令和4年度決算特別委員会 【農林水産部】
質問日:令和5年10月11日(水)
質問者:中田 英一 委員(ひょうご県民連合)
1 土地利用の推進について
兵庫県では、令和3年度に人口減少の本格化により、空家の増加や経済活動の縮小等が懸念される中、地域の魅力を創り出し、活力を高めるため、市街化調整区域等の土地利用の推進方策について、有識者等の意見を聴取する兵庫県土地利用推進検討会が開催された。
新たな土地利用を目指そうとするような、接道状況や平坦な地形、日照条件など比較的利便性の高い土地は、おおむね農振法などで保護されるべき農地となっている。
この農地を保護する規制の枠は、今後相当期間(おおむね10年以上)にわたって農業振興を図るべき地域を「農業振興地域」として知事が指定し、その中で、土地改良事業がなされたような生産性の高く農業上の利用を確保すべき農地を「農用地区域」と市町が指定することになっている。
規制の枠から除外する場合は、市街化調整区域において開発を試みる場合と同様に、市町から計画をあげ県は農振法の基準に適合しているか確認を行い、適当であれば同意するということで、あくまでも主導権は市町にあるということである。
これを市町の担当職員に伝えると「そんなことはない。県が認めてくれないから進まない」と言われる。
私の理解としては、この農振法に定められている条件が厳しいために、県としては条件に満たない市町が悪いということになり、市町は認めてくれない県が意地悪という構図になっているのではないかと考えている。
さらに、まちづくり部と農林水産部と2つの部局にまたがる手続きが必要で、その調整に時間を要するなどハードルが高かった。
そのため昨年開催された検討会を元に設立された「農業振興地域整備計画の変更に係る事前検討会」には、部局横断型の対応が予定されているだけでなく、事前相談の段階から申請者・市町に寄り添った伴走型で進めていくということで、これまでのハードルを随分と解消することを期待しているが、令和4年度における本庁協議を要する規模の大きな案件の実績及び概要について、また、今後の大規模開発に対する農林水産部の対応について教えて欲しい。
2 神戸牛の生産及び販売振興について
兵庫県農業が誇る最強のブランド品目の一つに神戸牛がある。
説明するまでもないが、神戸牛は兵庫県外の牛を交配せず純血を保つ但馬牛仔牛を自然豊かな県内で繁殖・肥育した牛肉のうち、脂肪交雑・歩留りともに優秀な個体のみに名乗ることの許された至高のブランドである。
但馬牛についてはその伝統的な飼育システムが世界農業遺産に、そして神戸牛をはじめとする和牛に代表される国産食材は、ユネスコ無形文化遺産に認定された日本食の要として注目を浴びている。
これまでも度々言及してきたが、我が県は先人からのたゆまぬ努力のもとに享受しているこの奇跡的な価値を最大限に活用し、また、それだけにとどまらずより良いものにして次代に引き継いでいく必要があると考える。
(1)但馬牛繁殖雌牛・仔牛の頭数の推移と今後の対策について
県では、需要に見合った神戸牛を生産するために、その素牛となる但馬牛子牛を増やすべく繁殖雌牛の増頭を進めてきた。その一方で、平成24年度の神戸牛の輸出を契機に増大する需要を満たすため、平成26年度からは乳牛への但馬牛受精卵移植による子牛生産にも取り組んでいる。
ついては、その成果として、現在、繁殖雌牛と子牛の生産状況がどのように推移してきたのか、また今後の増頭をどのように見込み、支援を講じていこうとするのか伺う。
(2)輸出促進について
全ての産業において、出口すなわち販売先が確保できていることは、生産に自信を与えるものであり、(1)への影響もあると考える。
国内では少子高齢化などの事情も背景に、和牛全体の消費量は減少の一途であり、神戸牛の出口戦略として輸出の促進は必須であり最大のテーマであるといっても過言ではない。
ところが、令和4年の輸出量は78t前年比107%ということで、ほとんど増えていない。
ブランドを活かした販売をしっかり進めることが、生産頭数の増加につながり、神戸牛ブランドをさらに高めていく方法ではないかと考えるが、当局の昨年の結果に対する評価と今後の取組みについて伺う。