決算特別委員会 [ 10月18日(木)教育委員会・小池議員 ]
学校現場では、現下の厳しい財政状況の影響を受けて、廊下の電気を消し、校庭の植物の水やりやプールの水の入れ替えを控えるなど大変な苦労を強いられていることを教育委員会は十分ご存知のことと思います。しかし、学校現場を暗くする等に、私は非常に抵抗を感じています。
私は、これまで国際交流を通じて、日本よりはるかに貧しい国であっても、教育には大変な力を入れているのを見てきました。教育は、次世代を担う若者への投資であり、安全・安心な社会の構築に向けては、教育を最優先とすべきであると確信しています。
そこで、
1 少人数学級のさらなる推進を!
2 各校に1名の加配教員を!
3 いじめ対策のために、教員に“ゆとり”を!
4 教育にもっと光を!
という4つの観点から、質問したいと思います。
1 少人数学級のさらなる推進について
初めに、少人数学級のさらなる推進についてお伺いします。
兵庫県は、全国に先駆けて県単独予算で少人数学級を推進し、現在小学4年生まで35人学級を実現しており、その面では大いに評価しています。しかし、まだまだ不十分で、現実にはいろいろな課題が生じており、決して満足出来る状況ではありません。
少人数学級の教育効果の面で、例えば、今から30年前の1982年に、私はアメリカの高校で授業をしたことがあります。その時の1クラスの生徒数は約30人くらいでした。当時1クラス45人の日本の高校での授業に慣れていた私にとっては、非常にやり易く、すべての生徒に目を配らせることが出来たと実感しました。
また、2009年にフィンランドの小学校を訪問した時は、1クラスの生徒数は20人以下で、しかも副担任がおり2人体制でした。先生からの「落ちこぼれを出さない」と自信に充ちた説明が羨ましかったのを記憶しています。犯罪の取り締まりに警察官の増員で対応するのではなく、教育に力を入れることにより対応すべきとの話に、私も全く同感でした。
我が国の高校の現実に目を向けると、国立大学を目指す生徒からアルファベットの筆記体が書けない生徒まで抱えています。このような大きな学力差がある40人のクラスでの授業は、教員の能力ではカバーし切れない問題で、中位層に合わせた授業を展開せざるを得ないのが現状です。その結果、上位の生徒には自力に頼り、下位の生徒には学力不足ということで、転学・退学を余儀なくさせるという事態も生まれています。
この意味でも、落ちこぼれ対策や教育効果という面でも、少人数学級は大変有効な施策と言えます。
現在、国においても、今後5年間で中学3年生までの35人以下学級を検討しているようですが、県は引き続き少人数学級を拡大・推進していって欲しいと思います。
そこで、国に先行する形で、さらなる少人数学級を求めますが、当局のご所見をお伺いします。
2 加配教員の配置について
次に、加配教員の配置についてお伺いします。教員の加配は、基本的に国に求めていくことですが、県単独でも実施していくべきと考えます。
今、現場の教員は、多忙を極めています。その背景には、①調査・報告書の作成等の事務処理が多い。②会議・研修などが多すぎる。③部活動の指導 ④家庭の教育力の低下による学校への期待、役割が拡大していること等があります。
また、クレーマーやマスコミのバッシングで、教員は萎縮しているうえ、社会的地位も低下しています。今や小学1年生でも教員の指示になかなか従わず、授業中、教員の「座ろうね!」という指示に、平気で「いや!」と言う児童がおります。さらに言えば「僕、帰る」と言い、帰り出す有様です。言うことを聞かないだけでなく、教員に対して児童が手や足を出す始末です。
このように学校現場では、家庭のしつけが出来ていない児童に対して、教育以前に大変な労力を費やさなければならない状況となっています。もうそこには、かつての教員の威厳や教員に対する尊敬の念が希薄になっており、義務意識より権利の自己主張の考えが貫かれています。保護者や児童と教員の間に信頼関係を築くのは、容易なことではありません。
信頼がない師弟関係で、児童・生徒が良好に伸びていくことはあり得ません。しかも学力以前に、良いことは良い、悪いことは悪いという大事な社会的原理を学べないことは、結果的にその付けが児童に降りかかっていると言えます。
また、このような児童に教員が手を取られるあまり、他の児童に目が届かないという現状があります。こういった事態を避けるためにも、各校に1名の教員の加配は有効な施策です。例えば、学校長の判断で、崩壊しかけたクラスに加配教員を充てるとか、クレーマー対策や学校訪問者への対応、教員の病気・研修等による授業に代替教員として活用することも出来ます。1名の教員を加配することで、教師も児童・生徒もどれだけ助かることでしょうか!
是非、財政当局は、学校現場の苦労と“声”に耳を傾けて頂きたいと思います。
予算制約により、教育現場に生じる課題を、教員の能力に責任転嫁するのではなく、各校に1名の加配教員を配置することで、教育現場の諸問題の改善に向け大きく前進させることを提言するものです。教育委員会としてのご所見をお伺いします。
3 いじめ対策としての教員の“ゆとり”確保について
次に、いじめ対策のためにも、教員にゆとりの確保をする施策を実現してもらいたいと思います。
2007年に文部科学省の教員の勤務実態調査によれば、教員の1日の平均休憩時間は、小学校で6~9分、中学校で7~11分となっていました。この数字、異常だと思いませんか! こんなに教員が多忙な状態で、いじめなどを見落とすことなく、生徒の細かい変化をとらえ、適切な指導をする余裕があるでしょうか!
今定例会でのいじめに対する一般質問で、教育委員会は①マニュアルを年内を目途に作成する。②教員の資質向上のため校内研修を行うという答弁がありました。
しかし、本当にそれだけで、いじめが解消するでしょうか?私は、いじめの問題は、教員の対応のまずさから起こっているとは思っていません。いじめが見落とされているのは、余りにも多忙でゆとりがない教育現場に最大の要因があると思っています。
いじめの未然防止・早期発見には、担任教員の役割が一番大きいことは、私も異論はありません。その面においては、教員のスキルアップは必要ですが、指導力・洞察力・知識力・優しさ・・・等々、すべて備えた教員がそんなに多くいるでしょうか?
いじめの対応は基より、今の教育現場に一番必要なことは、“ゆとり”と余裕を教員に与えて頂くことだと思っています。余りにも多忙な現状を放置したままで、教員に責任転嫁してはいけないと思います。早急に対策に取り組む必要があると考えます。
そこで、教員がゆとりを持って学習指導・生徒指導に臨み、いじめ対策にも取り組んでいくにあたり、教育委員会として教育現場における現状の課題をどのように認識しているのか、その対策と併せて、お尋ねしたいと思います。
4 教育施策の充実について
最後に、教育にもっと光を!という観点から教育施策の充実についてお伺いします。
日本は、戦後まだ食べ物が十分にない時でも、教育に力を入れました。その結果が、日本の高度成長を支え、日本の繁栄をもたらしたと思っています。
しかしながら、高度成長を成し遂げた後、日本の教育は置き去りにされ、さらに、最近では予算が厳しいということで、教育予算まで削られているのが現状です。次代を担う若者を育てる教育の重要性を、もっと真剣に考え現実に合った教育現場のための施策を積極的に実現していかねばならないと思います。
個性に合った教育を!ということが言われています。耳ざわりの良い言葉です。しかし、これも先ほど述べたように、40人もの多様化している生徒が対象では、非常に厳しいです。生徒数が少ない方が目が届くのは明らかです。クレーマーの不合理な要求への対応、家庭のしつけまで何でもかんでも学校に求められている現状、さらには担任が給食費の未払いの家庭を訪問して徴収しているという話も耳にしております。いじめ・不登校等の問題に対応していくにあたり、教師にもう少しゆとりがないと現実には対応が困難です。
少人数学級を!1名の加配教員を!いじめ対策のためにもゆとりを!は、すべて教育にもっと光を!当てることによって可能となります。そして、教員にもう少し余裕を与える施策を強く求めるものです。
是非、“国家百年の計、教育にあり”“次代を担う若者を育てる”という観点から、現下の厳しい財政状況にあっても教育施策の充実に力を注いで行くべきであります。
そこで、教育施策の充実に向けた教育長の意気込みについてご所見をお伺いします。教員がオーラを出し、学校現場が生き生きとなり、夢・目標を持った輝く教育現場にしていくためにも、力強い答弁を宜しくお願いします。