議会の動き

北上 あきひと議員が質問(産業労働部、労働委員会)を実施

令和4年度決算特別委員会 【産業労働部、労働委員会】

質問日:令和5年10月10日(火)

質問者:北上 あきひと 委員(ひょうご県民連合)

1 多様な食文化・食習慣に対応した観光戦略について

観光庁の資料によれば、日本を訪れるベジタリアン、ヴィーガンの外国人旅行者は年間145~190万人、その飲食費は450~600億円と推計されています。

一方、外国人ベジタリアン、ヴィーガンを対象としたアンケート調査では「日本の飲食店等の対応は不十分」という意見が多く、例えば「ベジタリアン、ヴィーガンに対応した飲食店等数が少ない」「ネットでの情報発信や店舗内外での表示が少なく、飲食店がベジタリアン、ヴィーガンに対応しているかどうか分からない」「日本で食べたかった食べ物のベジタリアンオプションがなく、食べることを諦めた」との声があります。

ここ最近は国内でも健康志向やオーガニックへの関心の高まり等からベジタリアン、ヴィーガンが注目され、新聞・雑誌の特集記事も頻繁に見かけるところです。ベジタリアン、ヴィーガン料理へのアクセスのしやすさは、観光の行き先を決める大きな要因になっているのではないでしょうか。全国的には、ガイドブックやサイトでの情報発信をはじめ、ヴィーガン食材を生かした「フード・ツーリズム」等の取組が行われています。

「ひょうご新観光戦略」においては「食習慣や宗教の違いに応じた情報のアクセス環境の整備」の方向性が示され、主な取組として「ハラール・ベジタリアン・ヴィーガン等多様な食習慣の理解促進に向けた普及啓発」が掲げられています。アニマルウェルフェアや食物アレルギー等を理由に何らかの食事制限をする人も含め、多様な食文化・食習慣を持つ国内外の旅行者の受入環境を整備することは、ユニバ―サルツーリズムを推進する本県の理念にも沿うものではないでしょうか。これまでの取組状況と今後の展開について、当局のご所見をお伺いします。

2 若年世代の労働環境改善について

先月公表された厚労省の「労働経済白書」では「少子化を克服していく観点からも、若年層を中心に賃金を引き上げていくことが重要だ」と指摘しています。「白書」によると、1995~2021年にかけて「いずれ結婚するつもり」と回答している男女の割合は、それぞれ80%以上でほぼ横ばいとなっている一方で、有配偶率は、女性は50%台前半から40%台前半に、男性は40%から30%台半ばにまで低下しており、結婚への希望は以前と大きく変わっていないなかで、必ずしもその希望を叶えられていない可能性が示唆されると分析しています。結婚生活をスタートさせるに当たって必要だと思う夫婦の年収については、20~39歳の男性・女性ともに約6割が年収400万円以上と回答し、約4割が500万円以上と回答している一方で、同年齢の未婚者の男性約25%、女性約36%が主な仕事からの年間収入が200万円未満、男性の約半数、女性の約70%が300万円未満であります。実際に結婚した割合は、21歳~25歳の男性では年収200万円の場合は約1割に留まりますが、300万円以上になると約3割に高まります。26歳~30歳の男性でも年収200万円未満の場合は約1割でしたが、300万円以上になると約4割に上がります。

また、男女ともに非正規雇用に比べ、正規雇用の方が結婚する確率を引き上げる効果があり、特に女性においてその効果が大きいと分析しています。

結婚は個人の自由意思に基づくものですが、結婚を希望しながら賃金や雇用形態によって叶えられていない状況は改善していかなくてはならないのではないでしょうか。2022年に国内で生まれた子どもの数は、前年比5.1%減の79万9,728人でした。統計をとりはじめた1899年以降、初めて80万人を割り込みました。また、同年の兵庫県内の出生数は、34,183人で、こちらも過去最も少ない人数でした。日本の少子化に、婚姻数の減少が極めて大きな影響を及ぼしていることを踏まえれば、少子化問題を克服していく観点からも極めて重要な課題ではないでしょうか。

本県では「ひょうご・しごと情報広場」の運営、「ひょうご仕事と生活センター」による支援、中小企業就業者確保支援事業、公共職業訓練による知識や技能習得の支援等を展開されていると認識するところです。若年世代の労働環境改善について一層の取組が必要だと考えますが、これまでの取組と今後の課題について、当局のご所見をお伺いします。

3 LGBTQ等セクシュアルマイノリティが自分らしく働く職場整備について

すべての働く人が勤労者としての権利が守られ、自分らしく働くことのできる職場が保障されなければならないと考えます。しかし現実には様々な課題があり、なかでもLGBTQ等セクシュアルマイノリティは多くの「働きづらさ」を抱えておられることが、各種調査や報道で明らかになっているところです。

求人検索エンジンを提供するインディードジャパンが刊行するライフマガジン「BE」によれば、同社が当事者1,000人に実施した意識調査では「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者が約4割(39.1%)であると回答し、非当事者(26.8%)の約1.5倍でした。また、LGBTQ+当事者の3人に1人が「仕事探しや職場において、不安やストレス、嫌な思いを経験したことがある」とし、それに対して「誰にも言わず/何もしなかった」が35.5%であり、5人に1人が「退職もしくは転職」を選択した経験があると回答しています。加えて、LGBTQ+当事者の3割以上が「性自認や性的指向がきっかけで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答し、そのうち約8割が仕事に応募する前に諦めた経験があるとしています。職場においても、仕事を探す段階でも、LGBTQ+当事者は「働きづらさ」を抱えておられることが、意識調査の結果から伝わってきます。

また、企業の人事担当者500人への調査では、セクシュアルマイノリティの従業員への支援に取り組む企業は全体で24%、大企業39%、中小企業18%でした。取り組んでいない主な理由は、大企業においては「何から取り組んでよいか分からない」、中小企業においては「支援に関心のある社員がどれくらいいるか分からない」となっています。

本県においては「誰もが生き生き働ける環境づくり」に向けて種々取り組んでおられるものと認識するところですが、LGBTQ等セクシュアルマイノリティが自分らしく働く職場づくりについては、今後尚一層の施策展開が求められると考えます。取組の現状と今後の課題について、当局のご所見をお伺いします。