再犯防止に向けた保護観察制度の充実等を求める意見書
意見書 第55号
我が国の犯罪件数は減少傾向にあるものの、犯罪白書によれば平成23年の一般刑法犯の再犯者率は43.8%と過去最悪となっており再犯防止が大きな課題となっている。
これまでも国では再犯者による犯罪が社会に大きな影響を与えていることに鑑み、再犯防止には保護司との関わりや就労の有無が大きく影響することから、少年や高齢者等の特性に応じた指導の強化や住居・就労の確保などの取り組みを行ってきたところである。
去る6月には、改正刑法が成立し、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行を猶予し、保護観察を受けながら、社会貢献活動を義務づけることにより円滑な社会復帰につなげて、再犯防止をめざす制度が創設された。
こうした再犯防止に向けた一連の取り組みを実効性あるものにしていくためには、保護観察制度の充実強化等、保護観察対象者の受け入れ整備が求められるところであり、地域社会と一体となって取り組んでいく必要がある。
よって、国におかれては、再犯防止に向け保護観察制度を充実させるため、下記の対策を早急に実施されるよう強く要望する。
記
1 保護観察対象者の特性に応じた対応を可能とするため、多様な人材が十分に確保されるよう保護司が担う更生保護活動の意義や重要性のさらなる啓発に努めること。
2 保護観察対象者の就労を支えるため、協力雇用主として刑務所出所者等を雇用する民間企業への支援制度の充実を図るとともに、保護観察期間満了後も引き続いて就労支援や福祉支援を行うことのできる保護観察所や保護司会、協力雇用主会や行政、その他就労支援機関や福祉団体などからなる連絡調整機関の設置を検討すること。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
平成25年10月25日
兵庫県議会議長 石 堂 則 本