決算特別委員会(財政状況)
質 問 者 向山 好一 委員(ひょうご県民連合)
1 震災復興と本県財政状況の関係について
本県は阪神・淡路大震災からの復興を図るため、多額の県債を発行したことから、震災から20年が経った平成27年度の決算においても、震災関連の県債残高は4,818億円に上り、将来負担比率は320.6%と全国ワースト、また財源対策の規模は330億円であった。このような状況の改善を図るため、平成20年度に全国で初めて「行財政構造改革の推進に関する条例」を制定し、10年をかけて行財政構造改革に取り組まれていることは、皆さんご承知の通りである。
一方、同様に甚大な被害があった私の地元神戸市では、平成16年度に起債制限比率が26%となるなど、財政状況は一時期非常に悪化していたが、27年度決算においては、将来負担比率が80.2%と、他の政令指定都市と比較しても相当上位に位置づけられる状況になっている。さらに5年連続で財源対策による事なく、実質収支の黒字を確保するなど、財政状況を堅調に好転させていると言える。
この違いは、神戸市が復旧に重点を置いた起債を行ったのに対し、兵庫県は神戸市を含む兵庫県全体の創造的復興という中長期的事業を担ったことに起因しているので、ある程度やむを得ないことではあるが、あらためて県と市との復旧・復興の役割分担を含め、震災復興と本県の財政状況に与えた影響について数値上でお示しを頂きたい。
2 投資事業について
(1)単独事業にかかる別枠事業の県費負担について
先程の質問と関連するが、大規模の災害を経験した本県において、政府の進める国土強靭化計画と相まって「防災・減災事業」が聖域化・肥大化し、結果、財政を長期的に逼迫させ、将来世代負担を増加させることを危惧している。
その観点から質問するが、昨年度、県単独事業における別枠事業である緊急防災・減災事業の最終予算額は190億円、山地防災・土砂災害対策事業は35億円であった。両事業とも起債充当率100%の事業であるが、交付税措置をされない金額、県費負担額としてはいくら発生するのか。
(2)本県財政に与える影響について
25年度に公表された第3次行革プランでは、緊急防災・減災事業費について、平成26年度~28年度までで年間100億円の所要額との記載があるが、昨年度最終予算額は190億円と、同プランが予定するところの約2倍の所要額となっており、また山地防災・山地災害対策事業は当初の予定にはないものであった。災害への備えの必要性が高まる中での、国の経済対策のフレームにあわせた好条件の県債発行であるとは言え、3年前の見込みを大幅に超えた県費負担が生じているわけだが、このことが本県財政に与える影響について、当局の所見を伺う。
3 公共施設等総合管理計画について
(1)計画策定にあたっての考え方について
これまで我が会派の複数の議員から質問を行っている公共施設等総合管理計画について改めて伺う。昨年度の予算特別委員会では、石井健一郎議員からの計画策定方針を問う質問に対し、①施設の長寿命化、②施設総量の抑制、③効率的な維持管理などの基本方針を定めていきたいとの答弁があった。
既存施設については長寿命化対策や効率的な維持管理ももちろん必要であるが、長寿命化に取り組むほど当然維持管理費がかさんでくる。人口減少が進む中、将来世代への負担の大きさを考慮すると、そもそもこの施設は将来にわたって本当に必要なのかということに加え、維持管理し続けることができるのかという観点からも検証すること、つまり施設総量の抑制の観点が最も大切であると考える。
そこで、施設総量の適正化の推進について現在どのような考えをお持ちなのか、所見を伺う。
(2)施設の統廃合にかかる経費の財源について
計画に基づき、施設を実際に統廃合するとなると、その分の経費が必要となる。それについては国から除却債を活用することが認められるが、これはあくまでも資金手当であって、交付税措置はされないため、将来負担が発生する。
昨年度の決算特別委員会において、竹内英明議員が除却債の活用について質問を行ったが、それ以降消費税増税延期や世界経済の不透明化など、本県財政への悪影響が懸念される事態が起こっていることを踏まえると、計画策定後、統廃合を行う施設については、こうした起債に頼るべきではないと強く考えるが、当局の所見を伺う。
4 課税自主権の活用について
先に述べたとおり、消費税増税延期などによる本県財政への悪影響が懸念されることから、税収確保の必要性が高まる中、私が注目しているのが自主課税である。他の自治体を見ても、大阪府では来年1月からの宿泊税導入を決定するなど、地域の実情に応じた課税が実施されている。
現在本県においては、法人県民税超過課税、法人事業税超過課税、県民緑税の3税目について自主課税を行っているが、他の項目へ課税自主権を拡大することについて、その必要性を含め、当局の所見を伺う。