緊急的対応のため、経済危機対応・地域活性化予備費を活用した約9,200億円の経済対策を講じることを、9月24日に閣議決定しました。
さらに、今月1日の所信表明演説において、総理は、①雇用・人材育成、②新成長戦略の推進、③子育て、医療、介護、福祉、④地域活性化、中小企業対策、⑤規制緩和、などを柱とする補正予算を編成し、臨時国会に提出することを表明し、これらの措置を講じ、減速感ある景気を下支えし、元気な日本の復活を目指しております。
本県においても、非常に厳しい経済・雇用情勢を受け、国の予備費に呼応した形で、今回、約150億円の補正予算案を提案しましたが、時機を捉えた対応として評価するところであります。
そこで、今回の経済危機対応・地域活性化予備費を活用した、国の経済対策について、県としてどう評価しているか、まずお伺いします。
2 緊急雇用就業機会創出事業の実施について
2点目は、緊急雇用就業機会創出事業の実施についてであります。
我が国の経済・雇用情勢は、先に述べましたように、全産業における業況判断指数の12月予測がマイナス17となるなど、先行きへの大きな不安感、不透明感が漂っています。
そういう中にあって、国においては、円高、デフレへの緊急対応として、新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策を9月10日に閣議決定し、「雇用」を機軸とした経済成長の実現などをめざし、経済成長で「雇用を創る」、国内雇用の空洞化を防止し「雇用を守る」、マッチング強化により「雇用をつなぐ」、これらの取り組みで国民全てが意欲と能力に応じて働ける社会の実現をめざすこととしています。加えて、先に述べましたとおり、その具体的対応として、予備費を活用した経済対策を講じることを決定しました。
本県では、新行革プランによる取り組みを進める厳しい財政状況の中、昨年5月の緊急的な需要創出や金融・雇用対策等のための補正予算に始まり、9月、10月には台風や新型インフルエンザに対する緊急対策のための補正予算、そして今年2月にも緊急経済・雇用対策等のための補正予算を編成し、平成22年度当初予算と合わせた14ヶ月予算として、緊急経済・雇用対策を最優先課題として、県民生活の安定に努めてこられたところであります。
そういう中で、本県の雇用情勢は、8月の有効求人倍率が0.52倍と依然として低く、相変わらず厳しい状況が続いております。今後、本格化する新規高卒予定者等の就職に影響が生じ、昨年度以上に厳しい結果とならないか危惧されます。
こうした中で、今回、提案された補正予算案は、国が対策実施を決定した予備費に対応した施策や事業を盛り込んで提案されたものとなっており、経済指標が示すように、非常に先行きが不透明な経済状況の中で、新卒者等への悪影響の懸念も踏まえ、素早く経済・雇用対策を講じていくことについて、大いに評価し、期待するところであります。
そのうち、緊急雇用就業機会創出事業については、国では「雇用」の基盤作りとして「重点分野雇用創造事業」の拡充に予備費で1,000億円計上され、県でも今回約20億円の提案となっています。重点分野雇用創造事業では現在、「介護」「医療」「農林水産」「環境・エネルギー」「観光」「地域社会雇用」の6つの分野に重点化して取り組んでいますが、その対策強化に当たっては、厳しい状況にある若年者などをターゲットとするとともに、代表質問でも指摘しましたが、より実効性のある取り組みでなければなりません。
そこで、特に、厳しい状況にある若年者の雇用についての対策強化という観点も含め、今回の補正予算における雇用対策強化の考え方について伺います。
3 県単独生活関連道路緊急対策事業の実施について
3点目は、県単独生活関連道路緊急対策事業の実施についてであります。
今回の補正予算では、国の予備費における1,671億円の地域の防災対策に対応し、道路、河川等の防災対策の約27億円、農地の湛水(たんすい)被害等防止対策の約10億円などを含む約56億円が提案されています。さらに、県単独の防災対策として河川、砂防、治山(ちさん)ダム等の整備に15億円、そして県民生活の利便性向上のための生活関連道路対策の15億円を加えた、合計約90億円の投資的な事業が提案されています。
我が会派においては、従来から、このような投資的な事業は、事業規模の精査と真に必要な事業を優先順位をつけて実施することを主張してきていますが、今回の補正予算で提案されている事業については、地域の防災対策、県民に身近な生活対策として実施されるものであり、県民の安全・安心のために優先的に実施しなくてはならない事業ばかりであると理解します。
そういう中で、緊急時の避難路確保やすれ違い困難箇所の解消や、豪雨による舗装面の亀裂補修等を、県下91箇所で行う「県単独生活関連道路緊急対策事業」の実施については、県民の身近な部分での安全・安心や利便性の向上につながることから、大規模プロジェクト事業に比べて、費用対効果等の面も含めて、県民の理解も得られやすく、積極的に推進すべきと考えます。また、新行革プランにおける投資事業改革の基本方向である、「つくる」から「つかう」の視点に沿った取り組みであり、かつ限られた財源の中で国の交付金を活用した事業でもあることから、大いに評価するところであります。
そこで、今回の補正による「県単独生活関連道路緊急対策事業」について、91箇所の事業箇所選定の考え方を含め、今回の補正予算での整備の考え方を伺います。
4 地域子育て創生事業について
最後4点目は、地域子育て創生事業についてであります。
我が国においては、急速な少子・高齢化が進んでいます。2010年の高齢化率は23.1%であり、2025年には30%に達するとも言われる中、本県においても同様に高齢化率は22.4%と高い数字を示しています。一方で、兵庫県の合計特殊出生率は2005年の1.25から改善し、2009年には1.33となっていますが、全国都道府県との比較では34位という状況にあります。
そういう状況の中で、本県における少子対策は喫緊の課題となっており、これまで、ひょうご仕事と生活センターを設置し、ワークライフバランスの推進に先導的に取り組むとともに、法人県民税超過課税を活用して対策を行うなど、総合的な対策を講じてきています。さらに、今回の補正予算案においても、地域子育て創生事業として、総額1億2,300万円で全33事業の追加提案をされており、子育て支援等を通じ、少子化に歯止めをかけようと必死に取り組まれようとする姿勢について高く評価します。
また、全33事業のうち、31事業が新規事業の提案であります。その財源となっている安心こども基金が充当できる事業かどうかとの制約もあるかと思いますが、少子対策は、各分野、各方面からのアプローチによって取り組むべき課題であることは言うまでもないと考えます。
そこで、今回提案された事業について、少子対策の課題や事業実績の検証等を踏まえ、提案されたものと考えますが、その検証状況を含め、実施事業に関する考え方について伺います。
以上で、民主党・県民連合議員団を代表しての平成22年度補正予算案に対する質疑を終わります。ご静聴ありがとうございました。
池畑浩太朗
(宝塚市)