質 問 日:平成25年10月9日(水) 質 問 者:山本 千恵委員
1 災害時要援護者支援指針と支援体制について
(1)災害時要援護者支援指針の策定について
県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成14年に「災害弱者支援指針」を、また、19年には「災害時要援護者支援指針」を策定し、同時に市町が参考にするモデルマニュアルを作成した。
今年6月には、東日本大震災を契機として、今後30年以内に60%~70%の高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震をはじめとする自然災害への備えを高めるとともに、障害者や高齢者あるいは外国人県民など、地域における災害時要援護者の対策を強化することを目的に、この災害時要援護者支援指針を改定したところである。
今年6月の本会議代表質問においても、本格的な少子高齢化社会を迎え、介護を必要とする高齢者等が増えるほか、経済社会のグローバル化などにより来日外国人が今後、一層増えることが予想されるなかにおいて、これら災害時要援護者に対する発災直後から当面の間の避難後生活の支援体制の必要性について当局の所見を求めたところである。
被災者の中でも災害時要援護者とされる方々については、それぞれニーズが様々であり、そのニーズに応えていくためにはそれらを集約できる各分野の専門コーディネーターが必要である。
そういった意味では、本指針は、よりきめ細かく支援体制を網羅したものであると思うが、そこで、本指針の改定にあたっては、11名の委員で年5回会議を行ったと聞いているが、委員の選任について、選任方法及びどのような分野の委員が選任されたのか、伺いたい。
(答弁①)
(2)実効性のある支援体制づくりについて
次に、いざという時に本指針が最大限に活かされ、災害時要援護者へのサポートがいきわたるためには、具体的な訓練や関連組織との協力関係、定期的なプロセスの確認を重ねてこそ、非常事態における臨機応変かつ的確な支援を行うことができる。
例えば、平成19年に結ばれた近畿2府4県の協定による災害時通訳登録制度は、災害時に要援護者となる日本語が十分でない外国人被災者に対して、災害時通訳をメインとする支援技術を持ったボランティアの相互協力、つまり被災地外からの災害時通訳ボランティアを派遣し合う協定である。
災害時の通訳は非日常の言葉が多いため知識が必要となるが、共通のトレーニングを行うことで、数少ない支援者を被災地外から互いに融通して窮地を乗り切る仕組みとなる。
この登録制度によれば、ボランティア登録をする人は年1回程度の研修会の参加が求められているが、私が確認したところ、本県では昨年度は他府県が実施している研修会を斡旋する程度で、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県として、このような状況で良いのか、という思いがある。
本指針が絵に描いた餅にならないために、実効性のある支援体制づくりを進める必要があると思う。
そこで、実効性のある支援体制を構築していくためには、多くの部局が関係して、横断的に対応していくことが必要であると考えるが、その点について当局の所見を伺いたい。
(答弁②)
2 防災リーダーや防災士の活躍の場について
災害に備えるソフト面の取り組みの代表格として、「防災リーダー」の養成事業があげられる。平成24年度実績では、決算額705万円、新たな防災リーダーが239人誕生し、総数は1,406人となった。
防災リーダーは、自主防災組織のリーダーとして、平常時には防災訓練の実施や地域住民に対する防災知識の普及・啓発など、また災害時には、避難誘導や初期消火、給水・給食など自主防災組織の活動を効果的に実践するために、中心となって活動を行っている。
一方で、「防災士」という資格がある。これは、(特非)日本防災士機構による民間資格であるが、消防本部や日本赤十字社の「救急法等講習」、「普通救命講習」、「上級救命講習」も修了しており、防災等について知識を備えた人材である。
防災士に関しては、兵庫県防災士会という形で組織化されており、地域の防災活動に参画し、災害の事前対策や応急対策等、地域の防災活動計画に助言を行うなどの活動を行っている。
防災教育を広める観点、またいざという時に「地域の中の頼れるリーダー」であるためには、防災リーダーや防災士会の会員が、それぞれの役割を明確にしつつ、地域で活動する場が増えることが望ましい。
そこで、防災リーダーの育成だけではなく、防災士を含めた活躍の場がどの程度確保されているかについて、当局の考えを伺いたい。
(答弁③)
3 自主防災組織の訓練の実施について
兵庫県下には、5,716の自主防災組織があり、そのうち約92.5%は町内会を単位としている。隣保協働の精神に基づく自発的な防災組織として位置づけられ、市町村がその充実に努めるものと規定されている。
コミュニティの重要性については誰もが認識するところで、防災に限らず、子育てや見守り、町並みの手入れや交通安全など、日々の生活の中の助け合い支え合いが日常の中にあり、いざというときには、その日頃のつながりが力を発揮する
県政推進プログラム100の中に、「全ての自主防災組織での毎年1回以上のより実践的な防災訓練の実施」がある。訓練実施率の具体的な数値目標を掲げて取り組みを進めており、平成24年度は全自主防災組織の90%が訓練を実施する計画に対して、実績は73.0%にとどまっている。過去3年の実施率を見てみても、22年度は目標80%に対して72.1%、23年度は目標85%に対して71.2%、24年度が目標90%に対して73%と実績がほぼ横ばいであり、5%ずつ実施率が上昇する計画とはほど遠い結果となっている。
理由としては、担い手の高齢化や訓練ノウハウの不足などがあげられているが、この理由は23年度のできなかった理由と同じである。23年度の反省を踏まえた24年度の取り組みが、功を奏さなかったということになるのか。
そこで、過去3年間の取り組みの結果、大きな効果が上がらなかったことを踏まえ、まず、今年度の取り組みの現状と方向性について、当局の所見を伺いたい。
(答弁④)