議会の動き

石井健一郎議員が質問(決算審査・県土整備部)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (県土整備部)
2011年10月17日(月)

1 関西国際空港と伊丹空港の経営統合について

 関西国際空港と伊丹空港の経営統合法案は5月に成立し、来年4月1日に新たな運営会社を設立し、同7月1日に経営統合することを定めた政令が閣議決定されています。なお、経営統合後は、民間へ運営権を売却するとしていますが、これは黒字が出ている大阪空港と一体的に運用することにより、約1兆円に上る関空会社の有利子負債を早期に解消し、首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生するのが目的であります。

 しかしながら、羽田空港が国により空港島を造成しているのとは異なり、関空会社は、自社の借り入れによって空港島を造成していることから年間約180億円の利払い負担があります。

 一方、今年度の国からの補給金は2009年度の90億円から75億円に減額されており、予断を許さない状況です。営業利益は約190億円であり、関空会社の決算が黒字ではあるというものの、国からの補給金を収益に計上しているからであって、補給金なしには経営が成り立つ状況ではないし、ましてや約1兆円に上る有利子負債の返済は遅々として進んでいないのが現状です。

 伊丹空港の約40億円の黒字はこれまで社会資本整備事業特別会計空港整備勘定において管理されていたわけですが、経営統合により、関西国際空港の補填に伊丹の黒字を直接活用できることは評価しています。また、経営統合による運営の最適化により、伊丹空港の国際線復活等、航空需要を掘り起こすことが出来るとしていることも承知しているところですが、国内路線の棲み分けや伊丹空港と関西国際空港の両立など、経営統合による新たな課題も生じます。

 そこでまずは、既に決まっている伊丹空港と関西国際空港の経営統合に対して、県としてどのように評価しているのか、経営統合のメリット、デメリットと併せてご所見をお伺いします。

2 関西国際空港と伊丹空港の経営統合後の神戸空港について

 ただいま、関西国際空港と伊丹空港の経営統合に対する評価、メリット・デメリットをお伺いしましたが、経営統合の際には、神戸空港は地方空港だと言うことで脇に置かれた格好になりました。

 神戸空港は、関西国際空港と伊丹空港の経営統合後も、自立した運営ができるようにしていくことはもとより、関西復権の一翼を担っていることから、積極的な空港運営を推進していくべきと考えますが、関西国際空港と伊丹空港の経営統合後は2空港プラス1空港という形になるわけですが、関西三空港における、神戸空港の役割や神戸空港に対する県の支援ついてどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

3 関西国際空港の経営改善に向けた取組みについて

 関西国際空港と伊丹空港が経営統合したからといって、関空会社の経営状況が劇的には好転するとは考えられません。経営統合後は、関西国際空港・伊丹空港を一体運営・管理するわけですから、伊丹空港の活用促進だけではなく、関西国際空港のハブ化をすすめ、国際拠点空港として運営していくことを、今まで以上に本県としても努めてまいらなければなりません。

 現在の関西国際空港における大きな問題点としては、空港へのアクセス利便性や、関西国際空港を拠点とする航空会社の少なさ等が挙げられますが、何と言っても最大の問題は関西国際空港の財務体質です。

 空港へのアクセス利便性の改善については、成田・東京間の距離の方が関空・伊丹間より長いにも関わらず、成田より関空の方に不便さを感じることが問題であり、これまでの成田・羽田間のアクセス改善を参考とし改善しなければなりません。また、関西国際空港を拠点とする航空会社の誘致も大切です。航空会社としては拠点空港に経営資源を集中する必要があり、拠点とした空港からしか航空網を拡げることはできないわけであります。海外の航空会社は国内間の輸送ができませんので、全日空(ANA)などが出資する格安航空会社(LCC)「ピーチ・アビエーション」が来年3月に就航することは喜ばしいことでありますが、引き続き関西国際空港を拠点とする航空会社を誘致していく必要があります。

また、航空会社の誘致により訪日外国人の獲得にもつながっていくことが見込まれます。
 最大の問題である、財務体質を改善していくに当たっては、先ほど申し上げたLCCのこともあり、着陸料の軽減は関西国際空港の競争力を高めていくためには必要不可欠であります。 巨額の有利子負債は国の基本インフラである関西国際空港の空港島まで関空会社に負担させたことによるものであり、例えば、空港島については国が買い取り、補給金を打ち切ることを国に求めることは一つの考え方です。また、関空会社の有利子・無利子合わせた約1.3兆円の債務の株式化等を求めていくことも一つの方法かもしれません。

 そこで、関西のハブ空港となるべき関西国際空港の経営改善のために解決すべき課題を県としてどのように認識しているのかご所見をお伺いします。

4 関西国際空港と伊丹空港の経営統合を見据えた空港戦略について

 知事も以前から言われていますように、関西国際空港と伊丹空港の経営統合は、伊丹空港の収益による関西国際空港の財務の改善が主眼ではなく、関西の浮揚に向けた航空需要の拡大につながらなければなりません。そのような観点からも、府県間の利害は対立する点があるかもしれませんが、これからは関西広域連合での議論も必要な問題であります。

 関西国際空港と伊丹空港の統合は既に決定しているわけでありますから、県も経営統合を待たずとも、経営統合後の空港運営に対して、国や新運営会社をはじめ関係機関へ積極的な働きかけを継続する必要があります。
 そこで、これまでの県の取組や、伊丹空港と関西国際空港の経営統合を見据えた空港戦略について、どのように考えるのか、あわせてご所見をお伺いします。