●企画県民部1
1.総合政策室長の役割について
(1) 県政のシンクタンクとしての役割について
(2) 総合政策室長のPRについて
2.NPOと行政について
(1) 兵庫県における「新しい公共」について
(2) NPOと行政の協働について
(3) 適切な協働のあり方について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部1)
2011年3月2日(水)
1 総合政策室長の役割について
(1) 県政のシンクタンクとしての役割について
本件については、我が会派が、昨年度における当初予算申し入れにおいて「各部局において策定される各種の事業計画を実効性あるものとするためには、部局を越えた取り組みが必要であることと、県政全般に関する政策立案を担当する企画県民部政策室の調整機能の強化が必要ではないか」と訴えてきたことをはじめ、昨年度の予算委員会における私の質問等においても、度々とりあげてきました。
総額3兆1,703億円にものぼる巨大な県の行政機構にあって、今後より一層厳しさを増す行革の中で、選択と集中による施策の優先順位や県政全般を見据えた施策の整合性やダブりチェック等で、効率化とスリム化への取り組みが欠かせません。
県政では既に、少子化対策や自殺防止対策等全庁的なプロジェクトが設置されていますが、まだまだ縦割り行政が主流であることは否めません。
企画県民部所管の各セクションの中で、今ひとつ担当分野のはっきりイメージ出来ないのが総合政策室長ですが、企画県民部の施策体系図には「県政策の総合的推進」として「政策の企画・総合調整と地方分権」と位置づけられ、重要施策等の総合調整の推進が掲げられています。
そうした役割を生かすためにも、総合政策室長は各部局から提出された政策を選択と集中を中心に精査・調整するシンクタンク的な役割を果たすべきではないのかと考えます。
しかしながら、緊急的な経済対策として昨年10月と12月にそれぞれ編成された補正予算約900億円についても各事業別配分にあたって既存事業との重複は無かったのか、事業選別の根拠は何か、といった説明を聞くことができませんでした。
例えば、深刻な雇用不安に応えるため、国の交付金により造成した総額345億円の基金を活用して平成24年度までの4年間にわたって実施する「兵庫県緊急雇用就業機会創出事業」等の取り組みがあります。
平成22年度までで約490の総事業計画を見込んでおり、これまで雇用実績も約9千人に及んでいるという実績から雇用対策自体においては一定の成果に繋がってきたという評価も可能ですが、こうした施策に関してもオール兵庫県の施策に結びつけて考える視点も欠かせないと考えます。
すなわち緊急雇用創出事業は、各部局がそれぞれの課題に応じて、事業化しそれを集約したものであろうと思いますが、そこに県政全体をトータルとして鳥瞰し、各事業計画部局に方向性を示していく仕掛けが必要であると考えます。
各部局が計画する個別事業も、国の実施要領・基準に基づいて集約された各事業を、財政課が査定するという手順に終始しており、そこには総合政策室長による最終チェックなど介在する余地が殆ど無いように思えます。
そこでまず、「政策の企画・総合調整」と位置づけられるとともに、県政の重要施策等に関する総合調整の推進を図る総合政策室長が、どのようなスタンスで県政全般に関する政策・企画の調整やマネジメントを行おうとされているのか、あわせて各部局に対しては、どのように指針を示して、メリハリのある政策調整を図ろうとされているのかについて、所見を伺います。
(2) 総合政策室長のPRについて
平成23年度の予算状況を見ますと、企画県民部では、地域振興、長期ビジョン、生涯学習、青少年育成、芸術文化、参画と協働、男女共同参画、地域安全、交通安全など多岐にわたる事業を展開されています。
しかし、一般県民にとって「総合政策室長」という呼称からは、明確にイメージできるものがなく、相変わらずわかりにくいのではないかと考えます。
先程も申しあげましたとおり、私は、県民生活に関わる総合的な施策を展開する、いわゆる県政における頭脳、シンクタンクとしての機能を担うべきと理解しており、その期待をしているところですが、PR不足によることもあって、県民はその働きを十分認識できていないのではないかと考えます。
例えば、岐阜県の総合政策課のホームページなどを見ますと、総合政策ポジションとしての同課の果たす役割について、ポイントを押さえて的確に記載されているとともに、その目標や具体的な方法などにも一定の説明が加えられ、県民に理解しやすい構成になっているように感じます。
このように、少なくとも県民に対しては、県政のどういう部門を担っているかについて、特徴的なものをアピールし、周知を図り、県民に理解が得られるわかりやすい県政を進めるべきであると考えます。
県の政策の企画・調整を総合的に担う立場として、総合政策室長の役割をどのようにわかりやすく情報発信をしていこうとしているのか、また今後どのように県民にPRを行おうとされるのかご所見をお伺いします。
2 NPOと行政について
(1) 兵庫県における「新しい公共」について
昨年6月に内閣府が策定した「新しい公共宣言」によれば、「新しい公共」とは、「「支え合いと活気のある社会」を作るための当事者たちの「協働の場」であり、そこでは、「国民、市民団体や地域組織」、「企業やその他の事業体」、「政府」等が、一定のルールとそれぞれの役割をもって当事者として参加し、協働すること」とされています。
申し上げるまでもなく、これまで本県の各地域においても、市民活動、NPO活動、ボランタリー活動など数々の活動が地域の中で重なり合いながら、展開されてきましたが、地域活動の中にこそ、立派な参画と協働が根づいていることをまず行政がしっかりと認識することが必要で、そのうえに立って、NPO等の自立的活動を支援していくことが必要となります。
県行政の中にあっても、NPOへの認識が全ての部局で充分であるとは言い難く、部局によっては温度差があることも又否めません。
同様に県内の市町、特に職員レベルにあっては、NPOや協働に対する理解や認識度に相当の格差が見られ、従って取り組み姿勢にも、当然大きな影響が出てきます。
そうした中で今回「新しい公共」として、NPOとの協働を展開することが打ち出されていますが、兵庫県としての「新しい公共」とはどのような理念に裏付けられ、どのように理解すべきかについて、分かりやすい説明を求めたいと思います。
同時に、この「新しい公共」の理念について、県庁各部局や市町に対し、どうアプローチしていくのか、NPOとの協働の促進について、県下市町の実態把握とレベルアップについて、県として今後どのように取り組んでいかれるのかについて伺います。
(2) NPOと行政の協働について
県民のニーズが多様化する中で、地域づくりやまちづくり、福祉施策や教育・文化の推進のほか、環境、国際協力などといった様々な分野で、NPOによる様々な社会貢献活動が広がっています。
より活力があり、豊かで安心できる社会を築く上で、多様な県民参加のつながりをもたらすNPOは、新たな社会づくりの担い手として今後とも重要な役割が期待される存在です。
平成10年3月25日にNPO法が公布されて以来、県下のNPO法人は、2月18日現在で、1,608を数えるに至り、各分野でさまざまな活動を展開しています。
民の力が、存分に発揮できる場の提供を通じて、コストに比して、住民の満足度の高いサービスを提供できる担い手として、NPOを位置づけていくべきであり、NPOと行政と、ボランティア組織、企業などが渾然一体となって、地方自治や協働を行っていくことが、時代の要請といえます。
NPOと行政の協働とは、相互の立場や特性を認め、双方が役割分担を理解したうえで協働を進めることにより、公共サービスの内容をより豊かで効果的なものにしたり、効率化してコストを低減するなどの効果が期待できるのです。
NPOと行政の協働のあり方については、共催・事業委託・資金助成・後援・政策提言などの形がありますが、県としてこれまで取り組んでこられた主な事業実態とそれらに伴う課題をどのように認識されているのかについて伺います。
(3) 適切な協働のあり方について
NPOと行政は、普段は独自に活動している場合が多いので、事業によっては、協力できるものと競合・対立してしまうものもあるかもしれません。
従って、それぞれが、お互いの役割分担を明確にしたうえで、協働によって、公共サービスの質や量の充実あるいはコストの削減などを図ることができるかどうかをよく検討のうえ取り組む必要があります。
近年行政サービスの民営化・民間委託などが進んでおりますが、NPOに行政が担ってきた役割や、責任の肩代わりを期待したり、ましてや NPOを行政の下部機関のようにみなす事業のあり方は論外といえます。
「NPOとの協働」が「予算が足りなくなったからNPOを上手に使おう」と或る会合で聞いたことがあり、地域でNPOが「行政の下請け」になっていると思えるケースが多いのが現実です。
自治体側は、必要な予算や人件費まで削られている一方で、仕事量が増えているともいわれますが、NPOとの協働が行政にとってメリットがあるかではなく、住民にとってどのようなメリットがあるかという視点が大切で、各部局内にもしっかりとした認識に基づく協働の機運を盛り上げていただきたく思っています。
和歌山県では、行政機関、NPO及び営利団体が相互の理解を深め、連携することにより、県民に対して より効率的、効果的な公共サービスを提供するためのパートナーシップが構築できるよう、定期的な協議の場である「行政とNPO等のパートナーシップ協議会を設けるとともに、職員一人ひとりが「NPO」と「協働」について正しく理解し、共通認識を持ったうえで協働を進めていく必要があることから、職員の手引きとなるガイドラインを策定するなど、県全体でNPOとの協働を円滑に推進していこうとしていると伺っています。
今後、指定管理者制度など、NPOへの事業委託の増加が予測される中、協働のあり方をどう確立していくのか。
事業委託の場合、業務の最終責任は委託元の行政にあることから、事業の実施運営について行政の指導に従って下さいということになり、どうしても上下関係にならざるを得なくなります。
しかし、それではNPOの持つ柔軟性や専門性が充分発揮できず、活動する範囲を狭めることにもなりかねません。
そこで、本来の目的に沿ったNPOとの協働を確かなものとする制度として、近年耳にしております「協働契約」の導入についてどのような見解をお持ちなのかについて伺います。
●企画県民部2
1.パワーハラスメントの防止対策について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部2)
2011年3月2日(水)
1 パワーハラスメントの防止対策について
昔から「いじめ」「嫌がらせ」の問題は、人の集まるところや組織の存在するところ、洋の東西を問わず、また内容やことの大小如何にかかわらず、何らかの形で存在してきました。
古い話で恐縮ですが、私自身、昔県職員の時代に身をもって体験してきたこともあり、実際その立場に直面したときの深刻さは、人権や健康面への問題のみならず、執務環境の悪化や業務遂行への悪影響等、はかり知れないものがあります。
それ以降、県議会に出てからも、直接・間接に関心を持つとともに、関わりをもってきた課題でありましたが、平成19年度に人事院が実施した調査で、国家公務員の苦情相談のうち、パワハラに関するものが全体の約10%を占めていた実態等を踏まえて、この課題は社会問題としての対応が求められるようになっていました。
そのような中、本県では平成21年2月に全国的にも比較的早く、パワハラに特化した指針を作成し、県庁内の各部局課室長と各地方機関の長あてに防止に向けた取り組みの徹底を図るよう通知が出されました。
当時、取り組み指針の作成の早さには敬意を表するとともに、その機能が充分発揮されることを期待したところでありました。
指針が出されて約2年弱が経過し、その後の実態を把握したいと思っていた矢先に起きた今回の県幹部によるパワハラ事件については、私の地元住民からも何件かの意見が寄せられましたが、中には昨今の「いじめ」「虐待」等の世相の反映としてとらえた厳しいものもあり、県政に対する県民の信頼を損ないかねない状況を招いたことを残念に思っています。
今回の処分は、県が独自に作成した指針に基づく初めてのケースとなりましが、処分を受けた当事者やその部下にとっても影響が少なくない事案でもあり、指針の取り組みが活かされなかったことの困難さを改めて痛感しています。
また、今回の件は氷山の一角とも見聞されますが、本件を契機に、改めて全庁的な取り組みを進めることや、今後のためにも本件の充分な検証が必要ではないかと考えます。
しかしながら、今後の対策にあたっては、とりわけ管理職に対してパワハラ防止に関する厳格な指示を出すことは重要ではありますがが、一方で、管理職が萎縮してしまい、当たり前の指導すらできなくなるようでは本末転倒でもあり、管理職に対しては、あらためて正当な指導の範囲について共通認識をもつことが必要だと考えます。
そこで、取り組み指針が作成されながら、何故未然防止ができなかったか、当事者の上司はどのように認識していたのか、パワハラに対して周辺職員や上司はどう対処していたのかといった実情の確認とともに、問題の本質を踏まえた今後の取り組みについての所見を伺います。
●健康福祉部
1.自殺防止に向けたうつ病対策の推進について
2.味覚の発達時期に特化した食育の推進について
3.高齢者の肺炎予防ワクチン接種について
4.県営住宅等を活用したグループホームについて
5.障がい者の被害防止に向けた消費者教育について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(健康福祉部)
2011年3月3日(木)
1 自殺防止に向けたうつ病対策の推進について
全国の自殺者数は、平成10年から急増し、毎年、3万人を超える状況が続いています。また、兵庫県内でも年間約1,300人もの人が自殺で亡くなっています。
自殺者の約半数は30歳~50歳代であり、60歳以上も39%を占めていますが、その原因の多くは、うつ病などの疾病によるものや経済的困窮にあるとされており、また、家庭や地域、職場関係などの様々な社会的要因が複雑に関係しているとも言われます。
中でも、うつ病等の心の健康問題やそれに起因する自殺の問題は、誰もが抱え得る身近な問題であり、この点を充分に認識することが、自殺予防にとって重要です。
うつ病については、国民の約15人に1人がこれまでに罹患した経験があるにもかかわらず、その4分の3は医療を受けていないとの調査結果が報告されており、うつ病が国民にとって非常に身近な問題であるとともに、その対応が適切になされていないことが明らかとなっています。
中でも高齢者は、種々の身体・心理・環境の変化のために、うつ症状を持ちやすく、高齢者のうつ病では自殺率が高く、自殺例の背景を精神医学的に調べた結果によれば、7~8割はうつであったと考えられていると聞いています。
こうしたうつ病の問題を県民一人ひとりが認識することは、自殺予防にとって極めて重要であり、その正しい理解の普及・啓発に力を入れることが重要です。
知事は、去る2月15日に行われた提案説明にあって、県内自殺者を平成28年度までに1,000名以下に減らすことを目標に、「自殺予防に寄与できる人材を養成する」と述べておられましたが、
うつ病対策に有効となるよう、具体的にどのような人材を養成しようしておられるのか、例えば「DV対策」や「児童や高齢者の虐待防止対策」、増加傾向の強いメンタルケア対策等との総合的な連携や、民間人も含めた幅広い取り組みが必要ではないかと思います。
そこで、人材養成を含め、今後県として目標に向けた取り組みを具体的にどのように進めて行かれるのかについて伺います。
2 味覚の発達時期に特化した食育の推進について
食生活の乱れから来る様々な課題は、各方面から数多く指摘されています。特に、ファーストフードで味覚を形成されてしまう子どもたちの将来や”切れる”子どもたちのアンバランスな食生活は長い人生の基盤である健康への影響が懸念されるところです。
正しい食生活・食習慣を身につけるには、子どもの頃に何を食べるかが極めて重要であり、親の責任、学校給食の責任や地域ぐるみの取り組み等も必要です。
食育を味覚の発達する時期に特化して推進することで、健康の基礎となる味覚形成が望ましい食習慣に結びつくことになればと考えています。
おふくろの味といわれるように、幼児期の食習慣はその後の食生活を支配していくことは充分に考えられるところです。
子どもの成長には大きく分けて2段階の重要な時期があるといわれています。
すなわち、0歳から3歳までのスキンシップが大事な時期と、3歳から8歳までの食卓での躾が身につく時期です。
そして、ヒトの脳の発達や味覚はだいたい10歳前後で完成してしまうとの指摘もあることから、良し悪しを判断する能力を身に付けさせる一番大切なそれまでに、重点的に食育を進めることが有効であると考えます。
本県では、平成18年度に策定した兵庫県食育推進計画に基づく食育活動を推進していますが、来年度は、この計画の最終年度にあたり、課題を踏まえた計画の見直しを行うこととなっています。
そこで、食育推進計画の見直しを契機に、味覚の発達する時期に重点を置いた食育をとりあげることで、メリハリのある事業としての話題性からも、その効果が期待できるのではと考えますが、どのような所見をもたれているのかお聞きします。
3 高齢者の肺炎予防ワクチン接種について
我が国では、明治から昭和の初期にかけての死因別死亡率の第1位は肺炎でした。
戦後、抗生物質の開発が進んで死亡率は急速に低下しましたが、今また増えつつあり、ガン、心疾患、脳血管疾患の三大死因に次いで、肺炎の死因別死亡率は第4位です。
割合でみても亡くなる方の約10%は肺炎が原因で、しかも、肺炎がもとで心筋梗塞、脳梗塞、心不全などの合併症を引き起す場合もあり、そして、肺炎で亡くなる方の95%は65歳以上の高齢者が占めており、免疫力が弱くなっている高齢者が特に注意すべき病気といえます。
予防対策として重要とされるのは、手洗い・うがいやマスク着用、もう一つの重要な柱として、ワクチン接種があります。
インフルエンザウイルスと肺炎球菌は、呼吸器感染症における代表的病原体で、肺炎球菌は肺炎のみならず敗血症、骨髄炎といった致死率の高い合併症をおこしやすいものの、この両者は呼吸器感染症の中ではワクチンによる予防が可能な数少ない病原体でもあります。
欧米では、この両ワクチン接種が強く奨励され、高齢者、慢性呼吸器疾患、糖尿病等のハイリスクグループに対する接種率を伸ばそうとする取り組みが国家レベルで行われていますし、米国では65歳以上の高齢者の半数以上が、両ワクチンの接種を受けており、この点で先進諸国の中で日本のワクチン行政の遅れが指摘されています。
ワクチン接種の向上には、その重要性の認識を更に徹底することと、公費助成等による社会的援助体制が欠かせません。
高齢者に対するインフルエンザのワクチン接種が2001年より公的助成がなされている現状を踏まえ、これに肺炎球菌ワクチンを追加することにより、更に高齢者の肺炎による死亡、長期入院を減少させて医療費を削減し、県民の健康福祉の向上につなげることが期待されるのではと考えます。
そこで、高齢者への肺炎球菌ワクチン予防接種への公費助成について、県の所見を伺いたいと思います。
4 県営住宅等を活用したグループホームについて
県では、障害者が住まいの場を確保して、安心して地域生活を営むことのできるよう、障害福祉計画で平成21年度から23年度までに全県で1,694人分のグループホーム・ケアホームを整備したうえ、計2,795人分とすることを目標に、備品購入費や消防設備整備費、バリアフリー化改修経費などを通じた開設支援が進められてきました。
グループホーム・ケアホームは、障害者の地域での自立した生活を進めるため重要な役割を果たしておりますが、とりわけ、低廉な家賃で入居できる県営住宅等は、障害者の地域生活の場として今後とも積極的な役割が期待されていると考えられます。
しかしながら、県営住宅等におけるグループホーム・ケアホームとしての活用を促進するためには、健康福祉部における的確なニーズ把握はもとより、県土整備部との緊密な連携による空き住戸のマッチングが何よりも重要になってまいります。
以前、県土整備部に対して、進捗状況を尋ねた際には、「健康福祉部を通じて施設設置者から希望をもらい、県営住宅や公社住宅に空室があれば、自治会等への説明等を行った上で、提供している。現在、県内6団地13室で実施しているほか、1団地5室で許可手続きを行ったところである。」ということでした。
しかしながら、いったいどの程度の法人や関係団体がグループホーム開設の希望があり、県営住宅等への入居ニーズがどの程度なのか、そしてそれに対する県営住宅等の提供戸数をどの程度確保するのかといった情報交換を常に行っていなければ、真に適切なマッチングが成り立たたないことが懸念されます。
そこで、県営住宅等におけるグループホーム開設促進に向けた、ニーズ調査やマッチングの状況及び住宅部局との連携について、課題を踏まえた今後の展開について伺います。
5 障がい者の被害防止に向けた消費者教育について
近年、企業において働きながら、地域で生活する障がい者の増加に伴って、判断力や交渉力の不足する知的障がいや発達障がいのある方をターゲットにした悪質商法が横行し、被害者も目立つようになってきました。
きっぱりと断ることが苦手である、悪質な手口の先を見通せない、騙されたことが自覚できない、被害にあっている自分の状況をうまく説明できないといった障がい者の特性によって、被害が潜在化し易く、自ら解決するための情報を得ることも難しいのが現状です。
知的障がい者や認知症高齢者といった、いわゆる「判断不十分者」からの相談件数が、2000年度の4,067件から2009年度には10,370件と2.5倍に増えているという国民生活センターの統計にも表れているように、今後の被害の拡大が懸念されているところです。
こうした問題の解決に向けては、まず何よりも、当事者が悪質商法の被害に合わないための知識を身につける教育が必要ですが、併せて周囲の支援者や地域住民などが、被害に気づいて防止する知識と能力を身につけるとともに、障害者団体や関係行政機関・特別支援学校などとも連携した情報収集や実効ある取り組みが欠かせません。
そこで、障がい者の被害防止に向けた、消費者教育の今後のあり方について所見を伺います。
●産業労働部
1.緊急雇用対策事業について
(1) 事業の推進状況について
(2) 総合政策室長との連携について
(3) 正規雇用の創出に向けた取り組みについて
2.重点分野雇用創造事業の推進について
3.ものづくり大学校の運営について
(1) 教育研修施設について
(2) 体験施設について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(産業労働部)
2011年3月4日(金)
1 緊急雇用対策事業について
(1) 事業の推進状況について
社会の安定には雇用の安定が欠かせません。
世界同時不況以降、雇用が3年間以上にわたって先行き不透明な状況が続いていることが、社会全体にとって大きな不安定要因となっています。
社会現象として「無縁社会」という言葉が生まれ、孤立化する人々の不安を特集した2月11日のNHK番組でも、孤独・不安・将来への希望が持てない要因の多くを雇用不安が占めていました。
このような背景から国では、雇用創出効果の高い施策への重点化等により、引き続き、失業率をできるだけ早期に3%台まで低下させるとともに就業率の向上を目指しており、雇用を「つなぐ」、「創る」、「守る」の3本柱による政策の展開を進めることとしています。
自治体に対する交付金を原資とする基金を活用した緊急的・重点的な雇用創出の取り組みも、その「雇用を創る」取り組みの大きな柱の一つで、本県においても、平成20年度以降、総額約175億円に及ぶ「緊急雇用就業機会創出事業」及び「ふるさと雇用再生事業」に取り組み、地域の実情に応じた雇用機会を創出する事業を市町村とともに実施してきましたが、本年11月末までで約19,000人の雇用が生み出されるなど、一定の役割を果たしてきたといえます。
そこで、これまで実施してきた事業に伴う雇用創出数の目標に対する達成状況等の実績と再就職の状況、またこの事業に関する課題は何かについて所見を伺います。
(2) 総合政策室長との連携について
この件に関しては、企画県民部に対する質問の中でも申し上げたわけですが、緊急雇用事業に象徴される部局横断的な事業については、県全体として抱える課題の解決に向けた取り組みも欠かせないと考えています。
すなわち、知事に対する「当初予算申し入れ」の中で私どもの会派が申し述べておりましたように、産業・雇用政策は勿論、医療・福祉や教育の充実、農業再生や環境対策、防災・危機管理といった多様な行政需要を県政に反映するとともに、経済・雇用の面では、介護・福祉施策、農林水産、グリーンエネルギーの開発といった政策分野を、雇用確保と結び付けて活性化させるといった視点が欠かせないと思います。
こうした観点で、改めて緊急雇用就業機会創出事業をみると、総計480を越える事業が、めざすべき県政のビジョンや理念に照らして、どういった視点を持って創出されたものなのかがわかりにくく思われます。
例えば、県は1月28日に、緊急雇用対策として、高校・大学卒業生などを対象に、100人を1年間の雇用期間で嘱託職員として県庁等で採用すると発表し、「県での就業経験を正規雇用につなげてほしい」としていますが、こうした取り組みも含め、県政全体をトータルとして見渡し、各事業計画部局に方向性を示していくという総合政策的視点が充分介在しているのかが見えにくく、疑問に思っています。
緊急雇用創出事業は、平成22年度までで事業数で累計487を見込んでおり、雇用人数も約11,000千人に及んでいることから、雇用対策それ自体では、一定の成果に繋がってきたという評価も可能ですが、せっかくの基金であり、県政の目指すビジョンや重点施策の実現につなげる観点から、総合政策室と協議しながら事業を構築していくことも必要ではないかと考えています。
そこで、今回の緊急雇用就業機会創出事業のとりまとめにあたり、全庁的な視点で総合政策室長とどのような連携が図られたのかについて伺います。
(3) 正規雇用の創出に向けた取り組みについて
緊急雇用就業機会創出事業やふるさと雇用再生事業は、事業のフレーム上、雇用期間が1年又は3年以内に限られていることから、これまでの取り組みが一過性に終わらないよう、さらなる対策をと工夫をしていく努力が欠かせません。
正規雇用創出に向けた取り組みの第一線となる産業労働部として、今回その観点でこれらの事業を眺めたときに、これらの事業がどの程度個人のスキルアップや正規就業に向けたインセンティブにつながる内容となっているか、そしてそれらの積み重ねの結果、どれほど正規雇用創出に貢献できる事業内容であるのかという視点が不可欠です。
これらの事業は、短期間雇用となっているため、期間中から期間終了後の長期的雇用に結びつけるための就職活動を行わなければならない、補助的業務がほとんどであり、企業によっては就業経験として認めてくれないことがある。基金終了後は当該企業等での正社員化を誘導することとはなっていないことから、正規雇用への道筋が不透明になってしまうのです。
経済が回復してきつつあるといわれるこのような時こそ、より働きがいと結びついた正規雇用をどう増やしていくのかが必要です。
緊急雇用就業機会創出事業は、確かに発端としては臨時的な雇用に過ぎない面からはじまりましたが、事業設定における工夫や臨時的雇用実施後のフォローアップの方法如何によっては、正規雇用により多くを結びつけるしかけづくりも可能と思います。
そうした正規雇用確保に向けて、どのような取り組みが有効で、それをどう具体的に展開していくのかを伺います。
2 重点分野雇用創造事業の推進について
平成21年2月からはじまった雇用創出をめざした基金事業は、国においても年々拡充され、これまで計7回・1兆円を超える予算措置がなされてきました。
こうした中、新政権のもと、平成21年度の第2次補正予算で創設されたのが、重点分野雇用創造事業です。
これは、雇用失業情勢が厳しい中で、介護、医療、農林、環境等成長分野として期待されている分野における新たな雇用機会を創出、地域ニーズに応じた人材を育成し雇用に結びつけるための事業を実施するもので、設立後2度の拡充措置が図られてきました。
県の平成23年度予算でも、新政権のもとで創設された重点分野雇用創造事業が昨年に続いて提案されています。
重点分野として、介護、医療、観光、農林水産、環境・エネルギー、地域社会雇用などの11分野が示され、県事業で約44億円・135事業と、市町への事業費補助約30億円をあわせて合計約74億円が計上され、5,283人の雇用創出が見込まれています。
これらのうち、例えば、少子高齢化に伴う、要介護者の増加などに対応すべく、特に力を入れるべきと考えられる介護・医療分野に関しては、事業数は18で見込まれる雇用数は660人とされていますが、将来にわたって、福祉・介護ニーズに対応できる質の高い福祉人材を安定的に確保するための取り組みとして制定されている、「福祉人材確保対策推進プログラム」における平成23年度までの目標数値23,000人の達成に向けた一助になり得るのかが心配です。
そこで、この重点分野雇用創造事業について、特にどういった方針やビジョンを持って事業を構築しようと考えているのか、また既存の「福祉人材確保対策推進プログラム」における目標とどのように関連づけて実施されようとしているのかを伺います。
3 ものづくり大学校の運営について
ものづくり大学校は、教育研修施設と体験施設から成り立っていますが、教育研修施設の4月開設に先立ってお伺いします。
(1) 教育研修施設について
同施設に設定される5科11コースは、姫路高等技術専門学院の継承を含めて、「ものづくりの基盤技術分野を支える新たなものづくり人材の育成」と位置づけられています。
しかしながら、現存する姫路高等技術専門学院の入校率は、平成21年度の84.5%から平成22年度の80.5%へと低下してきております。
大学全入時代が到来し、学校教育においても職業教育の強化も進められるなかで、4月時点でどの程度の入校が期待できるのかが心配されます。
一方就職率に関しても、平成21年度実績で68.8%と、他の職業訓練校である神戸高等技術専門学院の72.6%や但馬技術大学校の88.1%と比較しても低迷した状況にあります。
企業の即戦力志向の高まりによる「雇用のミスマッチ」やフリーターなど不安定な就業を続ける若者や非正規雇用者の増加による格差拡大が社会問題化している状況の是正機能と位置づけられる職業能力開発施設がこの就職率では、不安といわざるを得ません。
そこで、姫路高等技術専門学院の継承にあたる教育研修施設について、このような課題をどのように改善していこうとされるのかを伺います。
(2) 体験施設について
体験施設の機能は、中学生にものづくり産業への関心を高めるのが目的ですが、この施設の意義を考えるときに、どうしても考えざるを得ないのが、昨年3月をもって閉館となった「私のしごと館」との比較です。
ご承知のように「私のしごと館」も、若者を対象に職業体験の機会、職業情報、職業相談等を提供する施設としてオープンし、中学生や高校生などの時から、仕事というものに親しみを持つことができるよう、また、いろいろな職業を体験することができるように、それら各種仕事の展示体験コーナーや、職業情報の提供、発信等を実施していたものです。
この施設の財源は入場料等の自己収入約1億円と、雇用保険料による運営交付金約15億円でまかなわれておりましたが、職業能力開発施策という観点から、オープン当時は収支均衡を考えず、また収支に関する目標の設定もなく、採算を度外視した運営が行われていたといわれておりました。
その後、駐車場有料化や企業広告の開始、法人会員制度導入、体験プログラムの充実や体験料金値上げ等の対策を講じましたが、2008年の民間委託を経て閉館に至ったわけです。
総額約580億円を投じて建設、毎年20億円程度の赤字を発生させた「私のしごと館」と、体験館の単純比較はできませんが、このような実例を鑑みた場合、体験館については特に、開設後の効率的な運営や体験機会提供がもたらす効果等を充分検証しながら、運営を進めていく必要があると考えますが、現時点の見通しと課題について伺います。
●農政環境部
1.学校給食における地産地消の推進について
2.大豆の計画生産について
3.遺伝子組み換え食品の問題について
4.ドギーバッグ運動等の推進について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2011年3月7日(月)
1 学校給食における地産地消の推進について
農業所得の大幅な減少や、担い手不足、又耕作放棄に伴う遊休農地約5,000ヘクタールの存在等、農山漁村の活力の低下でいま農家は厳しい状況を招いているといわれます。
一方、我が国の食料自給率は、カロリーベースで約40%と先進諸国の中では低い状況が続いているため、生産力の向上への取り組みが一層課題となっています。
国では、食料自給率向上に向けた各種施策の取り組みを進めていますが、県でも、児童・生徒の「食と農への理解」を深めるため、学校給食へ地域の食材の供給の拡大の取り組みを進めています。
子ども達の健全育成には、新鮮で安全・安心な「地産地消」の推進が不可欠であり、学校給食での利用が、継続的に見込まれれば、生産者は安定供給を見越した計画生産ができます。
「生産者の顔が見える」という安心・安全の観点からも、又、地域農業の活性対策としても、「学校給食と地産地消」は、効果が期待できるとともに、ひいては小売業をはじめとする地場産業の活性化等にもつながると考えます。
そこで、学校給食における地産地消の取り組み状況について、県では30%を地産地消の目標値として掲げていますが、その目標値の根拠・考え方と達成状況及び今後の課題について伺います。
また、先進的な取り組みの事例を参考までに1~2例お示し下さい。
2 大豆の計画生産について
日本型食生活に欠かせない大豆の国内の生産自給率は、現在、国内総需要で6%、このうち食用における国産大豆の自給率は21%に過ぎず、8割は海外輸入に依存する状況にあり、輸入への依存率が高いだけに遺伝子組み換えによる課題が消費者の不安材料ともなっています。
大豆は日本型食生活を支える醤油や食用油、又は豆腐及びその加工食品として最も日常的な食材であり、何より安全・安心の食生活のためにも国内生産量を向上させることが求められています。
そのため、私は、従来から本会議をはじめ、各種委員会や県民局会議等で大豆の計画生産についてねばり強く取り上げてきましたが、この度、私の地元の阪神北県民局管内の各関係行政機関で構成される「阪神北県民局大豆の地産地消プロジェクト」が立ち上がりました。
構成メンバーは、阪神教育事務所・宝塚健康福祉事務所・阪神農業改良普及センター・阪神農林振興事務所となっています。
このプロジェクトでの取り組みの中間報告として、2月10日に宝塚農林振興事務所長より、阪神地域における大豆の現状について説明を受けたところでありますが、県民局の取り組みとしては多分最初であろうと思われる、プロジェクト立ち上げについては、阪神北県民局長の英断によるものと、敬意を表するところです。
中間報告は、阪神地域における大豆の生産や消費の現状を中心としたものであり、計画生産の具体化については今後の取り組みにかかるところですが、プロジェクトメンバー間で課題について共通認識を持てたこと、特に従来ほとんど連携のなかった教育委員会と同じテーブルで協議出来たことは、今後の連携に向けた一歩前進との農林振興事務所長の言葉を大変多としております。
只、このプロジェクトの本格稼働には、まず特定の市町でモデル事業としてスタートさせることや、プロジェクトメンバーに地元生産者代表、消費者代表、市町など自治体の担当者、その他直接関係の深い民間等のメンバーを加えることが必要で、より広い視野にたった協議の中からベターな選択やより良い具体案が期待できるといえます。
例えば指定したデル市町の学校給食で年間に使用される大豆の量に対して、今後どんな生産体制が可能なのか、年間使用量の何%程度の確保が可能になるのか等の課題を一つ一つ積み上げていくことが必要になります。
また収穫の受け入れ先が確保されれば、現在、収穫を目的とせず農地保全のために「粗放栽培」として放置されている農地からの収穫が可能になり、今後の展開に期待が持てると考えられます。
これら県民局の取り組みが、大豆の生産拡大につながるとともに、大豆トラスト運動を広める意味からも広く市民にも参加を呼びかけることが、食育にも貢献することに繋がっていきます。
そこで、「粗放栽培」や「休耕農地」の実態を踏まえた、今後の県産大豆の計画生産に向けた具体策について、例えば県民局でのモデル実施も視野に入れた取り組みについて伺います。
3 遺伝子組換え食品の問題について
遺伝子組換え食品の課題については、世間で大きな話題となる前から、平成8年の決算特別委員会で指摘して以降、折に触れてとり上げてきました。
わが国では、遺伝子組み換え作物が食品として承認されてから14年が経過し、遺伝子組換え作物を栽培する国と作付面積は年々増加し、2009年現在、全世界の大豆 作付け面積の77%が組み替え作物であるといわれています。
一方で、遺伝子組み換え食品の人体に対するリスクや動植物を含めた環境への長期的な安全性についての議論はいまだ決着しておらず、そのため国民の多くが不安を覚えている状況にあります。
現在、遺伝子組み換え食品については、大豆や菜種、トウモロコシ等の7種類の農産物は流通が認められていますが、今後は魚等の動物も食品として出現することが予測され、消費者の目に触れないところで、着々とその分野の拡大が進むことに一抹の不安を抱く私一人でもあります。
2010年8月25日にアメリカ食品医薬品局(FDA)が、遺伝子組み換えの巨大なサケの承認審査を開始するとのことを文献で見ましたが、承認されれば組み替え動物食品として、最初のケースになります。
文献によれば、このサケは野生のサケに比べて最大25倍の体重と大変大きなもので、成熟期間も約半分で、これが承認され日本に輸入されることになった場合、このような大きなものは食卓にあがらず、切り身になり、加工されたりなどして、おそらくわからないままに、流通することが充分想定されます。
これに対し、生態系や人間の健康に対して影響が懸念されるとの意見が示されていたり、遺伝子組み換え食品の輸入には慎重なEU(欧州連合)の議会は、組み替えの魚の輸入を禁止するよう求めています。
日本では、全国農業協同組合連合会がアメリカでの非遺伝子組み換えトウモロコシの契約栽培に乗り出しているとのことで、この取り組みは国内で初めてということです。
このような現状にもにもかかわらず、流通している遺伝子組み換え食品のうち、表示義務が、大豆、トウモロコシなど7種類の農産物と、それらを原料とした加工食品32食品群等に限られているため、多くの消費者は気にかけながらも、遺伝子組み換え食品であることがわからぬまま口にしている状況にあります。
昨年も取り上げましたが、食品の加工工程中に、たんぱく質が除去、分解されている醤油、大豆油、コーン油等や、その原材料の食品中に占める割合が5%未満のものについては表示を省略することができます。
今後も食資源の外国依存がつづくとともに、加工技術の日進月歩の中で、表示は消費者にとって欠かせぬ食品選択の条件となります。
そこで、加工食品のトレーサビリティと原料原産地の表示の義務を拡大すること、遺伝子組み換え食品については、一部に表示を省略できるという現行法を改正して、表示の義務化を拡大・わかりやすくすることを国に指摘・要望し続けていただきたく思います。
加えて、県では遺伝子組み換え食品に係る表示の監視や試験検査が実施されておりますが、試験検査はどのような項目について実施されるのか、検査対象品目の選定と件数はどのような基準で行われるのか、又違反があった場合は消費者に対してどのように情報提供されるのか、そして、遺伝子組み換え食品に関わる消費者の判断に資する、適切かつ充分な情報提供を、啓発誌の作成等を含めてどのように展開されていかれるのか伺います。
4 ドギーバッグ運動等の推進について
農林水産省によると、捨てている食料は、年間約2,000万トン・とりわけ外食産業から出る食品ゴミは約300万トンにのぼり、捨てられる食料の価値は年間約11兆円にも及んでいるといいます。
農林水産省は飲食店での「食べきり」や「持ち帰り」を推奨しているものの、なかなか広がっていません。
豊かになった日本人の食生活の裏で、無駄に捨てられてしまう食品が減らない中、資源の有効活用の面からも、県としてもドギーバッグ運動の促進に取り組むことが必要ではないかと考えます。
ご承知のようにドギーバックは、レストラン等で食べ残した料理を持ち帰る為のバッグで、欧米ではごく普通に活用されており、お金を払う以上は食べきれない分を客自身の責任で持ち帰るのが当然とされています。
しかし、現在の日本では、「食の安全」に過敏なこともあって、お客が持ち帰った後まで、店側は責任が持てないといった「食の安全性」の観点から消極的な店も少なくなく、浸透しているとは言い難い状況にあります。
これに対する自治体の取り組みとして、例えば福井県における「食べきり・持ち帰り運動」や、千葉県におけるドギーバッグ5,000個の購入と配布といったことが上げられています。
一方、容器に日付を記入し、「お早めにお召し上がりください」と声をかけるなど、衛生面に細心の注意を払って持ち帰りの無料サービスをしている全国規模のチェーン店もあります。
本県において持ち帰り文化、ドギーバックが定着するかどうかは、県民一人一人の意識と、飲食店による精力的な取り組み、そしてそれを後押しする行政の働きにかかっているといえます。?
一昨年2月に、我が会派の岸口実議員が、『食を通じた健康づくりの取り組みとして県が推進している「食の健康協力店」に協力を求め、ドギーバッグ運動を推進してはどうか』と質問した際、農政環境部長からは「食品の買い過ぎ、つくり過ぎへの注意喚起、むだのない献立や調理方法の工夫などの啓発に加え、ドギーバッグ運動について紹介するなど、食品ロス削減に向けた消費者の意識改革に努める」との答弁がなされました。
従来から、私も委員会等で取り上げてきたテーマですが、ドギーバッグ運動を県としてどう認識され、県民意識の調査やPRについてどのように取り組んでこられたか、そして今後の取り組みや課題はどういったものが考えられるのかについて所見を伺います。
加えて、食資源を有効活用するドギーバッグ運動とともに、推進が必要と考えられるのがフードバンク活動です。
これは、包装の傷みなどで、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通出来なくなった食品を、企業から寄附を受け生活困窮者などに配給する活動で、アメリカでは40年に渡って行われてきているといわれます。
食べるのには全く問題が無い場合が多く、福祉施設等での利用もあり、そのために活動しているボランティア組織があり、そういった活動団体へのサポートも必要と考えておりますが、併せて所見を伺います。
岡やすえ
川西市・川辺郡
●公安委員会
1.薬物事件における初犯者増加への対策について
2.防犯カメラについて
(1) 防犯カメラの適正な運用について
(2) 県行政と連携した指導、助言について
3.舞鶴若狭自動車道の通行料金無料化社会実験に伴う影響について
(1) 舞鶴若狭自動車道の交通事故防止対策について
(2) 周辺道路における渋滞対策について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(公安委員会)
2011年3月4日(金)
1 薬物事件における初犯者増加への対策について
薬物による人体への影響の一つに依存性が挙げられます。
そのため再犯率の高い犯罪であるが、最近は金銭目当てで密売人となる者や、インターネットで売買されていることに目をつけて興味本位から入手する者も現れています。
さらに須磨海岸における若者らによる大麻などの使用事例に見られるなど、若年層に薬物汚染が広がる傾向にあります。
また、県下の大麻事件の検挙人員が10年前と比べて約4倍に増加している深刻な事態に対し、県警察としてどのように対策を行っていくのか伺います。
2 防犯カメラについて
(1) 防犯カメラの適正な運用について
東京目黒区の夫婦殺害事件において、防犯カメラ映像が決め手となって被疑者検挙に結びついた。今後は企業や自治会をはじめとする民間の団体から個人宅に至るまで増設されることが予想されます。
そこで問題となるのが個人のプライバシーとの関係であり、野放しにすれば重大な人権侵害につながるおそれがあります。
そこで、防犯カメラと個人のプライバシーの問題についてどのように認識しているのか県警察としての所見を伺います。
(2) 県行政と連携した指導、助言について
平成22年度から3カ年計画で実施されている「地域安全まちづくり計画」に防犯に配慮した基盤の整備とあり、防犯カメラの設置推進に対する助成や条例等の制定が見込まれます。
防犯カメラの運用には県行政だけでなく、警察としても連携の上、各種団体への指導、助言が必要と考えますが、県警察としての所見を伺います。
3 舞鶴若狭自動車道の通行料金無料化社会実験に伴う影響について
(1) 舞鶴若狭自動車道の交通事故防止対策について
舞鶴若狭自動車道は、昨年2月に通行料金無料化社会実験の対象区間に指定されました。
その影響により上下線とも1日あたり約2,000台、率にして約2割の交通量が増加しています。
これにより、交通事故件数が平成21年の90件から昨年は159件に増加しています。昨年は死亡事故こそ発生していないが、交通量の増加から、交通事故の発生が増加するものと考えます。
舞鶴若狭自動車道の通行料無料化に伴う現状認識と交通事故防止対策について伺います。
(2) 周辺道路における渋滞対策について
交通量、交通事故の増加に加えて問題となるのが付近道路の渋滞である。年末年始の帰省ラッシュなどでは、高速道路だけでなく一般道へ流入した車両により渋滞が発生し、交通事故発生の増加が懸念されます。
そこで、一般道路を含めた周辺道路における交通渋滞について、どのように認識し対策を行うのか伺います。
●農政環境部
1.但馬牛・三田牛の消費拡大策等について
2.森林及び林業の再生について
(1) 涵養機能を有する森林の整備の促進について
(2) 林業の再生に向けたフォレスター等の人材養成について
3.農地の集積化及び農業生産法人の参入について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2011年3月7日(月)
1 但馬牛・三田牛の消費拡大策等について
現在、農政環境部では、世界に誇る「但馬牛」の生産基盤を強化するため、地域ごとに増頭計画を策定し、①新規参入と規模拡大の促進、②生産体系の効率化による経営安定、③技術支援とブランドの強化を図り、平成27年度末までに但馬牛繁殖雌牛20,000頭の達成を図る「但馬牛20,000頭増頭対策」を推進しており、計画には達していないが徐々に増頭が進んでいると聞いています。
しかしながら、これらの増頭の対策を推進するには、これまでの体制や設備では不十分であり、体制の整備や牛舎などの生産基盤の強化が必要であると考えます。
また、但馬や淡路に限らず、地元三田市でも展開する必要があると考えます。
その一方で、但馬牛を処理し食肉とする食肉センターの経営は苦しいと聞いています。
私の地元、三田食肉公社は、全国でも有名な「三田牛」も処理する食肉センターですが、設立時には国や県・市の補助はあったものの、運営については独立採算となっており、設立当初は、年間6,100頭処理していたが、年々、処理頭数は減少し、現在では年間3,800頭しか処理する需要がなく、経営は厳しい状況に陥っています。
そこで、「但馬牛20,000頭増頭対策」を推進するために、生産基盤の強化についてどのように取り組むのか、また、食肉センターの経営を支援するためにも、三田牛・但馬牛をはじめとする牛肉の消費拡大策が必要と考えますが、どのような対策を講じていくのかご所見を伺います。
2 森林及び林業の再生について
(1) 涵養機能を有する森林の整備の促進について
平成21年12月に、森林・林業の活性化へ向けた「森林・林業再生プラン」が策定され、「コンクリート社会から木の社会へ」をテーマに、行政や森林組合などの役割を明確にして、森林経営の計画づくり、施業の方法、人材育成などを改革の柱に挙げて、10年後の木材自給率50%以上を目指すとしています。
このプランの3つの基本理念の一つに、森林の有する多面的機能の持続的発揮が掲げられております。
これは森林の適切な整備・保全を通じて、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化防止、生物多様性保全、木材生産など森林の有する多面的機能の持続的発揮を確保することとしております。
特に近年、森林の荒廃が進み、緑が大きく損なわれ、国土の保全、水源の涵養機能の発揮に支障が生じており、その再生が喫緊の課題であります。
兵庫県では、林業採算性の悪化により、伐採されずに放置される高齢人工林(46年生以上)が急増する見込みであり、同じ流域に大きな面積で同林齢、同樹種の高齢人工林が増加すると、気象災害や病害虫により壊滅的な被害を受ける恐れがあることから、県民緑税を活用して、46年生以上のスギ・ヒノキ等の高齢人工林の部分伐採を促進し、広葉樹等を植栽することにより、樹種・林齢が異なり、水土保全能力が高く公益的機能を発揮する森林に整備しておりますが、十分とは言えない状況にあります。
そこで、森林が持つ災害防止などの国土保全機能や水源涵養機能の発揮のためにも、針葉樹林と広葉樹林の混交林整備をさらに推進する必要があると考えますが所見を伺います。
(2) 林業の再生に向けたフォレスター等の人材養成について
このプランの中で、森林・林業に関する専門知識・技術や実務経験など、一定の資質を有する者をフォレスターとして認定し、市町森林整備計画の策定等に市町行政を支援する仕組みを創設するとともに、森林施業プランナーへの指導・助言を行うこととしております。
フォレスターとは、ドイツでは、公務員として任命され担当地域の施業の指導や森林伐採に対する法令遵守状況を監視する活動を行っており、森林の保全、林業の振興に大きく寄与しています。
日本でも、森林の管理や経営を現場でリードする技術者として、平成25年からの資格認定をめざしております。
昨年11月に発表された「森林・林業の再生に向けた改革の姿」で、国は、当面の間、県の職員のうち、一定の研修等を受けたものが代行を行うとしているが、林業の再生が本格化する中で、このような人材養成は喫緊の課題であります。
そこで、地元雇用を進め地域振興を図るためにも、地域林業の確立に向けた地域林業を指導するフォレスター及びフォレスターを現場で支える人材育成が必要と考えるが所見を伺います。
3 農地の集積化及び農業生産法人の参入について
新たに農業をやりたいと希望を持つ人たちに立ちふさがる問題として、利用できる農地がなかなか見つからないといことがあります。
また、競争力強化を図るために、農地の集約による経営の大規模化や効率化も必要であります。
これまでの農地法が新規参入や農地集約の障害となってきたが、平成21年12月に農地法が改正され、食品メーカーや流通業者等の株式会社は農家と共同出資して設立する農業生産法人、の出資制限が25%以下から50%未満に緩和され、農業生産法人が設立しやすくなりました。
国では、経済成長や雇用創出を担う産業分野の一つとして農業をあげて、競争力強化に取り組む姿勢をしめしており、また、農地法改正に併せ、農地を面的にまとめて行くような仕組みとして、新たに農地利用集積円滑化事業を創設し、農地の賃借・売買を支援しているところです。
そこで、県として農地の集約化や株式会社からの出資制限の緩和による農業生産法人の参入の状況について、どのように把握し、またどのように支援して行くのか方針を伺います。
●県土整備部
1.地域生活道路の整備に向けた用地交渉のあり方について
(1) 用地取得の現状について
(2) 用地交渉に係る専門職の導入について
(3) 土地収用のあり方について
2.人口減少社会における市街地再開発事業のあり方について
(1) 県下の実施状況について
(2) 三田市駅前地区の現状について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(県土整備部)
2011年3月8日(火)
1 地域生活道路の整備に向けた用地交渉のあり方について
(1) 用地取得の現状について
地方における社会資本整備は、県民生活や経済・社会活動を支える礎であり、「人」や「もの」の交流基盤の整備促進などは、住民が安全・安心で、豊かな生活を営むためにも必要不可欠であり、特に通勤・通学をはじめ日常生活に不可欠な主要県道等、生活道路に至る道路整備は極めて重要です。
本県では、地域の生活道路のうち、日常の交通の安全・安心に問題のある箇所、日々の生活に支障を来している箇所について、すれ違い困難箇所や渋滞交差点の解消、歩道の連続性確保等の整備を進めておられます。
平成21年度末までに、すれ違い困難箇所の解消24.6㎞、歩道不連続区間の解消64.4㎞、歩道のバリアフリー化48.9㎞、渋滞交差点の緩和・解消23箇所の整備を実施してきたと報告されています。
その実施の前提としての用地取得交渉にあっては、交渉の経過の中で様々な課題があるものと聞き及んでおります。
一般的に、用地取得はまさに相手のあることで、特に困難事案に要する期間の予測は、その諸状況を鑑みても困難が伴い、費用的にも大きな負担がかかるともいわれていますが、とりわけ難航する場合の理由として、一つに、事業の必要性や周辺環境への影響・住民説明への不満不信といった事業計画そのものに関する課題、二つに、補償方法や開発利益に関するものや代替地の要求などといった補償に関する課題、そして三つには、地権者間の係争や境界不確定、公図混乱地域の存在、区分所有や共有地での合意を得ることの困難さといった、複雑な土地の権利関係に関する課題があると聞いております。
こうしたそれぞれの課題への対応のあり方として、例えば事業計画の説明のあり方や、補償における利益調整の従前からの仕組みを見直すこと、また、権利関係を明確化するために地籍調査の推進方策を見直したりすることなども考えられますが、地域生活道路の整備に関する用地取得の課題についての所見と、これまでの県の取り組みについて伺います。
(2) 用地交渉に係る専門職の導入について
現行では、県職員が調査から嘱託登記までの手続きが可能であり、現に遂行されているものと思いますが、人員的にも専門知識の面でも従前よりも一定の困難が生じているのではないかと推察します。
特に、行革の推進による県民局部署の統廃合や人員削減、特に三田は、宝塚土木に統合されましたが、用地関係については専門職員や経験のあるベテラン職員の退職による減少も影響して、その対応は最近では限界に達しているものと考えられます。
そこで、例えば国家資格を持ったプロである司法書士や土地家屋調査士・不動産鑑定士といった外部専門職の導入を検討する方法も検討すべきではないかと考えます。
或いは、行政の責任の所在を明らかにする意味で、先に申し述べた専門家を職員による交渉時に同行させるということでも、職員の負担軽減はもとより、用地交渉をスムーズに進めることになり、誤解を生まないことにも貢献できるのではないかと考えます。
県としても、これまで、土地の調査・測量については測量会社へ委託したり、物件調査は補償コンサルタントに委託してこられ、また、三田によくある事例ですが、地図と現地とが不整合になっている、いわゆる地図混乱により権利関係が錯綜し、地図訂正が必要となるような登記困難な案件の登記については、「兵庫県公共嘱託登記土地家屋調査士協会」などを通じて、一定の外部専門職の導入を行ってこられたとは伺っていますが、用地交渉に関する、よりスムーズできめ細やかな促進を図るとともに、現場職員の負担軽減を検討する観点からも、専門職員の充実など、これは当該職員の専門性の充実問いう意味ですが、専門家のより積極的な導入を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
(3) 土地収用のあり方について
用地取得の難航理由は,それぞれの事業の異なる対応や社会的背景に基づくものであり,各課題に対応した制度の改善が必要であります。
私が知っております主要県道におけるケースで、数百メートルにわたってすれ違い困難区間が存在し、その前後については歩道を含めて改良されたものの、当該区間において、たった一人の地権者との間で補償額をはじめとする各種諸条件が折り合わずに用地取得が難航し、約20年にわたってその進捗が見られていない例があります。
こうした場合に対応する一つの手段として土地収用の方法が考えられると思います。
この制度は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用に関し、公共の利益と私有財産との調整を図るための制度であり、補償金額等諸般の事情で折り合いがつかないため土地を取得できない場合に、県等が土地収用法に基づいて国土交通大臣等から事業認定を受けたうえ、収用委員会に対し裁決申請を行い、収用委員会による裁決を経て土地を取得、場合によっては行政代執行による強制執行が行えるようになる仕組みや手続きです。
本県の場合、土地収用法に基づく事業認定を受けた件数は、過去5年間で計4件に過ぎず、かつ行政代執行による強制執行に踏み切ったのは過去10年間で1件に過ぎず、実績が少ないと思います。
未改良の道路のせいで、安全、快適な市民生活が脅かされることなく、円滑な経済活動の促進を図るた、生活道路整備の計画的推進が今後とも一層求められることとなることから、こうした土地収用を進めていく、あるいは進めざるを得ない事案が増加していくのではないかと考えますし、それを着実に推進するための職員マニュアルの整備なども必要になっていくのではと思われます。
特に県民局管内では、人員的にも体制的にも困難が伴うことから、本庁部局における専門的な対応が適当と考えます。
そこで、土地収用による用地取得について、今後どのように進めていかれるのかを伺いたいと思います。
2 人口減少社会における市街地再開発事業のあり方について
(1) 県下の実施状況について
ご承知のように、市街地再開発事業は、都市再開発法に基づき、都市の中心商店街や駅前ターミナルをはじめとする中心市街地内の木造家屋が密集している地区や、駅前広場等公共施設の整備が遅れている地区の再整備を行うことによって、活力あふれる豊かなまちづくりの推進や、まちのにぎわいの創造に寄与する大きな事業です。
本県ではあの阪神・淡路大震災の復興過程においても、公共施設の整備、災害時におる防災機能の向上、災害に強いまちづくりに大きな役割を果たしてきましたが、全国的にみても、平成22年3月現在755地区・約1,067ヘクタールが実施・完了しています。
しかしながら、近年の経済情勢の停滞が続く中で、一般的に事業のスタート段階から竣工・清算までの期間が概ね10年以上が必要ともいわれており、長期に及ぶ期間中には、参画事業者の入れ替わりや競合、そして長期間であるが故の計画変更、事業者側にとっては、投資に対する回収期間の長期化・不安定さといった数々の阻害要因も発生し得る昨今です。
そこで、本県における市街地再開発事業の実施状況について、まず伺います。
(2) 三田市駅前地区の現状について
三田駅前地区は、JR三田駅・神鉄三田駅の駅前に位置しており、従来から三田市の玄関口として、まちの顔として重要な地域であります。
平成3年に策定された市の総合計画では、三田駅前地区は三田市の玄関口と、また、内陸新都市圏の中心商業地と位置づけられております。
三田駅前のターミナル機能とこれを核とする基幹交通軸の整備を、そして中心商業地としての活性化を図る役割が期待されることとなっております。
駅前地区をA~Dの4ブロックに区分したうえで、ブロック毎に順次整備を進めていく計画となっております。
平成2年に高度利用地区、駅前線等主要な道路及び三田駅前Aブロック地区市街地再開発事業の都市計画が、平成9年には三田駅前Dブロック地区市街地再開発事業の都市計画が決定しました。
平成15年2月にDブロックが、平成18年3月にはAブロックがそれぞれ事業完了したところであり、加えて平成22年度末には、まさにあと数日まできましたが、駅側の駅前北側のロータリーの完成が間近であります。
しかしながら、残るBブロックとCブロックについては長引く経済不況等に伴って再開発ビルの施工や分譲などを請け負う「特定業務代行者」が長らく決まらず、老朽建築物等が密集して防災上危険な状況が継続している状況にあります。
そこで、BブロックやCブロック地区の再開発事業の現状と今後について、伺います。
●総括審査
1.兵庫の未来づくりに取り組む施策の推進について
2.土地開発公社のあり方について
3.自殺対策の推進について
4.兵庫県における実効ある雇用就業対策について
5.農林水産業の6次産業化の推進について
6.元気と活力がでるまちづくりの推進について
7.教職員の勤務環境の改善について
8.大麻事犯対策について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(総括質問)
2011年3月11日(金)
1 兵庫の未来づくりに取り組む施策の推進について
県では、平成12年2月に平成20年度までの「行財政構造改革推進方策」を策定して以来、平成16年にはその方策を見直し、そして、平成20年度には新たに平成30年度までの「新行革プラン」を策定、さらに、本年度は、条例に基づく総点検が実施され、これにあわせて、県議会の特別委員会でも精力的に議論を重ね、今定例会に第2次行革プラン案として上程された。
まさに、平成11年度以降、厳しい行革を行っている中で、かつ、今回の総点検で、施策目的をゼロベースから評価し、見直しをするという方針が示され、県民にとっても「いつまで我慢すればいいのか」という先の見えない不安により、県民の県政への信頼低下が懸念される。
そういう中で、今回の第2次行革プランでは、事務事業において厳しい見直しを行う一方で、「兵庫の未来づくりに取り組む施策の推進」が示され、平成23年度予算案においては、具体化の施策として、地域ビジョンや地域活性化実現のため、県、市町、地域団体が取り組む事業を支援する「地域の夢推進事業」が創設された。この事業は、我が会派も主張してきたもので、地域の独自性と参画と協働を広げる、将来に希望を持てる社会の実現に向けた予算として大いに評価する。
この「地域の夢推進事業」については、財政状況審査において、藤井副委員長からも課題を数点指摘し、その中で、新たな担い手であるNPOなどの市民団体が地域課題に取り組む事業や、地域の中小企業団体などが行う活性化事業も対象とするなど経済雇用対策にも効果がある地域に還元できるような事業も取り入れるべき、と提案したが、「今後十分に検討」「県民局での活用を期待」との答弁であり、行革の目玉として第2次行革プランに同事業を予算化した所管としての、事業そのものの立案に対する思いと熱意が弱かったと感じる。
厳しい行革を実施する中で、この事業が「県民が将来に希望を持てる社会の実現に向けた事業」であることを県民がイメージできるよう、県が県民に強くメッセージとして発信していくことも、この事業を行う大きな目的でもあると考える。県民に伝わりにくいようでは意味がないと考える。
そこで、兵庫の未来づくりに取り組むこの施策について、県民が将来に希望が持てるとイメージできるわかりやすい説明をお願いするとともに、経済雇用対策にも効果があり地域が夢を持てる事業への活用についてどう考えているのか、知事の見解を伺う。
2 土地開発公社のあり方について
平成20年度策定の新行革プランでは、土地開発公社等が保有する県の先行取得用地について、現時点では直ちに利活用が見込めないことから、森林の持つ公益的機能に着目し、「環境林」として県が計画的に取得し、適切な管理を行うこととした。その方針に基づき、県では、毎年度取得を行い、今年度は三木市志染町の約34haの森林を約50億円で買い取ることとし、今定例会に平成22年度関係議案として上程、本会議で可決した。森林の公益的機能の重要性、また、土地開発公社所有のままだと金利がかさむ一方、30%の交付税措置が後年度ある県債が活用できることなどを踏まえ、議案には賛同した。だが、県取得後はほとんど放置されている状況にあることを考えると、林野庁でも「環境林」を公的管理により公益的機能を高度発揮できる森林と位置づけ、新年度より整備事業に取り組むこととしていることも踏まえ、県が取得することの県民理解を得るためには、少しでも地域振興に資するような有効活用や事業化を図るべきと考える。
また、今定例会には、平成15年、16年に県が住宅供給公社より買い戻した「宝塚市玉瀬用地」の処分の件も上程され、新名神高速道路整備の用途での売却であり、我が会派としても賛同したが、県が公社より簿価で買い戻した単価が約9,700円/㎡である一方、今回の処分単価は4,300円/㎡と、倍以上の差となっている。一方、この差額は県の損失になるのに、県民には極めてわかりにくくなっている。行革を進める上で、県民にわかりやすく示していくことも必要ではないかと考える。
いずれにしても、これらの問題は不動産バブルと言われた時期等に、乱開発防止の目的とは言いながら、県が土地開発公社等の公社に対し非常に多くの用地を先行取得させたことが原因ではないかと考える。その後、土地神話は崩れ、地価は急激に下落し、現在も下落傾向がなお続く一方、大規模開発に対するニーズも落ち着いている今日の情勢の中で、特に、土地開発公社については、その設立目的にもある「経済基盤確立と産業発展に伴う土地需要の増大や地価高騰の障害の解消」という社会的使命は、とっくに終わったのではないかとも考える。実際、他県においては、平成18年の神奈川を皮切りに、平成19年には熊本、平成22年には群馬、宮崎で土地開発公社が既に解散し、福井、富山では今年度末に解散するほか、山口では来年度末の解散を目指し、また、山梨は平成25年度までに残務整理し平成49年の解散を目指すなど、多くの自治体が期限を決めてあり方を検討するなど、解散に向けた取り組みを行っていると聞く。
また、総務省による平成21年度土地開発公社事業実績調査結果によると、平成21年度末に残存する44道府県の土地保有額は、全国平均で144億円、うち1位は愛知で782億円、兵庫は2位で732億円であり、さらに10年以上保有している土地では兵庫が484億円で1位となっている。
そういう中で、本県においても、新行革プランの公社改革推進のための第三者委員会である「公社等経営評価委員会」から、土地開発公社について「体制の縮小を図るとともに、存廃についての検討」をすべきと提言され、今回提案された第2次行革プランにおいては、同公社のあり方について「県財政への影響等を踏まえた中長期的な課題として検討を行う」こととしている。
一方、昨年の予算委員会で我が会派の石井健一郎議員が同公社の存廃を含めたあり方を質した際、「土地開発公社の事業量は減少傾向をたどり、平成25年度以降は80億円程度で推移する」と答弁された。このように公共事業に必要となる用地の減少とともに公社の事業量が減少する中にあっては、私が県土整備部審査で提案した外部専門職等を導入できる部分には導入するなどして、公社業務を整理していくべきではないかと考える。
そこで、先行用地取得等の土地開発公社に依頼してきた業務の外部専門職への委託等を検討した上で、廃止までの検討スケジュールを示して、土地開発公社の今後のあり方を明らかにしていくべきと考えるが、ご所見を伺う。
3 自殺対策の推進について
今月3日に警察庁より昨年の自殺者状況が発表され、総数は前年比3.5%減ながら13年連続3万人を超える3万1,690人。要因では、半数が健康問題、さらにその半数が鬱病、そして、目立ったのは、就職失敗が約20%増、子育ての悩みが約44%増と、悲しくも社会問題を反映した形となっている。
この問題は、部局審査で、藤井副委員長と岡委員も取り上げたが、県の実効ある対策の実施を期待して、再度伺う。
県では、平成28年までに県内の自殺者の1,000人以下への減少を目標に、自殺対策を県政の最重要課題の一つとして推進している。また、我が会派からの推進体制強化の強い提案の中で、一昨年の「自殺対策推進本部」に続き、昨年4月に専門部署として「いのち対策室」の設置が実現した。しかし、県内の自殺者は依然として年間1,300人を超えており、平成22年も前年より5人増えている状況にある。数字を見る限り、残された6年間での目標達成は非常に困難と指摘せざるを得ない。
全国的に自殺問題がクローズアップされる中で、各都道府県でも対策が進み、平成22年では、8割近い都道府県で前年から自殺者数が減少している一方で、全国に先駆けて専門部署を設けるなど、先進的に取り組んでいる本県で成果が現れないという実態を重視し、総合的な取り組みを多方面から検証し直す必要があるのではないかと考えている。
まず、減少目標数の年次計画を作成し、特に多い県民局等をモデル地域として選定し、プライバシーにも留意することは勿論であるが、その原因・背景を含め調査・対策を集中的に講じるなどして、モデル地域で成果を上げ、その成果を全県に広げていくといったように、戦略的に自殺対策を進めていく必要があると考える。
そこで、モデル地域設定による取り組みの検討を含め、目標達成には本当に実効性のある対策を戦略的に進めていかなくてはならないと考えますが、ご所見を伺う。
4 兵庫県における実効ある雇用就業対策について
今月1日に発表された1月の有効求人倍率では、全国、兵庫県ともに前月より0.03ポイント改善、それぞれ0.61倍、0.57倍となった。改善傾向なものの、兵庫県は全国を0.04ポイント下回り、近畿2府4県の中でも11ヶ月連続最低という状況である。
そういう中で、県では、新政権のもと創設された重点分野雇用創造事業に平成23年度も取り組むとして、昨年に続いて予算提案している。そこでは、重点分野として、介護、医療、観光、農林水産、環境・エネルギーなどの11分野が示され、県事業で約44億円・135事業と、市町への事業費補助約30億円をあわせて合計約74億円が計上され、5,283人の雇用創出が見込まれている。
一方で、部局審査で岡委員も指摘したが、この重点分野雇用創造事業は実施が各分野に及ぶことから、関係部局と密接に連携を図りつつ、各分野において地域で生じている課題等と向き合いながら取り組まないと、各種指標が改善するような実効ある取り組みにならないと考える。一方、厳しい雇用情勢を反映して、雇用対策の予算は一定措置されるが、厳しい財政状況の中で他分野では予算措置が困難なことを踏まえ、単なる予算不足の補充となっているためか、実際の効果がなかなか見えてこないと感じる。他の雇用就業対策も同様だが、実効ある対策とするため、雇用政策の立場で産業労働部がしっかりと各部局の事業をマネジメントしていかなければ、政策効果は生じにくいと考える。
そこで、長期にわたり他府県と比較しても特に厳しい状況にある本県の雇用情勢を踏まえ、様々な分野で行う雇用就業対策を実効ある対策としていくため、産業労働部が果たす役割をどのように認識しているのか、ご所見を伺う。
5 農林水産業の6次産業化の推進について
新政権がかねてから標榜していた「農林水産業の6次産業化」に関する法律、いわゆる六次産業化法が、今月1日に施行された。
この法律では、地域資源を活用した新事業の創出等だけでなく、地域の農林水産物の利用促進、いわゆる地産地消も合わせて総合的に推進することにより、農林漁業の振興並びに食糧自給率の向上等を目的とすると、少し理念的に書かれているが、農林水産省の「6次産業化」を説明するパンフレットでは、「地域資源」と「産業」を結び付け、まさに「儲かる農林水産業を実現」すると打ち出している。
県の新年度予算案においても、「6次産業化チャレンジ支援事業」など、「6次産業化」を直接銘打った事業もあるが、直売施設設置支援、ブランド化や輸出促進を含め、あらゆる事業に、この「儲かる農林水産業実現」のための「6次産業化」の考え方が生かされているのではないかと考える。
そういう中で、部局審査でもふれたが、世界に誇る但馬牛について生産基盤の強化だけでなく、三田牛・但馬牛をはじめとする県内牛肉のブランド力を活かして、意欲のある畜産農家等の輸出チャレンジを支援したり、岡委員の質問でもあったが、地産地消の促進の一環としての生産者と地元消費者団体等のマッチング支援なども、「儲かる農林水産業の実現」のための農林水産業の6次産業化につながる取り組みではないかと考える。
また、「儲かる農林水産業の実現」は、農林水産業全体の深刻な課題である「担い手」問題を解消していく切り札でもあり、農林水産施策全般において、この要素を盛り込んで推進していくべきと考える。
そこで、農林水産分野での新年度予算案編成において、農林水産業のの6次産業化の考え方をどのように施策に反映していったのか、ご所見を伺う。
6 元気と活力がでるまちづくりの推進について
この問題は、部局審査では地元三田市の件として指摘したが、全県下の問題として再度質問する。
まちの「元気と活力」の起爆剤となると考える市街地再開発事業の進捗は、大震災の際の復興事業を含め、部局審査では東京に次いで進んでいるとのことであったが、平成22年6月現在、未施行の地区が11地区も残されており、事業期間も長期にわたることから、早期施行が望まれる。
一方で、人口減少社会が進む中、市街地再開発事業が進まなければ、施設や木造家屋の老朽化、パークアンドライド等の十分な公共施設がないままとなり、都市機能の低下が進み、まちの活力そのものの衰退につながりかねない。
そのため、持続可能なコミュニティの形成に向け、賑わいのある生活空間、商業空間を再構築するためには、三田駅前の再開発事業に見られるように、主要駅前を市の「玄関」と位置づけながら、市の「核」あるいは「顔」として「都心の賑わい」を求めるという発想から、まちづくりを展開していくことが必要である。
加えて、市民が主体の協働のまちづくりを進めるため、主要駅前市街地に居住する住民自身の「安全・快適・便利」を追求する新たなまちづくりの発想を柱に据えることも大切であり、そうした視点が、住民や世代の循環をもたらし、市町全体の活性化を導く可能性を秘めていると考える。
そこで、人口減少社会が進む中、また、今年度の国勢調査結果によると兵庫県は震災時期を除いて戦後初めて人口減少に転じており、今後県として、主要駅前市街地等において市街地再開発事業等による元気と活力がでるまちづくりに、どのような姿勢で取り組んでいこうとしているのか伺う。
7 教職員の勤務環境の改善について
教育委員会では、平成21年度に策定した「ひょうご教育創造プラン」に基づき、兵庫の未来を担う子どもたちの教育に鋭意・積極的に取り組んでいるが、その目的の実現にあたっては、学校現場で直接、子どもたちと向き合う教職員の役割が最重要である。教職員には、「教育の専門家」として児童生徒との信頼関係を基盤とし、人間形成についての深い理解と限りなき情熱を持って、いきいきと教育活動を展開することが必要である。
しかしながら、教職員の勤務環境の現状を見ると、平成20年度実施の勤務実態調査では、1日当たりの超過勤務時間は、小学校で全国1時間40分に対して兵庫県で1時間58分、中学校で全国2時間13分に対して2時間33分と20分近く上回っている。さらに、様々な要因があるにせよ、兵庫県で1ヶ月以上病気休職した公立学校教職員は、平成21年度で186人にのぼっている現状も報告されている。
この多忙化の要因は、調査・報告書の作成など事務処理や部活動指導などのほか、本来の業務とは言えない業務の混在等が考えられ、さらに、地域、保護者、子どもたちの教育に対する価値観の変化や社会情勢の変化等の中で、教育現場を取り巻く課題が多岐にわたってきていることなどが、多忙化に拍車をかけていると考えられる。
このため、県では、平成21年3月に、学校現場における負担軽減を図るために、「教職員の勤務時間適正化対策プラン」として提言を受けて、様々な取り組みを行っているものの、特に、学校現場の教育課題は、いじめ、問題行動等に加え、近年の児童虐待やいわゆるモンスターペアレントへの対応など山積しており、これらの課題に対応するには、学校の教職員全体の対応体制を構築していくのは勿論であるが、カウンセラーなど専門的見地から外部からの支援も必要であると考える。
そこで、多忙化する教職員に対して、授業や生徒指導の充実や生徒と向き合う時間をしっかりと確保するための、教職員の勤務環境の改善について、どのように取り組んでいくのかお伺いする。
8 大麻事犯対策について
公安委員会審査でも質問した大麻事犯対策について、知事も出席している総括審査で知事部局等と連携した取り組みをお願いしたい。
この件については、兵庫県警が全国で初めて大麻種子の販売を逮捕した事例もあった。今後とも、知事部局や教育委員会等をはじめとした関係機関との連携を密にして、再犯者のない、そして若年層にこれ以上広がらない大麻事案防止を強く要望する。
芝野照久
三田市
●財政状況
1.行革プランの見直しの基本的な考え方について
2.第2次行革プランにおける職員の士気高揚について
(1) 給与の見直しについて
(2) 福利厚生事業の見直しに伴う職員の福利厚生について
3.兵庫の未来づくりに取り組む施策の推進について
(1) 地域の夢推進事業の県民局ごとの配分の考え方について
(2) 地域の夢推進事業の今後の方針について
4.看護専門学校事業について
5.個人県民税等の減税の可能性と影響について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(財政状況)
2011年3月1日(火)
1 行革プランの見直しの基本的な考え方について
本年度は、「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、行財政全般にわたる総点検が実施され、これにあわせて、県議会においても、行財政構造改革調査特別委員会を設置し、精力的に議論を重ねて、今県議会に、第2次行革プラン(案)が上程されました。
総点検を行うにあたり、施策目的をゼロベースから評価し、見直しをするという方針がしめされたことで、県民にとっても、とりわけ、厳しい3年間の行革を乗り切ってきた職員にとっても、さらに厳しい見直しに対してモチベーションがさらに下がることが懸念されます。
本来、総点検については、3年間の成果と課題を明確にした上で、新たに負債が生じる、あるいは、行革プランの見直しが必要な場合に、見直すという手続きをするものです。
そこで、今後の総点検を行うにあたっては、3年間の努力も生かされ、配慮した基本方針とした上で3年間の成果を県民に詳しく知らしめ、県民に理解を訴えた上で、見直しを進めるべきであると考えるがその方針も含め所見を伺います。
2 第2次行革プランにおける職員の士気高揚について
(1) 給与の見直しについて
私達の会派は、職員の給与について、先の見通せない給与抑制措置は、職員の生活設計に大きく影響し、さらに職員のモチベーションに支障を来たすことは明白であり、これ以上職員の士気を損なうことがないように特段配慮すべきとの主張をしてきました。
これに対して、第2次行革プランでは「士気高揚にも留意しながら」と言う文言が加えられたところであり、実効ある取り組みを大いに期待しているところです。
定員の削減については、当初目標の定員の3割削減について、今期までの3年間で目標の半分を概ね達成しており、今後の3年間でさらに10%の削減目標という厳しい目標を掲げているが、その後の5年間は6%削減とされたことで、職員ももう少し辛抱すればという思いが生じています。
しかしながら、給与については、社会的情勢、他府県の動向などを踏まえ、毎年度具体的に定めるとしています。
この方針については、一定の理解をするものの、職員にはいつまで抑制措置が続くのか見えない状況で生活設計も立てられず、モチベーションも下がる一方であります。
そこで、給与についても、総人件費として、定員と一体に考えるべきであり、定員の削減目標と同様、先の見通せるような方向性を示すべきと考えるがご所見を伺います。
(2) 初任給の表示について
人材確保に支障きたすと思いますが、新規募集の際の初任給の表示はどうするのか、お伺いします。
(3) 福利厚生事業の見直しに伴う職員の福利厚生について
昨年11月に提示された第2次新行革プランの企画部会案で、職員互助会及び学校厚生会への負担金の廃止が盛り込まれ、それを受け、県が、使用者責任として、職員が安心してかつ意欲を持って公務に従事できるよう県が実施する福利厚生事業について責務を果たすべき検討をするとの文言が入ったことは評価いたします。
今後も、行革に伴う定員削減等による勤務時間・業務内容の増加も考えられることから、財政措置を含めて県として実効ある福利厚生事業を確実に実施することが求められます。
そこで、福利厚生事業のあり方、その充実について、どのように取り組むのか伺います。
3 兵庫の未来づくりに取り組む施策の推進について
(1) 地域の夢推進事業の県民局ごとの配分の考え方について
今回の第2次行革プランでは、新規事業の活用方策として、「兵庫の未来づくりに取り組む施策の推進」が示されました。
具体化の施策として、地域ビジョンや地域活性化実現のため、県、市町、地域団体が取り組む事業を支援する「地域の夢推進事業」が創設されました。
この事業は、我が会派がも主張してきた県民が将来に希望を持つことができる社会の実現に向けた予算として大いに評価するものであります。
来年度予算について、県民局ごとの配分額が提示されたが、その配分基準について本会議での答弁で「政令市・中核市の有無や県民局の管内人口や面積など県政に対する期待度を踏まえて配分することにしている」とのこと回答でした。
そもそも「夢推進」とうたいながら、ハナからハード2:ソフト1と示したこと、また、金額を地域ごとに定額で決定したこと、また、大型予算に対する各県民局に施策の対応ができるのか等、不安が残ります。
そこで、今回の配分基準についてどのように設定したのか、説明をお願いします。
(2) 地域の夢推進事業の今後の方針について
今回の「地域の夢推進事業」について、大いに期待するものであるが、その執行にあたって次の点を指摘しておきます。
○ ソフト事業とハード事業の配分については柔軟に対応するとともに、県民局毎の配分については、実績等も勘案し、毎年見直すべきと考えます。
○ 県民局を横断する地域課題についても当該県民局が共同対応できるような制度とするべきです。
○ とりわけ投資事業等が、安易に一般事業費の付け替えにならないのでしょうか。
○ これまでの地域戦略推進費の対象事業については、少額な事業、2万円もあり、事業数も平均35事業である。地域の活性化の戦略として展開するためにも、それこそ夢を持てるような大ぐくり化するべきであります。
○ 「新しい公共」宣言がなされる中で、新たな担い手であるNPOなどの市民団体が地域課題に取り組む事業や地域の中小企業団体などが行う活性化事業も対象とするなど経済雇用対策にも効果がある地域に還元できるような事業も取り入れるべきであります。
そこで、これらの課題や提言も踏まえて、今回の「地域の夢推進事業」を効果的、かつ柔軟に実施し、県民が将来に希望を持つことができる社会の実現に向けた事業とするために、どのように取り組んでいくのか、今後の方針を伺います。
4 看護専門学校事業について
第2次行革プランで、看護専門学校事業については、近年、看護師養成学校や看護大学が増加していることなどに伴い、県立病院の新規採用看護師に占める県立看護専門学校卒業生の割合は減少しており、病院事業に従事する看護師を養成するという設置当初の役割が低下しつつあることから、県全体の看護受給の見通しや県全体の看護師養成・確保といった観点も考慮しつつ、見直しを行うとしています。
昨年12月には、「第7次看護職員需給見通しに関する検討会報告書」が策定されている中で、看護師の不足・偏在の解消や地元で働きたいというニーズに対応するためにも、私は看護専門学校の存続・充実こそ必要と考えますが、看護職員需給調査の結果を踏まえ、今後どのような見直しを検討しているのか伺います。
5 個人県民税等の減税の可能性と影響について
住民税10%の恒久減税を掲げる河村たかし名古屋市長が平成21年4月に誕生しました。
確かに、恒久減税は、市民にとっては一見魅力的な政策であり、負担は少ない方が良いという考えはあります。
しかしながら、名古屋市でも10%減税することで、約200億円が減収になり、行政改革で財源が本当に生み出せるのか、市民サービスが削られることがないのか、大いに疑問をいだくものであります。
神戸市会でも同様な質問がなされたようですが、そこで、兵庫県において、ありえない話ですが、仮に個人県民税の恒久減税を10%にした場合、県政にどのような影響があると考えているのか、ご所見を伺います。
●健康福祉部
1.自殺防止対策について
(1) いのち対策室の設置の成果と状況分析について
(2) マスコミ等の活用について
(3) 戦略的な対策の推進について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(健康福祉部)
2011年3月3日(木)
1 自殺防止対策について
(1) いのち対策室の設置の成果と状況分析について
県では、平成28年までに県内の自殺による死亡者を1,000人以下に減少させることを目標に、前述したような総合的な自殺対策事業を県政の最重要課題の一つとして推進されているが、現状の数字を見る限り、残された6年間でその目標を達成することは非常に困難であると指摘せざるを得ません。
何度も指摘してきたように、県民みずからがお互いを見守り、助け合うという体制をつくり上げる必要があります。
県としての防止対策の総合的な施策内容と取り組みの重要性をアピールする意味でも、横断的な全庁挙げての施策の拠点として、県庁内に自殺防止対策の専門部署としての課または室を設け、中・長期的な県民運動としてさらに推進体制を強化すべきとの提案の中で、県においては、一昨年の「自殺対策推進本部」の設置に続き、昨年4月にいのち対策室の設置が実現しました。
そこで、本年度に「いのち対策室」が設置されたことによって、現時点においてどのような効果が表れ、課題が見つかったのかを伺うとともに、対策本部、対策室が設置された後も1,300人を超える自殺者が生じた実態について、どのように状況分析しているのか伺います。
(2) マスコミ等の活用について
自殺防止対策の先進国であるフィンランドでは、国家レベルで自殺要望戦略を立ち上げて、顕著な成績を挙げている。その要因の一つとして、報道機関との連携があ
ります。
日本では、自殺の方法、状況も含め、余りにも踏み込んだと思われる自殺関連報道がなされていますが、フィンランドではそのことが自殺防止対策に一番悪影響を及ぼすことから、報道機関に協力を求め、一切無益な報道はしないとともに、防止に関する協力・連携が密に行われています。
しかしながら、本県はもとより、国全体においても、報道機関との連携は希薄であり、県としても自殺防止を県民運動として機運を盛り上げるためにも報道機関の連携・協力が是非とも必要です。
そこで、これまでの自殺防止対策について、様々な取り組み、会議の中で、どれだけ報道機関の協力を得て連携してきたのか、さらに今後、報道機関との連携のあり方も含め、マスコミと協同した自殺防止対策を推進しようと考えているのかを伺います。
(3) 戦略的な対策の推進について
何度も申し上げるが、現状では、平成28年までに県内の自殺による死亡者を1,000人以下に減少させる目標を達成することは非常に困難と指摘せざるを得ません。
いのち対策室を設置した平成22年は、警察庁の統計で、5人増加した結果となっているが、他県では大幅に減少した県もありその取り組みも参考にし、もっと多方面から実質的な取り組みをするべきです。
例えば、神奈川県では、平成19年度から、都市部におけるモデル地区を選定し、3年計画で体制整備、人材育成、地域づくりなどを実施し還元しようという地域自殺対策推進事業を展開しています。
このように、目標年度までに達成できるように、総合的な対策を漫然と実施するよりも、取組み及び自殺者減少目標数の年次計画を作成して、戦略的に防止対策を進めるべきと考えるが所見を伺います。
●県土整備部
1.わが家の耐震改修促進事業について
(1) 国の補正による耐震化改修の取り組み及び進捗状況について
(2) 目標達成へ向けた取り組みについて
2.公共交通の確保による地域の活性化について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(県土整備部)
2011年3月8日(火)
1 わが家の耐震改修促進事業について
(1) 国の補正による耐震化改修の取り組み及び進捗状況について
本県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、今後発生が予想される地震による住宅や建築物の倒壊等の被害を減少させる取り組みを一層推進するために、平成18年度に「兵庫県耐震改修促進計画」を策定し、住宅の耐震化率を平成15年の78%から平成27年には97%に引き上げる目標を立て、住宅の耐震診断、改修計画策定やそれらに基づく改修工事に対する費用の一部に補助を行っております。
平成20年の段階で、住宅の耐震化率は82.4%に止まっており、全国平均は上回っているものの、目標達成は厳しい状況にあると考えます。
しかしながら、民主党政権は、昨年6月に策定した新成長戦略において、平成32年までに住宅の耐震化率を95%までに引き上げる方針を示しております。さらに、具体的な支援策として、平成22年度補正予算で、耐震改修工事に対する補助金について、国として一戸につき最大30万円の増額を行ったところであります。
県ではこれを活用し、昨年12月に戸当たり最大30万円を補助する定額補助制度を創設しました。これにより戸建住宅であれば耐震改修工事費に最大110万円の補助金が出ることとなりました。さらに申請件数の増加が見込まれることなどから、今回の補正予算により予算の増額を行っております。
この制度の創設は、これまで独自で補助金を創設し、住宅の耐震化を進める本県にとっては追い風となるものであります。
そこで、この補助金の創設後の進捗状況を伺います。
(2) 目標達成へ向けた取り組みについて
先月22日にニュージーランドのクライストチャーチ市でマグニチュード6.3の強い地震が発生し、建物の崩壊により多くの犠牲者・不明者・負傷者がでていることに、心からのお見舞いと哀悼の意を表するものであります。
ニュースを見ると、瓦礫の中で、耐震補強されたと報道されているエレベーター部分のみが残っている状況をみるにつけ、その映像は衝撃的であり、住宅等の耐震化の必要を感じた次第であります。
我が国でも近い将来東海地震が起こる確率は30年以内に87%、東南海地震は30年以内に60~70%の確率で起こるといわれており、いつ日本で地震が発生するかもしれない状況にあり、住宅の耐震化は重要な課題であります。
先ほど質問した今回の措置によって、本県における住宅の耐震化率は向上すると考えますが、30万円の定額補助制度については単年度措置であります。
しかしながら、阪神・淡路大震災を経験してきた本県としては、平成27年に住宅耐震化率97%の目標達成に向けて、更なる取り組みが必要であります。
また、今回のニュージーランドの地震のニュースで、瓦礫のなかで、エレベーター部分だけが残された映像を見て、私が建築物の耐震化の必要性を感じたように、県民に耐震化の必要性を目で訴えるような広報活動も必要ではないかと考えます。
そこで、今後の97%という目標達成に向けて、県民が真に耐震化を必要と考える広報活動のあり方も含めてどのような取り組みを行うのか方針を伺います。
2 公共交通の確保による地域の活性化について
人口減少とマイカーの普及により地方の公共交通は、都市部・郡部を問わず衰退傾向が顕著になっております。バスや鉄道などの公共交通が失われれば、地域の活力が低下するだけではなく、地域社会の維持さえ困難になりかねない状況となります。地域住民の生活の足を守ることは、地域そのものを守ることにつながることから、今後も行政として兵庫県全般を見渡した広域的な支援を行うべきと考えます。
その一例として、昨年11月に、神戸電鉄は、赤字が続く粟生線(鈴蘭台-粟生、29.2km)について、来年度中に存続か廃止かを判断する方針を固めたとの新聞報道があります。
神戸電鉄粟生線の輸送人員は、平成4年度の1420万人をピークに減り続け、平成20年度は730万人と半減している状況を受けて、平成21年11月に神戸電鉄と沿線3市を中心に「粟生線活性化協議会」を発足しました。この協議会では輸送人員減少に歯止めをかけるため、国庫補助を活用した利用促進策を進めております。
同線は、朝と夕方は高校生が多く利用し、三木、小野市内の県立高校5校だけでも、約2千人の生徒が市外からの通学に使っており、もし廃線となれば、これだけの生徒を運ぶには、代替手段としてバス利用が考えられるが、県道・国道の現在の交通事情や道路状況を考えた時、現実的には、困難と考えられます。また、仮に代替バスへ転換した場合を想定しても、これまでの全国の例を見ると、鉄道運行時より所要時間が長くなること、定時性の確保の問題、さらには運賃の値上げなどの理由から、転換後の鉄道利用者の約4割程度しか利用しない現況となっており、そして、最悪のシナリオでは、利用率が下がることによる減便が繰り返され、地域公共交通が消滅するという現状もあります。地域にとっては粟生線の存続は大きな問題であり、企業努力にも限界があり、県としても、関係市町との連携を図り、その存続について、早急な対応が求められると考えられます。これは、ほんの一例であり、今後、鉄路、道路、海路を含め、同様の課題が顕著にあると考えます。
また、県は、第2次行革プランで、過疎などにより公共交通機関が未整備な地域以外の市町が運営するコミュニティバスの運行に対する支援を見直しております。しかし、都市近郊の団地でも、高齢化が進み公共交通手段がなく、「買い物難民」も生まれる状況もあり、今、なぜ全県下でコミュニティバスが数多く運営されているのかという運行目的・状況を考えた時、一律的な判断ではなく、実情に応じた対策が求められていると考えます。
今回の通常国会に、政府は、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために交通基本法案を上程する方針であり、それを踏まえ、国においても人口減少とマイカーの普及により衰退傾向にある地方の公共交通を立て直すため、財政再建に向け政策支出額を前年度並みに抑え込んだ来年度予算案に、従来の施策を抜本的に見直し、新たに「生活交通サバイバル戦略」として前年度より4割増となる総額305億円を確保しております。
補助対象も従来のバス、鉄道、など、交通手段の補助制度に事業者が申請し、補助を受けていたものを、今後は事業者や住民、自治体などによる協議を経て策定したプランに基づき実施される取組が補助対象になることから、県としても、その対象となる施策については、関係市町とも連携しながらプランを策定することが求められます。
そこで、県として地域住民の移動手段を確保し、生活生命を支えるために、公共交通機関の確実な確保と充実を図ることが必要であると考えますが、これに対し今後どのような方針で取り組んでいくのか所見を伺います。
●教育委員会
1.教職員の勤務環境の改善について
(1) 教職員の勤務時間の適正化について
1学校業務改善の取り組みと評価について
2今後の取り組みについて
(2) 教職員への支援体制について
2.特別支援教育支援員活用推進事業について
3.公立高等学校普通科の通学区域の検討等について
(1) 通学区域の検討について
(2) 経済的負担等も配慮した選択肢の確保について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(教育委員会)
2011年3月9日(水)
1 教職員の勤務環境の改善について
(1) 教職員の勤務時間の適正化について
1.学校業務改善の取り組みと評価について
教育委員会では、平成21年度に策定した「ひょうご教育創造プラン」に基づき、兵庫の未来を担う子どもたちの教育に鋭意・積極的に取り組んでこられていることに心から敬意を表します。そして、この「ひょうご教育創造プラン」に示された兵庫教育の目的の実現にあたっては、学校現場で直接、子どもたちと向き合う教職員の役割が最重要であることは言うまでもありません。
教職員には、「教育の専門家」として児童生徒との信頼関係を基盤とし、人間形成についての深い理解と限りなき情熱を持って、いきいきとして教育活動を展開することが求められております。
しかしながら、教職員の勤務環境を見れば、平成20年度に実施された勤務実態調査によると、1日当たりの超過勤務時間は、小学校で全国1時間40分に対して兵庫県で1時間58分、中学校で全国2時間13分に対して2時間33分と20分近く上回っている現状があります。
さらに、様々な要因があるにせよ、兵庫県で1ヶ月以上病気休職した公立学校教職員は、平成21年度で186人にのぼっている現状も報告されているところであります。
この多忙化の要因は、調査・報告書の作成など事務処理にかかる時間が多いとか、部活動の指導に時間を要しているのか、また本来の業務とは言えない業務の混在等、小中学校により課題は違っていますが、多忙化の原因・背景にある課題の解決が必要であります。
兵庫県では、平成21年3月に、学校現場における負担軽減を図るために、「教職員の勤務時間適正化対策プラン」として提言を受けております。
そこで、この提言を受けて、教育委員会として、これまでどのように取り組んできたのか、またその評価について伺います。
2.今後の取り組みについて
これまでの取り組みとその評価について答弁をいただいたが、現場の先生方の中には、まだまだ勤務時間適正化の実感がわかないとの声を聞く。
地域、保護者、子どもたちの教育に対する価値観の変化や社会情勢の変化等で、教育現場を取り巻く課題が多岐にわたること。また、子どもたちを取り巻く状況も大きく変化する中での対応も困難に拍車をかけていると思います。
教職員の勤務時間適正化対策プランが掲げる「教職員が心身ともに健康で、児童生徒と向き合う時間を確保し、教育活動をさらに充実させる」目標を真に達成するにはこれまで以上の取り組みが必要であります。
そこで、目標達成に向けた課題をどのように認識し、来年度はどのような点を重点に取り組んでいく方針なのか伺います。
(2) 教職員への支援体制について
学校現場の教育課題は、いじめ、問題行動等に加え、近年の児童虐待やいわゆるモンスターペアレントへの対応など山積しております。
これらの課題に対応するには、管理職がリーダーシップを発揮し、学校の教職員全体の対応体制を構築していくのは勿論であるが、カウンセラーなど専門的見地からの外部からの支援も欠かせません。
そこで、小中学校において、トータルとして教職員への支援体制を充実する必要があると考えるが所見を伺います。
2 特別支援教育支援員活用推進事業について
今次の行革プランにおけるスクールアシスタント配置事業の補助金廃止については、3年間の経過措置の中で、当然、各市町において、廃止後の対応を考えたこの3年間であるべきでありますが、各市町によって、来年度に向けた、継続的な取り組み方策についても軽重があり、その影響を受けるのは対象となっている子どもたちであります。
その為、私たちの会派では行革プランにおいて、この施策が後退しないよう、市町への強力な指導は勿論のこと、補助金廃止後、新たな措置を講じる必要があると求めたところ、LD・ADHD等の理解と支援をするための小・中学校における体制の充実において、市町が配置する特別支援教育支援員が、教員と緊密な情報交換等を行いながら、児童生徒への適切な対応を図ることができるよう、県として支援員への指導助言や資質向上の取り組みを充実する方向性を示されたことは大いに評価し、期待するものであります。
この事業については、各地域の6教育事務所を核として支援を展開されますが、教育事務所がない神戸市についても、当然、施策の目的に沿って、遺漏なく実施されることと思います。
そこで、神戸市内における特別支援教育支援員活用推進事業について、どのように展開するのか、具体的な説明をお願いします。
3 公立高等学校普通科の通学区域の検討等について
(1) 通学区域の検討について
教育委員会では、平成21年度から高等学校の通学区域のあり方について検討を行っており、平成22年4月には、「生徒にとって望ましい選択肢を確保するとともに、現行の学区の課題を解決し、魅力ある高校づくりをさらに推進するためには、学区を統合し通学区域を広げる必要がある」との基本方針が検討委員会から示されました。その基本方針を受け、教育委員会では、保護者などの県民に意見を聞くために、1月に地域説明会・意見交換会を開催するとともに、インターネットを通じて意見募集を行われました。
しかしながら、その意見募集の方法については、ホームページ上で募集することと併せて、小中学校の保護者あての文書も配布されましたが、意見を述べようにも、現在通学区域の見直しの検討が行われていることさえ知らない保護者も多く、なぜ今通学区域の見直しを行う必要があるのかという理由や背景がよくわからないとの意見もあります。また、進路指導する中学校にとっても、今回の見直しにより、それぞれの学校にどのような影響が出るのか分からないという声も聞いており、中学校においては、様々な説が飛び交っているとの声も聞きます。
今回の通学区域の検討は、子どもが希望する高校を受検できることになるのかなど、子どもの将来にかかる重要な問題です。そこで、まず今回の通学区域の検討に至った背景として、現行の通学区域にどのような課題があるのか、また通学区域の拡大による効果と課題、つまりプラス面とマイナス面について伺います。また、保護者や県民の理解を得ながら見直しの検討を進めるためには、これからも、学校関係者、地域住民、生徒達にも、丁寧な説明や意見聴取の機会を設ける必要があると考えますが、所見を伺います。
(2) 経済的負担等も配慮した選択肢の確保について
今回の通学区域の検討にあたって、生徒にとって望ましい選択肢を確保するとしておりますが、一方、公立高校の授業料は無償化になったものの、通学等にかかる費用の面などから、生活基盤のある地元公立高校に通いたい、通わせたいと希望する生徒や保護者は多くいます。
例えば、人口8万人の三木市には公立普通科高校が4校設置されているものの、同規模の人口である私の地元、神戸市の北神地区には、公立普通科高校は1校しかなく、地域によっては選択肢の幅が狭まっております。また、同地区の一部の中学校からは、三田市の公立普通科高校や三木市の公立普通科高校を受検できるものの、学区内のほとんどの公立普通科高校は、六甲山より南側にあり、通学にあたっては神戸電鉄を利用するために通学に通学費用と通学時間の負担が大きいことなどから、地元、北神地区では、都市におけるドーナツ現象にあり、居住者が急激に増加している中、地域内に公立普通科高校の設置を求める要望が強く出されています。
この例にもあるように地元高校に通いたいという多くの声に対して、県として、公立普通科高校の配置について、地域的なバランスも考慮に入れて、将来的には高校新設も含めた公立普通科高校の適正配置の検討を行う必要もあるのではないかと考えています。
そこで、現在通学区域の見直しの検討を行う中で、例えば私の地元の北神地域をはじめとして、経済的な負担や生徒の通学時間も配慮した上で高校の選択肢の確保が必要な地域について、県教育委員会として、どのような方策を考えようとしているのかご所見を伺います。
藤井訓博
北区
●財政状況
1.県税収入の見込みについて
2.個人県民税の徴収率アップについて
3.高額滞納について
4.病院事業に対する一般会計繰出金について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(財政状況)
2011年3月1日(火)
1 県税収入の見込みについて
言うまでもなく、財政は、「入るをはかって出るを制す」必要があります。財政構造改革は、ともすると「出るを制す」にその焦点が集中しがちでありますが、入るをはかることも同様に重要であることは言うまでもありません。
中でも税収確保等は、第2次行革プランを進めていく上でも重要なポイントであり、当局として、県税徴収率のアップ、未利用地等の売却・交換・貸付の推進、ネーミングライツの導入等に取り組むとされています。
平成23年度の本県当初予算状況を見ると、県税収入は、前年度当初予算から138億円増の5,581億円が見込まれています。
この見込額は、その時々の経済状況によっては影響を受けるものですから、実際の税収とは異なる可能性もありますが、いずれの額となっても徴収を確実なものとしていくことは言うまでもありません。
この県税収入額の決算ベースにおける近年の推移についてですが、平成15年度の5,011億円を底に、16年度は5,389億円、17年度は、5,734億円、18年度は6,282億円、19年度は7,181億円、20年度には6,999億円になるなど、この6年で実に約2,000億円も増加するなど順調に推移しておりました。
この主な回復の要因は、法人関係税が15年度当時1,237億円であったものが、20年度には2,124億円まで回復していることによるもので、法人関係税は県税全体の構成比においても3割以上を占めるものとなっていました。
しかし、21年度は、世界的な景気後退に伴う企業業績の悪化に加え、地方法人特別税創設の影響により、県税収入は約5,956億円となり、法人関係税は約1,211億円、地方法人特別譲与税分を合わせても約1,476億円と、法人関係分だけでも約648億円も前年度を下回り、22年度の法人関係税見込みも1,028億円となっていることから、法人関係税の構成比は2割以下にまで急激に低下し、反対に、個人県民税や地方消費税の合計割合が50%を超えるまでに増加してきております。
このように県税収入の増減は、法人関係税が大きく影響を与える、つまり、企業業績が大きく反映されるため、財政当局としてもその見込額を考えることは大変難しいことと言えます。
実際のところ、過去10年にわたる、当初見込みと決算額の乖離について調査したところ、平成13年度は2.9%の減で174億円、平成14年度は7.9%の減で445億円、平成15年度は1.6%の減で80億円、平成16年度は4.8%の増で247億円、平成17年度は5.6%の増で302億円、平成18年度は4.6%の増で279億円、平成19年度は5.6%の減で427億円、平成20年度は4%の減で293億円、平成21年度は0.2%の減で9億円、平成22年度見込みは3.8%の増で204億円となっており、10年間の平均で4.1%の乖離があり金額ベースでは平均約246億円の乖離が生じています。
このような乖離に関しては、増額の場合はまだ対応しやすいかもしれませんが、減額の場合は様々な不都合が生じてきたと考えられます。
そこで質問ですが、近年のこうした傾向を踏まえ、今後とも法人関係税の構成比が低い状況が続くと想定しているのか、また、その結果、当初の県税収入見込みはこれまでより正確な見込みになると考えているのか、ご所見をお伺いします。
2 個人県民税の徴収率アップについて
県税の徴収率アップについては、当局において相当程度努力されてきています。過去10年の徴収歩合は、平成13年~17年までの5年間の平均が、94.8%であり、平均して全国水準を1.5%下回っていましたが、その後は、平成18年度は96%、平成19年度は96.5%、平成20年度は96.6%と順調に上がってきており、ほぼ全国平均に近いところまできていたといえます。
しかし、平成21年度は96%、平成22年度は95.7%と再び下落傾向にあることから更なる努力が必要となっています。この下落傾向は、先ほど述べたように、徴収率の高い法人関係税の比率が低下し、個人県民税の比率が上昇していることに起因していると考えられます。
ご承知のとおり、この個人県民税は、個人市町民税と一緒に市町が課税及び徴収を行い、後に県に払い込まれるものであることから、市町の徴収能力に大きく影響を受けます。近年、この個人県民税の収入未済額が急激に増加してきており、未済額全体の6割を占めるまでに至っています。
収入未済額は、その年度の調定額から徴収額を差し引き、更に、その年度に処理される不納欠損額を差し引いたものですが、例えば、平成21年度決算では、調定額6,206億円から徴収額5,956億円を差し引き、更に不納欠損額14億を差し引いた、約236億円が収入未済額で、この収入未済額の約6割となる約142億円を個人県民税が占めています。
この個人県民税の収入未済額は、18年度は約76億円でしたが、19年度は約106億円、20年度は約126億円、そして、21年度には約142億円にまで増加しております。
これまでの徴収率アップのための取り組みにより、自動車税や不動産取得税、法人関係税等の収入未済額が減少してきている一方で、市町が徴収事務を行う個人県民税の収入未済額が増加してきている現状にあるわけです。
この問題に対しては、県当局として、整理回収チームの市町への派遣や県・市町共同徴収対策の実施等を行ってきているわけですが、まだまだ十分な成果は出ていない現状にあります。
そこで質問ですが、県税に占める個人県民税の比率が上昇している中で、個人県民税の徴収率アップに向けてどのように取り組んでいくのか、特に、徴収率の悪い市町に対してどのような改善策を取っていくのか、ご所見をお伺いします。
3 高額滞納について
本県における1件200万円以上の高額滞納の合計額は、県当局のこれまでの努力の甲斐もあり、過去10年で約52億円から19億円程度にまで減少してきており、件数も581件から250件にまで減少してきています。
しかし、監査においても「現下の厳しい財政状況を踏まえ、今後とも各県民局を適切に指導するとともに、収入の促進になお一層配意されたい」などと指摘されているとおり、更なる努力により高額滞納についてしっかりと成果を上げ、限られた人員での効率性の高い徴収を考えていく必要があります。
本県における高額滞納は、全体の約93%が法人で、主に不動産業や小売・建設業で占められており、税目別では不動産取得税が約60%、法人関係税が約30%~35%を占めています。
この高額滞納については、県内法人の高額滞納の場合には、捜索や差押の実施により、収入未済額の縮減を行うことも可能と思いますが、県外本社分については、財産情報も少なく、十分な対策を行うことが難しい面もあると思われますが、今後、高額滞納事案にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
4 病院事業に対する一般会計繰出金について
県立病院は、慢性的な赤字の状況から脱却し、自立した経営が求められていますが、そもそも県立病院というのは、県民の福祉増進の観点から、民間病院がやらない、採算性が低いと言われる小児科、産科、精神科等の診療科を維持する必要があると同時に、高度専門医療や地域医療などの政策医療の確保・充実に重要な役割を担っています。
その一方で、地方公営企業法に基づく経営の原則に従って、常に民間企業と同様の経済性を発揮して、そして合理的、能率的に運営することを要請されており、まさにこの二つのバランスをどうとっていくのか、つまり、医療の質とコストをいかに両立すべきかという難しい問題に行き着きます。
このような経営環境の中、事業の収益をもって充てることが適当でない経費及び客観的に困難であると認められる経費について、収益的支出を負担すること等を目的に一般会計繰出金を毎年投入しています。
全国のほとんどの公立病院では、この一般会計からの繰入金がなければ、そもそもの経営が成り立たない状況であり、例えば、本県においても、県立10病院の一般会計繰入前の収支は、平成17年度から平成21年度までの5年間の平均で約138億円の赤字となっていることから、一般会計繰入金なしでは到底経営が成り立たない状況にあります。
本県における、この収益的収支の一般会計繰出金は、小児救急医療や周産期医療等のニーズの高まり等の理由により近年増加しており、21年度決算では約112億円、22年度決算見込みは、約122億円、来年度予算には約135億円が計上されています。
平成20(直近)年度総務省公営企業年鑑の数値から計算すると、本県の繰入金は、病床100床当たりでは約2億7千5百万円で、地方独立行政法人化した大阪府と岡山県を除く45都道府県中25位となっており、全国平均の約3億3千8百万円に比較して、決して多過ぎることはなく中位に位置していると言え、その所要額の一部が地方財政措置の対象となっているものの、大変厳しい本県財政の中でも病院事業に対する県の積極的な姿勢が伺えます。
そこで、質問ですが、本県の各県立病院がさらなる経営努力を行うことを当然の前提としつつ、現実問題として、一般会計からの繰入金がなくては経営が成り立たないという状況において、財政当局としては、病院事業への一般会計繰出金のあり方はどうあるべきと考えているのか、ご所見をお伺いします。
●企画県民部2
1.人事制度について
(1) 職員の士気向上について
(2) 行政特別研修について
(3) 早期退職制度について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部2)
2011年3月2日(水)
1 人事制度について
(1) 職員の士気向上について
職員の士気については、これまで様々な観点から指摘されてきたところです。例えば、行革による人員削減や職員の待遇面での低下、また、職員の不祥事に際して、これは服務規律の徹底という観点ですが、職員の士気というかモラルの向上などが叫ばれますし、時に厳しい公務員バッシング等との関係でも指摘されると思います。
当局の人事に関する重要施策においては、豊かな人間性や高い倫理観、職務に対する使命感・責任感の醸成、政策形成能力の向上を図るための職員研修を実施し、職員の意識改革及びその能力開発に努めるとともに、職員一人ひとりが高いモチベーションを保ち、主体的かつ意欲的に職務に精励できる働きがいのある明るい職場づくりを推進することをうたっています。人事や人材育成に関する記述は、どうしても抽象的にならざるを得ず、その成果がどうなっているのか検証が難しい分野であります。私達議員は、普段から県庁職員、特に幹部の方と頻繁に接触する機会があり、それぞれが自らの活動の積み上げの中で県庁や職員の仕事ぶりついての考えを持っているのではないかと思いますし、また、地元の関係者から、例えば、どこそこの部署は対応が良いとか悪いとか、対応に出てきた職員の態度が気に入らないとか、様々な声が届くわけです。
第2次行革プランでは、一般行政部門で、平成30年までに平成19年度職員数の概ね3割の定員削減約2,700人を削減予定となっており、職員の中には、事業量の縮減がない中で人員の削減が行われているため仕事量が増大し大変であるとか、新規の案件に予算が付かないためモチベーションが上がらない、また、真意の程は明らかではありませんが、本俸が下がった分を必要のない超過勤務で補なおうとする人がいる等も耳に入ってきます。
これらに対しては、厳しい視点からみれば、公務員は何を甘いことを言っているんだ、雇用があるだけましである、民間、特に中小企業はもっと厳しい状況にあり給与も随分下がっている等の反論があり得ると言えます。
職員の資質とモチベーションは、結局のところ県民サービスに跳ね返ってくる問題と言えます。第2次行革プランの実施は、内からも外からも厳しい環境の中で行わなければならないわけですが、当局として、職員の士気向上にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
(2) 行政特別研修について
県の実施する職員研修事業は、自治研修所が行う一般研修及び特別研修、また、派遣研修としては、総務省自治大学校をはじめ国内の各省庁・大学、民間企業等に派遣する国内研修、海外の在外公館や大学等に派遣する海外研修、その他、各部局等が行う研修、職場研修、自己啓発の支援等があります。
行革により給与等の待遇面での改善が見込まれない中で、職員の意識改革と能力開発に努めるためには、これらの研修を有効に活かしていかなければならないと考えます。
しかし、これまた行革の影響と考えられますが、研修事業予算が毎年削られている状況にあります。平成19年に予算ベースで約1億4千7百万あった研修事業予算は、20年には、約1億6百万に減少、23年度予算案では、約8783万円にまで減少しており、この5年間で約6,000万円、率にして約4割も削減されています。
どのような組織でも共通するかもしれませんが、組織が実施する研修は、その組織が必要とする人材の育成を図るということを主眼においているのだと思います。しかし、同時に研修を受ける側から見れば、その研修が自らの自己実現にどのように役に立つのかということが重視されるのではないかと思います。そのような意味から考えた時、近年の研修事業費の削減は職員の士気向上という観点から見た場合、どのような影響を与えているのか気になるところです。
当局としては職員の士気向上に様々な観点から取り組んでいると承知しておりますが、その効果がどうなっているのか検証していく必要があるのではないかと思います。私は、県職員の様々な役職の方から、県庁内の様子について聞く機会が多くありますが、その中で、どうも気になるのは、管理職になることに魅力を感じていない職員が増えつつあるのではないかということです。その理由として考えられることは、財政上の理由等により、過去に比較して、課長級の権限で予算等の差配ができる事業が減少していること、また、行革により、管理職の給与削減率が非管理職に比べて高いため、超過勤務手当の付く非管理職の職員と管理職の給与との間に逆転現象が生じていること、更には、部下のメンタル面での管理に対する負担感等も考えられます。つまり、責任は負うけれど、それに見合った権限はないし、給料も下がるのであれば、わざわざ管理職になる必要などないし「割に合わない」とする、ある種消極的な姿勢が一定程度あるのではないかということです。
ちなみに、県の管理職は、7級職以上で、7級職の職員は、副課長や主幹、地方機関の副所長などを担っており、本庁の課長職は8級、局長は9級、部長や県民局長は10級職と続きます。
そのような現状を示す一つの指標として、行政特別研修生の選考試験応募者の減少があるのではないかと推察します。行政特別研修については、様々意見がありますが、この研修は、自治研修所が実施する特別研修の一種で、県政遂行に必要な政策企画能力等と幅広い見識の習得を目的としたもので、職員間では「ギョウトク」とも言われ、幹部職員への早期選抜につながるこの研修を受けるための選考試験は大変狭き門となっています。この行政特別研修生選考試験の過去5年の平均倍率を見てみると、32.6倍にも達しており、中には40倍近い倍率になっている年もあります。
この選考試験は、30代半ばから45歳以下の主査又は地方機関の課長補佐の職にある者が受験でき、当局としても対象職員に対し受験を奨励しているとる承知していますが、事務職、技術職の合計受験者は、平成19年度は1,440人、平成20年度は1,342人、平成21年度は1,282人、平成22年度は1,246人となっており、年々受験者数は減少している現状にあるわけです。管理職になることだけが県庁職員の最も重要な目標でないことは大いに理解しておりますが、狭き門の中多数の受験者がいることを鑑みれば、多くの職員は引き続きこの研修を重要視しているのではないかと推察できますし、一方で様々な理由から受験者数は減少してきているわけです。
そこで質問ですが、当局として、行政特別研修の意義と目的をどう考えているのか、また、受験者数が減少しているような現状についてどのように認識しているのか、ご所見をお伺いします。
(3) 早期退職制度について
第2次行革プランでは、早期退職の実施により、24年~30年までの7年間で30億円の効果額を出すことを想定しています。この早期退職制度の詳細は分かりませんが、高齢期における職員の働き方の多様な選択肢を確保すると説明していることから、勧奨退職制度の年齢を実質的に引き下げて行うことが読み取れます。
本県では、過去、平成10年度~11年度の2年間、選択退職制度として、45歳以上の職員の選択退職制度を実施しました。この制度は、職員の年齢構成における歪みを是正し、組織の活性化及び人事の刷新を図るとともに、職員のライフプランを支援することを目的とし、例えば、45歳以上50歳以下の者については、退職手当の計算の基礎となる給料月額の加算を30%とするなど、退職金の割り増しを行いました。
早期退職制度は、職員の希望に対応する制度ですので、その制度の利用を希望する職員一人一人によってその制度の持つ意味は異なってくるのだと思います。人生80年と言われる今日、定年後の人生をどのように過ごすのかは大変大きな問題です。40代や50代であれば、これまでの経験を生かして再就職したり起業したりすることがまだ行いやすい環境にあるかもしれませんが、定年まで働いた後に、仕事面で新しいことに挑戦するのは少し困難になるように思います。そのような意味からは、職員の働き方の多様な選択肢を確保することは重要なことだと考えます。
そこで質問ですが、この度の早期退職制度の制度概要はどうなっており、対象人数は何人くらいを想定しているのか、また、高齢期の職員が対象となっていますが、高齢期に限定した理由についてお聞かせ願いたいと思います。
●病院局
1.県立病院改革プランについて
2.県立病院における医師確保について
3.尼崎病院と塚口病院の統合再編について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(病院局)
2011年3月3日(木)
1 県立病院改革プランについて
病院局においては、「公立病院改革ガイドライン」に示された公立病院改革の視点を踏まえ、各県立病院の役割、それを踏まえた診療機能の充実や経営改善を進めるための中長期的な計画を県立病院改革プランとして策定し、平成21年度から25年度の間実施していると承知しています。来年度は、その中間年となり、このプランが順調に達成できるかどうかを見通す上でも重要な年となってくるのではないかと考えます。
県立病院の経営状況を考察するには、収益から費用を差し引いた繰入前損益、この繰入前損益に一般会計繰入金を足した当期純損益が重要であり、この改革プランでも当期純損益の黒字確保が求められているわけです。この当期純損益は、繰入前損益に一般会計繰入金を足したものですから、一般会計繰入金が増えればプラスの影響を受けます。本県における、この収益的収支の一般会計繰出金は、小児救急医療や周産期医療等のニーズの高まり等の理由により近年増加しており、21年度決算では約113億円、22年度決算見込みは、約122億円、来年度予算には約135億円が計上されています。このように、平成22年度は、一般会計繰入金が9億円増加したこともあり、当期純損益は1億円の黒字となっており、引き続き黒字確保が求められている状況です。
では、繰入前損益がどうなっているか見てみますと、平成18年度168億円の赤字をピークに年々減少しつつあり、平成19年度は155億円、平成20年度は149億円、平成21年度は134億円、平成22年度は見込みですが、121億円まで減少してきており、一定の成果を上げているといえます。
そこで、質問ですが、来年は県立病院改革プランの中間年でもあるわけですが、県立病院改革プランにいう「自立した経営の確保」に向け、来年度、どのように取り組むのか、また、現行の改革プランの収支計画や、経営指標の見直しの必要もあると考えるが、ご所見をお伺いします。
2 県立病院における医師確保について
本県の県立病院経営全体においては、医師の絶対数の不足が問題なのではなく、配置の問題、つまり、どの病院にどれだけの医師を配置するのかという問題が存在しています。県立病院における過去7年間の医師数の推移をみてみると、平成16年4月1日現在の正規医師数は488人でしたが、平成22年4月1日現在では569人と81人増加しております。また、臨床研修を終えた専攻医についても、平成16年は139人であったものが、平成22年には192人と53人増加しております。これらの数字を合計すれば、県立病院では過去7年で134人もの医師が増加していることになります。
しかし、淡路病院、柏原病院、姫路循環器病センター等では医師不足が継続しており、地域や診療科による偏在が現在も続いているわけであり、県立病院全体において過去7年間で134人もの増加があるにもかかわらず、未だに医師不足が解消されていないわけです。
ご承知のとおり、県立病院の医師は、その多くは系列大学の医局から派遣されてきます。本県でしたら、京都大学、大阪大学、神戸大学がその多くの役割を担っているわけですが、県立病院で働く医師のおおむね7割から8割近い医師が医局人事で動いているとのことです。これは本県に限ったことではありませんが、病院事業の責任者には実質的に人事の権限がないということであります。本県の県立病院に勤務する方々の平均在職年数は19年度で6年2ヵ月となっており、頻繁な異動が行われているわけですが、人事は各大学の医局に全面的にお任せしているというのでは、県としての政策医療の提供や地域医療を担うという公的な責任を果たすことは困難でしょうし、毎年、一般会計から100億円以上の繰入金を投入して支えている病院事業として、県民の理解と納得を得ることは難しくなるのだと思われます。
病院局においては、医師の配置は、近年、特に医師個人の希望や意思が優先される傾向にあることから、医師の処遇改善や先端医療機器の整備、あるいは優秀な指導医の配置等により県立病院としての魅力を高めるなど、医師が働きやすい環境の整備に努めているところと承知しておりますが、何年も医師不足が継続しているような病院が存在していることは、何としても避けなければならないと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
3 尼崎病院と塚口病院の統合再編について
尼崎病院と塚口病院の統合再編については、統合再編検討委員会からの報告書を踏まえ、平成22年2月に「尼崎病院と塚口病院の統合再編基本構想」を策定し、更に、22年12月には、基本計画を策定し、着実な整備を進めていかれていると承知しております。
整備概要としましては、尼崎市東難波町の市立尼崎産業高校敷地に730床の病床を有し、主な機能として、①救命救急センターを設置して3次救急に対応し、24時間365日断ることなく対応するER型救命救急医療を提供、②小児中核病院として、小児の2次及び3次救命救急医療を24時間365日提供、③総合周産期母子医療センターとして、妊婦及び新生児に対する総合的な周産期医療を提供する、④専門センター制によるがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4疾病に係る医療及び感染症医療等の政策医療を提供することになります。整備費は、用地費等を含め約340億円となっております。
基本計画という骨格が定まったわけですので、今後は、これに肉付けをしっかりと行っていく必要があるわけです。関係者の方々におかれては、この両病院の統合再編を、日本の病院統合の成功のモデルケースにしたいと意気込んでいると承知しておりますが、来年度中に基本設計と実施設計を行い、同時並行で現病院の資産活用の検討も行い、平成26年度の供用開始につなげていくには相当程度早いペースで取り組んでいく必要があるのではないかと推察します。
そこで質問ですが、この統合再編整備事業によって生まれる新病院は、今後、マグネットホスピタルとしての機能の充実が期待されるところですが、特に、医師の確保、育成の観点からどのような役割を果たしていくのか、また、新病院だけでなく県立病院全体の中でどういかしていくのかについて、ご所見をお伺いします。
●産業労働部
1.制度融資について
(1) 損失補償額について
(2) 事業展開融資について
2.ひょうご海外需要開拓プロジェクトの推進について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(産業労働部)
2011年3月4日(金)
1 制度融資について
(1) 損失補償額について
産業労働部の23年度当初予算は、約5,000億円でありますが、そのうち9割以上の約4,600億円が中小企業等への融資となっており、産業労働部の事業の根幹を成しているといえます。
ご承知の通り、県の中小企業融資制度は、金融機関及び県信用保証協会の協力を得て、県内の中小企業者等が県内において必要とする資金を円滑に供給する目的で実施されているものですが、融資実績ベースでみてみれば、19年度は2,774億円、20年度は4,847億円、21年度は4,738億円、22年度見込みは、3,700億円となっており、金額の多さもさることながら、各年における実績の変動も大変激しいものとなっています。
近年、融資の中で最も大きな比率を占めているのは、経営円滑化貸付です。経営円滑化貸付は、利率が1.15%と最も低く、最近3ヶ月間の売上又は利益率が前年同期比に比べて3%以上減少している者等を融資対象としており、過去3年間でみれば、制度融資全体の6割以上が経営円滑化貸付となっております。これに借換資金、長期資金・短期資金が加わると全体の9割以上に達します。
制度の趣旨にもありますように、県の行う制度融資は、大企業に比べ担保力・信用力が弱く金融機関からの融資を受けにくい中小企業者に対する金融の円滑化を図るためのものですから、融資実績のスキーム別でみても、緊急時の資金需要に応え、何とか事業を継続していこうとする中小企業に対して運転資金等を提供しているわけです。
そうであるならば、やはり貸倒のリスクというものについてどうなっているのか気になるわけです。県の制度融資は、当然のことながら、金融機関がその事務を担っています。仮に、企業が返済不能となれば、まず、金融機関は担保等による回収を行います。そして、回収不能額に対し、保証協会から金融機関に代位弁済が行われます。信用保証協会では、金融機関から融資を受けた中小企業が借入金を返済できなかったことにより代位弁済を実行した際に、その代位弁済額の一部(70%~80%)を補填するため、日本政策金融公庫と信用保険契約を締結しており、保険金の支払いを受けることになります。そして、県は、代位弁済額に保険金等を補填した残りの信用保証協会負担分(20%~30%)の一部分(30%~90%)を損失補償するという仕組みになっており、県が、22年度に損失補償した額は、約22億円となっております。
そこで質問ですが、県の制度融資において、一定必ず生じる損失補償に関し、22年度は約22億円発生しているが、この金額について、当局としてどのように捉えているのか、ご所見をお伺いします。
(2) 事業展開融資について
先ほど述べましたように、県の制度融資は、その政策から9割以上が運転資金的な性格の融資となっているわけですが、スキームとしては、事業展開融資として、いわゆる前向き資金も用意されています。この中でも、新分野進出資金は、①融資を受けた後、おおむね2年以内に売上の増加が見込まれる者等に対して行う事業応援貸付、②現在の事業と異なる新しい分野に進出する者に対して行う第二創業貸付、③県の「経営革新計画」の認定を受けた者に対して行う経営革新貸付、④新技術創造に向けた設備投資等を行う者等に対して行う新技術・新事業創造貸付、等があり、このような貸付が増えてくれば本県経済にも明るさが見えてくるのではと思うところです。
しかし、近年の厳しい経済状況を反映して、残念ながら融資実績は急激に減少しており、19年度は122億円であったものが、20年度は73億円、21年度は31億円、22年度は22億円となっております。このように実績ベースでは年々下落傾向にあるわけですが、23年度予算においては、22年度の150億円から50億円積み増し、200億円の枠を用意するなど、引き続き大きな枠を設定しています。また、事業展開融資全体においても、融資実績は大きく下落していますが、設備投資資金500億円をはじめ、立地資金110億円等大変大きな枠を引き続き設定しております。
そこで質問ですが、前向き資金の需要が年々下落傾向にある中で、来年度は更に積み増しを行い、事業展開融資全体では875億円という大変大きな枠を設定している意味について、ご所見をお伺いします。
2 ひょうご海外需要開拓プロジェクトの推進について
人口減少社会において経済規模を維持していくためには、内需、外需双方の拡大に資する産業振興策が必要になると思われます。内需の拡大には、産業構造を転換し生産性の高い分野に資金を投入するという選択と集中を図ることや、長期的には少子化対策をしっかりと行っていくことなのでしょうが、短期的にはツーリズム等を初めとする交流人口の増加が必要となってきます。
また、外需の拡大には、成長するアジア新興市場を主なターゲットとしてさらなる製品開発や販路の拡大が求められます。言うまでもなく、内需、外需の双方から我が国経済に大きな影響を与えるのはアジア市場、特に東アジア市場です。企業みずからがアジア市場においてビジネスチャンスを探すことはもとより、県としても、これまでの友好省州などとの交流から得た人脈や知見から積極的な支援を行っていくべきではないかと考えます。そのような意味からも、我が会派としては、従来より、アジア地域における海外事務所の復活について何度も取り上げてきたところです。
このような中、産業労働部の平成23年度予算においては、ひょうご海外需要開拓プロジェクトの推進として、県下中小企業等の海外需要開拓に係る課題解決を支援するため、現地進出済みの兵庫県関係ビジネスマンを活用し、海外ビジネスに係る各種情報提供、及び取引先・提携先企業の紹介等を行う、また、県下中小企業等が海外市場を調査し、需要開拓する契機を設けるため、経済成長著しい新興国へのビジネスミッションを派遣する、ことになっております。
具体的には、国際ビジネスデスクを、中国の広東省の広州、遼寧省の大連、ヴィトナムのホーチミンに設置し、海外ビジネス情報提供、取引先・提携先企業等に係る情報提供及び紹介、また、23年度秋から冬頃にアジア、中東等に新興国ビジネスミッションを派遣することを予定しています。
まさに時宜を得た施策であると思いますが、予算額を見てみると、307万3千円となっており、これでは、先ほど述べたような、事業目的を達成するには正直心許ないと言わざるを得ません。
私は、先日、埼玉県に行き、埼玉県が昨年11月に設置した「埼玉県上海ビジネスサポートセンター」について調査してきました。これは、埼玉県内の企業と現地日系企業を含む中国企業との取引が円滑に進むようビジネス面での支援を行い、中国市場への参入を促進するために設置されたものです。このセンターは、中国取引専門のコンサルティング会社へ業務委託し、委託先の中国取引に関する専門的なノウハウや現地企業、政府機関等とのネットワークを活用するとのことで、現地スタッフとして、日本人の日本商社OB1人とアシスタント2名(内1人は日本人)を当センターの業務のためだけに貼り付けています。業務委託料は、オフィスの賃料や現地スタッフの人件費等込みで年間2500万円となっており、企画コンペによってこの業者を選択したとのことです。
昨年の11月に設置されたばかりですので実績はこれからでしょうが、県内窓口となっている、埼玉県中小企業振興公社内にある埼玉国際ビジネスサポートセンターでは、オープンからの2か月間で、相談件数69件あり、現地では、訪問企業数15件、ビジネスマッチング6件、取引成約1件とのことでした。本県のひょうご海外需要開拓プロジェクトの推進とは予算規模が違うので単純に比較することはできませんが、県が掲げる目的を達するのであれば、埼玉県の取り組みは大変参考になるのではないかと思います。
そこで質問ですが、ひょうご海外需要開拓プロジェクトの推進について、新規事業として取り組まれるにあたり、限られた予算の中でどのように具体的成果を出していこうとしているのか、ご所見をお伺いします。
●企業庁
1.尼崎臨海地区について
2.地域整備事業会計について
3.地域整備事業の今後について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企業庁)
2011年3月8日(火)
1 尼崎臨海地区について
尼崎臨海地区の整備については、平成8年に尼崎臨海西部拠点開発事業基本計画を策定し、平成18年5月から産業用地として分譲を開始しました。
分譲計画面積は15.4haで、現時点で14.8haが分譲済みであり、分譲済率は96.1%となっており、現在21社に分譲を行っています。分譲面積の約半分を大型案件であるパナソニックプラズマディスプレイ(株)が占めてはいますが、分譲を開始して5年でここまで来たわけですので、その意味では大変早いペースで分譲が進んだといえ、県内の他の産業用地が苦戦する中で、阪神間という地の利も大いにあったわけではありますが、企業庁の事業としては良い結果が残せた事業ではないかと思います。
また、第2次行革プランにおいて、平成25年度までに企業庁の産業用地全体としては分譲計画面積の約74%の分譲を目標としている一方、尼崎臨海地区だけでは100%という高い目標となっています。そういう中で、現状としては、残り1区画、面積にして0.6haが残っているだけであり、かなり前倒しで達成できそうな期待もあります。引き続き完売に向けて頑張って頂きたいと思います。
そこで、質問ですが、尼崎臨海地区の分譲が非常に早いペースで進んだ要因を、当局としてどのように考えているのか、ご所見をお伺いします。
2 地域整備事業会計について
尼崎臨海地区の分譲は順調に進んだわけですが、では、この尼崎臨海地区の収支はどうなっているのか知りたいところです。結果は、わからないということです。
ご承知の通り、企業庁の地域整備事業の会計は、阪神地区、播磨地区、淡路地区と県を三つの地区に割った会計区分で行っており、例えば、阪神地区なら、尼崎臨海地区、潮芦屋、神戸三田国際公園都市の三つのプロジェクト等を合算した単位で会計が行われているわけです。ですので、尼崎臨海地区にどれだけの経費がかかり、売上がどのようなものであったのかという単純なことも、尼崎臨海地区単独ではわかりません。
企業庁は、議会におけるこれまでの答弁で、「地域整備事業会計については、平成16年度において、収益的収支の設置、仮勘定の精算など会計制度の抜本的な見直しを行ったところである。この見直しに当たっては、第1点として、公営企業として経済性を発揮することは当然であるが、第一義的には地域振興という公共性を重視する必要があるということ。第2点として、従来から県土の特性等を踏まえ、阪神、播磨、淡路の三つの地域単位で投資や収支のバランスを考慮しながら事業を展開し、会計処理も行ってきたという理由から、三つの地域ごとに過年度の収益・費用などのデータに今後の見込み額を加えて長期の収支見通しを立てた上で、地域ごとの原価率を算定し、経営状況を明らかにしたところである。仮に、現段階でプロジェクトごとで会計処理を行うシステムに変更したとしても、過去から進めてきた現行のプロジェクトについては、過去の、例えば潮芦屋の例でいくと、事業着手した昭和46年から平成15年までの30年余りの長い期間の費用などのデータがないため、プロジェクトごとの原価率や収支などの算定が不可能で、会計システム変更の改善効果が期待できないと考えている。」と答えています。
確かに、地域整備事業は昭和40年代や50年代に事業着手したものもありデータの問題などの難しい面もあるとは思いますが、尼崎臨海地区やひょうご情報公園都市は、平成に入ってから企業庁として事業着手しており、それほど長期間にわたる事業とはなっておりません。
例えば、尼崎臨海地区は、先に述べましたように、平成8年基本計画策定、平成18年分譲開始され、まもなく完売しそうなペースで分譲が進んでいます。その要因については、先にご答弁いただいておりますが、事業ごとの収支を明確にすることで、県民への説明責任を果たすとともに、会計面での要因分析も可能となり、他の事業の分譲促進に生かしていくことができるのではないかと考えます。
また、ひょうご情報公園都市については、今年度よりE工区約20ヘクタールを今年8月に引き渡しが可能となるよう整備を進めておられ、北摂三田第2テクノパークを初め周辺に競争相手となる産業用地が多い中、競争力のある価格を設定して早期誘致を実現されようとしています。その価格設定については、事業ごとの会計という観点で考えれば、いろいろ議論があるかと思います。事業ごとの収支を明確化することにより、今回の価格設定のような新しい取り組み等の是非も含めて、会計上の課題が明確化され、将来にわたる健全経営の確保につながるものと考えます。
そこで質問ですが、尼崎臨海地区やひょうご情報公園都市のように、比較的近年事業を開始した事業については、県民への説明責任を果たす観点からも、他の地区との合算会計から分離して、個々に会計を行っていくべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
3 地域整備事業の今後について
企業庁が行う地域整備事業は、新たな住宅・産業団地の開発は、原則として凍結しており、第2次行革プランでも示されたとおり、平成30年度末に分譲進捗率約90%を目指し、既に開発済み団地の分譲促進等に取り組むとされています。つまり、とにかく、売って売って売りまくることに集中するとのことです。
企業会計で行う地域整備事業を取り巻く環境は、全国的にも厳しいものがあり、土地造成事業関連の公営企業を行っている府県は年々減少し、平成22年度現在で18府県になっていると聞いております。また、組織としての再編も進んでおり、平成17年3月には、和歌山県企業局が廃止され、平成18年3月には、国内初の大規模宅地となった千里ニュータウンや泉北ニュータウン等の開発を手がけた大阪府企業局、秋田県企業局、青森県公営企業局が廃止されました。さらに、平成21年3月には、福井県企業局が廃止され、それぞれの業務は、知事部局に一般会計や公営企業会計の形で事業移管されております。
平成30年度末の経済状況がどのようになっているか現時点ではわかりませんが、成熟社会、人口減少社会の中で、土地需要が大幅に増加しているような状況はなかなか想定し難いのではないかと考えています。
いずれにせよ、地域整備事業を取り巻く環境は厳しい訳ですが、当局として、今後の地域整備事業のあり方についてどのように考えているのか、ご所見をお伺いします。
吉本誠
尼崎市