議会の動き

決算特別委員会10年09月定例会

●企画県民部2

1.職員の安全衛生と健康管理対策について
(1) 職員の安全衛生管理の体制について
(2) 産業医の配置及び活動状況について
(3) こころの健康対策について
(4) 超過勤務対策について
(5) 県職員のワークライフバランスの推進について
2.PFI事業について
(1) 県としてのPFI導入についての考え方について
(2) 今後のPFIの将来性について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部2)
2010年10月8日(金)

1 職員の安全衛生と健康管理対策について

(1) 職員の安全衛生管理の体制について

 平成18年に職場における労働者の安全と健康の確保をより一層促進するために、労働安全衛生法が改正されました。今回の改正の主なポイントについては、長時間労働者への医師による面接指導の実施や安全衛生管理体制の強化などであります。この法律については、県庁及び地方機関も対象となりますので、その現状と課題について質問を行います。
 まず、一点目として、安全衛生管理体制の強化について、同法では、総括安全衛生管理者の選任及び安全委員会及び衛生委員会を設置しなければならないとしております。
 そこで、県庁及び地方機関における職員の安全衛生管理の体制についてどのように構築し、どのような活動しているのかお伺いします。

(2) 産業医の配置及び活動状況について

 労働安全衛生法では、労働者の健康管理にあたる専門家として、医師である衛生管理者を「産業医」と位置づけて、常時50人以上の雇用を行っている事業所に設置を義務付けております。
 さらに今回の改正において、週40時間を越える労働が1ヶ月当り100時間を超え疲労の蓄積が認められる職員の申し出があれば、産業医による面接指導の実施を義務付けるなど、産業医の配置の重要性は高まっております。
 そこで、県庁及び地方機関における産業医の配置及び活動状況についてお伺いします。

(3) こころの健康対策について

 次に職員の健康管理対策についてお伺いします。
 昨年度の1年間に3ヶ月以上の長期にわたり病気又は負傷により療養している職員は168人で、病名別では「精神」が117人と約70%を占めており、こころの健康対策が重要となっております。
 そのため、県では、庁内外での職員が相談しやすい体制づくりや職場復帰支援のために「ならし出勤」を行うとともに、管理監督職を対象としたメンタルヘルス研修などを実施しております。
 そこで、県での職員に対するメンタルヘルスなどこころの健康対策の実施状況及び評価についてお伺いします。

(4) 超過勤務対策について

 職員の健康被害について、大きく起因するのが超過勤務の多さだと言われることがあります。県職員の方々は、定員・給与の削減という厳しい行財政改革の最中にありながら、職務遂行のため、懸命の努力をされている中で、ある職員は、月100時間以上の超過勤務を行っている現状があるとも聞いております。
 民間では、このような状況が長期間も続くようなことは考えられず、抜本的な対策が必要であります。
 そこで、超過勤務の削減のために、超過勤務削減指針を策定するなど抜本的な対策を講じる必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

(5) 県職員のワークライフバランスの推進について

 県職員が生き生き仕事に励むためには、超過勤務の縮減に併せて、職員が仕事と生活の調和、つまりワークライフバランスの推進が必要であります。
 平成19年12月、経済界・労働界・地方公共団体の合意により、制定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では、国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会としており、兵庫県でも推進しております。
 しかしながら、県職員のワークライフバランスについてどうかと言えば、十分とは言えない状況にあるのではないかと考えます。
 そこで、県職員のワークライフバランスの推進について、どのように取り組んでいくのか方針を伺います。

2 PFI事業について

(1) 県としてのPFI導入についての考え方について

 日本では、平成13年に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」のPFI法が施行されました。
 PFIは、民間企業が資金を調達し、その経営ノウハウにより、質の高いサービスをより効率的に運営することを期待された仕組みです。
 平成21年9月末時点では、全国では自治体を中心に教育・文化施設等、また、健康と環境分野に、国では庁舎や行刑施設等にサービス提供中のものとして200件台になっている約5兆円に上回る事業が実施されております。
 私は、昨年、島根県の金城町の「島根あさひ社会復帰促進センター」へ調査に入りました。民間の業務は公権力行使(懲罰、連行など)に関しては、刑務官が担当し、それ以外の巡回、教育、受付、清掃、給食などのサポート業務を担当する混合運営施設方式が採用され、事務所もワンフロアーに公務員と民間人が事務を行っている姿に違和感は生じませんでした。
 しかしながら、兵庫県下を見てみますと全国ベースと比べると少ないと思います。
 そこで、県当局として実施された事業も含めて、このPFI法の評価についてどのように考えているのかお伺いします。

(2) 今後のPFIの将来性について

 平成21年度「国土交通白書」では、高度成長期に集中整備された社会資本は、その半数以上が20年以内には、完成から50年を経過する高齢期に入り、維持管理、更新費が投資可能額の半分を占めるほど急速に拡大します。また、健康と環境分野にも同様のことが言えます。
 各自治体の財政問題は深刻化している中で、政府は新成長戦略として、PFI法の課題を修正し本格的なPFI事業が実施できるように検討が進められていると聞いていますが、県としてPFI事業の今後の展開についてお伺いします。

●産業労働部

1.勤労者福祉の現状と課題について
(1) CSR施設の利用状況について
(2) CSR事業で建設された施設の移譲について
(3) 施設移譲後のフォローについて
(4) 宿泊施設の運営について
2.新卒者など若者の就職支援について
(1) 就職の状況について
(2) 県の支援策について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年10月13日(水)

1 勤労者福祉の現状と課題について

 これまで、勤労者をはじめ、広く県民に憩いと休養の場や、文化、スポーツ、レクレーション活動の場を提供し、健康でこころ豊かな勤労者生活の増進を図るため、県としてCSR事業を展開しております。
 昭和49年から法人県民税の超過課税(1期5年当初は1%、第4期以降は0.8%)を財源として、①CSR施設の整備と運営、②ひょうごCSRクラブの活動支援を中核事業として実施、第5期までは全県的野外CSR施設などの整備を推進し、第6期はスポーツクラブ21、第7期は県民交流広場事業などと「里山ふれあい森づくり」も実施され、第8期(平成21~26年)の現在は、勤労者福祉の向上を目指すという基本を貫きながら少子対策をはじめとする子育て支援を展開しております。
 また、平成21年度には「勤労者総合福祉施設整備基金」と「勤労者総合福祉施設運営基金」が統合され勤労者福祉基金になっております。
 この法人県民税超過課税の21年度末までの徴収金額は約1,199億円、事業で支出した金額は約1,109億円で、現在の勤労者福祉基金の残額は、約408億円となっております。

(1) CSR施設の利用状況について

 全県施設としての中央労働センターほか7施設、又地域拠点施設としての尼崎青少年創造劇場ほか5施設、自然活用型野外施設のやしろの森公園ほか5施設が県立施設として運営されています。一部には産業労働部以外の所管部局の施設もありますが、この3年間のCSR施設の利用動向をどのように認識されているのかお伺いします。

(2) CSR事業で建設された施設の移譲について

 CSR事業として建設され、市町へ移譲された施設が現在までに8施設あります。北神戸田園スポーツ公園については、県は全く管理せずに、建設だけして直ぐに神戸市へ移譲されましたが、当該施設を除く7施設については、平成15~22年度に移譲されております。
 そこで、これらの施設の市町への移譲にあたって、維持管理費又は改修等に対する費用の負担について、どのような条件で移譲をおこなったのか、また、今後のCSR施設の移譲にあたってどのような条件で移譲を進めるのか考え方についてお伺いします。

(3) 施設移譲後のフォローについて

 市町に移譲した後に、市町の財政状況が厳しいことから、その施設の維持管理、さらには活動そのものも縮減される恐れがあります。さらに、施設を建設する時のコンセプト等を市町が十分理解しないと、施設の縮小、さらには廃止となる恐れもあります。
 市町に施設を移譲したとは言え、勤労者をはじめ、広く県民に憩いと休養の場や、文化、スポーツ、レクレーション活動の場を提供し、健康でこころ豊かな勤労者生活の増進を図るため建設した経緯を踏まえ、県として一定の役割があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

(4) 宿泊施設の運営について

 今でこそ、六甲保養荘を含めて6施設でありますが、ピーク時には9施設の宿泊施設がありました。これらの施設は、多くの県民の方が利用され、今でも年間約24万人が活用されており、地域の大事な財産となっております。
 運営については、阪神・淡路大震災の影響もあって平成12年度末には累積損失が2億円を超えるなど極めて厳しい状態でありましたが、勤労福祉協会が第1次、第2次の経営改善計画を推進し、現在、全体の損益ベースでは、利益を確保して来ていると聞いております。
 そこで、これまでの経営改善計画の実施状況と平成21年度の収支はどのようになっているのか、又、今後の見通しについてお伺いします。

2 新卒者など若者の就職支援について

(1) 就職の状況について

 卒業時に正社員にならなければ、その後、正社員になる可能性が低くなり、不安定な非正規雇用の就労を余儀なくされ、安定した収入を確保することが困難になることから、新卒者の就職支援が必要であります。
 しかしながら、深刻な就職難で内定を得られずに卒業する大学生が増えております。文部科学省が8月に公表した学校基本調査によると、今春の大学卒業者のうち就職した割合は60.8%で、前年度より7.5ポイント低く過去最大の下げ幅となっております。また、進学も就職もしていない人は約1万9千人増え、約8万7千人にも上っており、まさに就職の氷河期であります。
 また、兵庫県内の8月の求人倍率は0.52倍で、近畿6府県で最も低く、24歳以下の無就職者が前年同期より100人以上増えるなど、厳しい雇用状況が続いております。
 そこで、県下の若者の就職状況及び来春新卒者の就職活動状況について、どのように認識しているのかお伺いします。

(2) 県の支援策について

 このように新卒者など若者の就職が厳しい状況の中、高校、大学新卒者に対する就職支援を強化するため、政府では、寺田学首相補佐官をリーダーとする「新卒者雇用・特命チーム」を設置し、不況の長期化で新卒者の就職率が著しく悪化する中、当面の雇用対策だけでなく、「すべての新卒者が雇用される社会」に向けた中長期的な政策プランを取りまとめることとしております。
 また、9月10日に発表した緊急経済対策において、卒業後3年以内の既卒者も対象とする採用企業に対する奨励金支給や新卒者への相談支援の強化などを盛り込んだ新卒者雇用に対する緊急対策を講じております。
 そこで、兵庫県として、新卒者など若者の就職支援についてどのように取り組むのか方針を伺います。

●県土整備部

1.住宅耐震化改修について
(1) 住宅耐震化等の実績について
(2) 共同住宅の状況について
(3) 共同住宅の耐震改修工事の促進について
2.県管理道路の高架下等の利用促進について
(1) 利用状況等について
(2) 高架下の活用について
3.横断歩道橋の整備について
(1) 横断歩道橋の現状について
(2) 横断歩道橋の撤去の検討について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年10月13日(水)

1 勤労者福祉の現状と課題について

 これまで、勤労者をはじめ、広く県民に憩いと休養の場や、文化、スポーツ、レクレーション活動の場を提供し、健康でこころ豊かな勤労者生活の増進を図るため、県としてCSR事業を展開しております。
 昭和49年から法人県民税の超過課税(1期5年当初は1%、第4期以降は0.8%)を財源として、①CSR施設の整備と運営、②ひょうごCSRクラブの活動支援を中核事業として実施、第5期までは全県的野外CSR施設などの整備を推進し、第6期はスポーツクラブ21、第7期は県民交流広場事業などと「里山ふれあい森づくり」も実施され、第8期(平成21~26年)の現在は、勤労者福祉の向上を目指すという基本を貫きながら少子対策をはじめとする子育て支援を展開しております。
 また、平成21年度には「勤労者総合福祉施設整備基金」と「勤労者総合福祉施設運営基金」が統合され勤労者福祉基金になっております。
 この法人県民税超過課税の21年度末までの徴収金額は約1,199億円、事業で支出した金額は約1,109億円で、現在の勤労者福祉基金の残額は、約408億円となっております。

(1) CSR施設の利用状況について

 全県施設としての中央労働センターほか7施設、又地域拠点施設としての尼崎青少年創造劇場ほか5施設、自然活用型野外施設のやしろの森公園ほか5施設が県立施設として運営されています。一部には産業労働部以外の所管部局の施設もありますが、この3年間のCSR施設の利用動向をどのように認識されているのかお伺いします。

(2) CSR事業で建設された施設の移譲について

 CSR事業として建設され、市町へ移譲された施設が現在までに8施設あります。北神戸田園スポーツ公園については、県は全く管理せずに、建設だけして直ぐに神戸市へ移譲されましたが、当該施設を除く7施設については、平成15~22年度に移譲されております。
 そこで、これらの施設の市町への移譲にあたって、維持管理費又は改修等に対する費用の負担について、どのような条件で移譲をおこなったのか、また、今後のCSR施設の移譲にあたってどのような条件で移譲を進めるのか考え方についてお伺いします。

(3) 施設移譲後のフォローについて

 市町に移譲した後に、市町の財政状況が厳しいことから、その施設の維持管理、さらには活動そのものも縮減される恐れがあります。さらに、施設を建設する時のコンセプト等を市町が十分理解しないと、施設の縮小、さらには廃止となる恐れもあります。
 市町に施設を移譲したとは言え、勤労者をはじめ、広く県民に憩いと休養の場や、文化、スポーツ、レクレーション活動の場を提供し、健康でこころ豊かな勤労者生活の増進を図るため建設した経緯を踏まえ、県として一定の役割があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

(4) 宿泊施設の運営について

 今でこそ、六甲保養荘を含めて6施設でありますが、ピーク時には9施設の宿泊施設がありました。これらの施設は、多くの県民の方が利用され、今でも年間約24万人が活用されており、地域の大事な財産となっております。
 運営については、阪神・淡路大震災の影響もあって平成12年度末には累積損失が2億円を超えるなど極めて厳しい状態でありましたが、勤労福祉協会が第1次、第2次の経営改善計画を推進し、現在、全体の損益ベースでは、利益を確保して来ていると聞いております。
 そこで、これまでの経営改善計画の実施状況と平成21年度の収支はどのようになっているのか、又、今後の見通しについてお伺いします。

2 新卒者など若者の就職支援について

(1) 就職の状況について

 卒業時に正社員にならなければ、その後、正社員になる可能性が低くなり、不安定な非正規雇用の就労を余儀なくされ、安定した収入を確保することが困難になることから、新卒者の就職支援が必要であります。
 しかしながら、深刻な就職難で内定を得られずに卒業する大学生が増えております。文部科学省が8月に公表した学校基本調査によると、今春の大学卒業者のうち就職した割合は60.8%で、前年度より7.5ポイント低く過去最大の下げ幅となっております。また、進学も就職もしていない人は約1万9千人増え、約8万7千人にも上っており、まさに就職の氷河期であります。
 また、兵庫県内の8月の求人倍率は0.52倍で、近畿6府県で最も低く、24歳以下の無就職者が前年同期より100人以上増えるなど、厳しい雇用状況が続いております。
 そこで、県下の若者の就職状況及び来春新卒者の就職活動状況について、どのように認識しているのかお伺いします。

(2) 県の支援策について

 このように新卒者など若者の就職が厳しい状況の中、高校、大学新卒者に対する就職支援を強化するため、政府では、寺田学首相補佐官をリーダーとする「新卒者雇用・特命チーム」を設置し、不況の長期化で新卒者の就職率が著しく悪化する中、当面の雇用対策だけでなく、「すべての新卒者が雇用される社会」に向けた中長期的な政策プランを取りまとめることとしております。
 また、9月10日に発表した緊急経済対策において、卒業後3年以内の既卒者も対象とする採用企業に対する奨励金支給や新卒者への相談支援の強化などを盛り込んだ新卒者雇用に対する緊急対策を講じております。
 そこで、兵庫県として、新卒者など若者の就職支援についてどのように取り組むのか方針を伺います。

宮本博美
加古川市

●健康福祉部

1.がん対策について
(1)がん対策の取り組みについて
(2)がん検診率向上への取り組みについて
(3)受動喫煙防止等による肺がん対策の推進について
(4)がん対策の今後の展開について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (健康福祉部)
2010年10月12日(火)

1 がん対策について

(1) がん対策の取り組みについて

 今や、2人に1人が“がん”にかかり、3人に1人の死亡原因ががんであるという時代になりました。県政にとって最も重要な県民の生命を守ると観点から、他の事業は多少差し置いても、がん対策を積極的に取り組まなければならないと考えます。
 本県においても、昭和62年度に「ひょうご対がん戦略」を策定するなど、中長期的な視野に立ってがん対策を総合的に推進してきています。平成21年度におけるがん対策の中高年層保健対策の決算額は前年度に比べ30%増の約6億8千万円であり、厳しい財政状況の中で、一定の対策強化が図られていることについては評価出来ます。それでも、なお死亡原因第1位であるがんについては、今後とも一層の対策強化を図っていかねばならないと考えます。
 民主党の故・山本参議院議員が、自らがん患者ということを国会で告白し、がん対策推進を訴え、超党派で平成18年6月に「がん対策基本法」を制定し、翌年4月に施行されました。
 そこで、県では「がん対策基本法」の立法の精神を踏まえ、がん対策について、これまでどのように取り組まれてきたのかお伺いします。

(2) がん検診率向上への取り組みについて

 がん対策については、がん対策基本法で、国や地方公共団体の責務と定められています。そして、国のがん対策推進基本計画では、死亡率を10年で2割減、受診率を5年で50%超を掲げています。
 検診によるがんの早期発見の重要性は、身体的に負担が少なく、また、短期間の治療に繋がるので、発見が遅れ、辛い治療を受けた上に、高額の医療費を払っても治らない場合とでは比較になりません。マンモグラフィなど、検診機器の精度の向上が著しい中、受診率と検診の質の向上が重要なことだと考えます。
 内閣府が発表している平成21年9月の「がん対策に関する世論調査」によると、がん検診を97%の人が重要と考えているにもかかわらず、日本で死亡者の多い肺がん、胃がん、大腸がんの「3大がん」の検診を一度も受けたことがない人が、いずれも半数近くとなっています。
 また、平成19年度国民生活基礎調査によると、県におけるがん検診受診率は、胃がん24.7%、肺がん19.4%など、大腸がん、子宮がん、乳がんも含めて、全国との比較で約3~6%程度低い現状があります。
 このような状況を踏まえ、県としては、まず、検診率の向上のための諸施策を推進するべきと考えますが、所見をお伺いします。

(3) 受動喫煙防止等による肺がん対策の推進について

 平成20年度人口動態調査によると、肝がんの死亡率は、全国平均が26.7%であるのに対し、兵庫県は31.4%、肺がんの全国平均が53.1%であるのに対し55.6%と、全国的にも高い死亡率となっています。地域ならではのがんの罹患特性に対して、やはり県としての取り組みが必要だと考えます。 
 ここで、具体的ながん対策として、肺がんの最大の原因である喫煙問題を取り上げたいと思います。最近、遅ればせながら未成年者の購買にチェックが入るようになったとはいえ、タバコを誰でも自由に買える自動販売機で積極的に売っているような国はありません。また、アメリカのタバコには「喫煙は肺がんの基になる」と明記され、豪州では「KILLS YOU!」と表示されています。皆さんはこれを何と訳しますか? 何もそこまでしてタバコの販売をしなくても良いのではと思いますが・・・。これらは、いずれも喫煙が身体に害であると医学的にもはっきりしている現状で、明記せずして販売すれば、多額の損害賠償請求がされるという過去の判例に基づいていると思われます。
 最近、日本のタバコが100~140円値上げされました。それでも、1箱400円位ですが、欧米では1000~1400円位であるのを考慮すれば、タバコに対して日本ではいかに寛大であるかと言わざるを得ません。
 肺がんの発生には、喫煙が強く関与していると言われ、喫煙者の肺がんの発生は、非喫煙者に比較して約4倍、20歳以下の若者で喫煙した場合、肺がんのリスクは非喫煙者に比べて約6倍、また夫が喫煙者、妻が非喫煙者の場合、妻が肺がんで死亡する危険率は、夫が非喫煙者の家庭に比べ、約1.5~2倍高いと言われています。従って、小学生など早い時期から、喫煙がもたらす健康被害についての徹底した啓発活動の実施や、アメリカなどのように、人が集まる所では今や禁煙が常識というような社会的な環境整備が必要だと考えます。
 また、タバコを吸わない人を受動喫煙の害から守るという国際的な流れとして、イギリスやアイルランドのパブやアメリカの多くの州のレストラン等では全面禁煙が実施されています。一方、日本では、平成15年にようやく健康増進法で受動喫煙防止の努力義務が取り入れられ、平成16年にWHOのタバコ規制枠組条約を批准しました。同条約の締結国は、罰則を盛り込んだ立法措置等が求められておりますが、我が国では依然として、健康増進法の努力義務以上の対策強化に踏み込めていないのが現状です。
 このような中で本県においては、平成16年3月に兵庫県受動喫煙防止対策指針を策定し、今年度を最終年度として、敷地内禁煙や建物内禁煙、または完全分煙等に向けた取り組みを推進していますが、指針の目標達成は困難な状況にあると聞きます。
 肺がんに対する喫煙や受動喫煙のように、がんの発生に影響を与える要因に関する研究等をさらに進めて行くと同時に、今後とも喫煙など健康増進の啓発や県民運動などの対策を推進していかねばなりません。さらに、具体的な目標値を定めて、県民に対策の成果がよりはっきりと見える形で取り組むことが重要であると考えます。厳しい財政状況の中で、県行政と県民が一体となり、やれるところから取り組む、同時に肺がん対策として、県民の生命を守る取り組みとして、目標と成果を県民にしっかりと示すことで、県政への一層の理解を得ることにつながると考えます。
 東京都千代田区が生活環境条例で、路上喫煙、吸い殻のポイ捨て禁止をしてから、全国に広がりを見せています。兵庫県でも、議会棟を含めた本庁舎や総合庁舎等での喫煙を禁止したのは大いに評価できます。
 さらに、公共の場での禁煙を拡大し、県条例により、レストランなどで土日は禁煙にするなど、肺がんを減らすために、地域限定・日時限定で禁煙運動を展開するのは有効な手段だと思います。
 そこで、本県においても、より積極的に受動喫煙を防止する条例を制定するなど、肺がんの予防対策として、喫煙、受動喫煙の機会を減らす県独自の取り組みを強化することが必要と考えますが、目標値設定への見解も含め、当局はどのようにお考えか伺います。

(4) がん対策の今後の展開について

 知事も、県庁玄関のテレビモニターで県民の健康マイプランを掲げ、健康増進を語りかけています。是非、健康増進という観点からも、がん死亡原因第1位の肺がん対策の一環で、喫煙対策の推進をお願いするものです。
 さらに胃がん、大腸がん等が、県民にとっても大変身近な問題として、取り組まなくてはならない課題となってきました。がんが死亡原因第1位であるのを裏付けるように、今や、皆さんの周りにも、がんで亡くなられた方も少なくないと思います。決して他人事ではないがんに対して、県が積極的に対策を取り組むべき喫緊の課題であると考えます。
 がんと宣告されても、がんと安心して共生できる世の中、さらに生存率を只上げるだけでなく、生きる希望が与えられるような世の中になるのを期待しながら、最後に、がん対策の今後の展開について、県当局の決意をお伺いします。

●教育委員会

1.学校現場のクレーマー対策について
2.学校現場における教育効果の向上について
(1)学級規模の現状について
(2)少人数学級の推進について
3.充実した教育環境づくりについて

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (教育委員会)
2010年10月18日(月)

1 学校現場のクレーマー対策について

 私は、只今開催中の県議会本会議で“学校現場の活性化について”を取り上げました。全体的に前向きな回答を伺いましたが、特にクレーマー対策では、現場の声が県教委に十分に届いていないと判断し、再質問をしました。残念ながらお聞きしたい回答を得ることが出来ませんでした。
 そこで、学校現場におけるクレーマー対策について、教育委員会や教育事務所に設置されている学校支援チームが、どのような人員体制で取り組まれ、学校との連絡を常日頃どのように取り組み、さらにクレーマーに対して学校に代わってどの程度対応し、解決してこられたのか、それに対する学校側の評価はどうなのか、といったことについて、具体的な実績をお示し頂きたいと思います。

2 学校現場における教育効果の向上について

(1) 学級規模の現状について

 この決算委員会では、少人数学級に焦点を当て質問させて頂きます。
 文部科学省はこの度、30年ぶりに40人学級を見直し、30人~35人を基軸とした少人数学級の実現に向けた新たな教職員定数改善計画を策定しました。しかしながら、この計画は平成23年度から30年度までの8カ年計画という長いスパンで行われることとなっていることから、必ずしも迅速かつ十分な計画とはいえない状況にあります。
 私は、7年前の平成15年に、県会議員に初当選させて頂き、高校・大学の35年間の教師経験から、現場の声を中心に取り上げ、少人数学級の必要性を訴え続けてまいりました。
 そして翌、平成16年4月から、小学校1年生の35人学級が実現し、以来、毎年、上級学年に波及し、現在は小学校4年生まで35人学級になりました。
 そこで、まず現状の規模に至るまでの検討背景や経緯についてお伺いします。               

(2) 少人数学級の推進について

 我が兵庫県においては、これまで県の取り組みとして、小学校4年生までの35人学級を実現する等、精一杯良くやってきたと思われている方々も多いと思います。
 しかしながら、現状では、1学級40人が基本となっていることから、例えば公立高校でも、上は東京大学を目指す生徒から、下は筆記体のアルファベットが書けない生徒まで、大幅な学力格差があるクラスで、40人の生徒を相手に、効果的な一斉授業の展開は神業と言えます!
 今から25年程前の私が教鞭をとっていた時期に、個性に合った授業なんていうのは、その時ですら学習能力に大幅な格差があったことから、極めて困難な状況でした。そこで、私たちは、高校英語の授業でスリーオンツーを導入していました。すなわち2クラスを能力別に3つのクラスに分け、少人数化を図り、少しでも分かりやすい授業を目指しました。
 もちろん制度上、認められていませんでしたので、増えた1クラス分は、教師の持ち時間にプラスされ、他の教科に迷惑を掛けないように、英語科の教師の負担増で乗り切っていました。このような現状を知っている人なら、40人学級なんて、とんでもないというのが実感です。その40人学級が未だに続いているというのが現状です。このような状況で、個性にあった授業とか、学力向上を願う方が無理だというのが真実です。
 1学級当たりの児童生徒数は、OECD平均で小学校21.4人、中学校23.4人に対し、日本はそれぞれ28.1人、33.0人で、31人以上の学級に在籍する児童生徒数の割合は、小学校で54%、中学校で82%という現状です。諸外国の実態を調べるほど、日本の教育支援の貧困さに驚きさえ覚えます。
 何事も教育が基本です。10年後、20年後の日本の発展と、安心・安全な日本を願い、少人数学級を積極的に推進すべきと考えます。予算が厳しいことを承知の上、学校関係者として声を大にして、敢えて少人数学級推進を主張しなくてはならないと思います。
 私達の年代では、親が子を餓死させるなんて考えられないことであり、子が親を殺すような余りにも悲惨な事件が、最近多すぎる社会になってしまったと思います。子供の時に、しっかり“日本の心”や優しさを教え、学ぶことが楽しいと感じられるような教育環境作りが必須であると考えます。
 そのために、ここにおられる皆さんにご理解して頂き、まず少人数学級を全学年に広げていくべきだと思う訳ですが、当局のお考えをお伺いします。

3 充実した教育環境づくりについて

 兵庫県の財政は、平成21年度決算ベースで実質公債比率は20.7%で、全国ワースト2位、将来負担比率は366.4%で全国ワースト1位と、大変厳しい状態だということは、私も十分承知しています。そこで、これまで以上に予算の編成と事業執行にあっては、選択と集中に配慮した対応が不可欠になってきています。
 このような厳しい財政状況の中、教育予算についても、相当割合のカットも止む得ない、学校現場も我慢をして当然と思われている方もいるのではないでしょうか! 実際、日本全体の教育予算を見てみると、ここ10数年来、据え置き、もしくは削減されてきた部署が多かったことと思います。教育関係者も厳しい状況を考えると、現場にとって重要であっても、あまり要望なども出さず、我慢をして、与えられた予算の中で頑張ってきたと言えます。  
 今まで、皆さん「教育は大切だ」と言われてきましたが、日本では、ここ30年教育が置き去りになってきたと言わざるを得ません。OECDが発表したデータによると、2007年度における日本の教育予算は、OECD諸国の中で極めて低く、対GDPに占める割合で、各国平均が4.9%に対し、日本は3.3%と、データのある加盟28カ国の中で最下位でした。
 さらに、世界に目を向けると、日本と比較して経済・文化面などで発展途上にあるとみられている国々でも、教育には大変力が入れられています。
 先日、民主党会派で視察したインドのムンバイのような大都市では、経済格差が大きく、路上生活をしている人々が50%以上いるそうです。「家庭が貧しく朝食を食べていない子供も多く、元気がない」という学校側の悩みに答える形で、全インドの公立校では、無料の給食が、10 年ほど前から1~4年生に実施されるようになり、その結果「学習効果が上がるようになった」という実例も伺いました。
 「出来れば、子どもには教育を受けさせたい」という親心に加え、学校に行けば給食が出ることもあり、路上生活から学校に通う児童も多く、特にこの10年間で就学率も80%を超えるという向上ぶりを示しております。そんな貧しい生活レベルの中にあっても、教育予算を削るのではなく、国の発展を願い、教育の向上に力を入れていると伺いました。
 小学校の授業内容では、毎日英語の授業が全学年に設けられ、将来性を見込んでの英語教育に対する意識は、日本より遙かに高いものがあると実感させられました。
 もちろん経済発展の面でも、教育は不可分です。アラブ首長国連邦のドバイも、まず教育に力を入れました。これからドバイを担うと思われるトップクラスの人たちを国費で海外留学させ、経済学を勉強し帰国した人を中心に、あの砂漠の中に、世界経済を引っ張る都市“ドバイ”を作ったのは有名な話です。
 フィンランド等では、幼稚園から大学院まで授業料は無料、さらに奨学金が与えられるという教育の支援体制が徹底されており、20人以下学級や複数担任制など羨ましい限りでした。PISAの統計で教育水準が、世界最高であるのが当然であると、自信を持って言い切る教師の目が輝いていました。教育の落ちこぼれ、社会の落ちこぼれを出さないことで、犯罪の抑止に繋げ、警察官の増員を図るのではなく、教育に先行投資することで、安心・安全な社会づくりに繋げていると説明をしてくれました。
 スウエーデンでは、教育は未来を担う若者を育てるための先行投資だと言っています。どの国でも教育に力を入れるのはそのためです。「国家百年の計、教育にあり」文字通り、日本も教育予算を増額し、教育にもっと力を注ぐべきと考えます。
 昨年8月に民主党政権が誕生し、本年度の文科省予算が対前年度比5.9%増、文教予算は8.1%増で、過去30年間の最高の伸びを実現するという、大きな変革を実現させました。
 県としても先に申し上げた少人数学級の推進はもとより、充実した教育環境づくりに向けた予算確保と事業の推進が必須だと考えます。繰り返し申し上げますが、厳しい予算の中でも、“教育が基本である”という観点から、教育委員会として現場の声をしっかりと反映させた、教育環境づくりの向上について、取り組んでいくにあたり、今後の決意をお伺いしたいと思います。

●総括審査

1.行革の3年目の総点検について
2.関西広域連合の設立について
3.兵庫県の経済・雇用対策について
(1) 若年者雇用の支援について
(2) 兵庫経済の成長戦略について
(3) 海外事務所の必要性について
4.今後の兵庫県農業について
5.口蹄疫を始めとした家畜伝染病対策について
6.治療を必要とする長期入院患者等への対応について
7.スクールアシスタント配置事業について
8.取り調べの可視化について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (総括審査)
2010年10月20日(水)

1 行革の3年目の総点検について

 平成21年度の兵庫県決算では、一般会計の歳入は2兆1,692億円、歳出は2兆1,643億円で、翌年度に繰り越す財源を除いた実質収支は、約2億円の黒字となっております。
 しかしながら、国際的な経済不況を背景にして、兵庫県内の経済・雇用情勢は急激な悪化をたどり、県税が前年度比1,043億円減収し、国の補正予算による地方交付税や臨時財政対策債による歳入が増加すると共に、歳出については人事委員会勧告による給与の引き下げや県独自の給与カットにより、前年度に比べ323億円もの人件費の減額により、黒字を確保したものであります。この黒字確保は、行革における人件費の削減の効果が表れたものと言えます。
 しかしながら、現在の人事委員会勧告では、民間と公務員の給与格差について、自治体が抑制措置を取っているにもかかわらず、減額される前の給与と比較して、民間より高いと報告しており、公務員に対して適正な給与を確保するものとなっていません。先週の15日に発表された人事委員会勧告では、行革による給与抑制措置を含めると民間給与より、月額で19,938円、5.04%下回っているにも関らず、給与抑制措置を除いた民間との比較で、平均年間給与9万円、1.4%の引き下げを勧告しております。本来、人事委員会勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置として、公務員に対して適正な給与を確保するものであり、能率的な行政運営を維持するものとありますが、そうなっていない状況であります。
 これが実施されれば、職員のモチベーションに支障を来たすことは明白であり、今回の行革の3年目の総点検における給与の見直しにあたっては、人事委員会の勧告は尊重するものの、これ以上職員の士気を損なうことのないようにするべきと思われます。
 また、公社等の見直しについては、公社等経営評価委員会の審議のみならず、各公社が公共の目的から見て本当に必要なのかという観点から、統廃合を更に検討すべきと考えます。今後、議会として委員会を立ち上げるなど財政面・政策面の両面からの根本的な仕分けが必要と考えます。
 さらに、行革のこの3年間の取り組みが、我が会派の主張である、安全・安心を求める県民の思いに応えてきたのか、定員削減や大幅な給与削減に対して職員のモチベーションが維持できたのかなどの検証が不可欠であり、とりわけ現場職員への聞き取り、県民へのパブリックコメント実施等を通して、この3年間の改革における課題、成果をしっかりと把握する必要があります。
 そこで、これらの視点を踏まえて、県の厳しい財政状況の下、さらなる選択と集中を徹底させると同時に、行革3年目の総点検を、今後、どのように行い、公表していくのか方針を伺います。

2 関西広域連合の設立について

 我が会派は、本格的な広域行政の実現に向けた第一歩として、組織を立ち上げ、その上で、予算措置や移譲が可能な事務・権限を国に対して強く求め、地域から地域主権改革を進めていくことが必要と考え、関西広域連合の設立に賛同し、10月6日に関西広域連合の規約案を議決しました。
 現在、2府5県において9月定例県議会に規約案が上程され、大阪府を除く府県で既に議決されており、設立に向けて着実に前進しております。
 しかしながら、8月の広域連合に関する特別委員会の意見開陳でも述べさせていただいたように、広域連合議会における各府県の議員定数の配分や議員報酬などの課題もあり、また、県民にとっては、認知度が乏しいことから、関西広域連合について市町や県民への周知に引き続き努める必要があります。
 さらに、関西広域連合の運営にあたっては、全関西の府県の参加が重要であり、今回参加を見送った奈良県の加入を、兵庫県としても今後も呼びかけていくべきと考えます。
 そこで、今後の設立に向けて、これらの指摘した課題についてどのように対応するのか、また、設立というスタートラインに立った現状で広域行政の実現に向けた知事の決意をお伺いします。

3 兵庫県の経済・雇用対策について

(1) 若年者雇用の支援について

 この件については、部局審査において、宮本委員より、質問させていただきましたが、今まさに来春卒業の高校生の就職活動が本格化しているこの時期に、依然として厳しい雇用状況であることから再質問させていただきます。
兵庫県内の8月の求人倍率は0.52倍で、近畿6府県で最も低く、24歳以下の無業者が前年同期より100人以上増えるなど、ITバブル期崩壊後の就職氷河期並みの大変厳しい雇用状況です。
 さらに、卒業時に正社員にならなければ、その後、正社員になれる可能性が低くなり、不安定な非正規雇用の就労が余儀なくされ、安定した収入を確保することが困難になることから、一段と新卒者の就職支援が重要となってきております。
 また、就職先として、学生の希望と求人との間に、ミスマッチが存在し、就職直後の退職もありえることから、そのミスマッチを解消するための施策を展開していかねばなりません。
 今後、成長が見込まれる介護や福祉、農業などの分野へのミスマッチも考えられることから、産業労働部だけではなく、全部局を上げて、新卒者を初めとする若年者の雇用を支援する必要があります。
 そこで、県として、若年者の就職支援について、どのように取り組んでいくのか方針を伺います。

(2) 兵庫経済の成長戦略について

 6月18日に、菅総理が日本再生の一環として「強い経済」の実現を目指して、2020年度までの今後11年間の平均で、実質年2%、名目年3%を上回る経済成長を打ち出されました。多岐にわたる政策の中でも、特に4つの分野-環境、健康、観光、アジアにおいて計500万人程度の雇用を創出することを目標とする「新経済成長戦略」を策定しています。その経済成長を実現するために①環境・エネルギー、②健康、③アジア、④観光・地域活性化、⑤科学・技術・情報通信、⑥雇用・人材、⑦金融を戦略分野とし、特に、環境・エネルギー、健康、アジア、観光・地域活性化の4分野で123兆円の需要創出、499万人の新規雇用を見込み、現在、緊急経済対策として様々な施策を展開しております。
 兵庫県においても、20年に「ひょうご経済・雇用活性化プログラム」を策定し、そのプログラムの基本事項として、ものづくり産業を起点とした兵庫経済の成長シナリオとしております。
 しかし、内容については、目指す分野が網羅的で、そのためにどのような施策に重点が置かれているのか不明確です。兵庫県経済が厳しい状況の中で、兵庫経済の成長戦略を明確にして、強い兵庫経済を構築する必要があります。例えば、今後、需要が拡大すると予想される介護・福祉分野について、サービス提供の面だけではなく、それを支える介護機器の開発・生産などにも焦点を当てて支援を行うなど、兵庫県として成長を目指す分野を定め、その成長について重点的な支援を行うべきと考えます。
 本年は、次期経済・雇用プログラムの策定の年でありますが、兵庫経済の成長戦略について、どのように考え、どのように施策を展開して行こうと考えているのか、ご所見を伺います。

(3) 海外事務所の必要性について

 この件については、本会議の一般質問でもさせていただきましたが、兵庫経済の活性化にも大きく関連することから、再度質問させていただきます。
 兵庫県香港事務所は、行財政改革によって、平成20年3月に閉鎖されました。しかしながら、中国経済が発展する中、中国との交流がこれから本番という時の閉鎖は、兵庫県経済の成長戦略にも大きく影響を及ぼすことになり、もっと長い目でみる必要があったと思います。21世紀はアジアの時代と言われています。中国が好き嫌いという問題を越え、もはや中国を無視して日本経済の発展はないと考えます。
 海外事務所は、工場進出或いは日本製品の輸出支援の面でも、現地で何が望まれ、何が必要かという的確で最新の情報という点で、海外事務所からの生の情報に優るものはありません。また、現在、日本を訪れる観光客は、アジアから7割、東アジアからは6割と言われており、中国の富裕層の観光ビザの発行が緩和されたことにより、誘客のプロモーションを積極的に展開すれば、間違いなく兵庫県の発展につながります。
 さらに、海外事務所は地域文化の交流拠点でもあり、日本文化等を紹介することで相互理解を深め、友好交流を促進させ、国家間の紛争を乗り越え、平和・地域の安定に貢献するものと確信しております。
 一般質問において、知事は、現地駐在員の増員や連絡員のネットワークの活用など多面的に検討する旨の発言がありましたが、根無しの草では駄目で、拠点としての海外事務所を再設置し、兵庫経済の成長戦略に位置づけ、経済・人的・多文化交流のアジアの拠点とするべきと考えますが、ご所見を伺います。

4 今後の兵庫県農業について

 国では今後の食料、農業、農村の基本的な施策として、新たな食料・農業・農村基本計画を策定し、戸別所得補償制度に加えて、「農業・農村の6次産業化」や「食料自給率の目標を50%に引き上げる」などの施策を表明しました。
 同計画の特徴としては、水稲を中心とした農業経営において、米以外の転作作物による需給調整から、米粉用や飼料用等の新規需要米、すなわち米を作りながら需給調整することも可能としております。さらにその販売を農協に頼るのではなく、自らが販売していこうとする意欲ある農家を支援すると共に、これまでなかなか取り組みがされていなかった、米における6次産業化にも道を開くものだと考えます。
 先般の部局審査における上野議員の質問において、本県の7月末の新規需要米の作付計画面積が、昨年の3倍以上との答弁をいただきました。本県での同計画に基づく取組成果が着実に出ているものと評価します。また、戸別所得補償制度は、新規需要米等の販売ルートを独自開拓する等の意欲ある農家への支援により、大規模経営の促進、農家の自立につながると思われます。また、本県では農家の約80%が兼業農家であることから、我が国の農村や農地の維持には不可欠な、零細・兼業農家への最低限の支援制度となっており、未来を見据えた制度設計となっていると考えます。
 一方、昨年夏の政権交代以降、国では農業政策の大きな転換が行われていますが、国の新たな計画がめざす「農業生産性を高め、食える農業にする。さらに、食料自給率を高める」という方向での施策は、前政権時代から継続的に推進されていることであり、兵庫県においても、これまでの取り組み推進を軸にしながら、先に述べた国の新たな計画の特徴を踏まえた本県独自の検討を加え、兵庫県農業の推進につなげていくべきと考えます。
 また、部局審査では「県民全体で農林水産業を支える」との農政環境部長からの答弁もいただきました。まさにその通りであり、県民理解のもと、県民一丸となって取り組むべきと考えます。
 そこで、国の新たな食料・農業・農村基本計画を踏まえた兵庫県農業の今後の方向について、県民一丸となった取り組みという観点も含め、知事の見解をお伺います。

5 口蹄疫を始めとした家畜伝染病対策について

 今年4月に発生した家畜伝染病・口蹄疫は、宮崎県内5市6町に感染拡大しました。
 感染力が強い特性もあり、病気が発生した農場の家畜やワクチン接種を行った家畜を含め、約29万頭の牛や豚が殺処分されました。
 兵庫県も含めた全国からの獣医師の応援による懸命な防疫活動により8月末にようやく終息宣言が出されました。
 幸い、本県の家畜への感染はありませんでしたが、牛肉、豚肉が輸出できないなどの影響があります。過去、本県において、平成16年の高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病が発生しており、宮崎県の口蹄疫の検証結果等を踏まえ、本県の家畜伝染病対策にも考察を加えていくべきではないかと考えます。
 国では、口蹄疫対策検証委員会により現在、最終報告に向けて検証を行っていますが、先月15日に発表された「これまでの議論の整理」では、「初動の対応が不十分」や「国・県・市町村の連携不足」が指摘されており、今後は、家畜防疫員による定期的な立入検査や、国主催による全国一斉の防疫演習により防疫体制の点検や改善、県境付近での発生に備えた隣接県同士の連携・協力体制の準備等が改善方向として示されています。
 県としては、国の最終報告を受けて検討する部分もあるかと思いますが、先に指摘した部分は宮崎県で発生している段階から指摘されていたことでもあり、本県で発生した場合への対応として、早期に検討しておくべきではないかと考えます。
 そこで、初動確保のための早期発見に向けた職員の資質向上も含めた、家畜防疫体制のさらなる整備や、近隣府県等との広域連携による取り組みがまず必要かと考えますが、この点も含めて、今後、口蹄疫を始めとした家畜伝染病対策をいかに改善していこうと考えているのか伺います。

6 治療を必要とする長期入院患者等への対応について

 次に、治療を必要とする長期入院患者等への対応についてお伺いします。
治療の必要がなくなっても入院を続ける「社会的入院」を解消するため、平成14年の診療報酬の改定により、180日を超えて入院する患者への保険給付の枠が狭まり、患者の自己負担が増加することになりました。また、一般病棟等については、入院患者の入院日数で入院料に差がつくことから、経営のために患者の早期退院が進められていると言う実態があります。その結果、急性期を過ぎた患者の一般病棟等における長期入院が困難となってきております。
 90日を超えて入院する場合は、入院診療報酬が低減され、「一般病棟入院料」等が低い点数となるため、療養型病棟への転院が進められております。しかし、現実には受け入れる療養型病棟も少ないことから、介護施設への移転や在宅で治療を行う必要あります。しかし、介護施設等の整備が間に合っていない現状では、在宅治療が中心となり、高齢者の家族にとっては大きな負担となっております。
 在宅で看護・医療ができれば越したことはないですが、大きな後遺症を持った患者や高齢者が、在宅で治療を継続できる環境は十分ではありません。介護保険制度に期待したものの、介護施設も十分でないことから、多くの患者や高齢者、その家族から、この制度の改善の声をよく聞くところであります。
 そこで、このような状況を、県としてどのように認識し、どのように対応しようとしているのかお伺いします。

7 スクールアシスタント配置事業について

 県教育委員会では、ひょうご教育創造プランにおいて、ひょうごユニバーサル社会づくりの理念にもとづく特別支援教育の充実をかかげ、小学校等の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けた取り組みに対し、きめ細かに支援されております。
 特に、LD、ADHD、高機能自閉症等様々な障害のある児童生徒に対し支援等を行うスクールアシスタントの配置は、全国に先駆けた兵庫県独自の取り組みであり、全国に誇れる教育施策として大いに評価されて良いものと考えます。
 そういう中で、このスクールアシスタント配置事業については、国の特別支援教育支援員の配置に係る地方交付税措置ができたことから、平成22年度末までの3年間の経過措置として、県の補助単価と交付税単価の差額の1/2を助成するとした上で、県補助事業としては廃止され、市町事業へと移行することが、平成20年度末に策定された新行革プランで発表されました。
 この事業は、発達障害児等が全国的に増加する中、教育現場や保護者から、その必要性の声を多く聞きます。さらに、しっかりとした支援の下で障害のある児童生徒を通じて、他の生徒に「やさしい心」を育むなど、心の教育にも大きな好影響を与える場合もあると聞きます。
 また、国から市町へ直接交付税措置はされているものの、各市町の財政力が違うことから、この3年間の県の措置があっても、十分に措置していない市町もあるという現状があります。
 新行革プランについては、現在、条例に基づく3年目の見直し作業が行われています。行財政構造改革調査特別委員会の意見開陳でも述べましたが、我が会派においては、このような現状を踏まえると、財政上の理由からこの事業が停滞することは許されず、県の最重要施策の一つの柱である「教育」を考える時、再検討するべきであると考えます。
 そこで、スクールアシスタント配置事業のこれまでの成果を伺うとともに、様々な障害のある児童生徒に対し、学校生活上の介助や学校活動上の支援をするための新たな制度も含め、今後の取り組みについて伺います。

8 取り調べの可視化について

 この件については、部局審査において、池畑委員より、質問させていただきましたが、再度、認識を聞かせていただきます。
 捜査段階から公判まで日本の刑事裁判では、自白が重視されております。しかし、そこから脱し公正な裁判を確立するための決め手として、全面可視化の必要性が叫ばれて久しい状況であります。これまでの冤罪事件の被害者や弁護士らによると、捜査当局は身柄を拘束した容疑者に対し、強圧的な追及や言葉巧みな誘導尋問を行い、立件や起訴に好都合な自白を引き出してきたと言われております。本来なら物証の重視を刑事裁判の前提としなければならないはずで、証拠を裏付ける容疑者の供述も、任意性が保証されてこそ信頼できるものとなります。
 一般市民が参加する裁判員制度が、昨年5月にスタートした際、裁判員に判断材料を提供するため検察側は一部に限って録音・録画を試行しました。しかし、可視化の対象を広げることには「供述をためらわせ捜査に支障がある」として消極的であり、兵庫県警も真相解明に影響が出ると言う観点から強い懸念を示しておられます。
 しかしながら、密室での容疑者の取り調べの結果、足利事件の菅谷さんのような冤罪事件を二度と出さないためにも、さらに大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で失った警察・検察に対する信頼を取り戻すためにも、可視化は避けられないものと考えますが、県警のご所見を伺います。

小池ひろのり
中央区

●財政状況

1.年間収支不足額の改善要因について
(1) 人件費削減による効果額について
(2) 国の補正予算による効果額について
2.県税過誤納還付金について
3.一時借入金について
4.健全な財政運営について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2010年10月7日(木)

1 年間収支不足額の改善要因について

 多くの方々の質問があったところですが、改めて21年度決算額の実績についてお伺いいたします。
 翌年度繰り越し財源を控除した実質収支は、前年度より1億2,100万円増となる2億4,100万円の黒字、実質単年度収支は、3,400万円増となる1億2,100万円の黒字であり、経常収支比率は98.3%と前年度の99.1%を下回りましたが、財政健全化指標である実質公債比率は20.7%、将来負担比率は366.4%と、それぞれ前年度の19.9%、360.1%を上回るなど、新行革プラン財政フレームの見込みよりは改善したものの、20年度決算より悪化するなど、本県の厳しい財政状況を反映したものとなっています。
 一方平成21年度の収支不足額の実績は、当初予算時の1,170億円と比較して、393億円改善の777億円となっており、この不足額に対しては、退職手当債300億円、行革推進債230億円、県債管理基金249億円の財源措置がなされたところでした。
 これら措置額も全体の収支改善に伴って、当初と比較して、退職手当債が50億円、行革推進債が100億円、県債管理基金が241億円、それぞれ改善されるという実態につながったものですが、このように収支不足が改善された要因の一つには、人件費削減、二つには国の第1次、2次補正予算の活用が大きな要因だと思っております。
 そこで、以下の点について伺います。

(1) 人件費削減による効果額について

 申し上げるまでもなく、職員人件費については、新行革プランに基づく給与の抑制と定員削減並びに、人事委員会勧告を踏まえた措置結果が反映されたものであり、平成21年決算では、人件費全体で対前年度と比較して323億円の抑制となりました。
 我が会派が、去る9月に知事に提出した重要政策提言において、「職員定員については、財政改革のための一律削減ではなく、毎年の事業量精査による必要な定員数を前提に決定すること。また、給与については、人事委員会勧告を尊重するとともに、現在行っている給与削減についても、職員の士気の低下を防ぎ、職員及びその家族の生活設計を守るためにも、一定の方向性を示すなど、見直しの検討を行うこと」としており、職員のモチベーションに支障を来さないような配慮が必要であるとは、これまでも繰り返し訴えてきたところですが、一方で、財政面から見た場合に、その削減効果が高いことも事実であります。
 そこで、平成21年度実績ベースで人件費削減の効果額を給料月額の減額や地域手当の見直し、期末・勤勉手当の減額といった独自カット分、人事委員会勧告による引き下げ分、職員数の削減分に区分してお伺いします。

(2) 国の補正予算による効果額について

 国では昨年度、「経済危機対策」に基づき編成された第1次補正予算と、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に基づく民主党政権としてはじめての経済対策となった7兆円規模の補正予算がそれぞれ成立しました。
 その結果、本県でも当該経済対策に伴う基金造成に対する国庫交付金として803億円が追加されるなど、国庫支出金全体では、対前年度比で計906億円の増加となる2,813億円となりました。
 これに伴い、本来県の一般財源をもとに実施しようとしていた事業等も、4次にわたる補正予算を編成した結果、国庫を活用した事業に再編成し直すなどにより、県財政の軽減に役立ったのではないかと思われます。
 そこで、国の第1次、2次補正予算による効果額、すなわち本来県費での執行を予定していた予算のうち、財源を国費に振り替えたものについてお伺いします。

2 県税過誤納還付金について

 平成21年度歳出で、行政経費の補助費等が、計296億円増となっており、その内訳に県税過誤納還付金が記載されております。
 過誤納と言う言葉自体が難しい言葉で直訳すれば「誤って納める」となりますが、年度当初に納め過ぎた県税を、景気動向に伴って還付した実績が記載されているということなのだと思われます。平成21年度実績を見ますと、対前年比84億円と倍以上に増加しているところですが、その増加要因についてお伺いします。
 また、そもそも、どのような要因で還付金は発生するのか、県側に起因するもの、納税者側に起因するもの等、発生要因についても併せてお伺いします。

3 一時借入金について

 本年2月に行われた第304回定例県議会において、我が会派の竹内議員が「県債残高4兆9,209億円にかかる年間の支払い利子は幾らなのか」の質問したことに対し、「一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた県債についての利子負担は、平成22年度で約800億円であります。
 県債発行に当たっては、入札や提案募集など競争原理を導入し発行コストを抑制しておりますが、過去の高い利率分もあります。現在、平均1.64%となっています。」との知事答弁がありました。 
 現在のような低金利の時期にあっても、県債については利子負担も十分考慮に入れて発行されているのは当然と思いますが、これに関連して、一時借入金の状況についてお訪ねします。
 改めて申し上げるまでもなく、一時借入金は、会計年度中の歳出予算の範囲内の支出で歳計現金が不足した場合に、その支払資金の不足を補うために県が借り入れる借入金で、一般会計の場合、税金などの収入時期と職員賞与などの支出時期に時間差が生じるため、その間の資金繰りなどに利用されるものである。また、5月末の出納閉鎖では当該年度の借入金残高が必ずゼロになるものですので、歳入予算にも計上されておらず、補正予算を編成する必要もないとされています。
 今回、事前に当局に伺ったところによると、年間を通じた1日当たりの平均借入金額は、平成17年度が 1,071億 10百万円、平成18年度が1,231億97百万円、平成19年度が1,341億92百万円、平成20年度が1,568億33百万円と増加傾向が続いておりましたが、平成21年度においては3,176億26百万円と対前年度と比較して倍増しております。
 当局におかれては、切れ目のない県民サービスに資するためにも、資金調達・資金運営に大変なご苦労をされていると思いますが、この一時借入金の課題は、金利の上昇局面にあっては大きな課題になり得ると考えます。
 そこで一時借入金の総額の増加要因と、それに伴う金利負担額の実績並びに今年度の借入状況についてお伺いいたします。

4 健全な財政運営について

 平成21年度決算における実質収支、実質単年度収支は、2億41百万円、1億21百万円であり、黒字を確保しているとはいえ、億単位で考えれば、わずかであります。
 それと比較して、県債についての利子負担は、平成22年度で約800億円の見込みと伺っており、平成21年度の一借りに係る金利負担額は、先ほどお聞きしたとおり約18億円であります。
 県債の利子負担額を21年度決算審査だけで取りあげるのは妥当ではないと思われますし、震災復興のような災害などの特別な要因に起因するものでもあり、止むを得ないと思いますが、世代間負担を前提とした先行投資、あるいはこれまでの右肩上がりの経済成長を前提とした財政運営・計画については、今一度問い質すことも重要と考えます。
 私は農政環境常任委員会に所属しておりますが、先般開催された委員会では、農業農村整備予算の増額を求める請願審査が行われました。
 ここで詳細については詳しく申し上げませんが、この審査の過程では、平成23年度の土地改良関連予算について、国庫充当事業ではあるものの、計画どおり進めるために必要と見積もっている所要額から、国庫交付金ベースの私の試算ですが、約 40億円の不足が見込まれるという実情が認識されました。
 事業担当部局では、具体的な事業費獲得にあたって、相当な苦労をされていることとも伺っています。
 財政当局におかれては、このように事業予算が不足している実情もしっかりと目を配ってご認識いただきながら、選択と集中に十分留意され、無駄を省いて、真に必要な事業を厳選のうえ、効率的な予算執行と一層健全な財政運営に望んでいただきたいと思いますが、ご所見をお伺いします。

●企画県民部1

1.地域再生大作戦について
(1) 小規模集落元気作戦の成果について
(2) ふるさと自立計画推進モデル事業について
(3) 今後の展開について
2.神出学園、山の学校の現状と取り組みについて
(1) 両校の実績について、
(2) 修了者へのフォローアップについて
(3) 環境変化への対応について
(4) 但馬やまびこの郷、清水が丘学園との連携について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部1)
2010年10月8日(金)

1 地域再生大作戦について

 県では、地域課題や県民ニーズが複雑・多様化の中で、特に地域の活力が失われつつある多自然地域を中心に、地域の自主的・主体的な取り組みによる賑わい創造や活性化、農業振興や定住、空間活用等を促進するため、「地域再生大作戦」を展開されており、「①小規模集落元気作戦、②ふるさと自立計画推進モデル事業、③地域再生応援事業、④まちなか振興モデル事業、⑤中山間「農の再生」推進対策、⑥多自然居住の推進」という6つの柱により、多彩な事業を実施されています。
そのうちまず小規模集落元気作戦についてお伺いします。

(1) 小規模集落元気作戦の成果について

 小規模集落元気作戦は、人口が減少し高齢化が進んだ小規模な集落を対象に、市町と協働した集落再生に向けた住民の主体的な取組を支援するモデル事業として展開し、集落住民による地域づくりの合意形成や、都市地域との交流を通じた活性化を図ることを目的とした事業で、今年で3年目を迎えました。
 そこで、これまでの取り組みを踏まえた上で「小規模集落元気作戦」の2年間の実績とその成果についてまずお伺いします。

(2) ふるさと自立計画推進モデル事業について

 次に、地域再生大作戦の6つの柱のうち、多自然地域の活性化に立脚した取り組みについて、お伺いします。
 県では多自然地域において、地域資源を発掘、活用するとともに、ふるさとづくりについて自ら考え、自ら行動しようとする地域住民の計画づくりを支援するとともに、種々の施策や制度を活用して地域の自立を図っていくふるさと自立計画推進モデル事業を実施されています。
 多自然地域における住民の暮らしを豊かなものとするためには、地域の資源を発掘し、創意工夫で活用することによって、自立を図り、活力を持続することが大切です。
 その理念のもと、「地域の個性と資源を生かした地域興し」、「空き空間や空き施設などの有効活用」、「交流による地域の賑わい創造」といった視点での地域づくりを進めることを狙いとされており、地域団体による計画づくりの支援など、種々の施策や制度を活用して地域の自立を図っていくことを推進されています。
 先ほど申し上げました私の地元の神河町でも、新田・作畑で「ふるさと自立計画推進モデル事業」、による支援を受けておりますが、「ふるさと自立計画推進モデル事業」による県内の他地域の取り組みの実例はどうなっているか、またその具体的な成果はどうなっているのかをお伺いします。

(3) 今後の展開について

 平成22年度では、多くの新規事業も含めて、重層的にソフト・ハード事業を展開されようとしており、素晴らしいと思う反面、県としてうまくコーディネートして実施していかないと、事業の効果が薄れるのではないかとも危惧しております。
 特に、将来的には取組の担い手が高齢化することから、定住人口を増やす工夫を考えないといけないと考えます。
 私の地元の神河町でも大川原集落における「小規模集落元気作戦」や、多自然居住の取り組みが進められ、7年目にしてようやく一定の成果が出ようとしていると考えます。 
 それは、今年度からオープンしたログハウス村による期待・効果です。15戸の分譲物件、賃貸18戸は管理費含めて年間41万の費用ですが、賃貸はすべて契約が完了いたしましたが、分譲は1件も進んでいないのが現状です。本格的な定住を進めていくための取組をさらに深める必要があると考えます。
 そこで、小規模集落元気作戦やふるさと自立計画推進モデル事業の展開を含め、地域再生大作戦の展開事業全体が相乗効果を発揮して、事業効果が最大限となるよう、いかに取り組もうと考えているのかお伺いします。

2 神出学園、山の学校の現状と取り組みについて

 次代を担う青少年が心身ともに健やかに成長することは、県民すべての大きな願いであると思います。
 しかしながら、今日の青少年を取り巻く状況を見ますと、誠に残念なことに、青少年が加害者や被害者となる事件や児童虐待の頻発、絶えることのない学校でのいじめや暴力行為、不登校児童・生徒の増加、ひきこもり、や就業問題など課題は大変深刻かつ多岐にわたっていると言わざるを得ません。
 文部科学省がこの9月に発表した「平成21年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は約6万1千件と前年度より約1千件増加、高等学校における不登校生徒数は前年度より約1千人減ったものの、約5万2千人にのぼっています。
 複雑多様化、経済至上主義のもと競争が激化する現代社会の中で、孤立化し、自己を見失い、悩める若者たちが多い中、本県では、こころ豊かでたくましい青少年の育成を図るため、多彩な体験活動の場の提供や、異年齢、異世代による交流の場づくりを推進する一方で、不登校やひきこもり、中途退学、ニート等の課題に対応するために、青少年の自立・共生を支援しているところですが、その中でも「県立神出学園」と「県立山の学校」の意義と役割は非常に大きなものがあると考えています。

(1) 両校の実績について、

 県立神出学園は、不登校等の青少年が、ゆとりと潤いのある共同生活の中で、自己に対する理解を深め、進路を発見できるよう支援することにより、こころ豊かな青少年の育成を図ることを目的に、平成6年に設立され、既に15年が経過しました。
 一方、県立山の学校は、豊かな自然の中で、共同生活や体験学習を通して、心豊かな人間形成を進めるとともに、林業や緑化に係る基礎的な知識と技術の習得と、森や緑を守り育てる人材の育成を目指して平成5年に設立され、既に16年が経過しました。
 この間、両校とも相当な実績をあげてこられたことと思いますが、まず両校の修了者数並びに進路状況について、開校以来の実績をお伺いします。

(2) 修了者へのフォローアップについて

 過去の実績では、両校の修了生の約57%が進学、約32%が就職するなど、多くの修了生が新たな生き方を見いだし、次のステップに進んでいることは、評価するところですが、一方で、修了した後の進路先で、うまく順応できているのかという心配もあります。
 両校修了後の進学・就職先への定着や家庭生活への適応に向けた支援など、修了後のフォローアップについてどのように取り組んでおられるのかお伺いします。

(3) 環境変化への対応について

 開校以来15年以上が経過し、両校を取り巻く社会環境の変化や子どもたちの状況の変化には、非常に大きなものがあると思います。
 不登校の子どもたちへの対応のほか、(答弁にもありましたが)、社会問題化しつつある、ひきこもりの高齢化や長期化への対応も必要と思われます。
 また、神出学園や山の学校は寮生活ですが、宿泊を伴う集団生活になじめない子どもたちへの対応も気になるところです。
 さらに、山の学校の当初の設立目的の一つとして林業後継者の育成がありましたが、森林関係への就職の減少という課題にも直面していると思われます。
 そこで、これまでの両校を取り巻く環境変化に対し、どのような対応をとってこられたのかについて、お伺いします。

(4) 但馬やまびこの郷、清水が丘学園との連携について

 最後に、企画県民部の所管ではありませんが、同様に様々な悩みを抱えた子どもや情緒障害のある子どもに対応する施設としての、県立但馬やまびこの郷と県立清水が丘学園との連携についてお伺いします。
 但馬やまびこの郷は、県内に在住する不登校あるいは不登校傾向の小学生や中学生、その保護者、教職員を支援するために兵庫県教育委員会が設置した教育機関で、清水が丘学園は子どもの心理治療を行う機能を持った全国的にも数少ない施設として、兵庫県社会福祉事業団が運営しています。
 所管が異なるとはいえ、いずれも問題を抱えた子どもたちを支援する施設と位置づけることができ、それゆえに様々な面で連携を図っていくことも可能ではないかと思っています。
 そこで、それぞれの施設間の役割を踏まえた協力・連携の実績及び以後の取り組みについて所見をお伺いします。

●農政環境部

1.今後の農政の方向について
(1) 大規模稲作農家における米販売の取り組み等について
(2) 新規需要米の取組状況について
(3) 新たな食料・農業・農村基本計画に対する県の認識について
2.農林水産物の販売促進の取り組みについて
(1) ひょうご農水産物ブランド戦略の平成21年度における成果について
(2) 県の主体的な販売促進等の取り組みについて

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (農政環境部)
2010年10月14日(木)

1 今後の農政の方向について

 新たな食料・農業・農村基本計画が平成22年3月30日に閣議決定され、当時の赤松農林水産大臣は「農業・農村の繁栄無くして国家の繁栄はありません。しかし、我が国の農業・農村は、農地の減少、農業者の高齢化、農村の疲弊など、ここ十数年で危機的な状況が一層深刻になっています。この厳しい状況を打開し、「食」と「地域」の再生を図るための大きな道標として、この新たな基本計画を策定いたしました。具体的には、①基本計画に新たに掲げた「戸別所得補償制度」、「農業・農村の6次産業化」等を推進します。②農業を成長産業としつつ、農村においては、バイオマス等地域資源を活用した新産業等を創出し、所得と雇用を生み出します。③国家の安全保障の要である食料自給率については、50%への引上げという意欲的な目標を初めて掲げました。」との談話を出されています。
 要するに、新たな食料・農業・農村基本計画がめざすところは、「農業生産性を高め、食える農業にする。さらに、食料自給率を高める」ということであり、農政がめざす方向の基本的な考え方としては、前政権時代と同じということだと思います。
 一方、特徴的な方針提起としては、水稲を中心とした農業経営において、米以外の転作作物による需給調整から、米粉用や飼料用等の新規需要米、すなわち米を作りながら需給調整することも可能としており、その販売を農協に頼るのではなく自らが販売していこうとすることを推進するものだと思います。そのような視点から、以下の点について質問いたします。

(1) 大規模稲作農家における米販売の取り組み等について

 昨年夏の政権交代以降、国では農業政策の大きな転換が行われておりますが、集落営農の組織化推進、農業経営の大規模化の推進等の農業構造の転換を図る施策は、農業の持続的発展を図るための施策として前政権時代から継続的に進められております。
 一方、本県では、今定例会の永富議員による代表質問でもふれましたが、兼業農家が全体の約80%、約4万5千戸と全国で4番目に多い状況にあり、その多くが米のみを販売する零細農家で、このような農業構造の転換を図るため、本県では、認定農業者や集落営農組織の育成、農業経営の大規模化に力を入れておられます。
 ここで、特に、米の出荷について着目すれば、兼業農家の多くはまずほとんどが農協への出荷、あるいは縁故米での流通ではないかと考えますし、一方、大規模稲作農家は、兼業農家とは異なり、農協への出荷に頼らない取組を行っていると聞きます。
 そこで、まず、県が進めている認定農業者や集落営農組織の育成について、5年前と比較して、平成21年度末はどのようになっているのか。あわせて、県下の大規模稲作農家における米販売の最近の特徴的な動きについてお伺いします。

(2) 新規需要米の取組状況について

 答弁にありましたように、農業構造の転換を図る取組が進んでいるとともに、当然のことかと思いますが、大規模経営の農家や法人ほど、農協に頼らない独自の販売ルートで米等の農産物を販売していることがわかります。
 冒頭にも述べましたが、「新たな食料・農業・農村基本計画」では、米粉用や飼料用等の米を作りながら需給調整することも可能としています。さらに米粉用・飼料用等の新規需要米の生産には、実需者との出荷・販売契約等を条件に、10アール当たり8万円の交付金が支給されることとなっており、独自の販売ルートを開拓する意欲ある農家を支援する仕組みとなっています。
 このような新規需要米は先ほども述べたとおり、主食用米ではないけれど、米を作りながら需給調整できることで、非常に光明が差すものと考えています。
 そこで、本県における平成22年度の新規需要米の取組状況についてお伺いいたします。

(3) 新たな食料・農業・農村基本計画に対する県の認識について

 「水稲農家が減反をせずに米を作れる。その上に、8万円/反の交付金が頂ける。今までの制度は農家の意欲を削いできた。戸別所得補償制度、こんな素晴らしい政策はない。」2010年10月4日放送の報道ステーションでの、秋田県大潟村、あきたこまち生産者協会、涌井徹社長の話です。また、余談になりますが、10月18日深夜2時40分からの、朝日放送「テレメンタリー2010」でも放映されるそうです。
 例えば、大まかな計算ですが、大潟村のように15haの大規模農家では、半分の7.5haで需給調整を行うとすれば、10a分は控除されるので、主食米定額の補償は75反×1万5千円で111万円ですが、需給調整した半分の農地で米粉用の米を栽培し販売すれば、75反×8万円で600万円の交付金が支給され、合計711万円の交付を受けることとなります。しかし、平成22年度の大潟村・生産者協会120戸1,800?の経営面積の内で米粉用米作付面積は、せいぜい50?、2,000トンの収量と50%の900?には程遠いですが、一方、6反60a程度の小規模兼業農家では、半分が需給調整ならば、米粉や飼料用米の独自販売もまず困難であるので、10a分は控除され、20a分の主食米定額補償の3万円だけの交付になります。このことは、農業構造の転換促進に向けた大規模農家への手厚い支援と、零細農家へは営農継続への意識付け程度の支援となっているのではないかと思います。
 よって、戸別所得補償制度を「農家へのばらまき制度」と批判される方もおられますが、私は、販売ルートを独自開拓する等の意欲ある大規模農家にとって大きな支援となっていることから、大規模経営の促進、農家の自立につながり、かつ、現状として我が国の農村や農地の維持には不可欠な零細・兼業農家への最低限の支援を行う制度となっており、我が国の現状から未来を見据えた制度設計となっているのではないかと考えます。
 冒頭に申しましたように新たな「食料・農業・農村基本計画」においては、戸別所得補償制度に加えて、「農業・農村の6次産業化」や「食料自給率の目標を初めて50%に引き上げる」などの施策を推進することとしており、今後の食料、農業、農村の基本的な施策の方向を示すものだと考えております。
 そこで、新たな食料・農業・農村基本計画に対し、県としてのどのように認識するのかを伺います。

小麦の輸入量 H.19 480万トン 米の生産量 H.17 900万トン
国民1人・年当たり 米 61.4kg 麦 32.3kg 計 95kg
1ha当たり4,200kg(7俵/反)とすれば、
 480万トンに相当する作付面積は、114万ha
 900万トンに相当する作付面積は、214万ha

2 農林水産物の販売促進の取り組みについて

(1) ひょうご農水産物ブランド戦略の平成21年度における成果について

 本県農林水産業の生産額・生産量はともに年々減少していることから、産品ごとの有する「強み」を再検証し、販売先を見定めながら生産額、生産量の確保を図る必要があります。このため、本県産農水産物について、他府県産品との優位性(魅力)を明確にしつつ、その魅力を活かすための課題を解決し、消費者の産品に対する評価と利益率を高める生産・流通・販売面の戦略の展開として、①既存ブランドの強化、②新規産品のブランド育成、③ひょうご農水産物販売ディレクター育成などの人材の育成、等に取り組む、ひょうご農水産物ブランド戦略に取り組まれています。
 そこで、ひょうご農水産物ブランド戦略の平成21年度における具体的な成果、中でも「ひょうご農水産物販売ディレクターの育成事業」に関する成果についてお伺いいたします。

(2) 県の主体的な販売促進等の取り組みについて

 先日の企画県民部審査において、「地域再生大作戦」について質問した際にも申し上げましたが、市や町から見れば中2階の存在である県は、生産者や販売者にとってどんな存在・立場にあるのでしょうか! 県では、いろいろな事業を展開されていますが、どの事業においても、市町支援、生産者支援であります。もちろん基礎自治体に対しての県の大きな役割は、支援や指導であります。しかし、もう少し県が先導的に取り組んでも良いんではないかと思います。
 昨年3月に会派の調査で宮崎県の農林水産部を訪れた際、「新みやざきブランド推進対策」の事業説明を受けましたが、随分、兵庫県とは異なるなと感じました。例えば、県の支援を受けて県産品の販路及び需要拡大等を行う社団法人宮崎県物産貿易振興センターがあり、同センターにより、県庁横にはみやざき物産館、東京には新宿みやざき館KONNE(こんね)、みやざき物産館大阪支部、福岡支部、福岡天神みやざき館KONNE、みやざき産品オンラインショッピングを運営、実施しており、農林水産物の販売促進を県が主体的に取り組んでいると思います。
 また、これは東国原知事効果ですが、タレントの田中義剛の生キャラメルと完熟マンゴー「太陽のタマゴ」とのコラボや、ゆうパックとのコラボ等々、県が直接、農林水産物の販売促進に取り組んでいます。
 そこで、兵庫県は、県内に大消費地神戸市がありますし、隣にはもっと大きな消費地の大阪市があり、地理的にも取り組みやすいと考えますが、県が主体的に農林水産物の販売促進に取り組むことについてのご所見をお伺いいたします。

●県土整備部

1.良好な道路の維持・管理について
(1) 道路の維持・管理について
(2) 道路敷等の行政財産の処分について
2.入札制度について
(1) 総合評価落札方式における加算点の算出方法について
(2) 適正な施工体制の確保と厳正な確認について
3.県営住宅駐車場の有料化について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (県土整備部)
2010年10月15日(金)

1 良好な道路の維持・管理について

(1) 道路の維持・管理について

 道路は人間生活において欠かすことの出来ない社会資本であり、建設・整備と同時に良好な維持・管理が必要です。建設・整備に当たっては安全・安心を基本として、必要な道路構造・道路設備の設置をなされていると思いますが、私は前々から緑の多い自然豊かな地域にまで、街路樹や緑地帯は必ずしも必要がないのではと考えています。
 そこで、まず、平成21年度における、県が管理する国道、主要地方道、一般県道の全道路における街路樹の本数、植樹帯延長、県が行っている除草延長、及びそれぞれに要する費用について伺います。
また、県では「ひょうごアドプト」などにより住民参加で道路の維持管理に取り組んでおられますが、その活動内容や参加団体数についてもお伺いします。

(2) 道路敷等の行政財産の処分について

 このように道路整備の過程で整備した緑地帯等については、多額の維持管理経費を要し、その維持管理に多くの団体の手を煩わせている現状があります。そういう点も踏まえ、私は、いったん整備をした緑地帯等でも、売却可能なもので買いたい人があれば処分すべきと考えます。
 平成19年9月定例会の一般質問でも「例えば、用地買収の際に1筆全部を買収し、広く街路・緑地として整備したけれども、後年、それが不用になったとも思えるケースが県下には多くあり、隣接する店舗の所有者等が、その緑地について、分譲を希望した場合、行政が財産として所有、整備したものはまずそれを活用することが優先され、安易な処分はされにくいが、民間においては大いに可能な話だと思います。」と発言しました。
 県下でどれくらいの該当箇所があるかはわかりませんが、私が相談を受けた箇所だけでも3箇所あり、私が見る限りにおいては、2箇所については処分をしても道路構造上あるいは交通安全上においても、何の問題もない場所であると考えます。ただ、道路の供用を廃止し、売却処分する権限は県民局にあるものの、いったん整備したものを処分するのは、現地の土木事務所では判断しにくく、かつかなり抵抗感をもたれることも理解できます。しかし、本当に割り切って処分できるものは処分を行うことで、県の収入にもなりますし、維持管理費の節減にもなります。一方、個人からすれば土地の有効活用となりますし、その用地の使用に関して紛争がある場合は、所有者が個人に明確化することにより紛争回避にもつながります。
 そこで、今まで述べてきたような一定の条件を満たす場合には、公平性を保ちながら、住民の要望に対応するべきであり、道路整備などの事業の中で買い上げた土地についても、事業変更等に応じた処分など、効率的、弾力的な運用できるよう、本庁と一体となって取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

2 入札制度について

(1) 総合評価落札方式における加算点の算出方法について

 入札制度改革については、これまでから最低制限価格の引き上げや、制限付き一般競争入札制度、総合評価落札方式等々を行っていますが、ここでは総合評価による落札方法について伺います。このことについては、8月の政務調査会でもお聞きをいたしました。また、今議会の一般質問で、自民党の筒井議員が全く同じ趣旨の質問をされましたが、改めてお尋ねいたします。
総合評価落札方式のメリットとして
①価格と品質が総合的に優れた調達により、優良な社会資本整備を行うことができる。
②必要な技術的能力を有する建設業者のみが競争に参加することにより、ダンピングの防止、不良・不適格業者の排除ができる。
③技術的能力を審査することにより、建設業者の技術力向上に対する意欲を高め、建設業者の育成に貢献する。
④価格と品質の二つの基準で業者を選定することから、談合防止に一定の効果が期待できる。
⑤総合評価落札方式の活用により、地域の建設業者の役割を適切に評価することも可能となり、一般競争入札の導入・拡大を進めやすくなることから透明性の確保が図れ、納税者の理解を促進する。
とされています。
 そして、それと同時に入札参加者からすれば、公正・公平な入札制度でなければならないことは言うまでもないと考えます。そこで、まず、加算点の算出方法が公正・公平なものとなっているかお伺いいたします。
 一つは企業の施工実績のうち、過去2年間の工事成績評定点の平均点についてですが、工事発注量が減少し、しかも競争が激化している今日では、いくら企業努力をしても1件も受注すらできないこともあるという現状があります。
 二つめは、地域固有の社会貢献の活動状況のうち、除雪作業による加点についてでありますが、除雪作業の県発注状況については、業者数や降雪に関する地域差等が大きいことから、機会均等にはなっておらず、その上に加点が大きいという現状があります。
 そこで、現在の入札制度において、総合評価落札方式の特別簡易型で入札参加資格に施工実績を求める場合、この二つの要素で加算点数13点の中で最大5点の差、予定価格を7千万円とした場合、5点で約310万円の差が生じ、決して公平とは言えないのではないか考えますが、ご所見をお伺いいたします。

(2) 適正な施工体制の確保と厳正な確認について

 総合評価による落札方式にしても、一般競争入札方式にしても、総合評価落札方式のメリットに示された5点のことを発揮するには、何よりも適正な施工体制の確保と、その厳正な確認が必要なことは言うまでもありません。
 適正な施工体制の確保という観点では、一括下請の禁止に対して、とりわけ厳正に施工体制の確認の徹底を行うべきと考えます。一括下請は、不合理な利潤が搾取され、実際に工事を施工する業者の経営を圧迫するなど、現場で働く労働者の労働条件が厳しくなりがちであるとともに、その結果として手抜き工事等の発生の危険性も高まります。
 そういうことを防止する点から考えても、一括下請の禁止に対しては、現場代理人、主任技術者、監理技術者等の適切な配置とその確認など施工体制の厳格な確認が重要と考えます。
 そこで、一括下請け禁止への取り組みも含め、適正な施工体制の確保と厳正な確認に関する現状の取り組みと認識についてお伺いいたします。

3 県営住宅駐車場の有料化について

 県営住宅の駐車場の適正かつ合理的な管理を図るため、条例の一部改正を行い、入居者用の駐車場が整備され住宅供給公社が管理してきた団地においては、平成20年4月より利用許可による有料化に移行された。
 そして、駐車場がまだ整備されず、現在、自治会が自主管理している団地についても、利用許可制に移行するため、有料化に向けた自治会との協議を行い、協議が整った団地から整備工事を行い、有料化に移行することとしています。
 しかし、平成21年7月1日現在で40団地が協議中、そして、先般8月の政調会で報告を受けた平成22年7月1日現在においても、まだ22団地が継続協議中の状況であります。
 協議中の団地の中には、私も数カ所の状況を聞いていますが、自治会と個人の住民との間でトラブルを抱えている団地があり、協議成立がなかなか困難となっている状況があると考えます。当局の担当課においても、何カ所か聞いておられるのではないかと思います。
 そこで、自治会が自主管理している駐車場の有料化に向けての現状について、お伺いいたします。

●病院局

1.県立病院の経営状況について
(1) 人件費削減による効果について
(2) 診療報酬の改定に伴う効果について
(3) 許可病床数と稼働病床数の差異について
2.県民本意の病院運営について
(1) インフォームド・コンセント等の推進について
(2) 患者や家族の疑問や苦情対応について
3.災害医療センター事業の実態について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (病院局)
2010年10月19日(火)

1 県立病院の経営状況について

 本県は人口当たりの大学病院や国立病院が全国的に見て少ないこともあり、公立病院、中でも県立病院の病床数、勤務医師数が比較的多く、高度専門医療を中心に県民の医療確保に重要な役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、近年、多くの公立病院が診療体制の縮小を余儀なくされるなど、経営状況が悪化している中、本県病院局では、平成21年1月に「病院構造改革推進方策(改訂版)」を策定し、病院事業全般にかかる構造改革の取り組みを推進しながら、各県立病院の役割を踏まえた診療機能の充実や経営改善を進めるための「県立病院改革プラン」をまとめ、この計画に基づいて県立病院の改革を推進しておられます。
 そこでまず初めに、県立病院の収支状況についてお伺いします。

(1) 人件費削減による効果について

 本年3月の予算委員会においても取り上げましたが、県立病院改革プランでは、高度専門・特殊医療の充実、地域医療連携の推進等による患者確保、建替整備等にあわせた診療機能の充実を通じた診療単価の向上等により、一層の収入の確保を図るとともに、費用についても、給与費比率、材料費比率等の改善への取り組みを推進し、平成28 年度に病院事業全体での当期純損益の黒字化を達成するとしています。
 そうした目標のもと、平成21年度実績では、前年度と比べて当期純損益が30億円改善するという成果をあげることがきました。この要因としては、治療患者数の増加や、減価償却費の減を中心とした医業費用の減少等によることもあるとともに、大幅な人件費の削減も大きな要因ではなかったと考えています。
 そこで、職員の人件費削減が収支改善に及ぼした影響額について、伺います。

(2) 診療報酬の改定に伴う効果について

 全国の公立病院が加盟する全国自治体病院協議会が発表したところによると、前年同期に比べて、4~6月期の入院単価は4.3%増、外来単価は5.2%増となっており、1病院当たりの収入は、4.1%増加という2002年の調査開始以来最高の伸びを示したとのことでした。
 この主な要因は、民主党政権が平成22年度からの診療報酬を大幅増額した結果にあると考えられますが、本県についても、平成22年2月定例会の予算委員会において診療報酬の改定を受けた収支改善見込額を質問した際に、平成22年度で約9億円程度が見込まれるとの回答でした。
 そこで、県立病院事業における診療報酬改定に対する評価と今年度の実績をお示し頂き、それが改革プランに掲げる28年度までの収支フレームへ与える影響について伺います。

(3) 許可病床数と稼働病床数の差異について

 ご承知のとおり、日本における医療供給体制は病床数によって決められているため、都道府県が医療計画を策定する上でも、病床数は重要な意味を持っています。
 すなわち医療法で定める医療圏ごとに、その地域の病床数を策定した「基準病床数」が定められ、その範囲内で県立12病院の許可病床数が国への申請に基づき決められるわけです。
 現在、県立12病院における許可病床数は計4,023床あります。しかしながら、決算資料を見ましたところ、稼働病床数は3,434床に留まっています。様々な理由があるのでしょうが、とりわけ、県立柏原病院は許可病床数303に対して稼働数146、県立塚口病院は許可病床数400に対して稼働数300と大きな差が目立ちます。
 そこで、特にこの2病院の、差異の大きさは具体的にどのような理由から生じているのか、その影響は病院経営にどのような形で表れ、どういった対応を講じていこうとされているのか、について伺います。

2 県民本意の病院運営について

 本県では、先に申し上げました「病院構造改革推進方策(改訂版)」において、「県民から信頼され、安心できる県立病院の実現」などとされていますが、県民が安心してかかれる病院であるためにも、私は以下の点を特に重視すべきと考えています。すなわちインフォームド・コンセントと、患者や家族の疑問や苦情に対する適切な対応の徹底についてであります。

(1) インフォームド・コンセント等の推進について

 インフォームド・コンセントの定義は、手術や投薬、検査といった医療行為の対象者が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け理解した上で、その方針に合意することでありますが、患者が自分の病気と医療行為について、知りたいことを知ることができ、治療方法を自分で決める権利を持つことを指すと私は理解しています。
 去る2002年に東京慈恵会医科大学青戸病院の経験の浅い医師が、前立腺がんの最先端の手術を行おうとした結果、男性を殺してしまったとして、逮捕された事件がありましたが、こうした事案もインフォームド・コンセントの問題を含んでいたとされており、医療従事者が、如何に誠実な態度で率直にインフォームド・コンセントを行う医療を提供すべきかを示唆しているように思えました。
 県立病院においても、患者の自己決定権を尊重した医療の推進が不可欠であることから、インフォームド・コンセントの推進に取り組んでこられたことと思いますが、現在もその充実を図ることはもとより、患者へのカルテ開示、セカンドオピニオンの推進等にも積極的に取り組んでいる旨を聞いています。
 そこで、県立病院におけるインフォームド・コンセントの実施状況、カルテの開示実績及びセカンドオピニオンの実施状況についてお伺いします。

(2) 患者や家族の疑問や苦情対応について

 病院としては、患者や家族に対して常に真摯に対応されていると思いますが、私たちには様々な声、疑問や苦情の訴えがあります。もちろん一方的にお聞きをするわけですのですべてを鵜呑みにするわけではありませんが、具体的な事例を2件挙げさせていただきます。
 1件は、姫路循環器病センターでの話です。以前からたびたび小さな脳梗塞を起こし循環器病センターでの治療や検査をされている方の家族の話です。ある日意識を失い反応がなくなってしまったので、救急車を呼び循環器病センターへ夜8時頃搬送されました。以前にも同じようなことがあったようです。そのときは入院をし、検査を受け数日後に退院されたそうです。特段の症状もなかったようです。しかし、今回当直医の対応は、「どうもないから連れて帰ってくれ。ここまでこなくても近くに病院があるだろう。」との対応だったそうです。おそらく当直医は、コンビニ受診はやめてくれとさえ思われたのだと思います。医者の多忙さ故だとは思いますが、考えさせられる事案です。
 もう1件は、2009年6月に自転車で水路に転落、けいつい損傷で姫路の病院に入院治療。3ヶ月後の9月にリハビリテーション中央病院に通院。担当医師にリハビリをすれば歩行可能との診断を受け、1ヶ月後に入院。しかし、入院後適切な治療がなされず身体が衰えリハビリ不可能となり、8ヶ月後に退院、自宅生活 介護度5の状態で現在に至る。その間、適切な治療がなされないので退院を希望するが許可が出なかった。また、損害保険請求書のための証明書の依頼をしてもずいぶんと遅れた等々のことをおっしゃっておられました。このリハビリテーション病院は、病院局の所管でないことは十分理解しており、本件については、また別の機会に所管部局に確認しますが、この方のケースなども、まさしくインフォームド・コンセントにおいて、相互の理解が不十分であったことが、事務処理等々に至るまでの不満につながったのでないかと思います。
 県立病院事業として、このような患者や家族の疑問や苦情に対して、どのように対応されているのかお伺いいたします。

3 災害医療センター事業の実態について

 兵庫県災害医療センターは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、災害時における医療の提供及び平常時における救急医療の提供を行うために設置され、平成15年度より診療を開始しています。このセンターの管理については、神戸赤十字病院を設置する日本赤十字社兵庫県支部を指定管理者として県から運営を委託しているところですが、決算資料を見ましたところ、入院患者数は平成19年度の10,130人をピークに平成21年度は9,614人に減少、外来患者数も平成16年度の391人をピークに減少を続け、平成21年度は135人となっています。
 一方、総収益から総費用を差し引いたセンターの純利益に関しても、平成19年度では約1億12百万円であったものが、平成20年度に31百万円、平成21年度には約24百万円へと減少しております。
 もとより当センターは、病院機能と情報指令センター機能があり、高度救命救急センター及び基幹災害拠点病院として救急医療及び災害医療を担うという重要な役割を担っており、これまでも台風災害に対応した救護班の派遣及びヘリコプターでの被災患者受け入れ、新潟県中越沖地震にあっては医療救護活動と現地調査のために医療チームを現地に派遣、インドネシアで起きたジャワ島中部地震の際にもNGO災害人道支援協会に協力し、現地に医師等を派遣されるなど数々の貢献を行ってこられました。
 こうした活動は大いに評価しておりますが、一方で、健全な病院経営の視点も忘れてはなりません。病院経営という視点から、患者数や収益の減という実態に対する評価・分析をお聞かせ頂くとともに、改善に向けた取り組みについて伺いたいと思います。

上野英一
神崎郡

●財政状況

1.財政指標に対する評価について
(1) 将来負担比率の評価について
(2) 将来負担比率の今後悪化しない抑制策について
2.公社改革等について
(1) 滋賀県造林公社の特定調停の影響等について
(2) 財産評価の今後について
(3) 公社等の解散等について
(4) 4公社の負債額等の削減方法について
3.人事委員会勧告と給与削減について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2010年10月7日(木)

1 財政指標に対する評価について

(1) 将来負担比率の評価について

 平成19年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、財政の健全性が判断される指標の一つとして将来負担比率がしめされました。
 これは、地方公共団体の一般会計等の地方債や将来支払っていく可能性のある負債等の現時点での残高を指標化し、将来の財政を圧迫する可能性の度合いを示すものであります。
 兵庫県は、震災復興のために多くの起債を行っており、平成21年度決算でも366.4%と全国ワースト1で、前年度と比較して6.3ポイント上昇しております。新行革プランのフレームの平成21年度予測の388.3%よりは低くなっているもの、依然高い水準にあります。
 そこで、21年度決算における将来負担比率の結果に対する財政運営上の評価についてお伺いします。

(2) 将来負担比率の今後悪化しない抑制策について

 また、新行革プランでは、歳出見直し効果がでるまでの間、財源対策として退職手当債や行革推進債を活用していきますが、これらは交付税措置がない分、将来負担比率を押し上げる要因となることから、今後の悪化も予想されます。
 そこで、次年度以降、悪化が見込まれる実質公債費比率の抑制策についてどのように取り組むのか方針を伺います。

2 公社改革等について

 平成19年に地方自治体の財政健全化に関する指標として、将来負担比率が公表されたことにより、兵庫みどり公社、兵庫県道路公社、土地開発公社、住宅供給公社といった団体に対する県の損失補償額、負債額等の将来負担が多額にのぼることがクローズアップされており、これらの莫大な債務の軽減が必要となっております。
 特に、兵庫みどり公社の分収造林事業については、表面上は資産・負債の収支がとれているように見えますが、現時点でも、木材の販売価格がかなり低下していることから、現時点での資産評価をすれば既に大赤字であり、平成90年度に収支を均衡する計画を立てておりますが、壮大で、無責任とも言える計画であることから、抜本的な対策が必要と考えます。
 そこで、最近の公社等を巡る動きと絡めて以下の質問を行います。

(1) 滋賀県造林公社の特定調停の影響等について

 まずはじめは、滋賀県造林公社の特定調停の影響等についてお伺いします。
 滋賀県造林公社は、兵庫みどり公社と同様の分収造林事業を行っている公社ですが、近畿の水がめである琵琶湖を守る森林を管理することから、淀川下流の本県をはじめとする8公共団体が出資、資金を貸し付けております。
 分収造林事業は、伐採できるまで自主財源がないことから、公社運営に関する経費を借金でまかない、将来の伐採収益で返済する計画を立てていましたが、木材価格の大幅な下落・低迷などにより、借入金が膨らみ、債務残高は360億円を超えました。
 このため、滋賀県造林公社は、平成19年11月に借入先である農林漁業金融公庫、滋賀県及び下流8団体に対して裁判所を通じて、債務の免除を要請する特別調停を申し立てました。しかし、滋賀県は農林漁業金融公庫と公社が返済できない場合は、県が支払いを負担する損失補償契約を結んでいたことから、公社の債務についての農林漁業金融公庫から一括に返済を求められました。その後、協議の結果、滋賀県がその債務を42年間に分割で支払うとこととなっております。
 そこで、滋賀県造林公社から債務免除等を求められた場合、本県ではどのような影響があるのか。また、特定調停発表以降、金融機関から分収造林事業を行う公社への貸付が厳しくなったと聞いておりますが、兵庫みどり公社の運営等に対してどのような影響があったのかお伺いします。

(2) 財産評価の今後について

 滋賀県造林公社の特定調停申し立ての中で、公社の資産については、約368億円と貸借対照表に計上されておりますが、資産を査定した結果、資産は最大で見積もっても約122億円と約1/3の評価額しかないとされております。
 兵庫みどり公社の分収造林事業の資産についても、取得時の価格を記載しておりますが、実勢価格はもっと低いと思われます。
 そこで、兵庫みどり公社の資産については、適切な資産評価を行い、その上で今後のあり方についての検討が必要と考えますがご所見をお伺いします。

(3) 公社等の解散等について

 総務省では、2013年までの5年間に限り公社の解散か業務廃止を条件に「第3セクター等改革推進債」を認めるなど、公社の見直しを推進しております。県としても、みどり公社などの重い金利負担を考えれば、債務の処理は急務となります。
このような中、茨城県では、債務超過に陥っている「県住宅供給公社」を「第三セクター等改革推進債」380億円を活用して公社を破産させることとし、先月28日、水戸地方裁判所に対して破産手続き開始の申立が行われ受理された旨の報道がなされたところです。
「第三セクター等改革推進債」は、このような公社の解散などに活用できるものですが、発行可能期間が平成25年度までとなっており、茨城県は解散を前倒しする方針を決め、先月22日の県議会で、同債の起債を含めた解散関連議案が可決されたことから、破産手続きを開始したと聞いております。
兵庫県でもそのような手法も検討の一つと考えますが、第三セクター等改革推進債の活用も含め、公社等の解散等について当局の所見をお伺いします。

(4) 4公社の負債額等の削減方法について

 いずれにしても、県の将来負担比率に影響を与える兵庫みどり公社、兵庫県道路公社、土地開発公社、住宅供給公社の4公社の莫大な債務の軽減が必要であります。
 そこで、将来負担比率に影響のある4公社の債務額等の縮減についてどのように取り組んでいくのか方針を伺います。

3 人事委員会勧告と給与削減について

 平成20年の新行革プラン策定以降、給与については、これまでの人事委員会勧告を踏まえた対応と新行革プランに定める給与の抑制措置を講じてきたところであります。昨年度は、人事委員会勧告による給与の引き下げや県独自の給与カットにより前年度に比べ人件費が323億円減少したことから、県税収入が大幅に減ったにも関らず、収支的には黒字を確保しております。
 人事委員会勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置として、公務員に対して適正な給与を確保するものであり、能率的な行政運営を維持するものであることから、人事委員会勧告の趣旨を尊重するべきであります。
 しかしながら、現在の人事委員会勧告では、民間と公務員の給与格差について、自治体が抑制措置をとっているにもかかわらず、減額される前の給与と比較して、民間より高いと報告しており、実態とはかけ離れたものとなっており、公務員に対して適正な給与を確保するものとなっていません。
 平成22年度の人事委員会勧告についてまもなく提示されますが、人事院勧告でも民間との格差によって、平均年間給与9.4万円、1.5%の引き下げを勧告していることから、兵庫県の人事委員会勧告についても、引き下げ勧告が予想されます。
 しかしながら、兵庫県については、給与の抑制措置に加え、本年も予想される人事委員会のマイナス勧告が続けば、職員のモチベーションに支障を来たすことは明白であり、今回の給与の見直しにあたっては、人事委員会の勧告は尊重するものの、これ以上職員の士気を損なうことのないようにするべきであります。
 そこで、人事委員会勧告については尊重するものの、給与の最終決定は、県当局にあることから、職員の理解を得るためにも、何らかの措置を講じる必要があると考えますが、ご所見を伺います。

●公安委員会

1.検視官の臨場率向上への取組みについて
2.被害相談に対する適切な対応について
(1) 知能犯の被害相談への対応について
(2) 被害者への捜査状況等の通知制度について 
3.取り調べの可視化について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (公安委員会)
2010年10月13日(水)

1 検視官の臨場率向上への取組みについて

 警察庁のまとめによると、昨年に、全国の警察が取り扱った死体の総数は前年より980体減の16万858体とのことで、そのうち死体の犯罪性の有無を検視官が現場で確認する、いわゆる「臨場」は3万2,676体で全体の20.3%を占め、前年度より6.2%上昇したとされています。
 検視官の臨場率が高まったことについて警察庁では、「全国的に刑事調査官を増員し、積極的に臨場するよう指導していることと、犯罪死を見逃さないという心構えが徹底してきたのではないか」と説明されていますが、その動向を継続させるための取り組みが本県でも必要ではないかと考えています。
 ご承知のように、警察の死体取り扱いをめぐっては平成19年、相撲部屋の力士がけいこ中に暴行を受け死亡した事件で、検視官が現場に出ず、死因を急性心不全と誤認して問題になったほか、埼玉県や鳥取県で昨年、相次いで発覚した連続不審死が発生するなどについて、犯罪死が初動捜査の段で見逃された可能性があるとされるケースが目立つ傾向にありました。
 犯罪死の見逃しを防ぐ対策として、警察庁は都道府県警の検視官を大幅増員させたとのことで、平成20年度に全国で160人だった検視官は21年度には196人に増え、22年度には220人に増員されたと聞きます。
 さらに、庁内に「死因究明の制度を検討する研究会」を設置するなど、積極的な対策を進めておられます。
 兵庫県警察でも、監察医の不足などにより、解剖率の早期向上は困難な現状と聞きますが、犯罪死の見逃しを防止するには、死因究明の専門化である検視官の体制を強化する必要があると考えます。
 そこで、現在の県警の現状と検視官の臨場率向上に向けた取組みについてお伺いします。

2 被害相談に対する適切な対応について

(1) 知能犯の被害相談への対応について

 情報化社会の進展により国民生活における利便性が飛躍的に向上する一方で、新たな情報通信技術を利用した知能犯罪が増加しています。
 知能犯と呼ばれる犯罪には、詐欺罪、横領罪、背任罪、文書偽造罪等の各種偽造罪などがありますが、特にご存じのように、身内を装い電話で高齢者や女性などから金品をだまし取る「オレオレ詐欺」、「架空請求詐欺」、「融資保証金詐欺」、「還付金等詐欺」という4つの詐欺を総称する「振り込め詐欺」が近年多発しており、本年でも8月末時点で4,342件発生し、被害総額も48億円にのぼっています。
 振り込め詐欺では、不正売買された預金口座や、利用者の特定できないプリペイド式携帯電話が悪用されることも多く、また偽造キャッシュカードについては、カード情報を簡単に読み取る装置が販売されているにもかかわらず銀行の防止対策がおくれ、しかも被害を受けた預金者への救済がされない場合もあります。
 これらの手口は、平穏な生活を送る善良な国民の心情に突然つけ込み、また、銀行に対する信頼を逆手にとった悪質かつ巧妙な犯罪であり、しかも、暴力団や来日外国人犯罪者による組織的な犯罪として、その資金源になっている場合もあるとも聞いておりますことから、本県でもより早急な対策が望まれると考えます。
 しかしながら、私が地元などで相談を受けている話の中では、相手の見えにくい振り込み詐欺」等ではなく、先にも取り上げました「融資保証詐欺」などと言われる部類の詐欺ですが、人物の特定はできているものの、実証するには証拠などが十分ではない詐欺行為においての、詐欺被害の相談を警察署の担当刑事さんに「事件にならない」と直ぐに言われてしまうとよく聞きますし、対応の仕方も担当する刑事さんによって異なるということも耳にします。
 このように、詐欺等の知能犯に関する被害相談を警察にした場合、被害届や告訴の受理基準が明確に規定されていない中で、警察官個々人の判断にまかせられてしまっているとすれば、ケースに応じて被害者が警察対応に不信感を持ちかねない状況に陥ってしまうことはやはり問題ではないでしょうか。
 そこで、兵庫県警におかれては、知能犯の被害相談に関して、受理すべき案件と受理することが困難な案件について、相談者が納得できる基準やルールを作成し、被害届・告訴の適正な受理・相談体制を実現することはできないかについて所見を伺います。

(2) 被害者への捜査状況等の通知制度について

 我が国では、犯罪被害者が事件の当事者でありながら、刑事司法から除外されているなど、長い間、犯罪被害者とその家族は社会的に放置されて孤立し、十分な支援制度もなく、極めて深刻な状況に置かれてきたという歴史があります。
 治安の悪化により、多くの国民が犯罪被害に対する不安を抱くような現状にあって、犯罪被害者が被害回復と支援を求めることを正当な権利と位置づけ、国と社会の責務として、総合的に被害者を支援する制度を確立することが急務になっていると思われます。
 国における犯罪被害者等のための施策は、昭和20年代後半から30年代にかけて、「自動車損害賠償保障法」の制定や、刑法等に証人保護のための規定が設けられたりしたことなどによって始まったといわれます。
 また、昭和49年の三菱重工ビル爆破事件を契機として、昭和55年には「犯罪被害者等給付金支給法」が公布され、故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた人の遺族や身体に後遺障害が残った人に対し、国が給付金を支給する「犯罪被害給付制度」が発足して被害者等への経済的支援が始まるなど、施策が本格的に展開されるようになりました。
 その後、警察庁は、平成8年2月に「被害者対策要綱」を策定し、全国の警察において、「被害者支援制度」や「性犯罪捜査員の運用」など、被害者等の心情に配慮した各種被害者対策を推進してきました。
 こういった被害者をケアしていこうという取り組みの中で、今回私は「被害者通知制度」について取り上げたいと思います。
 私事で恐縮ですが、私は以前泥棒に入られたことがあります。所轄署の刑事や鑑識の方が来て、詳しい事情聴取を受けるなどしましたが、その後の捜査状況について何の連絡もありません。
 「被害者通知制度」は、被害者や家族の希望により、被害者等への通知担当に指定された警察官が、犯人を逮捕したことや、犯人は誰なのか、犯人の起訴・不起訴などの処分はどうなっているのか、といったことを捜査に支障のない範囲で被害者等にお知らせする制度をいいます。
 警察は確かに一生懸命捜査しているにもかかわらず、捜査経過の連絡が無いことから、被害者は不安に陥り、ひいては警察に対する失望や不信感にも繋がってしまうのではないかと自身の体験上から感じました。
 警察が捜査に着手してから、1週間後・1ヶ月後・半年後・1年目と節目節目に捜査状況を連絡して頂くことができれば、被害者の安心につながることは勿論、警察に対する信頼にもつながるものと思われます。
 勿論、そのためには捜査員の業務負担上の負担の増加が避けられないので、そうした連絡体制の実現には、警察官個人の裁量にまかせるだけで無く、組織・連絡体制の強化や業務システムを検討しなければならないのでしょうが、県民の立場からは是非とも検討して頂きたい取り組みと考えています。
 そこで、県警察における侵入窃盗の被害者等に対する通知制度の実態と取り組み状況について所見を伺います。

3 取り調べの可視化について

 この件は警察常任委員会においても、請願審査の過程で度々取り上げられてきたテーマでありますが、政権交代後、警察庁や法務省において検討されている実情も踏まえ、再度県警としての認識をお伺いします。
 改めて申し上げるまでもなく、日本の刑事司法制度においては、捜査段階における被疑者の取調べは、弁護士の立会いを排除し、外部からの連絡を遮断された状態で行われており、これが自白の強要等による冤罪を生む温床とも指摘されております。
 特に、わが国の刑事裁判では自白の任意性、調書の信頼性等が大きな争点となり、裁判長期化の原因ともなってきましたが、昨年5月から実施されている裁判員裁判では、裁判員となった多くの市民にとっても、取調べの全過程の録画が認められれば、取調べの様子を事後に検証することが容易になり、裁判員も判断しやすくなるともいわれます。
 警察庁は2008年9月から警視庁、大阪府警、神奈川県警、埼玉県警、千葉県警において、取調べの一部を録画・録音する試行を始めました。また、現在警察庁は、裁判員裁判対象事件であり、かつ自白の任意性の効果的、効率的な立証方策を検討するため、全国の警察において取調べの一部録画・録音を試行しているとのことです。
 現・国家公安委員長は、取り調べの可視化について、研究会の議論を踏まえて方向性を見いだしていきたいとの考えを示されました。
 その主な発言に「冤罪があってはならないということが可視化が求められる理由である。実現のために治安の水準が落ちるようなことがあってはならないので、研究会を立ち上げ、諸外国が持つ捜査手法の導入などについて検討している。まずはこれまでの議論の内容を把握した上で、可視化の方向性の可能性を見いだしていきたい」とのことです。
 こうした現在の動向も踏まえたうえで、兵庫県警における可視化に向けた所見をお伺いします。

●農政環境部

1.ひょうご農業大学院MBA塾について
(1) 開設の経緯と狙いについて
(2) 受講対象者の拡大について
2.普及指導員について
3.輸出拡大の課題と取り組みについて
4.林業の振興について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (農政環境部)
2010年10月14日(木)

1 ひょうご農業大学院MBA塾について

(1) 開設の経緯と狙いについて

 兵庫県の農業を活性化するための施策として、最近、知事がよく答弁などで例示される「ひょうご農業MBA塾」の取り組みについて質問させていただきます。
 県では、経営能力が優れた農業者を育てるため人材養成塾「ひょうご農業MBA塾」を本年8月に開設しました。
 この塾では、中小企業診断士、大学教授や日本でも有数の優良経営を行っている農業経営者から、雇用、設備投資の資金繰り、ニーズに合った生産・販売のほか、販売管理や経営手法などの講義を受けるほか商談会への参加や経営計画の作成を通じて、農業経営について多角的に学ぶことができます。
 この塾については、年間8万円の受講料や、農業経営の傍らで半年間に14回の講義があるにも関らず、定員10名を超える15名の受講生が熱心に研修を受けておられます。
 そこで、まずは、このMBA塾の設置の経緯と狙いについて伺いいたします。

(2) 受講対象者の拡大について

 このMBA塾の受講対象者については、地域農業の牽引役となり得る農業者を養成する目的から、①認定農業者であること②年齢が55歳以下であること③市町基本構想に定める年間農業所得の水準を概ね達成していることを原則としており、一部条件を満たさない者でも、農業普及改良センターからの推薦を受けた者は、受講対象としているところである。
 このような企業的経営感覚に富む農業経営体の養成のための研修については、認定農業者だけではなく、やる気のある農業者も対象とするべきと考えます。
 そこで、今後もより一層受講生の裾野を広げ、地域農業の牽引役を増やしていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。

2 普及指導員について

 一般質問において我が会派の石井秀武議員が、農林水産技術総合センターにおいて、県下で農業等を生業としている方々に全国で産地間競争に打ち勝てる新品種の開発を進めることをお願いしたいとの質問に対して、部長は独自品種が必要な作物については、同センターで育成し、栽培技術の開発と普及に努め産地の確立に努めたいとの答弁がありました。
 私は、産地間競争を勝ち抜くためには、新品種開発等の機関として県の農林水産技術総合センターの充実、強化が必要と考えております。
 しかしながら、農林水産技術総合センターの農業関係の研究職は、55人と少ない状況であり、行革を進める中で、研究職の増員は困難であります。その充実をはかるためにも、現場も良く知っている農業改良普及員を活用することが可能であると考えます。
 現在、兵庫県下の農業改良普及センターには普及指導員が197人います。一方で、JAにも同じような業務を行う営農指導員が配置されております。担い手の育成や農業者の経営指導などJAとの連帯が欠かせないことは承知していますが、県の普及センター職員とJA職員との住み分けが必要ではないかと考えます。
 一般的な栽培技術指導についてはJAの営農指導員に任せ、県の普及指導員については、新品種開発や栽培技術開発などに力を入れるべきと考えますがご所見をお伺いします。

3 輸出拡大の課題と取り組みについて

 次に、畜産物等の輸出拡大についてお伺いします。
 先の予算委員会で、世界的な日本食ブームや目覚しい経済発展を遂げるアジア地域の富裕層が増加し、日本産農産物の輸出拡大チャンスが増加している中、兵庫県からの輸出品として工業製品に比べ、農産品目の実績が極端に低い状況であり、兵庫県産農産物のアジア市場への販路の開拓の可能性について、質問させていただきましたところ、現地でのフェアや商談会を開催して、輸出促進に取り組んでいくと、当時の部長より積極的な答弁をいただきました。
 私は、兵庫県産の輸出品として大きな可能性を持っているものとして神戸ビーフがあると思います。神戸ビーフは、日本国内はもとより、全世界で有名であります。この8月に海南省友好提携20周年で、県議会訪問団が海南省の幹部を訪問した時に、神戸ビーフを中国国内で食べてみたいとの発言もあったほどであります。しかしながら、中国では日本からの輸入を認めていないものとして和牛が上げられており、一切、中国には輸出されておりません。
 一昨年の11月に、佐賀県ではトップダウンで、知事がアラブ首長国連邦で開催されるイベントに佐賀牛を持ち込んで、中東アジアでの市場を開拓しようとしております。
 そこで、世界に誇る神戸ビーフの輸出拡大を図る必要があると考えますが、輸出拡大にあたって課題をどのように認識しているのか、また、神戸ビーフの輸出拡大について、どのように取り組むのかご所見を伺います。

4 林業の振興について

 県産木材の利用を促進することは、森林の育成、伐採、利用を円滑に循環させ、地球温暖化防止、県土の保全等、森林の持つ多面的機能の発揮につながることからも重要な課題であります。そのため、県内における木材の地産地消と、生産から加工、流通、消費まで一貫した資源循環型林業の構築を積極的に進める必要があります。
 しかし、木材の販売金額価格は、約10%が本来の木材部分の価格で、残りのほとんどがロジステックス部分の経費であるため、価格が高く、外材等に対抗できないことから、他県では山林から木材加工工場まで木材を運搬する経費などまで補助する計画があると聞いております。
 そこで、県産木材の加工、流通などのロジステック部分の効率化・低コスト化を図るため、どのような取り組みを行っていくのかお伺いします。

●企業庁

1.宝塚新都市計画について
(1) これまでの取り組み状況について
(2) 今後について
2.電気事業について
(1) 廃止の経緯について
(2) 電気事業の評価について

全文

第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (企業庁)
2010年10月19日(火)

1 宝塚新都市計画について

(1) これまでの取り組み状況について

 この件を取り上げますのは、昨年の9月定例会一般質問、3月の平成22年度予算特別委員会に続いて3回目であります。よろしくお願いします。
 宝塚新都市計画については、乱開発防止と秩序ある開発をするため、地元からの要請を受け、県で新都市計画に取り組むことになりました。それを受け、平成4年度には基本計画が策定され、用地の先行取得に着手し、約1,100億円の予算を投じ、1,140ha余りの用地を購入しましたが、社会経済環境の大きな変化を踏まえ、平成12年度に基本計画が見直されました。そして、平成13年度から企業庁が所管することとなりました。
 同計画は、他の関連する計画の進捗、すなわち新名神高速道路整備計画の進捗に合わせ、優先度や緊急性の高い事業に財源を重点的に配分するため、当面新たな着手を見合わせる「進度調整」の状態と聞きますが、3月の予算特別委員会では、「開発の可能性を慎重に見極め、見極めが可能となった段階において検討チーム等の設置も検討したい」との答弁がありました。
 進度調整の要因となっていた高槻~神戸間の新名神高速道路についても、平成28年度開通をめざして鋭意工事が進められています。サービスエリアについても宝塚設置の協議がされています。さらに、高速道路と連携する川西インター線等の県道整備などの関連工事も平成28年度に向け進んできています。
まさに、見極めが可能となった段階ではと考えますが、3月の予算特別委員会で答弁のあった検討チーム設置の検討状況を含め、これまでの取り組みについて伺います。

(2) 今後について

 宝塚新都市計画の関連で先行取得している用地については、県土整備部所管の用地となっています。また、新行革プランにおいて、同用地は、環境林として計画的に取得・管理することとなっているほか、さらに企業庁は原則新たな事業に着手しないことにもなっており、企業庁にとっては、なかなか一歩が踏み出せない状況にあることは一定理解します。
 しかし、例えば、県有環境林については、特別会計により昨年度までに2箇所約80haを環境林として取得していますが、宝塚新都市用地は環境林特会としてはまだ取得しておらず、県としても、近年の間に利活用の可能性があると判断して、あえて宝塚新都市用地はこの特別会計ではまだ取得していないものと認識しています。
 また、3月の予算特別委員会での質問後、地権者を含む地元の方々からの意見を聞くため、何度も現地を訪れました。地元でも、賛否両論あるようでございますが、何も示されずに放置しているような状態になっていることには、不安、もったいないとの声が多く聞こえてきます。
 現在の社会経済情勢や今後の先行き見込み等を踏まえると、必ずしも企業庁として従来のような大規模な産業用地や住宅地の開発の再検討をすべきとは思いません。このような地元の方々の声を踏まえ、新名神の開通時期に向け、宝塚新都市計画を現在の情勢に見合った計画に見直していくための検討を開始すべきではないかと考えます。
また、企業庁として実施できることは限られることも認識しております。しかし、新都市計画を所管する立場として、宝塚市等の地元や、阪神北県民局とも連携して、計画見直しの検討を行い、その検討結果が企業庁所管に相応しいものでなければ、県各部局に提案していくことなども考えていくべきではないかと思います。
 そこで、計画の見直しに向けた検討を含め、計画の今後の展望をどう考えているか伺います。

2 電気事業について

(1) 廃止の経緯について

 昭和28年に引原ダムを水源とする事業に着手し、昭和33年から運転を開始した発電事業については、昭和41年の企業庁発足と同時に土木部から移管され、水力発電によるクリーンなエネルギーの供給を行い、地域のエネルギーの安定供給に貢献してきましたが、昨年度末、44年間続いた事業を廃止しました。
 過去数年間でも、約3億の収益と約2千万円程度の純利益を上げていましたし、電気事業法改正による買取り保証がされる卸電気事業者とみなされる期間が昨年度末までとのことですが、買取り保証がされない卸供給業者としては事業継続可能と聞きます。実際に他の都道府県では公営電気事業を継続している府県もあると聞きます。
 ただ、老朽化している施設の補修経費や、買取り保証されないことによる収益の減少等、事業継続した場合のマイナス要因も多いと考えます。いずれにしてもそういう点も含めて、総合的に判断されたものと理解します。
 そこで、まず、事業廃止に至った経緯について、他の都道府県の公営電気事業との比較に関する見解も含めて、お伺います。

(2) 電気事業の評価について

 今後生じると思われる損失を回避したことだけでも、企業庁にとって評価ができる判断だったと思います。
 いずれにしても、兵庫県の公営電気事業については、旧土木部で所管していた時期も含めて、計52年間、半世紀以上にわたって事業を継続的に実施してきました。
 事業廃止に当たっては、発電所施設を関西電力に約5億円で譲渡し、約3億円あった企業債を全額償還した結果、約16億円の預金残高を企業資産運用事業会計に引き継ぐ形で精算しています。
 そこで、今回の最終的な精算結果を含め、半世紀以上にわたって継続してきた電気事業に対して、企業庁としてどう評価するかお伺いします。
 電気事業のように、一定の利益を生んでいるにもかかわらず、果たすべき役割や社会経済情勢の変化等、あらゆる要因を分析した上で、今後の展望を的確に推測し、素早く存廃の判断を下すことは、行革を進める本県にとって、他の事業でも参考にして取り組むべき視点であると考えます。
 一方、宝塚新都市計画のように、今後の展望の見極めが極めて困難な事業もありますが、購入した用地を放置したままで、かつ、利活用を検討する姿も見えないのでは、県民の県政への信頼低下にもつながるのではないかと危惧します。
 新都市計画を所管する企業庁として、早急に一定の見極めをして、何らかの検討に入られることを要望します。

池畑浩太朗
宝塚市