第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企業庁)
2012年3月9日(金)
1 戦略的な企業誘致の展開について
まず、「戦略的な企業誘致の展開」について、2点お尋ねする。
(1) これまでの取組状況と分譲実績の推移について
1点目は、「これまでの取組状況と分譲実績の推移」についてである。
2008年秋に起こったリーマンショック後の景気後退からようやく回復の兆しを見せ立ち直りつつあったわが国の経済は、昨年3月に発生した東日本大震災により、再び大きな打撃を受けた。
その後、多くの国民や企業等の懸命な努力により、復興需要の増大等とも相俟って、生産及び消費の面では概ね回復したように思われるが、雇用・所得環境は未だ厳しい状況が続いている。
また、欧州の政府債務危機により海外景気が下振れし、国内景気が下押しされるリスクが存在するとともに、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらにはデフレの影響等もあり、わが国経済の先行きは未だ予断を許さない状況にある。
このような厳しい状況が続く中、多くの企業が生産拠点の国外移転を進めるなど、企業の海外シフトの動きがより一層加速しており、企業誘致に取り組む上では限られたパイ、それも徐々に小さくなっていくパイを奪い合うような状態となっている。
そこで、このような厳しい状況下での企業誘致に向けたこれまでの取組状況と分譲実績の推移についてお伺いする。
(2) 今後の企業誘致戦略について
2点目は、「今後の企業誘致戦略」についてである。
企業庁が行っている産業用地等の分譲促進を柱とする地域整備事業は、第2次行革プランにより、平成30年度末の分譲進捗率約90%を目指し、既開発団地の分譲促進等に取り組むこととなっているが、先ほども述べたように、国内企業による海外への設備投資が加速するなど、企業誘致を取り巻く環境は非常に厳しい状況にある。
この点、国内企業による生産拠点の海外移転の流れは、1990年代からの大きな長期的な流れであり、今に始まったことではない。
そもそも少子高齢化や人口減少が進み、市場としての成長性が国内では期待できないことに対し、アジア諸国をはじめ新興国に対する新たな「市場」としての期待は大きく膨らんでおり、また、そこには安い労働力が存在することから、需要のあるところに生産拠点を移すことは、企業としては当たり前の行動である。
しかし、そのような状況に手をこまねいている訳には行かない。国内の産業空洞化は、ひいては地域における経済・雇用の悪化や、地域全体の活力の低下を招くことに鑑みれば、戦略的かつ積極的に企業誘致活動に取り組み、1社でも誘致実績を上げていく必要がある。
今、国内に投資するには『あえて』感、理由づけがいる。リスクとコストのジレンマにあえぐ企業の背中を後押しするには、強力な磁場が必要である。
そういった意味では、本県に存する、京速コンピュータ「京」、SPring-8や先日供用開始したX線自由電子レーザー施設SACLAといった多彩な科学技術基盤の集積や、ものづくり産業を中心とする全国に誇るべき分厚い産業基盤は、他地域との差別化を図ることのできる大きな強みになり得るのではないか。
こうした強みを有効に活用しながら、より積極的かつ綿密な企業ニーズの把握と、個々のニーズを踏まえた細やかな対応を行うことにより、是非とも、平成30年度末の分譲進捗率約90%を達成して頂きたいと考えるのだが、この数値についてはこれまでの目標設定、達成率を検証してみて手の届く数字なのか。
今後、どのような戦略、方針を持って目標達成を図って行かれるのか、当局の意気込みをお伺いする。