議会の動き

竹内 英明議員が一般質問を実施

質問日:平成30年2月27日(火)
質問者:竹内 英明 議員
質問方式:一問一答

1 学校給食を活用した県民意識の高揚について
-神戸ビーフまたは但馬牛の「県政150周年給食」の提供-

ある日、小学生の娘と学校給食の話をした。今日は『じゃぶ』を食べたという。汁の中に、糸こんにゃくや、ごぼう、鶏肉が入っていたというので「治部煮」と勘違いしているのでは、また他のものと間違えているのでは、と思い、家庭に配布されている「給食だより」でメニューを確認すると本当に『じゃぶ』と書いてあった。皆さん『じゃぶ』をご存知ですか?

給食だよりにはその説明として、「新温泉町の郷土料理で、祭りやお祝いなど人が集まるときに大鍋でふるまいます。」と、「具材は鶏肉、糸こんにゃく、豆腐、野菜などで、野菜や豆腐から出る水分でじゃぶじゃぶ煮込むことから『じゃぶ』とか『じゃぶ煮』」とか。新温泉町の公式HPにも『じゃぶ煮』は郷土食として紹介されていた。

娘がなぜ初めて食べた給食のおかずのことを家に帰ってきても覚えていたのか。先生が給食の際に説明してくれたという。姫路市立の小学校でも兵庫県内の郷土料理を提供し、その説明を先生が行うことで子どもなりに何かを学ぶ。

県民意識の高揚、郷土意識の涵養につながる、大変素晴らしい取り組みである。この話を健康福祉常任委員会の調査の際に黒川県会議長としていたところ、「神戸ビーフの給食での提供はどうだろうか」という話になった。会派の中でも賛同する声が多かったので提案したい。

但馬牛(うし)を県内で育て、肉にした但馬牛(ぎゅう)のうち一定以上の基準を満たすものが神戸ビーフとして認定されるが、その価格は高く、簡単に給食で提供できるものではないことは十分理解している。また、学校給食の提供主体も学校設置者であり、その多くは市町である。困難なことは多い。

とはいえ、今年は県政150周年である。県民意識を育む絶好の機会を逃す手はない。恐らく全県での神戸ビーフを使った給食の事例はなく、記憶に残る給食となるだろう。

例えば、サイコロステーキとか、カレーでの提供とか、淡路島の玉ねぎとの牛丼とか、知恵を絞って、わずかでも提供出来ないだろうか。神戸ビーフの量を確保するのが難しいなら、但馬牛(ぎゅう)も合わせて考えてはどうだろうか。
県内の小学校や特別支援学校(小学部)に、県政150周年給食として提供することを提案したいが、見解を伺う。

2 マンション等の集合住宅における民泊規制について

「住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」案が、今定例会に提出されている。可決成立すれば、住居専用地域や学校周辺での民泊は規制されるものの、住居専用地域以外のマンションでの民泊でトラブルが発生する可能性があると私はみている。

例えば、マンションの居住ルールを理解しない者が宿泊することにより、騒音・ゴミ問題などトラブルが起きやすくなるし、外国人観光客が利用する場合、文化や慣習の違いから、こうしたトラブルが一層起きやすくなることは、大阪や京都などのマンションの違法民泊の報道等でも明らかである。

国土交通省はマンション管理規約のひな型である「マンション標準管理規約」を公表しているが、昨年8月29日に、民泊を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例が示された。これを受けて、県下の神戸市では、いち早く、「住宅宿泊事業法の公布に伴う分譲マンション標準管理規約の改正に関する資料送付について」と題する文書を昨年9月に市内約 3,500 の分譲マンション管理組合やマンション管理会社へ送付するとともに、12 月号の広報こうべやホームページでも告知している。

「分譲マンション内での民泊の「許容」または「禁止」について、区分所有者の皆さまで議論いただき、民泊を禁止する場合はできるだけ早く(民泊事業者の受付が開始される予定の平成30年3月15日までに)管理規約を改正してください。」、「それまでに管理規約の改正が間に合わない場合は、一時的な措置として、総会または理事会での『民泊を禁止する方針決議』で対応が可能です。」と記されている。

これは、現行のマンションの多くで採用されている改正前のマンション標準管理規約第12条「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」の条文だけでは民泊も可能と解釈される可能性があり、管理組合の方針を明確にする必要があるためである。

また、規約に定めがない場合、国のガイドラインから「届出時点で民泊を禁止する方針が総会や理事会で決議されていないことを確認した」旨の誓約書が出された場合、管理組合に民泊を禁止する意思がないと解釈され、届出が受理されると懸念されるからこうした告知をしている。

国土交通省が新しく示した民泊禁止のための規約の改正について、県下の管理組合に徹底されているだろうか。2月23日付読売新聞社会面では、私も住んでいたマンションの管理会社の代表が「訪日外国人の増加で、家賃よりも宿泊料のほうが高収益を得られるチャンスがある」と語り、一度民泊禁止の規約改正をしたマンションを同社が「収入の選択肢が広がる」と提案して容認に再改正したとの記事もあったように民泊を推進する人もいる。

分譲マンション等の集合住宅における民泊規制について、特に旧規約のままの場合、法施行規則で、届出の際、管理組合に届出住宅において民泊を禁止する意思がないことを確認したことを証する書類の添付が必要となっている。この場合、理事会や総会で議論されないまま、理事長が一存で管理組合として民泊を禁止しない旨を証する書類を発行することも十分考えられる。県としてどのように対応するのかについて伺う。

3 ヤマトヤシキ姫路店閉店の影響及び旅券事務所の移転について

地元姫路市の創業111年、老舗百貨店「ヤマトヤシキ」は、姫路店を2月末つまり明日28日で閉店することを発表した。同加古川店は存続させるものの姫路店を含めて全従業員を解雇し、一部を別会社で雇用する方針であると報道されたが、既に雇用を希望する従業員の面談等も行われ、再就職する人、解雇される人が決ったと聞いている。

また同社は、姫路店の閉店後の利用について、建物が老朽化しており、建て替えが最善の策としているが、建て替えの詳細な計画や工事の開始時期については未定で3年程度かかるとの報道もある。

ヤマトヤシキで働いている人の雇用や姫路店が面する大手前通り、みゆき通り商店街などへの閉店の影響などについてどう考えているのか。また、ヤマトヤシキ姫路店内には兵庫県旅券事務所姫路出張所もある。この閉店後の移転措置等も含め、ヤマトヤシキ姫路店の閉店後の商店街への支援も検討する必要がある。県の支援策について伺う。

4 自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設の規制について

姫路市北部山中のそうめん滝キャンプ場に計画が持ち上がっている太陽光発電所建設に反対する自治会の住民説明会に先日出席してきた。事業者から兵庫県に提出された計画は、約51万坪・170万平方メートル、甲子園球場43個分の山林を開発し、太陽光パネル等を設置するもの。西播丘陵県立自然公園の中に例を見ない大規模な開発だ。

説明会には、排水路となっている砥堀谷川下流域周辺の住民の方を中心に100名ほどの方が来られていた。地域の自治会役員から、下流域の土砂流出の危険を伴う開発であること、過去には明治時代から大きな水害に悩まされてきた地域であること、開発代理人の計画内容を隠したボーリング調査許可など不誠実極まりない姿勢などの説明や計画への反対運動等について話があり、多くの心配する住民から疑問や反対の声が湧き上がった。

大規模な森林開発を伴う太陽光発電施設の建設については、森林伐採が再生可能エネルギー導入推進の理念と相反しないのか、また、近年多発しているゲリラ豪雨など集中豪雨の際に土石流や鉄砲水などを発生させるなどして、同一水系の近隣住民の家屋や人命等の安全確保に支障をきたすのではないのか。近年も広島市内で大雨により山腹傾斜地が崩落し、多数の死傷者が出た。一方、開発した者や許可権者等は天災に起因するものとして刑事上、民事上の責任も何も問われてはいない。これが現実。

家屋の屋上や市街地の遊休地などの太陽光発電に反対するものではないが、大規模に森林を伐採して開発することで逆に地すべりを起こしたり、保水機能等を大きく破壊するもので、さらには下流の住民の命を危険に陥れるもの。

特に危惧するのは固定価格買取制度(FIT)の終了する20年後以降の管理等について何の担保もないこと。開発者が利益を失い、価値を失ったパネル等をきちんと管理する保証は何もない。
住民の安全・安心な生活に危機をもたらしかねない大規模な自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設については、関係法令の厳格な運用を図るなど何らかの規制をかけるべきと考えるが、県の見解を伺う。

5 公立高校の入試制度の見直し(希望校変更の不平等廃止)について

県内公立高校では、平成27年度入試から通学区域を従来の16学区から5学区に再編し、複数志願選抜が全県で導入されたところである。

これらを評価・検証するため設置された、「高等学校通学区域検証委員会」は、昨年12月に「制度は概ね円滑に導入された」とする報告書をまとめた。
報告書の中で、「単独選抜の専門学科から複数志願選抜の高校への第1志望の変更を可能としていることについては、より適切な進路選択となるよう、制度の改善を検討する必要がある。」といった今後の中長期的な方向性が示されている。

これは、当初から複数志願選抜の高校が定員割れとなる場合も視野に入れて、まず「単独選抜の専門学科」を第1志望として出願しておき、複数志願選抜の高校の倍率が確定したあとで、第1志望校を変更させることである。中学校の現場では『偵察出願』と言っている。

当初から複数志願選抜の高校を志望していた生徒は第1志望校の変更が出来ない一方、「単独選抜の専門学科」を仮に志望していた生徒は、倍率や定員割れを考慮して志望校を変更する。まさに「後出しジャンケン」である。行く予定のない専門学科の側も迷惑であるし、何しろ教育指導上も好ましくない。定員割れとなった高校で、こうした制度が悪用されている事例が複数にわたって発生しているのは、性善説に立った制度の運用の限界を示している。こうした実例を中学校、高校の現場の教員から生の声として聞いているが、こうした制度の穴は早期に埋めなければならない。中長期的などと悠長に構える課題ではない。

もちろん、複数志願選抜を含めた全生徒に第1志望校の変更を認めれば不平等ではなくなるが、実務上大きな混乱が生じるだろう。
公立高校の入学試験にかかる希望校変更の不平等廃止について、早期実現を求めるが見解を伺う。

6 基金再編と将来負担比率目標の設定について

今定例会で新たに提案されている条例の中に、地域創生基金条例、県有施設等整備基金条例がある。これらの条例等の中には、廃止する基金として、公共施設整備基金等5基金の名称が記されており、既に役割を終えたとされている。

また、県債管理基金に含まれる旧明石海峡大橋関連施設整備等基金についても、地域創生基金に移管することとされている。いずれも新条例の目的によって基金は処分されることになる。

一方、平成29年度補正予算では、この度創設する基金を集約するための県債管理基金積立金が336億4千万円増額計上されており、地域創生基金から151億6千万円分、県有施設等整備基金から184億8千万円分が各々県債管理基金に移されることになる。

この多くは従前から県債管理基金に集約されているもので、財政指標である実質公債費比率の基金積立不足の改善に活用されているが、これまで県債管理基金に集約されていなかった国民健康保険事業広域化等支援基金668百万円、県有建物復興基金96百万円の計764百万円が新たに集約、活用されることになる。

特に国民健康保険事業広域化等支援基金668百万円については、今定例会に提案されている国民健康保険財政安定化基金に積み立てることがこれまでの基金目的と最も合致するのではないかと思う。いずれにしろ、今回は僅かな金額でも、こうした基金を活用した実質公債費比率対策は今年度末で約1200億円と多額となっており、現行ルールを技術的にクリアするものであっても、会計間の債権債務の相殺や基金の本来目的を考えれば一時しのぎに過ぎないことは従前より指摘してきた通り。

債務をストックベースで表すもう一つの財政指標、将来負担比率において、新行革プラン導入前後の順位や数値の改善があまり見られないことが、このことをよく表している。
今議会では、収支均衡となる来年度を見て早速景気のいい話も聞こえているが、退職手当債や行革推進債などの資金手当債の発行や県債管理基金の取り崩しをしなくてよくなった、とはいえるものの基金集約のような状況を残したままで新たな投資事業をどんどんできる状況かどうかということ。

知事は新行革プラン後の財政運営について、今後新たな方針を示していく必要があると言われているが、財政目標として、将来負担比率を重視した新たな目標設置を求めるが見解を伺う。