令和2年 令和元年度予算特別委員会(健康福祉部)
日 時:令和2年3月9日(月)
質問者:迎山 志保 委員
1 不妊に悩む夫婦への実効性ある支援について
(1)不妊治療の入り口支援について
夫婦の3割が不妊を心配し、5.5組に1組が具体的に治療を経験している現在、不妊治療、妊活という言葉も一般化したものの、いまだ女性の問題であるとの認識は根強い。
しかしながら、不妊の48%は男性起因であり(WHO)、現在、日本人男性の4人に1人が不妊リスクを抱えているといわれている。
リクルートライフスタイルの調査によれば、不妊治療に取り組んだ男性の6割がもっと早くから主体的に行うべきだったなどと後悔していることが明らかになっている。積極的に取り組めなかった理由として『自然に授かりたかった』が30%を超え『なんとなく気が進まない』『自分には問題がない』『男性が関わる必要がない』と考えていた人がそれぞれ22%にのぼった。そして、実際に治療を経験した女性なら誰もが感じるであろうことは、なぜもう少し早く夫と一緒に取り組まなかったのかということである。
女性が一人悩んで病院に行く。するとまず身体のサイクルに応じて初期基礎検査で4 回程度の通院が必要であり、費用も平均50,000 円程度かかる。そこから個別の治療に入っていく際、病院から夫の協力を求められ、夫が初登場。ここで登場してくれればまだ良いが、忙しいことなどを理由になかなか協力が得られない現状もよく耳にする。
そして結果、夫に原因があることが分かりそこから妊娠に向けた治療がスタートする。
県は不妊治療に関して、県単独助成などの経済的支援、相談業務などを行っているが、まずは入り口で夫婦一緒に取り組むことを促すような政策展開が必要ではないかと考える。
例えば、埼玉県ではこうのとり検診推進事業として、夫婦そろって早期不妊検査を受けた場合医療保険適用・適用外に関わらず2万円を上限に助成している。
鳥取県では結婚後3年以内に夫婦一緒に受診すれば上限13,000円助成する制度を設けている。男性が早期に妊活に入ることで不妊治療において最も大切な時間やお金を無駄にしないことが可能になる。ぜひ夫婦そろっての入り口支援についての検討を求めるがいかがか。
(2)所得制限の見直しについて
先ほど、県単独助成制度について言及したが、対象者が所得の低い若い世代ということで、要件として、夫婦合算所得額が400万円未満に設定されている。
不妊治療は自由診療であり費用は病院によって異なるが、18年の調査で顕微授精1回につき50万円以上と答えた人が6割を超えている。この治療を複数回受けるとなると相当の経済的負担となる。治療にはお金がかかるので、仕事を辞めたくない。でも仕事を辞めなければ、治療に専念することができない。今、不妊治療に臨む夫婦は厳しい選択肢を迫られている。
そこで、国では不妊治療と仕事の両立を支援する制度を導入する企業向けマニュアルを作成したり、大手金融機関では男性も含め不妊治療に特化した有給制度を導入したりと、夫婦そろって治療と仕事を両立していく方向の支援が進められている。夫婦共働きが主流となりつつある今、所得制限をもう少し引き上げる検討をされて
はいかがかと考えるがご所見はいかがか。
2 こども家庭センターや市町の体制強化について
(1)こども家庭センターの体制について
こども家庭センターが対応すべきとされる児童虐待が増え続ける中、センターには様々な権限付与がなされ、求められる期待や責任がますます大きくなっている。それに応えるには、多岐にわたる業務を適切にこなせる組織体制の構築が欠かせない。
先日、ある会合でこども家庭センターにどんなイメージがあるかと聞くと、家庭に問題があれば子どもを引き離して連れて行くところ、大きな事件があったら頭を下げて謝罪しているところ、といったものが大半であった。
全国を騒がすような悲惨な死亡事件などが報道される度に、その対応のまずさを指摘され、何をやってるんだと世間から叩かれる存在との印象が強いようだ。
つい最近も、神戸市の児童相談所で深夜3時に駆け込んできた小6女児を追い返したことで、集中砲火を浴びている。
確かに過去の事件をみると、児童相談所の完全な過失が認められるものもあるが、そこだけを追及し糾弾するのは、めぐりめぐって子どものためにならないと私は考えている。児童相談所がその名の通り、本来持っている機能を十分に果たすためには、現状に即した体制の確立が何より求められる。
昨年、児童福祉法等の改正で、児童相談所の体制強化の中で保護者へのよりきめ細やかな指導などが求められることとなったが、県では来年度北播磨地区と阪神地区に新たなこども家庭センター設置に向けた予算を確保されようとしている。受持ちエリアが分散することで、基礎自治体との密な連携、より親身な対応が期待でき大変心強い。
しかしながら、児童福祉司など専門職の確保が全国的に困難な状態が続いている中で、体制確保に課題などはないか。新たな拠点ができることで一時保護施設やそれに伴う職員の配置などの見通しはいかがだろうか。現状における認識を伺う。
(2)市町を含めた人材育成について
昨今のこども家庭センターに求められる多岐にわたる業務に対応するため、国をあげて児童福祉司などの専門職員の増員を図ろうとされている。
県におかれても、国の「児童虐待防止対策総合強化プラン(平成30年12月)等に基づく増員が進められているところであるが、それに伴い職員の資質の向上もあわせて求められるところである。
また、今後ますます市町との連携が大切になってくるが、県内の子ども家庭総合支援拠点は12市町にとどまっており、令和4年度までに全市町村に設置するとの国の方針のもと、さらなる充実が求められる。OJTや研修を行うなど市町の人材育成についても県に求められるわけだが、市町を含めた県下の児童福祉人材の育成について、所見をお聞かせ願いたい。