議会の動き

12年2月定例会代表・一般質問

代表質問

1.県政運営を担う知事の役割、義務と責任について
2.家族の絆、地域のつながりの再構築について
3.電力供給確保対策について
4.受動喫煙の防止等に関する条例の実効性の担保について
5.「関西イノベーション国際戦略総合特区」を活用した本県経済・雇用の活性化について
6.農林水産ビジョン2020について
7.総合的な治水対策の推進について
8.魅力ある高等学校づくりの推進について

質問全文

第312回定例会(2月)代表質問
2012年2月23日(木)

加古郡選出の永富正彦です。
民主党・県民連合議員団を代表して質問を致します。
よろしくお願い致します。

1 県政運営を担う知事の役割、義務と責任について

質問の第1は「県政運営を担う知事の役割、義務と責任」についてであります。
昨年11月に行われた大阪府知事及び大阪市長を選ぶダブル選挙において、「大阪維新の会」の松井、橋下両氏が当選しました。そして橋下氏が中心となって提唱する「大阪都構想」の訴えが、大きな話題を呼んでいます。

この「大阪都構想」は、従来の府市の関係見直しを通じて大阪の広域行政を一本化し、世界の都市間競争に打ち勝つONE大阪を構築するとともに、国から権限や財源の移行を受け自立していくことを目指すものであり、民主党や自民党もワーキングチーム等を設置し検討を開始するなど、国レベルでの議論も始まっています。

更に、新聞報道等によれば、この大阪都構想について、橋下市長は、決定すべき責任を負う民主主義を掲げ、最終的には国政に打って出て、道州制の導入により国全体の統治機構を変えることを目指す内容が、「大阪維新の会」が次期衆院選の公約とする「維新八策」に盛り込まれています。

こうした橋下市長の言動に対しては、賛同の声が上がる一方で、「都構想がまだ何も実行に移っていない中で国政に言及し、具体性に欠けたまま道州制を持ち出すことは理解できない」といった批判の声も聞かれます。

野田首相も、次々と新しいものを打ち出す橋下市長の政治手法について、「劇場型になっている。国民、府民が見ているだけでは民主主義は成熟しない。府民が一人のスターを仰ぎ見ているだけでは良くない」とコメントしています。

そもそも民主主義を成熟させるのは住民自身の責任であり、自らの代表たる首長や議員を選ぶにあたって、その時々の一時的なパフォーマンスやイメージのみに左右されるのではなく、一人一人の候補者の人となりや主張等をしっかりと分析し責任を持って票を投じるとともに、当選後の政治活動をしっかりと検証・評価していくべきことは言うまでもありません。

一方、首長や我々議員も、常に襟を正しておかねばなりません。誰のため、何のための立候補であったのか、自分はなぜ選ばれたのか、住民から何を期待され負託されているのか、自らが果たすべき役割、義務と責任について常に自問自答を重ねることが肝要であることはもとよりであります。

そして、あえて申し上げれば、不易流行という先人の教えがありますが、私は、単なる合理化、効率化だけの改革では、営々として積み重ねてきた日本人としての精神文化やふるさとの国柄までも失いかねないと危惧しています。

本年の新年の挨拶の中で、知事は、今年は「責任」というキーワードを重視する年にしたいと抱負を述べられました。

少子高齢化や人口減少の進行、先行きの見えない社会経済情勢が続く中、地方自治体を取り巻く環境には非常に厳しいものがあります。また、今後の地方分権時代において自立した行政運営を行っていく上で、地方自治体として対応、解決していくべき課題は、これまで以上に山積しています。

このような中、常日頃から、まさに多事多難な行政運営に真摯に、しかも堅実に取り組まれている井戸知事には深く敬意を表するところではありますが、時代はまさに大きな変革期・転換期を迎えております。

その意味で、改めて本県県政を預かる知事として、大局を踏まえたあるべき県政の方向を示し、自らが担われるべき役割、義務と責任についてどのように認識されているのか、また、どのような思いを込めて、今後の県政運営に立ち向かって行かれるのか、知事の覚悟の程をお聞かせください。

2 家族の絆、地域のつながりの再構築について

質問の第2は「家族の絆、地域のつながりの再構築」についてであります。

近年の少子高齢化や人口減少の進行等により、社会全体の活力が低下する傾向にあります。一昨年の国勢調査では、阪神・淡路大震災直後の1995年を除き半世紀以上も増え続けてきた本県の人口が初めて減少に転じたことが判明しました。また、本県における合計特殊出生率も1.41と、前回調査時よりも持ち直したものの、依然として人口増加と減少の分岐点と言われる2.08を大きく割り込んでいます。

総務省の推計によれば、わが国の人口は2008年を境に減少傾向にあり、また、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によれば、2000年の1億2700万人から2050年には9700万人にまで落ち込むとされていますが、大きな戦争も疫病もない状態での人口減少は、わが国にとって初めての経験です。

このような社会の大きな変化の中で、希望ある未来を切り拓いて行くためには、個々人の力を高めることはもちろん、家族の絆や地域のつながりを重視し、これからの時代にふさわしい「新しい豊かさ」を創造していく必要があるのではないでしょうか。

昨年1年間の世相を示す漢字は「絆」でした。東日本大震災をはじめ国内外で大きな自然災害が相次ぎ人と人とのつながりの大切さが再認識されました。

そして、昨年の12月定例議会で議決された「21世紀兵庫長期ビジョン・全県ビジョン」が示す、本県が目指す12の将来像のまず初めに、“人と人のつながりで自立と安心を育む”が挙がっていることを見ても、本県県政においても家族の絆や地域のつながりの再構築は最重要課題であります。

いざという時に備え、建物の耐震強度を高めるには縦横の柱や梁に加え、必ず斜めの筋かいを入れて補強します。人と人とのつながりにも同様のことが言えるのではないでしょうか。家族の縦の絆、友人や知人との横のつながりに加え、地域全体での世代を超えた斜めのつながりが強い社会ほど、人々は安全・安心で希望を持って生きていけるものと考えます。

県では、これまでから、家庭応援県民運動や県民交流広場事業の展開など様々な関連施策に取り組んでおられますが、家族の絆や地域のつながりの充実・強化を県政運営における大きな柱のひとつとして、これらの取組をより一層拡充し、総合的に取り組んでいくべきだと考えます。

そこで、これまでの取組の成果をどのように評価し、今後、家族の絆や地域のつながりの更なる充実・強化へ向け、どのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺い致します。

3 電力供給確保対策について

質問の第3は「電力供給確保対策」についてであります。
昨年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所における重大事故により、それまで唱えられてきた「原発は絶対に安全」という神話はもろくも崩れ去りました。

この事故の教訓を踏まえ、EU各国は、共通に定めた項目を使って原子炉の安全性を調査・再確認し、その結果を公開するいわゆるストレステストを既存のすべての原発に義務付け、国際原子力機関(IAEA)も、このストレステストを原発を持つすべての国に導入すべきとの提言を採択しました。

わが国においても、定期検査中で起動準備が整った原発に1次評価を実施し再稼働の是非を判断する、次いで再稼働後も含め運転中の全原発に2次評価を実施し原発の継続や中止を判断するという二段構えのストレステストが導入され、現在、事業者及び国において1次評価の手続が進められているところです。

ただ、その導入は全国の原発の再稼働における大きなハードルとなっており、昨年夏以降の国内における電力不足は大きな問題です。特に四国・九州と並び総発電量に占める原発依存度が高い関西電力管内における状況は深刻であり、今月21日には、管内で唯一稼働していた高浜3号原発も停止され、その状況は更に悪化しています。

このような深刻な電力不足は、国民の意識にも大きな変化を与えています。昨年10月に内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」では、東日本大震災後に強く意識するようになったこととして、「節電に努める」が59.0%と最多の回答となりました。現実に、昨年夏の節電要請期間中に電力使用率が90%を超えたのは、東京電力管内でわずか1日、関西電力管内でも5日間のみであったのは、積極的に節電に取り組まれた成果だと思われます。

現在も冬の節電要請期間中であり、お一人お一人がご家庭や職場で積極的な節電に取り組まれていることと思いますが、このような「困った時にはお互い様」という他者への思いやりや、いざという時に助け合い譲り合う精神は、世界に誇ることのできる日本人の美徳であると考えます。

しかしながら、根本的な問題解決を図ることなく、いつまでもこのような人々の善意に頼っていることはできません。原発の再稼働時期が見通せない中、今年の夏には、関西電力管内では25%もの需給ギャップが生じると言われており、もはや節電要請のみでは限界があることは明らかです。県民の安全・安心なくらしを確保すべき県として、早急に関西電力とも協議し、抜本的な解決策を見出し、その内容を広く公表し県民の不安を解消していく必要があると考えます。

そこで、昨夏以降の状況等を踏まえ、県として、今後、電力供給の確保へ向け、どのような対策に取り組んで行くのか、当局のご所見をお伺いします。

4 受動喫煙の防止等に関する条例の実効性の担保について

質問の第4は「受動喫煙の防止等に関する条例の実効性の担保」についてであります。

先月末に厚生労働省が公表した「平成22年国民健康・栄養調査」の結果概要によると、喫煙習慣を持つ人の割合は19.5%と、1986年の調査開始以来、最低となりました。一方、喫煙習慣を持つ人のうち禁煙したいと思う人の割合は37.6%と、過去最高を記録しました。

喫煙者を取り巻く環境を見ても、平成15年に施行された健康増進法では、多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙を防止する努力義務が課され、また世界的にも、平成17年にたばこ規制枠組条約が発効するなど、日に日に厳しい状況となっております。

このような中、本県においても、一昨年6月、実効性ある受動喫煙防止対策を検討する委員会が設置され、1年余りをかけて検討を重ねた結果、昨年6月に「受動喫煙防止対策に係る条例を制定すべき」との主旨で、具体的な条例内容にまで踏み込んだ報告書がとりまとめられました。

その後、関係団体等との調整やパブリック・コメントの実施、議会との協議等を経て、今定例会に条例案が上程されております。同条例案の検討過程においては様々な紆余曲折がありましたが、当局の真摯な努力により、この度の議案上程に至ったことに対しては、まずもって敬意を表します。

仮に同条例案が可決されれば、神奈川県に次いで、全国で2番目の条例制定県となる訳ですが、言うまでもなく、単に条例を制定するだけでは意味がありません。真に重要なのは、条例を制定することではなく、制定した後に同条例についての県民理解を十分に深め、如何にしてその実効性を担保していくかということであります。

喫煙を巡る問題については、ともすれば「好き嫌い」といった個人的な嗜好のみにより感情的な議論や判断がなされる傾向が強いように思います。

非喫煙者からすれば、煙草は百害あって一利なしと考え、法令での規制に諸手を挙げて賛成する方もおられるでしょう。一方で、喫煙者からすれば、煙草は個人的な嗜好品であり、自らの喫煙行動が他人に迷惑をかけないよう注意することは常識的なマナーの問題だと考え、法令により何らかの制約を受けることに異論を持つ方も多くあります。

また、法令による規制は、飲食店や理美容店などをはじめ、提供するサービスと喫煙との関係が密接な営業形態にある事業主等にも大きな影響を与える恐れがあり、こうした方々の中にも様々な意見があることでしょう。

同条例の施行にあたっては、このような様々な意見があることを十分に踏まえ、同条例の目的は「禁煙」ではなく「受動喫煙の防止」にあることをしっかりと周知し県民理解を得ることに努めるとともに、行き過ぎた規制とならないよう、適切な配慮を行うべきです。また、施行に伴い分煙措置を講じることとなる施設管理者等への適切な支援策を、積極的に検討・実施することも重要だと考えます。

そこで、同条例の施行日について、行政機関等は公布日から1年後、民間施設については2年後とし、それまでの間は準備期間とされていますが、この間に県として同条例の実効性を担保するため、成果の検証を含め、具体的にどのような取組を進めていくのか、当局のご所見をお伺いします。

5 「関西イノベーション国際戦略総合特区」を活用した本県経済・雇用の活性化について

質問の第5は「戦略的な経済・雇用活性化の推進」についてであります。

海外経済の減速や長引く円高の影響などから、わが国の経済雇用情勢は横ばいの足踏み状態が続いております。

先月17日に内閣府が発表した「月例経済報告」によれば、景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直しているとされている反面、雇用情勢は依然として厳しい状況にあるとされており、県民の方々からすれば、景気が持ち直しつつあるとの実感はなかなか湧いて来ないというのが正直なところではないでしょうか。また、欧州における政府債務問題がわが国に与える影響も不透明な状況にあり、わが国経済は未だ予断を許さない状況であることには変わりありません。

県内に目を転じても、パナソニックがプラズマテレビ用パネルの尼崎第1、第3工場の生産を今年度内に休止するほか、5月には富士通テン神戸工場が閉鎖、8月にはアサヒビール西宮工場が操業停止を予定するなど、生産拠点の閉鎖や休止等が相次いでおり、本県の経済・雇用情勢に大きな影響が生じることとなります。

このような暗い話題が続く中、昨年末に、本県を含む関西の3府県3政令市が国に申請していた「関西イノベーション国際戦略総合特区」の地域指定が決まったとの明るいニュースがありました。オール関西で、実用化・市場づくりをめざしたイノベーション、つまり技術革新を次々に創出する仕組み「イノベーション・プラットフォーム」を構築し、事業化、産業化を推し進め、産業の国際競争力を高め、我が国の成長実現を目指すものであり、今後、着実に成果を上げていくことが期待されます。

そもそも、本県には、京速コンピュータ「京」、SPring-8やX線自由電子レーザー施設SACLAをはじめとする多彩な科学技術基盤が集積しています。

加えて、本県は、製品出荷額の全国シェアにおいて大阪と並び全国で5本の指に入る工業県であり、大手製造業のほか高い全国シェアを誇る元気な中小企業や多彩な地場産業も数多く存在するなど、ものづくり産業を中心とする分厚い産業基盤を有しています。

このような本県が有する数多くのポテンシャルを有効に活用し、相互に関連づけ融合・発展させることにより、兵庫発、関西発の新たなイノベーションを起こし、本県経済・雇用の活性化につながる新しい価値を創造していく取組が重要だと考えます。

そこで、県として、今後、本県経済・雇用の活性化へ向け、「関西国際イノベーション国際戦略総合特区」をどのように活用していくのか、当局のご所見をお伺いします。

6 農林水産ビジョン2020について

質問の第6は「農林水産ビジョン2020」についてであります。

国内の農業・漁業をはじめ、あらゆる産業に対して大きな影響を及ぼすことから、一昨年の10月以降、政府与党において、国内の様々な意見を踏まえて慎重に検討が進められてきた環太平洋経済連携協定、いわゆるTPP協定に係る交渉参加の問題については、野田首相が、昨年11月の記者会見において参加に向けて関係国との協議に入る旨の発表を行い、ようやく政府としての方向性が固まりました。

現在、既に交渉に参加している9カ国との事前協議の手続が進められていますが、新聞報道によると既に6ヵ国の承認を受けており、わが国の交渉参加が正式に認められるのも時間の問題だと言えます。

近年、企業活動のグローバル化を背景とする資本のグローバル化や、世界における貿易・投資の拡大を背景とする経済のグローバル化が急速に進展しています。経済活動の競争条件の共通化を目指すTPP協定も、このような世界的な潮流の中で生じてきたグローバル化の動きのひとつであり、わが国の交渉への参加・不参加に関わらず、そのうねりを止めることは最早困難であります。

そうであるならば、TPP協定が将来的にアジア・太平洋地域における国際取引のルール基盤となる可能性もあることを踏まえ、早期に交渉に参加し、わが国の基本的スタンスを国内外に明確に示しておくことが、より望ましい選択ではないでしょうか。

しかしながら、TPP協定はあくまで外交交渉ですから、交渉参加にあたって、農業をはじめ国内産業を如何に再生していくかのビジョンと、その実現へ向けどのような交渉上の戦略・戦術を選択し実行していくかの慎重かつ綿密な検討は必須条件であり、国による真摯な取組が望まれます。

ただ、このような検討は国だけの問題ではなく、TPP協定参加の可能性を見据えて、個々の地方自治体においてもしっかりと議論し、適時適切に必要な対策を推進し、国際競争に打ち勝てる力強い農林水産業を目指して行かねばなりません。

本県においても、今定例会に上程されている「農林水産ビジョン2020」の案作成の際の基礎的資料として活用するため、TPP協定等への参加が本県農林水産業に及ぼす影響等について調査を行い、本県の対応策のあり方等について検討する「包括的経済連携協定対策調査・検討事業」を実施されています。また、知事ご自身も、今年の新春メッセージで「TPP協定の議論を注視し、強い兵庫の「農」を育てます」とコメントされています。

そこで、TPP協定を巡る国の動きをはじめ、国際的なグローバル化が進む中、新たに策定される農林水産ビジョン2020において、競争に強い本県農林水産業の実現へ向け、どのように取り組むこととされているのか、当局のご所見をお伺いします。

7 総合的な治水対策の推進について

質問の第7は、「総合的な治水対策の推進」についてです。

平成21年の台風第9号、昨年の台風第12号及び第15号など、度重なる自然災害により、県内各地では河川溢水による家屋浸水等の大きな被害が発生しました。
県では、その都度、補正予算等を組み、河川災害復旧助成事業、河川災害復旧等関連緊急事業等の再度災害防止対策を積極的に進める一方で、河川改修事業や都市浸水対策にも取り組み、災害の未然防止に努めておられます。

そもそも、急峻な地形を有するわが国では、元来、降雨を速やかに河川から海に流すための下水道整備、洪水を防ぐための堤防設置などの河川整備を中心に治水対策が推進されて来ました。しかし、近年頻発するいわゆるゲリラ豪雨をはじめとする災害の発生傾向等を考えれば、こうした下水道・河川整備を主とした治水対策のみでは限界があるのは明らかであります。

『速やかに雨水を海に流し、治水安全度が高まった結果、流域における都市化が進み、それに伴い流出量が増えたことにより、更に河川への負担が増加し、新たな整備が必要となる。』といったことが繰り返されてきた一面もあります。そろそろ、「速やかに流す」から「ゆっくり流す」へと180度発想を転換すべきではないでしょうか。

その上で、下水道から河川、海へという1本の線での治水対策のみを考えるのではなく、例えば河川上流部で山間部の保水力を高めることや貯水施設を設けるといった、面で捉える「流域対策」や「減災対策」をうまく組み合わせて、一体的・総合的に対策を進める「総合治水」の推進が必要になってくると考えます。

本県でも、このような観点に立って、昨年末の河川審議会による答申を踏まえた「総合治水条例(案)」が今定例会に上程されており、同条例に基づいて、今後、実効性ある取組を積極的に進められることが期待されます。

加えて、自然災害による被害を防止する上では、ハード整備ももちろん重要ですが、東日本大震災の例からも施設は万能ではなく、これと併せて県民の防災意識の啓蒙・啓発といったソフト面での取組も非常に重要であり、県のみならず、市町や関係機関、県民とも一体となって総合的な治水対策に取り組む必要があります。

そこで、同条例に基づき、今後、県、市町や関係機関、県民がどのような役割分担の下でどのような連携を図り総合的な治水対策に取り組んで行かれるのか、当局のご所見をお伺いします。

8 魅力ある高等学校づくりの推進について

最後の質問は、「魅力ある高等学校づくりの推進」についてであります。

去る1月6日開催の定例教育委員会において、高等学校の新通学区域の基本方針が決定、公表されました。1964年以来、約50年ぶりの大幅な通学区域の見直しであり、方針決定に至るまで、検討委員会における検討、パブリック・コメント手続や地域説明会・意見交換会などを通じて、様々な意見が出されております。今後、こうした意見を十分に踏まえながら、引き続き、県民や地域の声に真摯に耳を傾け、更に丁寧な対応、工夫や改善に取り組んで行くことが望まれるところです。

さて、この度の通学区域の見直しの主目的は、「生徒にとって望ましい選択肢を確保するとともに、魅力ある高校づくりを更に推進・発展していく」ことにあります。
確かに、通学区域が広がれば、数の上では選択肢が増えると言えます。しかし、物理的な数を増やすことだけで「生徒にとって望ましい選択肢を確保」と言えるのでしょうか。

私は、「量」よりもむしろ重要なのは「質」の問題ではないかと考えます。すなわち、それぞれの地域や学区における個々の高等学校が、生徒自らが通いたいと感じられるものとなっているかどうかが重要であり、今後、それぞれの高等学校をいかに魅力あるものとしていくかが大きな課題だと考えています。

この点、偏に「魅力ある高等学校」と言っても、地域の小学生や中学生が「通いたい」と思うかどうか、在学生や卒業生が「在学していること、卒業したことを誇りに思う」と言えるかどうか、保護者や地域が「子供を通わせたい。卒業生を是非雇いたい。」と考えるかどうかなど、様々な捉え方があるでしょう。

このような多様な捉え方がある中、県としてしっかりと軸足、基本的スタンスを定めて、「魅力ある高等学校づくり」に取り組んで行く必要があるものと考えます。

また、大阪では、松井知事や橋下市長が政治判断により公立高校の学区撤廃の方針を固め、また、首長が教育目標を最終決定することや通学区域を越えて小中学校に通える「学校選択制」導入等が盛り込まれた教育基本条例原案を大阪市

育委員会が了承するなど、ドラスチックな制度改革が進みつつあります。
私自身は、学校教育における中立性や継続性を確保する観点からは、いくら選挙で選ばれた首長とは言え、特定の個人が教育行政の根本を左右する権限を独占してしまうような事態には、多様な価値観の存在を否定し少数意見を抹殺してしまう危険性を多分に孕んでおり、少なからず疑問と危機感を覚えます。

このような大阪での動きを他山の石として、この度の通学区域の見直し及び魅力ある高等学校づくりを進めるにあたっては、これまでの経緯や取組の成果をしっかりと分析・検証するとともに、より一層、県民や地域の声を十分に踏まえた取組を行って頂きたいと考えます。

そこで、魅力ある高等学校づくりについて、これまでの取組の成果をどのように評価し、今後、どこに重点を置いて取組を進めて行くのか、教育長のご所見をお伺いします。

大河ドラマ「平清盛」は、時代の閉塞感を打ち破る「挑戦」をテーマに、海のはるか向こう、海外にも目を向ける清盛の姿を描いています。
大海に目を向ける井戸知事の新たな挑戦に期待し、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

永富正彦
(加古郡)

一般質問

1.本県経済における観光産業の位置づけと推進方策について
2.カジノを含む総合型観光施設の誘致に向けた検討について
3.コンテンツ・ツーリズムの促進について
4.県立粒子線医療センターの強化とメディカルツーリズムの推進について
5.NPOと行政の役割を踏まえたパートナーシップの構築について

質問全文

第312回定例会(2月)一般質問
2012年2月24日(金)

1 本県経済における観光産業の位置づけと推進方策について

質問の第1は、「本県経済における観光産業の位置づけと推進方策について」であります。
観光産業は地域経済の活性化や雇用の受け皿として大きく貢献し、旅行業、宿泊業、運輸業はもちろんのこと、飲食業、農林水産業など、裾野の広い産業であるにもかかわらず、近年に至るまで、行政において産業として位置付けし、強化を積極的に推進していくことはなかったのではないでしょうか。

2011年の観光白書によると、我が国における観光産業の生産波及効果はGDPの4.9%に相当する48兆円、雇用誘発効果は全就業者数の6.3%に相当する406万人、税収効果は国税と地方税を合わせた76.4兆円の実に5.2%に相当する4兆円となっていることから一大産業であることが窺えます。また、雇用誘発効果の波及先ランキングでは上位から飲食店業、小売業、農林水産業となっており、幅広い業種に影響が及んでいます。

世界観光機関は観光産業を世界最大の成長産業とし、外国旅行者数は全世界で2010年度の10.1億人から、2020年度15.6億人まで増加すると予想しています。そのような中で、世界トップクラスの経済大国であり、独自の文化や風土を有し、成長するアジア諸国に近接するわが国の観光客数ランキングは2010年で30位と低迷しており、日本の観光産業は今後更なる発展が期待できます。

また、知事の過去の答弁にもありますように、人口減少社会を迎える本県にあっては、定住人口重視から交流人口重視に視点を変え、地域の活性化を図っていかなければなりません。
そうした中で、国においては2006年の観光立国推進基本法の成立後、翌2007年には観光立国推進基本計画を閣議決定し、さらに2008年には国土交通省の外局として観光庁を発足させ、ビジットジャパンキャンペーンに取り組むなど、観光立国の実現をめざした取組が急速に進展しています。

兵庫県においても、2002年度にはひょうごツーリズムビジョンを、2010年度にはひょうごツーリズム戦略をそれぞれ策定し、ツーリズム振興に取り組んでいます。しかしながら、兵庫県のツーリズム人口は2000年の1億24百万人に対して、2009年では1億36百万人となっており、年平均成長率では約0.9%しか増加しておらず、これまでの延長線上の対策では有意な効果が出ないと言わざるを得ません。

すなわち、日本の中での兵庫、世界の中での兵庫を観光地として見た場合、これがあるから兵庫に行きたいという、強烈なキラーコンテンツとなる観光スポットに乏しいのが現状ではないでしょうか。

英語ガイドブックでは世界1位のロンリープラネット日本版を見てみると、日本の地域紹介622ページ中、大阪府の18ページに対し、兵庫県は半分の9ページしか掲載されておらず、掲載スポットは姫路を除いては北野、布引ハーブ公園、神戸市立博物館、南京町、ハーバーランドに白鶴記念酒造資料館といったところです。「兵庫県には知られていない魅力的な観光スポットがたくさんある」と、おっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、ガイドブックに載っていないということは、ほとんど知られていない、すなわち存在しないと同じ意味であるといっても過言ではありません。

また世界の都市と比較した場合に、本当に競争力があるスポットがどれだけあるのか?それは、兵庫県のこれまでの観光課題の一つとされていた、宿泊者数の低さにも現れているのではないでしょうか。競合する世界の都市に打ち勝ち、地域経済の活性化・税収確保・雇用の充実強化を図っていくためには、観光産業の果たす役割が大きいと考えます。

そこで、本県における観光産業をどのように位置づけ、観光施策を推進するための予算の増額と組織体制の充実・強化に向け、県として今後どのように取り組んでいこうとされるのか、知事のご所見をお伺いします。

2 カジノを含む総合型観光施設の誘致に向けた検討について

兵庫県の観光産業を強化するため、本問を含め以下3問にわたって、知事・当局にお伺いいたします。

1問目はカジノを含む総合型観光施設、いわゆるIRの誘致の検討についてであります。
IRはカジノ、ビジネスミーティングやコンベンションなどのMICE、劇団四季やシルクドソレイユのようなショー、ナイトクラブ、数千室規模の高級ホテル、ショッピングセンターなどで構成された総合型観光施設であり、カジノの面積は全体の5%以下とされています。シンガポールでは、2010年に2つのIRを民間資金のみで開業し、投資額は8000億円から1兆円ともいわれており、直接雇用は2万人を超えています。

また、開業2年目でカジノ売上が世界2位となる見通しで、その効果もあり、2011年の外国人入国者数は1320万人と昨年対比13%増、観光収入は約1.3兆円と昨年対比17%増と大幅に増加しています。

日本において、カジノは現行法で違法となりますが、全世界では既に100数十カ国がカジノを設置しており、先進国でカジノを認めてないのは日本だけといってもおかしくない状況です。当然、カジノ導入に際しての悪影響についても、先行実施国では議論・対策が行われており、反社会勢力の介入や青少年への影響、治安悪化及びギャンブル依存症に関しても、適切な規制・対処が実施されています。

国内でも合法化に向けた議論は以前から行われており、2010年4月には100名以上の超党派の国会議員による議員連盟が設置され、今通常国会において議員提案でカジノ合法化法案の提出を検討しているとの報道もあります。

同議連案では、合法化後は地方公共団体から国に区画の計画申請を行い、国内では最大10か所、当初は2ないし3か所の同時実施で検討されています。

現在、各地方自治体でも誘致検討が進んでおり、沖縄県は検討委員会を県、経済界、観光団体、医師会などで設置しています。沖縄県に誘致した場合には、総事業費3200億円に対して、経済波及効果は8974億円、税収764億円、直接雇用1.3万人、年間460万人を集客効果が見込まれています。
他にも、東京都、大阪府、長崎県佐世保市など多くの自治体で誘致に向けた検討が進められています。

では、カジノ誘致に関して、民意はどうなのか?
新聞各紙や博報堂、静岡県や神奈川県が実施したカジノ合法化に関するアンケートでは条件付き賛成も含めると、賛成派が反対派を上回っています。
また、2011年1月に日経新聞に掲載されたアンケート結果によると、賛成が62%と過半数を占める一方で、絶対反対はわずか7%にとどまり、賛成の理由として、「経済活性化が期待できる」との意見が60%を占めています。

関西圏の中でも、特に観光キラーコンテンツが不足する兵庫において、お隣の大阪にカジノを奪われるとあっては、観光産業として、取り返しのつかないほどの後塵を拝すことになるのではないでしょうか。

井戸知事がカジノに対して反対派ということは十分に認識しています。

シンガポールでは、①観光産業の低迷、②都市再生の必要性、③複合型リゾートという新たな概念の登場という3点を理由として、これまでの方針を転換し、「ギャンブルという要素だけを理由に複合型リゾート案を却下することはできない」と判断し、同国のカジノ合法化が決定されました。これは、世界におけるシンガポールの競争力強化のため、国の繁栄を思い、私心を廃し、合法化へと舵を切った結果、今の成功に至っているのであります。

そこで、数十年先を見据えた、本県の観光産業の強化はもとより、雇用や税収の創出、地域経済の活性化のため、カジノを含むIR計画を兵庫県に誘致することについて、今一度知事のご所見をお伺いします。

3 コンテンツ・ツーリズムの促進について

質問の第3は、「コンテンツ・ツーリズムの推進について」であります。
従来の観光強化は既存の観光資源のブラッシュアップや、地域の暮らし・文化を見つめ直し、隠れた観光資源の発掘を中心に取り組まれてきました。しかし、近年では、TV・映画・ドラマ・アニメといったメディアコンテンツを活用して新しく観光資源を創出、または周知させる取り組みが進められています。

コンテンツ・ツーリズムとは、メディアコンテンツの舞台となった現場を旅行するものです。従来は観光資源ではなかった、場所・建物・風景がメディアコンテンツを通じて大きく紹介され、「コンテンツのシーンに登場した」などのストーリー性が付加されることで新しく観光資源となり、観光客の来訪促進につながるものです。

メディアコンテンツの誘致を強化するためには、ロケ地情報の提供や撮影許可申請の代行、エキストラの募集・手配などをワンストップで支援する非営利組織のフィルムコミッションの存在がとりわけ重要となってきます。

2003年7月に策定された「観光立国行動計画」においては、フィルムコミッションの活動支援、ロケ誘致について記載されており、また、世界各国からもコンテンツ・ツーリズムによる成功事例が報告されています。

たとえば、韓国では、ソウルから片道70分の春川市(チュンチョン市)が、ドラマ「冬のソナタ」のロケ地となり、観光客が激増した結果、10年間で国内観光客は3倍、外国人観光客は23倍の約40万人を達成しました。兵庫県の2009年の外国人観光客が65万人であることを考えると非常に大きなインパクトがあったといえます。

また、日本国内のロケ地では、映画「ラブ・レター」によって韓国・台湾からも、小樽への観光客が増加し、小樽市の観光客数は1998年の670万人から1999年には970万人と300万人増加するなど、新しい観光マーケティング・観光資源の創出方法として成果を挙げています。

こうしたコンテンツとツーリズムを融合させた観光振興のあり方を模索する中で、NHK大河ドラマ「平清盛」の放送を契機として本県で取り組まれている各種キャンペーンやKOBE鉄人PROJECTなどの取り組みも行われているところです。

私は、本県における観光ツーリズム戦略の推進にあっては、これまで進めてきた既存資源の有効活用に加えて、「フィルムコミッション」の強化を通じて、観光資源を新たに作り出したり、地域資源を積極発信していく手法も検討してはどうかと考えております。

特に、神戸は映画発祥の地であるとともに、公道爆破ロケや地下鉄構内の撮影など国内初の事例を多数有するなど、ロケ誘致では既に国内トップクラスの実績を誇っております。
しかし、天空の城「竹田城」や柳並木とライトアップが美しい城崎温泉をはじめ、多彩な観光資源を有する兵庫県としては、神戸市以外にもより広域に、フィルムコミッションを一層推進する必要があると思うわけです。

そして、平清盛で終わりではなく、仕組みとして継続的にメディアコンテンツを呼び込むフィルムコミッションを強化していく必要性があると考えております。

そこで、県に対して、フィルムコミッションを一層推進する必要性を強く認識していただくとともに、より継続的かつ広範囲にわたってメディアコンテンツを呼び込むフィルムコミッションに対する予算・組織などの充実方策を進めていくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4 県立粒子線医療センターの強化とメディカルツーリズムの推進について

質問の第4は、「県立粒子線医療センターの強化とメディカルツーリズムの推進について」であります。
本県の粒子線医療センターは、陽子線と重粒子線の2種類の粒子線を使用する世界唯一の施設として、事業費280億円を投入して建設された医療施設であり、2003年度の一般診療の開始以来、これまで4000人以上の治療を行うなど、世界でも高度で専門的ながん治療に取り組んでいます。

また、開設当初には年間250人であった治療患者数も、2010年度には685人となり、開設以来初の単年度の黒字決算が達成されました。
しかし、私は「黒字化達成でよかったね。」ではなく、更なる改善への一歩を踏み出すことを要望致します。更なる改善とは、運営時間の延長や休日診療の開始による受入人数の拡大とメディカルツーリズムへの活用です。

特に建物や医療機器の減価償却費やメンテナンスなどのコストが大きい粒子線医療センターは、更なる収益改善のためには機器の利用率の向上、すなわち利用者数の増大が特に必要であります。
しかしながら、現在の利用状況が上限近いことを踏まえると、利用率の向上のためには診療時間を延長し、患者の医療ニーズに応えていくことが必要です。更に、県内及び国内の患者を優先して受け入れるのが前提ですが、空き時間には外国からのメディカルツーリズムを受け入れることが収益改善のためにも重要だと考えます。

さて、メディカルツーリズムは、世界約50ヵ国で受入が実施されており、2008年の医療ツーリスト数は年間600万人程度と推計され、市場規模は2012年に1千億ドルまで拡大すると見込まれています。その目的には「最先端の医療技術」や「より良い品質の医療」を求める方がおよそ7割を占めており、本県の粒子線医療センターは患者の希望に十分対応できるキラーコンテンツとして発揮できるものだと考えます。

では、診療時間の延長には何が必要か?それは、専門人材の採用と早期の育成、マーケティング活動及びJCIの認証取得であります。

特に放射線科の医師を中心とした専門人材の採用と育成は一番のボトルネックだと伺っています。日本は人口あたりの放射線科の医師数はOECD内26カ国中で最下位であり、平均のおよそ約1/3と極めて少ない状況であり、今後も国内外で粒子線施設の新設が予定されている状況の中、県立粒子線医療センターにおける、受入人数の拡大には専門人材の強化が何よりも必要であると認識しています。

また、受入人数枠の拡大とともに、集客のためのマーケティング活動が重要であり、従来の国内病院向けのマーケティング強化に加えて、医療機関評価を行うJCIの認証取得による海外マーケティングの強化が必要となります。JCIは、医療施設がグローバルスタンダードである証明となると同時に、欧米ではJCI認証が医療保険の支払い対象の適否を左右するなど重要度が増しており、今後メディカルツーリズムを進めていく上では必須といっても過言ではありません。

また、2011年3月に県が策定した「ひょうごツーリズム戦略」の中では、『新たなツーリズムとして、医療サービスと観光をセットにした医療ツーリズムが先進国の患者や発展途上国の富裕層患者等から注目されている』と記されています。

メディカルツーリズムの市場拡大や国内病院による海外病院との連携など、医療の国際化が世界的に進展するなか、本県が世界に誇る粒子線医療センターをコアとしたメディカルツーリズムの推進は、神戸国際フロンティアメディカルセンターと並んで、兵庫県として強みを強化すると共に、同センターの収支改善も期待されるところであります。

そこで、更なる収益の改善をめざし、人材の早期育成を含め粒子線医療センターの受入人数の拡大に向けてどのように取り組んでいくのか、粒子医療センターをはじめとしたメディカルツーリズムのへの取り組みと併せて当局のご所見をお伺いします。

5 NPOと行政の役割を踏まえたパートナーシップの構築について

質問の第5は、「NPOと行政の役割を踏まえたパートナーシップの構築について」についてであります。

改正NPO法の施行を目前にして、本県において「新しい公共」を一層充実させていくことの重要性を考慮したNPOと行政の関係のあり方については、先の12月県議会で我が会派の迎山議員が質問し、昨年知事に対しても、我が会派が当初予算申し入れの中で要望させていただいたところです。改めて、主として財政基盤の充実の観点から質問します。

17年前に発生した阪神・淡路大震災や昨年の東日本大震災では、市民一人ひとりが、「公共サービスの担い手」であり、地域住民の行動力と影響力の大きさが改めて認識されました。
しかしながら、NPOが抱える最大の課題はこれまでも様々なところで指摘されているように、資金調達の問題です。すなわち、地域活動を主体とするNPOは、その設立の背景から、収益を伴わない活動や事業も多く、活動資金が賄えないことから、財政基盤が脆弱であり、安定した雇用ができないなど、多くの財政的課題を抱えています。

2011年3月に公表された内閣府が実施した調査結果によれば、認証NPO法人のうち、年間収入1,000万円未満の団体が約5割を占めるとともに、年会費や寄附金が50万円未満の法人も約9割に及んでいると聞きます。

こうした課題を解決する一つの方策が、改正NPO法によって実現される、税制上の優遇措置が受けられる「認定NPO法人」の対象拡大や、県民・市民の寄付を促進させるような税制上の優遇措置の拡大であります。

しかしながら、昨年12月の定例会では、県当局は既存のボランタリー基金の助成を重視し、県税収入の減少も見込まれることを理由に、消極的な答弁に終始されました。

既に47都道府県のうち、36もの都道府県が3号指定を行っている中で、
17年前の震災において、市民一人ひとりの力、NPO可能性を強く感じたこの兵庫県において、この状況は極めて残念というしかありません。

地方のことは中央ではなく地方自治体が決める、地域のことは地域住民が決めるという地域主権の流れにおいては地域住民がより直接的に関与し、評価し、支援できる仕組みが必要ではないでしょうか。また、NPOにとっても従来のイベントの共催や受託事業、資金助成から一歩進んで、ひも付き助成金ではなく、自由に資金を活用できる仕組みが必要ではないでしょうか。

寄付金控除は、NPOの資金調達支援だけではなく、地域住民にとっても、自らを社会の担い手として再認識し、住民の自主的・自発的な寄付以外の活動・支援の輪も広げる重要な制度です。

そこで、その仕掛けとして、県民・市民の社会への関与を促進する視点と、NPOの持つ柔軟性や専門性を充分に活かし、新しい公共が実現できるよう、NPOと行政そして、地域住民とのよりよいパートナーシップの構築が3号、4号条例も含め不可欠と考えますが、当局のご所見をお伺いします。

前田ともき
(東灘区)

1.PFIについて
2.総合評価落札方式について
3.水源地買収に関する管理/規制について
4.震災ガレキの受け入れについて

質問全文

第312回定例会(2月)一般質問
2012年2月27日(月)

1 PFIについて

・公的施設が建設される際に、注目を浴びるのは、その建設コストなどの初期費用である。
・しかし、実際には、建設された後の運用コストが、その約4倍(鹿島建設HP)かかるという事は、余り議論されていない。
・施設の導入から運用、撤去までのトータルのコストを「ライフサイクルコスト」というが、施設の導入にはこれを計算する必要がある。
・兵庫県では、PFI導入に消極的である事もあり、自身が有する施設について、このライフサイクルコストを計算していないとのこと。
・施設導入の検討に際しても、絶対的に必要なものであり、PFI導入を進める為の必須項目であることから、早急に算出の検討をお願いしたいと考えている。
・大雑把であるが4倍という前提条件のもと、自分で概算を行なってみると、初期コストが410,519,666千円である事から、運営コストはざっくり1,642,078,664千円という規模になる。
・兵庫県の財政状態は依然厳しく、経済環境も悪化の一途。
・少子化などの人口減少社会において、税収入の長期的逓減、インフラ施設、公的施設の利用者減少。
・インフラ施設の今後の老朽化、大幅な改築更新などの財政需要の増加。
・結果として公共のスリム化が余儀なくされる時代への突入。
 →公共のみのマンパワーではなく、民間の知恵と金と取りいれた公共運営が必要。
・公的施設のコスト削減のみならず、より住民にとって良い運営が必要となる。
・このためには、行政施設と捉えるのではなく、住民施設であるとの発想の転換が必要。
・この住民目線に立ち、民間の力を取り入れることで、よりよいサービスを抜本的に。
・これが、行政に勤める方々へのローモデルになるのではないか。
 →機動的に動ける民間に勝ちパターンを模索してもらう手法としてPFIの推進を提言したい。
・内閣府によれば、全国の250事業で、事業規模3兆369億円、その約23%である6,875億円のVFMが実現されている。
・豪州のメルボルン大学などの分析によれば、平均で約11%のVFMが実現されている(地方自治11年9月)。
・兵庫県のPFI事業に該当する事業(体育/文化交流/社会福祉/病院/公園施設)規模1,043億円に、10%を掛けただけでも、年間104億円のVFMが実現する計算である。
・公的機関が行なってきた事業を民間に開放する事で、事業機会が創出され、経済効果も期待できる。
 →財政難の折、年間104億円の県民の税金が削減されるポテンシャルがあるPFIは、非常に魅力的である。
・今回の改正にて、運営権を登録することで第三者への対抗要件を具備することになり、譲渡や抵当権の設定が可能となり、資金調達が容易となった(コンセッション方式)。
・関空と伊丹の合併に際し、この既存の施設にコンセッション方式を取り入れ、民間のカネとチエを取り込み、1,3兆円と言われる負債の返済の道を切り拓いた。
・ちなみに、1,3兆円の負債に対する利息は、兵庫県の10年公募債の直近発行利率0.952%で計算すると1年間で123億76百万円となり、これだけでもとんでもないPFI導入効果である。
・民間に運営権を委譲しても、事業終了時や、緊急事態時にも、公的主体が対応できる仕組みとなっている。
・既存施設においては、運営権の現在価値を導き出し、その費用を徴収できることも出来る。
 →これまで使いにくいとされていたPFI法の使い勝手が良くなった。
・PFI法を利用することで、運営コストを民間に移転できる可能性がある。
・コンセッション方式を取れば、既存の施設にかかる負債を返済(負債早期償還)し、運営権の売却益(財政捻出)も施設によっては可能となる。
・民間にPFIを検討してもらう事で、適切な時価評価が出来ない県保有の資産の時価評価が可能となる。
・セキュリティレベルが一番高いであろう防衛省でも、施設へのPFI導入に関する推進チームを立ち上げて精査を行なっている。
・新潟県では、新築/既築問わず、公共施設等の整備を検討する場合には、建設から運営までを見通し、大規模施設の整備に当たっては、必ずPFIの導入を選択肢として検討し、運営方式を決定している。
・宮城県でも、「宮城県PFI導入調整会議」を設置し、事業実施の優先順位が高く、一定の基準に該当する事業を精査し、事業担当課における検討結果の検証を受け、適当なものには、全庁的に推進している。
・1.初期建設費用が10億円以上の事業、2.単年度の維持管理・運営費用が1億円以上の事業、3.民間を活用することによりサービスの著しい向上が見込める場合や事業収入が発生する事業などを対象としている。
・検討の副次的効果として、県保有の資産が市場にて、どれほどの価値で見られ、どれほどのコスト削減が図られるのかを計算する事は、県民目線の県政運営であると考える。
・時限的PTを作り、県保有施設の洗い出すためにPTを作り、事業毎のPFIが導入できるかの検討調書の作成、どの程度のコスト削減が可能か分かるVFM調査を行うべき。
・また、今回のPFI法の改正は、民間から公的施設の管理に手を上げられるようになった。
・民間発案のPFIに機敏に対応する為に、専用窓口を創設する事が、積極的な運用にもつながるため併せて検討して頂きたい。

2 総合評価落札方式について

・地方自治法234条1項では、地方公共団体が売買、貸借、請負その他の契約をする際には①一般競争入札②指名競争入札③随意契約④せり売りのいずれかで締結すると定められている。
・一般競争入札以外は「政令で定める場合に該当するときに限り」とあるので、一般が原則。
・近年、この一般競争入札の適用範囲が拡大されてきたが、公共事業の価格競争が激しく、ダンピングを助長する等の問題点が指摘されていた。
・工事の品質確保という観点から総合評価落札方式が99年に導入され、価格面だけではなく、技術面も考慮した入札方式。
・価格と技術という多項目での評価であり、談合にもなりにくい方式とも言われている。
・定量的な価格だけではなく、定性的な技術評価があることから、そこには恣意性が介入する余地がある(裁量行政)。
・定性的な評価が存在する事で、評価チーム毎にバラつきがでる可能性があり、地域間での社会資本の品質の公平性を阻害する可能性も否定できない
・技術点の配分を大きくすれば、よりコスト削減努力を行わない結果を生み、落札金額の全体的な上昇が危惧される。
・その技術評価が、直接、工事品質に関係しているのかの検証を常に行わなければ、品質向上のための方式がかけ離れた方向に向かいかねない。
・発注者である行政サイドの事務的負担も大きく、岡崎市の例では、総合評価方式にすることで、事務時間が73時間/1件となり、価格競争時代の5.6倍の時間となったデータもある。
・多少落札金額を上げても、つまりは、税金の投入金額を上げても、社会資本の品質を向上させることが出来れば良いというのが、この制度の導入が進んでいる理由だが。
・落札金額と事業者の工事成績には相関関係がないというデータもあり、投入金額とその成果物の評価には関連性がなく、落札金額を上げれば、品質が上がるものでもないということである。
・税金の有効活用がされているのかが、やや疑問となってくる。
・どのような制度でも、メリット、デメリットは存在するものであり、ベターな制度を採用しながら運用面で対応していく必要があると考える。
・総合評価落札方式で一般に指摘されている問題点について、主に運用面として解決する施策を伺いたい。

3 水源地買収に関する管理/規制について

・世界のトップが集まるダボス会議、世界経済フォーラム年次総会では、水資源不足問題もテーマの目玉の一つとされている。
・水問題の解決は地球温暖化問題よりも格段に複雑であるという共通認識のもと『新鮮な水を飲むのは基本的人権の一つである』というメッセージが2008年に発せられた。
・水メジャーであるフランスのヴェオリアやスエズは、民間企業として水を経済財ととらえ、利潤獲得の対象としている。
・日本では、水は無限の資源として捉えられているかもしれないが、有限の貴重な資源として捉えるのが世界基準である。
・世界的には、地球環境の悪化、人口の急増によって、水不足が叫ばれている。
・また、WHO(世界保健機関)によると、世界中で安全な水を飲めない人の数は11億人以上(世界人口の約6分の1)というデータもある。
・外資による水源地の買収が、各地で続いていると言われ、各自治体もそれを把握できていない状況にある。
・行政としては、誰でも安全な水へのアクセスを保障する「セーフティーネット」を用意する必要がある。
・そのような中、「土地所有権」には、「その土地において地下水を利用する権利」が含まれていることから、これを制限する法令がない場合には、土地所有者は自由に地下水を利用することができる。
・民法上では確かに、地下水は土地所有者の財産だが、同時に地域住民の共通の財産であり、「地下水は公水」であり、公有地以外でも自治体に地下水の保全、管理の責務が発生すると考える。
・こういった法整備の不十分さを受け、国では水循環基本法案が、本国会にて議員立法として提出される動きにあり、地下水の利用の規制に関する緊急措置法案が審議中にある。
・また、自治体では、北海道ニセコ町では、同趣旨の条例が制定され、府県単位でも、埼玉県、北海道では、全国初の同趣旨に沿った条例が議会に提出され、条例制定の動きがある。
・大きな水資源を抱える兵庫県としても、早急な対応が必要と考える
・第310回定例会にて、石原議員から水源地規制の質問があり、政策監が答弁した。
・「森林法が改正で、1ヘクタール未満の土地の取得についても、市町への届け出が義務づけられることとなりましたので、今後は、外資参入の実態を明らかにし、適切な対応を行うことが可能」。
・これは土地の購入売買があった後の、事後届出であり、外資の参入を何ら規制出来るようなものではなく実態を把握できるだけのものである。
・まずは、現状把握として埼玉県などのように、兵庫県独自にて、外資による水源地域の山林買収について緊急調査をすべきだと考える。
・また、北海道や埼玉県のように、水源地買収を事前に認識するための事前届出制度や、ニセコ町のような地下水取水規制の条例を早期に制定する必要がある。

4 震災ガレキの受け入れについて

・被災地では、処理しきれないガレキが山積みとなり、復興の妨げとなっており、広域処理の必要に迫られている。
・沢山のガレキ仮置き場で火災が発生しており、学校が仮置き場になっていたりする。
・仮置き場も一杯の状態ゆえに、半壊などの建物の解体すら出来ない状況にもあり、復興が前に進まないなど、深刻な問題となっている。
・広域処理が遅々として進まない状況で、今月7日に、復興のカウンターパートナーである宮城県議会から我が県に、ガレキ受け入れについて直接の要望が届いた。
・先日の国の発表では、計2252万8000トンのがれきのうち、埋め立てや再利用などの最終処分を終えた量は、2月20日時点で計117万6000トンと全体の5%。
・環境省は岩手、宮城両県の木材がれき400万トンを被災地外で広域処理を行うことを想定しているが、現在は東京都や山形県が受け入れているだけ。
・環境省に依れば、宮城県では1,569万トンの災害廃棄物があり、災害廃棄物のみを処理したとしても約19年かかり、岩手県では、475万トンがあり、処理能力の約11年分、通常の廃棄物を処理するスピードで焼却をすれば、約50年かかる計算となる。
・これを受け、お隣の大阪府は、自ら検討委員会(災害廃棄物の処理方針に係る検討会議)を開き受け入れの決定を行なった。
・兵庫県は、ガレキ処理の方針について、大きく二つの見解を出している
・ひとつには、広域処理の必要量の把握の前提となる災害廃棄物の種類別発生量、域内処理可能量、コンクリートがらなどのリサイクル可能量などが明らかにされておらず、処理の全体方針が明確にされていない。
・ふたつには、原子炉等規制法で、原子力発電所内の工事で発生したコンクリートがら等でそのまま再利用できるとしたクリアランスレベルは1kgあたり放射能セシウム100bq。
・一方、国のガイドラインで安全に埋め立て可能とされてる目安としては、8,000bq以下という値で整合性がない。
・国の曖昧な基準では、住民に一環とした説明ができないので、明確な指針を出すように要望している。
・また、井戸知事は、関西広域連合長であることから、同連合でも、同様の見解となっている。
・一見もっともらしい回答になっているが、私には、国に責任を押し付けて、何もしないとしか聞こえない。
・私は、実際に受け入れを行なっている東京都の担当者にも話を聞いた。
・ひとつは、岩手県などは既に選別作業(計算)を行っている。
・被災地としては、逆に受入側から、受け入れ可能量を明示してもらわないと、当てのない作業をする余裕など無く、選別など出来ないという意見もあった。
・つまり、我々が、やれるところからやる気になれば、簡単に前に進むというのが、現状である。
・ふたつは、原子力発電の施設内のクリアランスレベルと、埋め立て可能目安という全く違う基準を、強引に同じ目線で比較し、数値がかけ離れていると指摘しているに過ぎない。
・クリアランスレベルの定義は、ある物質に含まれる微量の放射性物質に起因する線量が、自然界の放射線レベルに比較しても十分小さく、人の健康への影響が無視できるものであるならば、その物質を放射性物質として扱う必要がないものとして、放射線防護に係る規制の枠組みから外すという考え方(文科省)。
・実際に、日本原子力発電株式会社東海発電所において、約400トンの金属のクリアランスの確認が行われ、その一部がベンチ等として再利用されている。
・独立行政法人日本原子力研究開発機構においても、約377トンのコンクリートのクリアランスが、路盤材等として再利用されようとしている(文科省)。
・つまり、クリアランスレベルとは何に使われているものかと言えば、原子力施設の中にあるものを別の場所で再利用(流通)するために持ち出す際に要求されるハードルの高い基準である100bqとなっている。
・一方の埋め立て可能目安とは、人目に触れる事もない、完全に遮蔽された状態となる埋め立て処分場にて許容される数値出る事から、少し緩やかな基準として8,000bqになっているのだ。
・当局が示した考え方は、apple to appleの比較ではなく、違う土俵の数値を引っ張り出してきて、基準が曖昧であると言っており、まやかしに過ぎない。
・また、岩手県等のガレキは、放射線が出ていないのが殆どである。
・私は、当初、東京都のガレキ受け入れは、知事のパフォーマンスかと思っていたが、担当者のお話を伺っていると、「被災地の行政の方々のガレキに対する悩みを聞いていると、絶対にやり遂げなくてはいけないと思い、関係各所を必死で説得した」、「ガレキの受け入れは、各自治体が一挙に手を下ろした経緯もあり、被災地の行政サイドに電話を掛けると、受け入れ不許可の電話だとビクビクしていた」、「実際に被災地に行けば、ガレキの悲惨な状況を体感するし、断る事なんて出来ない」。
・受入表明から2ヶ月の間で、約4千件もの問い合わせ電話を受けた担当者が「被災地を見れば、断る事なんて出来ない」と言っている。
・この英断の結果、岩手県宮古市のガレキを処分し、最終埋め立ての際の焼却灰の放射線量は、133bq/kgと、食品安全基準の500bqを下回る低い数値だった。
・同じ大震災を経験した兵庫県として、また、その際に、ガレキの受け入れをしてもらった恩返しとしても、兵庫県として、ガレキの受け入れを行なうべきだと考えるが、知事から直接のお考えをお伺いしたい。
・また、国を信じる事が出来ないのであれば、大阪府のように受け入れを行なう為の独自の検討委員会を、早急に立ち上げるべきだと考えるが、併せてお伺いしたい。
・出来ない理由は、簡単に作る事が出来るし、それは、目の前に困っている人がいるのに、それを助けない理由を考えているように映る。
・目の前で困っている人達が大勢いる状況で、どうすれば手を貸す事が出来るのかといった前向きな検討をお願いしたい。

三戸政和
(高砂市)

1.知事の考える「関西の復権」について
2.関西広域連合の将来への懸念について
3.行財政構造改革の取組の検証について
4.神戸市との連携による効率的な行財政運営について
5.新規就農者の育成と定着について
6.神戸マラソンの開催に向けた取り組みについて

質問全文

第312回定例会(2月)一般質問
2012年2月28日(火)

1 知事の考える「関西の復権」について(政策)

質問の第1は、『知事の考える「関西の復権」について』であります。

9年前の私の初めての一般質問で関西復権プロジェクトについてお尋ねいたしました。以来今日に至るまで、ことあるごとに関西の復権について発信してまいりましたが、その時以上にその必要性を痛感し、また、以来議会でもたびたび取り上げられるようになりましたので、最初に議会で取り上げた者として、改めて質問いたします。

昨年3月11日に発生した東日本大震災の際、震源地から500キロ以上も離れた東京都内では、交通機関がストップし、多数の帰宅困難者が発生し、大パニックとなりました。首都機能のマヒには至らなかったものの、東京一極集中の脆弱さがクローズアップされた形となり、首都機能のバックアップや副首都の必要性が以前にも増して議論されるきっかけになりました。

首都機能のバックアップについては、6月定例会において、高橋しんご議員、石井健一郎議員のお二方より質問が相次ぎました。また、12月定例会でも、岸口実議員より「国家危機管理国際都市構想(NEMIC構想)と関西復権・兵庫の発展」について、質問されました。

NEMIC構想と関西広域連合の提言の違いは、既に明らかになっているとおり、NEMIC構想が新たに副首都を建設するのに対し、関西広域連合の提言では、「短時間にバックアップ体制の構築が可能となる既存の都市集積の活用を」としています。

一方、知事からは、「首都圏が機能しなくなったときの準備や体制を事前に整えておくことは非常に重要であり、関西の役割、関西の発展にもつながり、関西の復権にも寄与していく」とのご答弁がありました。

しかし、関西広域連合の提言は、既存の各地に点在する諸施設を利用する考え方であり、首都機能のバックアップはできても岸口議員の指摘したとおり関西の復権には直結するものではありません。

NEMIC構想は、テロや大規模地震など国家機能の大規模な麻痺を回避するため、バックアップ機能を持つ副首都の建設並びに人、モノ、資金・情報の流れを関西に受け止めうるような超近代的危機管理国際都市建設プロジェクトを進めていくことにより、関西の復権を図り、東の首都圏、西の関西圏の双眼レフ型の安全・安定・躍進型の日本再構築の礎を作ろうとするものであります。

関西広域連合の提言においても「国土の双眼構造の構築」とのタイトルで、「関東、関西の双方に政治、行政、経済の核が存在する双眼構造への転換をめざした国土政策、産業政策を展開すること。」を提言されています。

しかしながら、前回の岸口議員に対する答弁で言われた、「関西イノベーション国際戦略総合特区」についてみると、首都機能のバックアップと同様、関西に点在する医療、医薬、電池、エネルギーといった強みを持つ産業を寄せ集めた感があり、そのためか他の国際戦略特区とは異なり、先日の我が会派の永富議員の代表質問における答弁で、複数の拠点地区を有機的に連携させていくとのことでしたが、対象となる拠点が複数で、また広すぎて果たしてこの総合特区構想が関西の復権に直結していくのかイメージすることができません。

一方、前回の私へのご答弁で言及されました大阪湾ベイエリア構想などの1000ヘクタールに及ぶ未利用地の活用については改善されましたが、関西復権にという意味では10年近く経った今でも進捗していない状況であります。東京一極集中による関西の相対的な地盤沈下から、「復権」や「再生」を謳われてから、かなりの時間が経過していますが、一向に事態は好転していません。

いずれにいたしましても、本来の目的が関西の復権に重点を置いたものでなく、結果として「関西が復権すればいい」というものであり、中途半端であると言わざるを得ません。

そこで、関西の復権と創造を目指した関西広域連合が設立されて、1年と少しが経過しましたが、NEMIC構想の是非は別として、連合長でもある井戸知事の考える「関西の復権」とはどのようなものなのか、夢のある復権への道筋と併せてご所見をお伺いします。

2 関西広域連合の将来への懸念について(政策)

質問の第2は、「関西広域連合の将来への懸念について」であります。

関西広域連合は、設立のねらいの一つに「分権型社会の実現へ」をあげられ、自己責任を貫ける分権型社会の実現に取り組まれています。そのような中、橋下大阪市長は、就任早々、府と市の二重行政を解消することで、4年後には地方交付税の不交付団体になることを目指す方針を明確に打ち出されました。大阪市はスピードをもって無駄をなくすことで財政再建に取り組み、国から自立した地方を作り、国にものを申せる立場を構築しようとしており、国民の期待は高まっています。橋下市長と二人三脚で歩む松井大阪府知事も大阪府の財政再建にスピード感を持って取り掛かられることと思います。

一方、本県の財政再建は、大阪と比べると少し遅れ、スピード感に欠けるのではないかと危惧しています。

現在の大阪府の財政指標は、将来負担比率266.8%で全国ワースト7位、実質公債費比率は17.6%の全国ワースト7位、経常収支比率はワースト22位であります。本県の財政指標はさらに悪く、将来負担比率は350.2%と全国ワースト1位、実質公債費比率が21.0%で北海道、徳島県に次ぐワースト3位、経常収支比率も東京都、愛知県と同率で全国ワースト1位となっています。

関西広域連合としては順次拡充する事務として、港や国道、河川など一体的な整備への拡大も視野に入れ、国に対して財源や権限のまるごと移管を要求していますが、その受け皿だけではなく、地方自らも歳出を行わずして自立した連合は実現するとは到底思えません。しかしながら、今後は、社会保障関係費や人件費、借金返済などの経費がこれまで以上に嵩むことから、関西広域連合への負担金の支出さえも立ち行かなくなる恐れもあるのではないでしょうか。

関西広域連合は構成自治体からの分担金により運営しており、将来、この大阪府と将来負担比率ワースト1の兵庫県が手を取り合うのであれば、現状の危機的な財政状況のままでは、連合の運営に支障が生じるのではないかと懸念しています。EUが今困難な問題を抱えているのも、統合優先で財政そのものに切り込まなかったことが原因と言われており、私としては関西広域連合も同じ轍を踏まないかと懸念しています。

さらに、政令市4市が加わると、今でさえ呉越同舟と揶揄される関西広域連合の運営もこれまでの府県間の調整に加え、府県と政令市の調整が加わり、先の議員定数でも調整が難航しているように構成自治体間の調整がこれまで以上に困難になることも懸念されます。

当初の想定どおり「成長する広域連合」として着実に取り組み、自立した関西広域連合を運営するには将来的に広域的な支出財源を賄うため、各構成自治体に対して相応の分担金が求められることとなると思いますが、財政状況の異なる構成自治体の中にあって「成長する広域連合」に対して際限なくお付き合いするのではなく、財政的にも一定の歯止めをかけていく必要があると考えます。

そこで、本県としてどのような姿勢で臨まれるのかご所見をお伺いします。

3 行財政構造改革の取組の検証について(企画県民)

質問の第3は「『行財政構造改革の取組の検証』について」です。

私は、平成20年2月の第294回定例会において、「地方債の発行方針」と題して、「本県が全国一発行している仕組み債などのデリバディブを使った地方債については、非常にリスクが高い債権であり、発行条件は一見有利に見えるが、特約条項が付いており、世界の金融市場であっという間に膨大な損失を抱え込むことにもなる」と指摘し、情報開示やリスク管理体制などについて質問いたしました。

それに対し、「予想外の財政負担がないよう行う」と答弁されました。当局と意見交換しているなかで発行当時の円ドルレートは100円台でありましたが、当時は「80円を切る円高にはならないので、まず大丈夫である。」旨の話をお聞きしましたが、ギリシャ危機などに端を発したヨーロッパのユーロ不安により、一時75円台にもなり、今や完全な円高が定着しています。

また、昨年には「青野運動公苑県有地信託事業」での上告棄却を受けて遅延損害金を含め105億4,070万円を、専決処分により企業庁の「地域整備特別会計」から借り入れ、支払ったところであるほか、信託銀行が負担した約3500万円の訴訟費用も支払う必要があります。
今回の「青野運動公苑県有地信託事業」に係る対応、処理には、県民はもちろんのこと当時関わりのなかった知事はじめ県職員の皆様も大変な苦労をすることになったわけであります。

今定例会において、今後の信託事業の処理の方向性や信託銀行の信託事業に対する受託者責任を明らかにし、相当額の返還を求める、民事調停を裁判所に申立てようとする議案が上程されていますが、調停成立に向けて十分な準備のもとに対応していただくようお願いいたしますが、知事の説明にありました「調停の場において、民間から選任された調停委員の持つ市民感覚を生かしながら」というくだりは、情に訴えているようでいささか違和感を感じています。

さて、行革を進めるにあたっては、県も不退転の決意で取り組んでおられるとは思いますが、行革、行革と言いながら、本当に聖域なき状態で事業をチェックしているのか、私に届く県民の声には、厳しいものがあります。

例えば、地元の強い要望でできた但馬空港について、平成24年度においても但馬、羽田直行便の実施に向け、首都圏での観光PRなどによる知名度アップ等に取り組むこととされていますが、一方で北近畿豊岡自動車道も着実に延伸しているなかで、空港自体の必要性について今一度検討する時期が来ているのではないでしょうか。

なお、今回、財政状況の公表に関する条例の一部改正に伴い、県の出資比率が25%以上、50%未満の法人のうち、県行政と密接な関連のある公社等に指定している7法人が、知事がその経営状況を議会へ報告する法人として、新たに対象となります。但馬空港ターミナル株式会社もその1つであり、ようやく県議会においてもその財政状況がつまびらかになります。
知事は平成13年に就任され今年で11年目になりますが、就任時の本県の県債残高は、臨時財政対策債も含め、2兆6,390億円でありました。しかし、在任期間中、その残高は減ることはなく、平成22年度末では3兆7,039億円となっています。

今、世界経済ではソブリンリスクが問題となっていますが、政府等が破綻するかどうかは、借金残高もさることながら、政府に返す意志があるかどうかだと言われています。第2次行革プランにおいては、平成30年までの残高を示しておられますが、見方を変えれば、平成30年になってもまだこれだけ多くの借金を県民は抱え、3,100億円の収支不足額に対して、退職手当債や行革推進債などの手当をしたのち、要調整額と称した920億円もの財源不足額が生じています。

そこで、県民に更なる新たな負担が生じないようにしていくためには、過去のしがらみの中で手つかずの聖域化した施策の検証や地域のしがらみの中で進めようとする施策の検証に取りかかる必要があり、場合によっては立ち止まる勇気も必要であると思いますが、次期3年目の総点検も視野に入れ、今後、行財政構造改革にどのように取り組んでいくのか知事の覚悟と併せてご所見をお伺いします。

4 神戸市との連携による効率的な行財政運営について(政策・企画県民)

質問の第4は、「神戸市との連携による効率的な行財政運営について」であります。
県と指定都市との関係、いわゆる大都市制度のあり方については、二重行政解消を目的として県と市の役割分担や連携方法などを中心に、これまでも、多くの議員により問題点が指摘されており、先の12月定例会でも、公明党の岸本かずなお議員より質問がありました。

その答弁を掻い摘んで述べますと、①行財政能力が充実している政令市や中核市においては、県との二重行政が生じないように今後も留意して役割分担を進めること。②男女共同参画センターや総合相談センターなどでは、事業内容や対象者による役割分担を進めていること。③美術館や博物館については、施設の重複とは事業内容の面で異なること。④水道、大学、病院、文化施設についても同一地域内において二重やダブりが生じているとは考えていないこと。⑤政令市、中核市との県・市幹部連絡会議などの機会を捉え、県と政令市等との機能と役割を整理する、とのご答弁であり、いずれも「二重行政は生じていない」との現状認識でありました。

しかし、答弁において「二重行政ではない」とされた、「男女共同参画センター」や「美術館」「博物館」「文化施設」はいずれも二重行政の代表例として一般的に取上げられる「二重ハコモノ」であり、明らかに我々も含めた一般県民の認識とはズレが生じています。

現在指摘されている都道府県と指定都市の二重行政は、現行の指定都市が都道府県の区域外とされずに、特例として都道府県に近い権限が与えられ指定都市の位置づけがあいまいとなった成立経緯からはごく当然の帰結であり、二重行政を完全に排除するためには、二層制の自治構造を廃止する以外に方法はありません。したがって、仮に「道州制」が実現したからといっても、二重行政が解消されるものではありません。

少なくとも、現在議論されている「大阪都」「中京都」「新潟州」の各構想や京都府と京都市の連携、広島県と広島市の連携、いずれの事例においても二重行政の存在が前提となっており、その解消を目的としています。

神戸市との関係で二重行政が解消されたとしても、現行の都道府県と指定都市の二重行政の例として挙げられている公営住宅、中小企業支援、商店街の活性化などの事務は、県内の他の市町との関係で県に事務が残り、神戸市と兵庫県の双方が実施する事務は依然として残ることには変わりがありません。

権限が類似する神戸市との関係においては、先般の答弁にありましたように「県・市幹部連絡会議」など既存の機会を捉え、権能と役割を整理していくだけでは不十分ではないでしょうか。

他の自治体で既に取り組んでいる公営住宅の窓口一本化や試験研究機関の施設共同利用のほか、体育施設や文化施設の共同運営や国際交流、男女共同参画、企業誘致など、それぞれの役割・独自性を踏まえながらも連携していける業務は多岐にわたります。

経費削減と住民サービス維持・向上の両立を図り、効率的な行財政運営を進めていくことを目的として市域で重なる仕事、類似施設や県市協働により対応できる課題の洗い出しを行っていくなど、二重行政の存在を前提とした連携を積極的に進めていくべきであります。

そこで、県と神戸市の二重行政に対する知事の認識について改めてお伺いするとともに、知事、市長の協議を踏まえた検討機関を設けて、県と神戸市の連携を着実に進めていくことが必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いします。

5 新規就農者の育成と定着について(農政環境)

質問の第5は、「新規就農者の育成と定着について」であります。

農業は、食料生産にとどまらず、水・緑・環境、そしてコミュニティの維持にも大きな役割を果たしていますが、本県農業は、今後ともこのような役割を果たしていけるでしょうか。
2010世界農林業センサスによれば、本県の販売農家の農業就業人口は22%、農業所得が主である主業農家の数は9.4%、5年前と比べて、それぞれ減少しています。また、農業就業人口の平均年齢は67.8歳で、全国平均の65.8歳を上回り、超高齢化が進んでいます。

また、これまで農業を支えてきた昭和1ケタ生まれの方全てが2年後には80歳以上となり、農業従事者の減少はさらに拍車が掛かり、農業の担い手、特に新規就農者の確保・育成そしてその定着は喫緊の課題であります。

このため、県では、年間200人の新規就農者確保を目標に各種施策に取り組んでおられますが、新規就農するには、栽培技術や経営ノウハウの習得、農地や資金の確保、販路開拓、農村地域での暮らしなど、解決すべきハードルが数多くあります。

このようなハードルに対して、相談窓口の設置、技術・経営研修の支援、制度融資の斡旋、農地の紹介など、多様な支援を行っていますが、これら支援が本当に就農へと結びついているのでしょうか。

例えば、就農希望者が先進農家で行う実践研修を支援する制度では、受入農家とのマッチングが十分ではなく、就農に向けた研修が十分に行われていない場合があることや農地はあるのに貸してもらえないなど農地探しにも随分苦労をしているとの話を就農希望者からはよく耳にします。

平成19年の農林水産統計によれば、新たに農業を開始した者のうち半数以上が農業経営の開始にあたり苦労した点として「営農技術の習得」「農地の確保」「資金の確保」をあげており、そのうち、「農地の確保」は、自家農業を継承した人は苦労した点に17.7%しかあげていないにも関わらず、新たに農業経営主となった人では56.3%の人が苦労した点に挙げており、統計データからも、その様子があらわれています。

農業に対する価値観や環境も大きく変化し、農業を職業として捉える人も増えてきており、就農希望者をいかに就農へと誘い、定着させていくかが重要であり、新たな施策の検討にあたっては、現行施策を十分検証しながら、きめ細やかに対応する必要があると考えています。
折しも、就農意欲の喚起と就農後の定着を図るために、新年度から最長7年間、年間150万円を交付する青年就農給付金が始まる予定ですが、これまでに類を見ない長期間に亘る手厚い給付金であり、今回のこの制度を生かせなければ、兵庫の農業の担い手不足の問題は解消できないのではないか、すなわち定着に向けた最終手段とさえ思っています。

もちろん、従来のように渡しきりの制度ではなく、就農への取組状況によっては受給者に対して給付金の停止又は返還を求める仕組みとなっていますので、真に就農するものに制度を適用させていく必要があります。

そこで、新規就農者の育成並びに定着に向け、今後も継続的、安定的に取り組んでいく必要がありますが、5年後、10年後の目標をどのように見据え、新規就農者の定着に向けたフォローアップをどのように行っていくのか、当局のご所見をお伺いします。

6 神戸マラソンの開催に向けた取り組みについて(教委)

質問の第6は、次回以降の「神戸マラソンの開催に向けた取り組みについて」であります。
私自身、おそらく第1回神戸マラソンを完走した唯一の県会議員であると思いますので、次回以降の開催にエールを送る意味も込めまして、ランナー目線から感じたことを中心に何点か指摘・提案していきたいと思います。ゴール手前では原吉三先生が、ゴールでは知事がそれぞれ温かく出迎えてくださったことは今でも脳裏に焼き付いており、私にとって感激のマラソンとなりました。

昨年の第1回神戸マラソンでは、強風で前日と当日に行われる予定だった「グルメフェステイバル」や「舞子の折り返し祭り」が中止になったほかは、大きなトラブルや事故もなく、全国から参集した約2万3千人のランナーが復興のまち神戸を駆け抜け、無事終了しました。第1回と言うこともあり、関係者の皆様も手探りの部分も多く、大変ご苦労されたこととは思いますが、無事終了させた全ての関係者の皆様に対して、改めて敬意を表したいと思います。

大阪マラソンと比べるとメディアの関心も低く派手さはありませんでしたが、沿道の約52万人の声援や約6千人のボランティアの方が大会を盛り上げてくださったように感じました。

しかしながら、課題もあります。当選通知ミスによりランナーが増員になり、トイレの増設や給水の対応はされたとは思いますが、当日は、選手が一部のトイレに集中したことにより長蛇の列となったことや、天候が良く気温が高かったことからフィニッシュタイム5~6時間以降の選手に対する給水が間に合わなかったことが挙げられます。後で聞くところによれば、比較的空いているトイレもあったということで、案内表示の改善や混雑を防ぐための対策も必要ではないかと感じました。

また、沿道の応援に対する警備のため数十メートルおきに警備員が配置されていましたが、一般の応援が入れない浜手バイパスにおいては、そんなに警備員は必要ではなかったのではないでしょうか。警備員に要する経費は開催経費全体のなかでもウェイトが高い費用であり、次回以降も大会を継続させていくためには、抑えられる経費は抑えていかなければなりません。

さらに、次回の開催日が、大阪マラソンと重なることから、両市内を中心に宿泊者の集中が見込まれ、宿泊施設の確保といったことが懸念されます。他地域のランナーにとっては神戸という開催地自体の魅力もあるわけで、大阪も含めて観光客を呼べる所でありますことから、相乗効果を見据えて、大阪マラソンと積極的な連携・協力を図っていくべきであります。

できれば、同日開催は今年限りとし、スポーツツーリズムの観点からも、神戸・大阪・京都・奈良の関西圏におけるマラソン大会が順次開催できるよう十分に事前の調整をしていただきたいと思っています。

また、今年の開催時期は、大河ドラマ「平清盛」のクライマックスの時期と重なります。コースの変更がなければ、ドラマ館や歴史館の真横を通過することとなりますので、マラソン大会の開催に合わせた盛り上げの仕掛けづくりも必要となってくるのではないでしょうか。

いずれにしましても、神戸マラソンが回数を重ねていくごとに地元に受け入れられ、地域に定着していくとともに、「お金を払って走る」ランナーたちが、参加しやすい体制にしていくことが肝要であります。また、ランナーのみならず、大会に係わるボランティアの方々や沿道で声援を送る市民の方々など大会に係わるすべての人が大会を盛り上げ、満足していただく必要があります。

今回も緊急雇用の関係の経費も計上され、何とか予算確保していますが、この県市協調事業であるマラソンを定着させていくには、自立した運営を確保していかなければ長続きしないのではないかと懸念するものであります。
そこで、第1回の神戸マラソン大会の運営評価ならびに次回以降の開催に向けた意気込みについて、ご所見をお伺いします。

石井秀武
(西区)