議会の動き

◆16年2月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 討論

代表質問  上野 英一 議員
一般質問  向山 好一 議員・迎山 志保 議員・竹内 英明 議員

代表質問

(上野 英一 議員)[発言方式:分割]

1 平成28年度当初予算案についての基本的認識について

2 自治体病院の県立病院化等について

3 障害者差別解消法施行を受けた具体的取組について

4 農業の強化策について

5 教育の機会均等に向けた奨学金制度の改善について

6 成熟した民主主義醸成のためのシチズンシップ教育の推進について

7 安全・安心の警察について
(1)信号機のスクラップ・アンド・ビルドによる交通安全の確保について
(2)欠員解消による安心の確保について

質問全文

質問日 : 平成28年2月24日(水)

質問者 : 上野 英一 幹事長

質問方式: 分割方式

1.平成28年度当初予算案についての基本的認識について

現在、国においては、人口減少をはじめ、急激な少子高齢化や東京への一極集中に伴う地域間格差の解消などが大きな課題となっています。本県においても、出生数の低下や人口の転出超過等、同様の課題に直面していることから、昨年の9月定例会において地域創生戦略が策定され、県を挙げて人口の自然増、社会増対策や地域の元気づくりに取り組むための方向性が定まったところであります。

一方、来年度は、第3次行革プランの3年目に当たり、計画期間が終了する平成30年度までの最後のプラン見直しが行われることとなります。平成30年度には収支均衡させ、持続可能な行財政構造を確立させるため、まさにラストスパートの段階となります。

そういう状況の中で検討された平成28年度当初予算案となるので、依然として厳しい財政状況の中で優先順位を見極め、より徹底した「選択と集中」を図る一方で、地域創生戦略を具体化する初めての当初予算案ということで、地域の元気回復の第一歩につながる予算となることを大いに期待するところであります。

具体的には、長期にわたる行革の取組みで維持管理経費も必要最小限に限られる状況の中、高度経済成長期以降に多く建設・整備された橋梁・トンネル等の社会基盤施設や公共施設等の老朽化が進み、危険な状況も見られ、それらへの対応が不可欠となっています。その他にも本県の産業力を下支えする中小企業への支援、高齢者の介護・福祉対策や医療の確保、子育て支援をはじめとする少子化対策など、これまで以上に施策の「選択と集中」を断行し、県民の生命と生活を第一とする施策への重点的な配分が必要となってきていると考えます。

また、平成30年度の収支均衡達成に向け、残り3カ年となる中、財政フレーム試算の前提となる「中長期の経済財政に関する試算」について、平成28年度は3.1%、29年度は2.4%と名目経済成長率を下方修正している一方、平成30年度は3.9%もの経済成長が見込まれています。中国経済の後退をはじめとする我が国を巡る世界情勢の中で厳しいものを私は感じていますが、プラン最終年度でもあり危惧するところであります。

さらに、「地域創生」を具体化する予算については、効果が十分に出るよう施策の絞り込みを行うとともに、2月1日の臨時会での補正予算の質疑でも我が会派の越田議員が申し上げましたが、各自治体の「自主的・主体的な取組み」への支援を大前提とした予算として、真の「地域創生」、すなわち地域主体による地域の元気回復につなげてほしいと考えます。

そこで、平成30年度までを計画期間とする行革の最終盤を迎えての課題に対する新年度当初予算案への対応、「兵庫地域創生元年」における地域主体の真の地域創生へのスタートなどを含め、平成28年度当初予算案に込めた知事の思いを伺います。

2.自治体病院の県立病院化等について

平成の大合併の評価について議論されることがあります。私は、その当事者でもあった当時の首長として、小泉改革「国・地方の三位一体改革」による国庫補助負担金や地方交付税の削減もあり、それぞれの市町は将来財政破たんに陥る恐れがあるとして、急速に合併に突き進んだと考えます。そのため、それぞれに新市町建設計画は策定されたものの、いわゆる「バスに乗り遅れるな」状態となった結果、合併の検討に当って、本来、検討課題の中心として十分に行われるべきはずのまちづくりの議論が、全国的におろそかになった感が私は否めません。その結果として、さらなる過疎化の進行や、都市部と農村部の人口格差等の顕在化が進んだと考えます。

余談になりますが、私の地元神河町は大河内町と神崎町の合併によって誕生しましたが、まちづくりの観点での検討も行った結果、意義ある合併となったと考えています。当時の人口は、大河内町5,200人、神崎町8,300人でありましたが、人口の少ない大河内町に町役場の本庁舎を、また統合中学校も大河内中学校跡地に新築されました。神崎町には、病院周辺に3つのスーパーと業務用スーパー、3つのホームセンター、3つの金融機関等があり、市川町北部や生野町あるいは多可町からの来町も多く、従来から活気と賑わいがありました。まちづくりの観点から均衡ある新町の発展を求め、検討を十分に行い、小さくて商業施設も少ない大河内町を文化・教育ゾーンとして、本庁舎と統合中学校を配置したものであります。

このような合併の評価も含め、今後、ますます進展していく少子高齢、人口減少社会において、行政の担うべき業務は、小さな単位できめ細かく対応していくものと、広域化し効率性などを求めていくものに整理して推進していかなくてはならないと考えます。広域化を推進していくものとして、消防や環境行政などのほか、課題はたくさん残っていると考えますが、2018年度に国民健康保険の財政運営が県に一元化され、さらに、水道事業では、厚生労働省が「新水道ビジョン」で広域推進を打ち出しています。

広域化のメリットとしては、効率性のほかに、財政安定化、市町格差是正などが挙げられますが、経営、人材確保等、様々な課題を抱える自治体病院事業においても、広域化を行えばメリットは大きく、課題解決が期待されます。

県では県立病院の整備が進められていますが、その中で、来年度には、県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合再編による新病院整備、県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編の具体化の検討、県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編も含めたあり方の検討などがなされる予定であり、大規模化の方向に動いています。

また、但馬地域には県立病院がなく公立豊岡病院を県立病院に代わるものとして、救命救急センター、精神科病棟等建設費元利補助金と病院組合運営費補助事業などの特別な財政支援を行っています。一方、地域医療において重要な役割を担う中小の自治体病院は、経営面のみならず医師・看護師確保等において、厳しい環境に置かれています。特に、現在、県立病院や一部事務組合による病院のない阪神北地域や西播磨地域においては、深刻な状況となっていると考えます。適切な医療提供体制を確保するためには、自治体病院事業の広域化、大規模化、県立病院化が必要となってくると考えます。

そこで、まずは、公立神崎総合病院や公立宍粟総合病院、たつの市民病院など地域に市町自治体病院等が多くあり、このような課題を抱える中播磨、西播磨地域において、県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編が具体化しているこの機会に、地域医療の提供の役割を果たしていくため総合診療医による診療を中心に据えることとし、地域の自治体病院を県立病院の傘下化、グループ化できないかと考えますが、ご所見を伺います。

(答弁)

3.障害者差別解消法施行を受けた具体的取組について

障害を理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、障害者差別解消法が制定され4月1日から施行されます。

この法律では、主に①国の行政機関や地方公共団体等及び事業者による「障害を理由とする差別」を禁止すること、②差別を解消するための取組について政府全体の方針を示す「基本方針」を作成すること、③行政機関等ごと、分野ごとに職員や事業者が適切に対応するための「対応要領」・「対応指針」を作成すること、と定めています。また、相談及び紛争の防止等のための体制整備、啓発活動等の障害を理由とする差別を解消するための支援施策について定めています。障害を理由とする差別とは、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を言い、障害のある方から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な合理的配慮を行うことが求められます。こうした配慮を行わないことで、障害のある方の権利利益が侵害される場合も、差別にあたるとされています。

負担になり過ぎない範囲での合理的配慮ということも曖昧でありますが、必要な支援を行うことが求められます。例えば、人間社会でコミュニケーションは大変重要なツールであります。そういう中、聴覚障害者のツールである手話を言語として認識する手話言語条例について、都道府県では、神奈川・群馬・鳥取県が、市町では県下の加東・篠山・神戸・明石・三木・淡路・丹波市、多可町をはじめ全国で30市町が制定しています。コミュニケーションツールを尊重することは合理的配慮の最たるものであり、本県としても検討していくべきではないかと考えます。また、議会費の新年度予算では、手話通訳の予算が計上されていますが、的を得た予算ではないかと考えます。聴覚障害のほかにも、視覚障害などいろいろな障害がありそれぞれに対応が求められますが、各部局でも的確に対応を願いたいと思います。

そこで、障害者差別解消法施行を受け、障害者への合理的配慮の推進に向け、どのような具体的施策に取り組んでいこうと考えているのか伺います。

4.農業の強化策について

昨年10月のTPPの大筋合意を経て、政府は農業の強化策を盛り込んだ「総合的なTPP関連政策大綱」を11月に策定し、TPPを成長戦略の柱とすることを発表しました。本県においても、TPPの農林水産業への影響額が政府の試算を基に算定すると、年間5億円から8億円の生産減と発表され、2月1日の臨時会での議論の結果、「総合的なTPP関連政策大綱」に基づく対策として補正予算で約50億円に及ぶ対策が講じられるとともに、頭出しはされていないが、平成28年度当初予算案においても、様々な取組みが提案されている。

政府の「総合的なTPP関連政策大綱」では、「攻めの農林水産業への転換」に向け取り組むべき施策として、輸出額1兆円の目標の達成に向けた取組みとして打ち出されていますが、私はもっと国内にも目を向けるべきと考えます。

2014年の日本のカロリーベースの食料自給率を見ると、1965年の73%から39%と減少しており、これまで食料の安全保障、安全・安心でおいしい農産物の提供の観点から様々な取組みがされていますが、50年前との比較での大きな減少の中、過去20年間では40%前後の横ばい状態であり、様々な取組みでやっと維持しているというのが現状と考えます。今後、TPPによるグローバル化が進めば、安価な農産物の輸入により、食料自給率の低下はもとより国内農業への影響が懸念されます。

そこで、私は、大綱の中の取組み方向として挙げられている「水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化等の推進」、この点が非常に重要と考えます。水田はそもそも水稲を栽培するのに適した農地であって、水田の畑地化等により、本来畑作物である麦・大豆の安定生産や単位あたり収益性の高い野菜の生産拡大が可能となるため、これらの作物の国内生産を促進し、農業所得を向上させる戦略を講じなければ、農業の成長はあり得ないと考えます。

例えば、北海道十勝地方は、1市16町2村、人口35万人で、農業関係者は「わが地域の食料自給率は1,100%」と豪語されるなど、ご存じのとおり大変農業の盛んな地域であります。当地では、その豊かな生産力を活かし本州への出荷のみならず、製粉会社との契約栽培による小麦・小豆の生産をはじめ、食材を活用したメニュー開発、小ロット物流のモデル実践など産地と実需者、消費者が結びつくバリューチェーンの取組が進められている。さらに地域内で加工、流通・販売する地域社会の実現にも取組んでいます。国内消費が飽和した工業等の第2次産業とは違い、農業には国内各地域にこのような目に見える確実な成長の可能性があります。

本県においても生産振興だけでなく、6次産業化や地産地消の推進などの取組も行っていますが、地域へ大きな影響を及ぼすには至っておらず、加工、流通・販売面も見据えた取り組みには物足りないものを感じざるを得ません。地産地消は、地域で生産されたものを地域で消費し、消費者が生産者を買い支えることとなり、地域経済が循環し、地域の発展に寄与するものと考えます。今後のTPPの各国承認、正式発効に向け、食料の安全・安心を図る意味でも、加工、流通・販売との連携をさらに一層促進させ、需要を見据えた生産拡大につなげていくべきと考えます。

そこで、TPPを踏まえた農業の生産強化策として、加工、流通・販売との連携強化により、家庭用、業務用、加工用など様々な需要を捉えた農産物の生産、6次産業化など加工、流通の取組の強化、地域内消費や地域内流通の促進に取り組むべきと考えますが、ご所見を伺います。

(答弁)

5.教育の機会均等に向けた奨学金制度の改善について

日本社会の貧困問題、とくに子どもの貧困が話題になり、その貧困が世代を超えて連鎖しないようにすることが、政府の課題とされました。きっかけの一つは、厚生労働省が調査公表している貧困率並びに子どもの貧困率がどんどん悪化していることにあります。

貧困とは、ご存じのとおり、世帯の1人当たりの所得が、社会全体の真ん中の所得の半分に満たないことを指します。最新の厚労省の国民生活基礎調査では、貧困基準を満たす人口が全体の16.1%、1986年にこの調査が始まってから、最悪の数字となりました。また、18歳未満の子どもで、貧困基準以下の世帯に暮らす割合も過去最悪の16.3%、約6人に1人、40人のクラスなら6.5人にも及びます。
ただ、日本の子どもの貧困が指摘されたのは、これが初めてではありません。国際機関からは2000年代の前半から日本の子どもの貧困に注意喚起がされてきました。2009年には、OECDの33か国の中で日本の子どもの貧困率は8番目の高さであり、2009年9月に民主党を中心とする政権ができ、貧困率が公表されました。それ以前の日本政府は貧困率の計算をしていませんでしたが、政府が貧困率を公表することで、対策に向けての機運も高まりました。特に、貧困の連鎖、すなわち、子どもの貧困を放置すると、学校でもうまくいかないケースが多く、大人になってからの生活も不安定で、貧困が世代をまたいで引き継がれる、という問題がクローズアップされました。

そういう中で、子どもの貧困対策の推進に関する法律が、2014年1月に施行され、これを受けて同年8月に子どもの貧困対策に関する大綱がまとめられ、教育、生活、保護者の就労、経済的支援の4つの分野にわたる支援が施策化されました。ただ、子どもの貧困率の削減目標は掲げられていないなど、本当の解決につながるのかと感じざるを得ません。

私は、このような貧困の連鎖の現状から抜け出るには、子ども達に十分な教育を受ける機会を均等に与える必要があり、そのためにも奨学金制度の改善が必要と考えます。ただ、奨学金制度の経緯を見てみると、日本の貧困率が悪化していく現状の中、有利子制度が導入され、厳しい就職環境の中、卒業後の返済に窮する者が多く発生するなど、教育の機会均等を図るための取組みとしては、疑問を感じざるを得ません。

高卒求人数は、ここ数年は上昇傾向にあるものの、1990年代前半と比べると激減し、大学、専門学校には行きたい人が行くのではなく、「行くしかない」現状にあります。加えて、消費者物価の上昇やそれを上回る大学授業料の上昇、さらに、雇用構造の変化などにより非正規が増加するなど、本人の就職後だけでなく親世代の賃金低下で親の負担能力、返済能力も低下しています。このような現状から、経済的理由で進学に対する希望を捨てる者を少しでも救っていく必要があります。高校・大学の教育段階において奨学金給付制度の充実を図り、就職段階での機会均等につなげ、貧困の連鎖を断ち切っていく必要があります。

高等学校等に通学する生徒のうち、年収約250万円未満の世帯に扶養されている者には、年額約3万円から14万円の国による奨学給付事業が2014年より始まっています。高校におけるそれ以外の者は県高等学校教育振興会、また、大学については国の日本学生支援機構等による制度でありますが、資金貸与事業となっています。県教委として、国への要望も含め、奨学金制度を給付事業として充実を図っていくべきと考えます。

そこで、貧困の連鎖の解消に向けた教育・就職の機会均等を図るため、奨学金制度は貸与でなく給付とすることが望ましいと考えますが、当局の所見を伺います。

6.成熟した民主主義醸成のためのシチズンシップ教育の推進について

公職選挙法の改正により、選挙権年齢が18歳以上となり、今夏の参議院通常選挙では18、19歳の未成年が初めて選挙権を行使できる見込みとされています。参議院選挙が近づく中で、実際に選挙権を持つこととなる高校生の声などが報道されていますが、「選挙に行っても世の中は変らない」「自分の考えと同じ候補者がいないので行かない」、中には『今の生活、制度に満足しているので、選挙に行く必要を感じない。』などもあり、投票参加に否定的な声も多いと感じます。

そういう中、文部科学省では、高等学校等の生徒向け副教材「私たちが拓く日本の未来」を昨年9月にHP上に公表し、12月に各高等学校等に配布されたと聞きます。同教材によると、「自分の考えに近い意見を持つ者、関心が強い分野に詳しい者、日頃好ましいと思っている政党に所属している者、どのような基準でも、それが皆さんの政治参加です。」とあります。私は、若者に主体的に投票行動を取らせるため、このような基準を様々な角度から示していくことが、教育として重要ではないかと考えます。

また、その際に、教育における政治的中立性が議論となっており、指導資料では留意点として、「教員が特定の見解を述べることは避けることが必要」と記載されています。公益財団法人明るい選挙推進協会情報誌Votersで会長の佐々木毅氏は、「長い間、いわゆる政治的中立という重い問題があったために、敬して遠ざけるという習慣が教育現場に瀰漫したのであった。」と述べられています。私は、生徒に主体的な投票行動をとらせるための手段として、生徒の間での議論を活発化させ、政治に興味を持たせるためという目的を逸脱しない範囲で、教師も個人としての意見を述べながら、授業を進めていくことも必要と考えます。例えば、憲法改正議論や、原子力発電所問題、安保法制等国論を二分する課題がありますが、教員がまず両方の意見を述べたとして、生徒は必ず先生はどちらの考えかと聞いてくると考えます。その時には、教師も個人としての意見を述べることではじめて真剣な議論となると考えます。いずれにしても、これからの日本を支える若者を先に述べたような、生徒を無関心な状態のままにすることは、決して避けなくてはならず、政治に対して主体的に自ら考えることを仕掛けていかなくてはなりません。

そこで、この副教材を活用したシチズンシップ教育に関して、公表後の取組みの現状と、今後、改正公選法施行までの間に、若者の主体的な投票参加につなげる教育をいかに進めていこうとしているのか伺います。

7.安全・安心の警察について

(1)信号機のスクラップ・アンド・ビルドによる交通安全の確保について

平成27年中の県下の交通事故死亡者数は、171人で、前年と比べ、11人減少しましたが、これに占める高齢者の死者数は、84人と依然として高い割合となっています。そのため、高齢者への安全対策が講じられる一方で、事故の発生場所として最も多い交差点及びその周辺のハード面での整備が重要ではないかと考えます。

そういう中、交差点の安全確保対策のひとつに信号機の整備がありますが、平成27年度では757基の設置が要望されるのに対して実際に設置された数が21基であるなど、ここ数年は数十基程度で推移しており、あまりにも乖離した現状があります。この757基という数について、もちろん地域としては必要として要望されていると思いますが、一度要望すれば毎年要望したままとなっているなど、本当に設置が必要な数かどうかということも考える必要があるのではないでしょうか。また、要望としての取り扱い方ですが、私たちの地元の郡部では、まず、自治会で集約したものをさらに市町で集約し、優先順位をつけた上で警察署に要望する運びとなっています。しかし、都市部では自治会からならまだ良いが、個人から直接の要望もあると聞きます。その辺りも含めて757基を精査する必要があるのではないでしょうか。ただ、現在の財政状況では、今まで設置してきた信号機の老朽化等に伴う維持管理にも経費が必要であり、新設信号機となると、厳しいこのような数字になるだろうと考えます。

信号機設置要望の中には、信号機の必要性が低かったり、道路管理者による道路の改良見込みがないなど、物理的に設置が不可能な場所も当然にあるため、要望している県民から見れば、信号機がなかなか設置されないなという思いになります。

平成28年度の新設信号機の予定数は20基と聞いています。信号機設置指針があることは承知していますが、新設信号機を効果的に設置するためには、新設に関しては必要と訴える住民や道路管理者の要望、交通事故の発生状況、交通量の実態を的確に把握して、真に必要性がある交差点を警察として判断し、信号機を新設すべきと私は考えます。

また、こんな声を耳にしたことがあります。「信号待ちをしても、交差道路に車両が通行しない。歩行者の横断がない。」との理由から、信号機のある交差点であるにもかかわらず、信号無視をして、交差点に進入したために重大事故が発生したということであります。このような事例は、まさしく、その交差点は、いわゆる「守られない、信号機が必要のない交差点」であります。なぜ、そのようなことが起こるのか、これは、朝夕の出退勤時等にはそれなりの交通量がありますが、他の時間帯はそうではないことから信号無視となっている等のケースであります。さらに、車の交通量や歩行者が少ない故に重大な死亡事故が交差点で起こり、信号機が設置されていればそのような事故が起こらなかったとする考えのもとから、設置に至ったケースもあるのではないかと考えます。このような場所においては、信号機以外の対策、交通マナーの徹底や道路管理者と連携したラウンドアバウトなどの改良も必要があるのではと考えます。

県警察では、平成24年度から現在までに必要性が低くなった信号機を75基撤去したと聞いています。信号機の老朽化対策も含め、限られた予算で交通の安全と円滑を確保するには、有効かつ効果的に予算を使うべきで、これまで以上の信号機のスクラップ・アンド・ビルド、特にスクラップを精力的に進め、交通安全の確保を図っていくべきではないかと考えます。

そこで、信号機のスクラップ・アンド・ビルドに対するあり方について、県警察の所見を伺います。

(2)欠員解消による安心の確保について

行財政構造改革において一般事務職は3割削減となりましたが、県民の安全・安心と命を守る重要な警察官は削減しないよう、我が会派は強く求めてきたところですし、また定数という面ではそのように対応されています。

しかし、平成17年度から平成27年度の間の4月時点の欠員の平均は約300人となっており、平成27年度も約240人の欠員が生じています。また、国の平成28年度予算編成において本県に40人の地方警察官の増員が容認され、定数は11,921人となり、人口減少社会においても、治安の維持、国民・県民の安心確保は、国全体として最重要課題となっていると認識します。

一方、採用においては、警察官受験者数は、過去11年間で、平成27年度の最小3,368人から平成22年度の最大6,547人まで、平均で4,697人、合格者数は、平成23年度の最小432人から平成17年度の最大771人まで、11年間で6,568人、平均で597人となっており、倍率も7.9倍の高倍率になっています。この11年間で常に300人前後の欠員状態が続いているにも関わらず、採用に当たっても常に高倍率の状況で、その欠員を埋める形にはなっていません。

さらに、採用後に入校する警察学校学生の退職者数が、平成18年度の最小38人から平成25年度の最大123人まで、11年間で計755人、平均69人となっており、県警察官の継続的な欠員状態に拍車をかける大きな要因と指摘されています。

そこで、過去11年間で警察学校への入校者数の平均14.1%もの退職者が生じていることの認識と、欠員が継続している現状認識とその解消に向けた今後の取り組みについて伺います。

(答弁)

上野 英一

(神崎郡)

一般質問

(向山 好一 議員)[発言方式:分割]

1 神戸空港の将来像について

2 インバウンド対策について
(1)医療ツーリズムの推進について
(2)旅館の活性化について

3 若者教育への経済的支援について

4 投票率の向上策について

5 兵庫県の国際交流について

質問全文

質問日 : 2月25日(木)

質問者 : 向山 好一 議員

質問方式: 分割方式:1、2(1)~(2)、3、4、5

1 神戸空港の将来像について

関西3空港における神戸空港の将来像について伺います。

神戸空港は今年の2月16日で開港10周年を迎えました。

「神戸には港が2つ、海と空。これまで活かし、これから伸びる」この句は、先日行われた10周年記念行事で井戸知事が詠まれたものです。なかなかの力作で本当にそうなったらいいなと感動しながら聞いていました。

しかし、現実は厳しくて神戸空港の利用客は当初予測の6割程度と伸び悩んでいます。さらに今後、取り巻く環境が大きく変わろうとしています。それは、関空・伊丹両空港の完全民営化の動きです。今年の4月から関空・伊丹は関西エアポートという民間企業が一体運営する空港へと変わります。このことが神戸空港にどのような影響を与えるのでしょうか。

最近3か年の3空港の利用客の推移を見てみると、関空は平成25年の1,781万人が26年には1,935万人、27年は2,321万人。伊丹は平成25年の1,382万人が26年1,453万人、27年は1,454万人。両空港は最近の観光ブームに乗って順調に伸びています。一方、神戸空港は、25年232万人、26年250万人、そして27年は243万人と残念ながらほぼ横ばい状態です。

この流れは今後どうなるのでしょうか。先程申しましたとおり関空・伊丹両空港は1つの会社として民間企業の自由な発想のもとでお互いを補完しながら魅力のある空港として新たな事業にチャレンジしていくと思われます。それに比べ神戸空港はがんじがらめの制約のもとで潜在能力が発揮できず明るい戦略が描けない状態が続き、その格差はどんどん広がっていくのではと危惧せざるを得ません。

事業主体の神戸市は、これまで幾度も規制緩和を政府に要望し、兵庫県もそれを後押ししてきましたが、分厚い壁のもとで全く進んできませんでした。しかし、ここにきてようやく状況は大きく変化しようとしています。それは、コンセッションによって1兆2千億円あった関空の負債の返済に展望が見えてきたことと、関西全体の課題であった関空の稼働率が大きく改善していることです。

さらに、昨年には神戸空港も運営権を民間に売却する方針を打ち出し、本格的に来年度からその模索を始めます。私は、この取り組みは神戸空港の将来を左右する極めて重要な課題だと認識しています。つまり、神戸空港が関空・伊丹とともに一体的オペレーションによってお互いを補完し合って発展できるか、或いはこれまでのように周辺需要を満たす一地方空港として細々営業するかの岐路に立たされているのです。

そこで、知事に伺います。神戸空港のコンセッション実施と規制の緩和は知事もその必要性はお認めのところですが、その実現に向けてどのような戦略を持ちなのでしょうか。私はこの問題はオール関西で取り組むことが必要だと思っています。その観点から御見解をお伺いいたします。

さらに、関空の利用客が大きく伸びている最大の理由はLCCによるアジア諸国との連結です。今後このインバウンド効果の最大化を図るうえで関空を補完する空港として、24時間運用可能な海上空港、さらに三宮という都心への移動時間が20分以内という優位性を活かして神戸空港の将来の国際化に向けて準備する時期にきているのではないでしょうか。

兵庫県は神戸空港に補助金を出しターミナルにも出資している団体として、神戸空港の将来像にも責任の一端を担うべきだと思いますが、神戸空港の国際化についても、あわせて知事の御見解を伺います。

2 インバウンド対策について

(1)医療ツーリズムの推進について

兵庫県のインバウンド対策について2点質問します。

最近、日本は爆発的に外国人観光客が増加しています。平成25年に初めて1,000万人を超えましたが、翌年には1,341万に、そして昨年は1,974万人と急激に伸びています。その主な要因は円安による割安感にあり、為替レートによる変動はあるものの、アジア諸国の中間層の増加を考えると、いよいよインバウンド2,000万人時代が到来したといっても過言ではないと思います。

そこで、兵庫県でのインバウンドの実態を見てみますと、平成27年に初めて100万人を超える見込みです。しかしながら、ここ最近の兵庫県への外国人観光客の訪問率は約6%であり、この数値は最近の急激な増加の中でもほぼ変化がありません。一方、外国人延べ宿泊者数で見ると兵庫県はここ数年で約1.8倍に延びているものの、例えばお隣の大阪府はここ数年で倍増、和歌山県でも3倍増と大幅に数字を伸ばしています。兵庫県は外国人観光客の取り込みに成功しているとは言えない状況です。

観光産業の経済効果はすそ野が広く観光客の入り込みが地域の経済成長に直結することを考えれば、これから観光分野の都市間競争がさらに激しくなっていくと思われます。つまり、兵庫県に如何にしてインバウンドを取り込むかをいま真剣に考えるときではなでしょうか。

それでは、その都市間競争にどうやって勝つのか。先ほど質問しました神戸空港の空の窓口としての活用と合わせて兵庫ならではの価値・差別化を深化させることが必要ではないでしょうか。それは神戸ビーフや姫路城など定番的な話はもちろんのこと、この際違う角度に目を向け、「医療ツーリズム」つまり「外国人の特に富裕層に医療を受ける目的で兵庫県に来てもらう」ことに積極的に取り組むべきではないでしょうか。

なぜこの提案をするかといえば、「医療ツーリズム」の最大の売りは、その国では提供されない最先端医療、より良い品質の医療を受けることができるからです。ポートアイランドには医療産業都市構想のもとで先端医療センターはじめ最先端医療の集積があり、播磨科学公園都市には粒子線医療センターや西播磨総合リハビリテーションセンターがあり、湯治のための有馬温泉や心身のリラクゼーションが味わえる六甲山があります。兵庫県は「医療ツーリズム」の適地だと思うからです。様々な課題があることは承知していますが、医療ツーリズムの振興に向けた取り組みについて、当局の御見解を伺います。

(2)旅館の活性化について

さらにインバウンド対策に関しもうひとつ質問します。今「民泊」が話題となっていますが、その理由は単純に大都市を中心に宿泊室数が不足気味なのに対し、空き室が年々増えてきていることから、それを活用したらどうかという発想が元になっています。現に、東京都大田区やお隣の大阪府ではいわゆる「民泊条例」が制定され、積極的に導入しようとしています。果たして兵庫県では民泊は必要なのでしょうか。

兵庫県と東京都、京都府、大阪府の直近5年間のホテル、旅館などの客室稼働率を調べてみました。条例を制定した大田区のある東京都の全施設の稼働率は5年前の68.0%から82.5%へと増加、大阪府は68.2%から85.3%へと増加して確かに供給不足気味になっています。一方、兵庫県は53.6%から59.0%とまだまだ余裕があります。さらに、その中身に兵庫県では顕著な特徴があります。それはホテルの稼働率が80%を越えて東京や大阪と比べて遜色ないのに比べ、旅館の稼働率が37.1%と極端に低いという傾向があるのです。他方で、東京や大阪の旅館の稼働率は50%を越えています。民泊以前にこの「空室」となっている旅館をいかに活かすかという施策が必要です。

しかし、県内を見渡すと、有馬温泉や城崎温泉では、浴衣体験を楽しむ外国人の姿が多く見られるなどそれなりに活況を呈しています。そのことを考えると、兵庫県下の旅館は2極化されているのではないかと思いますが、インバウンドの活力を未だ引き込めていない旅館には、どのような課題があると認識されておられるのでしょうか。また、先日可決された緊急経済対策では、外国人観光客受入整備基盤事業として、観光協会等の取り組みの底上げを図っていますが、今後、稼働率のなかなか上がらない旅館をいかに活性化していくかということもあわせまして、当局のお考えをお伺い致します。

3 若者教育への経済的支援について

次からは「人」への投資の観点から数点質問します。

「コンクリートから人へ」、これはわが党の理念です。「このことで地方が疲弊した」と批判される方もいらっしゃいます。そこには大きな誤解があります。公共事業の拡大や金融政策だけで景気が良くなるのならとっくに景気は回復しています。私たちは防災を含め必要な公共事業は推進しながら無駄を排し「人」への投資を拡大し、能力の発揮をはばむ「格差の壁」を取り除き、人が活躍することによって地域の成長を促そうとしています。特に、若者が兵庫の地で育まれ、兵庫の地で活躍して貰うことは地域創生の観点からも非常に大切なことです。

そのためにはまず、子どもの貧困問題、親から子に引き継がれる貧困の連鎖を断ち切らなければいけません。我が国は、教育に費やす自己負担額は先進国で最高レベルにあり、親の貧困が子供に連鎖し教育分野に格差としてあらわれています。つまり、経済的理由によって中等・高等教育を受けたくても受けられないという事態につながっています。

例えば、高校の授業料は民主党政権時に就学支援金を創設し公立高校は実質無償化となりましたが、公私の格差はいまなお存在し、私学に通う世帯の経済的負担は相当なものがあります。確かに、県としても授業料軽減補助を行い、28年度にはそれを拡充する予算を提案されていますが、それでもなお授業料の自己負担額が年収250~350万円世帯で約6万円、350~590万円世帯で約18万、590~910万円世帯で約26万円、それ以上は38万円程度であり、それに施設整備費などを加えると相当な負担です。私学に通う高校生が全体の26%、4人に1人となり、所得格差が広がり私学生をもつ家庭の負担感が以前に増して高まっている現状を考えると何らかの対策が必要ではないかと考えます。

一方、お隣の大阪府では800万円世帯まで授業料に限らず施設費等まで含んで概ね無償化が実現しています。近隣の京都府でも500万円まで同様の補助を行っており、その差は歴然となっています。

総務省人口移動報告書によると、昨年兵庫県では7,409名の社会的転出超過があり、北海道に次ぐ悪い数値でした。その要因として大阪府への転出の拡大が指摘されていますが、今後のさらなる転出を防ぐためには、私立高校の負担格差の解消も必要ではないでしょうか。この所得による教育機会の格差、公私間格差、近隣格差の解消が急がれると思いますが、私学教育へのさらなる支援の必要性についてのご見解を伺います。

4 投票率の向上策について

投票率の向上、特に若者対策についてお伺い致します。

年々投票率が低下していることはご承知のとおりです。最近の投票率を少し紹介しますと、一昨年の衆議院選挙が全国52.7%で前回より6.7ポイント減、兵庫県では50.9%、前回より7.7ポイント減。

3年前の参議院選挙では52.6%、前回より5.3ポイント減、兵庫県では53.0%、前回より1.4ポイント減。

去年の県議会議員選挙は40.6%、前回より0.9ポイント減。

もはや国政選挙でも有権者の半数しか投票に行かない、我々地方議会となると統一して選挙を実施しているにもかかわらず6割の人が投票に行かない状態になっており、先進国で最低レベルになっています。

さらに、今後はどうかといえば、残念ながら減少傾向に歯止めがかかりそうな雰囲気は感じられません。民主主義の危機に直面していると言っても過言ではない状況です。

今年は7月に参議院議員選挙が予定され、実質その選挙から選挙権年齢が18歳まで拡大されます。投票率でいえばさらに低下することが十分懸念されるわけであります。

投票率の向上は簡単な話ではありませんが、投票しやすい環境を整えることは効果的で、そこには余地がまだ多く存在しています。その1つが大型商業施設や駅構内などの集客施設に期日前投票所を設けることです。政府も投票日までの拡大を検討していますが、ショッピングセンターなどの商業施設に投票所を設けることは、親子で買い物に行くついでに、或いは友達同士で集まったついでに投票を済ませることができ、特に次代を担う若者の投票率向上対策としては極めて有効だと思います。

兵庫県では前回の衆議院選挙で7か所の商業施設に期日前投票所を設けています。

そこで、選挙管理委員会に質問致します。選挙権年齢が18歳以上に拡大されたこの機にショッピングセンターなどの商業施設への期日前投票所設置を大幅に拡大すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、それに向けての課題と解決策はどのようなものでしょうか。

選挙管理委員会は昨年12月にメンバーが変わりました。その先頭に立っておられる立石新委員長にお伺い致します。

5 兵庫県の国際交流について

兵庫県の国際交流事業について伺います。

兵庫県は国際交流事業の拠点としてワシントン州、西オーストラリア州、パリ、ブラジル、香港の5つの海外事務所を開設しています。スタッフは県職員5名、他組織派遣2名、現地採用職員11名等、全体で19名で運営し予算総額としては1億5千万円強となっています。

私は昨年、ブラジルと海南省へ県議団の一員として2度渡航させて頂き、現地での記念行事等で井戸知事が県民を代表して国際交流の先頭にたっておられる姿をみさせて頂きました。島国日本として、海外に目を向け現地に事務所を構え、アンテナを張り巡らせることはとても重要で、井戸知事が海外交流に精力的に取り組んでおられる姿勢には敬意を表しています。

しかし、少々感じることもありました。それは、5つの事務所の活動内容を見てみると、兵庫県の特産品を紹介したり、観光イベントを実施したり、教育・文化等の人的交流を深めたり、同じような内容の活動が各地で行われている印象を受けています。その活動それぞれは大切なことで否定はしません。しかし、海外事務所を開設するにはそれぞれに目的とミッションがあって、それをもっと明確化してメリハリのある活動を行うべきではないかということです。しかも、そのミッションは兵庫県民の国際化とともに何らかの恩恵、特に経済的効果と結びつくことが大切ではないかと思います。あれもこれもではなく、あることに特化すべきではないかということです。

その視点で、特に私が指摘しておきたいことは、西オーストラリア州事務所についてです。地元企業の神戸製鋼所神戸発電所では現在140万KWの発電をし、神戸市のピーク電力の70%を賄っています。その原料の約半分はオーストラリア産の石炭です。さらに5年後の平成33年には新たな発電所が稼働し最終的には130万KWが増設される予定で、その原料もオーストラリア産の石炭が多くを占める予定です。つまり、兵庫県下の消費電力の4割程度はオーストラリアから来る石炭によって作られる時代になるということです。

さらに、川崎重工は、次世代エネルギーと言われる水素の海上輸送の実証実験基地を神戸空港島に2020年に作る予定です。この水素はオーストラリアの褐炭から生成されます。

つまり、県民生活と経済活動を支える電力と兵庫県の次世代を担うべき水素産業はオーストラリアの資源と密接に係わることになります。

そのことを考えれば、いまパースにある西オーストラリア州事務所には外部から招聘するなどして資源やエネルギーの専門家を配置すべきではないでしょうか。また、場所がパースでいいのかどうか検討を行っても良いのではないでしょうか。

当局の御見解をお伺い致します。

向山 好一

(選挙区:神戸市北区)

(迎山 志保 議員)[発言方式:分割]

1 これからの「働き方」について

2 がん闘病者の就労継続支援について

3 ドライブレコーダの設置促進について

4 歩道橋撤去推進に向けた取り組みについて

5 教育力が十分でない家庭の児童生徒への支援について

質問全文

質問日 : 平成28年2月26日(金)

質問者 : 迎山 志保

質問方式: 分割方式

1 これからの「働き方」について

(初当選時1歳だった息子もこの春には小学校に入学する。振り返ればめまぐるしい5年間だったが、保育園など公的支援はもとより祖父母、地域祖父母、母親同士、そして夫の理解協力があってここまでやってこられた。実力以上に評価される場合がある一方、自分に対しては極度に過小評価をするという女性が働く上での落とし穴といわれる状況を繰り返し、また同じ立場の男性が感じることのない子供への罪悪感にも苦しみ、働き方を自問自答した日々だった。しかし、今は、社会の中で役割を果たしつつ、多くの人に関わりを持ってもらいながら子育てするこの毎日に大きな充足感を得ている。そして現在はまたいわゆる『小1の壁』にぶつかっているところであるが、現在進行形のこの実感を持って県民の声を届けていくことが私の大きな使命であると思っている。)

まず、全ての方の問題として考えていただきたいこれからの「働き方」について伺う。

今定例会に、今年度で第2次計画が終了する男女共同参画計画の後継計画の策定が提案されており、その中の重点目標として、すべての女性が活躍できる環境の整備、仕事と生活の両立の実現、家庭や地域における「きずな」の強化等が掲げられている。

国立社会保障・人口問題研究所の2010独身者調査によると、「いずれ結婚するつもり」と答えた18歳から34歳の未婚女性が、結婚を決める際重視するポイントとしてあげたのは経済力、職業、学歴、容姿などの項目がある中で、1位の人柄に続いたのが家事の能力、仕事への理解、というものだった。家事能力については『重視する』は97年の43.6%から62.5%まで上昇しており、『考慮する』を加えると実に96.4%が相手の男性に家事能力を求めているのである。また、男性が女性の経済力を『考慮・重視する』という割合も10ポイント以上上昇している。そしてもう一つデータを紹介する。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「子育ての楽しさ」の調査である。全体として、「楽しい」と答えた比率は、父親78.1%、母親67.6%と、継続して父親の方が10%以上高いという特徴があるが、就労形態別で分析すると、父親・正社員×母親・専業主婦という組み合わせでは、「いつも楽しい」と答えた母親が7.7%と最も低く、かつ夫婦間のギャップも大きいという結果(父親19.5%)であった。インカムを長時間労働する夫一人に頼った家庭の子育てのしんどさが表れている。

これらは雇用環境が不安定な中で、女性が男性に一方的に経済依存することが難しいと同時に、いわゆる昭和の典型的な家庭形態が限界にきているという現状も物語っている。現に、一般的に妻が専業主婦でやっていけると言われる年収600万円以上の独身男性は、5%程度、そして若い男性の約4人に1人が非正規雇用と言われる。この現実を直視した政策を進めなければならない。そして、また、仕事と生活の両立というと、ともすれば子育て時期の支援、働く女性への施策に矮小化されがちである。介護離職が相次ぐ中、子育てや介護といったケアワークを、女性の無償労働に頼っていた頃の認識を払拭し、男女問わず、世代問わずこの施策を進めていかなければならない。

これから介護か育児をしながら働く人が多数派となる中で、男女関係なく時間に制約がある人が労働者の主流になる。そういう中で、冒頭に述べた男女共同参画計画の重点目標の、「女性の活躍」「仕事と生活の両立」「家庭におけるきずなの強化」の全てを実現するには、全ての人の働き方自体を考え直す以外に方法はないと考える。誰もが本来のフルタイム勤務ができなくなる可能性があるということを念頭に働き方を見直し、短時間正社員の導入、長時間労働等を前提とした勤務の見直し、就業コアタイムの導入等、育児・介護と両立しながら各人の力を活かすことのできる、これからの「働き方」を提案していく必要がある。県でも仕事と生活のセンターなどにおいてインフラを整えつつあるが、その助成制度の利用状況をみても、まだまだ価値観の壁が大きいと考えられる。

そこで、めざす社会として男女がともにいつでもどこでも生き生きと生活できる社会を掲げている今回当局提案された計画を実現することにおいては避けて通れない、家庭におけるケアワークの担い手に関する認識を伺うとともに、男女や世代を問わず全ての人でケアワークを担っていくことによって変ってくる、こらからの「働き方」について、県として精力的に啓発や支援を進めていかなくてはならない時期に来ていると考えるが、認識を問う。

2 がん闘病者の就労継続支援について

長寿が進み、医療技術が発達すればするほど、がん以外の病気で亡くなることが少なくなってきた。また、以前はがんと診断されずに亡くなっている人が診断される機会も増えた。男性の5人に1人、女性の6人に1人が70歳を待たずにがんと診断されている。県でもがん対策の重要性は認識されており、がん対策推進計画に基づき来年度も内容の充実に向けた新たな予算が計上されている。今回は、県計画の中でも課題として認識され、厚労省から今週23日に支援のための企業向けガイドラインが公表された「がん治療と職業生活の両立支援」、中でも就労継続対策について伺う。

がん患者のうち3人に1人は就労可能年齢の64歳までに罹患している。しかし、がんと診断された後、被雇用者の35%は依願退職や解雇によって失業、自営業者の31%が休業、廃業しており、有収入者でもその平均年収は395万円から167万円に大幅減している。その背景にはがんが死に直結する病気、治らない病気であるという思い込みが世間一般、企業にも、本人にも根強くあることが考えられる。しかし先月明らかになった国立がん研究センターの分析結果では10年生存率は全体で58.2%に達しており、今後その率がさらに向上することは予想に易い。現在治療は入院治療から通院治療にシフトしている。35歳~64歳の入院平均日数は15.1日という短さであり、日帰り手術や3泊4日程度の内視鏡手術も増え、通院治療が当たり前になった今、がんは生活の中で共存していくものであるとの意識転換が必要である。就労でいえば、完治してから復職ということはあまりに非現実的である、ということである。

現在、県ではがん拠点病院を中心に相談支援センターの充実がはかられ、ハローワークと連携した就職支援も行われている。しかし、現在の治療環境を考えると就労継続に対する取組に重点を置くべきと考える。医療機関から職場への情報提供、双方の情報共有、産業医・スタッフ、社労士の活用など、有効な支援を今後どう進めていくかが重要となる。

また、被雇用者の4割近い非正規労働者にあっては、そもそも利用できる休暇制度がなかったり、がんの好発年齢である60歳以上が52%を占める中小零細企業(兵庫県15.5万社123万人勤務 平成24年経済センサスより)の経営者に至っては、その罹患が事業の存続そのものに影響する場合もあって深刻である。そうした社会的セーフティネットの乏しさにも目を向ける必要もある。

そこで、県としてがん患者の生活の質を維持する就労継続支援についての所見を伺う。

(答弁1)

3 ドライブレコーダの設置促進について

昨今の交通事故に関しては被害者・加害者ともに高齢者が増えており、平成26年の高齢者運転の関与する交通事故の割合は10年前の約2倍、全体の23.1%という現状にある。聞き及ぶところによると、そうした事故が発生した際、当事者である高齢者が事故の状況を正確に説明できないケースも多発しているという。

また、交通事故捜査に関して、一昨年の決算委員会でも指摘したが、ひき逃げ検挙率において全国平均50%に対して、34.7%という数字の低さを課題として捉えていること、加えて昨年10月に発覚したマニュアル違反事案を機に認識したのが、年間2500件を超えるという否認件数の多さである。この否認事件の多さが現場警察官の大きな負担になっていたのではないかと考える。

これらの課題を解決し、各運転手に安全運転を認識させる上で、私はドライブレコーダの設置が効果的と考える。ドライブレコーダとは事故発生前後の映像や加速度、ブレーキ操作などを記録するもので、最近では常時録画型のものもある。交通安全への効果としては、「運転状況の見える化」によっていざという時には客観的な事故情報が得られ、通常走行中には、見られていることによる安全意識が働き、事故削減につながるというものである。事故低減効果は7.5%と言われ、事業用自動車に対しては国交省による購入補助や業界団体による助成事業もあり2010年で10%を超える普及が進んでいるが、自家用車については明確なデータはないが数%にとどまっていると言われる。ただ、最近は搭載車への自動車保険料割引適用や、自家用車1台につき上限を1万円とした購入金額の半額補助をスタートする自治体が出てくるなどその効用への認知が広がりつつある。また、福井県では、75歳以上の高齢者にドライブレコーダを無償貸与している。記録した映像を警察官が分析し注意点を指摘することにより、運転技術の低下を自覚させ、高齢者の安全運転に資するというものである。

さらに自家用車への設置に関して興味深い研究報告がある。2011年度に東京大学公共政策大学院による「ドライブレコーダ設置義務化の費用便益分析」では、交通事故の減少の効果が高い自家用車とタクシーにおいて、義務化政策を推進する政策的価値があるとの結論を得たと報告されている。高齢者を初めとした安全運転の必要性の認識を高め、交通事故減少を図るため、義務化は時期尚早と思うが、県としても自家用車への設置促進には努めていく段階にあると考える。

また、ドライブレコーダの設置促進には、省エネ運転、事故処理の迅速化(交通事故処理に係る県警人件費抑制、客観性担保)裁判時間減少、事故データ蓄積によるインフラの安全構築、車内犯罪抑止などが挙げられる。さらに設置が進むことにより「移動防犯カメラ」としての役割も期待できる。

そこで、県においても、安全運転意識の向上による交通事故防止等の観点から、自家用車へのドライブレコーダ設置の効果を啓発・推奨してはどうか。特に、今後、被害者、加害者になる確率の高い高齢者には有用と思われるが、所見を伺う。

(答弁2)

4.歩道橋撤去推進に向けた取り組みについて

かねてからもう不用ではないか思っているインフラがある。バリアフリー化や高齢化が進んだことにより利用者がほとんどない横断歩道橋である。そんな歩道橋に関しても私のところには錆びた部分の塗り替え、はとの糞などの除去、橋脚部の茂みへの不法投棄処理など様々な要望が寄せられる。歩行に直接関係のないことである。それどころか、歩行の邪魔になっている、自動車のドライバーから死角となっているという声を聞く箇所もある。

県内に県管理の横断歩道橋は196橋あるが、昭和40年代に建設されたものが6割を占めており、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇計画では平成35年度までに橋桁の修繕など何らかの対策を必要とするものが94橋とされ、約9億円の事業費が見込まれている。すべての存続を前提とすれば今後も継続的な修繕費用の予算確保が必要である。この10箇年計画では、必要性の低下した施設は整理・統廃合することとされるなど、全国的にも注目された。

県では歩道橋の利用状況について、平成22年度に調査を行っている。その結果、朝7時から夜7時までの12時間当たりの利用人数が200人未満(東京都が撤去基準としている人数)の橋は、県管理の196橋のうち96橋にものぼっている。そのうち50人未満の利用にとどまっている橋も30橋ある。

役目が終わった歩道橋については、なかなか進まないインフラ除去の中でも、住民の理解を得られやすいものであると思う。また、現在、私の地元の加古川土木事務所管内では、撤去候補を抽出し、地元と協議をはじめているとのことであるが、県として確たる判断基準がないことでスムーズにすすめにくいのではないかと懸念している。幸い、他の自治体では先行した取組が進んでいる。撤去基準や撤去後に発生した問題なども参考にしてさらに進める必要があるのではないか。基準等を盛り込んだガイドラインを策定することが、撤去の最も大きなハードルと予想される合意形成を進める第一歩となると考える。必要性の低い歩道橋撤去は、修繕・更新費の削減のみならず、景観、ドライバーの視野改善、歩道幅の確保などメリットは大きい。既存インフラの撤去が容易でないことは理解している。しかし、そこはきめ細かな手順を重ねて利害関係者の納得を得て、進めるべきは進めていくという自治体の覚悟が問われている。

そこで、歩道橋撤去に関して、県としてガイドラインを策定し、地元市町からも住民理解が得られるよう働きかけてもらうなど、撤去推進に取り組むべきと考えるが、所見を伺う。

(答弁3)

5.教育力が十分でない家庭の児童生徒への支援について

東京大学で初めて推薦入試が導入された。従来のペーパーテスト中心の試験では測れない才能を発掘する試みである。今、教育方針の転換期にきている。今回、時代のニーズに照らして進められている大学入試改革では、知識の暗記と再現に重点を置く詰め込み教育から「判断力・思考力・表現力」「主体性・多様性・協働性」など、付け焼刃でない総合力を問うことになる。これが示すのは幼い頃からの経験、体験の積み重ねの重要性である。

近年、困難な状況が重なっている家庭が増える一方、子どもの教育費には糸目をつけないという家庭も少なくない。経験・体験の面でも家庭によって大きな格差が出てきている。県では、従来より、様々な家庭環境にある全ての児童生徒に様々な体験を等しく経験する機会を与えることなどを目的として、兵庫型体験教育の充実に力を入れ、来年度予算でも義務教育にしっかり予算措置がなされているのは評価できる。ただ十分に効果を発揮するには、現場の教職員が体験教育の背景や意義についてしっかり理解していることが肝要である。導入当時の教職員が退職し、若い教職員が増加する中、昭和63年の開始から28年目を迎える自然学校や平成10年の開始から18年目を迎えるトライやる・ウィークの取組がもし形骸化するようなことがあっては大変もったいないことである。様々な家庭環境にある児童生徒に対する支援の観点で、義務教育における体験教育の役割が非常に高まっていると考えるし、私は大きな期待をしている。今一度原点に立ち返って、取り組んで行く必要があるのではないか。

また、家庭による過ごし方での格差で言えば、長期休暇は非常に顕著で、困難な状況下にある児童生徒への支援は喫緊の課題である。学習支援、生活支援なども拡充の方向にはあるが質量ともに十分とはいえない。学校の直接的な関わりはもとより支援実施団体などをサポートすることで子供の健全な育ちを守る必要があると思う。

そこで、これからの社会で生き抜くために「覚える」ことから「考える」ことへ教育の大きな転換期にあってますます重要になってくる義務教育における体験教育の充実、長期休暇時における学習支援など、様々な困難を抱えるため家庭に教育力を求められない児童生徒への支援についての所見を伺う。

(答弁4)

迎山 志保

(選挙区:加古川市)

(竹内 英明 議員)[発言方式:分割]

1 売り切れ続出の『東京防災』(東京都発行)について

2 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編について

3 組み体操の実施について

4 県有地及び県管理地の不法占用について

5 県債管理基金への集約について
(1)明石海峡大橋関連施設整備等基金の廃止について
(2)県民緑基金の県債管理基金への集約について

6 平成31年度以降のポスト行革プラン(財政フレーム)について

質問全文

質問者:竹内 英明 議員

質問日:2月29日(月)

質問方式:分割方式:1~3、4、5(1)(2)、6

1 売り切れ続出の『東京防災』(東京都発行)について

東京都が昨年9月に発行した防災ブック「東京防災」をご存じだろうか。都内に全戸配布をしたほか、都内の書店で注文も出来るが、在庫不足であり、現在注文できないほど人気があるという。

なぜそんなに人気なのか。一般販売もされており、内容はネットにも掲載されているため見てみると、大規模地震発生後を過ごすための自助・共助のスキルの記載が充実している。その内容を少し挙げると、地震発生時の自宅や外出先で取るべき行動から始まり、単三電池を単一電池にする方法や新聞紙での暖の取り方などまですこぶる実践的で、災害対応のまさにオールインワン冊子となっている。

一方、発生が近いとされる南海トラフ巨大地震対策で、25年の中央防災会議のワーキンググループ報告では、「発生直後は特に行政からの支援が行き届かないことから、まず地域で自活するという備えが必要」、「家庭備蓄を1週間以上確保する」など「地域で自ら対応する事への理解が必要」としている。このように自助・共助の必要性が高まる中、兵庫県としても過去の阪神・淡路大震災や東日本大震災などへの応援職員派遣などで得た知見を活かして、東京防災に負けない実践マニュアルを作成・配布・販売し、大規模災害時の自助・共助のスキルを高めてもらう一助とすべきだと思うが、当局の見解を伺う。

2 県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編について

現在継続的に開催されている姫路における県立病院のあり方に関する検討委員会の事務局案では、留意事項として「整備後間もない現製鉄記念広畑病院の建物を活用した播磨南西部地域の医療提供を確保するため、県及び社会医療法人製鉄記念広畑病院の両者において地元姫路市の協力を得ながら、医療機関の誘致を図っていくこととされ、その際、まずは、医療圏域内に病床を有する病院の移転誘致に注力し、それが不可能な場合は、圏域外からの誘致を図っていくこと、ただし、圏域外からの誘致の場合は、新たな病床の確保が必要なため、中播磨圏域健康福祉推進協議会等と協議の上進めていく必要がある」としている。

検討委員会の議論でも、「製鉄記念広畑病院が(姫路市中心部の)イベントゾーンに移ってくると考えると、前から議論になっているように広畑地域の医療が手薄になってしまうということが一番の問題である。そこにどのような医療機能をどのような規模で、どのような設置主体で残すのかということを、もし移すということなら一緒に考えていかないとなかなか難しいかと思っている」と委員が指摘している。製鉄記念広畑病院が果たしてきた姫路市南西部の救急医療を引き継ぐものがなければこの移転統合は救急医療の地域偏在を生み、姫路市南西部からの搬送時間が長くなるなどデメリットも大きくなる。姫路市の検討委員も会議の中で、救急を含む一定の医療機能を引き継ぐ医療機関の誘致について、市も是非協力して実現しないといけない。これは絶対的な条件だ」と発言している。市の立場としてよく理解できる。今後の姫路市南西部の医療体制の整備について、当局の所見を伺う。

また、公立病院の財政負担については、県立13病院事業の平成28年度予算でも約190億円の一般会計繰入金を予定している。この状況は、市町立の病院でも同様で、公立豊岡病院に対して、設置者の豊岡市、朝来市は、昨年度それぞれ約20億円、約5億円を一般会計から繰り出していた。この規模の自治体にとって大変な金額だと思う。地域医療を存続させるための貴重な一般財源であるが、これでもなお赤字が発生していた。このような公立医療機関に対する一定の繰入金はやむを得ないと考える。

一方、昨年開業した県立尼崎総合医療センターの利用者は尼崎市民が7割を超えているが、建設費は約310億円を県が拠出し、土地は尼崎市に無償提供を受けている。形を変えた地元としての病院支援策だと思う。

そして姫路市にも尼崎市同様に市立病院がないが、建設予定地は旧国鉄清算事業団の資産を受け継いだ鉄道・運輸機構から姫路市が購入した土地の一部である。利用者の多くは姫路市民となろう。

現在の姫路循環器病センターと同様、姫路市に土地の提供を依頼するというのが基本的な考えかと思うが、当局の所見をあわせて伺う。

3 組み体操の実施について

先日、組み体操の際の兵庫県の負傷率が全国一高いという神戸新聞の報道があった。学校管理下で起こる災害に対し、医療費などを給付する日本スポーツ振興センターへ申請し、児童生徒等が医療機関を受診して災害共済給付を受けた件数から推測した調査結果による記事である。

この報道の後、大阪市では市教委がピラミッドとタワーの禁止を決めた。教育委員全員一致だったと報道されている。昨年9月にピラミッドは五段までタワーは三段までと決めたところだったがその後も事故が起こったことで、一律禁止にしたという。

また、国会でも「学校管理下における重大事故を考える議員連盟」がつくられ、この24日に文部科学省に対し、大きな事故につながる可能性がある技については、確実に安全な状態で実施できるかどうかを学校においてしっかりと確認することなどを主な内容とする申し入れが行われたところである。

このような状況の中、県も運動会や体育大会での組み体操の実施とピラミッド・タワーでの事故の状況について今年度、県内の小学校、中学校の調査をしたと聞いている。

そこでまず県内の小学校、中学校のそれぞれの組み体操の平均実施率と実際にピラミッド・タワーの事故が起きた学校の割合について伺うとともに、県内でも組体操の実施には地域差があると聞いているため、小学校・中学校における実施率の高い地域と低い地域、及びその実施率について、またそれらを踏まえた組み体操のあり方等の検討状況についてもあわせて伺う。

4 県有地及び県管理地の不法占用について

平成27年11月に提出された監査報告書を見ると、平成27年3月末現在において普通財産として管理している廃道・廃川敷地の無断使用は3件、172平方メートルであるとのことであった。私の知っている不法占用の実情と比べてあまりに少ないと思って調べると、これは県有地についてのみの記載であり、基本的に部局からの報告に基づいた案件に関する指摘ということであった。

そこで、さらに監査委員事務局がまとめた参考事項の資料をみると、平成27年3月末現在において河川整備課が把握している河川敷地の不法占用は、24件、5,346平方メートルとの記載があった。これは、不法占用されている武庫川や市川などの2級河川の河川区域は県が管理することとなっているが、国有地であることから、財務監査での指摘対象とはせず、事務所等が把握しているものを参考事項として挙げているとのことである。

しかし、この記載をあわせても実態に比べて少ないと感じる。河川に限らず、不法占用が疑われる実態が県内にはさらに多くあると思われる。私も把握しているし、同僚議員からも指摘があった。

それにも関わらず、資料に挙がっている件数が30件弱にとどまっている理由は、部局や事務所によって不法占用の把握の実情にバラツキがあることから生じているのではないだろうか。

長期にわたる不法占用が続くと、国においては民法の規定により時効取得に至った事例もある。そこで、特に住民からの苦情が寄せられるような不法占用の問題を早期に解決するため、部局や事務所がしっかり状況把握することはもちろんであるが、監査委員にあっては、部局等からの報告内容について十分な確認を行い、不法占用の解消に向けた部局等の取組みを促すべきと考えるが、監査委員の所見を伺う。

5 県債管理基金への集約について

(1)明石海峡大橋関連施設整備等基金の廃止について

日仏友好モニュメント建設事業の中止に伴い、明石海峡大橋関連施設整備等基金条例の廃止提案がなされている。これが可決成立すると、同基金は廃止され、県債管理基金に集約していた分も含めて計123億円が県債管理基金に含まれることになる。この123億円は将来的にも県債償還のために全額使われることになったと理解されるが、それで良いか伺う。

(2)県民緑基金の県債管理基金への集約について

県民緑基金を県債管理基金へ集約可能な条例改正と17億円が県債管理基金に積み立てられる補正予算が提案されている。県債管理基金とは県債の償還に充当される基金であり、その目的に充てられるからこそ、ルール上の積立額は財政指標である実質公債費比率の算定において、償還されたものとみなされ、積み立て不足額があれば、実質公債費比率のペナルティとして数値が加算されることとなっている。県民緑税は法令上も目的税であり、将来的にも県債の償還に充当できるものではない。なぜこれを県債管理基金へ集約するのか。集約するなら、実質公債費比率の算定から除外して計算すべきと考えるが、当局の所見を伺う。

6 平成31年度以降のポスト行革プラン(財政フレーム)について

北海道では人材採用難などを理由に、実質公債費比率は高いままだが、17年継続してきた職員の給与カットを今年度で止める。

兵庫県も行革プランに基づき、給与カットを平成20年度から継続している。私の周りでも給与カットや生涯賃金の比較等を理由に県職員への志望順位を下げたりと、人気の低下の実状を感じてきた。北海道だけの話ではないということである。

28年度当初予算では、この給与カットの積み重ね等により収支不足額は320億円に縮減されているが、このまま第3次行革プランを進めると平成30年度には収支不足は解消される。そして収支不足解消につれてフロー指標である実質公債費比率は改善されていく。

一方、ストック指標である将来負担比率はあまり改善されていない。これは、私がこれまで指摘してきた美術品をはじめ他の目的基金の県債管理基金への集約や基金の繰替運用による他会計との資金融通など、様々な負債の問題がまだ未着手で残っていることも大きく影響している。そして、これらの負債については平成30年度までの第3次行革プランでは解消策が示されていない。

こうした課題を解消するためにも、平成31年度以降の行革の取組み、特に財政フレームの継続は不可避だと考えるが、当局の所見を伺う。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)