健康福祉(黒田議員 決算委員会、1012)
1 児童養護施設等の課題と支援について
(1)児童養護施設の課題と支援について
戦後、親を亡くした孤児の保護、救済が主な役割であった児童養護施設は、現在では、児童虐待など、親がいても養育できない子どもが6割以上を占め、その背景も、複雑化・多様化しています。また、子どもを施設で育てるだけでなく、“家庭へ戻す”役割や、さらに、児童虐待などを行った親に対する指導・支援も施設の重要な役割となってきています。
今後、里親やファミリーホームなどによる養育がより推進されていく一方で、複雑な課題を有する子どもたちの権利と人権を守り、その最善の利益を保障していくためには、児童養護施設が担う専門的な役割も重要性を増していくのではないでしょうか。
しかしながら、児童養護施設では、保育士や児童指導員などの人材の確保が困難な状況にあるなど、早急に対応すべき課題が山積していると聞きます。
そこで、児童養護施設が直面している課題をどのように認識されているのか。また、県としてどのような支援を行っていくのか、お伺いします。
(2)施設退所児童への自立支援に向けた課題と取り組みについて
施設で育った子どもたちは、保育士や児童指導員などのサポートにより、自立する力をつけていきます。そして、高校卒業後に施設を出て、就職や大学進学をしますが、仕事がうまくいかなかったり、経済的な理由から、やむなく離職や中途退学に追い込まれる場合も少なくないと聞きます。私は、退所児童については、生活基盤が充実するまでは、十分なアフターケアが必要であると考えています。
このような中、本年5月の児童福祉法の改正により、18歳以上の子どもの支援の継続のため、自立援助ホームで生活し、就学している者については、22歳に達する年度末まで、引き続き自立援助ホームを利用できるようになりました。
また、昨年度の経済対策の補正予算で、退所児童に生活費等を貸し付け、5年間就業を継続すると返済が免除される自立支援資金貸付事業が創設され、退所児童のアフターケアへの認識も高まっています。
しかしながら、退所児童をとりまく状況はなお厳しく、自立生活に円滑に移行するためのさらなる支援が求められています。
そこで、児童養護施設の退所児童の自立支援について、課題をどう捉え、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
2 人権に関する県民意識調査について
(1)調査結果の評価について
本県では、県民の人権に対する意識等を調査し、今後の効果的な人権に関する施策を検討するため、平成10年度から「人権に関する県民意識調査」を5年ごとに実施しており、4回目の報告結果が平成26年3月に発表されています。
この調査結果を見れば、県民の方々が、様々な人権問題についてどのような意識を持たれているのか、また、人権侵害の実態や今後の人権教育や啓発のあり方などについて、つぶさに知ることができます。
その調査結果の一例を見ると、県民の人権意識が高まっていることを肯定する人の割合は36%で、5年前からほぼ横ばいとなっています。
また、インターネットへの他人の悪口や差別的な人権侵害の表現の掲載が顕著であると回答した人は約63%で、5年前から約3%減少しているものの、割合としては依然高止まりしています。
さらに、結婚相手が同和地区の場合、絶対に結婚しないと回答した人は約6%で、これまで人権啓発活動を進めてきているにもかかわらず、依然100人に6人がこのような意識を持たれています。
そこで、まず、人権に関する県民意識調査の結果について、これまでの経年変化をどのように評価されているのか、お伺いします。
(2)調査結果の活用について
部落差別をはじめとする従来からの課題に加え、近年ではインターネットによる人権被害や性同一性障害などの性別に起因する差別のような新たな人権被害が深刻化し、人権課題は年々複雑・多様化しています。
これらの人権課題を解決していくためには、県、市町をはじめ、学校、企業、地域、県民が密接に連携を図りながら、人権啓発に向けた様々な取り組みを推進していく必要があります。そこで、ご活用いただきたいのが、人権に関する県民意識調査の調査結果です。
私は、人権啓発活動の中で、この調査結果を少しでも多くの方々が知り、そして、このことについて真剣に考えることで、真の人権意識の高揚につなげていただきたいと考えています。
そこで、人権に関する県民意識調査結果のさらなる活用について、ご所見をお伺いします。