議会の動き

◆14年2月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 討論

代表質問  石井 秀武議員

一般質問  前田 ともき議員・竹内 英明議員・藤井 訓博議員

代表質問

(石井 秀武 議員)[発言方式:一括]

1 第3次行革プランと平成26年度当初予算編成の基本認識について
2 震災の教訓を活かす兵庫づくりについて
3 中四国地方と兵庫県との連携のあり方について
4 県内企業の国際的な事業展開への支援について
5 強い産業としての農業の確立について
6 建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくりについて
7 今後の英語教育のあり方について
8 交通事故対策等の推進について

質問全文

第322回 2014年2月定例会 代表質問要旨案

質 問 日:2014年2月24日(月)

質 問 者 :石井 秀武 議員

質問形式 :一括質問・一括答弁方式

民主党・県民連合議員団を代表して、以下8項目にわたり、知事並びに関係当局に質問をいたします

1 第3次行革プランと平成26年度当初予算編成の基本認識について

質問の第1は、「第3次行革プランと平成26年度当初予算の基本認識」についてであります。
本県では、時代の変化に対応し、県民の要請に的確に応え、持続可能な兵庫の基盤をつくるため、平成20年10月に制定した「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、行財政構造改革の取組みを進めています。今年度は、第2次行革プランの策定から3年目にあたることから、県当局では社会経済情勢や国の政策動向、地方分権改革の進展など、プラン策定後の行財政環境の変化等を踏まえ、行財政全般にわたる総点検が行われました。これに合わせて、我々県議会においても「行財政構造改革調査特別委員会」を設置し、これまで精力的に議論を重ねてまいりました。9月に示されました「課題と検討方向」を踏まえ、11月下旬の「企画部会案」、12月の「第一次案」、1月の「第二次案」を経て、今定例会に「第3次行革プラン」の案が上程されています。

我が会派では、第3次行革プランの策定にあたり、一つ目には、平成30年度の収支均衡などの財政健全化の目標達成に向けた折り返し点に当たることから、単なる3年目の総点検にとどまらず、行革11年間の最終のあるべき姿を見通し、その先の将来をも見据えた持続可能な行財政運営を実現するための行革プランでなくてはならないこと、二つ目には、限られた財源の中、様々な課題に対応していくためには、投資事業はもとより、政策的経費についても、優先順位を明確にした上で改革を進めていくことが必要であること、三つ目には、県民の生活現場でどのような問題が起こっているのか、また、これまでの行革の取組によってどのような影響があったのかなど、県民の声、現場の声をさらに大切にしていく必要があること、四つ目には、今後の社会情勢の変化を見据え、既存の各施設、公社などについて、その規模、あり方、費用対効果が果たして県行政・県民の視点から妥当かどうか、税金の使い方を見直す観点からも再度ゼロベースで見直していくという視点が必要であることを主張してまいりました。

今回、提案されました第3次行革プラン案については、当初提案されました企画部会案から比べますと、わが会派の申し入れや意見開陳が一定反映されたものとなっており、概ね評価しているところです。

しかしながら、今回示されました予算案からも依然として厳しい財政状況が続くことは誰の目にも明らかですが、このような中にあっても南海トラフ巨大地震や風水害への備え、少子化対策、超高齢社会への対応、地域活力の再生、産業競争力の強化、エネルギー・環境対策など、兵庫の将来を見据えた課題に対して道筋を定め、計画的に対策を講じ、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立していかねばなりません。

そこで、活力にあふれ、豊かさが実感できる兵庫の実現に向けては、県民に対して、一層の説明責任を果たしながら、理解と協力を得ていくことが求められますが、「第3次行革プラン」の策定を踏まえ、行革の総仕上げに向けた、知事の意気込みをお伺いします。

また、その第一歩ともいえる平成26年度当初予算について、どのようなメッセージを込め、どのような事業・分野に重点を置いて予算編成をしたのか、改めて知事のご認識をお伺いいたします。

2 震災の教訓を活かす兵庫づくりについて

質問の第2は「震災の教訓を活かす兵庫づくり」についてです。
「震災の教訓を活かす兵庫づくり」は「安全元気ふるさと兵庫の実現」に向けた6つの柱の第一に掲げられたものであります。また、先日、公表されました、来年度の当初予算案でも、県政の重点事業の冒頭に「阪神・淡路大震災20周年事業の推進」が掲げられていました。このことから、阪神・淡路大震災の経験や復興過程で得られた知恵を語り継ぎ、その教訓を未来に生かすことについて、被災地の責務として重点的に取り組まれようとする姿勢を窺うことができます。

阪神・淡路大震災の発生から既に20年目に入っていますが、被災地では震災を知らない世代や他の地域から引っ越してきた人々が神戸市では市民の4割を超えており、防災意識の低下が懸念されています。また、1月17日前後に被災地で開催される追悼行事も、最も多かった震災15年の2010年より4割近く減っており、震災を知る人たちの高齢化に伴う「記憶の風化」に対する懸念も広がっており、20年の節目に向けて教訓をどう語り継ぎ、次の災害に備えるかが問われています。

日本に住む私たちにとって震災は避けては通れない宿命であり、震災を含め、自然災害に対しては、想定を固定的にとらえるのではなく、あらゆることに準用可能な想定をしておかなければなりません。また、近い将来発生が予測されている南海トラフ地震への対策については、この度、南海トラフ巨大地震を想定した本県独自の津波浸水想定図が発表され、災害拠点病院が浸水想定区域に含まれるなど新たな課題への対応も必要となるなか、今後も引き続き、ハード、ソフト面から対策を着実に進めていく必要があります。

兵庫県では、阪神・淡路大震災の後、創造的復興をめざして懸命の努力を続けてこられ、現在でも高齢者の見守りなど震災復興の残された課題にも手厚く対応しています。さらに、国内外を先導する防災・減災対策の推進、国際防災協力活動や東日本大震災等への災害被災地支援など、既に震災の経験と教訓を踏まえた様々な取り組みを積極的に推進してきています。
こうしたなか、震災20周年事業を予定されていますが、被災地兵庫として震災20年だからこそ、取り組むべき課題があると思います。どのような考えのもと、どのように進めて行こうとされているのか、平成8年に本県に副知事として赴任されて以来、兵庫の復興とともに歩まれてきた井戸知事の決意・意気込みをお伺いします。

3 中四国地方と兵庫県との連携のあり方について

質問の第3は、「中四国地方と兵庫県との連携のあり方」についてです。
兵庫県は古くから交通の要衝として栄えた地域であり、現在でも、幹線道路はもちろん、JRや私鉄が走り、四国との間にも橋が架かり、基幹的な港や空港を持ち、日本海から瀬戸内海に至る県土は、各地とつながっております。

関西の中では、西端に位置しておりますが、逆から見れば、関西の西の玄関口と言うこともできます。山陽道の起点であり、兵庫県を中心に見ると、関西と、中国や四国、さらには九州まで含めた、西日本を結び、つなぐ役割を果たすことができる位置にあるのが、本県であります。

その立地を活かし、役割を果たそうとするならば、近畿圏や関西広域連合にとどまらず、兵庫を中心にウィングを広げ、まずは、従来の枠組みを超えた隣県との連携にもっと目を向けるべきではないでしょうか。

既に、個別には、多くの連携が行われております。例えば、岡山県とは、両県の3県民局で県際交流事業やJR赤穂線沿線地域活性化連絡会議を行っています。また、鳥取県とは、氷ノ山県際交流推進事業や国道29号周辺兵庫・鳥取地域振興協議会などの取り組みがあり、いずれの県とも、知事会議を開催し、共通する政策課題の協議を行っています。

県境地域におきましては、買い物や通学、通勤、通院など、日常的な交流が盛んであり、婚姻などによる人間関係も生まれます。市町村レベルでは、東備西播定住自立圏や因但県境自治体会議など既に県境を越えて設置されております。

一方、第30次地方制度調査会答申を踏まえ、1月末、国の研究会において、自治体が「連携協約」を結ぶことによって、相互連携する分野や役割分担を柔軟に決められる制度の創設が提言されました。この制度を用いて、都道府県と市町村の垂直連携も可能になる方向であり、合併に伴う行政サービスの変化や郡部を中心とした人口減少、社会経済構造の変動などを踏まえた、新たな自治の形の模索が始まっています。

このように、市町レベルでの連携は進んでいますが、県境域の課題に目を向ければ、1県だけでは対応できない、共同して取り組むべき課題も見えてきます。例えば、鳥獣被害対策であります。シカやクマについては、同じ個体群が、本県と岡山県および鳥取県をまたぐエリアを活動域としていることが既に明らかになっております。野生動物には県境は関係ないわけで共同して取り組んでいく方が効果的です。

また、関西広域連合で取り組んでいるドクターヘリの共同運航や県境を超えた医療圏の設定、環境管理、災害対策、農林水産分野など地形や天候が同じエリア内で共通する課題についての試験研究なども考えられるところであり、兵庫県が呼びかけて、まずは、県の事務レベルからでもよいと思いますので、岡山県、鳥取県と3県合同で、課題の整理や議論を行う場を設けてはいかがでしょうか。

特に、中山間地域や過疎地域が抱える、都市部とは違った課題に取り組むためには、各県および市町村が、従来の縦横の境を超えた新たな形を検討していくことが必要だと考えます。
こうした取り組みを進めていくためには、例えば本県と、中四国の県における広域連合への参加も検討に値すると考えます。

道州制を含め、国のかたちについての議論が行われている現在だからこそ、県あるいは関西や中国といったブロックの人為的な境にとらわれず、兵庫発の望ましい広域連携のあり方を提起していくべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。

4 県内企業の国際的な事業展開への支援について

質問の第4は、「県内企業の国際的な事業展開への支援」についてです。
日本経済に持ち直しの動きが見られるものの、我が国の企業にとって、人口減少による国内市場の規模縮小は避けることのできない問題であり、海外市場の開拓や労働力の活用など、国際展開を考える企業は今後ますます増加していくことが見込まれます。

海外展開、海外進出は、駐在員事務所の配置、支店の設置、現地法人の設置による生産拠点、販売拠点等の整備など、直接拠点を整備するものと現地市場の開拓に係るものの大きく2つに分かれます。なかでも、企業が県内から撤退し、生産機能そのものが海外へ移転される場合については、雇用が県内産業の空洞化してしまうことが従前より懸念されていますが、海外展開した県内企業が海外の成長を地域経済に取り込み、県内の雇用や生産の維持向上に繋げていく視点も必要であります。

昨年12月に開催されました日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議では、域内の統合を促す国際インフラ網の整備や防災対策など、日本が強みを持つ分野で経済支援を加速することで合意され、域内の経済発展とともに、日本企業の進出による、国内の経済成長につなげていこうとしています。

県内でも、神戸市が水処理機器メーカーとともに、ベトナムの工業団地において、貯水池を整備し、浄水場や送水管を設け給水事業に参画するなど、技術とともに国際展開するなど新たな動きもみられて始めています。現在、本県の第三セクターである株式会社ひょうご粒子線メディカルサポートは、兵庫県立粒子線医療センターで培われた優れた治療ノウハウや施設の自立的運営に向けたノウハウをベースに他施設の開設準備を支援していますが、今後は、このように優れた技術と製品をセットにした国際展開が増えていくことが予想されるところです。

規模がある程度大きい企業については、既に海外展開を済ませ、製造拠点の海外展開については、出尽くした感もありますが、知事も「地元の中小企業には技術力はあるが、消費者ニーズに対応する力が弱いように感じる」と年頭のインタビューで答えられていたように、本県には、優れた技術を持つものづくり企業が多数集積しており、販路拡大を中心に、まだまだ海外展開の余地は残されているといえます。

しかしながら、多くの企業にとって、海外展開は、言葉の壁や法制度や商習慣の違いをはじめノウハウが蓄積されていないうえ、そもそも海外展開を担えるグローバル人材が社内に不足していることも多く、ハードルが高いことも事実であり、支援に相応しい企業に対しては、多面的な支援が求められるところです。

そこで、県内に集積する高い技術を持つものづくり企業の海外進出を支援していくことは、県内経済の活性化にとって重要であると認識しておりますが、県が果たす意義についてどのように認識しているのか、現状の課題、今後の支援の進め方と併せてご所見をお伺いします。

5 強い産業としての農業の確立について

質問の第5は、「強い産業としての農業の確立」についてです。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟に向けた交渉を背景に、政府は、平成30年産を目途としたコメの生産調整の見直し、同時に行われる減反農家への定額補助金廃止に向けた来年度からの補助金減額、都道府県の農地中間管理機構による農地集約など、農政の大転換期を迎えています。

TPP加盟後の農産物の関税撤廃後に予想される厳しい競争を見据え、現在約5000億円程度である輸出額を、平成32年までに1兆円に倍増、あるいは、今後10年間で、コメ60kgの平均生産コストの4割削減など、大きな目標を掲げての農政改革であり、本県としても、これらの目標に向かって、今後の農政の方向性を定めるべき時だと考えます。

「日本の縮図」と言われる本県においては、農業も多様であり、五国それぞれの特徴を持った多彩な農産物が生産されております。豊富な資源に恵まれているという特徴をどのように活かしていくのかも、大きな課題の一つではないかと考えます。

例えば、大分県では、県が主導して、県域生産・流通体制の確立を目指す取り組みを行っています。量販店を主なターゲットとして、戦略品目を選び、量販店の大量・通年出荷の要請に応えるべく、技術指導等による時期外の生産拡大や、県域リレー産地化を進め、出荷組織を統合し、年間を通じて同一ブランドで売り込む体制を構築してきました。

また、流通面でも、普及指導員の中から、高度な専門知識と経営感覚を持つ者を広域普及指導員とし、これを中核とした品目別プロジェクトチームを立ち上げ、流通起点の産地づくりを進めています。東京、大阪、福岡には、それぞれ専任の県職員のマーケターを配置し、民間のマーケティングアドバイザーの指導の下、重点品目の量販店への売り込みや、販売情報の産地へのフィードバックを行っています。事前に出荷情報を、他産地に先駆けて量販店に提供することで、生産者に有利な販売に結びつける仕組みもあるそうです。ピーマンや白ネギ、ニラなどでは、体制が確立し、市場シェアが伸びるなど、成果が出ているほか、民間の自主的な取り組みへの誘導・強化も始めています。

本県においてもこのようなケースを参考として、間近にある京阪神や首都圏などの大市場の分析を行い、品目を定めて、シェアの拡大や必要な生産量、それに基づく販売額などの数値目標を設定し、県域での生産・流通体制の確立を県が主導していくことが必要であります。
重要なのは、どこに何をいくら売って、農業者の所得がどれだけ確保できるかであります。国内市場の縮小傾向が続いているなか、農業者が農業で生活できなければ、産業としての農業は成り立たず、新規就農者を獲得することも難しい状況になってきます。

そこで、以上の点を踏まえ、農政の大転換期を迎えるにあたり、農業は本県産業の中でも今後も大きく成長していく余地のある分野であり、TPPの進展も視野に入れ、農業を強い産業として確立させていくには、生産から流通に至るまでマーケットインの発想に基づいて“オール兵庫”で取り組んでいく姿勢が必要だと考えますが、県として今後どのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見をお伺いいたします。

6 建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくりについて

質問の第6は、「建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくり」についてです。
県内における建設業は、事業所数で全産業の8.2%、就業者数でも5.5%を占め、地域経済や雇用を支える大きな役割を果たしているとともに、災害に強く、安全・安心な地域社会を構築していくうえで重要な存在であります。

しかしながら、業界では、建設労働者の減少や高齢化の進行に伴う次世代への技術継承など、全国的に深刻な課題を抱えていることから、入職者に対する処遇改善をはじめ、建設業の魅力アップが求められています。

本県においても、建設業協会などと、今春にも「県建設業育成魅力アップ協議会(仮称)」を立ち上げ、工業高校の生徒らに建設業の魅力や役割を伝える取り組みが始められるとのことであります。また、他府県でも同様の取り組みを進めているケースは増えています。例えば、群馬県では、昨年8月に、県、各業界団体、高校、大学などの関係者による産学官連携会議を設置し、県が高校や大学に講師を派遣し、「土木施工管理技士」の資格取得のための講座を開設するなど、若手技術者を確保しようとされています。

一方、建設業界では、公共事業が急増したことにより、労務費や資材価格の高騰に、公共工事の単価設定が合わず、入札不調が続くなど、従来とは異なった課題が出てきています。国土交通省では、1月末に公共工事入札に使う建設現場の労務単価を、全国平均で7.1%上げると発表しました。本県においても、2月に労務単価を引き上げたところですが、県内の景気浮揚をする観点から、建設業従事者に対して適切な水準の賃金が支払われるよう、単価設定や適切な価格での下請契約の締結の要請などに引き続き取り組んでいただきたいところです。

中長期的な視点に立てば、まさに本県が全国に先駆けてアセットマネジメントに取り組んできたように、今後は、社会基盤施設の老朽化への対応や日常の維持管理業務へシフトしていくことが求められることから、メンテナンス技術を持った建設人材の育成に取り組んでいく必要があります。

維持管理業務は、「定期点検」や「詳細調査」などの新設にはないプロセスが加わることや工事金額が新設工事よりも小さいという課題があります。特に、今後、予防保全型の維持管理への転換が進めば、工事規模は更に小さくなり、企業にとって魅力のない分野となりかねず、社会基盤施設の適正な維持管理を支えうる仕組みの創出が必要です。

例えば、複数の工事や業務をエリアや路線でまとめるといった包括的な契約方式による発注を行うことで、企業にとっても、安定的な受注ややりがいのある業務内容とすることができ、人材育成にもつながるのではないでしょうか。地域によっては、地域内の複数社がまとまって受注できる仕組みづくりも、併せて取り組むべきと考えます。

建設業の人材不足は、社会基盤施設の整備や修繕を含めた維持管理だけでなく災害復旧への対応にも直結することから、その対応は喫緊の課題であり、新規入職者を確保・育成していくためには、県内建設業者が地域において業として続けていける事業量を安定的に確保していくなど、建設業界の活性化に向けた仕組みづくりが強く求められるところです。
そこで、県としてこれらの課題をどのように克服していこうとされているのか、ご所見をお伺いします。

7 今後の英語教育のあり方について

質問の第7は、「今後の英語教育のあり方」についてです。
昨年12月13日、文部科学省は、初等中等教育段階からのグローバル化に対応した教育環境作りを進めるため、小中高等学校を通じた英語教育改革を計画的に進めるための「英語教育改革実施計画」を公表しました。2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、同計画に基づき、体制整備等を含め、来年度から逐次改革を推進することとされています。

本県においても、グローバル化に対応した教育の推進は、重要な課題として取り組まれており、英語教育の充実は、今定例会に提案されています「第2期ひょうご教育創造プラン」にも明記されています。

グローバル化が進行する現代において、語学力やコミュニケーション能力をしっかりと育むことは、子どもたちの将来にとって非常に重要であります。
国は、「英語教育改革実施計画」において、高校卒業段階で、英検2級から準1級、TOEFLiBT57点程度以上など、外部の検定試験による目標設定をしようとしていますが、この目標設定が相応しいのは、英語への関心が高い一部の生徒に限られるのではないかと懸念しています。

本県では、来年度に、「英語を用いて~することができる」という形式による目標設定「CAN-DOリスト」の兵庫版の開発に取り組まれるとのことですが、それぞれの興味や思い描く将来の進路、能力に合わせて、実際に使える英語力を要請し、英語で日本や地元、自分自身や身近な問題について、伝えることができる力を育成することが、真のCAN-DOであるといえます。

「神戸」という、古くから異文化との窓口であった港を擁する、本県の歴史や伝統を受け継ぎ、日本の未来を担う、兵庫発のグローバル人材を育成していくことが求められているのではないでしょうか。

そのためには、本県の歴史や文化、産業などを題材とした、英語に対する興味を持つことができるような独自の教材を開発していくことも必要ではないかと考えます。例えば、福井県では、NHKエデュケーショナルと共同で、独自の副教材「Fuku-English」を開発し、県立高校の授業などで活用しています。テキストとDVDで構成され、映像を見ながら繰り返し学習できるものです。シンガポールの旅行添乗員を、福井市内の旅行代理店の女性社員が、県内の観光名所を案内して歩くという設定で、名物の食べ物や工芸品なども登場します。

そこで、今後、本県において、どのような目標設定のもとで、英語教育を通じてどのような人材を育成していこうとされているのか、また、今後の英語教育を進めるにあたり、特に重点的に取り組んでいこうとされている点と併せて教育長のご所見をお伺いします。

8 交通事故対策等の推進について

質問の第8は、「交通事故対策等の推進」についてです。
昨年の、兵庫県内の交通事故死者数は、187人でした。残念ながら、前年より8人の増加で、全国ワースト2位でありました。この内、高齢者の方が前年より16人も増えて103人と、亡くなった方の半数以上を占め、全国でもワースト3位となりました。いずれも長期にわたって状況が改善されておらず、一層の対策が望まれるところです。

人身事故件数全体では、3万2,734件と、前年より1,322件、約4%減少しており、けがをされた方の数が減ったのは、幸いなことでしたが、発生場所で見ると、全県的に減少したにも関わらず、高速道路での事故が増加しており、その対策が課題となっています。

また、高速道路以外の県内には、慢性的に交通渋滞が発生する箇所があり、県民の日常生活や社会経済活動に支障を来しております。本県議会でも多くの議員が取り上げ、度々問題提起をしている課題でありますし、県民の方々からも、渋滞解消については、非常に強い要望が寄せられております。

交通対策は「安全」と「円滑」がその両輪だと言います。事故も渋滞もない交通の実現が、強く期待されるのでありますが、その両立は極めて難しい問題です。例えば、安全のためには、歩行者と自動車の分離が有効ですが、そうすれば当然、車道が一定制限され、円滑な交通が妨げられることになります。信号の運用などについても、同様の課題があり、いかにこの困難な課題を克服していくのか、県警察と県土整備部の連携強化も含め、ぜひとも解決の道を見出していただきたいと願っております。

先般、着任されました井上本部長のこれまでの経歴を伺いますと、いわゆる交通畑のようにお見受けいたします。前任が警視庁交通部長、その前任は警察庁交通局交通企画課長も務められ、また、国土交通省道路局道路交通管理課長としても務められたこともあるとのことで、まさに本県の重要な課題である、交通事故対策・渋滞対策にうってつけの方と存じます。特に、情報通信技術の進展による新たな対策の導入や、関係知事部局との連携にも期待を感じております。

そこで、今後、本県の課題であります、交通対策の「安全」と「円滑」をどのように両立させ、交通事故対策を進めていこうとされているのか、新本部長の決意をお伺いいたします。

石井 秀武

(神戸市西区)

一般質問

(前田 ともき 議員)[発言方式:一問一答]

1 アルコール被害防止の総合的対策について
2 民間のスポーツ・フィットネスクラブ等の誘致・増加策について
3 ICTを活用した県行政の推進について
(1)新たなICT戦略の策定について
(2)CIO補佐官の設置やICT部門の格上げなど組織強化と市町との連携について
4 オープンデータの推進について
5 24時間無料のどこでも学習環境の提供について

質問全文

第322回 2014年2月定例会 一般質問

質 問 日:2014年2月25日(火)

質 問 者 :前田 ともき 議員

質問形式 :一問一答方式

1.アルコール被害防止の総合的対策について

アルコールが与える悪影響やリスクに対して、強く認識するきっかけがありました。
昨年、国会で成立したアルコール健康障害対策基本法です。死者3.5万人、社会的損失4.1兆円。この数値は大規模自然災害によるものではなく、一年間のアルコール被害によるものです。

これまで、断片的に議論されてきたアルコールに起因した問題。がん、飲酒運転による事故や依存症、DVに自殺。いずれもそれぞれが非常に大きな問題ですが、一つの大きな要因がアルコールであり、総合的な対策を我々は真剣に考えなければなりません。
アルコール被害の未然防止にまず必要なこと、それは不適切な飲酒の防止で、3つの類型からなります。

1つ目は、1日平均で日本酒2合以上(女性は半分)の飲酒により、生活習慣病やがんなど健康障害が引き起こされる過剰な飲酒習慣。
2つ目は、おおむね日本酒3合強で酩酊に至る深酒・暴飲により、急性アルコール中毒や喧嘩、DVに性被害など引き起こす、ビンジ・ドリンキング。

3つ目は、未成年や妊婦、自動車運転など、飲んではいけない条件下での飲酒。
厚生労働省は、アルコール依存症を約80万人と予想していますが、治療を受けているのは4万人に過ぎません。60以上の病気の要因となり、健康寿命を短縮する要因の9.2%を占め、アルコールに起因した死亡は毎年約3.5万人と驚く被害が推計されています。飲酒運転違反者の約32%にアルコール依存症の疑いが、刑事処分に至るDV事件では犯行時の飲酒は約67%など、これら課題の未然防止・抜本対策には不適切な飲酒対策が必要です。

各国でも対策が進んでおり、2010年のWHO総会では、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略が決議されました。冒頭で紹介した基本法では、国や自治体、医療関係者に初めてその責務が明記され、都道府県にも地域の実情に応じた推進計画の策定が努力義務とされています。このほか、具体的な取り組みとして、本年度から特定保健指導では、断酒ではなく飲酒量の減少を目指す、ブリーフ・インターベンションも採用されました。

そこで、国内外で深刻な被害をもたらすアルコール被害の防止に向けた機運が醸成される中、県は、不適切な飲酒の現状と引き起こされる社会問題や損失をどう認識し、アルコール健康障害防止の推進計画を策定されるのか、また、飲酒運転やDV防止は県警本部、アルコール依存症や健康被害対策は健康福祉部、未成年飲酒防止では企画県民部などと、それぞれの部局が個別に対応されている中、部局を横断した全庁的な取り組み体制が重要と考えますが、併せて当局の所見を伺います。

2.民間のスポーツ・フィットネスクラブ等の誘致・増加策について

健康寿命の延伸は私のテーマです。なぜなら、老々介護や認認介護の抑制、介護保険料高騰による家計負担の抑制、何より人生を健康に過ごせるQOL向上など県民サービスの向上と同時に、介護費・医療費の抑制による財政改善策でもあるのです。
現状でも介護・医療費の県費負担は年間約1,580億円、今後も年間約100億円ずつ増加する見込みであり、その抑制は喫緊の課題です。

私は、これまでも都道府県で健康寿命1位をめざし、ロコモ対策の早期実行、運動環境整備のための学校施設の開放推進など求めてきました。今回は民間スポーツ施設やフィットネスクラブ等の誘致・増加施策について提言致します。

 なぜ健康寿命の延伸のために、スポーツやフィットネスか?健康寿命の延伸には、認知症、ロコモ、メタボの3つの対策が重要で、そのためには定期的な運動が必要です。
しかし、負荷を考慮したMETs数やカロリー消費量を考慮すると、体操や散歩などの現在主軸の運動では不十分です。よく言われる1日1万歩は、約300キロカロリーの消費に過ぎず、更にその実現も兵庫県は、1日当たりの歩数が平成23年度に全国1位だったようですが、1万歩には届かない。

しかし、毎日ゴルフなら?1ラウンドで約1,200キロカロリー消費。フットサルなら?1時間で約460キロカロリーの消費、メタボ・ロコモ対策に有効な筋肉量の向上も期待できます。きつい運動負荷、長時間運動もスポーツという触媒を通すことで、継続的に、楽しく、カロリー消費ができる、スポーツの素晴らしさはここにあります。

そして、周囲に・安価で・多様な運動やスポーツ施設が必要です。県のアンケート調査でも、スポーツ振興のために県や市町に求める事業のトップはスポーツ環境の整備です。
また、フィットネスクラブなども重要です。意外なことに利用者は60歳以上が約3割と最も多く、その比率は増加傾向にあります。近年は、自治体や国保・健保と連携した介護予防や健康づくりプログラムの提供やコミュニティづくりなど、多様な役割を担いつつあります。
平成4年に厚労省は生活習慣病などに治療効果がある運動療法を、特定のフィットネスなど『指定運動療法施設』で運動した場合に、その費用を医療費の控除対象とするなど、近年は、自治体や国保・健保と連携した介護予防や健康づくりプログラムの提供やコミュニティづくりなど、多様な役割を担いつつあります。 また、2健保のレセプトデータと運動データを分析し、フィットネスクラブの利用回数が多いほど、医療費の伸び率が抑制された報告も、日本成人病学会でされています。

既に、県では全国1位を誇るスポーツクラブ21や勤労者健康づくり運動施設など環境の整備を行っております。しかし、健康寿命の延伸には、運動環境の質的・量的充実を図るためにも、新しい整備が重要だと考えます。
そこで、税制、助成金、融資補助、都市計画や建築基準法上の緩和・優遇などによる民間スポーツ施設やフィットネスクラブ等の誘致・増加制度を創設すべきと考えますが当局の所見を伺います。

3.ICTを活用した県行政の推進について

(1) 新たなICT戦略の策定について

ICTの進化は我々の生活を変え、ビジネスを変え、同時に自治体の政策にも大きな影響を与えます。ICTは、防災や農林水産、医療・福祉、教育、産業や地域の活性化と、あらゆる領域で県民サービスの向上や行政効率化に活用できる万能ツールといえます。マイナンバー制度や自治体クラウドもコストカットやBCPに寄与することでしょう。

 ICTの活用例では、東京ゲートブリッジが各種センサーにより、ひずみや伸び縮みなどをモニタリングし、1秒で2,800個のデータ測定を行い、インフラの保守・管理に活用しています。
佐賀県では全救急車にタブレットを配備し、救急隊員が受入可能な病院の検索を瞬時に行い、患者のたらいまわし防止や搬送時間の短縮に努めています。

和歌山ではセンサーで気温や降水量、土壌温度などのデータを収集し、果樹試験場の遠隔アドバイスと適時適作業の徹底で、高糖度のみかん比率を24%から53%に倍増させるなど、熟練者の経験に依存した生産ではなく、数値に基づいた生産管理で生産性向上や新規就農者支援につなげる取り組みもなされています。

このように、ICTの可能性は非常に大きいものですが、日本はICTの活用について遅れている状況です。世界経済フォーラムはICTに関する政策やビジネス環境、インフラなどを基にランキングしています。平成17年に8位だった日本は、25年には21位と大きく出遅れています。

昨年6月成立の世界最先端IT国家創造宣言では今後、5年で世界最高水準のIT利活用社会を実現する目標設定がされました。ひょうご情報交流戦略は平成21年度で終了しました。しかし、県行政や県民サービスの向上に向けたICTの活用に終わりはありません。
そこで、県のICTの重要性に対する認識と新たな戦略策定の必要性について当局の所見を伺います。

(2) CIO補佐官の設置やICT部門の格上げなど組織強化と市町との連携について

戦略を策定しても、うまく実行できなければなんの意味もありません。実行する組織と人材が重要です。IT国家創造宣言でも、従来から政策を進めてきたが、多くの国民が成果を実感していない理由として、ニーズを十分把握せず、組織を超えた業務改革を行わなかったことや、各省がバラバラにIT投資、施策を推進し、重複投資や施策効果が発揮できない状況を生み出し、真摯に反省する、とあります。

その反省点から、内閣情報通信政策監、いわゆる政府CIOが事務次官の上位に新設され、民間人が就任しました。
多様な行政課題の解決に向けたICT戦略を描き、部局横断でマネジメントを行い、効率的な事業実施を実現するため。また、県下の市町に、様々な支援や取りまとめの役割が求められる県には、ICT部門の組織強化策が必要ではないでしょうか。

そこで、CIO補佐官の設置やICT部門の格上げなど組織強化と市町との連携・支援について、県として今後どのように取り組まれるのか当局の所見を伺います。

4.オープンデータの推進について

ICT活用の重要なインフラがオープンデータです。 
オープンデータは、行政が保有する情報で、例えば地図・地下分野では道路の幅員や形状、ボーリングデータなど。防災分野ではハザードマップや河川水位など、行政保有の様々なデータを公開し、民間の発想で加工・編集し、アプリやウェブサービス、ビジネスに活用することで、地域の課題解決や産業活性化に活用する取り組みです。営利目的も含め、だれでも自由に利用が可能で、PDFやエクセルではなく、csvやxmlなどコンピューター処理に適したデータ形式で公開されるものです。

平成24年7月に政府は、公共データは国民共有の財産という認識のもと、3つの戦略を軸に、電子行政オープンデータ戦略を策定しました。

1.国民から行政への透明性・信頼性の向上   
2.国民参加・官民協働を推進し、ニーズや価値観の多様化への対応
3.経済活性化・行政効率化

オープンデータは世界的な流れであり、日本政府はカタログサイトの有無やデータセットなどにおいて、遅れつつありましたが、昨年6月のG8サミットでオープンデータ憲章に合意し、2014年度~15年度を集中取り組み期間とするなど、キャッチアップに全力をあげています。

利用例として、AEDやオストメイトトイレ、消火栓。必要な時に、今いるところから一番近い場所ってどこ?という場面。いざという時にお知らせチラシが手元にある人はいないでしょう。

オープンデータにしていれば、GPSに連動させてすぐわかります。また、震災対策でも、京都市は日本IBMと連携し、避難所情報と地図・GPSと連動した最適避難経路アプリの実用化を目指しています。いつでも、どこでも、何度でも、個々人に合わせたサービス提供が極めて安価にできる、これがICT利活用の世界です。産業政策としても、市場規模は約1.2兆円、経済波及効果は約5兆円程度のインパクトがあると期待されています。

オープンデータは、地方自治体の役割が重要です。経団連が昨年3月に発表した公共データの産業利用に関する調査結果では、地図や防災、都市計画に医療と様々なニーズがあり、利用したいデータの保有先は、地方公共団体が国を抑えて1位となっています。

そこで、県としてオープンデータの重要性と果たすべき役割をどう認識しているのか、また、様々なデータを様々な部局で保有している中で部局間の連携など今後の取り組みをどう進めていくのか、その方針について併せて当局の所見を伺います。

5.24時間無料のどこでも学習環境の提供について

ICTを活用した効率的な県政の推進や県民サービス向上の具体案を1つ提示します。
子供を塾に出す家計的余裕がない家庭。病気やけがで病院生活、イジメなどにより学校に通うことが難しい子供たち。塾には行きたいが、山間部や離島で近隣に学びの場がない子供たち。授業についていくことができなくなった子供たち。いろいろな環境下にありながらも、学ぶ意欲を持つ子供たちのため、24時間、完全無料、どこでも何度でも勉強ができる、受験対策ができる。そんな学びの場があったらいいなと思いませんか?でも、兵庫県も予算が厳しい。

しかし、大丈夫。それが、大規模公開オンライン授業、MOOCs(ムークス)とも呼ばれる学習動画の配信で、昨年の決算委員会でも提案しました。世界の一流大学の講義を無料で配信し、1つのプラットフォームで、500万人超の会員をわずか数年で獲得し、再生回数は3億回を超えるなど爆発的に普及しています。そこで、小・中・高校生の学力向上に向けた学習コンテンツのオンライン配信を提案します。 

子育て世代への、より手厚い支援が求められています。国の出生動向基本調査では、子供の数を増やせない理由として、子育てや教育にお金がかかりすぎるから、が断トツ1位の約6割、30歳未満でみると8割にものぼります。高校授業料の一部無償化、県においても子供医療費の助成拡大、待機児童解消など支援がなされていますが、学校外の家庭教師や塾代といった、学習費用負担も実は大きいのです。

国の調査では、学習塾に費用を支払った世帯は、中3で80.1%、高3で37.3%となっており、多くの子供たちが学校以外にも学びの場を持っているのが現状です。文部科学省の子供の学習費調査では、補助学習費は公立で、中学生は年間約22.4万円、高校生は約12.2万円。

これはあくまで平均ですから、塾に通えない、大学に進学しない世帯もあり、大手の学習塾に通うとすれば、年間50万はくだりません。子供を持つお父さんの小遣いは年間35万円ですから、本当に家計の大きな負担となっています。リクルートの調査では、大学新入生で塾や予備校に通わなかった人は65%で、その理由は経済的事情が49.4%、近くに良い予備校が無いが18.3%。言い換えると、教育の経済格差と地域格差が存在していることに他ならないのです。

このプラン。時間や場所、家計に縛られることなく、効率的な学習に取り組むことができ、学ぶ意欲にあふれた子どもの学力向上に役立つと考えています。学習コンテンツの制作に初期投資はかかりますが、一旦作成すれば、何百万人が授業を受けようが、変動費も固定費もほとんどかからないので、塾代助成や学習教室などの従来施策よりも最終的な費用は大幅に抑えられます。他の自治体と分担してコンテンツを作成すれば、更に費用を抑えることができるでしょう。

併せて、生徒の学力向上、家計への負担軽減のみならず、模範となる教員の授業を動画で配信することで、授業の改善や教材の開発など、個々の教職員のレベルアップにも資することが可能となります。

そこで、本来ならば国が取り組むべき事業とは思いますが、子育て世代への更なる支援や学習環境の経済・地域格差の是正、様々な状況で教育弱者におかれている子供たちのためにも、県として学習コンテンツのオンライン配信を通じた学力向上を先進的に図っていくべきと考えますが当局の所見を伺います。

前田 ともき

(選挙区:神戸市東灘区)

(竹内 英明 議員)[発言方式:一問一答]

1 教育委員会制度の見直し(首長関与の強化)について
2 県立大学姫路工学キャンパスの整備、理系女子確保対策について
3 兵庫県ドクターヘリの運航状況と県立姫路循環器病センターの整備方針について
(1)ドクターヘリの出動状況
(2)準基地病院製鉄記念広畑病院の運航時期と役割分担
(3)姫路循環器病センターの建替整備方針
4 地方公営企業会計制度の見直し(地域整備事業会計の保有土地の時価評価)について
5 法人県民税超過課税の延長と基金の運用果実について

質問全文

第322回 2014年2月定例会 一般質問

質 問 日:2014年2月26日(水)

質 問 者 :竹内 英明 議員

質問形式 :一問一答方式

1 教育委員会制度の見直し(首長関与の強化)について

質問の第一は「教育委員会制度の見直し(首長関与の強化)について」です。
教育委員会制度の見直し、特に首長が教育に関与することを強化することが政府与党や野党の間でも議論されていますが、これについて伺います。

現在の教育委員会制度は、戦前、国家主義的な教育が行われたという反省に立って、教育行政の政治的中立性を確保することを大前提に昭和23年に創設されました。教育委員を有権者が選挙で選ぶという教育委員直接公選制こそ、委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害を解消するため8年後に首長による任命、議会の同意制に改められましたが、その後は、国や都道府県の人事関与や委員会の予算・条例提案権の廃止などの変化はあったものの、大きく見直されることなく現在に至っています。

ところが、近年、いじめ事件など児童生徒の生命、身体、教育を受ける権利を侵害する重大な事態が発生し、委員会の責任が問われた際に、権限と責任の所在が不明確であること、すなわち教育委員からなる合議体としての委員会がトップであること、教育長以外の教員委員は非常勤であることなどの問題点が指摘されるようになってきました。教育委員長は教育委員会の代表として委員会を主催するものの非常勤であり、事務局を直接指揮・監督している常勤の教育長との関係も分かりにくいと言われています。

さらに近年、首長から、都道府県別の全国学力・学習状況調査で学校ごとの成績の公表などを求める意見や首長独自の学力向上対策が教育委員会に提案され、対立の構図が見られる自治体も出てくるようになってきました。直接選挙で選ばれ、予算提案権もある首長と教育委員会との意思疎通、連携に課題が出ているとも言えます。

そこで、現在、今国会への提案に向けて政府与党で検討されている「教育行政の最終的な意思決定の権限を教育委員会に残す一方、教育委員長と教育長を兼任するポスト(仮称)「代表教育委員」を設け、自治体の長が任命することで責任の所在を明確にする。また、首長は、教育委員や有識者らと構成する法定の(仮称)「総合教育施策会議」を主宰し、教育行政の基本的指針「大綱的な方針」を定めるなど、教委が担ってきた方針決定権を握ることになります。またいじめ問題等が起きた場合は再発防止策を講じさせるため、教委に是正措置も要求できることとしています。

これら新たな見直し案について、首長が教育行政により強く関与できるようになることに対して、知事の考えと、教育委員長には現行制度を変えることの必要性を日々の業務の中で感じるかについて考えを伺いたいと思います。

2 県立大学姫路工学キャンパスの整備、理系女子確保対策について

質問の第2は「県立大学姫路工学キャンパスの整備、理系女子確保対策について」です。
現在の県立大学姫路工学キャンパスは、旧姫路工業大学の本部書写キャンパスと言われてきたキャンパスです。旧姫路工業大学は昭和19(1944)年に神戸市で県立高等工業学校として創立され、県立工業専門学校への名称変更、昭和21(1946)年の姫路市への移転を経て同24(1949)年に姫路工業大学として姫路市において設立された歴史ある大学で、平成16(2004)年の県立3大学の統合により兵庫県立大学となっております。

このキャンパスの中で、昭和40年代前半に建設され老朽化した10施設を同じ敷地内で古い施設を解体しながら順次新しい施設に建て替える方針で、26年度予算では新しい本館の実施設計の予算約6,800万円が計上され、以降、平成35年度まで10年間をかけて総事業費約115億円で事業が実施される計画です。

整備の背景として「県立大学工学部・工学研究科は、本県はもとより全国の産業発展に貢献する人材を育成してきたが、現状の施設では、創造力あふれる人材の育成や新技術の創出等新たな時代のニーズに応えることが困難」とし、「少子化が進むなか、大学間の熾烈な学生獲得競争に打ち勝ち、より優秀なものづくり人材を輩出していく環境整備が必要」であるとしています。

理系の研究といえば、神戸市中央区にある再生医療の拠点、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターで先日新しい万能細胞「STAP細胞」作製を発表した小保方晴子研究ユニットリーダーが有名になりました。彼女だけでなく女性で理系の大学に進学する学生も増えているそうで、理系の女子を「リケジョ」と呼ぶそうであります。

しかし、現在の工学部の建物は、40年以上前に建設され、古くて狭く、トイレも男子用が大半という昔ながらの研究施設となっています。小保方さんの研究室がテレビに映っていましたが、まっ白い壁を背景にムーミンの絵が描かれるなど、旧来の研究室のイメージを変えるような部屋で、多くの女性が研究されており、大変驚きました。現在、工学部・工学研究科をあわせて学生1,991人中女性は156人と7.8%となっており、女性は少ないとのことですが、学習・研究環境も学校選択の重要な要素にもなると思います。

今回の整備にあたって、理系女子「リケジョ」も進学したくなるような整備とする必要があるのではないでしょうか。女性志望者が増えることによって男性の志望者が減ることもありえませんし、逆にリケジョをターゲットに志望者を確保する計画を立てることで学校全体の人気があがる可能性もあります。姫路工学キャンパスの建替整備についてどのような整備方針を考えているのか、特にリケジョ確保対策で考えていることがあれば伺いたいと思います。

3 兵庫県ドクターヘリの運航状況と県立姫路循環器病センターの整備方針について

(1) ドクターヘリの出動状況
(2) 準基地病院製鉄記念広畑病院の運航時期と役割分担
(3) 姫路循環器病センターの建替整備方針
質問の第3は「兵庫県ドクターヘリの運航状況と県立姫路循環器病センターの整備方針について」です。

昨年11月30日に県立加古川医療センターを基地病院として就航したドクターヘリについて、運航から3ヶ月が経過してようとしています。運航範囲は、同センターから50~70キロの圏内、播磨地域と丹波南部地域をカバーしています。原則として午前8:30から日没までの時間帯で運航すると聞いていますが、現在の出動件数(1日当たりも)をお聞かせいただきたい。

また、準基地病院となる姫路の製鉄記念広畑病院のヘリポートも来月3月22日に竣工の運びですが、準基地病院としての運航開始時期は異なると聞いております。運航時期の目途と、運航開始後の加古川医療センターとの役割分担はどうなるのかについてもお伺いします。

また、播磨地域には三次救急の県立姫路循環器病センターもあり、ヘリコプターの緊急離発着場の設置もされますが、こちらは平成30年度以降計画的に本格的な建替整備が予定されていると聞いています。昭和56(1981)年6月に開設され、わが国で初めての循環器専門の自治体病院として開設された経緯から循環器疾患の専門医療のイメージが強いわけですが、認知症疾患医療センターがあり、糖尿病センターの開設など様々な専門分野を有しています。

今年で設立33年目を迎え、施設等の老朽化も進んでいることから、病院構造改革推進方策において、平成30年以降の建替が明記されております。今後の建替整備にあたって現段階で決っている方針等があれば教えていただきたいと思います。

4 地方公営企業会計制度の見直し(地域整備事業会計の保有土地の時価評価)について

質問の第4は「地方公営企業会計制度の見直し(地域整備事業会計の保有土地の時価評価)について」です。
企業庁の地域整備事業ですが、財務諸表を見る限り、直近の24年度決算でも、自己資本276億円のほか、利益剰余金が222億円もあるなど、総資産2,116億円に対して(借入資本金を除く)資本が500億円を超えるなど一見すれば何も問題がない財務状態とみられてきましたし、議会で経営状況に関する質問があっても当局もそう答弁されてきました。

一方、平成24年2月に地方公営企業法施行令、同施行規則等が改正施行され、約46年ぶりに、借入資本金の資本から負債への移管や時価評価の導入など会計制度の大幅な見直しが行われることとなりました。大きな改革であることから2年間の猶予期間が設けられ、平成26年度予算及び決算から適用されることとなりました。

今県議会に提案されている第三次新行革プランをみますと、地域整備事業会計の保有土地の時価評価の結果は、進度調整地を除く帳簿価格408億円の土地が、136億円の評価損が出て、272億円になるということです。下落率は33%です。

また、おのころアイランドや夢舞台隣接地等の固定資産の再評価で60億円の減損が発生し、136億円の評価損とあわせ資産が196億円減少することとなりました。大変な見直しであります。
196億円の評価損は過去の利益剰余金(経営安定積立金209億円)の範囲内ということで312億円の資本がまだ残るので債務超過にはならなかったわけですが、これまで企業会計の実態をあらわす上で時価評価が必要だと何度となく指摘してきた私からすると、200億円近い欠損金が突然発生するようなこれまでの制度は何だったのだろうという思いがします。

また、今回評価減となった土地のほかに、播磨科学公園都市、ひょうご情報公園都市等の進度調整地が494億円あり、これは時価評価されていません。従来は原則として取得価額で計上されていた「たな卸資産」について、改正された地方公営企業法施行規則第8条第3項では、「時価が帳簿価額より下落している場合には、時価を帳簿価額とする」こととされているはずで、時価評価の対象とならない例外は「重要性の乏しい」事務用消耗品等に限られています。

早期に売却可能な土地ではないから進度調整地になっているのでしょうし、地価の下落だけでなく、過去には年利5%を超えるような高金利の企業債の発行によって取得した土地も含まれています。進度調整地についても時価評価を行えば、本当の経営状態に近い、今回の公営企業会計の改革の趣旨に合致した経営状況が明らかになると思います。

いずれにしろ進度調整地を取得原価のまま資産に計上し、低価法を採用しなかったことは大変重い判断だと思います。時価評価をすれば自己資本が大きく毀損される予想もたつ中での苦渋の選択だったと思いますが、他の自治体との並びも含めて本県だけが独自ルールというのはどうなのでしょうか。

民間企業の経営者なら財務を把握するために保有資産の実態を把握していて当然のことですし、議会も県民もこうした状況について知っておかないといけません。本当の経営状態に近い、今回の公営企業会計の改革の趣旨に合致した経営状況の開示をしていただきたいと思いますがどうですか?

5 法人県民税超過課税の延長と基金の運用果実について

質問の第5は「法人県民税超過課税の延長と基金の運用果実について」です。
今議会には法人県民税の超過課税を延長する兵庫県税条例の改正案も提出されていますが、超過課税は昭和49年に始まったもので、当初は、勤労者を初め、県民に、健康で心豊かな勤労者生活を増進するため、文化(カルチャー)、スポーツ、レクリエーションの活動の場を提供する、その3つの活動の頭文字をとってCSR事業の財源として1期5年でスタートしています。

当初は1%、4期以降は0.8%を財源として、CSR施設の整備と運営、ひょうごCSRクラブの活動支援を中核事業として実施、第5期までは全県的野外CSR施設などの整備を推進し、第6期はスポーツクラブ21、第7期は、県民交流広場事業など、現在の第8期まで勤労者福祉の向上をめざす、を基本に、少子対策を初めとする子育て支援も展開してきました。そこでこの超過課税の資金の状況を調べてみました。

この法人県民税超過課税の24年度末までの徴収金額は累計約1,279億円で、事業で使用したお金は1,252億円ということです。使っていない残りが約27億円。また、これだけではなく、金利が高かった時代に運用した超過課税の運用利子である運用果実が別に約326億円。つまり合計すると353億円ものお金がこの超過課税で残っている金額ということになります。

今回提案のあった第9期の提案では、5年間で130億円、単年度で26億円程度の税収がある見込みですが、使っていないお金が353億円残っていて、CSR施設の運営経費が将来的にも必要とは言っても既に市町に将来にわたる負担を一括交付して移譲した施設もあり、お金があるのになぜ延長するのかと受け取られる可能性もあります。

何年か前、与謝野馨さんが財務大臣をしておられた時代に国の会計に「埋蔵金」がある、ないという議論があったことを記憶しています。具体的には国の財政投融資特別会計や外国為替資金特別会計の運用益の積立金があるということで、実際に高い外貨金利により利益が出ており、財源探しの中で実際に数兆円が使われたと記憶しています。しかし、本県の場合、残念ながら、新たな財源として使える埋蔵金ではなく、既に活用されていました。

具体的にいうと、超過課税の積み立てられてきた現在の「勤労者福祉基金」の残高は24年度決算出納整理後8.5億円しかないことになっています。残る金額は、平成18年度の実質公債費比率の導入時に県債管理基金に集約され、うち262億円は企業庁の地域整備事業会計への貸付金として活用されています。すなわち神戸三田国際公園都市を展開した旧北摂開発事業特会に融資され、カルチャータウン等の造成費用等に充当された形となっています。

そもそも法人県民税の超過課税による収入は平成元年までいったん一般会計で収入され、その全額が勤労者総合福祉施設整備事業特別会計において収入されていましたが、平成2年度からは、基金の積立を一般会計で行い、事業費のみを特別会計に繰り出す方式に変更され、超過課税分の収入額はわからなくなりました。

私は、県の厳しい財政状況から、貴重な財源として今後も活用させていただきたいと考えますが、先の会派に対する超過課税の延長提案説明会でも超過課税については議員の中から大変厳しい声が多く出ていました。

超過課税は、使途の開示だけでなく収入の状況等も含めて特に慎重に取り扱わなければならないものであります。延長の是非を考える際に、こうした事実関係を明らかにし、納税者にわかりやく説明することも重要だと考えますが、予算や決算をチェックすべき立場の議員でも公表されている資料では税収や基金などの数値はわかりません。そこで提案します。
収支の状況などの説明責任をはたすため、支出だけでなく、超過課税収入も直接特別会計に入れ、他の会計と明確に区分して超過課税を経理すべきだと思うがどうか?

竹内 英明

(選挙区:姫路市)

(藤井 訓博 議員)[発言方式:分割]

1 給与抑制の早期縮小と行革推進に対する県民への周知のあり方について
2 自殺予防の県民運動の推進について
3 実効ある「地域安全活動」の実施について
4 警察官の人事異動について
5 高等学校等就学支援金制度の運用について

質問全文

第322回 2014年2月定例会 一般質問

質 問 日:2014年2月27日(木)

質 問 者 :藤井 訓博 議員

質問形式 :分割質問・分割答弁方式

早速ですが、通告に基づき、分割方式により以下5問にわたり、知事並びに関係当局にささやかな提案も含め質問をいたします。

1 給与抑制の早期縮小と行革推進に対する県民への周知のあり方について(企画県民)

質問の第1は、「給与抑制の早期縮小と行革推進に対する県民への周知のあり方について」です。
この度、第3次行革プラン(案)が示されました。この6年間の取り組みは概ねプランどおり進捗しており、県当局及び行革推進を支える県職員のご努力に心から敬意を表します。
今後の5年間は、行革の終局に向けてその方向性や取り組みをより具体的にかつ明確に示すことが重要になってきます。

残念ながら、私の周りの方々には、「県は、いままで随分、無駄遣いや人が余っていたんやなー」ととんでもないことを言う人もいます。
行革を成し遂げるため何よりも大切なことは、県民に対しサービスや安心・安全な生活を送る上で、こと、多大な影響を与える県民の行革に対する理解と協力を得なければならないこと、また、県政推進の原動力であり、最前線で頑張る県職員のモチベーションを保つことです。

2018年度に行革が終結したとしても、その後の県政推進の原動力とならねばならない県職員が、厳しい給与抑制や定員が3割カットされた状況の中、県政を推進する上で、体力・気力を消耗してしまっているという事態も懸念されます。

今次、第3次行革プラン(案)に対して行革審議会から、再度、「給与は職員の士気高揚や有為の人材確保など、県政運営を行う上での基盤となるものであり、引き続き適切に見直されたい」という意見が出されていることからも、職員のモチベーションを保つためにも一時も早い給与抑制措置の解除が望まれることはいうまでもありません。

このことと並行して、現状において、やらなければならないことは、この行財政構造改革の経緯・必要性・方向性や県当局・県職員等が持続可能な健全な県財政運営に向けて懸命の努力をしていることを、県民の理解と協力を得るためにも、今まで以上に工夫して県民に周知することであります。

例えば、職員の給与抑制措置における拠出については、これまでの行革6年間で給与や期末勤勉手当の削減により拠出額が600億円を超える額になっており、私たち議員も約5億4千万円拠出している実態が、県民にはほとんど伝わっていませんし、拠出した職員からみても拠出した給与が県政でどのような形で活かされているのかその姿をうかがい知ることはできません。

職員の給与抑制によりこれまで拠出した金額が、単なる財政上の補填ではなく、使途について例えば、県民にわかりやすい事業をあげて示すとか、拠出した給与については、職員団体との協議の場で使途を示すなどして、目に見える形にし、その上で県民に広報すれば、職員だけではなく、とりわけ県民にとって行革に対する理解・共感が深まり、協力も得やすくなるのではないでしょうか。

そこで、行革も折り返し点を過ぎた今、今後は職員のモチベーションを保つために、前述した行革審議会の意見も出されているように、給与抑制の早期縮小方針をより明確にすべきであります。また、行革推進に対する県民への周知のあり方等についても今一度工夫・見直しをすべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

2 自殺予防の県民運動の推進について(健康福祉)

質問の第2は「自殺予防の県民運動の推進」についてです。
自殺対策については、これまで再三再四取りあげさせていただきました。
この間2003年に初めて自殺対策の質問をさせていただきましたが、当初は県の自殺対策予算は確か300万円未満だったと記憶しています。
県の施策方針にもその記載は片隅に追いやられていましたが、今や県の重要施策として位置付けられています。

この間、兵庫県においては、「こころのケアセンター」の設立をはじめ、2009年には、全庁横断的な「自殺防止対策推進本部」の立ち上げ、さらには2010年、全国に先駆け「いのち対策室」を独立した部署として設置するとともに、並行して、24時間体制の電話相談、かかりつけ医と精神科医の連携、自殺未遂者支援など、様々な取り組みの強化が進められ、2016年までに兵庫県における自殺者を1000人以下にすることを目標として、鋭意施策を進められています。そのご努力に対して、心から敬意を表すものです。

日本の自殺者数は、1998年、前年より急激に約8000人増え、3万人を突破し、その後14年連続で3万人台を記録していましたが、民主党政権になり初めて自殺者が3万人を割り込み、昨年の全国の自殺者数は警察庁のまとめで、27,276人となり、4年連続減少となりました。

私自身、これまで様々な提案をして参りましたが、毎年の進捗状況の数字を見るに付け、2016年まであと3年、兵庫県における自殺者数を1,000人以下に抑え込むことは、至難の業ではないかと正直、思っていました。当局の皆様も同様であると推察いたします。
しかしながら、兵庫県において、1,300人台で高止まりしていた自殺者数が一昨年1,300人を大きく下回り1,225人となり、昨年はさらに減少し、1,180人となり、この10年で、最も少なくなっていることが発表されました。

まだまだ、楽観は許されませんが、これまでの自殺防止対策がようやく実を結んできたことは間違いないと確信しますし、加えて自殺は個人の問題だけでなく、社会的要因で追い込まれた末に起因するものがほとんどであり、社会が適切に介入し、適切な支援につなぐことができれば、避けることが可能な死という理解、すなわち、「自殺は予防できる」との理解が国民の間で深まってきたことも、大きな要因と考えられます。

2016年の兵庫県における自殺者数を1,000人以下に抑えこむという目標達成が現実味を帯びてきました。その実現のためのキーポイントは、行政のこれまでの取り組みに加え、県民一人ひとりがゲートキーパーとしてSOSのサインを見逃さない県民総がかりの体制づくりにかかっていると考えます。

まずは、住民と直接触れ合う最前線の各県民局においては、各市町との連携を積極的に図り、本庁の「対策本部」「いのち対策室」と緊密な双方向の連携のもと、しっかりとした分析の中で効果的な取り組みを進めなければならないことはいうまでもありません。特に神戸市における自殺者数が300人を超え多数を占めており、政令市である神戸市が施策を主導するとはいえ、今まで以上に最大限の連携を図り神戸市における対策強化も必要です。政令市のみならず、中核市に対する対応も同様です。

そこで、今後、行政の積極的な諸施策に加え、県民自らが、自分たちにできることから具体的に行動を起こすという県民意識を醸成する取り組みに加え、それを、県民一丸となった県民運動と位置づけ、県民局及び県民センターさらには健康福祉事務所等が全県同一歩調で具体的に取り組んでいく必要があると考えますが、当局のご所見と2016年の目標達成に向けての決意を併せてお聞かせ願います。

3 実効ある「地域安全活動」の実施について(政策、教委、警察)

質問の第3は、「実効ある地域安全活動の実施について」です。
地域安全活動については、全県下で警察・行政・地域・学校・家庭等々が協力、連携する中で、様々な取り組みが実践され、成果も上がっています。

しかしながら、最近では、先月の札幌市における小学校3年生の女児の誘拐・監禁事件に見られるように、児童・生徒が被害者となる犯罪が後を絶たない現状もあります。
幸い、兵庫県には、子どもが「誘拐や暴力、痴漢」などの被害に遭った、または遭いそうになったと助けを求めにきた時、その子どもを保護するとともに、警察、学校、家庭等へ連絡するなどして、地域ぐるみで子どもの安全を守っていくボランティアとして活動している「子どもを守る110番の家・店」の取り組みがあります。

そのはじまりは、岐阜県において、1994年4月に小学校2年生の児童が下校途中に殺害されるという痛ましい事件の教訓を受けて、1996年3月に可児(かに)市の小学校のPTAが中心となって、警察・地域防犯協会等と連携し、通学路周辺の店に「子ども110番の家」として、子どもに分かりやすいステッカーを掲示したのがはじまりとされています。

本県内でも、すでに全ての市町で取り組まれるようになり、昨年末現在、その数は58,725箇所、67事業所16,216店舗の協力を得ており、子どもたちを守る活動が着実に進展しています。

この「子どもを守る110番」の活用状況を調べてみますと、平成25年中で、駆け込み件数が101件、うち75件が迷子に関するもの、21件が痴漢・盗撮に関するもの、つきまとい等が5件という実績となっています。当然、約75,000箇所にも上る「子どもを守る110番の家・店」の設置そのものが、犯罪抑制効果があることはもちろん、地域住民の防犯意識の啓発にも大きく関与していることはいうまでもありませんが、設置数に比べ、子どもを取りまく未遂も含めた犯罪の現状を見たとき、その活用が充分なされていないのではないかという懸念も抱くところです。

子どもたちにとって、この大切な取り組みをより有効に活用できるようにするためには、いくつかの課題があろうかと思います。
ひとつには、各市町でデザインを含めステッカー等の形態が統一されておらず、子どもたちにとって、自分の街を離れ、他の市町に行ったときに犯罪に遭遇もしくは遭遇しそうになったときに子どもたちが直ちに避難場所「子どもを守る110番の家・店」として認識できるのかという懸念です。

そこで、「子どもを守る110番の家・店」のステッカーもしくは旗を、全県統一の色・マーク・デザインにすれば、兵庫県下、何処にいっても子どもたちが安心して駆け込めることが可能になりますし、学校においても小学校入学時等、現物を見せることにより指導も徹底しやすくなるということはいうまでもありません。

ふたつには、一番重要な観点と考えますが子どもがせっかくステッカーを見つけて駆け込んでも、住人が、「在宅」でなければ何の意味もなさないことです。
現在、限界集落等で独居高齢者に旗を渡し、毎朝玄関に掲げ安否を確認するなどの工夫がなされていますが、「子どもを守る110番の家」も、旗を立てて在宅サインを示すことは、子どもたちの安心・安全にとって効果的なものとなるばかりではなく、協力者にとっても子どもを守る意識がより啓発されることから、この「在宅サイン」の取り組みは全県的に積極的に進めるべきと考えます。また、そのことを広報することにより、兵庫の子どもはもちろん、他府県から兵庫を訪問した子どもたちにも安全・安心兵庫を感じる有益な取り組みとなります。

この「子どもを守る110番の家」の在宅サインを増やしていくには、在宅率の高いシニア世帯等にも積極的に参加してもらうことも大切なことです。
兵庫県下、どこに行ってもあちらこちらに「子どもを守る旗」が立っていることを想像したとき、子どもを守る、大切にする「安全元気・ふるさと兵庫」の取り組みの原点を見る思いがします。

現在、この「子どもを守る110番の家・店」の取り組みは、市町・教育委員会・各種団体等の主体的取り組みで行われていますが、そのとりまとめを統括する責任部所が曖昧となっている現状でもあります。安全なまちづくりを推進する県行政が中心となり、県警察や県教委と連携し、実施主体に対し、財政面も含めより積極的に働きかけを行い、今後は県民総掛かりの県民運動としても活性化を図る必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4 警察官の人事異動について(警察)

質問の第4は、「警察官の人事異動」についてです。
県民に信頼されるとともに、県民の命を守り、安心・安全を確かなものとするため、使命感を持って、日々努力され県民とともに歩みを続ける県警察の努力・取り組みに心から敬意を表しますとともに、感謝申し上げます。

さて、そういった中で、大きな疑問を感じることがあります。それは、警察官の人事異動方針です。警察常任委員会の一員として、管内調査を行った際、各警察署の調査資料を拝見しますと、全48警察署において、例外なく署長をはじめとして、副署長、刑事課長、地域課長、交通課長、警備課長等々、各課の幹部(主に警部以上)等、警察署のリーダー、各課のまとめ役の方々がほぼ100%、1年から2年の間にほぼ全員が入れ替っている、すなわち異動している現状となっています。

今次の県警本部長が1年で替わられたことにも正直びっくりいたしました。これは井上本部長の責任ではありませんが、県内各署においても、このような人事異動がされていることに、私自身、違和感が拭い去れません。

私も教員の経験がありますが、その地域・住民なり、内部の状況なりを把握するには最低1年のサイクルを経験しなければならず、ましてや、地域に溶け込んで住民から信頼を受け、本当に力を発揮できるのはその後の継続した努力にかかっています。

リーダーたる幹部警察官の短期間での異動の繰り返しでは、果たして、管内・署内の状況を把握し、管理・監督し、署員の能力を適正に把握することができるのか、後任者との頻繁な引継ぎ業務や打合せも含め、相談や被害者支援など複雑・繁雑な業務が増加するなか、齟齬が生じないのか不安も感じます。

最近、高止まり傾向にある警察官の不祥事案の一因にもなっていないか、検証の必要もあろうかと思います。
また、地域住民に最も身近な存在、すなわち地域から頼られ、愛される地域の顔として交番等で勤務する地域警察官の異動サイクルも残念ながら短いようであります。

警察署長をはじめ、警部以上の幹部警察官の異動は県警本部長が行い、交番等で勤務する地域警察官を含め、警部補以下の警察官の署内配置については、警察署長の権限とされていることからも、一律異動ありきではなく、各警察署管内・署内の状況や特性、また担当各部における事案の継続性の必要性等を勘案したうえで、警察組織トータルとして、各警察官が持っている力をこれまで以上に十分発揮できる異動体制、条件を整える必要があります。

今、県警察では、春と秋の年2回の人事の大異動があり、その合間にも小異動が繰り返されています。そこで、このような頻繁なとりわけ幹部警察官の一律ともいえる人事異動の意図と意義についてどのようにお考えなのか、また今後どのような方針で効果的な人事異動をされようとしているのか、本部長のご見解をお伺いします。

5 高等学校等就学支援金制度の運用について(教委)

質問の第5は、「高等学校等就学支援金制度の運用」についてです。
全ての希望する子どもたちが家庭の経済状況にかかわらず、安心して後期中等教育を受けられる、すなわち、子どもたちの学びを社会全体で支え、国が教育を補償する第一歩として、2010年4月に「高校授業料無償制度」が導入されました。この制度導入で、経済的理由等での高等学校中退者が大きく減少するなど、その理念に基づく教育効果も現れてきています。

かしながら、昨年11月27日に、この高校授業料無償制度の改正案が国会で可決され、本年4月から新たに「高等学校等就学支援金制度」として運用が開始されます。
この制度は、現中学3年生からが対象になり、保護者の収入の合計が910万円以上、実際は市区町村民税所得割額304,200円の子どもから授業料を徴収する制度となり、約20%の生徒が徴収対象になるとされています。

制度の是非はともかく、この制度導入によって生じるであろう様々な課題を早急に短期間で乗り越えなければならないことはいうまでもありません。
まずは、教室の中で、保護者の所得によって子どもたちが二分されるという状態は、子どもたちの気持ちに微妙な影を落とすことも懸念されることから、十分な配慮が必要であります。

その上で、一番肝心なことは、支援金の受給権を持つ約80%の生徒が誰ひとり支給から漏れることがあってはならないということです。
受給は該当者の「届け出制」であり、税額決定通知書や課税証明書が必要であることから、申請の取扱いについては、当然、生徒のプライバシーや個人情報の保護・管理に対しての対策を講じなければならないことはいうまでもありません。

その上で、支給が始まる4月を直近に控えた今、支給にかかわる具体的要件・手続きについては、当事者は勿論、中学校・高等学校の教職員・関係者等に対する周知・説明をさらに十分に行うことも必須となります。
特に、定時制・通信制の高等学校については、様々な事情を抱える生徒が多いため、特段の配慮も必要ですし、保護者の急な収入減による家計急変世帯への支援・対応も大きな課題です。

そこで、就学支援金支給にあたり、定時制・通信制高校を含め、受給権を持つ生徒が支給から漏れることがないよう、家計急変世帯への対応を含め、どのような対応・対策をとられるのか、また、膨大になる事務作業に対してどのように対処されようとしているのか、所見をお伺いいたします。

藤井 訓博

(選挙区:神戸市北区)