予算特別委員会(部局審査・財政状況)
質 問 者 竹内 英明 委員(ひょうご県民連合)
1.県債管理基金の保有資産対策について
(1)神戸市中央区下山手通5丁目等の土地の一般会計による取得について
私が県議1期目で初めて決算特別委員会で財政状況の質問に立ったのが平成21年。そして、県債管理基金の中に含まれていた「土地」「美術品」を見つけて問うてからはや7年が経過した。
国の実質公債費比率という新たな財政指標導入に対して窮余の策として他の特定目的基金を集約した際、平成18年度の補正予算で措置されていたものだ。私が当選する前年度だ。
昨年の12月定例会で再び取り上げたところ、適正化に着手するという知事の答弁があり、実際に先週末の3月3日に補正予算として可決成立した。実施から11年目、私が議会で指摘して7年半後。新行革プランの実施に伴い、少しずつではあるが財政が健全化していることで一部現金化で対応できた。
私に対して、もうこれで役割は終わったという議員がいたが、それは違う(笑)。土地87億円、美術品29億円の合計116億円が現金化されたものの、県債管理基金に集約されたままである。一歩前進ではあるが、財政的には大きな話ではない。これらのことは順次質問で明らかにする。
まず、その前に、今回は、基金から買い戻した土地のうち、「神戸市中央区下山手通5-7-1等(397㎡/16億円)」について確認したい。現に建物が建っている土地で、県施設もあり、売却意思もないと聞いており、これを基金によく算入していたなと改めて思うが、近隣の公示価格を調べると、神戸市中央区北長狭通5-7-20の直近、平成28年の国の公示価格をみてみると 1㎡あたり377,000円。買い戻す下山手通5丁目の土地はすぐ近くだか、1㎡400万円、10倍以上となっている。
そこで、土地取得の経緯はどうなっているのか。また、帳簿価格=簿価というのは、取得価格+利子+管理費等=帳簿価格(簿価)となると思うが、それぞれどうなっているのか。
(2)県債管理基金への他の目的基金等1100億円の集約解消について
さきの「県債管理基金の保有資産対策」、つまり現金化よりも本質的ではるかに大きな課題がこの「他の特定目的基金等の1100億円の集約解消」である。総務省自治財政局の財政健全化法の課題整理(H27.5.28)では、『年度を超えた 基金の繰替運用』を課題としてあげており、毎年、総務省から地方自治体に発せられる「地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等について」の中でも、「基金から一般会計に会計年度を越える繰替運用を行うという事例が見受けられるが、地方自治法第241条及びそれぞれの基金設置条例の趣旨を逸脱したものとなることのないよう、必要なものについてはその適正化を図ること。」とされている。
「基金から一般会計に収支不足の解消のために、年度を超えて貸し付ける」のは駄目と解釈されるが、「他の基金を県債管理基金に年度を超えて資金集約して、その積立不足を解消している」ことは、直接間接かの違いがあるにせよ財政指標的には同じ結果をもたらすことである。知事が「基金集約を実質公債費比率対策と率直に認める」と答弁した以上、少なくとも新行革プランに課題として記載し、その解消のための条件や目標年度の設定をすべきだと思うがどうか。
2.一般会計と企業会計との貸借関係の整理について
H28年度補正予算の可決により処理されるのは先の「土地、美術品」の処理以外のもう一つが、一般会計と企業会計との貸借関係の整理である。
一般会計「播磨科学公園都市造成事業貸付金」100億円
企業会計「青野運動公苑県有地信託事業貸付金」106億円
差額は企業債の一般会計での引受けや事業配当金の活用で埋める。106億円が整理されることとなった。
しかし、これは同額の債権債務の解消であり、実質公債費比率や財政指標には影響しないもので、影響するのは一般会計の債権で実質公債費比率の算定に含まれている企業会計への貸付金、具体的には、320億円の北摂開発事業旧住宅金融公庫債繰上償還貸付金である。
債権債務の順次整理が進むと一般会計の債権が420億円、企業会計の債権が512億円であることから差し引き、92億円の一般会計の債務が残ることになる。一般会計側に県債の償還に充当できる財源はないということだ。
さきの総務省の文書にも「基金から一般会計に会計年度を越える繰替運用を行うという事例が見受けられる」とあったが、これも元をただせば地域振興基金とCSR基金の合計320億円で企業会計を介しているとはいえ当然県債の償還に使える財源ではない。
県として、これら債権債務の存在を公表した以上、県債管理基金にある320億円の一般会計の貸付金は企業庁との債務で相殺されることが明らかなことから、県債管理基金から除外して実質公債費比率を算定すべきと考えるがどうか。
3.県外郭団体の財政健全化について
(1)オーバーナイト融資の解消について
神戸市が外郭団体のオーバーナイト融資を28年度末に実施しないとして解消する方針を公表した。オーバーナイトとは、外郭団体等が3月末の年度末に数日間だけ市中の金融機関から資金を借り、4月の年度開始後すぐに金融機関に返済するという資金繰りの方法である。県が外郭団体等に貸し付けていた資金を年度末の3/31に一旦回収し、翌年度4/1に再び貸付をすることから、団体側は毎年市中金融機関から年度末のその2日間の短期融資を受けなければならないということである(土日を挟む場合は最大4日)。
H28.8.22付朝日新聞の一面記事に神戸市の事例を含めた全国調査の報道があり、すぐさま神戸市長本人もブログで解消の方針を掲げた。久元神戸市長は総務省の財務調査課長の経験もあり、そうしたことに指導的立場であったことから当然と言えば当然だが、いずれにしろ新聞報道が端緒となり解決されることになった。
私は、兵庫県の外郭団体のオーバーナイト融資について、神戸市が指摘される前から、本会議などで解消を求めている。大きいところでは300億円を超える兵庫みどり公社の例を指摘したが、私に対する答弁では、解消しないと言っていたのに、半年後、総務省が研究会で是正の方向性を出すと、兵庫県は動いた。しかし、昨年度末にもまだオーバーナイト融資を実行している団体がある。(公財)ひょうご産業活性化センター、新西宮ヨットハーバー(株)である。平成27年度にはそれぞれ32.6億円、2.6億円の融資を県から受けていたが、年度末にいったん返済し、民間金融機関から年度をまたぐオーバーナイト融資を受け、28年度に入るとすぐそれを返済し、再び県から32.2億円、2.6億円を借りていた。これも今年度で解消すべきだと思うがどうか。
(2)(公財)ひょうご豊かな海づくり協会について
①外国債券運用について
公表されている同財団の27年度決算書類を見たところ、外国債券運用で多額の評価損が出ていることがわかった。為替が円高に振れ、損失が膨らんだようだ。
「財務諸表に対する注記」では、「重要な会計方針として額面金額による償還が予定されていない債券は「その他有価債券」で会計処理し、債権の評価は、取得価格から時価評価に変更する」との記載があった。調べてみると、満期保有の債券は、帳簿価格913,709,000円で、時価は1,021,733,236円で、評価損益は108,024,236円の黒字となる見込みの一方で、時価評価が導入された「その他の有価債券」は、評価前帳簿価格が3,128,885,000円、評価後帳簿価格は、2,245,274,000円で△883,611,000円の評価損が出ている。取得価格から28%下落している。
「あらかじめ定められた償還日において額面金額による償還が予定されていない」これらの有価債券は、決算時点で8億円以上の減損処理が行われたということだ。事実関係の確認と現在の状況について伺う。
②同財団協会の投資への県の関わりについて
県内自治体では、過去に朝来市が円ドル為替レートの影響を受ける仕組み債で多額の運用を行い、一時は15億円の含み損を抱え、金融商品を紹介した金融機関を訴える等していたが、円安に振れたところ一気に赤字が黒字に転換し、訴えも取り下げたという事例があった。
同財団の資金運用については、平成27年11月25日開催の兵庫県公社等経営評価委員会において、時価評価の必要性が指摘された。当財団の業務報告書には、独自に簿価のままでよいという解釈をしていたなど、リスクのある債券運用についての認識が薄いのではないかと感じさせる記載も見られた。県として、出資の他、会長に井戸知事、理事に農林水産局長を出している。県として、同財団の投資について、どのように関わっているのか。
4.歳入対策について
(1) 軽油引取税、自動車税の納期内納付率が低い理由について
県税各税について現年分の納期内納付額やその比率を調べたところ、H27年度において、ワースト2は59.1%の軽油引取税と82.6%の自動車税であった。 最終的な現年分の徴収歩合はそれぞれ99.4%、99.2%となっている為、県財政に与える影響は大きいとは言えないが、期限内に納めないことで、催告の必要が出たり、差し押えなど滞納処分が必要になるなど、他の納税者以上に余計なコストがかかり、県に損失を与えかねない。
軽油引取税、自動車税の納期内納付率が低い理由について、他府県との比較も含めて教えてほしい。
(2)自動車税の差押等滞納処分コスト
一方、H27年度に差押え等を行い徴収した全3094件の差押え等の滞納処分件数のうち、自動車税の差押等滞納処分は2201件と71 %を占める。1件あたりの差押等滞納処分にかかるコストはいくらぐらいか?
(3)宿泊税の創設について
大阪府が1月から宿泊税を導入している。この宿泊税は、「法定外目的税」であり、「世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため」として総務大臣の同意を得て導入された。
歴史
東京都 H14.10~ 旅館業法上のホテル又は旅館
1泊税抜10000以上の素泊まり~15000未満100円
15000~20000 200円
20000~(大阪府) 300円
※民泊も対象だが1万円以上ない
H29.1.1~大阪 3ヶ月 約1.7億 平年10.9億円
徴税費用 約2.9億 0.7億円
大阪では約11億円の特定財源として、観光地のWi-Fi提供などの新年度予算を計上しているとの報道があった。
東京や大阪だけに観光客がくるわけではなく、宿泊単価もさほどかわらない。兵庫県でも観光地のWi-Fi提供や公共交通機関ターミナル等の整備に費用はかかる。そうした費用確保のため東京・大阪同様の宿泊税を導入すべきと考えるがどうか。