第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (企画県民部(企画財政局、
管理局、教育・情報局情報政策課、防災企画局、災害対策局))
2010年3月4日(木)
1 指定管理者制度と公民連携について
(1) 評価基準について
本県においては、「指定管理者制度導入施設の管理運営の評価に係るガイドライン」を定め、指定管理者に対して業務の実施状況や施設の利用状況や利用料金の収入状況などについて事業報告を求めているほか、利用者満足度調査の実施を求めており、指定管理者はその結果を受けて主体的に開館時間やスタッフの応対など業務の改善を促すこととしている。
指定管理業務の評価としては、毎年度終了後、各施設の所管課において、①清掃、設備保守管理、植栽管理が計画どおり適切に実施できているか、②適切な開館時間の設定など利用者ニーズに応じた施設運営ができているか、特定の利用者に施設の利用が偏っていないか③収支計画や利用者数が計画通りに達成できているか④施設管理に当たり必要な有資格者等適正な配置ができているか、利用者の苦情等の対応体制が確保できているかなどの項目について、指定管理者自身による自己評価と、所管課による評価の2つを行っている。
こうした報告や評価は実施計画の達成状況や結果としての収支、日々の施設管理に支障が生じていないかを問うものが中心となっている。
(2) 評価とモニタリングについて
これまでも指定管理者のモニタリングの手法として、例えばひょうご環境体験館では公募時の選定委員に運営委員会に加わってもらうといったことや、インセンティブ制度として、兵庫県民会館や産業会館等4施設について、収支差額があらかじめ取り決めた還付額をさらに上回る場合には、その上回る金額の2分の1を加算して県へ還付する仕組みを導入している。
また、公募施設の指定管理者に対しては、利用者満足度調査を必ず年1回以上実施することを求めており、調査結果を通じて指定管理業務の改善を促している。
一方、指定管理期間については、新規参入の機会を確保するといった観点から、原則3年の指定期間としているが、各部局、指定管理者からは、安定的・計画的な運営や事業者の創意工夫を引き出すため、3年を超える指定期間の必要性を指摘する声も強い。全国的にも指定期間が5年の施設の割合が平成19年の16%から平成21年には36%へと長期化している。本県においても施設特性に応じた指定期間の弾力化に積極的に取り組む必要がある。
こうした個々の施設におけるモニタリング上での工夫や課題への対応をガイドラインや取組事例として整備し、各施設の運営に活かしていくことにより管理水準の一層の向上を図る。
(再質問)指定管理者に民間企業が入っている時の経営状態の把握はどうしているか。
(答 弁)現在、指定を受けている民間企業の経営状況は、四半期ごとに業務状況調査をもらっているほか、年度末に管理運営評価、いわゆる自己評価と、それから改めて施設所管課の方で評価を行うといった調書を作成している。そこでの収支状況の中で、また、結果論ではあるが、あらかじめの実施計画の中でどのような管理運営体制、サービスができるかのかといった把握等を通じて、そのバランスの中で把握しているものと思っている。
(3) 公民連携について
公民連携の取組については、成熟社会にふさわしい官民の役割分担のあり方等を踏まえ、民間の持つ技術やノウハウを活用する観点から、指定管理者制度の導入はもとより、県営住宅の滞納家賃の収納の民間委託や、尼崎の森中央緑地スポーツ健康増進施設の整備・管理運営にかかるPFI導入などを行ってきた。
しかしながら、公民連携は単なるコスト縮減や経済性を目的とするというよりは、簡素で効率的な行政運営が行われる一方で、新たな事務が民間に開放されることにより、地域経済の活性化をめざすものでなければならない。
そういう意味で、指定管理者そのものについても、東播磨生活創造センターにおけるように、NPO法人を公募により指定して、地域づくり活動支援のノウハウを活かした運営とコスト縮減を両立させている例もある。こういったものが一つの試金石になると考える。
引き続き、より効率的で質の高い県民サービスを提供していくことを基本に、公民連携のさらなる展開を模索していく。
先程、いたずらに競争をあおることのないようにとの指摘があったが、3年から5年に変えるという視点は、長期の方が投資をする上での前提になるという指摘もあるということからと認識している。こういったことを弾力的に行っていきたいと考えている。
2 ICT化の推進について
県では、県民や企業等の利便性の向上と行政事務の効率化を図るため、行政の情報化を推進している。電子申請については平成21年度は1月末までに12,065件の利用があり、職員採用受験申込では31%、入札参加資格審査申請は65%程度の利用率となる見込みであるが、数%程度の利用率の低い手続もある。このため、昨年度より県民のニーズに即したイベントや講座申込等が容易にできる機能の追加を行っている。
これまでのICT化については、電子県庁の基盤となる県庁WANの整備とともに、市町との共同利用による電子申請システムの導入など効率的なシステムの運用を進めてきた。今後は、県民の視点に立った、より利用しやすいシステムへの改善と業務・システムの一体的な見直しによる運用コストの削減が課題と認識している。
このため、①県民の利便性を高める手続の拡大や操作性の向上、②運用コストが割高となる独自システムの開発ではなく、民間事業者が提供するシステムサービスの活用や市町との共同利用の拡大、③庁内の業務の効率化を更に推進する、汎用機のオープン化や総務事務の電子化などを進めていく。
これらの取り組みにより、県民がメリットを実感できるよう、無駄のない効率的なICT化を着実に進めていきたい。
3 情報セキュリティについて
(1) 職員への教育・研修について
本県では、県民が安心して利用できる電子県庁の実現をめざし、情報システムの一層の信頼性を高めるため、情報セキュリティ対策指針に基づき、情報セキュリティ対策を実施している。
具体的な対策方法としては、不正アクセス防止やウイルス対策等の技術的対策に加えて、人的対策として情報セキュリティ研修を実施し、職員の意識向上を図っている。
第1の研修状況としては、個人情報保護に関するセキュリティ研修を、県民情報センターと共同して、各県民局で管理職を対象に実施し、本年度は213名が受講している。また、新規採用職員や市町からの派遣職員等についても、情報セキュリティの基礎的な研修を実施しており、本年度は200名が受講している。
さらに、綱紀粛正通知の中でも、個人情報の漏えい防止などの情報管理対策を盛り込み、各職場での周知徹底を図っている。
(2) 監査について
次の、情報セキュリティ対策の実施状況を点検・改善する情報セキュリティ監査は、情報セキュリティ対策の向上に不可欠である。
本県では、平成15年に情報セキュリティ対策指針を作成した後に、庁内主要システムの運用管理体制やマニュアル整備の状況に関する外部監査を実施するとともに、情報政策課が主体となって、システム点検を伴う内部監査を毎年実施している。
この内部監査は、運用管理体制の点検や職員のパスワード管理などの自己点検に加えて、県庁WANに接続された全サーバ、パソコンへの侵入テストを実施し、システムの改善を図っている。
情報セキュリティの認証制度としては、国際標準化機構(ISO)やプライバシーマークなどの認証があるが、相当の経費が必要となり、取得している自治体も10数団体と少ないため、本県でも現段階では取得する予定はない。
本県では、今後も内部監査を一層充実させ、実質的なセキュリティレベルの向上を図るとともに、公社等も含めた県全体のセキュリティレベルの一層の向上を図りたい。