議会の動き

吉本誠議員が質問(予算審査・病院局)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(病院局)
2011年3月3日(木)

1 県立病院改革プランについて

 病院局においては、「公立病院改革ガイドライン」に示された公立病院改革の視点を踏まえ、各県立病院の役割、それを踏まえた診療機能の充実や経営改善を進めるための中長期的な計画を県立病院改革プランとして策定し、平成21年度から25年度の間実施していると承知しています。来年度は、その中間年となり、このプランが順調に達成できるかどうかを見通す上でも重要な年となってくるのではないかと考えます。
 県立病院の経営状況を考察するには、収益から費用を差し引いた繰入前損益、この繰入前損益に一般会計繰入金を足した当期純損益が重要であり、この改革プランでも当期純損益の黒字確保が求められているわけです。この当期純損益は、繰入前損益に一般会計繰入金を足したものですから、一般会計繰入金が増えればプラスの影響を受けます。本県における、この収益的収支の一般会計繰出金は、小児救急医療や周産期医療等のニーズの高まり等の理由により近年増加しており、21年度決算では約113億円、22年度決算見込みは、約122億円、来年度予算には約135億円が計上されています。このように、平成22年度は、一般会計繰入金が9億円増加したこともあり、当期純損益は1億円の黒字となっており、引き続き黒字確保が求められている状況です。
 では、繰入前損益がどうなっているか見てみますと、平成18年度168億円の赤字をピークに年々減少しつつあり、平成19年度は155億円、平成20年度は149億円、平成21年度は134億円、平成22年度は見込みですが、121億円まで減少してきており、一定の成果を上げているといえます。
 そこで、質問ですが、来年は県立病院改革プランの中間年でもあるわけですが、県立病院改革プランにいう「自立した経営の確保」に向け、来年度、どのように取り組むのか、また、現行の改革プランの収支計画や、経営指標の見直しの必要もあると考えるが、ご所見をお伺いします。

2 県立病院における医師確保について

 本県の県立病院経営全体においては、医師の絶対数の不足が問題なのではなく、配置の問題、つまり、どの病院にどれだけの医師を配置するのかという問題が存在しています。県立病院における過去7年間の医師数の推移をみてみると、平成16年4月1日現在の正規医師数は488人でしたが、平成22年4月1日現在では569人と81人増加しております。また、臨床研修を終えた専攻医についても、平成16年は139人であったものが、平成22年には192人と53人増加しております。これらの数字を合計すれば、県立病院では過去7年で134人もの医師が増加していることになります。
 しかし、淡路病院、柏原病院、姫路循環器病センター等では医師不足が継続しており、地域や診療科による偏在が現在も続いているわけであり、県立病院全体において過去7年間で134人もの増加があるにもかかわらず、未だに医師不足が解消されていないわけです。
 ご承知のとおり、県立病院の医師は、その多くは系列大学の医局から派遣されてきます。本県でしたら、京都大学、大阪大学、神戸大学がその多くの役割を担っているわけですが、県立病院で働く医師のおおむね7割から8割近い医師が医局人事で動いているとのことです。これは本県に限ったことではありませんが、病院事業の責任者には実質的に人事の権限がないということであります。本県の県立病院に勤務する方々の平均在職年数は19年度で6年2ヵ月となっており、頻繁な異動が行われているわけですが、人事は各大学の医局に全面的にお任せしているというのでは、県としての政策医療の提供や地域医療を担うという公的な責任を果たすことは困難でしょうし、毎年、一般会計から100億円以上の繰入金を投入して支えている病院事業として、県民の理解と納得を得ることは難しくなるのだと思われます。
 病院局においては、医師の配置は、近年、特に医師個人の希望や意思が優先される傾向にあることから、医師の処遇改善や先端医療機器の整備、あるいは優秀な指導医の配置等により県立病院としての魅力を高めるなど、医師が働きやすい環境の整備に努めているところと承知しておりますが、何年も医師不足が継続しているような病院が存在していることは、何としても避けなければならないと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 尼崎病院と塚口病院の統合再編について

 尼崎病院と塚口病院の統合再編については、統合再編検討委員会からの報告書を踏まえ、平成22年2月に「尼崎病院と塚口病院の統合再編基本構想」を策定し、更に、22年12月には、基本計画を策定し、着実な整備を進めていかれていると承知しております。
 整備概要としましては、尼崎市東難波町の市立尼崎産業高校敷地に730床の病床を有し、主な機能として、①救命救急センターを設置して3次救急に対応し、24時間365日断ることなく対応するER型救命救急医療を提供、②小児中核病院として、小児の2次及び3次救命救急医療を24時間365日提供、③総合周産期母子医療センターとして、妊婦及び新生児に対する総合的な周産期医療を提供する、④専門センター制によるがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4疾病に係る医療及び感染症医療等の政策医療を提供することになります。整備費は、用地費等を含め約340億円となっております。
 基本計画という骨格が定まったわけですので、今後は、これに肉付けをしっかりと行っていく必要があるわけです。関係者の方々におかれては、この両病院の統合再編を、日本の病院統合の成功のモデルケースにしたいと意気込んでいると承知しておりますが、来年度中に基本設計と実施設計を行い、同時並行で現病院の資産活用の検討も行い、平成26年度の供用開始につなげていくには相当程度早いペースで取り組んでいく必要があるのではないかと推察します。
 そこで質問ですが、この統合再編整備事業によって生まれる新病院は、今後、マグネットホスピタルとしての機能の充実が期待されるところですが、特に、医師の確保、育成の観点からどのような役割を果たしていくのか、また、新病院だけでなく県立病院全体の中でどういかしていくのかについて、ご所見をお伺いします。