議会の動き

北上 あきひと議員が質問(健康福祉部)を実施

令和2年度決算特別委員会 【健康福祉部】

質問日:令和3年10月8日(金)

質問者:北上 あきひと 委員

1.障がい者就労施設等の作業確保・拡充、工賃向上について(ユニバーサル推進課)

2013年4月、「障害者優先調達推進法」が施行されました。本県では法律に基づき「取扱方針」を策定し、障がい者就労施設等から物品または役務の優先調達を行っておられます。また県内の障がい者就労施設等から年100万円を超える物品及び役務を調達した企業を認定する制度を設け、県が発注する建設工事入札制度における加点、物品や役務の契約における受注機会の拡大を行っていると認識するところです。加えて、NPO法人への運営委託による授産商品のインターネット販売サイト「+NUKUMORI(ぷらすぬくもり)」を展開するなど、前向きで地道な取組みには敬意を表します。

障がいのある人が、就労によって生きがいや経済的な基盤を得ることは、大変重要なことだと考えます。昨年度より、障がい者が就労する施設等から「コロナ拡大の影響もあり、仕事の受注が減少している」との苦しい実情をお聴きすることが度々ありました。障がい者就労施設等の作業確保・拡充、工賃向上を図る支援が一層求められていると考えますが、取組の状況と今後の対応についてお伺い致します。

2.ギャンブル等依存症対策について(いのち対策室)

コロナ禍のステイホーム等が影響し、ギャンブル等への依存傾向が増加しており、速やか且つ果敢な取組が求められていることは、令和3年度予算委員会をはじめ、これまで再三指摘をさせて頂いてきました。昨年度、県においては「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定作業に取組まれ、家族会や自助グループ、精神科医、競馬組合等公営ギャンブル主催者等で構成する委員会での議論や、パブリックコメントを踏まえて本年から3カ年間の計画を策定されました。目標に掲げる「ギャンブル等依存症で苦しむことのない、安心できる社会の実現」に向けた積極的な施策展開を、大いに期待するところです。

あらゆる依存症において、予防啓発や克服支援の取組が大切であり、各種の啓発・研修を実施や相談窓口の拡充が必要であり、また、DV・児童虐待・多重債務等の背景に依存症が存在している場合も多々あり、児童福祉、生活支援、消費生活、教育、医療等の関係機関が緊密な連携のもとに対策を講じる必要があると考えます。

加えて、自助グループや家族会の果たす役割は大きく、それら関係団体との連携強化、補助・助成を進め、平穏な日常生活や社会生活を取り戻すための実効性のある取組を継続・強化するべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3.LGBTQ等セクシャルマイノリティの相談窓口設置について(人権推進課)

心と体の性が一致しない性同一性障害や同性愛などのセクシャルマイノリティとされる人は、さまざまな調査から人口の約5%から8%いると言われます。しかしながら、本人が告白しない限りその姿は見えづらく、制度や政策の対応はこれまで十分ではありませんでした。

本県では、昨年度に県民・事業者向けの理解促進のためのリーフレットや職員向けに対応方法等のガイドラインを作成したほか、申請書類等の性別記載欄について法的義務や事務性格上必要不可欠なものを除き原則廃止に向けて取り組んでいると認識します。また、本年5月からは「パートナーシップ制度」等を実施する市町内の県営住宅については、入居申込が可能となりました。この制度改善については、当事者の方から「これまで否定されていた自分たちの存在が『認められた』『肯定された』という感じがする」との声をお寄せ頂いたところです。

自治労が今年行なった調査では、過去5年間に仕事や飲み会などでセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあると回答した性的マイノリティの割合が、そうでない人の3倍近くに上り、LGBTQ等が職場でセクハラを受けやすい実態が明らかになりました。また、宝塚大学日高庸晴教授らが15~24歳の男女約2000人を対象に実施した、性的指向と自殺リスクの関連についての調査(2008年)では、性的マイノリティの男性は、異性愛者の男性と比べて自殺を図るリスクが約5.9倍にもなることが明らかになっています。厚生労働省によるゲイ・バイセクシャル男性5731人を対象に実施された調査(2005年)によると、回答者のうち自殺を考えたことがある人は65.9%、自殺しようとしたことがある人は14.0%でした。両方の調査に携わった日高教授は「カミングアウトした人数が多い人ほど、自殺未遂リスクが高いこともわかっている。誰にも言っていない人と比較すると、6人以上にカミングアウトした人の方が自殺未遂リスクが3.2倍高い」「残念ながら、カミングアウトをして理解者とばかり出会えるわけではない」と述べておられます。

これらの事柄を考察すると、安心して相談できる「LGBTQ等セクシャルマイノリティの相談窓口」を設置し、適切な対応をする必要があるのではないでしょうか。県内の幾つかの市町では、すでに相談活動を展開されており、例えば明石市では、LGBTQ等の当事者やその周りの人たちの悩みを市職員が聴き、解決への手伝いをする相談事業を昨年7月よりスタートされました。本年9月末までに178件の相談が寄せられ、対応されたと聞き及んでいます。

県内市町の先駆的な取組みをどのように分析しておられるのか、また県における取組みも求められると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4.保健所業務円滑化に向けた取組について(感染症対策課)

繰り返し続くコロナウイルス感染症の蔓延は、その対応に追われる保健所や関連部署における職員の心身の大きな疲労を生み、「燃え尽き症候群」が危惧されています。保健所業務が多忙を極めるなかにあっては、本庁等県職員の応援を強化するとともに看護協会の協力を得、また特に阪神間の保健所にはリエゾン(連絡調整員)が派遣される等、支援が行われていると認識するところですが、保健所業務円滑化に向けた更なる取組が必要だと考えます。

コロナ陽性患者の入院医療費については、「感染症法」に基づき原則全額公費負担になりますが、住民税所得割額が基準となる56万4千円を超える場合には月額2万円を上限として自己負担が生じます。よって、全ての入院患者は市町から取り寄せた課税証明書を添えて「入院医療費公費負担申請書」を提出することが求められ、保健所職員は患者との連絡や書類作成等に多大な労力をかけています。件数の多い保健所においては、特に大きな負担になっているのです。

これは国からの「技術的助言」に沿った措置だと推察しますが、厚労省の「逐条解説」では「どの程度の負担応力がある場合にどの程度の負担を求めるかについては、都道府県で判断すること」とされており、本県の裁量によって入院医療費を一律公費負担に改めることは可能だと考えます。住民税所得割額の基準を超えることは稀であり、その負担額も日割り計算であるため小額だと聞き及んでいます。コロナ陽性患者の療養期間中の外来診療(往診・遠隔診療含む)は、申請せずとも全額公費負担であります。入院においても外来同様の扱いにすれば、患者や家族の煩雑な手続きの負担が軽減され、保健所業務の円滑化に繋がると考えますが、当局のご所見をお伺い致します。

5.自主的PCR検査への公費助成について(感染症対策課)

本県では、新型コロナウイルス感染症陽性者の急増に伴い、積極的疫学調査の対象を、①陽性者本人、②同居家族・同居人、③感染拡大やクラスター化が懸念される施設等に重点化しました。友人等の濃厚接触者には、患者本人等から14日間の自宅待機や健康観察の必要性を伝えることになります。有症状の場合には医療機関での受診を勧奨し、PCR検査を受ける際には行政検査となりますが、自覚症状のない濃厚接触者が、PCR検査を受ける場合は自己負担になるのです。

陽性であるかどうかを適切なタイミングで検査することは、患者本人が重症化を防いで命を守るために有益です。治療薬の開発・認可が進んでいますが、何れもが凡そ軽症段階において有効であり、治療の観点からもPCR検査によって早期発見を促すことが求められるのではないでしょうか。加えて、可能な限り多くの感染者を捕捉することは、感染拡大を防ぐという観点からも有益だと考えます。

国内で感染が始まった昨年度前半頃においては、検査について抑制的限定的な方針であったことに合理性があったのかも知れません。様々な検査機器等が開発され、また検査が全て保健所を介して行われていた状況は変化をしています。

よって現状においては、自覚症状のない濃厚接触者のPCR検査をも促すべきではないでしょうか。そのために、検査費用への公費負担を検討するべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

6.「第6波」に備えた医療供給体制について(医務課・感染症対策課)

新型コロナウイルスの感染拡大「第5波」は収束に向かい、緊急事態宣言は解除されましたが、今後の事態の推移は不透明であり、多くの専門家が「より規模の大きな第6波が必ず来ると想定して備えるべきだ」と指摘をしているところです。

厚生労働省は今月1日、冬場に懸念される新型コロナウイルスの感染拡大に備え、医療供給体制の見直しを各都道府県に指示しました。「第5波」においては、必要な医療が提供されることなく自宅で亡くなる方が出る等、医療逼迫が深刻化したことをふまえたものです。

臨時の医療施設を含めた病床や医療従事者を確保することが重要であり、自宅療養を選ばざるを得ない場合でも、適切な在宅治療を施す準備等が求められます。在宅での治療を効率的効果的に進めるには、各地域での開業医との連携が不可欠であり、オンライン診療の導入等の工夫が必要ではないでしょうか。県内では、丹波保健所管内での、医療の早期介入により重症化を防ぐとともに、短期間で回復につなげる独自の取組が注目されました。重症化を防ぐには、早い段階での抗体カクテル療法が有効だといわれており、医療機関や医師会等との調整を図り、県としての具体的方針を示すことは肝要だと思います。

本県における昨年春以降の経験を総括し、県民の命と健康を守り支える医療供給体制を整備して頂きたいと考えますが、今後の取組みをお伺い致します。