議会の動き

北上 あきひと議員が質問(農政環境部)を実施

令和2年度決算特別委員会 【農政環境部】

質問日:令和3年10月12日(火)

質問者:北上 あきひと 委員

1.里山林の保全・再生について(豊かな森づくり課)

兵庫県の県土面積に占める森林の割合は令和2年3月時点で67%、約7割を占めています。特に、集落周辺の里山林等において、県では生物多様性の保全、自然とのふれあいや環境学習の場等の利活用、防災機能の向上を重点にした森林整備を進めておられます。

私の地元である猪名川流域の里山は、その景観や菊炭の伝承や茶の湯文化との結びつきからも「日本一の里山」とも呼ばれています。阪神北県民局では約10年前から、管内にある34箇所の里山を展示物に見立てて、これらの里山地域一帯を「北摂里山博物館」として整備し、保全活動を行っている団体や地域住民とともに、里山の持続的な保全を図っていこうとされています。

また、県内各地においても、地域住民等が行う森林整備活動や体験学習等に対する支援を行い、里山保全活動の活性化を進めているほか、森林ボランティアなどの多様な担い手による森づくり活動を推進されています。

こうした活動は非常に地道な取組ですが、コロナ禍でこれから都市部集中型から地方分散型社会への動きが進んでいくと思われる中、身近な里山林を保全・再生する取組はより重要性を増すことになると思われます。

そこで、里山林の保全・再生に向けたこれまでの取組状況を伺うとともに、今後の取組の方向性について、見解を伺う。

2.廃棄物の適正処理について(環境整備課)

昨年6月、法律で求められている許可を得ずに産業廃棄物の処理業務を引き受けたとして、県内で建設業を営む者3人が産業廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されました。報道によると、家屋解体工事などで排出された木くずやガレキなど約19トンのごみを、4回にわたり不法投棄した疑いが持たれているものです。また、10月には、三田市内の敷地に無許可で地面に穴をあけ、大量の廃材などを不法投棄した疑いで、土木業などを営む経営者ら4名が逮捕されています。

産業廃棄物の処分は種別により県知事の許可を得る必要あり、処分地についても厳格な規定があり、無許可での投棄は法令違反となると認識するところです。

逮捕にまでは至らない迄も、廃棄物の適正処理に関する住民相談は、頻繁に寄せられます。「自宅近所の裏山に瓦や廃材が大量に放棄されており、大雨の際に急斜面を崩れ落ちてこないか不安だ」「建築廃材が山積みになっており、周りを囲う鉄板が傾いている。歩道に倒れてこないか心配だ」等であります。法令上問題のある行為に対しては、県当局において業者等に指導を行い改善に向けた粘り強い取組を展開して頂いているところです。しかしながら近隣の住民からは「もう何年も我慢している」「いつになったら、改善されるのか」との声があがっており、解決に至るまでの道筋が見通せないことが、住民の大きな不満になっている現実があります。

廃棄物の不適正な処理については、早い段階での発見や指導、そしてより厳正な対応が期待されていると考えるものですが、県当局におかれては、産業廃棄物の適正処理を巡る不法行為をどのように認識されているのか、また解決に向けた取組について、ご所見をお伺いします。

3.農畜水産物の地産地消推進について(楽農生活室、消費流通課)

本県は、日本海と瀬戸内海に面しており、多様性に富む気候風土と都市近郊の立地を生かした農畜水産業が、力強く取り組まれています。生産量で全国順位上位の農林水産物が多く、山田錦、丹波黒、シラス、ホタルイカ等は全国一位であり、また、神戸ビーフや明石鯛等が全国ブランドであることは、ご承知の通りです。加えて、「兵庫のゆたかさ指標」県民意識調査では、県民の県内農産物への高い評価が伺えます。例えば「地元や県内でとれた農産物は安心だと思う」は76%、「地元や県内でとれた農産物を購入している」は66%。何れも2021年県民意識調査によるものです。県民の食や農畜水産業に対する前向きな理解が浸透していることは、大変に嬉しく感じるところであります。

コロナ禍が与える消費動向への影響が懸念されるなかにあって、地産地消施策や食育を一層強力に推進することにより、県内農畜水産物の消費拡大を図って頂きたいと期待するところです。例えば、昨年度においては、学校給食に県内農畜水産物が提供されましたが、今後においては福祉関連施設や病院をはじめ幅広い分野で、県内農畜水産物を県民に提供する機会を多く設けて頂きたいと考えます。また、いわゆる「ステイホーム」等によってインターネット通販の利用が増すなか、SNS活用の促進もより求められるのではないでしょうか。農畜水産物の地産地消推進について、これまでの取組内容と今後の課題について、お伺いします。

4.農福連携の着実な推進について(総合農政課)

障がいのある人が、農作業に携わる機会を得ることは、就労の機会を得てその喜びを実感することに加え、心身の健康に寄与し生活の質の向上に繫がることが指摘をされています。福祉作業所等の関係者と懇談する機会が度々ありますが、福祉現場からの農福連携への期待は、とても大きいと感じるところであり、これまでも県当局に対して積極的な推進を再三要望してきました。

昨年度に策定した「ひょうご農林水産ビジョン2030」に「農福連携の推進」が掲げられ、「農業分野の働き手の確保と生産性向上、あわせて障害者の社会参画を実現するため、農福連携のモデルを創出する」等と記載をされたことは、大変に嬉しく思います。県内各地では、すでに様々な取組が始まっており、先日の健康福祉部局審査においては、長岡壯壽委員の地元で、地域特産品である赤穂みかんの生産継続が農福連携によって叶ったこと、そして住民の方々が障がい者のその奮闘ぶりを知り、高く評価しておられることのご披瀝が有りました。県では農業者に対して、赤穂市での取組みをはじめ先駆的な好事例の紹介、障がいへの理解を深める講座の開催、受け入れのための作業分析や受入計画の立案などの知識の習得支援等に、引き続き努めて頂きたいと考えます。

農福連携を着実に推進していくためには、農業者において障がい特性への理解を一層深めて頂くことや、農業者と福祉事業者とのマッチングやコーディネイトを強化すること、受け入れ環境整備の支援を一層拡充して行くこと等が求められるのではないでしょうか。

農福連携の推進について、昨年度の取組の内容と、今後の課題をお伺いします。

5.農作業の安全対策について(農産園芸課)

農林水産省が行った調査によると、2019年の農作業事故死亡者数は全国で281人、前年より7人増加したとのことです。事故区分別では、農業機械作業によるものが184人(65.5%)、農業用施設作業によるものが17人(6.0%)、機械・施設以外の作業によるものが80人(28.5%)となっており、中でも一番多いのが乗用型トラクターからの転落・転倒等による事故が約3割を占めています。その他にも運搬車による事故や熱中症、草刈り機による事故など様々な要因があるようです。また、年齢階層別で見ると、65歳以上の高齢者による事故が248人と死亡事故全体の88.3%を占めています。先月、私の地元猪名川町でも、70歳代の農業従事者がコンバイン運転中に里道から川床に転落し、死亡する痛ましい事故がありました。

また、2019年7月に起きた京都アニメーションの放火殺人事件を受け、消防庁がセルフ式ガソリンスタンドにおける小分け販売に対する規制を強めたことにより、携行缶へのガソリン販売が難しくなっています。よって、農機具用ガソリンの手配に不便するとの声も聞き及ぶところです。トラクターの燃料補給のために、ガソリンスタンドへ移動する道のりでの事故が懸念されます。

行政の規制強化や気象条件の変化への対応も刻一刻と変化していくなかで、農業者に対してタイムリーな情報を提供や安全対策に対する知識の普及啓発が重要であると考えます。加えて、ガソリンスタンド等の民間機関とも、農作業の安全対策上必要な連携を図ることを検討して頂きたいと思うところです。

そこで、農作業の安全対策に関する昨年度の取組状況を伺うとともに、今後の対策を進める上で重点的に実施するべきと考える内容についてお伺いします。

6.地球温暖化防止の取組について(温暖化対策課)

2021年のノーベル物理学賞を、眞鍋淑郎プリンストン大学上級研究員が受賞されました。誠に、喜ばしく存じます。受賞の理由は「地球の気候と地球温暖化の予測に関する物理モデルへの貢献」であります。今回の受賞について、ある専門家は「気候危機への国際的な取組を進めるうえで重要なCOP26が今月末から開かれるのを前にした受賞決定は、ノーベル委員会の社会への重要なメッセージ」「科学の警告を社会が受け止め、温室効果ガスの大幅な削減を実現することが求められている」と語っておられますが、多くの県民も共感をするところではないでしょうか。

本県では、2017年3月に策定した「兵庫県地球温暖化対策推進計画」において、温室効果ガス削減目標を2013年度を基準として、2020年度に5%、2030年度に26.5%を設定して、取組を進めてきました。本年3月の改定では、2013年度を基準として、2030年度に35%(最大38%)に設定し、前計画より目標を強化されたところです。

地球温暖化防止は国際社会における最も重要な課題の一つであり、県民や事業者にとっても極めて関心の高い切実な課題であると認識します。再生可能エネルギーの導入拡大、エネルギーの地産池消等について、一層果敢な取組を期待するところですが、当局におかれては、温室効果ガス削減目標達成をはじめとする、地球温暖化防止策をどのように展開して行かれるのか、この際に改めてご所見をお伺いします。