第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2011年10月13日(木)
1 県民理解を得やすい国際交流のあり方について
(1) 国際交流事業の情報発信について
以前も質問していますが、県の国際交流事業についてお尋ね致します。
本県では、昭和38年以来、7つの国、地域と姉妹・友好提携を結び、現在、アメリカ・シアトル、西オーストラリア州・パース、フランス・パリ、パラナ州・クリチーバと、海外の4カ所に事務所を設置されています。
私もこれまでいくつかの海外事務所をお訪ねし、厳しい財政状況の中で、文化交流を始め、民間・経済など多岐にわたる事業を展開しており、海外事務所で働いておられる職員の方々のご努力に敬意を表する次第です。
しかしながら、本県が取り組んでいる情報発信は、未だまだ不十分な状況にあるのではないかと感じています。
本県の国際交流について、県民の皆さんが、どれくらいのご理解を頂いているのか、兵庫県の姉妹・友好提携についてどの程度ご存じなのか疑問です。
県民からすれば、「どこかの都市と姉妹都市ぐらいにはなっているだろう」ぐらいの認識であるとすれば、行政機関の交流にとどまり、本当の国際交流が進んでいるとは言えません。
例えば、県のホームページにアクセスしても、兵庫の姉妹・友好提携先や海外事務所の一覧が記載されているものの、それぞれの都市の魅力を伝える情報が十分といえず、また県が取り組んでいる国際交流事業の最新情報や、例えばパスポートなどの各種申請手続き、県内市町の姉妹提携情報、外務省情報へのリンクなど、民間の方々が特に欲するであろう情報もダイレクトに入手しにくく、少なくとも県民に対する事業・サービスの紹介という視点からだけでも、不足している感が否めません。
少なくとも県のホームページについて、それほど費用が発生するわけでもないにもかかわらず、通り一遍で情報量として少なすぎるということを以前にも申し上げ、当局の答弁では通り一遍ではない情報発信の充実を心がけるということでありました。
そこで、国際交流活動に対する県民の理解に向け、私の質問後、取り組まれてきた情報発信の実績をお聞かせ頂くとともに、今後の課題や取り組みについてどのように進めようとされるのかについて、ご所見を伺います。
(2) 企業・団体を含めた地域間交流について
国際交流は行政機関だけが行うものでは無く、ましてやその交流実績が行政機関だけの自己満足のみに終始するようではならず、国はもとより県や市町が行う交流がきっかけとなって、企業・団体はもとより、NPO等も含めた民間相互の絶え間ない交流があって、初めて二つの都市が本当の姉妹・友好提携の都市として繋がっていくものと考えます。
県民参加のない国際交流には、この厳しい財政状況下、県民の理解も得られない一方で、海外との友好提携は息の長い交流が必要であり、そのことにも県民の理解を得る努力が必要です。そのためには、県民の方々が、海外を訪問しようと思えるような、また、相手都市の方々が兵庫県を訪れたいと思える動機付けにつながるような取り組み・PRなどの環境整備をしっかりとしていかなければなりません。
兵庫はもともと神戸が世界に開かれた港湾都市として発展してきた経緯からも、企業活動をはじめ、文化、生活、青少年など世界中の人々と地域との交流を深めることは兵庫の持っている特色ともなり得ます。
そこで、県民をはじめとする、企業や各団体等の理解を得やすい、また、参加を促すことのできる兵庫の国際交流のあり方について、これも改めてご所見を伺います。
2 兵庫県国際交流協会の運営について
兵庫県国際交流協会は、多文化共生の社会づくりと県民主体の国際交流活動を促進するとともに国際性豊かな社会の創造を目指し、県の全額出捐により設立された公益法人で、平成2年の設立以来20年が経過した現在まで、県内の国際交流における中核的組織として着実に取り組みを重ねてこられました。
国際交流協会は全国的に見てもほぼ全ての都道府県と政令市に設置されており、自治体の国際化の意義も問われていますが、本県の国際交流を牽引してきた役割は一定の評価をしていますし、友好姉妹都市との交流をはじめ様々な地域間交流の推進を今後とも期待しています。
一方で、昨今の公社等自治体関連団体を取り巻く経営状況とその評価は大変厳しいものがあります。
県が出資する公社など関連34団体の2010年度決算状況を概観すると、赤字団体が前年度より4団体増えて14団体となったことと合わせ、6団体は2年連続赤字となった旨の報道がありました。
その6団体のうちの一つが国際交流協会であったわけであり、2009年度の収支約2,580万円の赤字から、2010年度には約7,140万円へと実に3倍近くに赤字が膨らんでおりました。
県の外郭団体の経営状況を点検する「公社等経営評価委員会」の報告によれば、同協会を含む2年連続赤字の6団体等については「役員報酬やプロパー職員の給与制度の見直しを検討すべき」といった提言がされており、今後の協会の運営上特に気を引き締めなければならない厳しい評価ではないかと考えます。
国際交流協会の赤字額約7千万円の内容としては、約4千万円は国際交流協会がドル建てで運用している資金の円高に伴う為替差損の影響によるもの、約2,300万円は別途県に積み立てている国際交流基金の取り崩しを節約するための正味財産の当期計上増減額の赤字分、残りの約700万円は事業のための基金を国際協力セミナー等の開催のために取り崩した分が計上されており、いわゆる予算超過や財源不足による赤字ではないと聞いておりますが、基本的には本来業務ではない基本財産の運用で悩むようなことはないように考えていかなければならないと個人的には思っておりますし、そもそも決算内容の判りづらさは否めません。
公会計と企業会計の違いもあるようですが、少なくとも県民目線では、こうした説明は判りづらく、ホームページや各種広報媒体等を通じた説明が、結果として、不足している状況では、赤字額の対前年度比3倍増としか写らず、県民に対する情報開示・説明責任が尽くされているとは言えません。
今後とも国際交流協会の役割は重要であり、そのためにも同協会の収支をより明確化して、協会運営の安定性を高めるとともに、より一層の県民理解を得る努力が必要があると考えますが、当局のご所見を伺います。