理 事 越田 謙治郎 議員(川西市・川辺郡)
委 員 黒田 一美 議員(神戸市垂水区)
委 員 向山 好一 議員(神戸市北区)
越田 謙治郎 議員
産業労働部 | 農政環境部 | 教育委員会 | 企業庁 |
総括審査
黒田 一美 議員
財政状況 | 企画県民部① | 健康福祉部 | 公安委員会 |
教育委員会
向山 好一 議員
財政状況 | 企画県民部② | 公安委員会 | 県土整備部 |
病院局
越田 謙治郎 議員
産業労働部・労働委員会
1 過労死等防止対策について
2 ワークルールの啓発について
3 多様な働き方を認めあうための施策展開について
4 中小企業の人材不足対策について
5 中小企業人材のキャリアアップ支援について
全文
平成27年度決算委員会質疑(産業労働部)
1 過労死等防止対策について
昨年6月の代表質問でも取り上げた課題です。平成26年に議員立法により「過労死等防止対策推進法」が成立し、先日、法に基づき初めて「過労死等防止対策白書」が作成されました。しかし、過労死等に関する対策はまだ始まったばかりです。先日も大手広告代理店社員の自殺が労災認定を受けたとの報道もありましたが、改めて、このような不幸な出来事をなくしていかなければならないと考えています。代表質問では、井戸知事が「今後とも、政労使一体となって、長時間労働の改善や過労死等防止の取組を進める」との答弁でした。
そこで、兵庫県内における過労死等の現状をどのように把握をし、昨年一年間、政労使一体となってどのような取り組みをなされたのでしょうか?
2 ワークルールの啓発について
過労死等だけにかかわらず、労使双方に労働基準法などの労働法制等、いわゆる「ワークルール」に対する知識や理解が必ずしも十分ではないように感じています。実際に、ブラック企業やブラックバイトといった言葉に代表されるように、労働者が本来保障されるべき権利が守られていないというケースも散見します。過労死等の不幸な出来事を生み出さないためにも、雇用者側労働者側双方にワークルールに対する啓発の機会が必要だと考えています。
そこで、ワークルール普及について、昨年度の県の取り組みと今後の方針について、お伺いします。
3 多様な働き方を認めあうための施策展開について
国では「一億総活躍」「働き方改革」「同一労働同一賃金」など労働に関する言葉がよく話題に上がっています。兵庫県としても、これを機に、県民の働き方にさらにスポットを当てた施策展開、とりわけ、多様な働き方を認めあう社会に向けた施策が必要であるというのが、今回質問に当たっての私の問題意識です。兵庫県では、ひょうご仕事と生活センターを拠点に、政労使が一体となった取り組みを推進しているにもかかわらず、十分な成果とまでは至っていないのが現状です。
仕事と生活センターで実施している事業のうち、例えば、「仕事と生活の調和推進環境整備事業」は、平成27年度実績で53件、5,178万円が執行されています。また、多くの事業がアウトプット指標としては、当初目標を達成しています。しかし、アウトカム指標として、兵庫県の女性就業率は全国で
46番目であること、依然として長時間労働に従事する労働者が多いことなどを考えると、改善の余地は残されていると考えています。兵庫県として、仕事と生活センター事業をどのように評価し、今後、改善していこうと考えているのか?
私は、多様な働き方をいかに認めあうかという観点から、在宅ワークや事業所内に託児所を置くということも大切ですが、男女ともにワークライフバランスを実現することから考えれば、例えば、シェアオフィスを拡げていくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか?
4 中小企業の人材不足対策について
景気回復に伴い、中小企業においては、特に人材不足が顕著であると言われています。
平成27年度の有効求人倍率が平成3年度以来1を超えたにもかかわらず、県内の就業者数が4万4千人減少していることを考えると、有効求人倍率が高くなったことをもって、経済・雇用環境が良くなったとは言えず、依然、人材不足が深刻であるというのが実情です。特に、県の約99%、就業者の約70%以上を占める中小企業においては、その傾向は顕著だと言えます。
実際に、2015年に兵庫県中小企業同友会が行ったアンケート調査によると、約6割の企業が人材不足と感じているとのことです。
「ひょうご経済・雇用白書」においても、中小企業の人材不足は、景気回復と同時に、労働人口の減少、さらには雇用のミスマッチが原因であるとの指摘がなされています。特に、求職者が多い事務職は、それを吸収するだけの求人数がない一方で、福祉部門や製造部門等では、人材不足が顕著となっているとのことです。
このような中小企業における人材不足は、営業機会の損失や労働者の超過勤務の増加という結果につながるため、県としても支援が必要なのは言うまでもありません。そこで、現在の県の施策を見ると、昨年度、中小企業の人手不足対策として、中小企業合同研修等支援事業を実施し、各地域のハローワークと連携した合同企業面接会では、合計1,274人の参加をいただきました。同事業では、新入社員の定着支援のためのセミナーも開催しています。また、「ひょうご応援企業」就職支援事業やふるさと企業就職活動支援事業なども実施されています。
ただ、中小企業の人材不足の課題は、何も今に始まったわけではありません。このように構造的な問題として、中小企業の人材不足がある中で、兵庫県として、県内の中小企業の人材不足をどのように認識しているのか?
また、県内の中小企業の人材不足に対して、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
5 中小企業人材のキャリアアップ支援について
中小企業側からすると、単なる「人手不足」ではなく「人材不足」だと言われています。しかし、文字通り人手も人材も不足している中、日々の業務に追われている中小企業において個々の従業員のキャリアを育成していくことは簡単なことではありません。
今後、好むと好まざるをえず、雇用は流動化し、必要な知識は早いスピードで変化していく。そのなかで、中小企業の従業員一人ひとりが絶えず能力を向上させていく必要があると考えますが、県のご所見をお伺いします。
農政環境部
1 大阪府豊能町・能勢町のダイオキシン問題について
2 ナラ枯れ対策について
3 再生可能エネルギーについて
(1)普及に関する課題について
(2)太陽光発電と環境との両立について
4 IWC2016を契機とした酒米の生産振興について
全文
決算特別委員会部局審査(農政環境部)
質 問 者 越田 謙治郎 委員(ひょうご県民連合)
1 大阪府豊能町・能勢町のダイオキシン問題について
本年2月、大阪府豊能町・能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」の解体に伴い排出された、本来「一般廃棄物」として処理するべき、ダイオキシン類を含む焼却灰、ばいじん等が「産業廃棄物」として、神戸市西区神出町にある産業廃棄物最終処分場で違法に埋立処分していたことが、本年7月に明らかになりました。当然のことながら、神戸市からの抗議をうけ、豊能郡環境施設組合では、掘り起こした廃棄物を持ち帰り、川西市の住宅街に近い、豊能町内の山林に仮置きしようとしましたが、地域住民の反対により断念。結局、同町内に2ヵ月の予定で仮置きをしております。
9月には町長選挙が行われ、新しい町長が誕生するなど状況が大きく変わりましたので、さすがに同じようなことはないとは思いますが、環境問題は「川上」が適切に処理をしなければ「川下」に大きな不安を与えるわけです。兵庫県として、地元阪神北県民局を中心にご対応をいただいたとはお聞きしておりますが、あらためて県としてこの問題への対応をお聞かせ願います。あわせて、県には大阪府に対して豊能町能勢町へ助言や支援を行うよう要請するという役割を担っていただきたいと考えていますので、今後の県としての取り組みをお伺いします。
2 ナラ枯れ対策について
私の地元である川西市には日本一の里山と言われる黒川地域があります。近年、なかなか人の手が入らなくなったとはいえ、それでも地元や多くのボランティアの皆さんのお力で何とか維持ができています。また、川西市・猪名川町を含む阪神北地域は「里山」を一つの大きな柱に、「北摂里山博物館構想」を掲げて地域創生に取り組もうとしています。
しかしながら、その里山において、近年「ナラ枯れ」が発生し、大きな問題となっています。また、これは阪神北地域だけの問題ではなく、県下で広がっています。
県も対策を打っておりますが、被害は拡大しています。ナラ枯れの性質上、対策が遅れれば遅れるほど、被害は拡大し、取り返しのつかないことになると危惧しています。
そこで、昨年のナラ枯れに関する被害の状況、県の取り組みをお示しください。
また、現在の調査方法は、県が市町と連携して行っていると聞いていますが、地上からの目視による調査のため、必ずしもその現状を十分に把握できていない可能性もあります。
県として、ヘリコプターを使用するなど広域的な調査が必要ではないかと考えますが、見解を求めます。
3 再生可能エネルギーについて
(1)普及に関する課題について
兵庫県が策定した「ひょうご100万キロワット創出プラン」は、当初見込みを大きく上回るスピードで平成27年9月に目標を達成しました。
私も、再生可能エネルギーを普及させていくという方針には異論もありません。ただ、同時に今回の再生可能エネルギー普及において現れた課題を解決することも必要だと考えます。
この数年の再生可能エネルギー普及における問題は、いうまでもなく、その普及のほとんどが太陽光発電であるということです。
私たちが、過去のエネルギー問題で反省するべきは、特定のエネルギーに依存することへのリスクの高さでした。したがって、いかに多様なチャンネルをもつのかということが必要なのです。しかし、そもそも再生可能エネルギーの導入目標が、100万キロワットのうちの大部分が太陽光発電であり、そのことを見直さなければならないと考えています。
そこで、井戸知事も今年2月、第331回定例会の中で、「県内の排出削減目標や再生可能エネルギー導入目標の再設定を行います」と述べられております。しかし、従来と同じ発想で計画を立てたのであれば、同じような結果になると考えます。太陽光発電以外の電源を導入することは、太陽光発電に比べ様々な制約があるとは思いますが、より多様なエネルギーの普及を目指すべきだと考えます。県として現在の取り組みをどう評価したのか?次期計画の方針と合わせ、見解をお伺いします。
(2)太陽光発電と環境との両立について
太陽光発電の設置に関しては、多くの地域で周辺とのトラブルが発生しています。中には、森林法等による制限はあるものの、あくまでその範囲での縛りでしかありません。それどころか、それをクリアすると、あたかも県が開発のお墨付きを与えたような印象を与えるケースもあります。
そこで、県として再生可能エネルギーの普及に関しても、環境への配慮を義務付けるなどの取り組みが必要だと考えます。たとえば、環境影響評価に関する条例に一定規模以上の太陽光発電を追加するなどの、太陽光発電と環境が両立するための、取り組みが必要だと考えますが、所見を伺います。
また、急激な普及により、2040年度には80万トンの太陽光発電設備の廃棄物が出てくると言われています。環境省では「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を策定していますが、県として、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて見解を求めます。
4 IWC2016を契機とした酒米の生産振興について
昨年度、農政環境部の大きな取り組みは、「農林水産ビジョン2025」の策定にくわえ、「瀬戸内海環境保全特別措置法改正法成立のための取り組み」(環境部部門)、さらには昨年7月のミラノ博への出展とそれを契機にしたIWC2016「SAKE部門」の兵庫開催誘致だったのではないでしょうか?
私も農政環境常任委員会の委員長として西宮市で開催されたウエルカムパーティーに参加をさせていただきました。 兵庫県からトロフィー酒が選ばれなかったのが残念だという評価もありますが、大切なのは、日本酒の消費を伸ばすことにより、酒米である山田錦の生産を増やしていくということです。
また、同時に山田錦というブランドを維持するためには、常に品質を高め、維持する取り組みが必要です。そこで、IWC2016「SAKE部門」兵庫開催を契機に、県の酒米の生産振興をどのように進めようとしているのか、県の所見をお伺いします。
教育委員会
1 インクルーシブ教育システム構築に向けた研修について
2 科学的指導に基づく運動部活動の実施について
3 高等学校中途退学者の現状について
4 いじめ問題について
全文
決算特別委員会部局審査(教育委員会)
質 問 者 越田 謙治郎 委員(ひょうご県民連合)
1 インクルーシブ教育システム構築に向けた研修について
現在、支援や配慮を必要としている児童・生徒が増加傾向にあるといわれています。私は、障害の有無に限らず、子供たちが発達段階や特性・能力、そして希望に応じて、最もふさわしい教育環境が提供されることを望んでいますし、県として最も優先順位の高い政策分野であるべきだと考えています。
ここ数年の法整備や支援体制が充実されたことにより学校生活を過ごすことができる子供たちも多くなってきました。つまり、インクルーシブ教育システムが目指す方向へは向かっているのは間違いありません。
県では、さらなるインクルーシブ教育システム構築に向けた研修を行っており、平成27年度予算では、インクルーシブ教育システム構築研修として114万円が計上されています。しかし、その内容は研修を受けた学校の代表者が、それを持ち帰った上で他の教員に研修をしているということです。果たして、それで本当に成果があるのか、私はその効果に疑問をもっています。
教育現場が多忙だということはわかりますが、児童・生徒に向き合うための研修は充実させていくべきです。したがって、全教職員が直接インクルーシブ教育システム構築に関する研修を受けることができる機会を提供するべきだと考えますが、教育委員会の見解を求めます。
2 科学的指導に基づく運動部活動の実施について
部活動に関しては時代の流れで大きく変わろうとしています。
教員側からすると、多忙化の一因となっていることや、競技等の経験がない教員も担当をさせられていることなどが問題視されています。また、生徒の減少等により競技によっては部活動が成り立たない学校もあり、まさに中学校においては部活動の在り方が大きく問われています。
ただ、どちらにせよ、運動部活動の指導には専門性が必要であり、適切な指導を行わなければ、大きな事故につながり、場合によっては命を失うということもあり得るのです。
本県でも、平成19年に県立たつの高校の不幸な出来事もありましたし、私の母校でも、約20年前にラグビー部の練習中に生徒が熱中症で倒れ、その後死亡するということがありました。
今後、教職員が引き続き運動部活動の指導を行うにしても、外部人材の活用を拡充するにしても、健全な運動部活動を実施するためには、科学的根拠に基づいた安全な指導が必要であり、新たな研究成果が日々更新される中で、指導者への研修を充実させていかなければなりません。
県教育委員会では、「いきいき運動部活動支援事業」を実施し、外部指導者の派遣による専門的な指導を行っていますが、4年で全ての学校を回る予定とのことです。多くの部活動では大半が3年生の夏休みまでに引退をするため、指導が当たらない生徒が出てきますが、これで十分に効果があるとお考えでしょうか。所見をお伺いします。
あわせまして、運動部活動中に発生した事故をどのように把握し、安全対策につなげているのかを伺うとともに、生徒への科学的な観点からの指導についてどのように取り組んでいるのか、教育委員会の見解を求めます。
3 高等学校中途退学者の現状について
高等学校の進学率は、県内で99パーセント。もはや、高等学校は事実上の義務教育機関となっています。高校に進学した子供たちが全て高校生活を謳歌し、新たな進路に進んでくれればいうことはないのですが、残念ながら平成26年度は1年間で県立高校では1,321人の子供が中途退学をしました。
義務教育ではなく、進路に関する判断は生徒個人や保護者の判断によるものだとはいえ、高校を卒業するかどうかが子供たちの人生において大きく影響することを考えると、中途退学を防ぐための取り組みと同時に、中途退学を判断した生徒とその保護者に対する支援が必要だと考えます。県の具体的な取り組みと成果をお示し下さい。
4 いじめ問題について
平成23年度の決算委員会において、県内のいじめの問題について取り上げました。当時は、大津市内の中学生のいじめ自殺をきっかけに大きな社会問題となっていました。
また、私の地元でも高校1年生が新学期に自ら命を絶つという痛ましい事件が発生しました。その後、同級生の訴えにより、自死した生徒がいじめられていたという訴えがあったこと、学校現場の対応が保護者の理解をいただけなかったことなどがマスコミにも大きく取り上げられる事態となりました。
4年前の決算委員会の答弁では、当時、71.4パーセントの学校でいじめが報告されていないとのことでした。もちろん、それぞれ言い分はあるのでしょうが、いじめを発見しにくい環境があったのは事実です。その後、国でも「いじめ防止対策推進法」が成立、県でも取り組みが進みました。
そこで、県として現在いじめを取り巻く環境をどのようにとらえているのかお尋ねしますが、4年前と比較し、どのように変わったのかについてもあわせてお示しください。
また、「兵庫県いじめ防止基本方針」に定められている重大事態への対処は、現実にどの程度実施されているのでしょうか?
私は、いじめが発生した段階で学校が対応するのは当然だと考えますが、調査を行うための組織は被害者にとって公平性や中立性が担保されたものでなければなりません。それは、第三者機関であるべきですし、常設もしくは人選のプロセスを明らかにしておかなければ、信頼性に問題が生じると考えます。この点に関するご認識に触れた上で、昨年度の実績についてご答弁をお願いします。
企業庁
1 青野運動公苑事業の目的について
2 地域整備事業について
(1)事業別の採算と評価について
(2)播磨科学公園都市の整備目的について
(3)小野市産業団地における収支と成果目標について
3 県水への切り替え促進について
全文
ひょうご県民連合 越田委員 10月18日(火)
■平成27年度企業庁
1 青野運動公苑事業の目的について( 総務課 )
昨年度、企業庁県では、青野運動公苑のリニューアルに向けて7億円の投資を行いました。
リニューアル後の新しい運営スキームでは、10年契約で、事業者から年間年平均3,500万円の納付金を得ることになっており、最終的には納付した総額から維持改善補修費等の運営費を支払った残額を県に納付するということになっています。
しかし、年額3,500万円の中から、60万円以上の修繕に関する費用を賄っていくとなると、たとえ上積みの契約があるとはいえ、収支見通しは厳しいのではないか、企業庁としてのメリットは本当にあるのかと考えます。
そもそもなぜ、このような契約内容になったかといえば、運営公募が一度不調に終わっており、このくらいの良い条件を出さないと受託先が見つけられないような案件であったということです。とは言え、過去に100億円以上の損失がある中、今回のような条件での契約に基づいた事業運営を行っていては、さらに傷口を広げることになるのではないかと懸念しています。
そこで、企業庁としては、青野運動公苑事業の目的は何だと考え、その目的を達成できる見込みについてどのような見解をお持ちなのか伺います。
2 地域整備事業について
(1)事業別の採算と評価について ( 総務課、立地推進課 )
平成28年2月定例会で地元市の協力を前提に、小野市において産業団地の整備に取り組む方針が示されました。大口の工業団地がないということは、企業誘致の機会を失うということでもあり、県の産業誘致にかける思いは理解いたします。
実際に、群馬県は企業誘致件数上位の常連でしたが、今年上期は11位に後退。その理由はそもそも大口の工業団地の在庫減少が影響したと報道されているように、団地を整備する必要性は感じます。
ただ、現在進度調整地という名称の「不良資産」を抱えている企業庁の現状を考えると、新たに事業をスタートする際には、過去の地域整備事業をどのように評価しているのか、何が課題なのかを明らかにしなければならないと考えます。
特に、長期にわたる地域整備事業に関しては、1年1年の決算だけでは成果が見えません。長期にわたるこれらの事業について、播磨地域、淡路地域はどのような事業収支になっているのでしょうか? また、多くの未分譲地のある播磨科学公園都市、淡路津名地区の産業用地について、計画や見込みと何が違って、現状に至ったのか企業庁としての見解をお伺いします。
(2)播磨科学公園都市の整備目的について( 地域整備課 )
播磨科学公園都市については、当初先端技術等を活用したものづくり産業の集積を図り、新たな研究拠点の形成などを見込んでいたものの、残念ながら依然として進度調整地を抱えるなど、満足できる現状にはなっていません。
しかし、平成27年度には交流人口の拡大を目指し、サッカー場の整備に向けた調査費が計上されるなど、当初見込んでいたものと異なる新たな目的で町づくりが行われようとしているように思えます。本来、都市とは何かを実現するための手段であるはずですが、この場合、手段が目的化している印象を受けます。あらためてどのような目的で播磨科学公園都市の整備を行うのか、企業庁の見解を求めます。
(3)小野市産業団地における収支と成果目標について( 地域整備課 )
小野市の産業団地整備は、小野市の17億円の負担、企業庁が67億円の整備費をねん出、100%販売ができた場合は、72億円で収入見込みであるとのことです。成功を心からお祈りいたします。ただ、単に収入だけが目当てなのであれば、民間企業に任せればよいのであって企業庁が関与する必要はありません。企業庁として、この産業団地建設にかかわる具体的な成果目標をどのように設定しているのでしょうか、見解をお聞かせください。
3 県水への切り替え促進について( 水道課 )
企業庁の皆様の経営努力により、平成27年度中に料金改定が行われ、平成28年に大幅な料金値下げが行われました。ただ、県の水道事業の今後を見据えたときに、改めて県と市町の関係における課題を整理しなければならないと考えます。
その課題とは計画給水量と申込水量とのギャップです。計画水量は22市町と1水道企業団に給水されていますが、一日の計画給水量は480,400立方メートルですが、平成27年度の申込水量は、計画給水量の84%となる404,130立方メートルとなっています。
計画水量を100%受水しているのは7市、80%以上の受水団体は6市となっていますが、一方で、50%を切る団体も4団体あります。県水以外の水源がある自治体や人口見込みが当初と異なった自治体等その理由は様々ですが、計画給水量に基づいて設備を整備してきたことを考えると、計画給水量を受水していただける取り組みをしなければなりません。
県も2部料金制を採用し、一定の誘導策をしていただいていますが、正直ほとんど効果がありません。まして、今後人口減少を迎える中、水需要の増加は見込めませんが、平成21年度から60年度までの40年間に施設の更新等で約2,100億円の財源が必要であることを考えると、さらに県水への切り替えを促進することが求められます。県の取り組みと今後の方針についてお伺いします。
総括
1 地域創生の取り組みの評価について
2 土地信託事業の評価について
3 委託業務の総点検について
4 総合的な社会的養護の促進について
5 ポストIWC2016について
6 阪神高速料金に関する県提案の方向性について
7 権限移譲後の県としての教育方針について
8 県下における県立病院のバランスについて
9 県警における震災20年の取り組みと次世代への伝承について
全文
決算特別委員会 総括質問1021(ひょうご県民連合 越田委員)
1 地域創生の取り組みの評価について
平成27年度は、厳しい財政状況を見込みスタートしたものの、県税等は過去最高の8,022億円となり、当初予算より143億円の増収となりました。
また、当局の皆さんの懸命な努力により、歳出では行政経費は8,951億円から8,654億円と当初予算より297億円も減少しています。
その結果、将来世代への負担になる財源対策を100億円減少させる一方、さらに181億円もの県債を繰り上げ償還するなどの努力も行ってこられました。
ただ、税収増の恩恵がどこに充当され、歳出削減の成果がどのように使われたのかということの説明が必ずしも十分ではない印象を受けています。この1年間、厳しい財政制約の中、「選択」と「集中」をモットーに、日々新たに生まれる課題に向き合っているのですから、税収増の果実と皆さんの努力の成果を、県民に分かりやすく説明していただきたいと指摘させていただきます。
さて、平成27年度は、阪神淡路大震災発災から20年であると同時に、地域創生のスタートをきる節目となった1年でした。地域創生の取り組みでは、自然増対策として出生数年間44,000人という目標を達成したものの、社会増対策では、県外への流出に歯止めがきかず、必ずしも満足できる結果ではありませんでした。地域創生戦略の中で示した事業KPIで多くが目標を達成したとしても、転出超過を止めることは非常に難しいということが改めて明らかになりました。
ただ、私は、地域創生が、人口問題にのみ重点が置かれつつある傾向に一抹の不安を覚えております。もちろん、人口減少による負の影響を最小限にとどめるための人口対策は必要ですし、子供を産み育てたい、また、兵庫県に暮らしたいのにそれがかなわない環境があれば、それを取り除くべきだと考えますが、子供を産むのかどうか、どこで暮らすのかは至って個人の人生観・価値観に関わる問題であり、そのマインドを変えるというのは容易ではないからです。
したがって、短期的な人口の増減に一喜一憂するべきではないと考えています。むしろ、私は本県の人口が減少することは避けられないものとしてとらえ、人口減少を前提として、予想される危機に適応できる社会づくりが求められているはずです。
そこで、この1年間の地域創生の取り組みをどう評価し、課題をどう分析しているのか? 特に、人口減少を前提に、それらの状況に対応する仕組み作りについての取組、見解を求めます。
2 土地信託事業の評価について
井戸知事は、昨年11月30日の定例記者会見において、「土地信託という制度が非常にずさんな制度であり、これを活用して県民の憩いの施設整備を行って運営をしてきたということは、きっと失敗だったのでしょう」と反省の弁を述べ、「そのようなこと(制度の不備)を知らずに飛びついた県の不明をお詫びしないといけないと思います」と、この事業の総括を述べられました。
もちろん、言いたいことはいっぱいあると思いますが、それでも「行政は間違を認めない」との批判が多い中で、知事自らが過去の事業について、このように明確な反省を述べたその姿勢は、今後の県政が前を向いて進むためにも大きな発言であったと考えております。我々県議会も、議決してきた責任を改めて認め、その責任を再度自覚しなければならないと考えます。
ただ、この9月に提出された「県有地信託の事務処理状況説明書」には、制度の不備、その時の判断などについて分析がされている一方、最後のまとめの段階で「整備は意義があった」との記述になっております。現代の私たちが、「後付」で批判をするつもりはありません。ただ、今回の報告書の記述は、昨年の知事の記者会見と少し温度差を感じずにはおられません。土地開発公社が先行取得した土地を利用し、結果として約114億円の県費の支出を行った青野運動公苑事業をどのように評価されたのか。知事のご所見をお伺いします。
3 委託業務の総点検について
企画県民部②への部局審査において、向山委員が、「県民だよりひょうご」の業務委託について、予定価格の99%での落札が続いていることや、結果的に入札参加企業が1者の場合が多くなっていること、さらに、神戸市、京都府における経費削減事例などを取り上げ、業務の改善を求めました。
もちろん、提案方式での入札は値段だけが価値ではないので、それをもって全て問題があるとはいいません。しかし、分割発注をするなど発注方法を改善することで、競争原理を働かせる方向に導き、財源をさらに生み出すことも可能だと考えます。
部局審査では、「県民だよりひょうご」のみ取り上げましたが、同様に県の委託業務において、予定価格が高止まりしている委託事業や長年にわたって一者応札になっている業務がないか検証すべきだと考えますが、いかがでしょうか?
4 総合的な社会的養護の促進について
健康福祉部への部局審査において、黒田委員が児童養護施設における課題を取り上げさせていただきました。現在、県でも様々な支援を行っていますが、児童養護施設を取り巻く環境は、現場の賢明な努力によって成り立っておりますが、経験が5年に満たない職員が半数を超えるなど現場には課題が多く、さらなる支援を含めたさらなる支援拡充が必要だということを改めて述べさせていただきます。
ただ、これらの原因の根本的な要因として、施設から家庭的養護への移行が必ずしも十分に進んでいないことも一因だと言えます。児童養護施設等の高い専門性を発揮させるためにも、家庭養護への推進が必要です。
今年度から県として関係団体と連携し特別養子縁組の促進を進めるための取り組みを始めています。子供のための恒久的な育児という方向に進む方向性は評価できると考えています。「子どもの最善の利益」という観点から、現在の施設による養育を、より家庭的な養育へと進めていかなければなりません。
ただ、「子どもの最善の利益」を確保する取り組みを進めるためには、まだまだ課題が残されているのも確かです。特に、支援が必要とする児童の保護者が
里親での養育を望まないケースも多いと聞きます。
したがって、女性が妊娠をした段階から出産、育児などのそれぞれのステージに基づいて、薬局、産婦人科、こども家庭センター、保健所、市町の子育て関連部門が連携により、支援が必要な親に対して様々な選択肢を示していくことが必要です。県としての取り組み方針をお伺いします。
5 ポストIWC2016について
地場産業、農業振興にくわえ、日本の伝統文化としての位置づけもある日本酒の魅力発信は、兵庫県における地域創生の一つの柱です。昨年7月ミラノ博への出展を契機に、知事のトップセールスによりIWC2016「SAKE部門」の兵庫開催が実現しました。
しかし「酒どころ」を自任している自治体は兵庫県だけではなく、伏見を有する京都府や、西条を有する広島県など日本酒を地域振興のコンテンツとして位置付けている自治体は多数あります。
ただ、全国一の日本酒の製造量を誇り、その中心的な酒米「山田錦」を生産する本県こそ、「日本一の酒どころ」というブランドを世界に向けて確立するべきだと考えます。そのために、このような世界的なイベントは大きな意味があると思います。
本県のブランド化という観点から、IWC「SAKE部門」の開催をただの一時のものにして別の形で生かしていくのか、継続的にIWC「SAKE部門」の招致を行っていくのか、県としての方針を明らかにすべきだと考えますがいかがですか。
6 阪神高速料金に関する県提案の方向性について
県土整備部の部局審査において向山委員が料金改定について質問いたしましたが、もう一度原点に返って議論をさせていただきたいと思います。
まず、今回の料金改定についての基本的な枠組みである、名神高速と阪神高速との料金を一体化していくという方針に関しては、異論はありません。
しかし、大阪湾岸道路西伸部の早期整備を求めているという事情があるとはいえ、県提案の方向性は多くの利用者に値上げを求める内容となっています。高速道路料金は、市民生活のみならず、物流コスト増加につながることで、県民の生活コストに直結する課題であり、私たちとしても慎重に議論をしていきたいと思っています。
特に、平成24年に阪神高速料金体系が対距離料金へと変更した際に、一部、緩和措置を実施しているものの、その緩和措置がなくなるのと同時に料金改定が行われると、新料金案に基づいた私の試算では約9割の利用者からすると値上げになります。答弁の中で「過度な利用者負担とならないように検討したい」とのことですが、現在の利用料では値上げのインパクトが大きい印象を受けています。
そもそも、高速道路建設財源を確保するために値上げした結果、利用者が高速道路を利用しなくなるという状況が生まれれば、財源が確保できないばかりか、一般道の交通渋滞等も引き起こす危険性もあります。
そのあたりの議論は今後さらに続けてまいりたいと思いますが、今後議論をする上で必要なのは、料金改定になる前提条件、つまり早期に大阪湾岸道路西伸部を完成させるために約半分の費用を利用料で捻出したいということや、平成62年でその財源を償還するということに関してコンセンサスを得る必要があると考えます。
そうでなければ、単に料金が高くなったか、安くなったか、誰が得か損かという議論に終始する危険性があります。そこで、あらためて県としての阪神高速道路の料金改定に関する基本的な考えをお聞きします。
7 権限移譲後の県としての教育方針について
神戸市へ義務教育教職員の給与負担に関する権限が移譲されることにともない、今後多くの課題が出てくると考えます。黒田委員が教育委員会の部局審査で指摘させていただきましたが、県が県下全域の児童・生徒を対象に行っている「トライやる・ウィーク」等の兵庫型「体験教育」が行革の議論の対象となっています。
神戸市には、義務教育教職員給与負担に関する財源も移譲されますが、一般財源規模が大きくなり、交付税の留保財源部分も大きくなります。県にとっては逆のことがいえるため、実質的に教職員給与負担額以上に交付税が減少することも想定されます。もちろん、権限移譲にあわせ税源移譲を行うということは、あわせて教育行政に関する責任も、神戸市は今まで以上に追わなければならないのは言うまでもありません。
ただ、そのような状況を加味しても、同じ兵庫県の子供たちが、育つ地域によって与えられる教育に格差が生じるという状況は決して望ましいものではなく、いかに「兵庫教育創造プラン」で掲げた理念を県下で広げるかを考えなければなりません。
そこで、県と市町とりわけ神戸市との役割分担においてどのように考えるのか?今後の展望も含め県教育委員会の見解を求めます。
8 県下における県立病院のバランスについて
決算特別委員会では、県立病院の経営において、平成27年度の経常損益は、42億円の赤字、当期純損益は、91億円の赤字となったことも問題点として指摘をされました。もちろん、財政が限られている中、1円でも税金が投入されている限り、効率的な運営は必要ですし、地方公営企業法で求められている独立採算は基本です。
しかし、本質的な問題は経営を黒字化できなかったことではなく、県立病院として期待されている機能を果たせたのかということにこそ、焦点を当てるべきですし、その役割を果たすための手段として、どの程度の税負担が適切なのかということを議論しなければならないと考えています。
そのような観点でみたときに、私は阪神北地域や西播磨地域のように、県立病院がない地域において、県立病院に求められる高度な医療を提供することが、できていない状況こそが問題だと認識しています。
たとえば阪神間の中核として位置づけられている県立尼崎病院の利用者の75%が地元尼崎市民です。また、市立西宮病院との統合が検討されている県立西宮病院では、利用者の71%が地元西宮市民であり、阪神北地域を含め広く利用されている状況には至っておらず、本来県立病院として果たすべき役割以外の役割も担っているのが現状ではないでしょうか。
県立病院には一般会計より182億円の一般会計負担金が投入されていることを考えると、住んでいる地域に関係なく、県立病院が利用できなければならないはずです。そこで、県立病院のバランスの悪さ、役割が不透明になっている現状についてどう考えるのか?
また、政令市や中核市を除き、一つの市町が公立病院を運営する時代ではないと思っています。本年2月定例会の代表質問でも我が会派の上野幹事長が提案をさせていただきましたが、県立病院を中核とした公立病院のネットワーク化に取り組むべきだと考えますが、ご所見を伺います。
9 県警における震災20年の取り組みと次世代への伝承について
平成27年度は、阪神淡路大震災から20年の節目の年でした。兵庫県としての震災の総括というものは様々なされていますが、最前線で様々な対応にあたっていただいた兵庫県警の活動は必ずしも県民に伝わっていない印象を受けます。
阪神淡路大震災では、兵庫警察署の一階部分が倒壊し、一人が殉職するという痛ましい被害もありました。多くの警察官が自ら被災しながら、警察官としての職務を全うし、県民に向き合ってきた事実は、今後も受け継いでいかなければならないと思います。
しかし、当然のことながら震災発生から20年が経ち、自ら被災しながら震災対応をするという経験をした警察官は年々引退していくため、いまや県警においても経験者は約4割とお聞きしています。
震災20年を契機に、県警としての経験を次世代へと伝承していく必要があると考えますが、県警本部の取り組みを伺います。
越田 謙治郎
川西市・川辺郡
黒田 一美 議員
●財政状況
1 未利用地の売却促進について
(1)これまでの取り組みの評価について
(2)売却促進策と今後の売却見通しについて
2 予算節約インセンティブ制度による経費節約効果について
3 適正な職員定数の考え方について
全文
【財政状況】
質問者 黒田 一美 委員 (ひょうご県民連合)
1 未利用地の売却促進について
(1)これまでの取り組みの評価について
県有財産のうち、利活用が見込めない未利用地を売却することは、貴重な自主財源を確保できるという点をはじめ、維持管理経費の低減、財政体質のスリム化、さらには、社会資本の活用という点からも非常に有効です。
第3次行革プランにおいても、未利用地については、入札機会の確保や広報・売却情報の提供の強化などの対策により、民間への売却を促進することとされており、平成30年度の収支均衡を達成するうえでも、未利用地の売却促進が早急にかつ着実に進められることが必要です。
平成27年度の管財課所管の未利用地の売却実績は13件、約7.4億円で、一昨年と比較すると4件、約5億円の増となっています。もちろん、その年度にどのような物件が売却されるのか、また、その時の経済情勢によって売却実績は左右されるため、この数字だけでは評価できませんが、さらなる売却収入確保に向けた取り組みが必要なのは間違いありません。
県は、これまで、売却を促進するために、インターネット入札や郵送型入札の実施など県民の利便性を図るとともに、円滑な売却物件の確保にあたられ、そのノウハウを蓄積されています。
そこで、まず、これまでの取り組みとその実績をどのように評価されているのか、お伺いします。
(2)売却促進策と今後の売却見通しについて
入札等に出された物件のうち、利便性や生活環境がいい、また、適当な広さであるなど、県民にとって魅力的な物件については、比較的早期に売却されますが、そうではない物件については、売却が容易に進まず、多くの手間と時間を要することになります。このような売れ残り物件が蓄積されていることが、近年の売却実績の減の一要因になっているのではないかと思います。
このため、様々な売却促進のための取り組みを行っているにも関わらず、売却が進んでいない物件については、インセンティブの付与を含め、効果的な対策を講じていく必要があると考えます。
また、すみやかな売却のためには、売却物件の条件整備を行う段階においても、課題等を的確に洗い出すとともに、県民のニーズを十分踏まえた対応が重要となります。
そこで、これまでの取り組みの評価を踏まえ、より効果的な対策を講じていくべきではないかと考えますが、今後、どのような取り組みを進めようとされているのか、また、未利用地の売却見通しについても、お伺いします。
2 予算節約インセンティブ制度による経費節約効果について
来年度の予算査定において、前年度の予算を節約して執行したことが認められれば、その節約分を翌年の予算に加算される「予算節約インセンティブ制度」が平成20年度にはじまりました。各部局にとっては、財政状況が厳しく、新規・拡充事業の予算確保に苦慮されている状況の中で、貴重な制度ではないかと認識しています。
本県を含めほとんどの自治体は、単年度予算方式であるため、その年度内に予算を使い切らずに余ってしまった場合は、もともと必要がなかった予算とされ、次年度予算を減額されます。このため、年度末に駆け込み的に予算を使うことで、税金の無駄遣いにつながると批判されたことを背景に、この制度は導入されました。
制度の対象は、一括契約や長期継続契約を結んだことによる節約、事業を市・町や民間と共同実施したことによる節約、ペーパーレス化推進による節約など、事業見直しや工夫によって節約された予算額です。
目的が達成できて予算が余れば、それだけ税金を節約できたことで、評価されるのは、言わば当然です。行政運営での意識を、「使い切らなければ損」から「節約すれば得」へ転換し、限られた財源を有効に使うための効果的な制度であり、できるだけ多くの部局で、制度を積極的に活用すべきであると考えます。
そこで、これまで、この制度により、執行段階でどのような工夫や改善が行われ、どれだけの経費節約効果がもたらされたのか。また、制度創設時と比べて、職員に経費節約意識は浸透してきているのか、お伺いします。
3 適正な職員定数の考え方について
社会情勢がめまぐるしく変化しています。県当局においても、地方創生や少子高齢化、災害復興をはじめとする行政課題を担当する部局については、新たな行政事務が必要になったり、業務の更なる増加も見込まれ、より多くの人員が必要になるものと思われます。また、多くのベテラン職員の退職により、同じ業務を行うにも、より多くの時間がかかるようになることも考えられ、多様化する行政サービスに的確に対応できないおそれがあるほか、効率的な行政運営の観点からも課題が生じるのではないかと懸念されるところです。
そこで、行政サービスに的確に対応するための体制の確保が必要であると考えますが、適正な職員定数の考え方について、ご所見をお伺いします
●企画県民部①
1 安全安心な消費生活に向けた取り組みについて
(1)近年の消費者トラブルの現状について
(2)高齢者の消費者トラブルの防止について
(3)多重債務者対策について
2 全県ビジョンの取組成果の点検評価について
全文
企画県民①(黒田議員 決算委員会、1011)
1 安全安心な消費生活に向けた取り組みについて
(1)近年の消費者トラブルの現状について
1960年代の高度成長期の大量生産・大量消費に伴い、商品の安全や不当表示など、消費者に対する被害が社会問題化しました。これら消費者を取り巻く問題に対応するため、本県では、約50年前に、全国で最初に消費生活センターを設置し、先駆的に消費者トラブルの防止に取り組んでこられました。
平成21年9 月には、消費者の視点から政策全般を監視する消費者庁が発足し、各省庁で行われていた対応の一元化が図られ、体制が強化されました。一方、本県においても、平成22年12月には、消費生活センターが全市町に設置され、市町とも連携した迅速なトラブル解決にあたられています。このような取り組みもあって、消費生活相談の件数は近年減少傾向でしたが、平成25年度から、相談件数は増加に転じています。
急速な高齢化や核家族化、情報化など、私たちを取り巻く社会経済状況が大きく変化したことにより、インターネット情報サービスの不当請求トラブルや、高齢者をねらった投資関連のトラブルなど、消費者トラブルはますます複雑化・多様化しています。また、悪質業者や詐欺的な手口は、複雑かつ巧妙化しています。
そこで、まず、近年の消費者トラブルをめぐる現状について、お伺いします。
(2)高齢者の消費者トラブルの防止について
近年、高齢者からの消費生活相談件数が増加傾向にある。また、情報化の進展により、インターネット情報サービスに関する相談が突出して多い。さらに、年代が上がるにつれて支払金額が高額になるとのご答弁がありました。
高齢者を取り巻く状況を見ますと、従来からある投資商品や工事・建築といった訪問販売や電話勧誘によるトラブルに加え、最近では、スマートフォンをはじめとするモバイル機器が広く普及し、新たな形でのトラブルが多発しています。
また、独り暮らしの高齢者が増加傾向にあり、問題が発生したとしても、身近に相談できる人がいないケースも多いようです。さらに、相談する人がいる場合でも、人に知られたくない等の理由から隠す高齢者も少なくないとのことです。
今後、高齢者人口が増加するにつれ、トラブルはさらに増加することも危惧されますが、高齢者の消費者トラブルを防止する取り組みについてお伺いします。
(3)多重債務者対策について
本県の消費生活相談窓口には、平成27年度に1,224件、1ヵ月100件程度の多重債務相談が寄せられ、近年、ほぼ横ばいで推移しています。平成22年6月に改正貸金業法が施行され、金利規制と貸金業規制が大幅に強化されたこともあり、一定の改善が図られていますが、高齢者の割合が増えてきており、また、生活費を補うため、借り入れを繰り返すうちに債務額が増大し、返済が困難になったケースなども見受けられます。
多重債務問題の解決のためには、問題を抱えている本人が相談に来やすい環境づくりに力を入れるとともに、国、県、法律専門機関、業界団体、支援団体等の関係機関が一体となって取り組むことが必要であると考えますが、昨年度の評価と今後の取り組みについて、ご所見をお伺いします。
2 全県ビジョンの取組成果の点検評価について
21世紀兵庫長期ビジョンは、2040年の兵庫の未来像として「創造と共生の舞台・兵庫」を掲げ、4つの社会像のもと、12の将来像を提示しています。この将来像の実現に向けて、地域の特性を活かした取り組みが県内各地で行われています。
そして、これらの取り組みの実現状況や取組成果を点検・評価するため、2つの指標を設けています。
一つ目は、「兵庫のゆたかさ指標」です。県内に住む20才以上の男女5,000人を対象に毎年行われる「県民意識調査」を分析する、いわゆる主観指標です。
今回の県民意識調査では、例えば、最高ポイントは「ごみの分別やリサイクルに取り組んでいる人の割合」が91%、最低ポイントは「自分にあった職業への就職や転職がしやすい社会だと思う人の割合」が7%で、この結果から、しごと支援や経済対策への県民ニーズが高いことが把握できます。
そして、この県民意識調査を点数化し、将来像、地域ごと、世代ごとの「ゆたかさ」を把握・評価しています。例えば、地域ごとでは、但馬、丹波の点数が下落したものの、他の8地域では点数が上昇しており、都市、都市近郊の上昇幅が大きくなっています。
二つ目は、「全県ビジョンフォローアップ指標」です。1,280の指標の毎年度の進捗状況を点検・評価するものです。指標には、例えば、「防犯カメラ設置補助箇所数」「介護福祉士登録者数」「障がい者雇用率」などがあります。
私は、この2つの指標を様々な角度から分析・評価して、その結果を県民と十分に情報共有するとともに、評価が低い事業については、今後の取り組みに積極的に活用していくべきだと考えますが、昨年度の全県ビジョンの評価とこれら指標の活用についてお伺いします。
●健康福祉部
1 児童養護施設等の課題と支援について
(1)児童養護施設の課題と支援について
(2)施設退所児童への自立支援に向けた課題と取り組みについて
2 人権に関する県民意識調査について
(1)調査結果の評価について
(2)調査結果の活用について
全文
健康福祉(黒田議員 決算委員会、1012)
1 児童養護施設等の課題と支援について
(1)児童養護施設の課題と支援について
戦後、親を亡くした孤児の保護、救済が主な役割であった児童養護施設は、現在では、児童虐待など、親がいても養育できない子どもが6割以上を占め、その背景も、複雑化・多様化しています。また、子どもを施設で育てるだけでなく、“家庭へ戻す”役割や、さらに、児童虐待などを行った親に対する指導・支援も施設の重要な役割となってきています。
今後、里親やファミリーホームなどによる養育がより推進されていく一方で、複雑な課題を有する子どもたちの権利と人権を守り、その最善の利益を保障していくためには、児童養護施設が担う専門的な役割も重要性を増していくのではないでしょうか。
しかしながら、児童養護施設では、保育士や児童指導員などの人材の確保が困難な状況にあるなど、早急に対応すべき課題が山積していると聞きます。
そこで、児童養護施設が直面している課題をどのように認識されているのか。また、県としてどのような支援を行っていくのか、お伺いします。
(2)施設退所児童への自立支援に向けた課題と取り組みについて
施設で育った子どもたちは、保育士や児童指導員などのサポートにより、自立する力をつけていきます。そして、高校卒業後に施設を出て、就職や大学進学をしますが、仕事がうまくいかなかったり、経済的な理由から、やむなく離職や中途退学に追い込まれる場合も少なくないと聞きます。私は、退所児童については、生活基盤が充実するまでは、十分なアフターケアが必要であると考えています。
このような中、本年5月の児童福祉法の改正により、18歳以上の子どもの支援の継続のため、自立援助ホームで生活し、就学している者については、22歳に達する年度末まで、引き続き自立援助ホームを利用できるようになりました。
また、昨年度の経済対策の補正予算で、退所児童に生活費等を貸し付け、5年間就業を継続すると返済が免除される自立支援資金貸付事業が創設され、退所児童のアフターケアへの認識も高まっています。
しかしながら、退所児童をとりまく状況はなお厳しく、自立生活に円滑に移行するためのさらなる支援が求められています。
そこで、児童養護施設の退所児童の自立支援について、課題をどう捉え、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
2 人権に関する県民意識調査について
(1)調査結果の評価について
本県では、県民の人権に対する意識等を調査し、今後の効果的な人権に関する施策を検討するため、平成10年度から「人権に関する県民意識調査」を5年ごとに実施しており、4回目の報告結果が平成26年3月に発表されています。
この調査結果を見れば、県民の方々が、様々な人権問題についてどのような意識を持たれているのか、また、人権侵害の実態や今後の人権教育や啓発のあり方などについて、つぶさに知ることができます。
その調査結果の一例を見ると、県民の人権意識が高まっていることを肯定する人の割合は36%で、5年前からほぼ横ばいとなっています。
また、インターネットへの他人の悪口や差別的な人権侵害の表現の掲載が顕著であると回答した人は約63%で、5年前から約3%減少しているものの、割合としては依然高止まりしています。
さらに、結婚相手が同和地区の場合、絶対に結婚しないと回答した人は約6%で、これまで人権啓発活動を進めてきているにもかかわらず、依然100人に6人がこのような意識を持たれています。
そこで、まず、人権に関する県民意識調査の結果について、これまでの経年変化をどのように評価されているのか、お伺いします。
(2)調査結果の活用について
部落差別をはじめとする従来からの課題に加え、近年ではインターネットによる人権被害や性同一性障害などの性別に起因する差別のような新たな人権被害が深刻化し、人権課題は年々複雑・多様化しています。
これらの人権課題を解決していくためには、県、市町をはじめ、学校、企業、地域、県民が密接に連携を図りながら、人権啓発に向けた様々な取り組みを推進していく必要があります。そこで、ご活用いただきたいのが、人権に関する県民意識調査の調査結果です。
私は、人権啓発活動の中で、この調査結果を少しでも多くの方々が知り、そして、このことについて真剣に考えることで、真の人権意識の高揚につなげていただきたいと考えています。
そこで、人権に関する県民意識調査結果のさらなる活用について、ご所見をお伺いします。
●公安委員会
1 硬式野球部「県警 桃太郎」の現状と成果について
2 若手警察官の早期育成について
3 鉄道事業者の乗務員等に対する警察事案への対応について
全文
公安委員会(黒田議員 決算委員会、1013)
1 硬式野球部「県警 桃太郎」の現状と成果について
兵庫県警の警察官で作る硬式野球チームは、正義を実現するイメージから「桃太郎」を名乗っています。現在、全国の警察本部で硬式野球部があるのは、他に警視庁だけで、他の県警本部にはありません。
平成27年度中、「県警 桃太郎」は、都市対抗野球や近畿クラブ野球交流大会など、多くの試合で兵庫県警察の存在感を広く知らしめる活躍を見せ、将来、警察官を夢見る若い世代の発掘に貢献してきました。
先日、新聞で県警の野球チーム「県警 桃太郎」が第41回全日本クラブ野球選手権大会に出場し、初戦を突破したとの記事を目にしました。
聞くところによりますと、昨年はこの大会の出場権をかけた代表決定戦で惜しくも敗れ、今年は見事リベンジを果たし出場したとのことです。
柔道や剣道のみならず、このように県警の野球チームが予選を勝ち抜き全国大会に出場したということは、県警に安全・安心を託している県民の一人として、警察官の身体能力の高さをあらためて感じることができ、大変誇らしく頼もしく感じるしだいであります。
残念ながら、今回は準々決勝で敗退してしまったとのことですが、「県警桃太郎 最後まで全力 延長11回タイブレークで涙」と記事にも書かれていたとおり、最後まで諦めずに全力で取り組んでいる姿は、全国の野球少年少女たちの心に響くとともに、兵庫県警察の名をアピールできた大変良い機会だったのではないかと感じております。
加えて、今回の出場が県警に与えた最も良い影響は、会場が埼玉県(所沢市)ということで、兵庫県だけでなく、関東を中心とした地域でも兵庫県警をPRすることができ、優秀な人材確保に向けた取り組みに繋がったことではないかと推察します。
私は、仕事をしながら、野球に挑戦し続ける警察官の姿に感銘を受け、今後一層、県警桃太郎を応援していきたいと考えておりますが、県警桃太郎の現状、そして、これまで活動してこられた成果について、お伺いします。
2 若手警察官の早期育成について
優秀な人材の確保による組織力の強化は、どの組織にも求められることであります。
警察も当然、例外ではなく、いわゆる大量退職・大量採用に伴い、若手警察官の早期戦力化を図ることが喫緊の課題になっており、高い志と強い執行力を兼ね備えた警察官を育成していくため、組織的な取り組みが求められているのではないかと思います。
平成27年度中、県警察に新規採用された方は494人であり、この若手警察官が次代の県警察を担う大切な人材となります。
特に、交番には、警察学校を卒業したばかりの若手が次々と配属されるとのことですが、地域住民と直接接する機会の多い職場において、警察官として職務を全うするために必要な知力、体力、精神力を早期に身に付けることができるよう、あらゆる機会を通じて、若手を中心に教養・訓練を積み重ねることが重要であると考えます。
そのような中、県警察においては、今秋行われた定期人事異動で、警察署に対する警察本部の指導体制強化が図られたと聞きました。
そこで、県警として、現在の組織全体に占める若手の地域警察官の現状や課題を、どのように認識されているのか、また、この度、本部の指導体制を強化したことにより、今後、どのような効果が期待できるのか当局のご所見を、お伺いします。
3 鉄道事業者の乗務員等に対する警察事案への対応について
鉄道は、環境にやさしい市民の足として、我々の日常生活において無くてはならない重要な公共交通機関です。
その運行が事件や事故により阻害されるようなことがあれば、地元住民だけでなく、多くの県民に不安が広がり、体感治安の低下につながりかねないことから、その安全・安心な利用の確保に取り組んでいく必要があります。
しかしながら、最近、その運行を担う駅員などへの暴行、傷害事件についてのニュースに多く接します。
報道によりますと、昨年度、駅員や乗務員に対する暴力事件は、全国で792件も発生しており、暴力行為を行った者のうち、62パーセントは酒に酔った客であったとのことです。
このような暴力行為は、列車の運行を阻害し、ひいては鉄道事故につながりかねない危険で悪質な犯罪であります。
県警察においては、鉄道警察隊が、鉄道施設や列車内における警らや警戒警備を通じて、平成27年中に窃盗や痴漢行為などの犯罪、約200人を検挙するなど、安全を守るため懸命の努力をされております。
被害から駅員や乗務員を守るため、第一義的には、鉄道事業者が保安上の措置を執るべきことは承知しているものの、駅員への暴力が全国的に問題となる中、今後、治安を維持・向上させていくためには、やはり主として鉄道警察隊と鉄道事業者との連携強化が必要になってくると思います。
そこで、県警察では、このような駅員・乗務員の被害防止に向けて、鉄道事業者とどのように連携し、その強化に努めているのか、お伺いします。
●教育委員会
1 兵庫型「体験教育」の成果と今後の展開について
(1)兵庫型「体験教育」の実施状況について
(2)兵庫型「体験教育」の成果について
(3)今後の展開方針について
2 兵庫県立西神戸高等特別支援学校(仮称)について
(1)高等特別支援学校の成果と課題について
(2)西神戸高等特別支援学校(仮称)の特色について
全文
教育委員会(黒田議員 決算委員会、1018)
1 兵庫型「体験教育」の成果と今後の展開について
(1)兵庫型「体験教育」の実施状況について
兵庫型「体験教育」は、子どもたちの豊かな人間性と社会性を育む施策として全国に誇る事業です。各体験活動が、それぞれの発達の段階を踏まえた目的・ねらいをもって、体系的に進められています。
予算上では、環境体験事業は全公立小学校3年生を対象に年間3回以上、自然学校は全公立小学校5年生を対象に4泊5日以上、わくわくオーケストラ教室は全公立中学校及び特別支援学校中等部1年生を対象に年間1回、また、トライやるウィークは全公立中学校中等教育学校2年生及び特別支援学校中等部2年生を対象に1週間、それぞれ行うこととなっています。
そこで、平成27年度の同事業の実施状況について、予算計上どおり、全学校でそれぞれの日数を実施されているのか、また、実施されていない場合は、その理由についても併せてお伺いします。
(2)兵庫型「体験教育」の成果について
兵庫型「体験教育」は、県内全市町の、すべての学校において、定められた期間実施することで、その成果が現れてくるものと認識しています。
例えば、自然学校は1泊や2泊ではなく、4泊5日実施することで、また、トライやるウィークも1日、2日間の就業体験ではなく、1週間通じて就業体験をすることで、期待される成果が得られると考えます。
そこで、現在の実施期間を設定するに当り、どのような考えのもと期間設定を行ったのか、また、これらの事業の実施により、どのような成果が得られているのかお伺いします。
(3)今後の展開方針について
現在、兵庫型「体験教育」の一連の事業は、県内の子どもたちや保護者の間ですっかり定着しており、これまでの成果を継承し、今後さらに発展させていくことが重要であると考えます。
しかしながら、今後も地方税財政制度の変更や、本県の厳しい財政環境が想定されます。全国に先駆けて実施してきた兵庫型「体験教育」には、充分な予算を確保して、期間を短縮することなく、かつ、全県で、継続的に実施していくことが肝要であると考えます。
そこで、県教育委員会として、現在実施している兵庫型「体験教育」の今後の展開について、どのようにしていこうと考えているのか、お伺いします。
2 兵庫県立西神戸高等特別支援学校(仮称)について
(1)高等特別支援学校の成果と課題について
少子化の進展により子どもの人数は年々少なくなっている一方で、特別支援学校へ通う児童生徒は増加傾向にあります。そのような中、神戸市西部・東播磨地域の知的障害特別支援学校の高等部生徒の増加に対応するため、就労に向けた専門的な職業教育を中心とした高等特別支援学校が、来春、神戸市西区の神戸ワイナリー内に開校することとなっています。新設校は高等部のみの知的障害特別支援学校で、職業科となっています。
現在、高等部のみの知的障害特別支援学校は、県内に3校あると聞いていますが、今回の新設校開校にあたっては、これら3校の成果と課題を踏まえ、見えてきた課題に対応する必要があると考えます。
そこでまずは、現在ある高等部のみの知的障害特別支援学校3校の成果と課題、また、新設校の必要性についてお伺いします。
(2)西神戸高等特別支援学校(仮称)の特色について
先般、特別支援学校の仮称の名称が決定し、開設準備も着々と進んでいるものと考えます。入学を希望する生徒にとって、ここで、どのような教育が受けられるのか、卒業した後、どのような進路が目指せるのか、非常に注目を集めています。障がいを持つ子どもの保護者も、子どもが将来自立して、生きがいを持って働くことを切に願われており、新設校の開校に期待されています。
生徒たちの将来を見据え、職業自立・社会参加をしっかりとサポートしていくためには、カリキュラム作成にあたり、これまでつちかった高等特別支援学校の運営のノウハウを活かしながら、工夫を凝らす必要があると考えます。
そこで、この新設校は、どのような特色のある学校となるのか、また、現在の準備状況と併せて、お伺いします。
黒田 一美
神戸市垂水区
向山 好一 議員
●財政状況
1 震災復興と本県財政状況の関係について
2 投資事業について
(1)単独事業にかかる別枠事業の県費負担について
(2)本県財政に与える影響について
3 公共施設等総合管理計画について
(1)計画策定にあたっての考え方について
(2)施設の統廃合にかかる経費の財源について
4 課税自主権の活用について
全文
決算特別委員会(財政状況)
質 問 者 向山 好一 委員(ひょうご県民連合)
1 震災復興と本県財政状況の関係について
本県は阪神・淡路大震災からの復興を図るため、多額の県債を発行したことから、震災から20年が経った平成27年度の決算においても、震災関連の県債残高は4,818億円に上り、将来負担比率は320.6%と全国ワースト、また財源対策の規模は330億円であった。このような状況の改善を図るため、平成20年度に全国で初めて「行財政構造改革の推進に関する条例」を制定し、10年をかけて行財政構造改革に取り組まれていることは、皆さんご承知の通りである。
一方、同様に甚大な被害があった私の地元神戸市では、平成16年度に起債制限比率が26%となるなど、財政状況は一時期非常に悪化していたが、27年度決算においては、将来負担比率が80.2%と、他の政令指定都市と比較しても相当上位に位置づけられる状況になっている。さらに5年連続で財源対策による事なく、実質収支の黒字を確保するなど、財政状況を堅調に好転させていると言える。
この違いは、神戸市が復旧に重点を置いた起債を行ったのに対し、兵庫県は神戸市を含む兵庫県全体の創造的復興という中長期的事業を担ったことに起因しているので、ある程度やむを得ないことではあるが、あらためて県と市との復旧・復興の役割分担を含め、震災復興と本県の財政状況に与えた影響について数値上でお示しを頂きたい。
2 投資事業について
(1)単独事業にかかる別枠事業の県費負担について
先程の質問と関連するが、大規模の災害を経験した本県において、政府の進める国土強靭化計画と相まって「防災・減災事業」が聖域化・肥大化し、結果、財政を長期的に逼迫させ、将来世代負担を増加させることを危惧している。
その観点から質問するが、昨年度、県単独事業における別枠事業である緊急防災・減災事業の最終予算額は190億円、山地防災・土砂災害対策事業は35億円であった。両事業とも起債充当率100%の事業であるが、交付税措置をされない金額、県費負担額としてはいくら発生するのか。
(2)本県財政に与える影響について
25年度に公表された第3次行革プランでは、緊急防災・減災事業費について、平成26年度~28年度までで年間100億円の所要額との記載があるが、昨年度最終予算額は190億円と、同プランが予定するところの約2倍の所要額となっており、また山地防災・山地災害対策事業は当初の予定にはないものであった。災害への備えの必要性が高まる中での、国の経済対策のフレームにあわせた好条件の県債発行であるとは言え、3年前の見込みを大幅に超えた県費負担が生じているわけだが、このことが本県財政に与える影響について、当局の所見を伺う。
3 公共施設等総合管理計画について
(1)計画策定にあたっての考え方について
これまで我が会派の複数の議員から質問を行っている公共施設等総合管理計画について改めて伺う。昨年度の予算特別委員会では、石井健一郎議員からの計画策定方針を問う質問に対し、①施設の長寿命化、②施設総量の抑制、③効率的な維持管理などの基本方針を定めていきたいとの答弁があった。
既存施設については長寿命化対策や効率的な維持管理ももちろん必要であるが、長寿命化に取り組むほど当然維持管理費がかさんでくる。人口減少が進む中、将来世代への負担の大きさを考慮すると、そもそもこの施設は将来にわたって本当に必要なのかということに加え、維持管理し続けることができるのかという観点からも検証すること、つまり施設総量の抑制の観点が最も大切であると考える。
そこで、施設総量の適正化の推進について現在どのような考えをお持ちなのか、所見を伺う。
(2)施設の統廃合にかかる経費の財源について
計画に基づき、施設を実際に統廃合するとなると、その分の経費が必要となる。それについては国から除却債を活用することが認められるが、これはあくまでも資金手当であって、交付税措置はされないため、将来負担が発生する。
昨年度の決算特別委員会において、竹内英明議員が除却債の活用について質問を行ったが、それ以降消費税増税延期や世界経済の不透明化など、本県財政への悪影響が懸念される事態が起こっていることを踏まえると、計画策定後、統廃合を行う施設については、こうした起債に頼るべきではないと強く考えるが、当局の所見を伺う。
4 課税自主権の活用について
先に述べたとおり、消費税増税延期などによる本県財政への悪影響が懸念されることから、税収確保の必要性が高まる中、私が注目しているのが自主課税である。他の自治体を見ても、大阪府では来年1月からの宿泊税導入を決定するなど、地域の実情に応じた課税が実施されている。
現在本県においては、法人県民税超過課税、法人事業税超過課税、県民緑税の3税目について自主課税を行っているが、他の項目へ課税自主権を拡大することについて、その必要性を含め、当局の所見を伺う。
●企画県民部②
1 ふるさとひょうご寄附金について
(1)適正な運用について
(2)事業選定の考え方について
2 高等学校の私学助成の拡充について
3 広報紙「県民だよりひょうご」の業務委託について
全文
決算特別委員会部局審査(企画県民部②)
質 問 者 向山 好一 委員(ひょうご県民連合)
1 ふるさとひょうご寄附金について
「ふるさと納税制度」は平成20年に創設された税制で、導入から8年が経過しました。その間、納税者は徐々に増え、納税額は平成27年度に、都道府県では全国で約27億円となるなど国民に定着しつつあります。
兵庫県での状況は、約5,000万円と全国と比較してほぼ平均的数値になっています。しかし一方で、県民税の税額控除の額は21億円程度、つまり、20億円程度は持ち出し、本来入るであろう収入が他の自治体に流出していることになっています。
この控除額は、現行制度では75%が基準財政需要額に算入されて交付税の対象にはなりますので、それを差し引いても5億円の流出、つまり収入減になっています。
そもそもこの「ふるさと納税」は、自分が任意で選んだ自治体に寄附することで、その自治体を応援したり、自治体自身が施策をアピールすることで自治体間競争を促すこと等を目的に創設された制度であります。それにもかかわらず、ここ数年でその目的から大きく逸脱してきているように思っています。
その1つは、手厚い税制上の優遇措置によって節税対策に使われていること。特に、高額所得者ほど寄附のリターンが大きいという逆進性から、高額納税者に有利な制度として使われていること。
2つ目は、寄附を受けた自治体はその分収入増になるので「返礼品」を提供し、それがどんどん豪華になるというサービス合戦になっていること。
3つ目は、使途を特定するプロジェクト事業がどんどん拡大し、公共性に疑問を抱くようなものまで含まれてきたことなどです。
(1)適正な運用について
そこで、先ほど挙げた問題点の1つ目と2つ目に関連して質問します。
まず、1つ目については、特例控除額の上限が本年度分の個人住民税から所得割額の2割に引き上げられたことからも分かるように、税額控除は拡大の方向に向かっており、逆進性が加速していることです。2つ目については、返礼品のサービス合戦に対し、総務省は自粛を促してはいますが、現在のところ有効な歯止め策になっていません。このまま放置をすればどんどんエスカレートしかねません。
そこで、兵庫県としても本来の趣旨に合った制度へと是正するため、いま申し上げた2点の改善を政府等に強く求めていくべきと思いますが、当局のご見解を伺います。
(2)事業選定の考え方について
次は、3つ目の「使途を特定する事業がどんどん拡大し、公共性に疑問を抱くようなものまで含まれてきたこと」についてです。
兵庫県では既存の神戸ルミナリエの開催支援や小児筋電義手バンク支援のほか、現在全部で15のプロジェクトを設定しています。その中で私が気になる事例として挙げたいのは、「県立学校環境充実応援プロジェクト」で、本年3月の春の選抜高校野球全国大会に出場した「長田高校への応援」というものです。その実績は1,211件で3,100万円程度の寄附金が集まったと聞いています。そしてその使途は、主なもので応援グッズ購入費、出場記念記録誌作成費、練習用バット等の購入などでありました。
確かに県下有数の進学校の甲子園出場は兵庫県の明るい話題となりました。しかし、この「ふるさとひょうご寄附金」というのは、寄附した金額から2,000円差し引いた全額が、上限はあるものの、税金控除の形で寄附者に戻り、実質的には所得税や住民税の立て替え分となるという、寄附金という名前はついているものの、その性格は紛れもなく公共性の非常に高い「公金」であります。従って、「ふるさとひょうご寄附金」は、公共性、公平性、継続性が求められるもののはずです。
そこで、対象となる事業選定の考え方について、当局のご見解をお伺いいたします。
2 高等学校の私学助成の拡充について
私は、今年の2月議会の一般質疑でこの問題を取り上げました。再度にはなりますが、その時の答弁を踏まえ、もう少し掘り下げた議論をさせて頂きたいと存じます。
まず、子どもの貧困問題、内閣府の調査によると日本の子どもの貧困率は平成24年で16.3%、つまり6人に1人の子供は貧困にあえいでいることになっています。さらに、この数値はどんどん上昇しており、OECD加盟国34か国のなかで10番目に高く、1人親の世帯では最も高い数値になっています。つまり、経済的理由で高等学校への進学を諦めざるを得ない世帯が増えているといえます。これは、今後日本社会を担う人材の育成の観点からも大きな問題だと思います。
そのような時代背景のもとで、平成22年度より国の就学支援金制度ができ、家庭の経済事情に起因する教育格差の解消という点では、大きな前進が図られましたが、公私間格差は依然、残ったままになっています。国も兵庫県もここ数年、支援金や助成制度の拡充を図り、その格差は縮小傾向にはありますが、特に私が指摘申し上げたいのは近隣府県との格差です。
お隣の大阪府では実質年収590万円世帯まで授業料に限らず、施設整備費等まで含んだ無償化が実現しています。近隣の京都府でも500万円世帯まで同様の補助を行っています。一方、兵庫県は拡充後の平成28年度でも250~350万円世帯で6万円、350~590万円世帯で18万円程度の自己負担が残っています。これは相当な格差と言わざるを得ません。さらに、この授業料に加えて施設整備費などの負担もあり、私立高校に通う生徒の世帯にとっては相当な家計負担となっています。
この問題を今年の2月議会で取り上げたとき、当時の五味企画県民部長から「経常費補助と授業料軽減補助は全国平均を上回っているし、バランスよく行っている」から他府県と比べても遜色ないという主旨のご答弁を頂きました。しかし、私は、近隣との都市間競争や家計の実態などのご認識をもっとお持ち頂きたいと強く思っています。
再度、そのような要素を含めた御見解をお伺いします。
3 広報紙「県民だよりひょうご」の業務委託について
「県民だよりひょうご」は毎月発行される総数241万部を新聞折り込み、ポスティング等によって県下一円に配布されています。その経費を調べると、制作・印刷・配送等の経費から広告収入を差し引いて年間2億1,200万円程度かかっています。そして、受託者は、毎年企画提案コンペを実施し、選考委員会を経て決定されています。
この企画提案コンペがどのように実施されているかといえば、制作・印刷・配布・広告等の全ての関連業務を一括で委託する仕組みになっています。行革を進める本県においては、この方式には多くの改善すべき点があるように感じています。
その1つ目は、業務を一括で委託することによって、対応できる者、つまり応募できる企業が限られるということ。次に、それぞれの分野での競争原理が働き難いことによって価格が高止まりする可能性があること、また活発な企画提案がなされない懸念などがあげられます。
その問題の改善のために私が提案したいことは、切り分けた発注、あまり細部を切り分けると、責任の所在が不明になったり、非効率になったりと新たな問題が発生するので、せめて歳出部分、つまり制作・印刷・配送業務と、歳入部分、つまり広告収入を切り分けた企画提案コンペを実施すべきと思っています。このような質問をする理由は、それぞれの分野で責任が明確となり、また分業することによって、緊張感と競争インセンティブが働くことで、安価でより充実した広報活動に繋がるのではないかと思うからです。
他の自治体での発注方法の実態と比較しながら、この業務委託の切り分けについての当局のご見解を伺います。
●公安委員会
1 高齢社会に対応する高齢者講習について
2 道路使用許可のあり方について
3 放置違反金の未収対策について
全文
平成27年度決算特別委員会部局別審査
平成28年10月13日(公安委員会)
ひょうご県民連合 向山 好一 委員
1 高齢社会に対応する高齢者講習について
平成27年中の交通事故死者数は171人と、統計を取り始めた昭和22年以降で最少となったものの、近年、交通事故死者数の減少幅は縮小傾向にある。
その要因の一つになっているのが、高齢運転者による交通事故である。
高齢社会の進展に伴い、75歳以上の運転免許保有者数は、平成27年には
180,300人と10年前と比べ約2.1倍に増加し、75歳以上の運転者が起こした交通事故についても1,449件と約1.4倍に増加している。
現在、高齢運転者の交通事故を防止する一つの対策として、加齢に伴って生ずるその者の身体機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼす可能性があることを理解してもらうために、道路交通法において、70歳以上の高齢運転者が免許の更新を受けようとするときは、公安委員会が行う高齢者講習を受講しなければならず、また、75歳以上の高齢運転者は、これに加えて認知機能検査を受けなければならないこととされている。
この高齢者講習については、公安委員会から自動車教習所に委託されているが、地元の高齢者の方から、「予約しても待たされる期間が長い」、「住居地付近の自動車教習所では予約することも出来ず、遠く離れた教習所まで行って受講しなければならない」などという声を聞いている。
また、将来的観測をすると、自動車教習所のキャパシティが限られる中、「団塊の世代」があと数年で、高齢者講習の対象者となる。
加えて、来年3月には道路交通法の改正により高齢者講習制度を始め、高齢者に対する運転免許制度が大きく変わることとなることから、高齢運転者に対する対策は、警察が最優先に取り組むべき課題の一つと言える。
そこで、平成29年3月12日に施行される道路交通法の一部を改正する法律の高齢者講習にかかる改正内容と、今後、高齢社会の進展に伴い、更に高齢者講習の実施に困難が生じることが予想される中、県警察として、高齢者講習の円滑な実施に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いしたい。
2 道路使用許可のあり方について
道路は本来、人や車が通行する目的で作られたものであり、それ以外の目的で使用することは一般に禁止されているが、公益上または社会慣習上やむをえないものについては警察署長が必要な条件を付すなどして許可しており、たとえば道路工事や祭礼行事などは、この許可を得て道路を一時的に使用していると承知している。
ただ、私自身の経験をお話しすると、以前、街頭演説をするため、警察署に許可申請を提出した際、既に他の申請がなされていたため、その場所での申請を受理してもらえなかったことがある。
行政機関として、複数の申請者に対して、同一時間、同一場所の道路使用を許可することはできず、申請が複数あったときには、先に受理した案件を優先せざるを得ないことは理解できる。
しかし、道路使用許可の申請における事務手数料は、道路を使用する時間の長短に関わらず同額であると承知しており、一般の感覚からすると、「同じ金額なら、できるだけ長い時間を申請しよう」とならないかと思う。
そして、必要のない長時間の申請が出ると、他の申請者が許可を受ける機会が減り、ひいては、道路という公共の空間の使用に、不公平が生じているのではと懸念する。
このような状況を改善するため、たとえば1日を午前、午後、夜間など、時間で区分して、それぞれの時間帯ごとに事務手数料を徴収する方法はできないかと考える。
この手法をとることで、長時間の許可申請を抑制することができる。また、先に長時間の許可申請があったため、自らの申請を受理してもらえなかった場合でも、先に申請した者が時間相応の手数料を支払っているならば、納得せざるを得ないと思う。
今申し上げたのは、あくまで私個人が考えた解決案であるが、県警察においては、道路使用許可を適正に推進するため、どのように取り組んでいるのか当局の所見を伺う。
3 放置違反金の未収対策について
平成18年6月に改正道路交通法が施行され、駐車対策に係る現在の制度が始まってから、本年で10年が経過した。
この制度は、放置駐車違反をした車両について、運転者の責任を追及できない場合に、車両の使用者に放置違反金の納付を命ずる制度と、放置車両の確認等に関する事務を民間に委託する駐車監視員制度の2つの柱から成り立つものである。
また、放置違反金の納付義務の履行を効果的に担保する仕組みとして、放置違反金を納めない者に対する車検拒否制度が設けられているほか、放置違反金の納付命令を受けても車両の運行管理を改善せず、常習的に違反を繰り返すような車両の使用者については、その車両の使用が制限されるというペナルティも科すことができると承知している。
この制度が始まる前の平成17年と平成27年を比較すると、駐車車両が関係する人身事故の件数が約8割、駐車関連の110番件数が約4割減少しておりますことから、違法駐車の防止に一定の効果があったものと考える。
しかし一方、放置違反金の中には、車両の使用者が転居により所在が掴めない、個人間の転売などによって違反当時の使用者が判明しないなどの理由により未収となっているものがある。
本制度の導入から平成27年度末までの累計でみると、収納件数が約79万
4,000件、金額にして約118億4,000万円である一方、収入未済件数については約1万5,000件、金額にすると約2億2,000万円となっており、収入未済率は金額で全国のワースト10位となっている。
また、滞納者の中には、支払い能力があるにもかかわらず納付をしない悪質な者もいるとも聞いている。
このような未納者を放置すると、制度に対する不公平感が生まれ、駐車秩序を維持する上で、悪影響があるのではないかと危惧している。
そこで、県警察における未収金の縮減に向けた取組について伺う。
●県土整備部
1 神戸電鉄粟生線の存続問題について
2 阪神高速道路の新料金について
3 ラウンドアバウトの導入検討について
全文
質 問 者 向山 好一 委員(ひょうご県民連合)
1 神戸電鉄粟生線の存続問題について
神戸電鉄粟生線は乗降客数がピーク時の半分以下に激減し、赤字路線として累積赤字が120億円以上となり存続問題になっているのはご存じのとおりである。
それに対し兵庫県は、これまでもいろんな名目で支援を行い、平成24年度からは沿線自治体と連携し40億円の無利子融資による支援を行っているところである。
そのことに関連して3点質問する。
まず1点目は、兵庫県として神戸電鉄の経営状況をどう見ておられるのかということである。平成27年度の神戸電鉄全線の経常利益が3.8億円、行政支援を除いても
1.6億円程度の黒字となったとのことであるが、平成29年度以降も行政支援がなくても堅調に推移する状況にあるのか、今後とも厳しい状況に変わりがないと思われているのか、所見を伺う。
2点目は、来年度以降の支援スキームについて。
平成24年度から5年期限で行っている40億円の無利子融資による支援スキームが本年度末で終了する。つまり、あと数か月でこの支援を打ち切るのか、継続するのか、形態を変えて支援するのかを決めないといけない。現在の検討状況、内容、方向性なりを伺う。
3点目は、中長期的な視点に立った粟生線のあるべき姿について。
これまで活性化協議会で乗客増を図ったり、最近は形成計画検討部会やあり方勉強会を作って将来の姿を議論しておられるが、今なお全く方向性や持続可能なあり方が見えてこない。現在どのような議論がなされているのか、どのような方向性をもっておられるのか所見を伺う。
2 阪神高速道路の新料金について
阪神高速道路(株)は、来年度から新料金体系を導入しようとしている。さる9月13日、その基本方針(案)が国土交通省の社会資本整備審議会の「国土幹線道路部会」より発表され、それを踏まえた兵庫県料金案のたたき台が県土整備部より示された。
その料金案は、3月の部会に知事が出席して述べられた意見、つまり「名神高速道路料金+100円」による阪神高速道路の新料金に沿ったものであった。
その料金案による兵庫県試算によると、普通車ETC料金で、現行の距離に応じた下限510円~上限930円の階段状の料金が、下限500円~上限1400円となり、来年3月末に廃止される割引も含めた現行料金から比較すると、現在の通行実績から私なりに試算をすると約9割の通行車両で値上げになる。
その主な理由は、早期の整備が必要な大阪湾岸道路西伸部や淀川左岸線延伸部の建設費の利用者負担によるものとなっている。
私が昨年の一般質疑で訴えた現行2区分の料金体系が5区分となっていることは評価するが、その是正分を打ち消す内容にもなり、この「たたき台」は誠に残念としか言いようがない。
日本経済はデフレから脱却できず、県民所得も上がっていないどころか、数々の負担が増している現時点で実質値上げとなると、輸送業者はじめ県民・利用者の皆様に大きな影響を与え、県内の経済や雇用に悪影響を与えかねない。
これまで高速道路の新規建設路線建設費は、償還期間の延長や収支の改善によって対応する、いわゆる料金プール制が基本であった。なぜ、この時期にその考え方を変えてまで実質値上げになる新料金を敢えて地元から提案するのか。当局の所見を伺う。
●病院局
1 兵庫県立病院のがん検査・治療の評価について
(1)がんセンターについて
(2)粒子線医療センターについて
(3)その他の県立病院の取り組みについて
2 ロボットリハビリテーションの病院現場での臨床応用について
3 病院局医師修学資金貸与制度について
全文
1 兵庫県立病院の癌がん検査・治療の評価について
(1)がんセンターについて(企画課(企画調整班))
先日、東京工業大学の大隅良典名誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞され、「オートファジー」という言葉が流行語になっていまする。これで、この分野で日本人が2年連続受賞となり、日本の医学研究が世界のトップレベルにあることを証明していまする。それだけに、そういった研究成果が死亡率トップの癌治療にどう活かされているのかということは日本人としては大いに興味あるところですだ。
先日、ある方から東京にある「ガンがん研・有明病院で検査を受けたいのだがどうしたらいいのか」という相談を受けました。その前には、りんくうタウンにある「ゲートタワーIGTクリニックが治療に優れていると聞いているがどうなんだ」との相談も受けました。
そのとき、兵庫県民なのに遠方の病院を評価し、そこで検査なり治療を受けたいと思っているのはなぜなのか?明石にはがんセンターがあり、淡路や西播磨には先端の医療センターがあるのに、なぜ選択肢に入っていないのかと疑問に感じました。
そこで、伺いたいのですがは、兵庫県における都道府県がん診療連携拠点病院であるがんセンターは、日本の最高レベルにあると話題にのぼる医療機関と比べ、癌の検査や治療で劣るのか、同レベルなのか、あるいは優れているのか、可能なら数値的・客観的にお答え頂きたいと存じます。
(2)粒子線医療センターについて(経営課(経営班))
先ほども触れましたが、兵庫県にはがんセンターと並んで、全国初の自治体立の粒子線治療施設である粒子線医療センターがありますが、最近実患者数が減少していると聞きます。
これはほかの都道府県でも同様の施設が増加しているためだとお聞きしていますが、実患者数の増に向けて、病院局においてはどのような取り組みをなされているのか、ご答弁をお願いします。
(3) その他の県立病院の取り組みについて(経営課(業務班))
兵庫県にはがんセンター、粒子線医療センターのほか、淡路医療センターや尼崎医療センターなどがん拠点病院となっている、立派な病院があります。
そこでは先端医療を行うためのPETやIMRTなどが導入されていますが、これらは非常に高額な機器のため、当然ながら有効に利活用していただく必要があります。そこで、昨年度はどのような取り組みがなされたのか、ご答弁をお願いします。
2 ロボットリハビリテーションの病院現場での臨床応用について(企画課(病院整備班))
先日、リオでのパラリンピックが閉幕しました。障害をもつアスリートがハンディを乗り越えて競技する姿は我々に大きな感動を与えました。と同時に、障害をもつ人にとって補助器具がどれだけ重要かということも痛切に感じました。
その補助器具の一つに筋電義手というものがありまする。筋電義手は、筋肉が収縮するときに生じる微量の筋電位を利用して本人の意思で指を動かせる電動の義手のことですだ。特に、子どもにとっては、お茶碗を持ってお箸で食べる、紙を持ってハサミで切るなどの両手での動作を可能にし、体のバランスを整えるなど、成長過程でのさまざまな利点が挙げられまする。
私はこの医療は日本、そして世界に誇れる立派なものだと思っている。しかし、残念ながら県民の皆さまにあまり知られていない。そこで、PRを含めて当局に伺うが、県立リハビリテーション中央病院で行われているロボットリハビリテーションとはどのようなもので、患者からはどのような評価を得られているのか、ご答弁をお願いしますする。
3 病院局医師修学資金貸与制度について(管理課(職員班))
兵庫県には「病院局医師修学資金貸与制度」というものがあり、大学の医学部に在学している者のうち、麻酔科や小児科、産婦人科などの医師として県立病院に勤務する、あるいは淡路・柏原(かいばら)病院などに勤務する意思を持っていれば修学資金を6年間貸与し、実際勤務すれば返済が免除される制度ですだ。
その額、総額1,020万円、さすがに医学部だから高額ですだ。しかし、それだけのインセンティブを与えていながら平成27年度の診療科枠の制度利用者は、募集10人に対し6人と、6割に留まっていまする。
何故、それだけの応募に留まっているのか、当局のご所見をお伺いしますする。
向山 好一
神戸市北区