令和4年度決算特別委員会 【企業庁】
質問日:令和5年10月16日(月)
質問者:竹内 英明 委員(ひょうご県民連合)
1 企業庁経営評価委員会への県議会議事録の提供について
齋藤知事は9/20の本会議で、企業庁の地域整備事業会計について、「当期損益の黒字を確保しているものの、今後本格化する企業債償還を踏まえると、資金不足に陥る可能性があります。企業庁経営評価委員会において、将来の収支見通しや想定される課題等を明らかにしたうえで、事業のあり方を早急に検討します。震災復興に伴う行革を進める中で躊躇があったのかも知れませんが、こうした課題については、当初の経営見通しが現実的に厳しくなっていることを、より早いタイミングで県民や議会に明示すべきだったと考えます。これらの課題を将来に積み残すことなく、残り任期2年間で方向性を定め、抜本的な改革を進めてまいります。」と発言している。その第一回企業庁経営評価委員会が先週11日に開催されたそうだ。
私からすれば「当初の経営見通しが現実的に厳しくなっていることを、より早いタイミングで県民や議会に明示すべきだった」って、今ごろ何を言っているんだである。逆に議会から、地域整備事業が厳しい、法令を遵守した資産評価すらできない状況になっている、と指摘してきた。知事が当選以降も発言してきた。
地域整備事業が保有資産を法令を遵守して適正に評価しておれば、知事が今さら発言する必要もなかった。
私は、すでに地域整備事業の課題やあり方についての議論は終えており、個別プロジェクトの扱いを決めて、販売の目処がたたない土地は県有環境林とするほかないと思っている。改めて第三者委員会を設置する必要はなかったと思っているが、敢えて設置されたのなら、まず過去に県議会で議論された議事録を委員に提供してほしいと思う。議会での議論を知ってもらうことは大いに意味があると思うがどうか。
2 地域整備事業の保有するたな卸資産、進度調整地の時価評価について
(1) 「地方公営企業法施行規則第8条第3項」が施行されたときに「たな卸資産」を時価評価しなかったことが、「早いタイミングを逸した理由」
今年度の決算特別委員会では、財政状況の審査における「県債管理基金」、農林水産部の審査における旧みどり公社の「森林」について質問してきた。いずれも帳簿上の価格と実際の価値が大きく乖離していることに問題があると指摘してきた。
「ないものをあるように見せる」。
これが、地方財政健全化法が施行され、各種財政指標が導入されてからの兵庫県の財政の根底にある基本方針だった。今日取り上げる地域整備事業会計の資産についてもこの方針通りの取り扱いをしてきた。
資料1を見てください。総務省令にしっかり記載されている。たな卸資産は時価評価せよと。もう何度も指摘してきた。こうした状態のまま貸借対照表が作られるとどうなるのか、資料2に示した。
企業庁が作成した貸借対照表では、資本金288億円をはじめ、利益剰余金、有価証券評価差額を入れて資本の額は「412億円」あることになっている。当然、債務超過ではない。これだけ資本があれば経営に問題がないと思われていい。
一方、資産の部を見てもらうと、未成事業資産というたな卸資産、これは土地のことであるが、簿価で750億円となっている。
資料に詳しく記載しているが、この土地は販売土地と進度調整地に分かれている。販売土地は242億円でこれは低価法で時価評価されたものだが、進度調整地という未造成地は508億円もあるが、費用を積み上げただけの原価である。ここは、知事も「抜本的な改革」をいっているのだから企業庁もたな卸資産である土地の時価評価を法令通り実施すべきだと思うがどうか。
[資料1]地方公営企業会計制度の見直しについて(2013年12月 総務省自治財政局公営企業課 通知)
[資料2]企業庁 貸借対照表・竹内作成 貸借対照表
(2) 地方財政健全化法による資産評価では地域整備事業会計は13億円の債務超過に転落している
たな卸資産、すなわち土地全体の実勢価値がわからなければ正しい貸借対照表にならない。そこで地方財政健全化法で将来負担比率の作成において定められ、総務省にも報告している「未売出土地の収入見込額」を現在の土地価格に置き換えて私が作成した貸借対照表を資料2に記載している。
企業庁の貸借対照表では資本は412億円であるが、土地の評価額が低価法によると425億円減少するため、13億円の債務超過となることが見込まれるということだ。この未売出土地のデータや根拠も確認したが、私の指摘によってセグメントごとに低価法を適用するという厳しい評価を導入しており、阪神では含み益もあるなどこれは適正な評価となっている。
こうした実勢に近い財務諸表を自ら公表するのが、知事が求める「財政の見える化」だと思わないのか。まだ「ないものをあるようにみせる」ことに加担するのか。
(3) 最初に違反状態を指摘されたのは2014年だが公営企業管理者のコンプライアンス感覚について
公営企業管理者は、実態を全く表していない財務諸表を、県民をはじめ取引先、金融機関などステークホルダーに示し続け、知事のああいった発言を受けても、法令に基づく時価評価をしないのか。私はこの制度が導入される時、2014年2月の本会議で初めて質問。つまり9年も指摘しているので、企業庁のコンプライアンス感覚はどうなっているのかとすら思っている。管理者は特別職で、ご自身で指示できる大変重い立場だがどうか。
(4)監査委員の果たす役割について
管理者からコンプライアンスは二の次だと言われれば、それをまず止める立場は内部の監査ということになる。地方自治法第2条第16項に「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」とある。これまで監査委員の中には、当局が適正な法令解釈をしていると判断しているから適正だとか、監査制度を否定するような答弁をされた方もいたが、小畑監査委員(独任制のため氏記載)は「地方公営企業法施行規則第8条第3項」に違反して時価評価をしていないことについて、地方自治法第2条第16項に反していない、適法だと考えているか。