議会の動き

石井 秀武議員が代表質問を実施

 

第314回兵庫県議会 代表質問(平成24年9月28日)

                    質 問 者:石井 秀武 議員
                    質問方式:分割質問

民主党・県民連合議員団を代表して、以下8項目にわたり、知事並びに関係当局に質問をいたします。

1 行財政構造改革の今後の展開について

  質問の第1は、行財政構造改革の今後の展開についてであります。
2008年度に策定した新行革プランも中盤に差し掛かり、間もなく折り返し地点を通過しようとしています。
今年の2月の定例会において、「過去のしがらみの中で、手つかずの聖域化した施策の検証や地域のしがらみの中で進めようとする施策の検証に取りかかる必要があり、場合によっては立ち止まる勇気も必要である」と指摘いたしました。これに対し井戸知事より、「今年度の予算編成にあたり、220の事業を廃止する一方、88の新規事業を創設し、スクラップ、スクラップ・アンド・ビルドに徹し、ゼロベースの見直しを行った」との答弁がありました。
 8月31日には国から今年度の中期財政フレームが示され、来年度の地方の一般財源の総額も今年度地方財政計画の水準を下回らないように確保するとのことであり、実質的には2010年度と同水準ということになっています。しかしながら、引き続き増嵩する社会保障関係費を確保するため、地方独自の投資的経費や行政経費が削減されており、その厳しさは年々増加の一途をたどるものであり、施策の「選択と集中」についても、既に限界を通り越している感が否めない状況となっています。
 職員に対しても、本来削減すべきでない給与についての抑制措置が2008年度に始まり、既に5年目に入っています。給与抑制措置は将来にわたる生活設計への直接の影響だけでなく、頑張っているのになぜ給料を減らされないといけないのかという気持ちの部分が大きい中で、職員の頑張りで現在の行財政構造改革の取組みが続いていることを忘れてはなりません。
  行革の取組みについては、現状に即し、弾力性を持った推進は当然のことですが、柏原看護専門学校に関して、丹波市から市立施設として存続した場合の各般の支援策の要請を受け、8月上旬に丹波市への移管並びに運営費や建替整備費等の支援案が示されました。看護師不足や地域偏在の解消への対応として柏原看護専門学校の存続・移譲そのものに反対するものではありませんが、方針の変更に対しては時間をかけて慎重な議論があっても然るべきと考えます。
  さて、社会保障と税の一体改革により、消費税及び地方消費税率の引き上げが行われることとなりましたが、先行き不透明な部分も多くある中で、社会保障制度の枠組み自体の見直しや国民負担のあり方などの課題、また上乗せが謳われている地方消費税部分の本県の福祉施策への影響等、行財政構造改革に取り組んでいくにあたり、これらの課題に対しても的確に対応していく必要があります。
今年度の当初予算を踏まえた財政収支見通しでは収支不足は2017年度まで見込まれ、今後とも厳しい財政状況が続きますが、このような中にあっても「21世紀兵庫長期ビジョン」に掲げる諸課題を克服し、「創造と共生の舞台・兵庫」を実現していく必要があります。
そこで、知事にお伺いします。来年度、2回目の3年目の総点検を迎えるにあたり、これまでの行財政構造改革の取組状況を踏まえ、どのように取り組んでいこうとされているのか基本的な考え方についてお伺いするとともに、今後、選択と集中の更なる徹底をどのように具体化していくのかあわせてご所見をお伺いします。

2 南海トラフにおける巨大地震の被害想定に対する本県の対応について

質問の第2は、南海トラフにおける巨大地震の被害想定に対する本県の対応についてであります。
先月、国より、南海トラフ沿いで巨大地震が発生した場合、最大で32万3千人の死者が発生するとの被害想定が発表されました。また、これと併せて、津波による被害想定についても、3月公表分よりさらに詳細に推計した結果も公表されました。
しかしながら、被害想定の性格としては、各項目の想定手法は必ずしも確立されたものではなく、不断の点検・見直しを行い、必要に応じて修正すべきものであることや、主として広域的な防災対策を検討するためのマクロの想定を行ったものであり、今後各地方公共団体において、地域の状況を踏まえたより詳細な検討を行う必要があるものであることとされています。
国民に改めて危機感を感じてもらうという点では、一定の効果があったものと見受けられますが、関係する自治体、特に想定死者数が多い自治体では、どのような対策を取ればいいのか戸惑う声も聞かれます。
その一方で、国が「津波から逃げるのを諦めないでほしい」と強調するように、多くの自治体の首長より、避難行動の重要性を指摘するコメントが出されています。
先日、文教常任委員会で管外視察に行った岩手県釜石市で、いわゆる「釜石の奇跡」と言われる現地を案内していただきました。子供たちが、日常の防災教育により、災害時には、自分で判断し、行動することの重要性を学び、今回は率先して、高い所に逃げる行動をとったことにより、学校に残った児童・生徒は、津波の難をさけ、安全な場所まで全員無事避難できた。また、子供たちは避難しながら介護施設のお年寄りに手を貸し、一緒になって逃げ、子供たちのおかげで今生きていることができているとの証言もあり、「いかに逃げるか」は大きなキーワードになっています。
本県の死者数が最大になるのは、冬の午後6時、紀伊半島沖から四国沖にかけて大きく動いた場合であり、死者数は7,400人に上るとされています。この7,400人の想定死者数も堤防や水門が機能すると約1,600人減少するとのことです。さらに、地震発生直後に全員が避難した場合は、津波による死者数は、約30人まで激減するとのことです。
  そこで、国による南海トラフにおける巨大地震の被害想定について、知事の評価を今一度お伺いするとともに、本県のこれまでの地震津波対策の取組みに照らして、今後の対応すべき課題を、どのように認識しているのか併せてお伺いします。

3 局所的集中豪雨や台風による都市型水害対策について

質問の第3は、局所的集中豪雨や台風による都市型水害対策についてであります。
  先の質問では、地震・津波は最大クラスのものを対象としましたが、浸水被害については、津波によるもののほか、洪水、土砂災害、高潮、ため池災害による発生が想定されています。なかでも、最近では7月の九州北部豪雨や8月の近畿地方の豪雨災害が記憶に新しいところです。
  特に、近年のいわゆるゲリラ豪雨により、都市型水害が増えてきています。
本県においても、最近の異常気象からは、広範な地域が水没するような都市型水害がいつ発生しても不思議ではない状況であります。
  しかしながら、先月、兵庫県警が実施した運転免許更新者に対するアンケートによれば、県が公表している津波被害警戒区域図で自宅の浸水の危険性を確認した人は約1割にとどまっており、浸水区域に対する関心の低さが明らかとなりました。津波以外の浸水については、さらに関心が低いことが予想されます。
浸水の危険性が、個人の問題意識として浸透していないことは大きな問題であります。阪神・淡路大震災以降、これまで、長きにわたりあらゆる機会を通じて、防災・減災の取組みを行ってきた本県としては、誠に残念な結果といわざるを得ません。
  県においても、浸水対策について、従前は河川や下水道対策を中心に取り組んでこられましたが、最近の頻発する集中豪雨や局地的大雨への個別対応は困難なことから、現在では、本年4月に全国初の条例として施行されました総合治水条例に基づき、河川や水路への雨水流出を抑制する「流域対策」、浸水時の被害を軽減する「減災対策」を組み合わせた総合治水として推進されているところです。
しかしながら、都市部においては、河道拡幅が物理的に困難であることや、雨水が地下に浸透せず、下水道に集中するなどの問題があるうえ、総合的な治水対策としている『ながす』『ためる』『そなえる』のうち、『ながす』『ためる』については、河川改修、下水道の容量拡大など、根本的な対策の実施が困難な場合が多く、現在の財政状況に鑑みれば、『そなえる』に重点を置くことにシフトしていかざるを得ないように思います。
『そなえる』の代表格ともいえるハザードマップは、県民の防災意識の向上を図り、災害時に県民がより的確に行動できることを目指して、浸水想定区域や危険箇所などの危険度や避難に必要な情報を掲載されていますが、いくら優れたマップが作られても、適切に活用されなければ目的を達成することができません。
単にハザードマップを全戸に配布したからといって解決するものではありませんが、浸水被害に限らず、災害被害の多くは、あくまで一人ひとりの「いのち・暮らし」に帰結する問題であります。最近では、減災を口実とした大幅な公共事業の拡充を求める意見が目立ってきています。一定のハード整備はもちろん必要ではあります。しかしながら、お金をかけなくてもできることはまだまだあるように感じています。
そこで、最近の局所的集中豪雨や台風の状況を踏まえ、本県における都市型水害対策への取組状況を総合治水条例の理念に照らして、どのように評価しているのか、今後解消していくべき課題、取り組みとともにご所見をお伺いします。

4 地域社会における共生の実現に向けた障がい福祉施策の展開について

質問の第4は、地域社会における共生の実現に向けた障がい福祉施策の展開についてであります。
障がい者の権利の保護等に関する「障害者の権利に関する条約(仮称)」が2006 年12 月に国連総会において採択され、2008 年5月に発効されました。我が国は、2007 年9月、同条約に署名はしましたが、締結には至っていない状況であり、昨年8月の障害者基本法の改正は、条約の締結に向けた国内法の整備の一環として行われたものであります。
法の目的に「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」が新たに掲げられ、その実現に向けて、「全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること」「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと」など3点が規定されました。
先日、文教常任委員会の西播地区の管内調査の際に実施した、県立播磨特別支援学校評議員との意見交換会において、「‘地域’が大きなキーワードであり、障がいを持っている人が地域に慣れ、地域も障がい者に慣れ、お互いに慣れていくことで地域を変えていく。地域が変わっていけば、入所している方は地域に帰っていける。また、特別支援学校に通っている児童生徒も地域の学校に帰っていける」との意見がありました。
このように、障がい者が地域社会に溶け込み共生していくためには、障がいや障がい者に対する正しい理解を深めていくことが、何より重要であり、障がいのある人とない人とが共に尊重し支え合って暮らす共生社会の実現に繋がっていくものであります。
特に、知的障がい者や精神障がい者については、科学的知見に基づき、社会の誤解、偏見を解消し、社会人として経済的に自立していけるよう、障がいや障がい者に対する正しい理解を深めていく必要があります。
従前より障がい者については、地域社会で暮らしていく上で様々な障壁があることから、人権課題として、障がい者に対する差別や偏見の解消に本県も含め、各自治体において取り組まれてはいますが、障がい者が地域に共生していけるよう、障がいや障がい者に対する正しい理解の普及が積極的に行われているとは言えません。
そこで、障害者基本法の改正目的を実現すべく、障がい者が自立し社会参加ができるよう、県としても障がいや障がい者に対する正しい理解の普及につとめ、障がい者が地域社会において共生していくことができるよう積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、障がい者の地域社会との共生の現状をどのように認識し、取り組んでいるのか、当局のご所見をお伺いします。
  

5 ディーセントワークの実現とワーク・ライフ・バランスの推進について

質問の第5は、ディーセントワークの実現とワーク・ライフ・バランスの推進についてであります。
  ILO(国際労働機関)では、1999年の総会で「ディーセントワーク=働き甲斐のある人間らしい仕事の実現」を新戦略として打ち出し、以後各国はその実情に応じたカントリープログラムを策定して、具現化に努めています。
これに伴い、我が国でも、政府が2010年に閣議決定した新成長戦略において、「ディーセントワークの実現に向けて、『同一価値労働同一賃金』に向けた均等・均衡待遇の推進、最低賃金の引上げ、そしてワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む」としています。また、今年7月に閣議決定された「日本再生戦略」においても、経済社会を支える人材の育成、正規雇用と非正規雇用の間の公正な待遇の確保、女性・高齢者等の多様な働き方による社会参加の促進とともに、ディーセントワークの実現への取り組みが盛り込まれているところです。
  そして、これを踏まえる形で、同じ職場で5年を超えて働いているパートや契約社員等を対象に本人が希望すれば無期限の雇用への切り替えを企業に義務付ける労働契約法の改正と、希望者全員を65才まで継続雇用するよう企業に義務付ける高年齢者雇用安定法の改正が行われ、また最低賃金の一定の引き上げが決定されたところです。
今後、これらの改正を実効あるものにするためには、本県においても労働局や労使関係団体との一体的な取り組みが求められることは当然でありますが、その際、併せて重要な取組課題となるのが、個々の働く人すべてが生涯にわたって、意欲と能力に応じて働く機会と権利が確保され、家庭生活と職業生活が両立出来、公正・平等な扱いを受けるというディーセントワークの理念の実現であり、その手法の一つがワーク・ライフ・バランスの推進でないかと考えます。
幸い本県においては、2008年にいち早く県と連合兵庫、県経営者協会の三者と兵庫労働局による「仕事と生活のバランスひょうご共同宣言」を掲げ、これに基づいて2009年6月には全国でも類例のないワンストップの相談支援拠点「ひょうご仕事と生活センター」を立ち上げられた。そして、以後ここを拠点に、地域や企業現場に出かけ、啓発・情報発信、相談・実践支援、企業顕彰、企業助成の4本柱について活動を展開されている訳ですが、早3年が経過する中で、ワーク・ライフ・バランスの推進、特にディーセントワークの理念にもつながる質的な雇用就業環境の改善に対する取組は進んでいるのでしょうか。とりわけ、今日の中小企業現場においてこのような命題を具体化していくには、相当にハードルが高く、まずは経営者や従業員に課題の所在に気づかせ、その改善のための計画作りや研修等を通じて実践支援を行い、そしてそれが高い意識をもつ従業員の確保定着と経営理念への反映という企業の自立につながるような、企業の課題と状況に応じた柔軟かつ体系的な実践支援スキームの充実強化が重要であると考えます。
  そこで、ディーセントワークの理念の実現に向けて、県としての役割と取組課題をどのように認識し、ひょうご仕事と生活センターの設置から3年経過した今、ワーク・ライフ・バランスの推進について、今後どのように充実強化していこうとしているのか、ご所見をお伺いします。

6 教職員の多忙化への対策について

  質問の第6は、教職員の多忙化への対策についてであります。
大津市の中学2年の男子生徒が昨年10月に自殺した問題について、学校・教育委員会等の対応が明らかになるにつれて我々にとっても大きな課題が突きつけられたところですが、先月には川西市でも自殺した県立高校の男子生徒がいじめを受けていた問題が発生しました。新聞報道によると、川西市の問題では、自殺の約2カ月前には嫌がらせがあると担任がクラスの別の生徒から相談を受けていたにもかかわらず、「いじめ」に対しての真摯な対応が出来ず、またどのような経緯があるにせよ、遺族に対してあまりにも配慮に欠ける言動など、学校や教育委員会の対応のまずさが指摘されています。このたびの事案につきましてはしっかりと対応していただき、二度と同じようなことが起こらないように万全の対策を取っていただくよう、我が会派からも強く要望いたしておきます。
さて、「いじめ」が深刻化する要因の一つには、教職員の多忙化により、子どもと向き合う時間が十分確保できず、子どもの変化を見逃してしまうことも考えられることから、尊い命が今後失われることが二度とないよう願う気持ちを込めて「いじめ」問題解決に向けての課題の一つとして教職員の多忙化への対策について質問する次第であります。
  教職員の多忙化の問題については、これまでより、既に全国各地で議論されているところであります。多忙化の背景には、教職員が、①成績処理、調査・報告書の作成などの事務処理に係る時間が多いことや、②様々な教育課題や教育改革への取り組みのための会議・研修などが多いこと、③部活動の指導、さらには、④親の教育力の低下により学校の課題、役割が拡大し、教職員の業務範囲・内容が拡大していることが挙げられています。
本県においても、多忙化対策として2008年度には「教職員の勤務時間適正化対策プラン」が提言されました。その翌年度には、作成したプランを実効あるものとするため、「学校業務改善実践事例集」が作成され、学校業務の改善に取り組まれてきており、報告文書等の簡素化や会議回数の削減、時間の短縮化などをはじめとする事務量の縮減等には一定の成果を上げてきているものと思われます。しかしながら、現場の先生からは、業務が改善された、多忙化が解消されたなどの声が聞こえてくることはありません。3年余りを経過した今も、当時の状況とさほど変わっていないのではないでしょうか。
  複雑化する生徒指導上の問題や、保護者・地域の学校に対する様々な要望への対応、さらには、昨年度より小学校で、今年度より中学校でそれぞれ新学習指導要領が実施され、ますます過密になる時間割など、新たな多忙化を生みだす要因も発生しています。そのような中にあっても、教職員は、子どもたちに対して、楽しく分かりやすい授業ができるように教材研究にも熱心に取り組み、高い志を持って取り組んでおられます。
  教職員が、子供たちと向き合う時間を作り出していくには、県単定員としての教員を増やすに越したことはありませんが、厳しい行革の折、これは極めて難しいでしょうから、退職教員や民間人コーチなど地域の眠っている教育力を積極的に活用していくことが必要です。特に、教育委員会においては、この際さらに思い切った事業の見直しを行い業務のスリム化を図っていくべきではないでしょうか。
  教職員の多忙化は、言うまでもなく一朝一夕で解消していくものではありませんが、何よりこの多忙化の影響が最終的に及ぶのは子どもたちであり、教職員として情熱を持って学習指導・生徒指導など本来の担うべき業務に専念することができるよう教職員の勤務が多忙化している現状を改善していく必要があります。
 そこで、教職員の勤務状態が多忙化している現状についてどのように認識しているのか。また、現状を踏まえ、今後、子供たちと向き合える環境づくりにどのように取り組もうとされているのか、教育長にご所見をお伺いいたします。

7 県民から信頼される警察行政の推進について

  質問の第7は、県民から信頼される警察行政の推進についてであります。
誠に残念なことですが、皆さんご承知のとおり、全国各地で警察官の不祥事が止まりません。今年の上半期に免職・停職の処分を受けた全国の警察官や警察職員は前年同期より27名多い83名に上り、警察改革が始まった2000年以降、上半期としては過去最悪になったとの報道がありました。
本県におきましても、減給・戒告も含め上半期で既に7名の処分者が出ていると伺っています。また、最近5年間の処分の状況を見てみますと、2007年度以降22名、9名、13名、13名、18名となっており、警察官の不祥事は、残念ながら、毎年、一定数確実に発生している状況であります。
処分事由についても、窃盗詐欺横領、異性関係及び公文書偽造等をはじめ、勤務規律違反、暴行等など、多岐にわたっており、警察官に対する信用は著しく低下した状態であります。
不祥事を撲滅させ警察官の信頼を取り戻していくにあたり、現職警察官に対する倫理教養を改めて徹底していくことは言うまでもありませんが、入口である新規採用のあり方や採用後の警察学校での対策も重要であると考えられます。
警察官の新規採用については、辞退者数も多く、初任科研修での退職者数も相当数に上っていることにより、本県の警察官は、約12,000人の定員に対して、約400人の欠員が生じている状況となっています。行革の折であっても、県民生活に直結する医療・福祉・教育・警察については、一律に削減するのではなく、特に、県民の安全と安心を守る警察官の人員については、増強するよう、常々主張してきた我が会派としては、誠に残念でなりません。
と申しますのも、先ほど教職員の多忙化について質問いたしましたが、教職員の場合は、現在の教育現場を取り巻く環境を改善に向けて定員を増やそうにも増やせない状況であるのに対して、本県警察においては、守られるべき法定定員さえも充足していない現状となっています。欠員については、業務に支障のないとのことですが、果たしてそうなのか、甚だ疑問を感じるところであります。そのしわ寄せが個々の最前線の警察官に及び、更なる多忙化やストレスに繋がり、様々な課題が生じるのではないか不安を感じております。
本部長におかれましては、欠員の充足について早急に取り組んでいただきたくとともに警察官にふさわしい人格を備えるよう、警察官教育を行っていただきますようお願いしておきます。
警察庁のホームページによると、警察改革は、1999年から2000年にかけて、警察をめぐる不祥事が続発し、国民の警察に対する信頼が大きく失墜したことを受け、国家公安委員会の求めにより、2000年3月、各界の有識者を構成員とする警察刷新会議の設置から始まったようであります。その後、10年の節目の年に当たる2010年には、これまでの取組みの総括を行っています。
  しかしながら、2010年以降も、全国において非違事案が増加傾向にあるほか、警察署の幹部が非違事案を組織的に隠蔽した事案なども発生しており、警察改革の取組み12年が経過した現在、効果に陰りないし、曇りがあると言わざるを得ない状況になっています。このような状況を受けて、本年8月9日に、「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について」と題した警察庁長官通達が発せられたところです。
  そこで、先の警察庁長官からの通達を兵庫県警察として、どのように受けとめているのか。また、不祥事を撲滅し、県民から信頼される警察行政を展開していくにあたって、現状の課題並びに今後の取り組み方について、本部長としての強い決意をお伺いします。

8 民主党政権による地域主権改革の成果について

  
国の出先機関原則廃止について、法案が提出されず、国会が政争に明け暮れ、閉会したことは誠に遺憾であります。
しかしながら、民主党政権が誕生して3年が経過して、子ども手当・農家への戸別所得補償・高校授業料無償化については、多くの国民から一定の評価をされ、政権交代の効果が徐々に表れてきているのではないかと実感しているところです。「ばら撒く」のではなく、将来に向かって「種を蒔く」のが、民主党政権の本来の姿でございます。
そこで、最後の質問として、「民主党政権による地域主権改革の成果について」お伺いします。
地域主権改革とは、「明治以来の中央集権体質から脱却し、この国の在り方を大きく転換する改革であり、国と地方公共団体の関係を、国が地方に優越する上下の関係から、対等の立場で対話のできる新たなパートナーシップの関係へと根本的に転換し、国民が、地域の住民として、自らの暮らす地域の在り方について自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負うという住民主体の発想に基づいて、改革を推進していかなければならない。」と謳われております。
このような地域主権改革を裏打ちとして、地方自治体は、国主導による全国一律の施策から個々の地域の実情に即して地方主導による施策への転換を図り、住民により身近なところで政策決定を行う分権社会への移行を懸命に模索しております。そうした中、今後の広域課題に取り組むことを目的に、一昨年の12月には関西広域連合が、全国初の府県を構成団体とする広域連合として発足し、今年の8月には、京都市・神戸市の加入も正式に認可され政令市4市の加入も完了したところであります。また、大阪都構想を後押しする「大都市地域特別区設置法案」も8月に成立いたしました。この大阪都構想は、これまでの府市の枠組みを抜本的に変える選択肢であり、地方発、特に関西発の地方分権改革は活発になってきています。
一方、「義務付け・枠付け」の見直しについては地方分権を推進する観点から、地方の自主性を強化し、政策や制度の問題を含め、その自由度を拡大するとともに、地方自治体が自らの責任において行政を展開できる仕組みを構築するために進められているものであります。これまで、国の地域主権改革の推進とは裏腹に、激しい関係省庁の抵抗により、思うように進まなかったところでありますが、地方の強い要請の中で、ようやくここまでたどり着いたといった感じであります。
そこで、この3年間、民主党政権において紆余曲折しながらも、真摯に地域主権改革に取り組んできた結果、国と地方の協議の場が設置され、また、先ほど触れました「義務付け・枠付け」の見直しや「ひも付き補助金の一括交付金化」等が実施されたことにより、本県としてどのような効果が出てきているのか、現段階での成果についてお伺いいたします。
また、併せて、今後、本県として国にさらに何を望んでいくのかお伺いいたします。