議会の動き

◆22年2月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方  討論

質  疑  相崎 佐和子 議員
代表質問  上野 英一 議員
一般質問  北上 あきひと 議員
      迎山 志保 議員
      竹内 英明 議員

質疑

(相崎 佐和子 議員)[発言方式:一括]

1 自宅療養者等相談支援センターについて
2 支援の必要性の高い妊産婦への臨時支援について

質問全文

質 問 日:令和4年2月16日(水)
質 問 者:相崎 佐和子 議員
質問方式:一括答弁方式

1 自宅療養者等相談支援センターについて

新型コロナウイルス感染症の第6波による感染者の急増を受け、県は、自宅療養者や濃厚接触者からの健康相談などに24時間対応する「自宅療養者等支援センター」を1月28日に設置しました。看護師等による健康相談、症状に応じた外来医療機関の案内、配食の調整など生活支援への対応等を業務とするセンターです。自宅で療養や待機をされている多くの方々のサポートは最優先で取り組むべきであり、センター設置の補正予算計上は然りと捉えています。

我々議員も自宅で療養や待機をされている方から、ご不安やお困りのお声を多くお聞きします。対象者の方々に手厚いサポートを実施するために、また保健所や医療機関への負担を軽減するために、センターを着実に運営していただきたいと考えます。

着実な運営において、特に強化する点は、まず相談員の十分な確保です。数多くの対象者がいる中、センターは24時間体制で対応。相談員が足りているのか、疲弊されていないかが心配です。また、外来での受診や医師による往診にあたり、受入先の負担にならないようなスムーズな医療機関への案内も重要な点です。医療機関からは、通常医療も抱える中、センターからの受け入れは限界があるとのお声も耳にします。

そこで伺います。センターの着実な運営においての重要なポイントである、相談員の確保・スムーズな医療機関への案内について、現状と今後の対応について、お聞かせください。

2 支援の必要性の高い妊産婦への臨時支援について

予期せぬ妊娠など支援の必要性が高い妊産婦に対して、受け入れ場所の確保、心理的ケア、生活相談などを実施する経費として3500万円が補正予算計上されました。

県が「妊娠SOS相談事業」を委託している団体には、平成30年9月からの3年間で、全国から約2万2千件の相談が寄せられるなど、予期しない妊娠や様々な事情で子どもを育てることが難しい女性が増えていると言われています。

このような状況を踏まえ、県は昨年11月「課題を抱える妊産婦等支援プロジェクトチーム」を設置し、早急に取り組むべき支援策を検討しました。今回の補正予算案ではこれを具体化して、受入場所の確保、自立支援計画の策定、訪問・見守り等を実施するとしています。

ただでさえ大変な妊娠・出産・産後の自立までの流れの中で、頼る人がなく経済的にも苦しい妊産婦にとって、心理的ケアや生活相談、自立に向けた就労支援などは、絶対に必要なことだと考えます。お母さんと赤ちゃんを行政がしっかり守るため、施策の推進は大いに賛成です。

具体的な支援について、様々な支援策がありますが、まずは相談してもらうことが第一歩であり、そこから各支援策に確実に誘導できればと考えます。

課題を抱えたまま誰にも頼ることができず孤立している妊産婦が、まずは気軽に相談して、寄り添った対応をしてもらえることが支援のファーストステップ。ゆえに、相談できるところがあると知ってもらうための相談窓口の幅広い周知、そして相談に的確に対応するための相談窓口の充実が、重要なポイントだと考えます。

そこで伺います。相談窓口の周知と強化について具体的にどのように行うのか、また相談をスムーズに支援につなげるためにどのような工夫をするのか、お教えください。

相崎 佐和子

(選挙区:伊丹市)

代表質問

(上野 英一 議員)[発言方式:分割]

1 県民に対するメッセージの発信について
(1) コロナ対策について
(2) 県政改革方針について
(3) 行財政の運営に関する条例の一部を改正する条例について
(4) 「誰も取り残さない県政の推進」について
2 兵庫県のカーボンニュートラルについて
(1) 温室効果ガスの削減について
(2) 再生可能エネルギーの導入目標について
3 地域創生について
4 持続可能な農業と国土保全について
(1) 生産コスト削減に向けたスマート農業の展開について
(2) 生産者の収益性を高めるための取組について

質問全文

質 問 日:令和4年2月22日(火)
質 問 者:上野 英一 議員
質問方式:分割方式

1 県民に対するメッセージの発信について

知事の最大の責務は、県民生活の向上、安全・安心の生活の確保にあることは言うまでに及びません。そのために8月に就任をされてまず取り組まれたのが、コロナ対策であり、県政改革方針の策定、そして令和4年新年度予算の編成であります。そして知事の責務には、自らが取り組まれることを、県民に分かり易くメッセージで届けることも含まれていると考えています。

さて、知事は選挙公約でも一定の考え方を示しておられますが、私は県政改革方針で示されていることが知事の政治スタンスと受け取ります。それは、1.躍動する兵庫の実現として、(1)オープンな県政の推進、(2)「誰も取り残さない」県政の推進、(3)県民ボトムアップ型県政の推進 2.持続可能な行財政基盤の確立 3.イノベーション型行財政運営の実現として、(1)「ビルド」を重視した行財政運営、(2)成果を重視した政策立案手法の導入、(3)透明性向上のための外部評価の積極的活用 であると考えます。

以下、これまでの知事の取組とそこに込められた県民へのメッセージについて個別にお伺いします。

(1)コロナ対策について

知事は、新型コロナ感染症第5波の拡大期に就任をされました。就任された8月1日は日曜日ではありましたが、新型コロナウイルス感染症対策庁内連絡会議、ならびに全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部会議を経てから、連日新型コロナウイルス感染症対応に当たられ、11月はじめにはほぼ収束しました。そして再び第6波が1月初めから猛威を振るっています。

そこでまずコロナ対策について、5波の経験をどのように生かされて、何を重点に現在取組を進められてきたのかを伺うと同時に、そのメッセージの発信について新たに改善をされたこと、そしてその手応えについてどのように感じておられるのかお伺いします。

(2)県政改革方針について

次に県政改革方針についてですが、オープンな県政の推進、県民ボトムアップ型県政の推進、持続可能な行財政基盤の確立について、1次案の作成ではそのメーセージを強く感じています。しかし、ボトムアップ型県政の推進の上では知事のマネージメントには問題があったと考えます。それは、県議会や市町長会などから多くの意見が出されたことに対して、1次案の見直しで示されたようなことを知事が事前(1次案公表前)にマネージメントできなかったことにあります。

1次案については、関係部局、担当者が一番良く状況を把握しており、それに基づいて改善すべき課題を纏めたものであります。個々については私も異論があるところもありますが、客観的に1次案としては高く評価するところです。

しかし、時間がなかったことが大きいと思いますが、丁寧な説明を伴った記載とはなっておらないだけでなく、関係する市町や関係者などに対しての協議・調整など配慮に欠く内容であったと考えます。時間がなかっただけに、令和4年度は代替案も含めて協議の時間とするなどのマネージメントが必要であったと考えます。またそれを行うのが、ボトムアップ型における最後の知事のマネージメントと考えますが如何でしょうか。

(3)行財政の運営に関する条例の一部を改正する条例について

第1条(目的)や第1条の2(基本理念)についても問題という声もありますが、私は審議会について定めた第7条のうち、3項の審議会委員の人数を15人から7人に変更すること、4項の審議会の委員について、「県内で活動を行う団体を代表する者」を無くすこと、この2点については到底認めることはできません。

その最大の理由は、知事の進めようとされている1.躍動する兵庫の実現として、(1)オープンな県政の推進、(2)「誰も取り残さない」県政の推進、(3)県民ボトムアップ型県政の推進 とは真逆のことになっていると考えるからです。

現行条例の前身「行財政構造改革の推進に関する条例」では、審議会とは別に、第9条で「行財政構造改革県民会議」を置くことを定め、広く県民の意見を聞く体制を担保していました。

現行の「行財政の運営に関する条例」を制定する際、この「県民会議」の設置は無くなりましたが、代わりに審議会の委員を7名から15人に増やし、構成員の中に、「県内で活動を行う団体を代表する者」を新たに加えることで、広く県民の意見を聞くことを担保したのです。知事が立候補の記者会見で示された「県民と一緒に変えていく」という姿勢を、今回の県政改革においても貫くのであれば広く県民の意見を聞く体制を、自ら放棄して良いはずはありません。

説明を聞きますと、2項(3)号 行政施策の評価に関すること 4項(2)号 法律、会計又は経済について知識経験を有する者 と記されているように、事業レビューに重きを置きたいとのことです。もちろんそれは、県政改革を進める上で大変重要な作業だと思います。

私の提案は、15人の審議会は現行のままとし、それとは別に事業レビューを実施するために、法律、会計又は経済について知識経験を有する者7人での専門委員会を設置することです。専門家だけでは作業できないと考えますので、県庁内に職員による内部プロジェクトチームも設置し、事業レビューの叩き台を作り専門家委員会で報告案を作成する。それを審議会に諮り、県政改革の議論と理解を得た上で進める。このような方法をとるのが、真の(1)オープンな県政の推進、(2)「誰も取り残さない」県政の推進、(3)県民ボトムアップ型県政の推進だと考えます。如何でしょうか。

(4)「誰も取り残さない県政の推進」について

知事は、選挙中から自身の政治理念として「誰も取り残さないあたたかい県政をめざす」と掲げておられ、8月の就任挨拶でも、9月定例会での知事提案説明でも、そして今回の県政改革方針でも、一貫してこれを掲げておられます。

我が会派としても、この理念には大いに賛同するところですが、具体的に知事の施策にどのように反映されているのかは、まだ見えてきません。

知事は「報酬3割削減、退職金半減」を公約に掲げ当選されました。もちろん、選挙で支持をされて知事になられ、条例提案されたことには、私たちは賛成をいたしましたし異議はないところです。しかし、私はそのような公約そのものが如何なものかと思っています。近年の非正規労働などの雇用環境悪化の中で、県民の所得は伸び悩むだけでなく、むしろ厳しくなっています。その県民の方たちから見れば、知事給与や議員報酬、また県職員の給与は高額であり、またその原資は税金となれば厳しい見方をされる方が多いと思います。そこに、先程のような公約を出されるとそれが大層素晴らしい政策に見えるかもしれません。しかしながら本来、そのような思いの県民の方達の期待に応える政策とは、暮らしの向上について医療や教育の無償化、生活保護手当はじめとする福祉政策の拡充、またそれを可能とする持続可能な行財政運営基盤について議論することが重要ではないかと考えるところです。そしてそれを実現することが、「誰も取り残さない」県政の推進ではないでしょうか、知事の見識をお伺いいたします。

2 兵庫県のカーボンニュートラルについて

国内外での脱炭素化への動きが加速しています。2050年カーボンニュートラルです。やっと動き始めたかの感がします。国が地球温暖化対策計画を改定し、2030年度温室効果ガス削減目標を2013年度比▲46%としたことから、県では令和3年度内に「兵庫県地球温暖化対策推進計画」を見直し、2050年CO₂排出量実質ゼロの実現に向けて目標を強化しようとしています。同時に再生可能エネルギー導入目標も強化し、脱炭素に向けた経済活動、ビジネスチャンスを推進しようとされています。

そこで、下記の2点についてお伺いします。

(1)温室効果ガスの削減について

温室効果ガスの削減目標は、国の目標を上回る2013年度比▲48%と大胆な設定となっています。

平成30年度の兵庫県の部門別温室効果ガス排出量をみると、産業部門が65.5%と大きな割合を占めており、以下は運輸11.2%、家庭9.7%、業務7.6%。その他6%となっています。この現状から、特に産業部門での取り組みが重要と考えるところです。産業部門に対しては、条例に基づいて指導していくとなっていますが、例えば、大手企業については、石炭火力発電等におけるアンモニアとの混合燃焼、中小事業所については再エネ導入など、エネルギー転換を図っていくための具体的な取り組み支援が必要です。

また運輸部門については、次世代自動車の普及を促進し、「兵庫水素社会推進構想」に掲げる水素社会の実現のためにも、①水素ステーション等の整備補助、②燃料電池自動車(FCV)・燃料電池バス(FCバス)・燃料電池タクシー(FCVタクシー)の導入補助により、水素モビリティーの普及を進めていく必要があります。

水素に関しては、先日、岩谷産業(株)や川崎重工業(株)を視察させていただきましたが、大いに期待するところですし、ビジネスチャンスでもあると考えます。しかし水素だけを見れば、燃焼させても水しか発生しないクリーンエネルギーだと思いますが、オーストラリアで褐炭を使って精製し、タンカーで燃料を使って日本まで遠距離を輸送するとなると、地球全体としての脱炭素にはまだ課題があると考えます。

そこで、現在見直し中の県温暖化対策推進計画で掲げる2030年度48%削減の達成に向け、産業部門や運輸部門での温室効果ガス削減対策の具体的な取組について、どのように進めていこうと考えているのか、ご所見をお伺いします。

(2)再生可能エネルギーの導入目標について

国の2030年度におけるエネルギー需給の見通しは、まずは徹底した省エネにより6,200万klを節約し、最終エネルギー消費を約2億8千万klと見込んでいます。

そしてこの2億8千万klの電源構成の内訳を、CO2の排出が少ない電源使用を増やし、CO2の排出が多い電源使用を減らすことで、温室効果ガスの削減46%を達成しようとしています。具体的には、再エネを18%から36~38%に増、水素・アンモニアを0から1%に増、原子力を6%から20~22%に増とする一方、LNGを37%から20%に減、石炭を32%から19%に減、石油等を7%から2%に減ずるものです。

このように再エネの導入促進が鍵となるところですが、再エネ増加の内訳としては、太陽光6.7%から14~16%に増、風力0.7%から5%に増、地熱0.3%から1%に増、水力7.8%から11%に増、バイオマス2.6%から5%に増と見込んでいます。

現在見直し中の兵庫県地球温暖化対策推進計画の目標では、2020年の再生可能エネルギー47億kWhを2030年に100億kWhにするもので、そのほとんどは非住宅用太陽光発電とバイオマス発電とされています。しかし近年、山林等におけるメガソーラー発電のトラブルも生じるなど適地が不足していると考えます。未利用スペース(荒廃農地やため池等)の活用可能性調査を行うとありますが、メガソーラー発電を含めても現在26.3億kWhであるのを倍増の53.1億kWhとするには、相当に厳しいと考えます。

また、バイオマス発電での目標設定が小さいように思えますが、枝葉を含めた間伐材などの木質チップについては、賦存量は十分と考えます。山の再生も考えると、減災や自然環境の向上、若者の森林作業への就業、牽いては地域活性化にも繋がると考えます。現在、木材価格が上昇しているために、木質チップ材料としては厳しい現状にありますが、枝葉などの未利用材の活用や雑木林材の活用など、総合的な森林政策として考える必要があるのではないかと考えます。

以上を踏まえ、兵庫県地球温暖化対策推進計画における本県の再生可能エネルギーの導入目標達成のための具体的方策について、当局の見解をお伺いします。

3 地域創生について

兵庫県では全国に先駆けて、2015年3月に兵庫県地域創生条例を制定し、10月には第一期兵庫県地域創生戦略(2015~2019)を策定しました。その中で①自然増対策(子ども・子育て対策)、②社会増対策、③地域の元気づくりを3つの戦略目標と設定し、取組を進めてきましたが、①自然増対策、②社会増対策は、厳しい現実となっています。第一期戦略の評価検証と新たな時代潮流を踏まえ、2020年に第二期兵庫県地域創生戦略(2020~2024)が策定され、現在、「地域の元気づくり」及び「人口対策(社会増対策、自然増対策<子ども・子育て対策、健康長寿対策>)」の2つの柱と4つの戦略目標で取り組みを強化しています。

現状と課題、時代潮流、総合的な対策、施策体系と記されていることはその通りだと思います。おそらく1,700余りの自治体の戦略も似たようなものと考えます。社会増対策も重要だと思いますが、やはり根本は自然増対策、出生率の増加です。これに向かって、特化した対策をとるべきと考えます。

戦後社会、特に近年の効率を優先にした経済活動は、東京一極集中を生み出しました。東京には若者が多く集まっています。しかし、出生率は最低を更新し続けています。華やかな経済・文化生活を享受する者と、低賃金に文化的な生活とは程遠い暮らしをする者がおりますが、どちらに属する者もが出生率を下げています。

平成の悪策、平成の市町村合併が、効率を優先した経済活動の中で行われました。合併市町の特に旧役場周辺では、最大の職場を失われることによって、関連する地域の商店等の経済活動も衰退していきました。今、地域の元気づくりと、この間の経済活動や平成の市町村合併とは真逆の地域創生が、声高に謳われています。

花の東京の喧騒は、経済的に成功した者にとっても、決して人間的な満足度には達していないことも多いと考えます。もちろん低賃金に甘んじている人々はなおさらであります。そういう時代潮流の中で、田舎で・地方で仕事と子育てをしたいと考える人たち、また、余生は、田舎の自然の中で野菜などを育てるなどの自給自足の生活をしたいという人々が増加をしています。

私は、このことを基本に戦略を起てるべきと考えます。やはり、田舎に人が集まる、若者が田舎に居住する条件を作ることが、最大の地域創生戦略です。

パソナが、淡路に本社機能の大半を移し、社員の子育て環境の整備に学校などの計画をしています。もちろん、第2第3のパソナを期待するところです。しかし、県の戦略を特定の企業のみに頼るわけにはいきません。

私は、戦後復興において国策として植林事業を進めたここに、兵庫の戦略を置くべきと考えます。林業は、経済活動の進展の中で産業としては衰退し、山の管理が問題となっています。しかし、先のカーボンニュートラルの質問でも述べましたが、バイオマス発電のための木質チップ等にはビジネスチャンスがあります。戦後の国策が、今貴重な財産として残されています。

また、東京の喧騒の中でも成功したにもかかわらず出生率は下がっていることを述べましたが、人間という動物は、本来、日の出に目覚め働く、それもオフィス労働も良いですが汗をかきながらの労働、夜には就寝する。そして、子孫を作っていくのが自然と私は考えます。建設業では3Kで人不足が言われていますが、山や農も、今や機械やITなどのオペレーター業務が多く、若い人材が興味を持てる業務が増えています。ここに、うまく若者をマッチングできれば、田舎に若者が住み続けたり、回帰できます。実際、私のまわりでは少年野球クラブのOBを中心とした建設会社が、今や地域の担い手になっています。

ここまで田舎を愛する私の立場からの提案を述べましたが、広く五国を有する兵庫県全体においては、当然、都市部もあれば多自然地域もあり、それぞれが様々な特性を持っています。そのため、中間年の見直しにおいては、この兵庫五国の多様性をさらに活かした地域創生戦略とすべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

4 持続可能な農業と国土保全について

昨年の代表質問でも申し上げました。ひょうご農林水産ビジョン2030では、「『農』とは、土を耕し、森を育て、豊かな海を守り、食料をはじめ人々の生活を支える様々のものを生み出す農林水産業の営み、その営みを通じた生物多様性などの環境保全や洪水防止、水源涵養等の多面的機能により県民の『いのち』と『くらし』を支えるもの。さらには、人々の生活の場である農山漁村とそこに育まれた伝統・文化、豊かで美しい景観など、広く農林水産業・農山漁村をとらえた概念。」と記されています。県民の『いのち』と『くらし』を支えるもの。ですよ。まさしく私の思いと同じであります。

しかし、その現状はどうか?特に、これまで兵庫の農業を支えてきた兼業農家は、集落営農に形を変えて何とか農地・国土保全に努めて参りました。私の地元の一般的な営農組合は、耕作面積はほ場整備済の約30haであり、法人化を進め、経営理念を高めようと努力をしています。D地区法人では、作業の中心は定年退職者を中心とした60歳以上です。それでもこれまでは、交付金や米価もそこそこにあったこともあり、作業に出役した場合はオペレーターで時間単価1800円ほどを支給できていました。しかし、現在1反(10a)当り管理費を1万円徴収して、出役単価も1500円に下げてやっとトントンであるとのことです。しかし、令和3年度ではさらに米価の販売価格が下落して、赤字決算の見込みだそうです。現在の農地所有者は、管理費1万円の徴収をしぶしぶながらも応じていますが、代替わりをすればそれも困難になるのを危惧するばかりでなく、相続そのものの放棄も考えられ、まさしく放棄田化するのではないかと想像するところです。

まさしくここ10年が勝負であります。持続可能な農業のためには、生産コストをいかに削減するか、そして収益性をどのように高めていくか、この双方からの施策を考える必要があるため2点について県当局の見解をお伺いします。

(1)生産コスト削減に向けたスマート農業の展開について

農林水産省の統計によると兵庫県では農地の92%を水田が占め、水稲栽培を中心として展開されてきたが、米全体の収穫量は令和2年度では実に平成2年度の76%で、56,100tの減少と衝撃的な内容であります。

このような状況において、生産コストの削減を実現するためには、スマート農業の推進が鍵になると考えます。

そのためには、まず農地整備を進めていく必要があります。過去に整備したところでも、ほ場の大区画化をすることでさらなる大型の自動運転機械の導入が図れます。また、用水路のパイプライン化をすることにより水管理システムや草刈りロボットの導入が図れます。あわせて排水路も暗渠化できれば、草刈りがロボットの導入も含め作業が容易になります。こうした点から基盤整備の促進が非常に重要ですし、今後も必要な事業費の確保に努めて頂きたいと考えます。

また、スマート機器については、トラクターやコンバイン、草刈りロボットの自動走行農機の導入には、高度な測位情報が必要と聞きます。また直播や施肥・農薬散布作業へのドローンを活用したセンシングでは、生育状況、病害虫による被害状況の把握・分析などをAIにより解析するシステムの構築が必要と考えられます。しかし導入そのものがコスト高になるようでは、主客転倒です。過去においても兼業農家等は、作業の省力化のために農機具導入やJAなどへの乾燥調製・精米麦の委託に、多額の経費を充ててきました。スマート農業の推進では、真に生産コストを意識した施策とする必要があります。

生産コストの削減に向けて、スマート農業の導入に向けた基盤整備はもとより、県がJA等と連携してスマート農業を先導的に推進していく新たな仕組みづくりが必要と考えますが、当局の見解をお伺いします。

(2)生産者の収益性を高めるための取組について

米の生産量が、平成2年度と比較して令和2年度では76%まで落ち込んでおり、本当に衝撃的な数字です。この現状では、転作作物での収益確保が必須となります。

昨年もJA兵庫六甲の例を紹介しましたが、転作作物苗の供給と、生産したその農産物の販売などの支援が絶対的に必要です。県や市町は、転作作物の奨励はしているものの、JA兵庫六甲のような取組が進んでいる地域は少ないのではと思います。

今後、農業者やJAが流通業者や食品産業等実需者と結びつきを進め農産物の販売先を確保した上で、栽培計画や販売計画を立てなければ、転作作物の生産は進みません。個々の農業法人や農業者に取組を任せるのではなく、県としてもJA等と連携して、より多くの生産者の収益性を高めるための取組が必要と考えますが如何でしょうか。

上野 英一

(選挙区:神崎郡)

一般質問

(北上 あきひと)[発言方式:一問一答]

1 私立幼稚園における特別支援について
2 公共交通事業支援施策について
3 川西市内に新設される一時保護所のあり方について
4 化学物質過敏症への取組について
5 石綿(アスベスト)健康被害救済法見直しに向けての本県の役割について
6 猪名川町の観光資源活用に向けての、市街化調整区域における開発及び建築行為に対する許可の弾力化について

質問全文

質 問 日:令和4年2月24日(木)

質 問 者:北上 あきひと 議員

質問方式:一問一答方式

1 私立幼稚園における特別支援について

子ども一人ひとりの教育・保育ニーズに応じた実践が求められる  なか、支援が必要な子どもに応じた十分な教育・保育を保障することは極めて重要であります。国、県、市町においては各々の立場から、保育所、こども園、幼稚園への補助事業等の施策を講じておられ、新年度、県においては、発達障がい等の子どもを受け入れる私立認定こども園に対して国制度に上乗せする形で支援を拡充する方針を示されました。

補助事業の多くは、国・県の負担割合はあるものの、実施主体が市町であり、特別な支援が必要な子どもの判定も市町が行っています。例えば川西市が公立の保育所、認定こども園はもちろんのこと、私立の保育園、認定こども園に通う子どもについて特別な支援の必要性の有無を判断する場合は、保護者の申請に基づき、市の保健師、指導主事、保育士等が、子どもと保護者に直接面談し、園所での個別の支援内容を踏まえての審議を経て決定をしています。

ところが、私立幼稚園の場合だけは流れが異なっています。私立幼稚園等特別支援教育推進事業は、特別な支援が必要な子どもへの早期支援、幼児期の子育て支援充実等の観点から、私立幼稚園における受け入れに対する支援を行うものですが、実施主体は兵庫県であり、該当する子どもの判定も県が行っています。

一部の私立幼稚園関係者からは、県に同事業の補助対象児童として認められることが極めて狭き門であると指摘をされ、現場の実情に即した制度の運用に改めて欲しいとの要望が寄せられているところです。

認定の基準としては、制度の趣旨に大きな差異は無いと思われる  ことから、これは現場の実情を細かく把握できる市と、書類上の判断が主にならざるを得ない県との、運用上の差では無いかと推測するところです。特別支援の必要の可否についての判断は、現場との意思疎通を充分に行い、子どもの特性や状態を丁寧に把握して適正に行われるべきであり、また判断結果の合理性についての理解を得ることが肝要だと考えます。

障がい児保育に要する経費については、保育所で受け入れている 障がい児一人当たり150万円余が各市町に地方交付税として措置されていますが、幼稚園においては同様の交付税措置がありません。国に是正を求めることが必要でありますが、それが叶わない現状にあっては、県において私立幼稚園特別支援教育への力強い取組が求められると考えます。新年度予算案では私立幼稚園等特別支援教育推進事業について、358,288千円を計上され、今年度に比べ46,648千円の増額見込となり、その効果に期待をするところです。

そこで、補助対象児童決定のあり方を含め私立幼稚園等特別支  援教育推進事業の現状と課題について、当局の所見を伺います。

2 公共交通事業支援施策について

コロナウイルスの感染拡大が長引くなかにあって、地域公共交通 機関においては、感染対策に鋭意努めながら運行を維持し、県民の暮らしを支えて頂いています。かねてより人口減少等に伴って、公共交通機関を取り巻く環境は厳しいものがありました。コロナ禍が追い討ちとなった交通事業者も多く、その経営は深刻であるとの声を数多聞き及ぶところです。

コロナ禍、県民のライフラインである公共交通機関への支援は必須であり、私たちもその取組強化を訴えて参りました。県においては、交通事業者が実施する感染防止対策への支援、車内などの密度を上げないよう便数等に配慮した運行に取り組む鉄道・バス事業者等への運行経費支援等を実施しているものと存じます。

地域公共交通は、人口減少や過疎化に加え、大規模自然災害の頻 発、カスタマーハラスメント、暴力行為、放火事件・殺傷事件の続発、燃料費高騰、施設の老朽化、要員不足等、極めて多くの難問に直面しています。また、リモートワーク等が普及するなか、これまでの需要構造は大きく変化することが見通せます。コロナ禍が明けるのを待っていれば、いずれ事態は良くなるとは決して言えません。

新聞報道等によると、既に国土交通省においては今月16日に鉄道の運賃・料金制度を見直す方針を明らかにしています。

鉄道・バス等の交通事業者は、企業としての社会的使命を果すために様々な取組に努めており、例えば、自治体と連携しての生活交通網維持、交通弱者の移動手段確保、環境負荷低減等に取り組んでいることは周知のことと存じます。加えて通学定期券であります。鉄道事業者の通学定期割引率(1ヵ月平均)は、東洋経済オンライン2020年5月の報道によると、阪急電鉄78.5%、山陽電鉄77.6%、阪神電鉄75.0%、神戸電鉄69.6%、神戸市営地下鉄60.0%、神戸新交通59.8%、能勢電鉄59.7%等となっており、またJR各社の割引率も大手私鉄と同等だと認識するものです。バス事業者においても、同様に通学定期券の大幅な割引が実施されております。通学定期券は、均等な教育機会の保障に資する多大な社会貢献でありますが、各事業者の今後の経営状況によっては止むを得ず割引率減少に至るのではないかと危惧するものです。

県におかれてはひょうご公共交通10カ年計画(2021~2030)を策定し、その理念を「豊かで活力ある県民生活を支える持続可能で安全・安心な公共交通 ~公共交通を県民とともに、つくり・まもり・育てる~」としています。私は、公共交通の維持・確保は、憲法25条の文化的な生活に含まれるものであり、公共交通の公共性を誰がどのように担うのかが、今一層問われていると考えます。

そこで、県におかれては、コロナ感染防止策への補助やコロナ禍における実証運行への支援等にとどまることなく、将来に渡って地域公共交通が安定的に維持できるよう、国・市町・県民とも連携を図りつつ更なる施策展開を図って頂くことを望みますが、当局の所見を伺います。

3 川西市内に新設される一時保護所のあり方について

県の報告によると、2020年度の神戸市、明石市を含む県内のこど も家庭センターが受け付けた児童虐待相談件数は8,816 件で、2015年度の3,281件と比較して268 %増、2020年度の一時保護児童数は   2,580人であり、2015年度の1,402人と比較して184 %増となっています。本来なら最も愛されるべき親など周囲の大人から子どもが虐待されるという事態は、本当に痛ましく辛いことであり、子どもの生命と人権を擁護するため、迅速で適切な対応が強く求められているところです。

県においては、中央こども家庭センター一時保護所において一時 保護が急増しパンク状態であること、子どもの人口に対する定員数が全国と比較して極めて少ないこと、また広い県域のなかで阪神間の一時保護件数が多いこと等から、2024年度を目途に川西市内に一時保護所を新設するとの方針を示されました。県の前向きな判断を嬉しく思います。新設される一時保護所においては、子どもの最善の利益を実現するために、ソフト・ハード両面の取組が充分になされることを期待するものです。

一時保護所の専門職員には、幅広い知識と洗練された援助技術、現場経験の蓄積によって編みだされる洞察力、共感力、調整力など総合的な人間力が求められます。果す役割が大きく担う責任が重い、そういう職種にふさわしい処遇が求められていることは、かねて再三指摘してきたところです。中央こども家庭センター一時保護所においては、2019年度に受入れ定員を40人から54人に引き上げましたが、必要な職員が確保できず、残念ながら予定した定員の増員が叶わない状態が未だ続いています。新設される一時保護所の職員配置は、年齢構成において、ベテラン、中堅、若手のバランスが求められるものと考えます。また、子どもアドボカシーの観点も重要であり、相応しい職員の確保に努めて頂きたいと考えます。

施設については、定員の75%以上を個室とし、セクシャルマイノ リティや性的被害を受けた子どもらに配慮したユニットバスを設置する等の方針が示されています。年齢の異なる、様々な困難を抱えた子どもたちが、心から安心して穏やかに寛いで過ごせるよう充分な配慮が行き届いた環境を整えて頂きたいと切に願います。図書室、体育室、ICT機器、Wⅰ-Fi環境等の整備によって、学校に通えない子どもたちの学習を支える体制の構築にも努めて頂きたいと考えます。

そこで、今後、社会福祉審議会児童福祉専門分科会一時保護所のあり方検討部会での議論を踏まえ、川西市内における一時保護所開設への作業が進むと存じますが、ソフト・ハード両面の取組において、子どもの最善の利益をどのように実現して行かれるのか、当局の所見を伺います。

4 化学物質過敏症への取組について

私たちの身の回りには、極めて多くの化学物質が使用されおり、国内では約5万種の化学物質が製品として流通しています。化学物質が現代の私たちの快適な生活を支えている一面があるのは事実ですが、他方においては化学物質の暴露により、様々な環境影響や健康被害がもたらされる危険性があるのも、また事実です。

農薬や建築材料、柔軟剤や芳香剤などから発する微量の化学物質を 吸い込むと、頭痛、目まい、胸の痛み、口・のど・鼻の痛み、身体のかゆみ、けいれん、脱力、疲労感等を発症する化学物質過敏症の方は、13人に1人とも10人に1人とも言われます。加えて、これは極一部の体質の人だけが発症する病気ではなく、微量でも化学物質を浴び続けると、ある日から突然化学物質過敏症になる可能性があると指摘をされています。昨年8月、国は柔軟剤や芳香剤等の香り製品により体調不良を起こす人が一定数存在することを認め、5省庁(消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省)連名で啓発ポスターを作成、発行しました。本県では、ホームページ等で住宅地周辺の樹木等の病害虫駆除における、化学物質過敏症の方への配慮を呼びかけていますが、充分な対応だとは言えず、一層の取組を期待するところです。20以上の都道府県では化学物質過敏症の周知・啓発をホームページで行っています。部局横断の連絡会の立ち上げ、相談窓口の設置、独自のガイドラインやマニュアル作成等に取組む都道府県も見受けられます。

そこで、県民の生命・健康に関わる課題として捉え、他都道府県の先行事例も参考にしつつ、相談窓口設置や啓発事業等の対策を求めますが、当局の所見を伺います。

5 石綿(アスベスト)健康被害救済法見直しに向けての本県の役割について

アスベストは断熱、耐火、防音性に優れ、また安価だったため、かつては建設資材をはじめ多様な製品に使用されました。アスベストは繊維状の鉱物で、ほぐすと髪の毛の5千分の1という細さになり、肺に吸い込むと、中皮腫、肺がん、石綿肺などを引き起こします。発症までの潜伏期間は十数年から50年程度と極めて長く、静かな時限爆弾とも言われます。

石綿(アスベスト)健康被害救済法は、所謂クボタショックを 契機とし、2006年に成立しました。同法施行により、アスベストによる健康被害のうち労災補償の対象にならない周辺住民の環境被曝等の被害者が救済対象となり、加えて労災補償を受けずに亡くなった労働者の遺族には特別遺族給付金が支給されることになったのです。2011年の法改正では、特別遺族給付金の請求期限が延長されるとともに、支給対象が拡大されました。

2016年12月に中央環境審議会環境保険部会石綿健康被害救済小 委員会が取りまとめた「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」では、同制度の5年以内の見直しが必要であるとされ、昨年12月には、取りまとめから5年が経過しました。治療環境の変化や新たな司法判断が示される等、制度を取り巻く状況は大きく変化しており、認定基準や療養手当の見直し、治療研究促進のための石綿健康被害救済基金の活用、労災時効となった遺族を対象とした給付金の請求権延長等が求められています。本年1月24日には、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の方々が、斎藤知事宛に環境省に対し、中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会を至急開催するよう要請して欲しいとの要望書を提出されたところです。

本県はかつてアスベストを扱った工場が多く、2005年には県内アスベスト工場の労働者や周辺住民の健康被害が判明し社会問題化しました。阪神・淡路大震災から27年が過ぎ、被災地で飛散したアスベストによる健康被害の一層のひろがりが懸念されています。2016年当時、本県健康福祉部長は取りまとめを行った石綿健康被害救済小委員会(委員10名)の一員でもありました。

そこで、これらの経緯に鑑みて、本県は患者と家族の実態を把握し、必要な見直しを国に求める役割を果すべきだと考えますが、当局の所見を伺います

6 猪名川町の観光資源活用に向けての、市街化調整区域における開発及び建築行為に対する許可の弾力化について

一昨年12月議会での私の一般質問に対し、産業労働部長は猪名川町には、猪名川渓谷の屏風岩、鉱山としては本県初の国史跡多田銀銅山遺跡、江戸時代の豪農の屋敷を模した静思館、そば打ち体験が人気の道の駅いながわなど、観光コンテンツが多数あります。大野アルプスランドは、都市近郊にありながらダイナミックな展望を誇り、キャンプ場では満天の星空を楽しめるなど、魅力あふれるスポットです。とご答弁されました。県においては、地域創生交付金の活用、ひょうご観光本部や阪神北県民局による広域観光の情報発信等により、猪名川町の観光振興に尽力頂いていると認識するところです。また県立奥猪名健康の郷は、昨年10月にリニューアルしました。温泉、自然体験、アスレチック、スポーツ施設等の魅力を発信すると共に、周辺エリアの整備によって、本県の観光資源としての一層の活用が期待されます。

猪名川町では、人口減少が進むなかにあって、観光資源の積極的 な活用によって地域経済の好循環を生み出すとともに、IJUターン等の移住・定住を視野に入れた交流人口の拡大に努めているところです。新名神高速道路の開通によりアクセスが向上し、特に大野山や屏風岩周辺では観光資源としてのポテンシャルが高いことから、積極的に観光客を誘致する土地利用が望まれています。現在、第2次猪名川町観光振興基本計画の策定が進められているところですが、猪名川町の観光資源の多くが市街化調整区域に存することから、無秩序な市街化を抑制しつつ、開発や建築行為を如何に進めて行くのかという課題に直面しています。

県においては、県土地利用推進検討会を立上げるなど、市街化調整区域での空き家活用に繫がる規制緩和や用途変更迅速化、補助率引き上げ等の取組を進めており、県内関係市町の期待は大変に大きいと考えます。猪名川町では、都市計画マスタープランや土地利用計画の見直しによって、観光施策上必要な土地利用を図るべく、観光資源の活用区域の設定などを検討しているところでありますが、円滑な施策展開には県との連携が不可欠です。また、民間事業者や個人の参入を促し事業の具現化を図るには、明解平易な基準の明示、実現性の担保、可及的迅速な手続き等が期待されており、県に引き続きの取組を求めるものです。

そこで、アウトドアやマイクロツーリズムへの関心の高まりを見据え、市街化調整区域における地域活性化や観光振興に寄与する開発及び建築行為に対する許可の弾力化を切に願うところでありますが、当局の所見を伺います。

北上 あきひと

(選挙区:川西市・川辺郡)

(迎山 志保 議員)[発言方式:分割]

1 県民ボトムアップ型県政の実現に向けて
(1)広聴ツールの刷新
(2)参画と協働の新たな仕組みづくりについて
2 これまで進めてきた芸術文化施策への知事の姿勢について
3 OAAはりまハイツの今後のあり方について
4 高校における精神疾患への理解と支援について
5 高校入試における調査書の取り扱いについて

質問全文

質 問 日:令和4年2月25日(金)

質 問 者:迎山 志保議員

質問方式:分割

1 県民ボトムアップ型県政の実現に向けて

(1)広聴ツールの刷新

県民の声を聞き、県民の思いを実現する。県民の幸せを追求する県政のエッセンスであり、ボトムアップ県政のキモ。今回、県民の価値観や行動志向、県政課題への意見聴取ツールとして実施されている県民モニター、さわやか提案箱事業について取り上げる。

県民モニターは事前に登録されたモニターが年間4テーマについて回答、回答率は約7割。モニターは継続登録も可能で現登録者2545人のうち53人は2005年の制度開始以来17年継続してくださっている方。今年新規登録された方は376人で全体の15%程度。多くは継続的に県政をモニターしてくれている。全体のうち10代~30代が全体の17%(ちなみに10代は10人)、50代~70代が61%でマス層。制度開始当初は30代までのモニターが3割を超えていた。未来志向の政策形成をするにあたり若年層の意見に耳を傾けること、課題を共有してもらうことは肝要。本制度を維持するのであれば、モニターの新陳代謝や若年層へのアプローチ、調査方法などの見直しを行い、より有意なものとする必要ではあるのではないか。また、さわやか提案箱についてはコロナ禍以降常時パンク状態と聞いている。令和2年度は13000件を超える意見が寄せられているが、内容について建設的で拾い上げるべき意見があったとしても誹謗中傷に近い意見や要望に埋もれてしまうような状況で、フィードバックについても明確なルールがあるわけではなくHPには現時点で9件掲載されているのみ。各県民局にも設置されているが内容については同様の課題を認識しているとのこと。機能的で意味のある提案箱に刷新するべきと考える。ボトムアップ型県政を実現するため現行の意見聴取ツールを刷新するべきと考えるがどうか。

(2)参画と協働の新たな仕組みづくりについて

この度、ビジョン委員制度や参画と協働の体現として県民運動などの中心を担ってきたこころ豊かな美しい兵庫推進会議の廃止を予定されている。制度疲労も見られたし、ここで一新するのは賛成だ。

では、ニューノーマルな時代の新しい旗印、新しい手法をどう示し実践していくのか。例えば加古川市ではdecidimというプラットフォームを活用し意見集約している。県でもトライアル的に新ビジョンへの意見募集で導入された。このシステムでは行政からの明確なリクエストに呼応する形で、公開のWEB上で県民同士もやり取りをしながら議論を積み上げていく。わが町を自分事に捉え、行政と作り上げていくイメージだ。県レベルでは全国初の取り組みであり、参加者の65%が22歳以下と、これまでのツールとは異なる手応えもあったかと思う。県ではパブリックコメントなども条例に基づいて実施されているが実際意見するのはかなりハードルが高いし、行政と一個人の往復のやりとりで終わる。

また、ワーケーション知事室で知事に声が届く人も限定的だ。県政がこれまでリーチしていなかった県民にも知事・県の思いを届け、それに対する声を集め、斎藤知事が考えるボトムアップ型県政をどのように実感できるものにするのか。

これまでの参画と協働の理念はそのままに、と知事は折々に言及されているが、県民のニーズと行政施策を擦り合わせてより良い循環が生まれる仕組み、県政を縁遠いものと感じている県民がMake Our HYOGOを意識するように、これまでの県民の参画と協働の仕組みをどうアップデートし、実践していこうとされているのか。

2 これまで進めてきた芸術文化施策への知事の姿勢について

知事が交代したことによって大きく影響が出るのでは思われた施策の一つが芸術文化施策。周囲でも、文化関連予算が大きく削られるのではないかという戦々恐々とした声が聞かれた。これは、特定文化団体への持続的な補助金を既得権と位置づけ、文楽や大阪フィルなどへの行政支援を打ち切った大阪市長就任時の橋下徹氏の記憶が未だに鮮明に残っているからだと思う。

兵庫県の芸術文化振興ビジョンは、芸術文化が阪神・淡路大震災からの復興への原動力となった経験を礎としている。自前の交響楽団を持ち、劇団を持ち、全国的にも例を見ない県立芸術文化観光専門職大学も設立した。

先日、県立美術館で行われた蓑豊館長と芸文センターの佐渡裕芸術監督の対談でもコロナ禍という困難な今こそ心の豊かさを育む文化力の発信が必要であり、創造的復興の象徴としての二施設がこれからも県民の心の広場となることを目指すとの認識が改めて示されていた。知事は過日、今年度文化庁芸術祭演劇部門で大賞を受賞した県立ピッコロ劇団を訪れ、劇団員の方々と対談やワークショップも体験された。実際劇場で現場の声に触れどのような感想を持たれたか。

今回の行革では芸術文化施策に大きなメスを入れたという印象はないが、知事になられ県財政の予想以上の厳しさを目の当たりにされた今、これまで震災からの復興の象徴として兵庫県が行ってきた芸術文化施策について今後どういう姿勢で向き合い、芸術文化施策をどう進めていこうとするのか。

3 OAAはりまハイツの今後のあり方について

OAAは今から約60年前の1960年に兵庫県や神戸市、神戸新聞社、神戸商工会議所が青少年の健全育成に資する団体として、当時集団就職などで全国各地から集まった若者たちの福祉向上を目指して設立された。

その後、活動拠点として1968年に開設されたのが加古川市の日岡山公園にあるOAAはりまハイツ(地上3階地下1階、宿泊定員90人)。金井知事の時代に交わされたハイツ建設関係覚書によると県の所有権帰属について言及があり、借入金の償還完了後県に帰属するとなっていた。その後どのような経緯か定かではないが、所有権は県に帰属することなく、現在は片山副知事が理事長を務める一般財団法人野外活動協会が所有、宿泊研修施設として管理運営をしている。

2年ほど前、老朽化による施設の危険性を指摘する声を受けたことをきっかけにこの施設の置かれている現状を調べたところ、設備の老朽化への対応が資金不足で不能な状態にあること、加えてコロナ禍による宿泊需要落ち込みで運営も危機的局面を迎えている事を知った。

土地の管理者である市はもちろん、県の支援も求められない中で、この場所に可能性を見出した地元民間企業がアイデアを形にするべくOAA、県民局と話し合いを重ね、企業がOAAに使用料を払う形で当面3年間は運営することになった。現在改修も進み、4月には来園者や地域住民のよりどころとなる拠点としてオープンするところまでこぎつけた。この間、OAAはもちろん、県青少年課にも理解を頂きながら進めてこられたことには感謝申し上げる。

しかしながら将来的なことを考えると、運営はできても所有権を持ってくれるところが出てくるとは到底考えられない。現状、野外活動協会に財政面での体力はなく、いざとなれば県が何とかしなければならない状況だと思う。危険建物になって事故が起きたり、緊急撤去を求められてからでは遅い。抜本的な行革議論も行われている今、存廃も含めて方向性について議論しておくべきだと考えるが当局の認識を伺う。

4 高校における精神疾患への理解と支援について

精神疾患は日本における五大疾病のひとつで患者数も多く重要な医療施策の対象だが、いまだ社会的理解が乏しく知識教育も普及していないため発症に気づかぬまま重症化し、強制入院や自傷他害等の行為により本人自身や家族が大きな苦しみを抱えているという現状がある。

この精神疾患、来年度から高校保健体育でその予防と回復が授業項目に加わる。精神疾患という文言が教科書に記述されるのは実に40年ぶりとのこと。これは精神疾患にり患している患者の半数が14歳までに、8割近くが25歳までに発症しているという実情、早期の気づきで重症化や自殺に至るケースを回避できるという事実等を重く見た結果だろう。

昨年コロナ禍における児童生徒の自殺が増えたことが大きく取りあげられた。全国統計によると、18歳以下の自殺数について昨年度は一昨年度に比べ4割増加、特に女子中高生は2倍となった。数が急増した女子生徒の原因・動機を見てみるとその4分の1以上がうつ病など精神疾患であった。長引くコロナ禍は児童生徒が抱える問題を覆い隠している。学校現場では家庭訪問がなくなり、面談なども機会も減った。地域の子ども食堂が閉鎖したり、恒例行事の中止が相次いだ。全ての人がストレスや不安を抱える今、問題が各家庭に押し込まれ、子供にのしかかっている。その意味で今回の学習指導要領の改訂は大いに意義があるが、実効性を高めることは決して簡単なことではないと精神保健福祉士から指摘を頂いた。

過去、社会の中で差別的な対応がなされた歴史、目に見えない病であることによる理解不足や偏見などもあった中、学習効果を上げるために、どのように授業を進め、精神疾患への理解を深めるのか。また、いざという時に、生徒が1人で悩みを抱え込まないよう、外部機関等とも連携しながら取り組むことが重要だと考えるが、教育委員会の所見を伺う。

5 高校入試における調査書の取り扱いについて

わが県の高校受験制度について、かねてから耳にするのが調査書の配分が大きいということ。調査書についてはネット検索をすればすぐさま兵庫県の公立高校入試は内申点対策が要、といった文言が目に付く。学力検査と調査書は1:1の関係で、調査書では、実技4教科は主要5教科に比べ1.875倍と比重が高い。(他16都府県も何らかの傾斜をつけている)県教委によれば、この割合は昭和61年から基本的に変わっていないとのことでこれまで見直しの必要性に迫られたことはないし、今後もこの兵庫の選抜方式を維持していきたいとのことである。

この調査書であるが、今年度、観点別学習状況の評価の観点が新学習指導要領の全面実施により変更された。これまでの「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4観点から、これからの時代を生き抜くスキルを落とし込んだ形で「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に集約された。またアクティブ・ラーニングの視点を取り入れ、定期考査などの結果だけでなく学びのプロセスが評価されるという。プロセスにしろ、新しい3本柱の一つ「主体的に学習に取り組む態度」にしろ、主観を完全に排除し客観的に公平に評価することは簡単なことではないように思う。恣意的な要素が入り込む余地があることで生徒が過度に緊張感を持ち続けたり、生徒や保護者が努力ではどうしようもないのではないかと諦めたり、評価が不透明であるように感じたりするものであってはならないし、評価する教師にプレッシャーがかかるような状況も好ましくない。県教委は調査書の課題から目を背けず、高校入試に直結する評価として、公正公平な評価と評定の方法を担保するべく努めてほしい。

近年他の都道府県では、様々な入試改革が積極的に行われている。例えば、広島では学力検査の比重を高め、調査書と同等の比重で自己表現を評価したり、長野県や愛知県などでも時代の要請に応える形で見直しをしている。また、学力検査と調査書の比率を、高校が求める生徒像にあわせて、県によっては一般入試で学校ごとに9:1~5:5で運用したり、自校作成問題での学力検査を実施し重視する学校も増えている。

多くの生徒にとって人生初めての大きなチャレンジである高校入試が、公正で透明性の高い信頼できるものであるよう、県教委には生徒ファーストな改革姿勢をもっていただきたい。公立高校入試における調査書の取り扱いについて課題があると考えるが、当局の所見を伺う。

迎山 志保

(選挙区:加古川市)

(竹内 英明 議員)[発言方式:一問一答]

1 「一木一草」の知事の覚悟とワークライフバランス、知事居宅と危機管理対応について
2 兵庫県財政の見える化改革と知事の財政基金公約について
3 WHO神戸センター運営支援事業の行革検討について
4 知事の特別自治市制度についての考え方について
5 県立はりま姫路総合医療センターの開院時の残債受入と損失補償について

質問全文

質問日:令和4年2月28日(月)

質問者:竹内 英明 議員

質問方式:一問一答方式

1「一木一草」の知事の覚悟とワークライフバランス、知事居宅と危機管理対応について

先日16日の議会開会日の提案理由説明の中で齋藤知事は「大切にすべき価値観」として「一木一草」の言葉を引用された。太平洋戦争末期の沖縄戦で、県民と苦難を共に殉死した本県出身の島田叡沖縄県知事のことを引き合いに、貝原元知事が「知事の責任は県民の命はもちろん県土の一木一草にまで及ぶ」とその使命感を示す言葉として使われ、広く知られるところとなった言葉。斎藤知事は「私もしっかりと継承する」と決意を語った。

しかし、私に聞こえてきたのは、「ワークライフバランス」を高く掲げる齋藤知事の姿勢とこの「一木一草」に少し違和感があるという職員の声だった。2つの考えは矛盾せず二兎を追う時代になっているのかもしれない。しかし、違和感を覚えた人は私を含めて1人や2人ではない。提案説明で発言される前の週から既にざわついていた。

危機管理とプライベートという点で考えたい。危機管理として、知事がどこに住むかという点が議論になる。

齋藤知事は「車で20分程度かかるので、本当に歩くとすると、20分30分ではつかないと思う。初動の体制をどうするか、徒歩が無理なら自転車でいくなど」と記者会見で回答。住所やそこ住んでいる理由は「プライベート」を理由に明らかにしていない。

知事がよく比較される大阪府の吉村知事は、府庁から徒歩10分のところに住んでいるとのこと。

斎藤知事が会見で語った県庁の東、車で20分程度という話から推測すると、都市内の車移動を時速30キロで計算すれば、20分なら10キロの距離。徒歩で時速4キロとすれば2時間半かかる。吉村知事は一人で駆けつけるのは危機管理上駄目という話もしている。阪神・淡路大震災のときの貝原知事も職員の迎えをまって車で登庁し、発災から2時間半かかっている。これが後に大きな批判を受けた。

知事と世代が大きくかわらないある職員から「知事にもプライバシーやセキュリティ、お子さんがいるならなおさら公表したくない気持ちも分かる」という声がある一方、「やっぱり知事は県庁近くに住むべきだ」という声もあった。おそらく大半は後者だと思う。

防災部局の課長級以上の幹部職員は、原則待機宿舎に入居している。現に待機宿舎に住んでいる県防災担当幹部は「いまのところ知事が離れて住んでいるから困ったということはない」と政調会で語っていた。いまのところ、当然だろう。

近い将来に発生すると予測される南海トラフ地震などの際には、交通アクセスがいかなることになろうとも、県庁に駆けつけて陣頭指揮をとることができるようにしておくことが危機管理だと思うし、阪神・淡路大震災を経験した防災先進県たる兵庫県のリーダーだと思うがどうか。また、大規模災害時等に、県庁にどういった方法で何分くらいでかけつけ対応ができるので安心してほしいとここで説明してもらうことも必要だと思うがどうか。

2 兵庫県財政の見える化改革と知事の財政基金公約について

知事は兵庫県財政について「就任後、庁内協議を進める中で、本県の財政状況は外から見ていた以上に厳しいことが分かった」また「様々な関係者との意見交換を通じて、県には財政的な余力があるとの認識が広がっていると感じた。」と述べている。簡単に言えば、「県財政の実態は厳しいのに、県民からは余裕がある」と思われていると。

県債に投資するプロの機関投資家向けのIRにもこうした財政指標対策は書かれていない。一般県民が理解するのは難しいでしょう。過去に大阪府では実態よりよく見せる財政対策について、厳しい批判をした知事もいたが、齋藤知事はそれをしない。いろいろ思うところがあるだろうと想像するが。しかし、いま大切なのはそこではない。

「持続可能な行財政運営を行っていくには、就任直後の今だからこそ、財政の実情をきちんと見える化し、改革の姿勢を示さなければならない」と言われている。まさにその通り。

一方、県議会では2008年度から始まった全職員の給与カットを含む新行革プランにより2018年度に収支均衡が達成されたと喜んだ。新しく大型投資事業を検討するという段階になってきた、そんな雰囲気だった。なぜ突然、また行革???という声、金曜日の一般質問でも春名議員が嘆いておられた。

コロナの影響で行革をするのではない。過去の精算のため。今年度はコロナ禍でも企業業績は好調で、県税収入は当初予算から大きく上振れし、黒字分を活用して340億円の県債管理基金の積立ができることになった。税収を低く見積もっていたから。

来年度からは税収見込の前提となる経済成長率をベースラインケースに変更することになるが、前年にこの結果が出た。県税収入の見通しが楽観的で、毎年のように減収補てん債で財源対策をしている財政運営に私が初めて警鐘をならしたのは、2009年の予算特別委員会。13年前のこと。今回の措置を高く評価したい。

ここで兵庫県財政の歴史を振り、先人の戒めを紹介したい。

実は、兵庫県は1955年度から1960年度まで財政再建団体に指定されていた。遡れば、井戸、貝原、坂井、金井知事の前の阪本さかもと勝まさる知事の時代だ。63年前の今日1959年2月28日の定例県議会、阪本知事の2期目を迎えての初の提案説明である。

「この際一言申し上げておきたいことがあります。

御承知のとおり昭和35年度末には、財政再建計画が完了し、ことに待望久しき再建団体の指定から解放される日がまいります。

この秋こそ県が久方ぶりに光明をあびる慶賀すべき年でありますが、同時にまた最も戒心すべき微妙な転機でもあると考えます。

かつては雄県兵庫と自他ともに認めた本県が、いわゆる再建団体の境遇に沈淪ちんりんすること幾年、ようやくその指定から解放される日こそ、本県が再び過去の失敗を繰り返さざるよう固く決意すべきときなりと信じます。

県政における行政水準の維持向上の要請は、しばしば健全財政を犠牲にしてもいとわないほど強烈なものであります。ここに警戒を要する危険がひそんでいるのであります。それ故にこそ 過去の悲惨を回想しつつ、再建団体より解放後といえども、健全財政死守の最高命題を忘れざるよう、再選当初のこの機会に厳粛な気持で決意を披れきしておく次第であります。」

この提案説明は、ある県職員OBが何かの参考になればと先日、私に届けてくださったもの。いつもこれを手元において、折にふれ、この文章を読み返してきたそうだ。

財政規律は不要といった考えが支持を得たり、世界的にもMMT理論が出るご時世だが、現在でも十分に通用する考えだと思っていると言っておられた。

今年度のような税収の上振れが毎年あるわけではない。実質公債費比率の算定において基金の積立不足、ペナルティ加算の状態を残したまま、公約だからといって100億円を財政基金に積むのはデメリットのほうが大きく現実的ではない。現に今回の補正で340億円を県債管理基金に積まず、黒字決算とすれば公約は達成できたが、財政指標の改善にはならない。

その意味では公約ではあるものの、公表データではわからなかったことであり、他の課題も企業庁地域整備事業会計などの積み残しが残り、4年間での目標というのは現実的ではないと思われることから、そこは議会でもはっきりと難しいと説明されればどうか。私はその方が県民から信頼されるし、謙虚で誠実な姿勢だと思うが、どうか。

3 WHO神戸センター運営支援事業の行革検討について

WHO神戸センターについて県議会の議事録を調べると、兵庫県の行革で「アンタッチャブルの一つの代表的なもの」としてこのWHOの話が出てくる。アンタッチャブル。これは、2010年、今から12年前の予算特別委員会での神戸市選出、原亮介議員の質問だ。

後に現地調査を踏まえた現役議員の質問もあった。「WHO神戸センターについては、事業内容の必要性が伝わってこなかった。今までの経緯もあり、契約を打ち切れないと思うが、年間200万ドルは多額であるので、必要な額を精査のうえ支援していただきたい。」

これは伊藤いとう傑すぐる議員の2015年の健康福祉常任委員会での発言である。私も当時同じ委員会で規模を縮小すべきと発言したが、契約は大きく見直されることはなかった。

原先生の見直す時期だという話から12年。ようやくこうした意見が行革の実施検討項目、即ち改革の俎上に上がってきたことを遅きに失したとはいえ高く評価したい。

WHOは世界的な保健機関であり、地方自治体の負担で設置されるレベルの機関ではない。現在の県の財政状況から年間2億円以上の負担は重すぎる。何回費用対効果を説明されても県民には響かない。県の方針を早期に固め、交渉に入るべきだと思うがどうか。

4 知事の特別自治市制度についての考え方について

神戸市の久元市長と自民党市議団が2020年11月に、首相官邸で菅義偉首相と面会し、政令市の権限を強めて道府県から独立する特別自治制度の早期法制化などを要望したという報道を受けて、12月議会で井戸知事に質問した。井戸知事は「県としては、歴史的経過や特別自治市の課題も踏まえると、現行制度のもと、二重行政を避け、政令指定都市である神戸市と連携・協力して取り組んでいくことが望ましいと考えている」と答弁。明確に特別自治市に反対という言葉は使わなかったが、現状を変える必要はないという話だった。

他の政令指定都市を抱える道府県でも賛成している知事は静岡県知事くらいのもの。

神戸市が特別自治市制度の法制化を求めていること、また、制度化だけでなく、神戸市にはデメリットはないので、自らも特別市になろうと考えるのが自然だが、これについて知事はどう考えているのか、見解を伺う。

5 県立はりま姫路総合医療センターの開院時の残債受入と損失補償について

県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院との統合により、救急医療の空白地域となる可能性のある姫路市南西部の後医療要請とその県負担について取り上げたい。新病院に統合される製鉄記念広畑病院の借入が27.4億円あり、これを県病院事業会計が承継するという予算が提案されている。

また、姫路市南西部の後医療を県の要請を受けて行う社会医療法人 三栄会が広畑病院の建物等を買い取る資金33億円について、3億円を姫路市が補助するとともに、金融機関から融資を受ける30億円については、市の利子補給に加え、県が金融機関に対して損失補償を実施するということだ。これも債務負担行為として予算に計上されている。

県が純粋な民間法人の借入に対して損失補償を行うことは異例のことである。しかし、広畑病院が完全になくなり、後医療がなくなってしまうことは避けなければならないのは当然である。後医療を県が三栄会に要請した経緯から考えれば、一連の会計処理はやむを得ないと考える。ただし、議会や県民への説明責任は必要である。

これまでの経緯も含め開院時における会計処理の状況について伺う。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)