議会の動き

徳安淳子議員が質問(決算審査・財政状況)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2011年10月7日(金)

1 財政運営について

 質問の第1は、財政運営について3点お伺いする。

(1) 起債による収支不足対策について

 まず、「起債による収支不足対策」についてである。
 現在、本県では、平成11年度以降、全庁を挙げて、行財政全般にわたる改革を行い、持続可能な行財政基盤の確立及び元気で安全安心な兵庫づくりを進める行財政構造改革に取り組んでいる。
 この取組の基本として、平成11年度には「行財政構造改革推進方策」を策定し、その後、社会状況等の変化等を踏まえて適宜見直しが行われ、平成20年度には、新行財政構造改革推進方策、いわゆる「新行革プラン」が、また、この3月には、第2次行財政構造改革推進方策、いわゆる「第2次行革プラン」が策定された。
 しかし、これら二つのプランで示された平成30年度までの財政フレームにおいては、収支不足の財源対策として、退職手当債及び行革推進債の発行、並びに県債管理基金の取り崩しが充てられている。
 この点、平成22年度決算においても、このような財源対策により、4億円の黒字になったとされているが、その背景で県債残高は確実に増えており、借金を増やしながらの黒字ということに疑問を感じざるを得ない。私は、安易な県債発行や基金取り崩しは、収支不足の根本的な対策としては不適切であり、より適切かつ根本的な取組を進めることが必要ではないかと考える。
 そこで、平成22年度には、退職手当債250億円、行革推進債203億円の発行を行っているが、この発行金額はどのような算定の下で定められたのか、22年度決算を踏まえて、その金額の妥当性について、どのように認識しているのか、当局のご所見を伺う。
 併せて、第2次行革プランにおいて、退職手当債は平成28年度以降は発行せず、また行革推進債についても今後、漸減傾向にあるが、22年度決算を踏まえ、その見通しについての変更の有無についても、説明頂きたい。

(2) 県税等の滞納繰越の解消について

 次に、「県税等の滞納繰越の解消」についてである。
 平成22年度の本県の決算状況によれば、県税における収入未済額は、前年度より約14億3千万円減少し、約212億2千万円となっており、このうち、滞納繰越額は約149億5千万円となっている。
 また、県税を除く各部局における各種の償還金や使用料等の滞納繰越額も、約95億1千万円と未だ多額な状況が続いている。
 このような滞納繰越は、本来、本県の正当な収入として徴収が行われるべきものであり、債務者の経済事情などにより徴収が困難な事例など、それぞれのケースで個々の事情はあるとは考えるが、引き続き、積極的な徴収を行うことにより、本県の収入確保に努める必要が高いと考える。
 そこで、平成22年度末の滞納繰越の状況について、その多くを占める県税、産業労働部、県土整備部で、それぞれ、その金額を含め、概要を説明頂きたい。
 併せて、滞納繰越となることを未然に防止するため、また、滞納繰越額を改善、解消するため、当局においては、従来から様々な取組を進めておられることと思うが、平成22年度の取組の成果を踏まえ、今後、更にどのように取り組んでいくのか、お伺いする。

(3) 不納欠損額の状況について

 次に、「不納欠損額の状況」についてである。
 平成22年度の監査報告書においては、平成22年度における県税等、また各部局における不納欠損額の状況も示されている。
 このうち、県税等における不納欠損額は約15億1千万円、各部局において最も不納欠損額が多額であるのは県土整備部の約1億9千万円となっている。
 この点、滞納者の経済状況等を見れば、中にはやむなく不納欠損とせざるを得ないケースがあることや、また、不納欠損の条件は、地方税法等に定められており、これらの規定に基づき適切な手続が進められた結果、不納欠損として取り扱われることとなることは、私も理解はしている。
 しかし、先ほども申し上げたが、これらの不納欠損額は、本来であれば、本県の正当な収入として徴収が行われるべきものであったはずであり、毎年、多額の不納欠損額が生じることは、本県の厳しい財政状況を見ても、決して好ましいことではないことは明らかであり、当局においても、それぞれの滞納が不納欠損に陥ることを未然に防止し、不納欠損額の増加を防ぐため、あらゆる方策に取り組んでおられることと考える。
 そこで、上記の県税等、また県土整備部における不納欠損額について、どのような未然防止策、また増加防止策に取り組んだ結果、従前に比べ、22年度の状況は改善したのか、またはしなかったのか、それぞれ、その状況について伺う。

2 平成22年度補正予算における雇用確保対策等について

 質問の第2は、「平成22年度補正予算における雇用確保対策等」についてである。
 円高による景気の下振れ懸念や厳しい雇用状況などに対応するため、国の経済対策に伴い、本県においても、昨年10月及び12月の2度にわたり、県として取り組むべき事業の予算化を図るとともに、本県の経済・雇用情勢を踏まえ、早急に対策を必要とする生活関連や防災に係る県単独事業の実施、中小企業の資金繰り対策等に関する補正予算を編成した。
 補正予算の規模は、10月補正が約149億円、12月補正予算が約750億円であるが、このうち、雇用確保対策に10月補正で約55億円、12月補正で約59億円、そして中小企業金融対策に12月補正で200億円が充てられており、2つの補正予算全体の3分の1を占めている。
 そこで、これら雇用確保対策と中小企業金融対策の主な施策について、その概要と実績について説明を頂きたい。
 また、こうした雇用確保対策等も、一朝一夕に目覚しい効果が上がるものではなく、より長いスパンでその効果を分析検証していくべきものとは考えるが、取り組んだ施策の実績を現時点でどのように評価し、次なる施策展開につなげていくのか、あわせて説明を頂きたい。

3 新設ポストによる効果について

 質問の第3は「新設ポストによる効果」についてである。
 行財政改革の取組が進む中、職員の定員・給与については、平成30年度までに概ね3割の定員削減に加え、給与カットも引き続き実施されている一方で、平成22年度の組織改正においては、変化の激しい時代における県政の総合調整機能や政策立案機能を強化するため、政策参事にかえて「総合政策室長」を設置するとともに、続発する危機管理事案への対応や、東南海・南海地震への備えに万全を期すため、危機発生時の統括責任者である防災監を補佐・代理し、防災対策に的確に対応するためのポストとして「副防災監」が設置された。
 これら総合政策室長及び副防災監に対しては、行革の取組の一環として、7%削減がなされるとは言え、管理職手当も支給されていると聞いている。
 簡素で効率的な組織体制を目指し取組を進める中で、こうしたポストの新設については、その役割や果たすべき責任とコストとのバランスを常に検証し、不断の改革に努めていく必要があると考える。
 そこで、総合政策室長及び副防災監の二つのポストについて、これらの検証をどのように行ったのか、今年度は総合政策室長が廃止され政策監が新設された一方で、副防災監は引き続き継続設置されることと判断された経緯や考え方を含め、説明を頂きたい。

4 各種基金の使途及び必要性の検証について

 質問の第4は「各種基金の使途及び必要性の検証」についてである。
 今定例議会の議案とともに配布された、本県における平成22 年度の基金運用状況審査意見書等によれば、本県においては平成22年度中、計48もの基金が運用され、各種の関連事業の財源として活用されてきた。
 その中で、今回の基金運用状況の審査対象のひとつに「美術品等取得基金」が挙げられており、その内容を確認したところ、約1億円の経費を用いて陶芸美術品等の購入が行われていた。
 同意見書によれば、これにより、同基金に関して、現金の平成22年度末現在高は約1億円減少するものの、動産(物品)に関する平成22年度末現在高が同額増加するとの説明となっている。
 確かに、この説明のとおり、動産として財産上の形は残るとは言えるが、県の財政状況が非常に厳しく、県民とも痛みを分かち合いながら行革の取組を進めている中で、基金とは言え、このような多額の予算を用いて、いわば贅沢品を購入することについて県民の理解が得られるのか疑問を感じざるを得ない。
 そこで、この例を含め、基金を活用した事業実施を行うにあたって、県民の理解を含め当該事業の妥当性を検証するために、どのような方策を採っているのか、説明頂きたい。
 併せて、一般県民の率直な意見として、本県財政がこれだけ苦しい状況であり、行革の取組も積極的に進める中、そもそも48もの基金自体の必要性について、しっかりと検証を行い、仮に不要と判断されるものがあれば、積極的にその見直しを進めるべきと考えるが、当局の所見を伺う。

5 県有地信託事業について

 質問の第5は「県有地信託事業」についてである。
 昨年の21年度決算特別委員会においても、質問が出たようであるが、本県の財政運営を考える上で、非常に重要な問題であると考え、改めてお尋ねする。
 この県有地信託事業については、平成19年に受託者である信託銀行から立て替え金の支払いを求めて訴訟を提起されている。
1審では、県が勝訴したが、2審では平成22年、受託者の請求を認容する判決が出された。2審判決を不服として県は最高裁へ上告、現在最高裁で、上告受理についての審査が行われているところである。
 同事業は、バブル絶頂期の昭和62年に加西市の153万㎡の信託土地を青野運動公苑と名付け、県民スポーツ・レクリエーション施設として造成・建設し、その信託土地と信託施設を受託者である信託銀行が信託期間の昭和62年から28年間、2015年まで管理・運用する事業である。
 信託銀行は、平成18年以降、管理運営資金の借り換えができず、債務返済資金と運転資金78億7900万円を立て替えた、その分を年6%の利息を合わせ、県に支払いを求め、県との間で争いとなったものである。
 契約内容から推測すると、信託銀行側が自己利益を守るために、訴訟を起こした感もあるが、いずれにしても、万一敗訴の場合、79億円に利息を含めた支出が発生することとなる。
 第2次行革プランで、一生懸命支出の削減にも努めている中、万が一にもそのような事態となれば、職員の士気にも影響しないか、また県民の理解を得られるのかどうか、非常に行方を危惧している。
 そこで、昨年の最高裁への上告後、現在どのような状況におかれているのか、係争中でもあり、詳細な答弁は難しいかもしれないが、可能な限り詳細な状況説明を頂きたい。