●財政状況
1 地方公務員の人件費引き下げを意図した地方交付税の削減について
2 地方公務員給与費の削減に対する代替措置について
3 職員給与削減に係る本県の今後の対応方針について
全文
予算特別委員会質問(教育委員会)
平成25年3月5日(火)
1 地方公務員の人件費引き下げを意図した地方交付税の削減について
最初の質問は、「地方公務員の人件費引き下げを意図した地方交付税の削減」についてです。
我が国は、明治政府による近代国家成立の後、中央にほとんどの行政事務権限を集中させる中央集権体制により発展してきました。第二次大戦後、新憲法が地方自治の保障を成文化し、地方自治法や地方財政法といった基本法が作成され、地方自治の制度的枠組みが整えられましたが、現実には、多くの機関委任事務の存在や、「三割自治」と言われる税財政面での弱さもあり、地方自治体が自主性を発揮出来る余地は極めて限定されていました。
確かに、国全体が一丸となって高度経済成長を目指している時期には、こうした中央主導の行政体制が効率よく機能したかも知れませんが、高度成長期が終わり、近年の社会の成熟化に伴い、全国一律の基準による行政投資や事務執行はかえって非効率を招き、様々な不都合も生じて来ています。
このような中、地域の行政は、地域の住民が自ら決定し、その責任も自らが負うという「地方分権の推進」は全国的な大きな流れとなっており、特に生活に直接関わる分野においては、まさに今、地方自治体の独自性が問われています。
井戸知事も、今定例議会開会日の提案説明において、「兵庫の自立」としてその重要性について言及されております。
このように、地方分権社会においては、地方自治体の存在意義が問われる訳ですが、その行政執行を担うのは地方公務員、すなわち、今ここにいらっしゃる方々を含めた県職員の皆様であり、地方分権の取組が成功するか否かは、皆様のお力にかかっていると言っても過言ではなく、地方公務員が担うべき役割はますます重要なものとなっております。
ところが、政府は、平成25年1月24日の閣議決定「公務員の給与改定に関する取扱いについて」において、東日本大震災に係る国家公務員の給与一時引き下げ措置を踏まえ、地方公務員の給与についても同様の措置を求めて来ました。これを受けて、平成25年度の地方財政対策において、国は一方的に全国で8,504億円もの地方公務員給与費を削減する方針を定め、地方交付税を大幅に削減することとした結果、本県においても205億円もの交付税が削減される見込みとなりました。
しかし、そもそも地方公務員の給与は、公平・中立な知見を踏まえつつ、議会や住民の意思に基づき地方自らが自主的に決定すべきものであり、このような国の一方的なやり方に対しては、多くの知事、首長から批判が高まっています。
全国知事会、さらには地方六団体からも、「地方は給与の独自削減や人員削減を行うなど、既に国を上回る不断の行財政構造改革に取り組んでいる」、「国から一方的に給与削減を強制することなく、地方において自主的かつ適切な対応が図られるよう、地方交付税総額の確保に十分配慮すべきである」といった要望書も政府に出されています。
井戸知事も先日の提案説明において触れておられましたが、まず最初に、今回の地方公務員給与費の削減に係る国の一方的な対応について、県として、どのように認識しているのか、改めて当局のご所見をお伺いします。
2 地方公務員給与費の削減に対する代替措置について
質問の第2は、「地方公務員給与費の削減に対する代替措置」についてです。
全国8,504億円の地方公務員給与費の削減に対して、全国の多くの自治体から批判の声が集まる中、政府は、平成25年度の地方財政対策において、その代替措置として、地方公務員給与について、本年7月から国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提に、防災・減災事業や地域活性化等の緊急課題に対応するための事業枠として、地方公務員の給与削減額に見合う全国8,523億円に上る歳出の特別枠を盛り込んでおります。
本県においても、平成25年度当初予算記者発表資料によれば、本県における地方公務員給与費削減額205億円に対し、この代替措置の配分金額の見込みは、①全国防災事業費(地方負担分・東日本大震災分)20億円、②緊急防災・減災事業費(起債)96億円、③地域の元気づくり事業費(基準財政需要額)87億円の計203億円とされております。
ただ、この度の平成25年度当初予算案では、合計127億円しか計上されておらず、地方財政対策において、給与削減に見合う歳出の特別枠を措置するとされながら、本県における給与費の引き下げ額205億円に見合った代替措置となっていないと思われますが、その事情についてお伺いするとともに、そもそも、国がかかる代替措置を採ることの是非自体について、県としてどのように認識しているのか、当局のご所見をお伺いします。
3 職員給与削減に係る本県の今後の対応方針について
最後の質問は、「職員給与削減に係る本県の今後の対応方針」についてです。
今年の1月16日に、井戸知事名で国に対してなされた「地方税財政に関する緊急提言」において、県は、①地方はこれまでから徹底した行革を行い、独自の給与削減や人員削減により、既に国の臨時的な給与削減に相当する措置を実施していること(職員給は、この10 年間で国は3.5%減に対し、地方は21.3%減)、②地域手当等を加味すると国家公務員給与は地方公務員給与を上回ること(本県試算による給与水準比較:国100に対し地方99.4)を理由に、「人事委員会制度に基づき、地方が主体的に給与を決定できるよう地方公務員人件費の所要額を確保する」ことを求めておられます。
本県においても、先日の知事の提案説明にもありましたように、阪神・淡路大震災からの創造的復興に取り組む中で、平成11年度に「行財政構造改革推進方策」を策定して以来、数回に渡るプランの見直しを行い、県民や職員の皆様のご協力の下、これまで行財政構造改革の取組を着実に進めて来ましたが、その中で、定員・給与についても、国に先行して既に削減を実施している実状があります。
にも関わらず、本県を含め、このような地方自治体自らの努力と実情をまったく無視した国の一方的な関与により地方公務員の給与削減を求め、今回のような地方交付税の削減と、地方の実態に合わない、活用できない代替措置を行うことは、地方分権に反し、地方交付税の補助金化を招き地方の固有財源という地方交付税の性格自体を否定することとなるばかりか、中央集権を強めることにもつながりかねず、時代の流れに逆行するものであると言わざるを得ません。
そこで、25年度当初予算においては、国家公務員の給与削減にあわせた地方公務員の給与削減要請については、今後の課題とし、これに対応した予算計上は行っていないとされておりますが、本県の今後の対応方針についてお伺いします。
●病院局
1 ”病院局”10年の成果と課題について
2 県民福祉向上に向けた県立病院の役割について
3 新たに建替整備等が進む各県立病院について
(1) 看護師の確保対策について
(2) 各病院の役割等について
全文
予算特別委員会質問(病院局)
平成25年3月5日(火)
1 “病院局”10年の成果と課題について
最初の質問は、「“病院局”10年の成果と課題」についてです。
公立病院は、①民間病院等では十分な対応が困難な高度専門・特殊医療、②保健医療行政との連携による政策医療、③2次保健医療圏域における医療提供の中核的機能、④医療水準の向上を図るための教育研修機能等を担っており、地域における基幹的な公的医療機関として、地域医療の確保のため重要な役割を果たしています。
しかし、近年、多くの公立病院において、損益収支をはじめとする経営状況が悪化するとともに、医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされるなど、その経営環境や医療提供体制の維持が極めて厳しい状況になっております。
このような中、経営責任の明確化、病院の自主性・自立性の拡大、職員の経営参画意識の向上による抜本的な経営改革と医療サービスの向上を目指し、全国の地方自治体や公立病院において、地方公営企業法の財務適用から全部適用に移行する動きが加速していることは、皆さんご存知のとおりだと思います。
本県においても、平成14年2月に取りまとめた「兵庫県立病院の今後の在り方について(基本方針)」において、県立病院が目指すべき方向として、高度専門医療、特殊医療といった県立病院が担うべき医療の充実、医療サービスの向上の二つに加え、「自立的・効率的な運営体制の確立」を掲げ、その具体的な検討方向性として、地方公営企業法の全部適用を示しました。
その後、この方向性を踏まえた関係条例の改正、制定、整備を行い、平成14年4月1日に施行、本県病院事業への地方公営企業法の全部適用を実施するとともに、組織・事業の総合管理体制を確立し、病院構造改革への機動的な対応や県民ニーズへの総合的な対応を図るため、病院事業管理者及び病院局を設置しました。
この点、地方公営企業法を全部適用するメリットとしては、「経営責任の明確化」「機動性、迅速性の発揮」「自立性の拡大」「職員の経営意識向上」「業績に応じた給与体系の導入」や、これらによる「患者サービスの向上」が挙げられる一方で、デメリットとして、「人事・会計部門の負担増大」「経営状況が悪化した場合の給料減少への不安」などが指摘されています。
ただ、医師や看護師をはじめとする医療関係者の人材不足が叫ばれるようになってから久しく、未だこのような根本的な課題の解決がなされていない中で、単に枠組のみを変えたとしても、どの程度の効果が上げられるのかには疑問があります。
そこでまず、地方公営企業法の全部適用を実施し、病院局の組織を設置してから10年が経過し、これまでの取組の成果をどのように評価しているのか、また、これを踏まえて、今後、どのような課題があると認識しているのか、当局のご所見をお伺い致します。
2 県民福祉向上に向けた県立病院の役割について
質問の第2は「県民福祉向上に向けた県立病院の役割」についてです。
県は、平成25年度の病院事業における基本方針として、病院事業を取り巻く環境変化に対応しつつ、当面する課題の解決を図り、引き続き病院事業の基本理念に基づく運営を行い、県民から信頼され安心できる県立病院づくりを推進するため、「病院構造改革推進方策〔改訂版〕」及び「県立病院改革プラン〔改定版〕」に基づき、「より良質な医療の提供」「安心してかかれる県立病院の実現」「自立した経営の確保」「安定した医療提供体制の確立」を進めることとされています。
この点、県を挙げて行財政構造改革に取り組む中、確かに独立採算による経営健全化は大切な課題ではありますが、地方公営企業法の全部適用を契機に、その部分ばかりがクローズアップされている印象が否めません。そもそも、県立病院は、民間病院では採算面の問題から対応しづらい小児・救急医療や高度専門・特殊医療、へき地医療等の政策医療を担うという重要な役割を持っています。このことを考えれば、県民福祉の向上のため、より良質な医療を提供し、安心してかかれる県立病院を実現していくためには、事業の採算性ばかりを強調することは適切なこととは言えないと考えます。
県立病院として、「自立した経営の確保」を目指し、経営改善をはじめ病院事業全般にわたる構造改革に取り組む一方で、このような自らの存在意義をしっかりと認識し、県民の命と健康を守るため、他の病院の模範となり、県内における医療水準を高めるよう、日々取り組んでいくことが必要です。
そこで、平成25年度事業の基本方針のうち、「より良質な医療の提供」「安心してかかれる県立病院の実現」「安定した医療提供体制の確立」の3分野について、主にどのような取組を進め、県民福祉の向上に努めていくこととしているのか、当局のご所見をお伺いします。
3 新たに建替整備等が進む各県立病院について
質問の第3は、「新たに建替整備等が進む各県立病院」についてです。
近年における疾病構造や医療ニーズの変化による医療機能の充実の必要性や、施設の老朽化や狭隘化に伴う診療機能や医療連携、事業運営の面での新たな課題が顕在化してきたこと等を踏まえ、現在、県内においては、三つの県立病院の建替整備と、光風病院における新たな専門病棟の整備が進められております。
まず、淡路圏域においては、昭和31年に診療を開始した県立淡路病院について、「淡路圏域の中核的病院として、高度専門医療や政策医療を提供するとともに、圏域の医療機関と連携しながら地域医療を確保する」ことをコンセプトに、平成25年5月の供用開始を目指し、整備が進められております。
また、阪神南圏域においては、「マグネット・ホスピタルの機能を有する阪神地域の総合的な基幹病院として、良質かつ適切な医療を提供することにより、県民の安全と安心の確保に貢献するとともに、医学の発展に寄与する」ことを基本理念として、平成27年の開院を目指し、尼崎・塚口の両県立病院を統合再編による尼崎総合医療センター(仮称)の整備が推進されています。
更に、神戸圏域においては、開院後40年余りを経過したこども病院について、「小児医療、周産期医療の総合施設として、母とこどもの高度専門医療の提供を通じて、親と地域社会と一体になってこどもたちの健やかな成長を目指す」ことを基本理念に、移転整備が進められております。
加えて、光風病院においては、近年、増大する児童思春期の精神疾患患者に対応していくため、平成25年3月の外来開設に向け、県内唯一の専門病棟を新たに整備しております。
これら四つの県立病院については、いずれも疾病構造や医療ニーズの変化に的確に対応し、最新の設備や医療サービスを兼ね備えた病院となるものと思われ、私のみならず、多くの県民の方々がおおいに期待されていることと思います。
ただ、それぞれの役割が大きい故に、例えば、淡路医療センター(仮称)の開院前に看護師がたくさん退職し、看護師不足が生じているとの新聞報道がなされるなど、今後、建替整備等を進めるに当たっては、様々な障害や予期せぬ出来事の発生が予想されます。
しかし、いかなる課題や障害が生じようとも、病院局の皆様におかれては、県民福祉の向上のために最大限の努力を払い、是非とも本県における地域医療体制の維持・充実に努めて頂きたいと思います。
そこで、以上の点を踏まえ、以下2点についてお伺いします。
(1) 看護師の確保対策について
まず、1点目は「看護師の確保対策」についてです。
先ほど述べた四つの病院の整備にあたって、より良質な医療を提供し、安心してかかれる県立病院を実現するためには、最新の施設や医療設備の整備も重要ですが、その一方で、医師や看護師、専門技師などの人材面における充実・確保を図ることも大きな課題であります。
その中でも特に、看護師不足が大きな課題となっており、先ほども触れた淡路医療センター(仮称)に加え、移転整備中の尼崎総合医療センター(仮称)やこども病院においても、新病院では診療機能がより強化されるため、現病院よりも多くの看護師が必要になるなど、今後、より一層の看護師確保が必要となっています。
そこで、これらの病院を含め、県立病院における看護師の確保対策にどのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺いします。
(2) 各病院の役割等について
最後の質問は、「各病院の役割等」についてです。
病院局の皆様におかれては、本県における地域医療体制の維持・充実と県民福祉の向上に日々取り組んでおられ、先ほど申し上げた四つの病院についても、気概を持って、その整備を進めて頂いていることと思います。
そこで、これら四つの病院について、それぞれがどのような役割、診療機能を担うこととなるのか改めてお伺いするとともに、これらの整備に向けた意気込みをお伺いします。
●産業労働部
1 労働条件審査の導入推進について
2 労働者の権利に関する県民意識の向上について
3 ひょうご仕事と生活センター事業の拡充等について
(1) ひょうご仕事と生活センターにおける取組について
(2) 育児・介護離職者再雇用助成金事業の拡充について
全文
予算特別委員会質問(産業労働部)
平成25年3月5日(火)
1 労働条件審査の導入推進について
最初の質問は、「労働条件審査の導入推進」についてです。
行財政構造改革の進展により、公共事業の民間委託が拡大するとともに、地方自治体の財政難により、一般競争入札においても更なるコストカットが求められており、本県においても同様の状況にあります。度重なるコストカットのしわ寄せは、成果物の質の低下や、人件費をはじめとする労働条件の悪化を招きかねません。
しかし、県が業務を委託する企業で、賃金をはじめ適正な労働条件の確保がなされているかについては、これまであまり顧みられて来なかったのが事実ではないでしょうか。県からの業務委託により、低賃金や不安定雇用の拡大を招くことがあってはなりません。
そもそも、県の業務を委託され、現場で作業をする業者は、関係法令を遵守するとともに、企業としての社会的責任をしっかり果たし県民から信頼される企業であることが求められます。また、そのことが業務委託を受ける企業にとっても、社会的に信頼される企業として評価されることにつながり、プラスになります。
そのため、委託者である県の責任として、業務委託を受ける企業が労働基準法などの関係法令を遵守しているかを審査し、公共事業を担う民間事業者に、コンプライアンスを徹底する必要があります。
低賃金、長時間労働、社会保険未加入などの不適正な労働条件では、従業員も生き生きと働くことができず、「良い仕事をしよう。良い成果をあげよう。」という意識も低下し、結果的に良質な住民サービスを提供することが困難となります。
この点、労働者の権利保護の観点から、専門家である社会保険労務士が、公共事業の委託を受けた企業において、労働基準法などの関係法令が遵守されているか、労働者が生き生きと働ける職場環境にあるかを調査する「労働条件審査」というシステムがあり、一部の地方自治体では、その導入が進められております。
そこで、本県産業労働部としても、労働者の権利保護に取り組む中で、関係部局等と連携を図りながら、この「労働条件審査」の導入を検討していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。
2 労働者の権利に関する県民意識の向上について
質問の第2は「労働者の権利に関する県民意識の向上」についてです。
近年、県民の方々の雇用形態は多様化しております。正社員のみならず、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員など様々なものがあります。
このような雇用形態の違いにより、個々の労働者が行使できる権利については違いがありますが、たとえパート、アルバイトであっても、6ヶ月以上働けば有給休暇を取得する権利が与えられます。また、労災保険については、労働者災害補償保険法の定めるところにより雇用形態の如何に関わらず強制適用されますし、雇用保険や社会保険等についても、一定の要件を満たす場合には被保険者となります。更に、育児休暇、介護休暇についても、1年を越えて雇用契約を締結している場合には、パートやアルバイトの方であっても、その取得を申請できます。
一定規模以上の企業で正社員として働いている人にとっては、このような権利行使はごく当然のことと捉えられているかも知れません。しかし、例えば中小企業に勤めておられる方や、パート・アルバイト等の雇用形態で勤めておられる方の中には、長引く不況の中で、関係法令で認められたこれらの権利保障が十分になされていない方もおられるのではないでしょうか。
バブル景気の崩壊後、コスト削減を第一に考える企業経営体制が当然のこととなり、業種や雇用形態に関わらず、従業員に過重な心身の負担や極端な長時間の労働など劣悪な労働環境での勤務を強いて改善しない、いわゆる「ブラック企業」といわれる企業も出て来ております。雇用側が故意に関係法令等に違反する、このような事案は論外ですが、中には、雇用側、労働者ともに関係法令等やこれに基づく各種制度等の内容を十分に認識しないまま、結果的に労働者の権利が阻害されている事例も見受けられるものと思います。
そこで、労働者の権利を保障し、適正な労使関係のもとで、誰もが生き生きと働ける労働環境を実現することを目指し、県としても、関係機関等と連携しながら、労働者の権利に関する県民意識の向上に取り組んでいくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
3 ひょうご仕事と生活センター事業の拡充等について
最後の質問は、「ひょうご仕事と生活センター事業の拡充等」について、2点お伺いします。
(1) ひょうご仕事と生活センターにおける取組について
1点目は「ひょうご仕事と生活センターにおける取組」についてです。
県では、企業に人材確保や業務効率の向上をもたらし、勤労者に働く意欲や働きがいをもたらす「仕事と生活のバランス」の取組を全県的に推進する拠点として、連合兵庫、兵庫県経営者協会との協働により、ひょうご仕事と生活センターを開設し、積極的に各種の取組を進めておられます。
内閣府のワークライフバランス憲章によれば、「ワークライフバランス = 仕事と生活のバランス」が取れた社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」を指すものとされております。
少子高齢化が進み、人口が減少していけば、これまで以上に仕事と仕事以外の役割(子育て・介護、地域活動等)の双方を担う人が増えていきます。また、労働人口の減少に伴い、企業としても、女性や高齢者を含め、多様な人材をより柔軟に活用していく必要にも迫られます。そのためには、働き方を見直し、多様な働き方を可能とする必要があり、今後、「仕事と生活のバランス」が取れた社会の実現は、喫緊の課題だと考えます。
この点、ひょうご仕事と生活センターでは、平成21年の開設以来、様々な取組を進めて来られ、3年間の集大成として昨年11月には「3周年記念フェスタ」を開催し、有識者等による講演・パネルディスカッション、先進的な企業の表彰等を行うなど、仕事と生活のバランスに取り組むことの大切さを、積極的に情報発信されております。私も、同センターのこれまでの取組を評価するとともに、今後の取組に大いに期待しているところであります。
そこで、同センターがこれまでに積み重ねてきた様々な取組の成果を踏まえ、更なる充実を図っていくため、来年度、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
(2) 育児・介護離職者再雇用助成事業の拡充について
2点目は、「育児・介護離職者再雇用助成事業の拡充」についてです。
育児・介護により離職したされた方は、再就職の門戸は狭く、私も多くの相談を受けますが、なかなか就職先が見つからないのが現実です。
しかし、人口減少社会を目前に控え、企業においては多様な人材をより柔軟に活用していく必要があることは先ほども申し上げたとおりです。
この点、県では、育児・介護等を理由に一旦離職された方々を対象に、再び元の職場で働きキャリアアップできるよう再雇用した企業に対して奨励金を支給し、再雇用を促進する「育児・介護等離職者再雇用助成事業」に取り組んでおられ、私はその取組を大いに評価するものであり、今後とも、より一層の支援を行っていくべきだと考えております。
そこで、同事業に係るこれまでの実績についてお伺いするとともに、来年度における同事業の取組の方向性についてお伺いします。
●企業庁
1 企業庁メガソーラープロジェクトについて
2 県民福祉向上へ向けた企業庁資産の有効活用について
全文
予算特別委員会質問(企業庁)
平成25年3月12日(火)
1 企業庁メガソーラープロジェクトについて
最初の質問は、「企業庁メガソーラープロジェクト」について、2点お伺いします。
今、地球温暖化は、21世紀における最も深刻な問題であり、その抑止に取り組むことは、我々人類の将来の生存と繁栄にとって重要な、全人類的な課題です。アメリカのアル・ゴア元副大統領が、「地球環境を守るため、彼ほど行動し力強く声をあげた科学者はいない」とその功績と行動力を称えるジェイムズ・ハンセン氏は、その著書「地球温暖化との闘い すべては未来の子どもたちのために」の中で、私達の子供、子孫のために、この地球を守る取組を進めていくことの大切さを訴えています。
この点、平成9年12月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)では、気候変動枠組条約に関する議定書、いわゆる京都議定書が採択されました。我が国も同議定書の締約国として、これまで温室効果ガスの排出量削減に取り組んできました。
このような中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を受けて、我が国のエネルギー・環境政策は根本からの転換を余儀なくされました。それまでの原子力発電所に大きく依存してきたエネルギー政策を見直すとともに、多様なエネルギー源の確保と普及拡大が喫緊の課題となっています。
このような状況を踏まえ、国においては、同年7月、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」を施行し、固定価格買取制度による再生可能エネルギーの普及拡大を後押ししております。
本県においても、同年8月に設置された企画県民部エネルギー対策室や農政環境部温暖化対策課等を中心に、地球温暖化対策や新エネルギーの導入促進に取り組んでおられます。
企業庁においても、平成25年度の取組として、今年度から取り組んでいるメガソーラープロジェクトを拡充実施するとして、約74億円の予算を計上されています。
しかし、公営企業を運営し収益を上げていくことを目指す企業庁において、一見すれば必要なコストに比べなかなか収益にはつながりにくいと思われる同プロジェクトに取り組まれることに、私は少なからず違和感を持っております。
そこで、企業庁が自らの保有資産を活用し、メガソーラープロジェクトに取り組むこととなったそもそものきっかけと同プロジェクトが目指す目的についてお尋ねするとともに、今後のメガソーラー施設の整備計画についてお伺い致します。
2 県民福祉向上へ向けた企業庁資産の有効活用について
質問の第2は「県民福祉向上へ向けた企業庁資産の有効活用」についてです。
企業庁は、戦前の昭和7年に飾磨港修築工事のため、飾磨工営所の設置を皮切りとし、播州工業用水供給事業、戦後、昭和32年の引原ダム完成等々を前史とし、昭和41年、工業用水道運営事業に地方公営企業法の全部適用を行い、企業局が設置され、昭和49年4月に企業庁に改組されました。
その後、姫路白浜・妻鹿地区臨海土地造成事業、西播磨新都市開発等々の事業を進めるなど、高度経済成長期における兵庫県の発展に大きく寄与して来ました。
しかし、経済成長期も終息し、社会の価値観も大きく変わった今、企業庁の新たな展開が求められています。
私は、14年前、県議会議員になって初めて予算の説明を受けた時、淡路の佐野運動公園の計画を知りました。当初、「淡路は他に多くの土地があるにも関わらず、どうして多額の予算をかけて海を埋め立て、野球場やグラウンドを整備するのか」と不思議に思いました。
もともとは原油備蓄基地を主体とした工業用地などを目的として埋立地を造成しましたが、その後、経済状況の変化により企業誘致が困難になったため、有効活用を図るとして運動公園とされたものであると知り、当時は、目測を誤った企業庁を批判する他の多くの方と同様に、私も批判的な思いを持ちました。
しかし、今はどうでしょうか。立派な野球場やサッカーにも使える多目的グラウンド6面が揃っている公園は、県下にも他にはありません。2002年のFIFAワールドカップの際には、ベッカムをはじめとするイングランドチームのキャンプ地として活用され、そのことは現在でも地元の誇りだと聞いております。
また、県内外を問わず、多くのスポーツイベントでも活用されている上、来年4月から予定されている明石海峡大橋の通行料軽減がなされれば、ますます活用される機会は増え、淡路地域の活性化にも、今以上に寄与するものと思います。
このような事例を見れば、私は、高度経済成長期に企業庁が購入した用地を、現時点では売却できない、活用できない負の資産と見るのではなく、今の時代に合った積極的にプラス活用できる可能性を秘めた土地と捉える、発想の転換が必要だと考えます。
例えば、宝塚新都市についても、「今の経済情勢では新都市開発は困難であるから、自然や緑を残す土地として、活用しないままに置いておこう」とマイナス思考で考えるのではなく、「都市近郊での自然保護エリアとして、もっと県民が緑や自然に親しめる活用を考えよう」とプラス方向の積極的な発想で取り組んでいくべきだと思います。例えば、関係部局や宝塚市、地元とも連携・協力して、宝塚新都市の用地を活用し、「緑のエリアゾーン」「緑に親しむ公園」として、県民のために活用していくのも一つだと考えます。
昨年9月の平成23年度決算特別委員会の部局審査の際、企業庁の存在意義を問う質問に対し、高井公営企業管理者は、「公営企業の原則は公共性と経済性の両立とよく言われますが、これは単に二つ並んでいるものではなく、経済性は少なくとも守りながら、最終的に目指すべきは公共の福祉の増進にあると私は考えています」と力強く答弁されましたが、私もまったく同感であります。
そこで、先ほどお尋ねしたメガソーラープロジェクトのような取組も含め、企業庁が持つ資産のうち、当面、その活用が見込まれない用地については、根本的に発想を転換し、県民福祉の向上のために積極活用していくことを是非とも検討して頂きたいと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
黒田 一美
垂水区
●企画県民部①
1 自転車の交通安全対策について
(1) 県内の自転車事故の現状について
(2) 県有施設を活用した自転車講習会の開催について
(3) 自転車保険の加入促進について
全文
予算特別委員会質問(企画県民①)
平成25年3月6日(水)
1 自転車の交通安全対策について
(1)県内の自転車事故の現状等について
近年、一番身近な乗り物である自転車をめぐる事故は増えてきており、自転車事故への対策は、飲酒運転や高齢者事故、通学路安全対策などとともに、交通安全対策における大きな柱の一つとなりつつあります。
自転車は、年齢を問わず気軽に乗ることが出来るうえ、環境にも優しいとても便利な乗り物ではありますが、利用者の道路交通法に対する遵法意識は低く、誤った乗り方や、ルールやマナーを無視した乗り方によって、重大な交通事故を引き起こしています。自転車の安全利用に向けては、自転車、歩行者、ドライバーが互いの立場を尊重したマナーの向上に向けた呼び掛けを行っていく必要があります。
県では、平成16年からは、自転車利用のマナー向上を図るため、交通安全対策の一環として、「自転車運転免許証等制度推進市町」の指定を行い、警察や関係機関等と連携した子どもや高齢者を対象とした参加・体験・実践型の自転車教室の開催や、「自転車運転免許証」等の交付を行っています。
昨年、文教常任委員会で視察した有馬高校でも、自転車の正しい乗り方を身に着けてもらうため学校独自の「自転車運転免許」制度を導入していました。学科と技能の合計点で合否を判定し、携帯電話の使用や傘差し運転などの違反を教師が見つけたら、累積点次第で保護者の呼び出しや免停として1ヶ月間の自転車登校禁止などの処分をしているとのことであります。
はじめに、本県における平成24年中の自転車事故の発生状況について、これまでの防止対策と併せてお伺いいたします。
(2)県有施設を活用した自転車講習会の開催について
ご答弁にもありましたように、兵庫県交通安全県民運動の成果もあって、ここ10年来、多少の増減はあるものの、交通事故件数は減少傾向にありますが、自転車事故の占める割合は依然として、20%を超える割合で推移しています。
私は前々から、「自転車運転免許証等制度」は自転車交通安全対策の普及・啓発に一定の効果があり、成果も出てきていると思っており、県当局の皆様の努力に対して感謝しています。
来年度は新たに、自転車交通事故の防止と被害者支援の充実を図るため、自転車事故多発市町を自転車交通安全対策重点推進地域に指定し、中学生・高校生・地域住民を対象に自転車のルールとマナーの徹底及び保険加入促進の重点啓発活動を実施されるとのことであります。
重点推進地域の決定にあたっては、人口あたりの事故件数等を考慮して、来年度は、姫路市・尼崎市・伊丹市・加古川市・高砂市の5市が指定されるとの事ですが、自転車事故は県下各地で起こっていることから、今後は全県的な取り組みとして拡げていただきたいところです。
しかしながら、自転車の講習会を実施するにあたっては、会場の確保、参加者の募集や取りまとめ、講師の手配、当日の会場運営等、準備に一定の手間を要することから、開催回数を増やしていくのは、容易ではありません。
毎年、数か所選定し、県下で実施していくのとは別に、校外学習等の一環として決まった場所で講習会を開催できる場所があれば、より多くの方が受講できるのではないかと期待しています。例えば、明石公園の自転車競技場のバンク内にある球技場で、自転車の乗り方を教え、座学は、付随している管理棟か、県立図書館で行うといったように、既存の県有施設を活用した自転車講習会の開催により、自転車講習会の開催機会の増大に取り組んでいただきたいと考えますが、ご所見をお伺いします。
(3)自転車保険の加入促進について
自転車は幅広い年齢層が愛用し、昨今の「エコブーム」もあり、自転車人気は年々高まってきていますが、ひとたび事故が起これば、たとえ自転車であっても、加害者・被害者どちらにもなりえる、かなり危険な乗り物であるということを改めて認識する必要があります。
また、自転車と歩行者の通行空間を分離しても、自転車・歩行者が混在しているのが現状であり、道路での自転車利用は常に重大事故と隣り合わせともいえます。
しかしながらこのような危険性を孕んでいるにも関わらず、自転車事故で加害者となった際の賠償責任への備えである個人賠償責任保険への加入については、ほとんど進んでいないように思います。
夜間、無灯火のまま、徐行もせずに歩道を通行し、安全確認を怠り、歩行者と衝突し死亡させた事故では、約4千万円の損害賠償金の支払義務が発生した事例も見られます。県としても、チラシを作成し、啓発活動は行ってはいますが、依然として賠償保険に加入している人の割合はかなり少ないように思います。
損害保険各社が扱う火災保険や自動車保険には、わずかな掛け金を足すことにより、家族が自転車事故の加害者となった場合の賠償金を補償する特約を付けることができる場合が多くあり、自転車保険の加入促進を行っていくとともに、損保会社に対しても付帯保険の整備について積極的な働きかけを行っていくべきであります。
自転車保険の加入促進を通じて自転車の危険性を啓発していくことは、事故の減少による保険金の支払額の圧縮も見込まれ、損保会社にとっても、一定のメリットもあるように思います。また、被害者の側に立てば、加害者が保険に加入していることにより、賠償が確実に行われ、被害者救済の観点からも自転車保険の加入促進を進めるべきであります。
そこで、自転車保険の加入促進について、県民運動として、もっと積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、当局のご所見をお伺いします。
●企画県民部②
1 兵庫県立大学における統合の成果について
2 県立大学附属中学校について
(1) 開学以来の成果と課題について
(2) 複数学級制の導入について
全文
予算特別委員会質問(企画県民②)
平成25年3月6日(水)
1 兵庫県立大学における統合の成果について
兵庫県立大学は、本年4月に公立大学法人への移行を控え、議会としては最後の機会になると思いますので、卒業生の一人として、率直に感じていることを踏まえながら、質問させていただきます。
現在の兵庫県立大学は、言うまでもなく、平成16年に神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3大学の統合により設立され、公立大学としては全国的にも有数の規模を誇る大学であります。
その間、応用情報科学、会計、経営、緑環境景観マネジメントなどの研究科やさらにはシミュレーション学研究科など、様々な研究科が設立され、研究面においては特色化が際立ってきているように感じています。
その一方で、来年度から設置が予定されている、生命理学研究科ピコバイオロジー専攻などに代表されるように、理工系の色合いが強くなってきており、商大卒業者の私には、一抹の寂しさを感じる面もあります。
統合により、履修選択肢の多様化や事務局体制の一元化による効率化など、一定の効果がある一方で、6学部12研究科の7つのキャンパスが、広範囲にわたって点在しているため、現実問題として兵庫県立大学としての統一性を図っていくないしは打ち出していくことについては、難しい面があるように思います。
各学部・研究科がそれぞれの個性化・特色化を図ることにより、兵庫県立大学全体としての特色を創り出していくことには、異を唱えるものではありませんが、公立大学法人への移行にあたっては、もう一度原点に帰るべき面もあるではないかと思っています。
平たく言えば、いろんな分野に手を出すのではなく、本来の商経学部や工学部、看護学部といった、旧3大学が中心に据えていた分野に特化していくべきではないかということです。
卒業後の進路を考えたとき、大部分の学生は「就職」するわけで、大学は、社会で成長していけるよう力をつけていく、いわば基礎力を養成する場であると私は考えています。
そのような意味でも、県内外を問わず活躍する卒業生の存在は、県立大学の大きな強みではないかと思っています。その一人である私でさえ、最近は別の大学のように感じてしまう現状を今一度、踏まえていただければと思う次第であります。
そこで、来年度から公立大学法人へ移行することとなっていますが、経営面や運営面といった大学側からの効率化だけではなく、学生の立場に立ち、学生が県立大学で学びたいと魅力を感じてもらえるよう、あれも、これもと何をしているのかわからない大学ではなく、原点に帰り、大学の柱となる部分についてしっかりと見据えいくべきと考えるが、これまでの県立大学の統合の成果についてどのように認識されているのか、当局のご所見をお伺いします。
2 県立大学附属中学校について
(1)開学以来の成果と課題について
兵庫県立大学附属中学は、中学校段階からの計画的・継続的な教育指導を通して、生徒の個性の伸長を図り、優れた才能を見いだし、これまで以上に今日の社会に求められる人材を育成することが必要であるとの認識の下で、平成19年4月に中高一貫校として開設され、毎年40名の選抜された生徒が入学しています。
県立大附属中学は基本理念として、①附属高校との中高一貫教育、②兵庫県立大学との連携や播磨科学公園都市の教育研究環境の活用、③科学技術における学術研究の後継者の育成、④国際感覚豊かな創造性溢れる人材の育成の4点が挙げられています。
特に、公立大学法人移行後は、公立大学法人が附属中学・高等学校の設置者になることはできず、引き続き、県のままとなることから、特に県立大との連携については、学校名のとおり「県立大学附属」としてこれまでと同様に緊密な連携を図りながら学校運営を行っていただく必要があることはいうまでもありません。
そこで、県立大学附属中学校は、公立の中高一貫校として開設以降、丸6年が経過し、この春初めての卒業生38名を送り出すこととなっていますが、学校の基本理念に照らし合わせて、これまでの6年間の学校運営から見えてきた成果や課題について、どのように評価しているのか、お伺いいたします。
(2)複数学級制の導入について
県立大学附属中学では、先ほどの質問でも触れましたように、これまで1学級40名の募集となっていましたが、先般、平成26年4月より、2学級70名の募集とし、複数学級制の導入が発表されました。
これまでの1学年1クラス編制では、きめ細やかな指導が実施できる反面、人間関係の固定化や学校行事や部活動をはじめ、多くの面で不都合もあったとは思いますが、複数学級制の導入により、学校がこれまで以上に活気づいてくれればと期待しているところであります。
私立の中学・高等学校では、少子化により学校間の競争が激しくなる中、早い段階から生徒を囲い込み、6年間の一貫教育で進学実績を伸ばしたいという思惑が見え隠れする中、最近では、高校からの募集を廃止若しくは縮小し、中学の定員をその分増やす私学が大都市圏を中心に相次いでいます。
県内では、西宮市の甲陽学院が平成21年春からの高校の生徒募集を停止し、完全中高一貫校となりました。また、須磨学園も平成23年度より中学の定員を40名増やし、その分、高校の定員を減らす予定となっています。
さらに近隣では、高砂にある私の母校、白陵中学・高等学校では、昨年度より中学の募集を35名増やし3クラス編制から5クラス編制とし、高校は若干名の募集に留め、中高一貫教育の実施を強化しています。
県立大学附属中学を、県立の一貫校としてより体制を強化・充実していくことは播磨地域の児童・生徒を中心にとって魅力あることですが、先ほどの基本理念を達成していくには生徒の質の確保も重要な要素の一つであると考えます。
そこで、平成26年度の複数学級制の導入に伴い、これまでどおり、優秀な生徒が確保されるよう、志願者数の増加に向けた取組や選抜方法の工夫など、どのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見をお伺いします。
●健康福祉部
1 グリーンピア三木について
(1) 運営状況について
(2) 利用者の減少要因について
(3) あり方検討委員会の進め方について
2 「安心地区」整備推進事業について
(1) 事業の運営状況について
(2) 今後の事業展開について
3 高齢者の社会参画における部局間連携について
全文
予算特別委員会質問(健康福祉部)
平成25年3月7日(木)
1 グリーンピア三木について
(1)運営状況について
平成17年の予算特別委員会でグリーンピア三木の利活用の検討について質問して以来はや8年が経過しました。その後も、地元に隣接する施設として常に関心を持ちながらその動向は常に気にかけてきたところであります。さて、今回の予算案では「あり方検討委員会」が設置されるとのことで、次のステップに向けて動き出そうとしているこの機をとらえ、質問させていただきます。
平成17年当時、質問するにあたっては、①昭和40年代にグリーンピア三木を積極的に誘致するにあたり、県有地の提供や用地買収にも全面的に協力した歴史的な経緯があること、②地元三木市からも県が購入することについて強い要請・要望を受けていること、③さらには県内外から年間約40万人を超える利用があること、④加えて、国に売却した価格よりもはるかに安価で購入できること、⑤地方公共団体への譲渡は民間への譲渡に比べて半額の約9億円で譲渡してもらえることなど、様々なやり取りをさせていただいた記憶がございます。
その結果、最終的には県が国から譲渡を受け、ホテルやプール、温泉施設部分をはじめとした、西側約221haの利活用については、提案コンペにより選定した民間事業者に貸付を行い、賃料収入を得ています。一方大都市近郊に残された緑の公共空間部分である約125haの森林部分の保全に関しては、同じ事業者に対して、逆に委託費を支払って管理してもらっています。
そこで、県が譲渡を受けてから現在までの利用状況等をはじめ、これまでの民間事業者による運営状況について、どのように評価しているのか、県民にとって利用しやすく、親しみやすい施設となっているのか、ご所見をお聞かせ願います。
(2)利用者の減少要因について
平成19年度の決算審査における答弁では、民間企業においてさまざまな工夫を凝らした結果、魅力ある施設づくりが評価され、利用者数の持ち直しが図られてきているとのことで、安心していましたが、ただいまのご答弁では、利用者が、年々減少しており、その原因について、どのように分析されているのか、お伺いします。
(3)あり方検討委員会の進め方について
来年度は、平成27年度の現在の運営事業者との契約満了及び指定用途解除後の対応に向けてあり方を検討することとなっています。
県が平成17年に譲渡を受ける際には、近隣に類似施設が複数ある中で、県がわざわざ税金を投入して、譲渡を受けるには、県民の理解を得て進める必要があることを指摘させていただきましたが、今後のあり方を検討する際にも、県民の理解を得ながら進めていただきたいと思っています。
グリーンピア三木のあり方については、今定例会で、自民党の仲田一彦議員より、有事の際は、関西広域連合あるいは西日本の防災拠点として活用し、平素は、現在の滞在型施設の機能に加え、韓国・台湾など東アジアも視野に入れた大規模なコンベンションホールとしての利用について提案がありました。
私は、今回のあり方検討委員会を進めていくにあたり、10年間の公共的利用等を行うという「縛り」がなくなることに対して、今後どのように取り扱うのかが、一番悩ましく、今後の施設のあり方を決定していくにあたって、最も重要な要素であると考えています。
施設は老朽化が進んでおり、今後も県が維持していくには、改修費が相当必要となるでしょうし、安い買い物をしたつもりが、結果として高くついてしまうことになるのではないかという懸念もあるところです。さらには、地元の三木市の意向や行革のなかでの位置づけも踏まえながら今後の施設のあり方を検討していく必要があります。
いずれにしましても、あり方検討委員会については、あくまで、県が主導した形で進めていただきたいと考えますが、どのような形で進めていこうとされているのか、基本的な考えについて、お伺いします。
2 「安心地区」整備推進事業について
(1)事業の運営状況について
昨年4月に医療・介護保険の見直しが行われ、24 時間定期巡回・随時対応サービスをはじめとする在宅サービスやリハビリテーションなど自立支援型サービスの強化に代表されるように、「施設から在宅介護」への移行が図られました。また、その後、厚生労働省より一層の在宅化を推進する「在宅医療・介護あんしん2012」も打ち出されています。
内閣府が平成22年に実施した調査によれば、6割を超える方が、「高齢となり虚弱となっても自宅で住み続けたい」と考えている一方で、将来の介護への不安から、要介護が2以下の方でも特別養護老人ホームに入所を申し込まれています。
県でも、介護や家事援助などが必要となっても希望する限り住み慣れた家で生活できるよう、在宅福祉サービスの支援をこれまで以上に充実させていく必要があります。
そのようななか、県では、今年度より、要介護認定の有無に関わらず、高齢者や障がい者等が自宅で安心して暮らせるよう、小学校区等の小地域単位で、元気な高齢者等の地域住民が主体となって配食、ミニデイサービスや見守り活動など、住民ニーズを踏まえ機動的にサービスを提供する「安心地区」の整備に、実践モデル事業として着手されています。
今年度は明舞地区、川西市、養父市の県下3箇所で整備され、それぞれ特色のある地区を選定して整備が進められたと思っていますが、利用者ニーズとサービス提供者のマッチングやボランティアによる有償サービスの運営など、事業を軌道に乗せていくにあたっては、大変苦労されていることと思います。
そこで、今年度の運営状況について、その課題とともにお伺いいたします。
また、来年度は7か所の整備が予定されているとのことですが、実施箇所の選定はどのように行うのかについても併せてお伺いします。
(2)今後の事業展開について
先日の公明党下地議員の「介護支援ボランティア活動の推進について」の一般質問に対して、安心地区整備推進事業を「兵庫県独自の地域支え合いのしくみづくり」と表現され、「介護保険のしくみである市町の『地域支援事業』の中で、継続して実施されることが望ましい」との答弁がありました。
来年度、予定通り事業が進捗した場合、10箇所の安心地区が整備されることとなります。整備が完了した地区については、事業が安定的・持続的に展開され、地域の活性化に繋げていただきたいところであります。
私の地元でも、安心地区の整備について、関心があるところもあり、安心地区の整備に対するニーズは、既に多くあるのではないかと感じています。先進的な兵庫発の在宅福祉サービスとして定着し、全県への展開を願うところでありますが、果たして、それに見合う予算を今後確保していくことができるのか、正直今から心配しています。
そこで、平成26年度以降、どのように事業展開していこうとされているのか、現時点での見通しについて、お聞かせ願います。
3 高齢者の社会参加における部局間連携について
最後に「高齢者の社会参加」についてお伺いします。
今定例会の知事提案説明において、「活力持続への挑戦」の項では、高齢化への対応が最初に掲げられ、「高齢化による労働力人口の減少が課題とされていますが、幸い、多くの高齢者は『働けるうちはいつまでも働きたい』のです。『しごと』は自己実現、生きがいでもあり、高齢者の経験や知識を生かす場になります。」とされ、また、「次代を担う人づくり」における「高齢者の社会参加の促進」の中では、「高齢者が長年培った経験や技能を、地域や社会で生かしていくことが重要です。このため、中小企業等との人材マッチングや高齢者の継続雇用、自らの経験を生かす起業などを支援します。高齢者の農業復帰や新規就農、介護施設での就労に必要な知識、技能を習得する研修を実施します。」とありました。
これら知事提案からは、高齢者を社会的資源として捉えてはいますが、(少し表現は乱暴な面もありますが、)今ひとつ活用し切れておらず、行政においてもその方策について模索している現状を窺うことができます。
高齢者の社会参加といった場合に、①その前段階ともいえる「生きがいづくり」を中心に捉えた生涯学習や老人クラブの活動、②ボランティア・NPO活動に代表されるような地域活動、③そして、いわゆる「しごと」の範疇に入るものに大きく分けることが出来ます。「しごと」の範疇に入るものは、地域での軽易な就業から派遣、再就職など就職の範疇に属するものと、SOHOや事業性と社会性を兼ね備えたソーシャルビジネス・コミニティビジネスなど、事業の範疇に属するものに大別することができます。
このように、一口に、高齢者の社会参加といっても、それぞれの経験や技能、知識、さらには本人の社会参加に対する軸足の置き方に応じて、その選択肢は様々であり、経験を活かした就業や短時間就業など、「現役」とは異なる多様な働き方や社会参加を可能とする条件整備が求められています。
先般、我が会派で視察した、福岡県70歳現役応援センターは、「70歳現役社会」の実現をめざして、豊かな経験、知識、技能を持つ高齢者の方々が多様な活躍の機会を得られるよう、就業・地域活動のマッチングや情報提供、各種セミナーの開催などきめ細かな支援を行う総合拠点として、昨年4月に開所以降、多くの高齢者に利用され就業や社会参加に繋がっているとのことであります。
本県では、生涯学習が企画県民部、高齢者の生きがいは健康福祉部、就労支援は産業労働部が所管しており、そのこと自体に異議を唱えるものではありませんが、高齢者がいつまでも、いきいきと暮らしていくことができるよう、高齢者の社会参加のあり方の枠組みを見据えていくのは、健康福祉部が中心となって取り組んでいくべきと考えます。
そこで、高齢者の社会参加について、先の福岡の事例のように、既存施策を活用していくにあたり、その入口部分で、高齢者が進路について相談することができ、総合的に支援していけるよう、健康福祉部が中心となって部局間連携を強化していく必要があると考えますが、高齢者の社会参加における部局間連携の状況についてご所見をお伺いします。
●農政環境部
1 園芸特産物の新品種の育成について
2 野菜ICT産地モデル事業について
(1) 事業目的について
(2) 品目の選定理由等について
3 新規就農者の育成・確保対策について
(1) 新規就農者の育成状況について
(2) 今後の新規就農者の育成について
全文
予算特別委員会質問(農政環境部)
平成25年3月11日(月)
農業を営むことは、並大抵のことでは出来ないと思いますが、そこに生きがいや魅力を感じて、これから新たに就農していく人に対して県として何ができるかという視点から質問させていただきます。
1 園芸特産物の新品種の育成について
最初の質問は、園芸特産物の新品種の育成についてです。
近年では、産地間競争が激化し、その競争に打ち勝っていくために、いかにして魅力ある作物や品種を導入するかが大きな課題であるとともに、大消費地の近郊という本県のポテンシャルを生かすためにも、他府県の産地に対抗し得る品種の開発が必要であるとの思いから、平成22年の9月定例会に引き続き質問させていただきます。
その際にも例示しましたが、「いちご」に関しては、多くの新規就農者が栽培を希望されているようです。また、農林水産技術総合センターにおいても「兵庫県におけるイチゴ高設栽培への培地気化冷却法」など、新しい栽培技術の普及に積極的に取り組んでいただいており、大変ありがたく感謝しています。
現在、兵庫県独自の新品種の開発に向けて、県内のいちご農家で実証栽培に取り組んでいただいており、いよいよ兵庫県育成のいちごが市場に出される日が近づいているのではないかと期待しています。
そこで、園芸特産物については、消費者ニーズの多様化やその移り変わりの早さ、さらには産地間競争も激化するなど、本県の園芸特産物市場をめぐる環境は厳しい状況に置かれていますが、市場における地位の維持・拡大を図っていくには、引き続き、新品種を積極的に育成・選定していく必要がありますが、現在の取組状況について、お伺いします。
2 野菜ICT産地モデル事業について
(1)事業目的について
次に、野菜ICT産地モデル事業について、お伺いします。
野菜ICT産地モデル事業は、大消費地に隣接する立地条件を生かして、高付加価値型の野菜生産を展開していくため、来年度の農政環境部の目玉事業であるチャレンジ事業として計画されています。
先ほどの質問でも触れましたが、産地間競争に打ち勝つためには、魅力ある作物やオリジナル品種を積極的に市場へ提供していく必要があります。その一方で、既に栽培方法が確立された作物や品種については、生産力の強化に加えて、多様化する消費者のニーズに応じて適時・適量・適質の野菜を安定的に供給できるよう、組織体制を強化していくことが、産地間競争に打ち勝っていく上でも重要な点であります。
そこで、今回、情報通信技術ICTである携帯端末とクラウドを活用した兵庫県版システムを構築・普及し、ICTを活用した野菜生産産地の育成をするとのことですが、その狙いについて、お伺いします。
また、今回、農政環境部のチャレンジ事業とされたわけでありますが、この事業における‘チャレンジ’の意義についても併せてお伺いします。
(2)品目の選定理由等について
次に、品目の選定についてお伺いします。
来年度は、私の地元神戸市西区をモデル産地候補として、キャベツ栽培で取組む方向で検討していると聞いています。キャベツは、加工・業務用、家庭用ともに需要の大きい野菜の一つでもあり、県下では、玉ねぎ、レタスに次ぐ出荷量では第3位となっています。
素人考えで申し訳ありませんが、ハウス栽培の軟弱野菜なら、天候に大きく左右されることなく、計画的に実証することができると思いますが、露地野菜であるキャベツを選定しようとする理由についてお伺いします。
また、今後、他品目への展開していくのか、今後の見通しについても併せてお伺いします。
3 新規就農者の育成・確保対策について
(1)新規就農者の育成状況について
次に、新規就農者の育成状況についてお伺いします。
高齢化による農業従事者の減少が急速に進む一方で、新規就農者の育成が追いついておらず、県では、今年度より新規就農者の育成目標を従来の200人から300人に引き上げました。
従来の県・地域の就農支援センターを中心とした取組に加え、「青年就農給付金の給付事業」、「JAや企業等による研修農場の設置を支援する事業」、新規参入者等の立ち上がりを支援するため、地域の指導的農業者に「後見人的応援活動を委託する事業」などに取組まれています。
そこで、これまでの60歳未満の新規就農者の農業経営の状況について、①就農者数、②定着率、③就農場所、④就農後の経営作目などを中心にお聞かせ願います。
また、これまでの新規就農に関する施策の成果・効果について、どのように評価しているのか、併せてお聞かせ願います。
(2)今後の新規就農者の育成について
新規就農者の増加要因として、青年就農給付金の魅力による就農喚起、農の雇用事業の拡大による雇用就農の大幅増、就農スタートアップ支援事業による就農への踏み切り易さの向上などが挙げられるところですが、昨年2月の代表質問でも触れましたとおり、前政権下で画期的に実施されるようになった青年就農給付金によるところがやはり大きいのではないかと思っています。
しかしながら、冒頭のコメントでも触れましたように、農業を営むことは、並大抵のことでは出来るものではありませんので、審査が甘いと安易な考えや準備不足の就農者が増えて、制度の主旨を達成することができず、失敗を助長することにもなりかねません。新規就農者に対しては、事業経営者としの自覚と決意を促すよう、青年就農給付金の制度運用については、厳格に行っていただきたいところです。
先日、自民党の原テツアキ議員が一般質問で、青年就農給付金(経営開始型)の支給要件である「人・農地プラン」の課題と対策について質問されました。ご答弁では、今年度中に127プランが策定される見込みで、来年度にかけて集中的にプランの策定に取り組むことでしたので、是非とも、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、地域が抱える「人と農地の問題」の解決に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
少し、長い前置きとなりましたが、先ほどのご答弁にもありましたように、どうしても新規就農者が都市近郊に偏り、地域偏在が生じてしまいます。
そこで、今後は、この制度がある程度定着してくると、県下で発生している耕作放棄地や遊休農地対策をはじめ、本県農業の充実・強化ひいては再構築の面でも、ただ単に新規就農者を育成するのではなく、必要なところに必要な人材を育成していくといった観点で、政策的・戦略的に新規就農者を育成していくことも必要ではないかと考えますがご所見をお伺いします。また、県として、新規就農者の地域偏在について、そもそもどのように認識されておられるのか、併せてご所見をお伺いします。
●総括審査
1 県債残高の上限管理について
2 チャレンジ枠の意義と効果について
3 地方分権を推進するための地方交付税の確保について
4 教育委員に求められる資質について
5 健康寿命の延伸に繋がる「ロコモ運動」の推進について
6 各種ツーリズムを活用した観光振興について
7 競争に強い農林水産業の確立について
8 公共事業の量的確保と経済の活性化について
9 有能な女性警察官の確保に向けた取り組みについて
全文
予算特別委員会質問(総括)
平成25年3月15日(金)
それでは、民主党・県民連合議員団を代表して、早速、総括質問をさせていただきます。
1 県債残高の上限管理について
はじめに、来年度予算の財政状況に関わる質問として、「県債残高の上限管理」についてお伺いします。
この質問は、財政状況の審査において、我が会派の栗山委員より、本県の適正な県債残高について、お尋ねしましたが、再度、井戸知事のご所見をお伺いしたく、質問させていただくものであります。
来年度の当初予算資料によりますと、県債残高は今年度当初予算時に比べて約2,327億円増加し、今回も過去最高額を更新する4兆6,680億円になるとされています。償還に要する費用が後年度の地方交付税で措置される臨時財政対策債等を除いた残高でみても、前年度に比べて823億円増加し、3兆2,639億円となる見通しとなっています。
この点については、735億円の収支不足額とともに、新聞でも大きく報道され、県民の皆様に対して、大きな不安とご心配をおかけしているのではないかと思います。将来世代に多くのツケを残すことに対して、我が会派としては大きな不安と責任を感じています。
さて、本県では、人口減少が既に始まっています。これは、単なる人口減少ではなく、高齢者数の増加と生産年齢人口(15~64歳)の減少という「人口構造の変化」を伴うもので、県内GDPや県民所得の低下など、本県歳入に関わる不安な要素を抱えていますが、県債残高は増加の一途をたどっています。
栗山委員の質問に対する答弁によりますと、県債残高は平成28年度までは増加すると見込まれており、それをピークに平成29年度から減少に転じると答弁されています。さらに、「平成28年度の県債残高見込みが、本県のアッパー、上限額と認識しておいて良いか」との再質問に対しても、「限度額のアッパー、このフレームの中でお示ししているところの範囲の中で財政運営に努めていく」と財政課長から力強い答弁を頂きました。
国の動向は、まだまだ不透明な面も多くあり、本県財政にどの程度影響するかはわかりません。先般、財務省より、国債残高が10年後の平成34年度末に1000兆円を超えるという試算が発表されました。国債残高も右肩上がりであり、国頼みについても、もう限界であるといわざるを得ません。
しかしながら、このような状況下にあっても、県民に安心を与えられる財政運営を進めていかねばなりません。我が会派も、県当局と同様にこれまでより、「県民サービスの確保」について、度々主張してきたところですが、もはや、そのようなことも言っていられない状況になってきているように感じています。
知事が県民の痛みを伴う施策を徹底していくことは難しいかもしれませんが、県民に対して、多少の我慢をお願いしてでも借金を減らすという意識がないと県債残高の上限を管理していくことは難しいと思います。そこで、改めて、県債残高の上限管理についてどのように考えておられるのか、井戸知事のご所見をお伺いします。
2 チャレンジ枠の意義と効果について
次に、「チャレンジ枠の意義と効果」についてお伺いします。
新年度の予算編成では、21世紀兵庫長期ビジョンの実現を目指し、時代を的確にとらえ又は先取りする施策を実施するため、新規事業枠に5億円の「チャレンジ枠」が新たに創設されました。
チャレンジ枠の要件としては、「既存事業にとらわれない、先進性、創造性、斬新さ等を有する新規事業」とされ、本庁分、県民局分計27事業が打ち出されています。
私たち民主党・県民連合議員団が先日、井戸知事に対して提出しました「県政評価・検証委員会報告書」においても指摘しましたが、組織を活性化していくには、リーダーのトップダウンと組織のボトムアップのバランスを常に配慮することがより一層求められると考えています。そのような観点から、チャレンジ枠の創設は、多いに可能性のある取り組みだと考えています。是非とも、これまでの殻を破り‘チャレンジ’をしていただきたいところです。
本県の経常収支比率は、23年度決算時点で99.3%であり、県が自由に裁量の効く額としては、経常一般財源収入約1兆362億円の0.7%に相当する、たった71億円しかありません。そのような中にあって5億円の貴重な財源を投入するわけですから、この5億円の使い道が、事業効果を上げることはもとより、組織の活性化にも資するような取り組みでなければなりません。
さらに、新規事業枠にチャレンジ枠を創設するわけですから、通常の新規事業との違いを明確にし、それを県民に対して説明するプロセスも必要であります。
しかしながら、財政状況の審査でも他会派の委員より指摘がありましたが、ユニークな事業が挙げられている一方で、特に県民局事業では、既存事業の延長線上の事業であり、チャレンジとはとてもいえないようなものが多く含まれていました。その答弁では、「これまでやりたくても十分には出来なかったことに取組むことで、地域の課題解決が進むことが期待されるなど」一定の意義があるとのことで、昨年度創設された、「地域の夢推進事業」と共通している部分が認められるものであります。この際、県民局分については、「地域の夢にチャレンジする事業」として、チャレンジ枠と地域の夢推進事業と統合する方が、県民に対して分かりやすいのではないかとさえ感じています。
そこで、チャレンジ枠として井戸知事より打ち出された27事業について、その事業要件に照らして、どのように評価していますか。また、チャレンジ枠と地域の夢推進事業の関係についても併せてお伺いします。
3 地方分権を推進するための地方交付税の確保について
次に、「地方分権を推進するための地方交付税の確保」についてお伺いします。
井戸知事は今定例会の提案説明で「さらなる義務付け、枠付けの見直しや、国からの地方への権限移譲など、分権改革を加速するよう、全国知事会や地方六団体と連携し、積極的に主張してまいります。」と述べられました。
「地方分権の推進」は私たち県民にとって重要な課題ですが、その推進のためには、「地方交付税の確保」が欠かせません。
知事は、全国知事会や地方六団体等のあらゆるチャンネルを使い、地方交付税の確保を国へ要請されており、心よりエールを送るものです。
しかし、この度、国から東日本大震災にかかる臨時的措置として国家公務員の給与の引き下げに準じ、本来国に強制されるはずのない地方公務員の給与についても同様の措置を実施するよう求められ、地方交付税の削減が決定されました。
知事は「地方交付税を政策誘導の手段として用いることは、地方の自主性、自立性を損なうものであり、地方交付税の補助金化の危険があり」、「平成25年度当初予算では、これに対応した予算計上は行っていません」と述べられました。
地方は、すでに独自の給与削減や人員削減を行っており、兵庫県でも阪神・淡路大震災からの創造的復興を行う中で、「行財政構造改革推進方策」を策定し、定員、給与については国に先行して削減を実施しています。
これまでの地方の取り組みを踏まえずに、国家公務員の2年間限定の給与削減をもとに、本来、条例で決めることになっている地方公務員の給与に対して、一方的に地方に関与し、地方交付税を削減することは、中央集権を益々強めることにつながります。全国知事会、地方六団体も一致して、地方との十分な協議を経ないまま、地方交付税を一方的に削減する今回のような措置を二度と行うことのないよう、国に強く申し入れております。
知事は「今後の対応を慎重に検討する」としており、いま、懸念されるのが、一部の地方自治体において何らかの理由で足並みをそろえないところが出てこないか、不安に思うところです。
地方分権を進めていくにあたっては、本来は、地方自治体が自主財源によって自立できる体制を整えていくことが必要ですが、現行制度では、地方固有の財源である地方交付税を確保していくことがまずもって必要であります。
そこで、地方交付税の確保にあたり、兵庫の知事として、また関西広域連合の連合長として、全国への影響力が大きい井戸知事には、リーダーシップを発揮していくことが求められていると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
4 教育委員に求められる資質について
次に、「教育委員に求められる資質について」お伺いします。
今年度は、かつてないほどに教育委員会の在り方が問われた1年だったように思います。
4月の京都府亀岡市で発生した、通学中の児童の列に自動車が突っ込んだ事故や大津市の中学生や川西市の県立高校生がいじめを苦に自殺した事件など、痛ましい事件が後を絶ちませんでした。さらには、大阪市立桜宮高校のバスケット部における体罰を原因に生徒が自殺した事件をきっかけに、クラブ活動に限らず教師による指導の在り方自体が大きな問題となっています。
いずれの事件や事故でも共通しているのは、学校や教育委員会の対応のまずさで、問題が大きくなってからあわてて対応するという印象を受けます。しかも、矢面に立たされるのは、教育委員会事務局の職員であり、教育行政の重要事項や基本方針を決定するとともに、事務局の事務執行を担う教育長を指揮監督する役割を担う教育委員の顔はほとんど見えません。
教育委員会制度は、首長からの独立、合議制、レイマンコントロールにより、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映を図るものとして我が国に導入され、地方教育行政の基本的な制度として定着しています。
しかしながら、一般的には教育委員会の現状については、会議が形骸化しており、教育行政に対する基本的方針が決定されているとは思えず、国の示す方針に従う縦割りの集権型の仕組みになっています。そのほか、合議制のため、責任の所在が不明確となっていることや迅速な意思決定ができないことなど、多くの問題が指摘されているところです。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条では「委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」とされています。
現在、国において教育委員会のあり方を見直すことについて検討されています。にもかかわらず、教育委員の資格や任命する方法は、この4条のほかに、定められたものはありません。これでは、県民からは、どのような基準で教育委員が選ばれているのか全く見えません。
また、議会においても、教育委員の同意を行うにあたり、経歴書だけで同意の是非を判断しなければならず、委員に対する十分な判断材料がないまま決断を求められてきた経緯もあることから、例えば、同意する前に所信表明や質疑を行う場を設けていくことも検討していくことも必要です。
そこで、任命権者である知事は、教育委員に求められる資質について、どのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。
5 健康寿命の延伸に繋がる「ロコモ運動」の推進について
次に、「健康寿命の延伸に繋がる『ロコモ運動』の推進」についてお伺いします。このことについては、健康福祉部の部局審査において、我が会派の前田委員より、質問いたしました。
「運動器症候群」、「ロコモティブシンドローム」とは、骨、関節、筋肉、神経などの「運動器」の障がいにより、要介護またはその一歩手前の状態のことを、通称「ロコモ」と呼ばれており、近年、大きくクローズアップされてきております。
老後に要介護・要支援状態に至った原因のトップ3は、脳血管障害、認知症、加齢による衰えの順となっていますが、それに次いで、4番目の関節疾患と5番目の転倒・骨折の占める割合を足せば、トップの脳血管障害を上回っており、運動器障がいへの対策の必要性を窺うことができます。
東京大学22世紀医療センターの調査によると、ロコモの推定有病者数(40才以上)は4700万人に上るといわれてます。衰えは、40代から始まり、若い世代への対策が必要なことから、来年度から始まる健康推進の国民運動「健康日本21(第2次)」では、この「ロコモ」が取り上げられています。
しかしながら、この「ロコモ」自体、あまり知られておらず、ロコモの認知度アップについては、もっとスピード感をもって取り組むべきであると部局審査において指摘したところです。
最近では当たり前のようにいわれる「メタボリック症候群」も2000年から始まった「健康日本21」で取り上げられましたが、その普及にはかなりの時間を要しました。
ロコモ運動の推進により、早い段階から運動習慣の定着を図り、運動機能の低下をできるだけ遅らせ、健康寿命を延ばしていくことは、一人一人の幸せはもとより、増え続ける医療費の抑制にも大きく寄与するものであり、運動を含め、スポーツを所管する教育委員会とも連携を図りながら取組んでいただきたいところです。
そこで、来年度の予算案では要介護・要支援状態に至る原因のトップ2である「認知症」に対する施策の充実が図られていますが、この「ロコモ運動」についても県民運動としてスピード感と危機感をもって取り組むべき重要な課題であると考えご所見をお伺いします。
6 各種ツーリズムを活用した観光振興について
次に、「各種ツーリズムを活用した観光振興について」お伺いします。
この点については、来年度の産業労働部のチャレンジ事業でも「テーマツーリズムを核とした兵庫誘客促進事業」が掲げられており、ツーリズムを通じて地域の観光振興を図っていくことの必要性については、誰しも異論はないと思います。また、昨年度からスタートした「ひょうごツーリズム戦略」も3か年計画のうち2年が経過し、そろそろ次期計画の策定に着手する時期が来ているのではないかと思います。
国では、ビジットジャパンキャンペーンやクールジャパン戦略を推進し、積極的にインバウンドを図ってきた甲斐もあり、先週発表された観光競争力ランキングでは、日本は8ランク上昇し14位となりました。その一方で、昨年秋に発表されました都道府県魅力度ランキングでは、我が兵庫県は11位となっており、前年度から順位を2つ下げています。海外旅行をする際に、その国で訪れたい都市の名前を11番目まで挙げろといっても、ほとんどの方が、出てこないわけであり、相当のテコ入れが必要な状況ではないかと理解しています。
HISが見事に再建させたハウステンボスに会派で調査に伺いましたが、担当者からは、「日本1位、アジア1位、世界1位のナンバーワン・オンリーワン」に拘ったとお聞きしました。
また、お隣の大阪では、来年度から府・市・経済界で合同の「大阪観光局」を設立し、7年後の平成32年には外国人客を現在の4倍の650万人を目標とする取り組みがスタートすることとなっています。来年度7億5千万円の事業費で公衆無線LANの整備、国際会議や展示会の誘致を行っていくとのことで、観光振興に向けたテコ入れがなされようとしています。
幸い本県には、神戸ビーフや灘五郷等の日本酒などの食資源、国内2位を誇るゴルフ場、さらには世界遺産の姫路城やミシュラン・グリーンガイド・ジャポン2つ星の城崎温泉など数多くの観光資源があります。
そこで、国内外から多くの旅行者に来県してもらえるよう、各種ツーリズムを積極的に展開し、ナンバーワン・オンリーワンの観光資源を創出していくことにより観光産業の振興を図っていくことが必要だと考えますが、次期ひょうごツーリズム戦略を策定していくにあたって、この点についてどのように取組まれようとしているのか、現時点の方針について、ご所見をお伺いします。
7 競争に強い農林水産業の確立について
次に、「競争に強い農林水産業の確立」について、お伺いします。
農業は、食料生産にとどまらず、水、緑、環境、そして地域コミュニティの維持にも大きな役割を果たしていますが、今後ともこのような役割を果たしていくことができるのでしょうか。
平成22年現在で、本県の農業就業人口の平均年齢は67.8歳となっており、全国平均の65.8歳を上回り、超高齢化が進んでおります。これまで農業を支えてきた昭和1けた生まれの方が、来年末には80歳を迎え、農業従事者の減少はさらに拍車がかかり、農業の担い手、特に新規就農者の確保・育成そしてその定着は喫緊の課題となっています。
また、今定例会の代表質問において我が会派の岸口幹事長が指摘いたしましたように、ここ10年で甲子園球場約1000個分の耕作放棄地や休耕田が県内で発生しており、「産業」としての農業への転換が急務です。関西広域連合でも、農業をはじめとする第1次産業も広く産業振興に寄与する分野の一つとして、地産地消運動など新たな連携の具体策の検討等を行うため、広域産業振興局内に農林水産部を整備して取り組みが進められています。
私も、今回の農政環境部の部局審査では、産地間競争に打ち勝つため、兵庫県独自の魅力ある作物やオリジナル品種を積極的に市場に提供すること、その一方で、既に栽培方法が確立された作目や品種については、生産力の強化に加えて、多様化する消費者のニーズに応じた適時・適量・適質の作物を安定的に供給できるように組織体制の強化をはかることを指摘いたしました。
さらに、新規就農者の経営作目の偏りや地域偏在を解消し、今後は、必要なところに必要な人材を育成していくよう、政策的・戦略的に新規就農者を育成していくことの必要性についても併せて指摘させていただいたところであります。
農業を取り巻く環境は厳しい状況が続きますが、ブランド戦略の推進、6次産業化など農業の付加価値を高め、「攻め」の農業を戦略的に展開し、魅力ある農業を確立していく必要があると考えます。
そこで、農政環境部の来年度の当初予算の大項目として「競争に強い農林水産業の確立」が掲げられていますが、「競争に強い」、「攻め」の農業を展開していくことについて、来年度の予算編成のなかで、どのように反映されたと考えておられますか、特徴的な点や広くアピールされたい点についてご所見をお伺いいたします。
8 公共事業の量的確保と経済の活性化について
次に、公共事業の量的確保と経済の活性化についてお伺いします。
来年度の当初予算では、投資事業のほか、農林漁業の基盤整備対策、中小企業資金繰り対策等を事業化するため、今年度12月補正予算と2月補正予算を合わせた16か月予算として一体的に進めようとされています。
なかでも、投資的経費については、昨年度2月補正予算と今年度当初予算を合わせた14か月予算と比べて、約30%上回る2,450億円の事業費が確保されています。増加分のほとんどは補助・直轄事業なので、国の補正予算に依存している状態ともいえます。
当初予算の記者発表資料では、「国の補正予算に即応し、県内経済の活性化を促すため、需要創出効果の高い公共事業等の投資事業を中心として補正予算を編成した」とされており、公共事業による県内経済の活性化を示唆されています。
今定例会における我が会派の代表質問では、増加する公共事業に対する執行力の確保について、質問したところですが、単に、公共事業の事業量を確保することが経済の活性化に繋がるのか、かつての自民党政権下では、バブル崩壊以降、200兆円を超える公共事業を行ってきましたが、結果としては経済再生に繋がらず、借金の山を残すことになりました。
公共事業によって、経済が活性化するということは、その直接効果として、従業員を含め、受注企業が公共事業を通じて潤うことがまずもって必要であり、直接効果が薄いとそこから波及する効果も当然薄くなります。しかしながら、入札制度は、適正な競争のもと、価格を可能な限り抑制しようとする立場から設定されています。そのうえ、公共事業の価格競争が激化している現状では、工事の受注による黒字もさほど見込めない状況も続くことが予想されます。公共事業の量的確保は、需要・雇用の創出面においては一定の効果が認められるものの、果たして経済の活性化に繋がっているのか、疑わしい面もあります。
そこで、公共事業の量的確保を通じて経済を活性化していくためには、受注企業が活性化できる「適正価格」を確保していく必要があると考えますが、この点を含め公共事業の執行にあたって、どのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いします。
9 有能な女性警察官の確保に向けた取り組みについて
最後に、有能な女性警察官の確保に向けた取り組みについてお伺いします。
今定例会で、我が会派の徳安議員が行いました『女性警察官が働きやすい職場環境づくりについて』の質問に対して、塩川県警本部長からは、女性警察官の需要、期待の高まりについて改めて認識が示されるとともに、「その確保のために女性専用の仮眠室・シャワー設備などのハード整備をさらに進めるとともに、また職員の倫理教養も再度徹底し、女性が働きやすい職場づくりを進めていく」との答弁がありました。
質問の中でも紹介がありましたように、女性警察官の活躍が求められる場面がますます増大していくことが見込まれるなか、県警では「兵庫県警察における女性警察官の採用・登用拡大に向けた計画」に基づき、6年後には全警察官に占める女性の割合を現状の6.8%から9%とするべく、年間採用予定人数を拡大するなどの取り組みを進めていますが、そう簡単には増えません。結婚、出産、育児、介護などを理由に退職した警察官の再採用についても積極的に取組んでいただきたいところであります。
また、さらに深刻な状況なのは、現状で限りなく皆無に近い女性警察官の幹部への登用についてです。指導的立場に女性がいないことにより、組織が硬直化し、問題が潜在化しがちなのは、女性理事の不在がフォーカスされた全日本柔道連盟の問題と重ね合わせることができるように思います。
女性警察官の幹部への登用について、県職員と同様に目標を設定し取組むべきであるとともに、各人の意向を確認したうえで、意欲のある女性を、将来の幹部候補生として育成する取り組みも必要です。
本部長の答弁では、セクハラ問題について「現時点で常識とされることについて欠如している」とのことでした。まさに、県警察への幹部への登用状況についても当てはまるのではないでしょうか。
女性警察官が就職し、働き続けられる環境整備に向けて、先ほど質問しましたチャレンジ事業と同様に、既成概念を打ち破っていただきたいところですが、女性警察官の登用に取り組んではいますが、一般の視点からすれば、進んでいるとはいえない状況であります。
そこで、今後、兵庫県警におかれては使命感を持って、女性警察官の採用数や幹部への登用拡大をはじめ有能な女性警察官の確保に向けた環境整備に取り組んで頂きたいと考えますが、本部長の不退転の決意も含め、改めてご所見をお伺いします。
石井ひでたけ
西区
●企画県民部②
1 私学の振興について
(1) 私立高等学校への助成について
(2) 私立学校施設の耐震化について
(3) 私立学校における体験活動の実施状況について
2 適切な公共施設の管理体制の合理性について
(1) 県有公共施設の一元的管理について
(2) 県有公共施設のファシリティマネジメントについて
全文
予算特別委員会質問(企画県民部②)
平成25年3月6日(水)
1 私学の振興について
(1)私立高等学校への助成について
私立学校は、建学の精神に基づき多様な個性と能力を伸ばす教育を行うことで公教育の一翼を担っており、学力面はもとより、スポーツ活動や文化活動でも本県における学校教育の推進力として大きな役割を果たしている。
中でも、高等学校は、県内に213校あり、そのうち私立高校は52校と24.4%を占め、また、生徒数でも平成24年5月1日現在、県内144,054 人のうち、私立高校に通う生徒数は、36,238人、25.2%と、4人に1人は私立高校の生徒となっている。
しかしながら、私立高等学校経営を取り巻く環境は、少子化と就学人口の減少による生徒数の定員未充足や、公立高等学校の授業料無償化による影響などの財政面、多様な人材を雇用することによる教職員の人事制度改革等の労務管理面など、複合的な課題に直面する状況にある。
また、兵庫県内から大阪府下の私立高校への通学の増加などへの課題認識を持って新たに阪神間での私学展を予算化しているところであるが、このように、本県の公教育の一翼を担っている私立高等学校に対し、経常的経費等に対する助成、魅力ある学校づくりや特色ある教育活動等に対する助成等を推進し、教育条件の維持・向上や修学上の経済的負担の軽減及び学校経営の健全性の確保を図る必要があると考える。
そこで、県の私立高等学校に対する取組の現状について伺う。また、その効果について、どのように評価しているのか、あわせて伺う。
(2)私立学校施設の耐震化について
学校施設は、児童生徒などの学習・生活の場であることから、安全で豊かな環境を確保することが必要不可欠であることは言うまでもなく、地震発生時においては、児童生徒等の人命を守るため、十分な耐震性能を持たせて学校施設を整備することが重要である。
また、非常災害時には地域住民の応急的な避難場所としての役割も果たすことから、公立学校、私立学校問わず、その安全性の確保は極めて重要である。
平成7年の阪神・淡路大震災では、県内で3千を超える学校施設が被害を受け、中には校舎が倒壊又は崩壊した例が見られたことから、学校施設の耐震化を推進していくことの必要性が強く指摘された。
学校施設の耐震化の推進は、重要かつ喫緊の課題であるが、平成24年4月の国の調査では、公立学校施設の耐震診断実施率99.0%、耐震化率84.8%に比べて、私立学校施設の耐震診断実施率60.1%、耐震化率75.4%との全国平均が公表されており、公立学校に比べると私立学校の普及率は低いのが現状である。
そこで、本県における私立学校の耐震化はどのような現状なのか。また、公立学校に比べ耐震化率が低い場合、その要因についてもあわせて伺う。
(3)私立学校における体験活動の実施状況について
本県の公立学校における「トライやる・ウィーク」は、阪神・淡路大震災の教訓などから、「心の教育」の充実を図ることの大切さが認識され、子どもたち一人一人が自分なりの生き方を見つけられるように支援していく教育の重要性が指摘されたため、平成10年に全国に先駆けて、中学2年生が職業体験や地域や自然の中で生徒の主体性を尊重した様々な体験活動を通して、豊かな感性や創造性などを自ら高めたり、生き方を見つけることが出来るように支援するという趣旨で始まった事業である。
また、その取り組みを通して学校、地域との連携を深め、社会全体でこどもたちの人間形成や社会的自立への支援を行うことで、相互の理解やつながりが深まり、地域、社会に開かれた学校づくりが推進され、地域住民の学校教育への積極的な参画しとうという意識が醸成され、学校教育の多様化、活性化さらには地域の活性化にもつながっている。
平成23年度の実施校は365 校、参加生徒数は48,885 名、分野は、職場体験活動、ボランティア・福祉体験活動、文化・芸術創作体験活動、農林水産体験活動などで、その内容は、幼児教育、販売、飲食店等、社会福祉施設、製造・建築、病院など非常に多岐に渡っている。生徒を受け入れる関係者や、活動場所の確保にご尽力されている先生方にお礼を申し上げたい。
体験をした生徒の多くは、「働くことの大切さ、厳しさ、楽しさを感じた」「社会のルールやマナーの大切さがわかった」「コミュニケーションの大切さを感じた」「人とのふれあいが楽しかった」といった感想を寄せており、また、保護者の多くも「貴重な体験をさせていただいた」と感謝を述べられるなど、本当に有意義な取り組みであると認識している。
その他にも小学生を対象とした、学校では経験できない自然や社会等の様々な体験活動を通して、豊かな人間性や問題解決能力などを育成することを目的とした「自然学校」「環境体験事業」、中学生を対象とした普段聴く機会の少ないクラッシック鑑賞を通し、音楽の素晴らしさを身近に感じてもらうことを目的とした本格的なホールとオーケストラで体験できる「わくわくオーケストラ教室」などにも取り組んでおられる。
そこで、公立中学校と同様に、私学の生徒たちも「中学校社会体験活動推進事業」や「小学校環境体験活動事業」など様々な体験活動を通じて学習していることと思うが、その現状と県による支援の現状を伺う。また、さらなる導入を推進していくべきと考えるが支援について伺う。
2 適切な公共施設の管理体制の合理性について
高度経済成長期を中心に整備された多くのインフラ、公共施設の老朽化が進む中、これらの施設の建て替えや修繕などの時期を一斉に迎える状況にある。経済構造の変化・人口減少社会を迎え、財政状況が厳しい中、県有財産を効率的に運営し、かつ、有効に活用していくためには、その老朽化度合いを把握し、更新に係る時期や財政負担を明らかにし、計画的な再整備、効率的な維持・修繕計画の立案が重要となってくる。
いわゆる経営的視点から公共施設を総合的、計画的に管理するファシリティマネジメントという考え方であるが、それを可能とするために、今申し上げたような情報の一元的な管理体制の確立や少子高齢化への対応、環境負荷の低減、安全安心の確保、地域産業の振興、住民自治の推進など、時代が要請する様々な観点から公共施設を評価、選別するとともに、財政運営の観点と合わせて総合的な判断や経営戦略の構築することが必要である。さらには将来の人口構成や財政負担等を考慮した、改修の優先順位や統廃合等の必要な施設、複合化や広域化等による効果が高い施設などを洗いだし、実施年度などの見通しを示した再編計画の方針を明示することが重要となる。
東日本大震災時には東京の九段会館においても天井が崩落し犠牲者が出るなどの事故が発生した。橋梁や道路などとは違い、規模も大きくはないが、やはり市民の安心・安全を守るという観点は重要である。
以前何人かの議員からも本会議や委員会でファシリティマネジメントに対して質問があったが、県土整備部の「ひょうごインフラ10箇年計画」のように、長期的なスパンで県有施設の修繕・維持管理の計画を策定するという発想が必要という観点から質問をしたいと思う。
(1)県有公共施設の一元的管理について
このようなファシリティマネジメントの実践においては、全庁的な観点から意志決定を図っていく必要があるが、一元的な施設管理情報が整備されないままでは、総合的な判断や経営戦略の構築は難しい。部門を横断する統括的戦略が必要と考えるが、全庁を管理する部門として県有公共施設の現状をどう捉えているのか。
(2)県有公共施設のファシリティマネジメントについて
ファシリティマネジメントの目的は財務・品質・供給の3つ要素があり、長期にわたり、経済的なコストで、良好なファシリティを、最小必要なものをタイムリーに提供することと言われている。また課題に応じて、この3つの目標のバランスを取ることが大切である。経済構造の変化・知識社会・人口減少社会を迎え、財政状況が厳しい中、施設の利活用、建物の長寿命化、新しいサービスニーズに対応することなども含め、県有公共施設を長期的視野で戦略的に統括し、質の高いファシリティサービスを提供・維持することが必要と考えるが所見を伺う。
●農政環境部
1 ブランド価値創造・定着事業について
(1) KOBE BEEFの海外展開について
(2) ひょうごブランドの認識と販売促進戦略について
2 インキュベーター事業について
3 シカ被害対策について
4 シカ肉の有効活用について
全文
予算特別委員会質問(農政環境部)
平成25年3月11日(月)
1 ブランド価値創造・定着事業について
⑴KOBE BEEFの海外展開について
国内においては、少子高齢化による人口減少や市場規模の縮小、海外においてはアジア周辺の新興諸国の経済成長など、さらには安倍首相はTPP交渉への参加に積極的な姿勢を示しており、県内の農林水産業への影響が懸念される。産業としての力強い農林水産業を再生するためには、本県における経済活動について国内はもとより海外展開をますます加速していく必要がある。
そんな中、本県においては、昨年7月には、香港、広東省の海外バイヤーを招いた県内産地の視察や、神戸市内での商談会の開催、8月には、世界中のバイヤーが商談を行う「香港フード・エキスポ」への神戸市・JETRO神戸との共同出展。さらに11月には、香港の百貨店で、「ひょうご農林水産フェア」を開催し、知事自らトップセールスを行うなど、県産農林水産物の輸出促進に取り組まれている。
さらに、昨年「KOBE BEEF」を香港・マカオ・アメリカへ、「兵庫県産米」を香港・オーストラリア・ドイツへそれぞれ輸出が始まった。特に「KOBE BEEF」はブランド力やおいしさから、輸出先で高い評価を得ており、問い合わせも多く寄せられていると伺っている。
本県では、来年度の予算において、ブランド価値創造・定着事業として、ひょうご農畜水産物輸出加速化事業、ひょうごの農林水産物等の輸出促進、「KOBE BEEF」「TAJIMA BEEF」の流通拡大対策、ひょうご五国のめぐみ首都圏プロモーションなどの新規事業に取り組まれるとのことである。
そこで、「KOBE BEEF」の海外での販売について、来年度、県としてどのような支援を行うのか。また、今後の展開についても併せて伺う。
⑵ひょうごブランドの認識と販売促進戦略について
KOBE BEEFは以前から国内外での知名度は高かったが、お米、お酒などの数種を除いたそれ以外の県産品に関してはまだまだ、認知度が低いのが現状である。
認知度が高いブランドの力も借りてひょうごブランド全体の価値を高めていく取り組みが必要であろうし、国内、海外における販促活動の内容の違いやそれぞれのブランドの価値に合わせた販促活動のあり方というものもあると考える。
そこで、ひょうごブランドというものの価値を県としてどう認識し、ひょうごブランドを売り込むためにどのような戦略をもって取り組んでいるのか伺う。
2 インキュベーター事業について
そのようなひょうごブランド価値創造・定着事業を担って行くべき人材も高齢化が進み、若者や他業種からの新規就農者の育成・確保も急務である。
平成21年度の予算委員会で、農業分野の参入へ意欲を持った企業などを企業誘致という意識で、制度的に支援する施策が必要であり、参入を誘導する新規就農インキュベーター事業への取り組みについて質問させてもらったが、
「就農支援センターが、参入企業に技術や営農計画の策定の指導を行い、農業経営安定を支援する。雇用就農者には参入企業が育成し、事業の終了後も継続雇用を要請するほか、他の農業法人等の紹介に努める。独立をめざす場合には、農地や資金などの経営基盤の確保や、技術や経営力の向上等、総合的に指導・支援する。
まずは、今後の本県農業の発展に資すると見込まれ、かつ継続的な雇用が見込まれる企画を企業や農業法人等から募集し、概ね4経営体を採択し、年間14人、3年間で計42人の雇用創出、さらにはこれら全員の将来的な独立就農を目標とする」と答弁された。
今年度、インキュベーター事業は、緊急雇用創出基金で継続した事業となっているが、その企業による雇用の状況など、これまでの取り組みの中で効果をどのように捉え、今後推進していくのか伺う。
3 シカ被害対策
昨年3月に策定された、県の第4 期シカ保護管理計画によると、「シカは、県内の本州部から淡路地域にかけて広く分布し、平成22年11月時点で推定生息数は約15万頭。捕獲数の拡大にもかかわらず依然として横ばいで、顕著な減少傾向は示していない。また、農業被害は、平成22 年度で、野生鳥獣全体の被害金額約9億7千万円のうち、シカによるものが最多の約4億7千万円で、全体の48%を占めている。狩猟免許所持者数は、昭和59 年には1万人近くであったものが年々減少し、近年は約6,000 人で推移している。」と報告されている。
また、シカが増えるにしたがって森林被害として中層以下の樹木の下枝や地表の植物が食害され、下層植生が衰退し、むき出しになった表土が流出するなどの事態や、シカが自動車や列車と衝突する等の事故や、人家の庭木を食害するなどの生活被害も懸念される。
シカ捕獲数は平成21年度20,000頭、平成22年度には30,000頭、25年度には35,000頭と徐々に目標が上方修正されていますが、それはどういった検証がなされたことによるものなのでしょうか?
平成25年度、シカの捕獲対策として3万5,000頭の捕獲や、分布拡大地域でのシカ、イノシシなどの生息調査、集落へのわな捕獲指導など「ストップ・ザ・獣害」、シカ肉の有効活用として、シカ肉処理加工施設の整備、狩猟者の後継者対策として狩猟技能向上促進対策の拡充、「ハンター養成出前講座」などの新規事業が予算化されている。
これまでの取り組みの評価とそれを受けて今年の予算は新規事業の効果をどのように捉え予算化されたのか伺う。
4 シカ肉の有効活用について
当初はシカの捕獲は農林業被害防止対策として始まったわけだが、捕獲後、食材としてのシカ肉をどう有効活用していくのかという課題に取り組むことは、ひいてはシカの捕獲を進めることともなる。
シカ肉は食用として使える比重が約3割と少なく、結果的に効率が悪く単価が高くなってしまう。また、臭みのない肉を確保するため、素早く血抜きすることが重要で、解体処理する際は、捕獲から血を抜いた後、2時間以内に解体処理しなくてはならないといわれていること、など理解はしています。
しかしながら、シカ肉は、取り扱うことによって地産地消を推進し、地域の人の地場産業となるような施策を打ち出すことができる。鳥獣被害対策に関しては、シカ肉の有効活用だけでなく、シカの全部位の有効活用、猟師の確保も必要なのはもちろんだが、一番県民に広く伝えるためにはシカ肉を食するという象徴的なことでリーデングしていくことが重要で、そのためには、阪神間の飲食店を巻き込んでいくことが必要だ。
捕獲したシカ肉の有効活用として「ジビエ」としての需要拡大を図るため、現在「シカ肉活用ガイドライン」の普及、イベント等でのシカ肉料理の試食会、レシピ提供など取り組んでおられると思うが、さらにブランドとして推進していく必要があると考える。
既に県が定めたシカ肉の食肉処理に関する指針に基づき処理されたシカ肉に与えられる県のブランド「ひょうご推奨ブランド」に県内で2件認定されている。認定を受けたシカ肉であれば、ブランド戦略として位置づけ、販売等の促進を図っていくことができる。
シカを捕獲することだけに終わらず産業化していくことが、ひいてはそのことにかかわる人たちに、ある意味恩恵がかえってくるような仕組みを構築することが必要ではないか。また、猟師の後継者確保にもつながっていくような取り組みにしていかなくてはならないと考えるが所見を伺う。
●県土整備部
1 インフラ老朽化対策について
2 生活道路緊急改善事業について
(1) 実績とその効果について
(2) 今後の取り組みについて
3 県民まちなみ緑化事業について
(1) これまでの取り組みについて
(2) 制度改正の目的とその効果について
全文
予算特別委員会質問(県土整備部)
平成25年3月12日(火)
1 インフラ老朽化対策について
我が国の公共投資の額は、60年代の東京五輪期から70年代の高度成長期、80年代のバブル経済期、そして90年代のバブル後の不況時の景気対策期を通じて、ほぼ一貫して増加してきた。2010年度の調査では、橋長15メートル超の道路橋は全国に15.5 万橋あり、建設後50年以上を経過した道路橋は全体の8%であった。しかし、調査から20 年後の2030年には、建設後50年を越す道路橋が全体の約53%に達すると試算される。同様に、排水機場、港湾岸壁など重要なインフラも、2030年には50%以上が建設後50年以上を経過すると推計される。
東日本大震災前から、インフラの老朽化対策の必要性が高まっていたが、震災を機に近い将来発生が予想される首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの被害想定が、大幅に見直されたのに伴い、防災対策の観点からも一層取り組みが強化されることになった。
公共施設の維持管理は、これからの地方公共団体にとって大きな政策課題の一つであり、そのため、公共施設をより戦略的な観点からマネジメントすることが一層必要となってきている。多くの公共建築物が更新時期を迎え厳しい財政状況の中、将来的には維持管理・更新需要の増大によって、新設投資が削減せざる得ないことも予見される。早い時期に対策を講じることで将来の負担軽減を図る長寿命化も含め、今ある社会インフラ設備の効率的かつ計画的・戦略的な維持管理・メンテナンス・更新に関する、全体を見据えた計画的な対応が必要である。
そこで、本県においても、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画に基づく老朽化対策を推進するにあたり、試行運用を開始している社会基盤施設総合管理システムをどのような観点で構築し、平成25年度から本格運用に取り組むのか伺う。
2 生活道路緊急改善事業について
(1) 実績とその効果について
近年の厳しい経済状況を受け、建設改良等の投資縮減が行われたため、これまで進められてきた2車線改良といった道路整備が抑えられている。
一方、県民が日常生活で利用する生活道路において、歩行者・自転車の危険箇所や自動車の通行支障箇所といった身近な課題の解決を求める県民のニーズが根強いことを受け、生活道路緊急改善事業が、23年度から25年度までの3ヶ年において実施するべく創設された。
また、23年の台風12号などの教訓を踏まえ、簡易な防災対策についても対応できるよう当該事業が拡充され、対策が進められてきた。
この事業においては、きめ細かに、ちょっとした工夫を行うことにより、身近な課題が解決されることから、本格的な道路整備が行われることを長期間待ってきた県民にとって、非常に評判の良いものと考えられており、現に、県民からもそのような声を聞いているところであり、今後もこの事業を継続してほしいと考えている。
そこで、これまでに「生活道路緊急改善事業」として実施してきた実績と、県民の声など、その効果について伺う。
(2) 今後の取組について
地方でも人家が沿道に密集する箇所では、側溝の蓋かけ・のり起こし等の対策に必要な空間がない等により、これまでの生活道路緊急改善事業では対応が困難な箇所があると聞いている。
一方、一昨年、民主党が推進した、地方自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図るため、義務付け・枠付けを見直すとともに、条例制定権の拡大を定めた地域主権改革推進一括法が公布され、県では、この法律に基づき、条例において、道路の構造について独自基準を設けている。
25年度から、この独自基準を活用した小規模な改良に取り組まれるとのことですが、その成果を確かなものとするため、どのように取り組むのか伺う。
3 県民まちなみ緑化事業について
(1) これまでの取組について
県では、18年度から導入された県民緑税の一部を財源として、都市環境の改善や防災性の向上を目的に、住民団体等により実施される植樹や芝生化などの緑化活動に対して支援を行う「県民まちなみ緑化事業」に取り組んでいる。
この事業は、自治会や婦人会、老人会などの住民団体が都市地域において樹木を中心とした緑化活動に取り組む場合や、法人や県民の方がまとまった面積の緑化を行う場合等に、必要な緑化資材費などの補助を行うものである。
22年度までの5年間に実施された第1期の県民まちなみ緑化事業では、県内で計362,000本の植樹と229,000平方メートルの芝生化が行われた。
しかしながら、第2期事業の着手に際して行った事業の検証結果では、①県民参画の担保と公益性の配慮が不十分であること、②維持管理の不備、③対象地域の不均衡であることが明らかになった。
このため、第2期事業では、①県民参画の担保と公益性に応じた負担、②継続的な維持管理の担保、③市街化調整区域内集落を対象地域に追加するなどの制度改正が行われている一方、23年度は当初予算に対する執行率が約40%となるなど、補助申請件数が激減したと聞いている。
これを受け、24年度はどのような取組を行い、執行状況はどう変化したのか、伺う。
(2) 制度改正の目的とその効果について
これらを踏まえ、25年度より、①住民団体が公共用地で緑化活動を実施する場合、市街化区域以外の調整区域等にも対象地域に追加する、②校園庭の芝生化の最小規模面積を30平方メートルとする、③個人・法人等が行う場合、緑化資材費以外の施工費も含めた全体経費を補助対象経費として、その1/2を補助する、といった制度改正を行うこととして
●教育委員会
1 学校給食における地場産物の活用促進について
(1) 学校給食における地場産物活用促進事業について
(2) 関係部局等との連携について
2 高校生ふるさと貢献活動について
3 高等学校での日本史の必修について
(1) 副読本「世界と日本」の作成状況等について
(2) 日本史の必修化について
全文
予算特別委員会質問(教育委員会)
平成25年3月13日(水)
1 学校給食における地場産物の活用促進について
(1)学校給食における地場産物活用促進事業について
平成17年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」においては、地産地消の推進が重要政策課題の1つとして位置付けられるとともに、同年6月に制定された「食育基本法」で、食育の推進方策の1つとして学校給食における地産地消の促進が掲げられた。それを受ける形で「地産地消」の推進と、健全な食生活を実践することができる人間を育てることを目的とする「食育」の推進が全国的な運動として展開されている。
本県においても、平成20年度の実績は品目ベースで見れば約3割近くの県内産物を活用しているところである。
学校給食の地場産物活用においては、決まった食数を短時間で調理しなければならない現場をはじめ、生産者、行政、保護者も食材の一括安定供給、価格、規格などの課題も抱えるが、次のようなメリットがあるといわれている。
⑴ 地域で採れる豊かで新鮮な農水産物等を学校給食の食材料として取り入れることにより、児童・生徒に正しい食材の知識や食べ物の大切さや、それを育む自然の素晴らしさを学ぶ機会になる。⑵ 児童・生徒が、郷土を愛する心、生産者に対する感謝の心を育む良い機会となり、学校給食を通じて地域の農業・漁業や歴史・文化・風習を学習するという教育的効果などの期待ができる。
そのような効果が期待され、また地域の子供たちの健康や安全は地域の大人たちが責任を持つという観点からも、学校給食における地場産物活用をさらに進めていくべきと考える。そこで、学校給食への地場産物の活用促進や地場産物を活用した食育を促進する新規事業「学校給食における地場産物活用促進事業」はこれまでの取り組みとはどう違うのか伺う。
(2)関係部局等との連携について
来年度、農政環境部局においては、学校給食における県産農林水産物の利用を促進するため、県内連絡体制の整備やコーディネーターによる県産農林水産物の県産県消に向けた市町への個別支援などを行う「学校給食県産県消マッチング事業」や、学校給食に関する食育体験学習等の取り組みを支援する「県産県消レベルアップ事業」を実施する。
そこで、教育委員会として農政環境部局でのそういった取り組みや各市町の教育委員会が取り組んできた食育と連携をどう取っていくのか伺う。
2 高校生ふるさと貢献活動について
以前私が「地域・郷土を愛する心の教育の推進について」という質問の中で、「たとえ生まれ故郷を一時期離れようとも、いつか生まれ育った地域に何か恩返しをしたいという思い、自分がお世話になった地域にいつかお返しをしようという気持ち、その地域に生きる次の世代につないでいこうという気持は大切ではないだろうか?
学校教育の中で、トライやる・ウィークなど地域の働く人とふれあうことを経験する体験活動があるが、さらにもう一歩進んで、地域に根ざして働く人の体験を聞き、考え方、生き方を学ぶというカリキュラムがあってもいいのではないか。ゆくゆくは地域に生き地域社会を背負って立つ人づくりにつながるような、地域・郷土を愛する心の教育に積極的に取り組んでいくべきではないか」と申し上げた。
その問いに対し、大西教育長から「自分が生まれ、育まれた地域との心のつながりを確立し、地域・郷土を愛する心をもつことが、心豊かに成長し、人間形成をしていく上でも、非常に大切である。ひょうご教育創造プランにおいても、「ふるさとを愛し、互いに支え合い協力しながら明日の兵庫を切り拓いていく人」を目指すべき人間像として位置づけ、地域の人々と手を携え、兵庫の発展に貢献する力を培う取組を進めてきている。」と答弁された。
知事は予算等提案説明の中であえて「高校生ふるさと貢献活動」について取り上げ、「豊かな心を育む教育の推進」に特に取り組んでいかれると表明されました。生まれ育った地域・郷土への愛着・誇りを醸成するためには、社会全体・地域全体で育て、その取り組みを継続していくという意識が重要と考える。
県では、既に小学校で地域の環境について学ぶ「環境体験事業」、中学校で地域のさまざまな活動を体験する「トライやる・ウィーク」を実施されている。これらの取り組みを、来年度、高校生を対象とした「高校生ふるさと貢献活動」にどのようにつなげ、発達段階に応じた地域・郷土への愛着・誇りを醸成していくのか伺う。
3 高等学校での日本史の必修について
(1)副読本「世界と日本」の作成状況等について
国際社会に生きる自覚と多様な文化を尊重できる態度や資質を育てるため、日本の伝統文化等の学習活動を目的とした教材「日本の文化」を平成18年度に作成し、全県での取り組みを進めていると聞いている。そこで、現在、教材「日本の文化」を活用した授業等は何校程度で取り組まれているのか。
また、以前何人かの議員から、そういう質問をしており、それに対して、世界史の中で日本史を対比しながら学ぶことができる「世界と日本」という副読本を24年度から2年かけて作成するとの答弁だったが、約1年経ちどういう状況か。
(2)日本史の必修化について
教材「日本の文化」を活用することで、日本史を必修させることの補完をしようとする試みは理解するし、教材「日本の文化」も見せてもらったが、読み物としてはいいものであり、関係された先生方の努力には敬意を表する。
しかし、やはり本筋の日本史をすべての高校生にきちんと学習させるという意味からすると、取ってかわることはできないと考える。
文科省の学習指導要領をみると、高校での「地理歴史」は2科目あり、1科目は世界史で必修となっており、もう1科目は日本史か地理かの選択制である。つまり、現行の学習指導要領では、高校に入って日本史を学ばないまま卒業する生徒があるということであり、本県ではその割合は約4分の1と聞いている。
平成21年3月の学習指導要領の改訂でも、日本史を必修とすべきだという議論が検討課題に上がったが、小学校と中学校の社会科では日本の歴史を中心に学習することを踏まえ、高校では世界史を必修とするという学習指導要領が再び決定された。
東京都では、日本人としての意識を高めるため、高校生に日本史を継続して学ばせることが重要であるという考え方に基づき、平成21年度に『日本史必修化検討委員会』を立ち上げ、独自の日本史必修化を表明。日本史科目の教科書を作成し、教育委員会ホームページにテキスト案を掲載して都民からの意見を求め、施行実施のために協力校の在学生や関係教員などに配布、学校現場の意見も求めるという過程を経て、平成24年度、都立高校で全面実施がスタートするとともに、独自の日本史科目「江戸から東京へ」を設置した。
また、これに先立ち横浜市では全ての市立高校で全国初の日本史の必修化を22年度から実施、また、全ての神奈川県立高校でも25年度からの実施を決定している。
以前、私が「地域・郷土を愛する心の教育の推進について」質問させてもらった中で、大西教育長から「グローバル社会であるからこそ、地域や郷土の伝統・文化を基盤とすることが重要であると考えており、これを基盤として世界に雄飛できる人材を育成する一方で、少子高齢化、都市集中化が進む中、地域社会の活力を高めることが求められている。地域の担い手となる人材の育成をめざした教育を進めていきたい。」という答弁をいただいた。
まさにこの観点は、グローバル化が拡大する中で自分たちのアイデンティティーをしっかり理解するために、先人の思い、考えを感じ、国や地域の文化、伝統を知り、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを育むということに通ずると考える。今の時代こそ、日本史を体系的に学ぶことは必要。国の指導として日本史の必修化を図ってほしかったが、それは次回に譲るとして、県としては、制度の中で裁量があり、重要性を認識されているのであれば、環境を整えて、日本史の必修化の導入に向けて取り組んで行くべきと考えるが所見を伺う。
大塚 たかひろ
須磨区
●財政状況
1 県民に対する予算案の説明と広報について
2 適正な県債残高について
3 収支不足額の発生について
4 選択と集中について
5 県議会や各種団体からの要望について
6 行革後の財政運営について
7 中長期にわたる施策の財源について
8 予算節約インセンティブ制度について
9 各種基金の運用手法と運用収入額について
10 個人県民税の税収確保に向けた取組について
全文
予算特別委員会質問(教育委員会)
平成25年3月5日(火)
1 県民に対する予算案の説明と広報について
2月18日に平成25年度の予算案が提示され、翌19日には新聞各紙でこの予算案についての報道がなされました。神戸新聞を中心として、各紙は「過去最大の県債残高4兆6,680億円」と報道しましたが、県民はこの記事を読んでどのように感じたでしょうか。
「過去最大の県債残高」と言っても、実際には臨時財政対策債や減収補填債など、後年度に交付税措置される、実質的な借金ではないものもありますが、県民からすれば、借金の性質についてのそのような難しいことはわからないのではないでしょうか。県債残高の状況を丁寧にお伝えすることはもちろん、今後の見通しを共有することが重要ではないかと考えています。
まず、はじめに、県民に対してわかりやすく、また不安や心配を煽らないような予算案の公表や、県民への丁寧な説明の必要性について、どのようにお考えか、お尋ねします。
2 適正な県債残高について
続きまして、適正な県債残高とはどの程度だと考えるのか、についてお尋ねします。
本県は人口減少に転じています。同時に労働者人口も減少していく恐れがありますし、県内GDPの低下、県民の所得の低下など、今後の本県歳入に関わる不安な要素を抱えています。それにも関わらず、県債残高は増加の一途であります。今年度の予算編成を見ても、前年度に比して県債残高が約2,327億円増加し、4兆6,680億円の県債残高となるとされています。臨時財政対策債や減収補填債、及び緊急防災・減災事業債を除いた残高でみても、前年度に比べて823億円増加し、3兆2,639億円となる見通しとなっています。
平成30年度までの財政フレームによりますと、県債残高は平成28年度まで増え続け、その後も4兆円を超える高い水準で推移する見通しであります。これは、「県債残高は減っていかない、減らしていけない」という状況を示しているのではないでしょうか。実質公債費比率や将来負担比率等の財政目標は達成していく予定とのことですが、私は将来世代に多くのツケを残すことに対して、大変不安を感じています。
本県の今後の進みゆく人口減少、経済状況、県民所得の変化などに応じて、私は県債残高のダウンサイジングへの転換を進めていかなければならないと考えますが、今後の県債残高のハンドリングについて、どのようにお考えでしょうか。また、本県の実力に応じた県債の許容限度をどれぐらいと考えているのか、お聞きします。
また、財政フレームでは、県税等を経済成長率に合わせて伸ばす見込みとなっていますが、県税等の収入と県債償還額の望ましい比率をどうお考えか、併せてお伺いしたいと思います。
3 収支不足額の発生について
続きまして、収支不足額について質問します。
一般財源総額が抑制されている中で、県民のニーズに応えるためにやむを得ず、収支不足額が発生していると理解はしていますが、県民にとっては収支不足が発生している状態については、健全な予算編成かと疑問を抱くのは当然だろうと思います。予算編成方針等では、たびたび「選択と集中」という言葉を用いていますが、収支不足が出ている予算編成を見ると、この「選択」が徹底されていないのではないか、言い方を変えると「まだ選択し過ぎ」ではないかと感じます。予算編成とはこういうもので良いのでしょうか。事務事業の見直しによって、平成24年度の2,205事業から、平成25年度は2,094事業へと、前年度比で111事業を削減されてきていますが、それにも関わらず収支不足が出ていることは残念な気がします。改めて、収支不足額が発生した背景についてご説明願いたいと思います。
4 選択と集中について
引き続いて、いま取り上げました「選択と集中」について質問します。
平成25年度の予算編成方針では、行財政全般にわたる改革の推進として、一つに「事業水準の適正化、給付と負担との適正化、市町・民間との役割分担の明確化等の観点からの事務事業の見直し」、二つに「事務事業の廃止・縮小、整理、外郭団体への派遣職員の見直し等による定員削減等に留意」して、「選択と集中」による施策の重点化を図るとしています。この「選択と集中」について、具体的にどのような取組をしたのか、例を挙げてご説明いただければと思います。
5 県議会や各種団体からの要望について
続きまして、県議会や各種団体からの要望に、どのように対応するのかについて質問します。
県民の代表であります県議会から本会議や委員会での質問・要望、また各会派からの予算申し入れなど、各部局に対する予算要求があります。それだけでなく、市町、各種団体からもさまざまな形で予算要求されるだろうと思います。すべてを採択していては当然財源が足りないわけでありますが、それらの要望に対する「選択」の基本的な考え方や方針について、当局の所見を伺いたいと思います。
6 行革後の財政運営について
続きまして、行革後の財政運営について質問します。
行革の中で、一般事業費は毎年度削減されており、平成25年度予算においても前年度比で23億7千万円の削減を予定されております。もう5年になるこの行革で、事務費や施設維持費の削減について、「もう限界だ!」という悲鳴にも似たような声が各地から私のところに届いております。行政サービスの最前線である地方機関や県立施設は、人員削減、事務費削減等でこれまでのサービス水準を維持することが困難になってきているのはないでしょうか。来年度からは電気代もアップするような話も出ているところです。
人員削減は平成30年度までの目標が決定されていますが、一般事業費については、平成25年度に策定される第3次行革プランでも引き続き削減される見通しなのでしょうか。それを前提とした財政フレームとなっているのか、当局の所見をお伺いしたいと思います。
また、平成25年度は行革の中間年でありますが、この行革プランを達成した先に明るい未来があるのか、質問します。
7 中長期にわたる施策の財源について
続きまして、中長期にわたる施策の財源について質問します。
私は現在、建設常任委員会に所属しています。21世紀兵庫長期ビジョンに基づく「津波防災インフラ整備5カ年計画」や、「ひょうごインフラ・メンテナンス10カ年計画」、「山地防災・土砂災害対策緊急5カ年計画」、「地域総合治水推進計画」など複数年にわたる事業計画に触れる度に、いつも「財源は大丈夫なのだろうか」と心配をしています。
平成25年度の投資フレームでは補助・直轄事業費と県単独事業費を合わせて1,665億円となっており、平成26年度から平成30年度までの投資フレームは毎年度1,543億円と少し枠を減らされています。今後も何かの理由で投資フレームの見直しが行われるかもしれません。
社会基盤整備は中長期的な視点で事業実施していく必要があります。社会基盤整備というと新規公共事業をイメージしがちでありますが、今ではご承知のように施設維持のための老朽化対策など「メンテナンス」に事業がシフトしてきています。これこそ削減困難な経費ではないかと考えられます。しかし、予算は単年度であります。複数年を保証するものではありません。毎年毎年の予算編成時において、計画通りに財源を確保できるように建設当局も努力するのでしょうが、やはり将来を保証されないことについては不安を拭えないのではないでしょうか。
そこで、ビジョンや計画の達成のための、中長期にわたる事業財源について、どのように考えているか、お聞きします。
また一方、複数年の中長期的な計画の財源を保証するということは、固定的な予算額の増加に繋がり、投資的経費抑制の中、財政の弾力性が心配になってきます。財政当局としては悩ましい問題だと思いますが、中長期的な予算確保による計画的な事業実施の一方で、新たに発生する行政課題に対応できる財政の弾力性についての当局の見解についても伺いたいと思います。
8 予算節約インセンティブ制度について
続きまして、予算節約インセンティブ制度について質問します。
予算執行の工夫や改善によります節約額の全額を予算要求枠に加算する「予算節約インセンティブ制度」ですが、シーリングで削減が続く中、各部局にとっては貴重な予算であろうと認識しています。アメとムチではないでしょうが、今後、一般事業費の増額が期待出来ない中で、この制度に活路を求めて一層予算の使い方に工夫されることを期待しますが、これまでにどのような取組みがあったのかを含めて、当局の所見を伺いたいと思います。
9 各種基金の運用手法と運用収入額について<当局ヒアリング>
続きまして各種基金の運用手法と運用収入額について質問します。
兵庫県の各種基金の残高がここ数年で大きく伸びています。その要因には国の財政出動による基金の積み増しや、借換債の平準化対策などによるものだと認識していますが、今ではその基金の合計が5,700億円を超えてきています。今すぐ使うわけではないこの基金の残高が大きくなってきていることで、今まさにその基金の運用は重要度が増してきているのではないかと、私は注目をしています。
まず、基金の運用方針についてお聞きしたいと思います。安全性を確保しつつ、有利な運用に努めることが前提だと思いますが、短期、長期のバランス、リスクのとり方などはどうなっているでしょうか。
次に、運用利子額の状況です。運用できる基金の額が増加しているにも拘わらず、運用利子額はここ3年で見たときに減少しています。平成21年度で約20億円、平成22年度で約16億円、平成23年で約14億円となっています。大幅な減少と言えます。この要因は一体何なのか。運用は上手くいったと言えるのかお聞かせください。
また、具体的な運用として国債、地方債の購入、金融機関への預託、現先運用などが中心だと聞いておりますが、運用方針で許されている外国債券の購入はあまり取組まれていないようです。その点についてのお考えをいただくとともに、今年度の資金運用方針について併せてお伺いしたいと思います。
10 個人県民税の税収確保に向けた取組について
最後に、最大の税目である個人県民税の税収確保について質問をさせていただきます。
個人住民税等の税収確保については、整理回収チームの方で相当努力されてきていると聞き及んでいます。国から地方への税源移譲が行われ、個人住民税の地方税に占める割合が一層高くなってきている中ですから、その重要度が増しています。平成23年度の個人県民税をみると、県税収入の35.7%を占めるまでになっており、一方、収入未済額の72.3%を占めるまでに増加しています。
徴収率アップを果たすには、この個人県民税を如何に徴収していくかが大きな課題であります。しかし、個人県民税は市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策では収入確保が図れるものではありません。市町の徴収能力に大きく影響されます。
そこで、県では平成19年度から税務課に個人住民税特別対策官を設置し、整理回収チームを市町へ派遣し、また県・市町共同徴収対策などを行って、市町の徴収技能を向上させるための支援を行っています。この整理回収チームのこれまでの取組として、滞納整理状況の推移等、その成果についてお聞きしたいと思います。
また、市町ごとに徴収率の良い悪いがあろうかと思いますが、徴収率の悪い市町に対しては、特にどのような改善策をとっておられるのか、ご所見をお伺いしたいと思います。
●企画県民部①
1 芸術文化センターの運営について
(1) 設備・備品等の更新について
(2) 車いす利用者への対応について
2 (公財)兵庫県芸術文化協会の収入確保策等の強化について
3 県広報分野におけるはばタンの積極的活用について
4 自転車の交通安全対策について
(1) 県下における自転車運転免許証等制度の取組の現状について
(2) 自転車運転免許証等制度の更なる普及促進について
全文
予算特別委員会質問(企画県民部①)
平成25年3月6日(水)
1 芸術文化センターの運営について
最初の質問は、「芸術文化センターの運営」について、2点お伺いします。
(1) 設備・備品等の更新について
まず、設備・備品等の更新について質問します。
兵庫県が誇るべき施設となっています兵庫県立芸術文化センター(ここから芸文センターと言います)に一番近いところに住んでいる県会議員として、(質問をしないわけにいかないと思い)質問をさせていただきたいと思います。
平成17年10月に芸文センターがオープンして以来、7年半が経過しようとしております。この期間と言うのは、まさに私自身も含めて、地元西宮北口周辺の商店街・商業施設や住民の皆さんとともに、芸文センターを核とした「音楽のまちづくり」を進めてきた歳月でありました。これまで様々な苦労や努力を重ねて参りましたが、芸術監督プロデュースオペラやコンサート、管弦楽団定期演奏会をはじめ、バレエ、ミュージカル、演劇、ダンスなど、今では年間約300本もの主催公演を展開されており、阪神間のみならず近畿各地から、また全国からも多くのお客様を呼び込める、全国屈指の文化拠点となっており、地元の我々としても、芸文センターは我が街の誇りであります。
そのような芸文センターですが、聞くところによると施設内の設備等の老朽化が進みつつあるようです。公演が多く、設備等の利用頻度が高いこともあろうかと思います。最近では舞台天井部にあるバトンを操作する操作卓や監視カメラなどに不具合が出たことがあったようで、今後もコンピューター関係、音響、照明、そして劇場の扉などについても老朽化が心配されています。
県を挙げて行革の取組を進める中、施設維持にかかる予算を大きく確保することは困難だとは思いますが、既にオープンから7年半を経過し、施設内の設備や備品等の中規模な入れ替えが近いうちに必要となってくることは否めません。
そこで、芸文センター内における主な設備・備品等の老朽化の現状についてお伺いするとともに、今後、その更新をどのように行っていくこととしているのか、お聞かせください。
(2) 車いす利用者への対応について
続きまして、芸文センターにおける車いすに乗られている方々への対応について質問します。
現在、芸文センターの車いすスペースは、大ホールで12席、中ホールで6席、小ホールで8席が設置されています。それ自体は良いのですが、西宮市内在住の車いす利用者の方から私のもとへ寄せられたご意見によりますと、中ホールについてはその車いすスペースがホールの最後尾に設けられており、前方の席へは自力で行けない構造になっているそうです。そのため、その車いす利用者の方は、芸文センター及び県に対して、ホールの前方にも車いすスペースを設けるとともに、エレベーターの設置を要望されたそうであり、このようなご意見を受けて、芸術文化課と芸文センターでは、これまで対応を検討されてきたと聞いております。
せっかくの素晴らしい施設でありますから、是非ともセンター内全体のバリアフリーを実現し、すべての方々にこの芸文センターを十分にご利用いただけるよう、県として積極的に取り組んで頂きたいと考えます。
そこで、車いす向けエレベーター設置等へ向けたこれまでの検討状況と、今後の予定について、お伺いします。
2 (公財)兵庫県芸術文化協会の収入確保策等の強化について
質問の第2は、「(公財)兵庫県芸術文化協会の収入確保策等の強化」についてです。
先ほどお尋ねした芸文センターの指定管理者である(公財)兵庫県芸術文化協会は、芸文センターのほか、ピッコロシアターや県立美術館王子分館、県民会館などの運営業務を担っています。先日当局より示された、第2次行革プランに係る平成25年度実施計画によれば、公益財団法人化のメリットを生かしながら、スポンサー事業の拡充、企業協賛金、個人寄附の獲得を進めるなど、同協会の収入確保対策等を強化するとされています。
この点、芸文センターにおいては、大中小の各ホールのネーミングライツで年間5,250万円の収入があります。また、芸文センターの賛助会員として年会費が300万円のゴールド会員が1社、100万円のシルバー会員として1社、その他1口5万円の会員が19社42口あると聞いております。
その一方で、平成25年度当初予算案で見ると、芸文センターの運営費と交響楽団運営費として約15億2千万円が計上されています。これまでの予算特別委員会や決算特別委員会でも、度々この運営費について取り上げられていますが、私は「芸術・文化振興には一定の費用がかかる」ことについて、一定の理解をしている方だと思います。ただ、積極的な収入確保対策を進めることにより、結果的に県の財政負担の軽減につながるのであれば、非常にありがたいことだと思います。
そこで、芸術文化センターにおける賛助会員の更なる確保に努めるのみならず、(公財)兵庫県芸術文化協会が管理する他の芸術文化施設においても、企業・団体等からの協賛金の確保など、いわゆる企業メセナの積極的な活用を通じて、同協会の収入確保が図られるよう、県として取り組んでいくべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
3 県広報分野におけるはばタンの積極的活用について
質問の第3は、「県広報分野におけるはばタンの積極的活用」についてです。
我が県が誇るマスコット「はばタン」について、もっと人気者になって欲しい!もっと活用するべきだ!というスタンスで質問をさせていただきたいと思います。
私は、平成15年にはばタンが誕生して、初めて西宮のイベントで出会った時から結構ファンでした。しかしその後、あまりお目にかかることがなく、時々各地のイベントに出現したっていう姿を紙面などで発見して、「あっ、はばタン。頑張っているなあ」とうれしく思っていましたが、時々、市民・県民から「はばタングッズってもらえないの?どこで売っているの?」と聞かれて、答えに窮することがありました。「そうなんですよ!私も欲しいんですよ!」としか答えられず、県議会議員になってもなかなかグッズが増えない今日この頃であるわけです。
さて、そうこうしているうちに、ここ10年ぐらいの間に、各地でご当地の「ゆるキャラ」がたくさん誕生しました。近年の「ゆるキャラ」ブームの火付け役として最初に有名になったのは彦根城の「ひこにゃん」ではないでしょうか。
「ひこにゃん」は2006年に「国宝・彦根城築城400年祭」のキャンペーンやグッズ等で登場しました。テレビや新聞の露出が増えて一気に人気が爆発しました。同時にブログを活用して「ひこにゃん」遠征の模様や、彦根城での出演日程などを発信することでご当地への来場も増えました。また商標の無償使用を認めることで伝統工芸品までを含み、グッズ販売が広くなされてきました。経済波及効果は約338億円と言われており、現在でも全国的に人気を博しています。
そして、最近特に勢いがあるのは熊本県のキャラクター「くまモン」。「くまモン」が生まれた背景は2011年の九州新幹線の開通でした。それに合わせて、熊本県への観光誘致を目指すために2008年から動き出した「KANSAI戦略」がその始まりでした。コミカルかつ軽快な動きでPR活動をすることもあれば、大阪を中心とする観光地を中心に神出鬼没な行動を行う場合もあり、またブログ・Twitter・Facebookなどのネットやラジオなどのメディアを活用したPRが功を奏し、全国的な人気者となっています。「くまモン」は「ゆるキャラグランプリ2011」でも1位を獲得し、グッズ売り上げは昨年で293億円以上と報道されています。こちらもキャラクターの使用を無料で許可しています。
一方、はばタンはこの「ゆるキャラグランプリ2012」で865体中208位。グッズ販売も細々とやっているような状況です。「キャラクターは設定が命」と、ゆるキャラ事情に詳しい専門家は言います。マスコットキャラクターを売り出すこと自体が県の事業となるのは本末転倒ですが、例えば「はばタンが常時いる拠点を設ける」など、より積極的にはばタンを活用した効果的な広報、PRを進めることにより兵庫県のイメージアップが期待できますし、ひいては本県を訪れる観光客の増加にもつながるのではないかと考えます。
そこで、今後、本県の広報・PRに取り組む中で、はばタンの積極的活用についてどう取り組んでいくのか、あわせて、はばタングッズがより広がっていくような取組を進め、はばタンの、ひいては本県自体の知名度向上につなげていくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
4 自転車の交通安全対策について
最後に、「自転車の交通安全対策」について、2点質問します。
(1) 県下における自転車運転免許証等制度の取組の現状について
まず、「県下における自転車運転免許証等制度の取組の現状」についてです。
ご承知のように、ここ数年、車との接触事故や自転車同士の事故、自転車対歩行者の事故など、毎年8千件前後もの自転車に関する事故が発生しています。
私は今回の予算特別委員会で、自転車安全運転の啓蒙や、交通事故の取り締まり、自転車専用道の整備など、自転車に関係する部局の「企画県民部」、「公安委員会」、「県土整備部」を担当することになっていますので、各部局の審査を通じて、この自転車問題について横断的に取り組んで参りたいと考えています。
さて、企画県民部 交通安全室としては「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」等に基づいて交通安全対策を講じておられ、来年度、交通安全対策推進費として約1,700万円を計上されておられます。
予算の額の多寡というよりも、自転車交通安全意識の啓発と教育を実質的に行っている市町への支援、協働の働きかけなどがあると思いますが、近年、県下のいくつかの市町では、増加する自転車関連事故の現状を踏まえ、子供や高齢者等を対象に、参加・体験・実践型の自転車教室を開催し、その受講者に自転車免許証を交付する「自転車運転免許証等制度」に取り組んでおられるようです。
そこでまず、これまでの県下各市町における取組内容や実績について、お尋ねします。
(2) 自転車運転免許証等制度の更なる普及促進について
次に、「自転車運転免許証等制度の更なる普及促進」についてです。
本県においては、尊い人命を交通事故から守るため、ひょうご交通安全憲章の理念に基づき、県民の参画と協働のもとに交通事故のない「元気で安全・安心な兵庫づくり」を目的として、「ストップ・ザ・交通事故」県民運動に取り組んでいます。
そこで、この「自転車運転免許証等制度」についても、この県民運動の推進に取り組む中で、より一層の県下への普及促進、とりわけ自転車に関する事故が多い都市部、特に事故の多い阪神間での普及をもっと図るべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
●公安委員会
1 サイバー空間における犯罪「オンラインカジノ」について
2 「道交法改正試案」を踏まえた悪質自転車対策について
3 科学捜査支援センター(仮称)の設置について
全文
予算特別委員会質問(公安委員会)
平成25年3月8日(金)
1 サイバー空間における犯罪「オンラインカジノ」について
まず最初に、「オンラインカジノ」について質問します。
最近のサイバー空間の現状についてですが、新聞報道にもありましたように、遠隔操作型のウイルスを使った犯罪や薬物などの取引の情報などが氾濫し、様々な犯罪にサイバー空間が悪用されていると感じております。
その一例として「オンラインカジノ」の存在があると考えます。
「オンラインカジノ」とはインターネット上で開帳されている賭博であります。その「オンラインカジノ」が、密かに、いや密かにとは言えないのかも知れませんが、利用者が急増しているそうです。
日本国内における賭博行為及び常習賭博行為については刑法第185、186条で禁じられており、これに違反した場合には、同条文が適用され刑罰が科されることとなります。しかし、オンラインカジノについては、利用者は日本国内にいるとしても、①経営母体がカジノが合法とされる外国に存在する、②ネット上で賭博行為が行われるといった特殊性から、その利用行為の合法性については、グレーゾーンだと主張する意見もあります。
そのような中、2006年2月、海外で開設されたインターネットの「オンラインカジノ」を利用して賭博をさせたなどとして、京都のインターネットカフェ店員と同店の客2人が賭博容疑で京都府警に現行犯逮捕されました。これは、海外のオンラインカジノを使った賭博が摘発された事例としては全国初のケースで、既に京都地裁で追徴金計1億円の判決が出ています。その後、これと同様の容疑で摘発される事例が、東京、大阪、栃木、福岡、神奈川、岡山、札幌などでも相次いでいます。ここ兵庫の神戸においても、2008年4月にマンションの1室でインターネットに接続したパソコンを使用して賭博を行ったとして、常習賭博容疑などで14人を検挙しています。
さて、海外のサーバーで運営される「オンラインカジノ」を利用している日本人のユーザー数は50万人以上いるとも言われています。また、ある調査によると、「オンラインカジノ」を運営するサイトは、すでに2,000種類以上あると言われ、日本国内で運営している違法インターネットカジノも多くあり、暴力団の資金源になっているとの噂もあるようです。
私としては、いわば「オンラインカジノ」を野放しにしているこのような状況を一日も早く改善し、オンラインカジノを速やかに規制するとともに、最終的には個人のパソコンから直接カジノサイトに接続している利用者自身を取り締まる必要があると思います。
そこでまず、兵庫県警として県内の「オンラインカジノ」の現状についてどのように認識しているのかお伺するとともに、今後どのように対応していくのかについてもあわせてご説明下さい。
2 「道交法改正試案」を踏まえた悪質自転車対策について
続いて、「道交法改正試案」を踏まえた悪質自転車対策についての質問に入ります。自転車安全運転の質問は、企画県民部での質問に引き続いて、一連の質問として取り組むものです。
先月14日、警察庁は、交通に危険を及ぼす一定の行為(信号無視、遮断踏切立入等)を反復して行った自転車の運転者に対し、その者による危険な運転を防止するため必要があると認める時は、公安委員会の行う自転車の危険運転を防止するための講習を受けるべきことを命ずることができるとする道交法改正試案を公表しました。同試案は、自転車の交通ルールを徹底し、事故を抑止するのが狙いで、講習を受講しない場合の罰金刑も検討されており、今国会での法案成立が目指されています。
また、同試案においては、自転車の路側帯通行を道路左側に限ることにし、国土交通省によると、全国の道路約120万キロのうち、歩道のない道路、約100万キロで自転車の右側通行は禁止されることになります。
仮に、同試案どおりの法改正が行われることとなれば、本県警察としても、その内容を踏まえた悪質自転車対策に取り組んでいく必要が生じます。
そこでまず、昨年1年間に2回以上検挙された自転車運転者というのは、県内でどの程度いるのか、また、路肩左側走行も含めて自転車運転に対する取り締まり体制を強化せねばならないと考えますが、県警としての対応をお伺いします。あわせて、平成23年10月に、警察庁から「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」の指示があり、以後、様々な取組を強化されたと思いますが、それらの取組により現実に歩行者・自転車間の事故を含め、自転車の事故は抑制されているのか、県警としての実感をお聞かせください。
3 科学捜査支援センター(仮称)の設置について
最後に、平成25年度、新たに設置される科学捜査支援センター(仮称)について質問します。
県警本部の説明によりますと、同センターにおいては、客観的証拠による犯罪捜査の迅速化を図るため、証拠物件の分析・保管、DNA型鑑定機能等を集約するとともに、サイバー犯罪や科学捜査力の強化を図る最新資機材を導入するとして、設置費用3億円余りを計上されています。
そこで、同センターを設置する必要性、すなわち、どのような背景、経緯等を踏まえて同センターの設置を決定するに至ったのかについてお聞かせください。また、同センター設置の効果についても、あわせてご説明ください。
●県土整備部
1 歩行者・自転車分離大作戦について
2 景観支障建築物等への対応について
3 空き家対策について
(1) 空き家対策の今後の進め方について
(2) さとの空き家活用支援事業について
(3) 市町に対する支援について
4 西宮北有料道路の早期無料化への取組みについて
全文
予算特別委員会質問(県土整備部)
平成25年3月12日(火)
1 歩行者・自転車分離大作戦について
最初の質問は、「歩行者・自転車分離大作戦」についてであります。自転車関連の質問は企画県民部、公安委員会の質問に続くもので、自転車事故の減少に向けて横断的に取り組んでおります。
さて、この「歩行者・自転車分離大作戦」は、歩行者と自転車の事故を抑制するため、歩道や路肩のカラー舗装等による自転車通行空間の確保と歩行者の安全対策を推進する「大作戦」であります。今年度の平成24年度の新規事業としてスタートし、来年度までの2年で終了することになっており、来年度も今年度同様、6億5千万円の当初予算が計上されています。
ご承知のように、近年自転車に関する事故が増加してきております。県においてもその対策として、企画県民部では自転車交通安全の啓発運動や安全教室の開催を市町へ促してきており、また県警におかれても悪質な自転車運転者の取り締まりを強化するなど、その対策を進めておられます。この「歩行者・自転車分離大作戦」も、県組織全体としての取組みの一環であると理解しています。
このような「歩行者・自転車分離大作戦」ですが、計画目標の合計200kmの延長に対し、2月末時点で10kmの完成に留まっており、これで「本当に大作戦なのか?」と思ってしまう状況であります。
そこで、来年度で終了予定の「歩行者・自転車分離大作戦」について、目標としている200kmの延長は達成できるのかどうか、まずこの点を質問します。
また、この「大作戦」の対象となる路線ですが、もちろん自転車事故の発生状況を踏まえたものとなっているとは思いますが、警察や地域の方と連携し、“事故の起こりやすい特定の地点”をきちんと把握されたうえで対象路線が選定されているのか、その選定方法についても併せてお伺いします。
2 景観支障建築物等への対応について
続きまして、景観支障建築物等への対応についての質問をいたします。
この質問は、今定例会で上程されています「景観の形成等に関する条例の一部を改正する条例」に関連するもので、私も昨年12月定例会での一般質問で取り上げたものでもあります。良好な景観形成を推進するために景観の支障となっている、又はその恐れのある管理不全状態にある建築物等を自ら除却する場合に除去経費の一部を助成する、条例に基づく新規事業であります。今議会での建設常任委員会での答弁では、県の南北を結ぶ国道5路線など、主要幹線沿道の景観支障建築物等への対応に重点的に取り組むこととして、来年度、件数としては4件、予算としては600万円を計上されています。
そこで、対象要件である「一定程度の破損または腐食が生じている管理不全状態にあるいわゆる景観支障建築物等」を特定することについて、どのようなルールを考えておられるのか、質問します。また、除去工事費の負担割合は、所有者が3/6、つまり半分、そして県が2/6、残りの1/6は市町の随伴を期待するとのことであります。建設常任委員会での答弁によりますと、景観支障建築物等と認識しているものが既に数件あるということでありますが、その所在市町との連携及び今後の事業の進め方について、併せてお聞きしたいと思います。
3 空き家対策について
(1)空き家対策の今後の進め方について
続きまして、空き家対策について質問をします。
空き家に関する質問としては、平成23年12月の定例会において、自民党の仲田議員が、
『空き家条例の制定も含め、今後、空き家対策をどのように進めていくのか』と質問をされています。その質問に対して、当局は、
『空き家は所有者による適切な維持管理や利活用がなされなければ、不審者の侵入や建物倒壊の危険など、防犯・防災上の危険が生ずる廃屋となり、地域活力の低下や地域コミュニティへの影響も懸念される。県としては既存住宅を廃屋化させないよう適切な利活用を図る観点から、古民家の再生や交流拠点としての整備を推進し、地域の実情に応じた景観の保全や安全・安心な住環境の確保に向けて市町、県民の取り組みを支援していく』と答弁されています。とは言っても、何十万という単位となっている空き家のすべてを「古民家再生」とか「交流拠点」にできるわけではありません。
兵庫県の空き家の状況を改めて確認しますと、平成20年の調査で336,200件あるとされており、年々増加傾向にあります。その空き家のうち、賃貸や売却などの予定のない空き家は123,900件で、そのうち一戸建が72,600件となっています。県下の市町では三木市や小野市をはじめとする6市で、空き家に対する適正な管理や除去などを推進するための条例等を既に整備されてきており、その他の県下の多くの市町についても、空き家に対して強い問題意識を持っているようであります。
そこで、県は空き家対策を今後どのように進めようとしているのか、大きな方向性についてはじめにお伺いします。また、空き家条例等の制定の必要性についての県の認識について併せて質問します。
(2)さとの空き家活用支援事業について
次に、さとの空き家活用支援事業について質問します。
県でも、空き家対策事業として、「さとの空き家活用支援事業」という新規事業を予定されています。この事業は空き家率が高い農山村部(多自然地域)にある一戸建て木造住宅を対象に、空き家への居住または活用に向けた水回り等の改修工事費の一部を助成し、空き家の解消を図っていこうとするものであります。実施予定件数は年間で16件、予算額は1,630万円を計上されています。
そこで質問ですが、この事業の補助要件として10年以上居住あるいは活用することとなっていますが、居住者等の募集をどのように行うのか、また他の自治体の例によりますと、子育て世代などに定住させたいというような意向を持っていることころなどがありますが、県ではどんな方に定住してほしいと考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
(3)市町に対する支援について
空き家対策は、「活用していく方向」と「除却していく方向」の大きく2つに分かれると思います。先ほどご紹介した仲田議員の答弁では、「市町の取組みを支援していく」とのことでしたが、県と市町の適切な役割分担のもとで、市町の支援を行っていく必要があります。例えば、空き家の所有者に対して指導・勧告し、除去費用を助成していくことなども考えられますが、市町の取組みにどのように支援される予定なのか、お聞きします。また、県と市町の役割分担についてどのように考えておられるのか併せてお伺いします。
4 西宮北有料道路の早期無料化への取組みについて
最後に、地元、西宮北有料道路の早期無料化実現のための取組みについて質問します。
この件は、2011年9月定例会の私の県議としての初めての一般質問で取り上げた案件であります。計画値を上回る収支状況により、償還準備金が大きく累積していることを受けて、知事が無料化の3年前倒しを決断していただいたものであります。
一般質問の答弁では、「無料化にあたっては、渋滞交差点への対応、トンネル内の壁面、設備など老朽施設の修繕・更新、消防や警察等と連携した新たな管理体制等を整備していかなければならない」とのことでしたが、その後の進捗状況及び来年度以降の取組について、どのように計画されておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
栗山 雅史
西宮市
●病院局
1.こども病院における遠隔地の患者への対応ついて
2.県立病院の果たすべき役割について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(病院局)
2012年3月6日(火)
1 こども病院におけるの実施計画に遠隔地の患者への対応ついて
こども病院立替整備基本計画がまとめられておりますが、これまでも多くの方々が一般質問されるだけでなく私も質問いたしましたし、あるいは昨年の8月に行われたパブリックコメントでは28人の方々が意見を述べられています。その中における診療機能や施設整備方針等については、概ねその意見に対して応える、または反映された内容となっていると思います。
しかし、立地場所については、もちろんの事ながらすべての方々の意見に応えられないことは当然でそれこそ大所高所からの判断があり、神戸市中央区港島に決定となったと理解をいたします。
そこで、西播磨地域をはじめとする遠隔地通院利用者への対応についてお尋ねいたします。
2 各県立病院の果たすべき役割についてについて
今年度の病院局の主な事業として、県立こども病院の移転整備、県立尼崎病院・県立塚口病院の統合再編、県立淡路病院の移転整備、県立光風病院児童思春期病棟の整備となっており、その目的としてそれぞれ、小児、周産期医療の全県の拠点病院としての診療機能の充実を図る、救急医療、小児医療、周産期医療の一層の充実を図る、淡路圏域の中核的病院としての機能の発揮を図る、児童、思春期の精神疾患患者に対応した病棟の整備を図るとしています。
それ以外に、がんセンター、姫路循環器センター、粒子線医療センター、災害医療センター、リハビリ2病院は、名のとおりに特化をした政策・高度医療の提供だと理解いたします。西宮病院は、昭和48年に自治体病院としては初めて腎移植を行ったこと等から、腎疾患総合医療センターや未熟児センターを要するなどの特色があるとは考えます。
24年度の予算では、それらの政策医療への一般会計からの負担として救急医療対策費、特殊医療経費、高度医療経費などの名目で14病院に総額139億82百万が繰入されています。収益的収入997億61百万円の実に14%を占めています。
そこで、改めまして、政策医療を提供していくうえで県立病院が果たすべき役割についてお伺いします。
改めて考えてみますと県立病院の果たしている役割として、殆どの病院に共通することは3次救急医療の提供にあって、光風・こども・がん・姫路循環器・粒子線・災害・リハビリ2病院はそれぞれに特化をした政策医療の提供にあると思いますが、尼崎・塚口をはじめとする6病院は高度医療も受持っていますが地域の総合病院としての要素が強いと考えます。
淡路・柏原病院を除けば姫路から阪神地域の海岸線にあり民間の医療資源も豊富なところであり、もちろん各医療圏域での役割も考慮はされていると考えますが、私は本来医療資源の乏しい但馬や丹波、あるいは西播磨などの郡部に県として手を差伸べてほしいと考えます。
●健康福祉部
1 兵庫県健康増進計画の評価と今後の取組方針について
(1) 兵庫県健康増進計画の取り組みの評価について
(2) 悪化した数値目標の要因について
2 健康寿命の延伸に向けた取組方針について
(1) 健康寿命の延伸方策について
(2) 健康寿命延伸によるコスト削減効果について
3 ロコモ運動の推進方策について
4 兵庫県医療費適正化計画の評価と今後の取組方針について
(1) 兵庫県医療費適正化計画の評価について
(2) 第2期計画の方針について
(3) ジェネリック医薬品の使用促進について
全文
予算特別委員会質問(健康福祉部)
平成25年3月7日(木)
1 兵庫県健康増進計画の評価と今後の取り組み方針
国民の健康の増進の総合的な推進を図るための指針が昨年7月に示された。いわゆる、健康日本21の第二次版である。高齢化社会による社会保障費の増大が進む中で、これからの10年間にわたって取り組んでいく非常に重要な指針であり、それに対応して兵庫県健康増進計画の次期計画の策定も最終段階に入っていると思う。北浜委員の質疑でPDCAはどの部局がしているのかという指摘があった。我々議会もその一翼を担っていると思う。そこで、まずはこれまでの本計画のC、チェックをさせていただきます。
(1)本年3月で12か年計画が終了する、兵庫県健康増進計画の取り組みをどう評価しているのか。
(2)110指標のうち約1/3が悪化となったが、その主な指標と要因分析は。また、今後の計画にどのように生かすのか伺う。
2 健康寿命の延伸に向けた取り組み方針
高齢化社会を迎え、今後更なる医療・介護費用の増加が見込まれ、中長期の財政圧迫懸念が高まっている。高齢者の増加に伴い、要介護認定者数は、平成12年218万人から平成23年508万人と10年で約2倍と大幅に増加した。
介護給付に対する県費負担の推移は平成19年度403億円、平成23年度490億円と4年で80億以上増加、医療給付に対する県費負担の推移は国保と後期高齢者の総計で平成20年度761億円から平成23年度は919億円と158億円増加した。
介護・医療費の削減・効率化には在宅化やジェネリックなど多くの議論・対策がなされているが、最善の削減策は介護・医療の世話にならない時期を伸ばすこと、すなわち健康寿命の延伸である。
国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口」によると、将来推計で2060年の平均寿命が男性84歳、女性90歳と現状から4歳程度伸びる予想がされる中、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の延伸が、逼迫する財政と高齢者社会を迎え、更に増加する社会保障費を賄うためには重要な課題である。
また、社会保障費抑制の観点のみならず、ご本人のQOL向上や年間14万人以上とされる家族介護を理由とした離職や老老介護を防ぐためにも、重要な観点である。
(1)健康寿命1位を目指すべきでは?どのような方法で健康寿命の延伸を図っていくのか。
(2)健康寿命延伸によるコスト削減効果を明示し、積極的な予算投入を図るべきではないか。
3 ロコモ運動の推進
健康寿命の延伸の対策としては、従来はメタボや認知症対策が中心であった。
今回は新しく、ロコモ対策の強化を提案したい。
ロコモとは、ロコモティブシンドローム、運動器症候群とも称される、日本整形外科学会が2007年に提唱した概念。定義は運動器の障害により、要介護になるリスクの高い状態とし、トイレや入浴など日常生活動作が一人でできるかがどうかが重要な点です。
厚生労働省の平成22年度「国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった理由の1位は脳卒中、2位が認知症、3位が高齢による衰弱とくるが、4位関節疾患と5位骨折・転倒は運動器、すなわちロコモに関連するものであり、合計すると21.1%。1位21.5%に迫る要因であり、早急な対策が必要です。
ロコモは筋量・神経活動の低下、骨量の低下、関節・軟骨の低下が原因とされ、骨粗しょう症や変形性関節症などが疾患です。東京大学22世紀医療センター調査によるとその推計人口は4700万人。高血圧の4000万人、糖尿病の2210万人、メタボの1400万人を超える、隠れた国民病ともいれる状況です。しかし、認知度は17%とメタボの認知度9割と比較すると非常に低く、ロコモの危険性の認識や日々の生活で実行可能なロコモ対策が適切に行われていない可能性が極めて高い。
(1)・ロコモに対する現状認識と今後の対応方針は
4 医療費適正化計画の評価と今後の取り組み方針
国民医療費は平成元年の19.7兆円から平成22年の37.4兆円とおよそ2倍に増加し、国民所得に対する比率も6.1%から10.7%と負担感は増大。本格的な高齢化社会を迎え、先ほど申し上げた介護・医療の予防も大切だが、医療費自体の効率化も喫緊の課題。
医療費の問題はどこの都道府県も大した差異は無い、と思いきや。一人あたりの医療費で1位高知県39万円、47位千葉県24万円と約6割も違い、兵庫県は26位の30万円となっている。
原因はいろいろあろうが、取り組み次第では1人あたりの医療費削減も十分に可能であるという証左であると思う。
(1)平成25年3月で5か年計画が終了する、兵庫県の医療費適正化計画の評価は。
(2)第二期の医療費適正化計画をどのような方針で取り組むのか。
(3)目標に関して、平成29 年度全保険者が差額通知を実施とあるが、前倒し実現すべきでは?呉市や協会けんぽでは多くの成果をあげている。逆に2年でできない要因はなにか。また、政府は後発医薬品の安心使用促進のためのアクションプログラム目標H24で30%としていた。ジェネリック数量シェアの目標値を再度設定すべきではないか?
●産業労働部
1 大型クルーズ船の誘致について
2 コンテンツツーリズムの強化について
3 ゴルフツーリズムについて
(1) ゴルフツーリズムの強化策について
(2) 「アジアゴルフツーリズムコンベンション」の招致について
4 ものづくりベンチャーの創業・育成支援について
全文
予算特別委員会質問(産業労働部)
平成25年3月8日(金)
観光振興
世界の観光産業は成長を続けています。世界全体の観光産業はGDPの9%、雇用の9%、国際旅行者数は2011年の9.8億人から2020年には15.6億人を予想。
その中でアジアは、2000年で約1.1億人の国際旅行者が、2011年で約2.1億人、2020年には4.2億人と大幅な増加が見込まれている。
一方で、LCCで移動コストが激減した結果、競合は国内都市だけでなく、海外の都市も競合として認識していかなければならないが、兵庫県に国際競争力のある観光資源は少ないのではと、危惧しています。
そこで、今回は強化すべき観光資源として、大型クルーズ船の誘致とコンテンツツーリズムの拡大、ゴルフ振興について質問致します。
1 大型クルーズ船誘致
クルーズ人口は1998年の845万人から、2012年は2030万人と急成長しており、観光産業の中で、最も成長が早い分野の1つとされています。
古いイメージのあった船旅は、10万トン以上の大型化による娯楽施設の充実と1泊100ドル~という低価格化により、イメージを刷新して、ファミリー層を開拓、大きく成長している。
従来の日本のクルーズ市場の動向は市場規模も小さく、横ばい状況であった。しかし、上述のイノベーションと高齢化に伴う趣向の変化、アジア市場の拡大によりクルーズ市場は成長すると考えられる。事実、日本に本格参入したプリンセスクルーズ社は2014年の国内目標を13年比5.5倍の10万人としている。
寄港地選定には、下船してから40分~1時間半で行ける範囲にどのような観光資源があるかがポイントとされ、更に乗客アンケートでは寄港地に求めるものとして、市街地までの良好なアクセスと入港時の美しい景観の港が1位・2位を占め、神戸港は寄港地として有利なポジションだといえる。
しかし、全国クルーズ活性化協議会やアジアクルーズターミナル協議会など国内及びアジア各国で誘致強化の動きがみられる中、港湾設置者である神戸市単独で活性化を図るのではなく、兵庫県も主体的に協調していく必要性がある。
(1)神戸市と一体となった誘致活動に取り組むべきと考えるがどうか。
2 コンテンツツーリズムの強化と規制緩和
昨年の本会議で、コンテンツツーリズムの強化について提言を行った。
あれから、1年が経過し、平清盛の低迷と黒田官兵衛の大河ドラマ決定と一喜一憂する状況が続いた。ここで申し上げたいのは、コンテンツは得てして当たるも八卦ということで、特定のコンテンツに期待を集中させるのではなく、幅広いコンテンツを呼び込む仕組み作りが重要だということだ。
コンテンツツーリズムの可能性は今後更に膨らむと考える。政府は、平成24年度補正予算で、映像コンテンツのローカライズコスト事業で新規123億円が計上された。つまり、国内コンテンツの誘致は国内観光客に加えて、コンテンツの海外輸出の促進により、インバウンドにも資する蓋然性が高まっており、更なる費用対効果の向上が期待できる。
しかしながら、現状はロケ誘致に対する補助制度の貧弱さと日本ほど映画撮影が困難な国はないと言われるほど様々な法規制が指摘されている。
札幌市によるコンテンツ特区の承認や秋田県によるロケ支援金制度など競合の都道府県では前向きなチャレンジがある中で、兵庫県のこの一年間の動きは停滞していると言わざるを得ない。
(1)コンテンツツーリズムの強化策について、県の取り組みについて伺いたい。
3 ゴルフツーリズム
昨年の本会議ではスポーツツーリズム振興の観点からスポーツコミッションを提案した。
バブル時代の乱開発や会員権問題などで、あまり積極的な振興策が自治体として取りづらかった感もあるゴルフであるが、今回はゴルフを新しい視点で見直したい。
ゴルフは競技人口が830万人、市場規模は2兆円を超える国内スポーツで最大の産業ですが、国内市場は縮小傾向である。
一方で、世界のゴルフ人口は5900万人であり、5~10%はゴルフ目的で海外旅行していると言われています。
また、アジア地域は所得拡大とともにゴルフプレー人口が急拡大しています。中国はゴルフ人口200万人が2020年には2000万人と予想され、韓国もゴルフ目的の海外旅行者は約100万人から今後2倍程度まで拡大すると予想されている。
日本はゴルフ場数で世界2位、更にこの兵庫県はゴルフ場数で国内2位。市街地アクセスも良好、神戸ビーフや日本酒などの食材資源や城崎や有馬温泉などゴルフに加えたコンビネーションの強みも有している。また、ゴルフ場利用税は約43億円と貴重な財源であり、18ホールあたり約20人を雇用するなど地域の財政や雇用にも好影響を与えています。
(1)ゴルフツーリズムを推進すべきと考えるが、ご所見を伺う。
(2)北海道ゴルフ協会を視察した際に、アジアゴルフツーリズムコンベンションの開催候補地として日本の可能性があると聞き、国際ゴルフツアーオペレーターのピーター会長とお会いした。MICEという観点、ゴルフツーリズムの振興、ファムトリップという様々な観点から効果が期待できるので、招致すべきと考えるが、ご所見を伺う。
4 モノづくりベンチャーの創業・育成支援について
欧米は概ね開業率が10%以上と新陳代謝が続く中、日本は総務省「事業所・企業統計調査」によると、開業率は5.1%と停滞している。更に、業種別でみると、特に本県の主要産業でもある製造業は2.9%と情報通信業の15.6%や飲食・宿泊業7%、小売業4.8%と比較すると著しく低い現状があり、ボトルネックの一つには高額な設備投資や技術開発の問題がある。
私自身、投資ファンドの勤務時にいろんな業種のベンチャー企業を審査し、出資してきたが、製造業はやはり設備投資が重たい業種なので、創薬系バイオベンチャーと並び、投資しづらい業種であった。
しかし、この製造業について、CNCやレーザーカッター、3Dスキャナーや3Dプリンターなどの技術革新や低価格化、ITとの融合により、生産設備を持たなくても・個人でも・技術が無くても、製造業を起業できる環境が整備されつつある。オバマ大統領は3Dプリンターを全米1000の高校に配備する計画を打ち出すなど、IT革命に続く、製造業革命が起こるかもしれないと考える。
しかし、日本はモノづくりの国として、危機感を持つべきだ。日本の製造業の強みであった摺合せや金型製作といった技術はすたれ、モジュール化したパーツをどう組み合わせるかという点に今後は競争力が移る可能性もある。
(1)モノづくりベンチャーの開業と支援の取り組み方針を伺う。
●公安委員会
1 ICTを活用した捜査の効率化について
2 サイバー犯罪対策における民間事業者との連携について
3 列車内における痴漢対策について
(1) 現在の取組状況について
(2) えん罪防止対策について
全文
予算特別委員会質問(公安委員会)
平成25年3月8日(金)
1 ICTを活用した捜査の効率化について
民間企業においては、ICTの活用による業務効率化や生産性の向上が積極的に進められているが兵庫県の組織のなかで、最も活用すべきは、警察官1万2千人を要する警察組織だと考えている。
現状では、警察官の削減は予定されていないが、近い将来、人口減少や予算制約に伴う警察官の削減という議論も十分にあり得る。そのような状況下において、治安を維持していくにあたっては、ICTの活用により、人的資源を補っていく視点が不可欠となってくる。
NY市警では、IBMと提携して「リアルタイム犯罪センター」を設立し、全捜査情報のデジタル化やデーターマイニングによる犯罪発生パターン予測、さらにはリアルタイム捜査情報提供システムなどを稼働させることにより、およそ2割の人員が削減されたにも関わらず、システム稼動前の検挙率を維持しているとのことである。
先般も、東京を活動拠点とする振り込め詐欺グループの主犯格が、飲食店従業員によるネット掲示板への書き込みが端緒となり、北海道で逮捕された事案があった。
このようにネット上には大量のデータが存在し、捜査上有用な情報も多く含まれているにもかかわらず、現在の警察の対応では不十分な面も見られることから、外部専門家の登用や知見の活用についても積極的に検討していく必要がある。
ICTを活用した、捜査の効率化を進めることにより、本来業務に集中することができるようになり、将来の状況を見据えて、今から積極的に取り組んでいただきたい。
そこで、ICTを活用した捜査の効率化について、どのような所見をお持ちなのか、現在の取組事例とともに、お尋ねする。
2 サイバー犯罪対策における民間事業者との連携等ついて
遠隔操作ウィルス事案を端緒に警察に対するサイバー犯罪捜査に対する信頼が揺らいでいる。ネット技術は日進月歩であり、技術力さえあれば、捜査員を何人投入しても、たった1人に勝てないことも十分にあり得る。技術者の養成は警察組織でゼロから警察学校でというのは不可能であり、民間事業者との連携や中途採用を積極的に行っていくことが求められるところである。
このような中、昨年7月には、警察庁は、「サイバー犯罪に対する警察と民間事業者の共同対処の推進について」においてサイバー犯罪の認知、捜査、被害拡大防止措置を民間事業者と共同対処する方針を示すとともに、本年1月には、民間との連携強化を盛り込んだ緊急プログラムが策定され、サイバー犯罪への対処能力の強化に向けた取組が始められている。
そこで、本県におけるサイバー犯罪対策における民間事業者との連携の状況について、お伺いします。また、専門知識を持つ人材の登用状況についても、併せて伺う。
3 列車内における痴漢対策について
(1)現在の取組状況について
最後に、痴漢対策を取り上げる。
性犯罪は卑劣な犯罪であり、再犯率も高く、被害者にも生涯にわたって大きな傷を残すこととなる。
昨年の本県における列車内での痴漢に関する相談受理件数は、86件に上っており、迷惑防止条例違反での検挙件数も74件に上っている。痴漢被害にあっても、警察に相談していない比率が89%というインターネット調査(「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書」)もあり、その暗数は、相当数存在していることが予想される。
警察庁が設置した電車内の痴漢防止に係る研究会が都内の大学生を対象に実施したアンケート結果によると、防止対策として、女性専用車両の設置と防犯カメラの設置が男子学生、女子学生ともに挙げており、JR東日本では女性専用車両の導入により、痴漢の件数が半減するなど実際に大きな抑止効果を上げている。また、女性専用車両には、基本的に男性がいないことからえん罪対策にも効果が認められる状況である。
そこで、鉄道各社に対して、女性専用ゾーンの確保や防犯カメラの設置の要請を行っていくべきと考えるが、本県の痴漢撲滅に向けた、現在の取り組み状況について伺う。
(2)えん罪防止対策について
痴漢は断じて、許されるものではない。一方で、痴漢のえん罪被害の深刻さも各方面で指摘されており、「痴漢えん罪被害者救済ネットワーク」によると、1990年~1999年の10年間で、全国の簡易裁判所に「私は痴漢をしていない」と否認して、裁判を闘った人が 203 名いるが、結果は全員有罪とされたとのことである。
また、2008年2 月には、大阪市営地下鉄御堂筋線で示談金目的のでっち上げ事件も起こるなど、捜査当局には、より慎重な対応・捜査が求められるところである。
そこで、本県における痴漢のえん罪防止に向けた対策について所見を伺う。
●教育委員会
1 成人のスポーツ実施者の増加について
2 スポーツ実施率向上へ向けた民間事業者との連携について
3 学校スポーツ施設の一般開放について
4 部活動への外部指導者派遣の更なる推進について
5 ワールドマスターズゲームズの誘致について
6 性的マイノリティに関する教職員等への研修実施について
全文
予算特別委員会質問(教育委員会)
平成25年3月13日(水)
私は、スポーツの役割が多様化し、総合的になっているとの問題意識のもと、昨年9月の本会議で、スポーツ行政の総合的な推進について知事部局に所管を移すべきと提言しました。
私がスポーツに期待する主な機能は「観光」と「健康づくり」です。先日の健康福祉部に対する部局審査の際、私は、健康寿命は介護費・医療費の削減に大きく寄与するという観点から、健康寿命の延伸とその方法策としてロコモ運動の推進を提言しました。要介護になる3大要因と言われる、メタボ・ロコモ・認知症のうち、メタボとロコモは日々の運動量が重要な指標となります。そして、その運動量の向上への処方箋がスポーツの推進であり、健康福祉部との連携が必要です。
今回は、50年ぶりに全面改正された「スポーツ基本法」に連動して、今後10年間の本県におけるスポーツ施策の基本的な考え方や具体的な方向性を示すため、昨年12月に策定された「兵庫県スポーツ推進計画」に基づいて、これから策定される具体の行動計画や今後の方針等を中心に、以下、お伺いしていきます。
1 成人のスポーツ実施者の増加について
最初の質問は、「成人のスポーツ実施者の増加」についてです。
政府は、スポーツ立国戦略において、成人の週1回以上のスポーツ実施率を約65%、成人の週3回以上のスポーツ実施率を約30%という目標をできるだけ早期に実現するとしました。兵庫県は、週1回以上が54.5%と全国平均45.3%に比べ高い状況にはありますが、諸外国との比較、政府目標の達成や生活習慣病の予防の観点からは、これからも実施率向上のための対策を打ち続けなければなりません。
そこでまず、本県における目標の設定及び目標達成に向けた具体の行動方針についてお尋ねするとともに、平成22年度県民スポーツ意識調査において13.4%の県民がまったく運動やスポーツをしていないと回答していますが、これらの方々についてどう対策に取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
2 スポーツ実施率向上へ向けた民間事業者との連携について
質問の第2は「スポーツ実施率向上へ向けた民間事業者との連携」についてです。
兵庫県スポーツ推進計画では、基本理念の一番初めに「全ての県民がスポーツに親しめる環境づくり」が挙げられており、本県では先進的に全小学校区に総合型地域スポーツクラブ「SC21ひょうご」を設置し、全国断トツの設置状況を誇っております。
ただ、その一方で、指導者不足や多様なスポーツニーズに対する受け皿不足などの諸課題を考えれば、私は、総合型地域スポーツクラブだけではスポーツ実施率の向上に十分な環境整備を実現することは難しいと考えています。
この点、民間フィットネスクラブ、スポーツクラブにおいては、常に新しい設備投資やプログラムの開発を行い顧客ニーズに合った取組が日々進められております。また、介護分野においては、介護予防プログラムの開発、推進等で、行政と連携している例も多数あります。
そこで、スポーツ実施率向上に向けて、民間事業者との連携や、県内進出へ向けた支援を行うべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
3 学校スポーツ施設の一般開放について
質問の第3は、「学校スポーツ施設の一般開放」についてです。
スポーツ基本法でも、国立、公立の学校の設置者は、学校教育に支障のない限り、学校のスポーツ施設を一般スポーツのための利用に供するよう「努める」と明記されております。
全国的な傾向として、小中学校に比べ高等学校における一般開放状況が半分以下という現状があり、本県においても、県立高校では1校あたりの開放日数は年間26日と不十分な状況です。また、SC21ひょうごの活動拠点施設は、学校体育施設が約86%と大半を占め、全小学校区に配備されているにもかかわらず、県民意識調査で「身近に施設がない」という意見が多いのは、日数や時間帯、利用用途が限られる、特定グループが占有している、つまりハード・拠点としてはあるがソフトが使いづらいといった点に原因があるものと思われ、その改善に取り組むべきです。
そこで、県下における昨年度の学校スポーツ施設の一般開放状況についてお伺いするとともに、県立高等学校を含め、更なる一般開放向上に向けた改善策について、ご所見をお伺いします。
4 部活動への外部指導者派遣の更なる推進について
質問の第4は、「部活動への外部指導者派遣の更なる推進」についてです。
目的を効率的に実現するため、外部リソースを有効に活用することはどこの組織でも行っていることであり、行政分野でも市場化テストや民間活力といったキーワードのもとで様々な取組が進められて来ました。
学校においても、既に出前授業は各地で普及しつつあり、最近も県下の高校で社会保険労務士の出前事業が行われ、好評だったと伺っております。
しかし、私は、本来は部活動こそ、もっと民間の外部リソースを有効に活用すべきだと考えます。
教職員にとって、部活動は教科指導や校務等の業務とは性格が異なるにもかかわらず、競技経験がないまま運動部顧問となる、多様な業務の中で過重負担といった様々な問題が生じております。また、昨今、社会問題化している体罰問題にも、学校の閉鎖性や部活動における適切な指導ノウハウの欠如といった点が要因の一つにあると思われ、これらの問題解決につなげるためにも、部活動における外部指導者の更なる活用を推進していくべきだと考えます。
子供達にとっても、高度な技術を有した人材から指導を受けることは、技能面の向上のみならず、夢や憧れといった心理的な効果、顧問不足による廃部リスク排除という点からもメリットは大きいと言えます。
進学塾と連携した有料事業「夜スペ」で有名な杉並区の和田中学校では、公立中学としては日本初、部活動指導者の民間からの受入を昨年開始し、区は2013年度から区内23校のうち11校でモデル事業を実施します。香川県でも2010年度から中学・高校の部活動に地域のプロスポーツチームから選手を派遣する事業を始めております。
そこで、本県においても、児童生徒を対象としたスポーツ教室に国や県の体育協会を窓口として元オリンピック選手やプロスポーツチームからの派遣を一部実施しているとのことですが、トップスポーツと地域スポーツの連携が求められる中、その取組を更に拡充強化するなど、部活動における民間コーチやプロ選手といった外部指導者の更なる積極活用を推進していくべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
5 ワールドマスターズゲームズの誘致について
質問の第5は、「ワールドマスターズゲームズの誘致」についてです。
東京が2020年のオリンピック誘致に向けて熱く燃えていますが、実は、ここ兵庫でも誘致できる可能性がある「オリンピック」があります。それが、ワールドマスターズゲームズです。
4年ごとに開催される中高年のための世界規模の総合競技大会であり、能力を問わず、ビギナーでもスポーツを愛していれば参加できるという、シニア版「オリンピック」であり、前回の2009年のシドニー大会では、95か国から約2.8万人が参加しました。このワールドマスターズゲームズの誘致は、県民への生涯スポーツの意識づけにも効果があり、兵庫県スポーツ推進計画の重点目標5に挙げられている「(4) 国際競技大会等の招致・開催等」「(5) スポーツツーリズムに係る交流及び推進」にも資するものと言えます。
また、経済面においても、スポーツコミッション関西の試算では、仮に神戸開催が実現すれば、必要経費20億円に対し、海外からの誘客5.4万人、国内宿泊2.2万人が生じ、経済波及効果は71億円、雇用創出は1日13万人とされています。
2021年開催分の誘致に関して、国際マスターズゲームズ協会事務局側から関西広域連合に提案があったとのことであり、経済性も踏まえながら、本県も積極的に誘致に取り組んでいくべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。
6 性的マイノリティに関する教職員等への研修実施について
最後の質問は、「性的マイノリティに関する教職員等への研修実施」についてです。
昨年8月に閣議決定された自殺総合対策大綱には、「自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、教職員の理解を促進する。」とされております。
昨年9月議会における私の質問に対して、教育長から「性的指向については国の動向を注視しながら、必要な取組を行っていく」という答弁がありましたが、国の動向を免罪符にすべきではありません。また、先進的な自治体では、既に職員・教職員向けの研修やマニュアルに盛り込み、対策に取り組んでいます。
多感な時期の子供達に多く接する教職員に対しては、しっかりとした知識と正確な認識を持つための研修が必要不可欠です。
本年2月の毎日新聞での特集「同性愛のいま」の中で、「同性愛者って気持ち悪いよな」という男性教諭の発言が掲載されていました。昨年9月の質問でも指摘したように、教育現場で同性愛に否定的な内容を教えられた児童・生徒も一定割合存在します。
各種調査でも性的マイノリティは約5%存在すると推定されており、その方々は偏見により苦しんでおられ、自殺リスクが極めて高いと指摘されています。我々、政治家は、そのような苦しんでいる人々が胸を張って生きていける環境を整えていくためにいるのではないでしょうか。
そこで、子供達が夢や希望を持って過ごせる環境整備のためにも、まずは、児童・生徒と日々接する養護教諭を含む教職員、スクールカウンセラー等への研修強化が必要であり、これら教職員等を対象に行う人権研修に、性的マイノリティについての内容を盛り込むべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
前田 ともき
東灘区