予算特別委員会(予算審査・企画県民部①)
質 問 者 栗山 雅史 委員(民主党・県民連合)
1 社会増対策について
先日、全国の転入出者数の報道の中で、兵庫県の昨年の転出超過数が、北海道に次いでワースト2位の7,409人だったいうことで、関係者に衝撃を与えました。兵庫県はここ数年、1年間で約1万人減少しているという認識でおりましたが、それに加えて転出超過数が全国ワースト2位だったという報道は、かなりの衝撃だったように思います。そんな兵庫県ですが、まずはこれまでの転入出者数の推移について振り返ってみたいと思います。
前年の2014年は、2015年と同じく7千人台の7,092人の転出超過でした。そしてその前年2013年は5,214人の転出超過でした。ここ3年連続で5千人を超える大きな転出超過が続いており、憂慮すべき状態にあることは間違いありません。しかし、10年、20年といった期間で推移を見ますと、2011年で1,234人の転入超過の年もあり、2003年~2012年の10年間で見ると転入超過が4回、転出超過が6回とデコボコしております。転入出増減の要因はすべて把握できないものの、社会の変容等によって毎年転入超過、あるいは転出超過のどちらにも振れる可能性があります。
もう一つ、国勢調査の2010年と2015年の比較ですが、都道府県別の増減率を見ますと、トップの沖縄が3.0%増、2位の東京2.7%増などに続いて、兵庫県は0.9%減で全国12番目となっています。減少下にはあるものの、減少幅は他県と比べて小さいことがわかります。
さて、このような状況ですが、兵庫県としては地域創生戦略の中で自然増、社会増についての人口対策目標を掲げております。提案された平成28年度予算案の中にも、転出抑制策として、仕事の創出であるとか、若い世代が県外に転出しないよう県内高校2年生全員を対象に地元企業のガイドブックを5万部配布するなど、いわば「県内引き留め施策」を展開しています。しかし、私は転出抑制もさることながら、転入対策の面で重要な視点を見逃していないだろうかと思いました。それは、県内の大学・短大に通う、県外出身者のことです。住民票は移していないものの、既に兵庫県に住んでいるとか、県外から通っているという学生が兵庫県内にたくさんいるのはご承知のことかと思います。
県からの資料によりますと、平成27年の県内大学・短大55校に入学した学生30,327名のうち、県内高校出身者は15,087名で49.7%しかいません。兵庫県外から通っていたり、下宿している学生たちが、なんと15,240名いるのです。彼らを見逃す手はありません。
彼らは縁あって兵庫県内の大学・短大で学生生活を過ごしています。学生生活を送っていくうちに「兵庫県って良いところだな」と感じてくれているのではないでしょうか。そんな彼らが就職する際に考えることは、地元に戻って就職するか、はたまた東京や大阪の大都市圏で就職するか、あるいは今住んでいる、通っている兵庫県内で就職するかではないでしょうか。住環境が良く、人間関係が兵庫県内でできていることに加えて、労働環境も整えば兵庫県内に転入届を出してくれる可能性が高くなるのではないでしょうか。現実に私のところに来た地方出身のインターン生の中には、故郷を離れて兵庫県内に仕事を持ち、結婚して県内に住み続けている者も数多くいます。
今回の予算案の中には、県内大学生に対して県内企業ガイドブックを12,000部配布する新事業がありますが、その部数では県内在住の学生数にも足りません。
県内大学生の引き留めとともに、転入対策として現実味があり、大きな転入者数の増にもつながる県外出身学生へのアプローチに取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
2 出会いサポートセンター事業の現状と20代への取組みについて
出会いサポートセンター事業は、少子化対策、晩婚化対策、未婚化対策として公の機関が自ら「出会いをサポートする」という積極的な事業でありまして、年々成婚数は増加傾向にあり、これまでの10年間で成婚数1,000組を超えるなど大きな成果をあげておられます。今後もぜひ頑張っていただきたいと思っているところです。そんな出会いサポートセンター事業ですが、現在深刻な問題となっている少子化問題、晩婚化問題などにおいて、出会いサポートセンター事業はどのように貢献しているのか確認したいと思います。
平成26年の県内婚姻数は約2万8千件弱で、出会いサポートセンターの個別お見合い「ひょうご縁結びプロジェクト」事業を通じて結婚されたのはそのうち昨年度は120組でした。登録者の属性を見てみますと、平成26年度の登録者数が4,534人で、県からのヒアリングによりますと、登録者の平均年齢は男性が41.1歳、女性が36.2歳です。兵庫県内の平均初婚年齢は男性が30.8歳、女性が29.3歳ですから、登録者の平均年齢は結構高いと言えます。
さて、「晩婚とは何歳からか」という定義は感じ方が様々ですのでここでは申し上げませんが、いま申し上げた登録者の平均年齢で出会い、付き合うことになり、結婚することになっても、おそらくそれは既に「晩婚」である可能性が高いと思われます。そういうことから考えると、出会いサポートセンター事業は、出会いと結婚によってさらなる晩婚化を食い止める効果がありますが、「晩婚化の対策」というよりは「未婚化対策」の色が強いのではないかと感じています。
まず、ここで1点質問しますが、これまでに個別お見合いで成婚に至った方々の成婚時の平均年齢について男女別にお聞きしたいと思います。
次に、出会いサポートセンター事業の目的は、何度も申し上げておりますように出会いから結婚をサポートし、少子化、晩婚化に歯止めをかけることです。「晩婚化を対策する、食い止める」というのは、先ほど申し上げた平均初婚年齢を若い方へ持っていくということだと思っています。県内女性の第一子出産平均年齢も30歳を超えました。晩産化が進んでいると言われております。これも若い方へと転換させていかねばなりません。つまりは20代で結婚し、20代で出産するという若者を増やしていかなければならないということです。
出会いサポートセンターに登録している20代の方の人数なんですが、実は男性が80人で男性全体の4%、女性が322人で女性全体の12.8%となっています。大変少ない状況です。少子化対策や晩婚化対策は福祉や教育の面からのアプローチも必要ですが、出会いサポートセンター事業として、若い世代、特に20代への取組みをどう考えていくべきなのでしょうか。
兵庫県内の若者が、「20代で結婚したい!20代で子供を産みたい!」と思わせるような新しい施策、そしてムードづくり、ムーブメントの創出こそが、今後重要になるのではないかと思いますが、出会いサポートセンター事業の今後の方向性を含めて、20代への取組みなどをお伺いしたいと思います。