議会の動き

石井秀武議員が質問(予算審査・農政環境部)を実施

予算特別委員会質問(農政環境部)

平成25年3月11日(月)

農業を営むことは、並大抵のことでは出来ないと思いますが、そこに生きがいや魅力を感じて、これから新たに就農していく人に対して県として何ができるかという視点から質問させていただきます。

1 園芸特産物の新品種の育成について

最初の質問は、園芸特産物の新品種の育成についてです。

近年では、産地間競争が激化し、その競争に打ち勝っていくために、いかにして魅力ある作物や品種を導入するかが大きな課題であるとともに、大消費地の近郊という本県のポテンシャルを生かすためにも、他府県の産地に対抗し得る品種の開発が必要であるとの思いから、平成22年の9月定例会に引き続き質問させていただきます。

その際にも例示しましたが、「いちご」に関しては、多くの新規就農者が栽培を希望されているようです。また、農林水産技術総合センターにおいても「兵庫県におけるイチゴ高設栽培への培地気化冷却法」など、新しい栽培技術の普及に積極的に取り組んでいただいており、大変ありがたく感謝しています。

現在、兵庫県独自の新品種の開発に向けて、県内のいちご農家で実証栽培に取り組んでいただいており、いよいよ兵庫県育成のいちごが市場に出される日が近づいているのではないかと期待しています。

そこで、園芸特産物については、消費者ニーズの多様化やその移り変わりの早さ、さらには産地間競争も激化するなど、本県の園芸特産物市場をめぐる環境は厳しい状況に置かれていますが、市場における地位の維持・拡大を図っていくには、引き続き、新品種を積極的に育成・選定していく必要がありますが、現在の取組状況について、お伺いします。

2 野菜ICT産地モデル事業について

(1)事業目的について

次に、野菜ICT産地モデル事業について、お伺いします。

野菜ICT産地モデル事業は、大消費地に隣接する立地条件を生かして、高付加価値型の野菜生産を展開していくため、来年度の農政環境部の目玉事業であるチャレンジ事業として計画されています。

先ほどの質問でも触れましたが、産地間競争に打ち勝つためには、魅力ある作物やオリジナル品種を積極的に市場へ提供していく必要があります。その一方で、既に栽培方法が確立された作物や品種については、生産力の強化に加えて、多様化する消費者のニーズに応じて適時・適量・適質の野菜を安定的に供給できるよう、組織体制を強化していくことが、産地間競争に打ち勝っていく上でも重要な点であります。

そこで、今回、情報通信技術ICTである携帯端末とクラウドを活用した兵庫県版システムを構築・普及し、ICTを活用した野菜生産産地の育成をするとのことですが、その狙いについて、お伺いします。

また、今回、農政環境部のチャレンジ事業とされたわけでありますが、この事業における‘チャレンジ’の意義についても併せてお伺いします。

(2)品目の選定理由等について

次に、品目の選定についてお伺いします。

来年度は、私の地元神戸市西区をモデル産地候補として、キャベツ栽培で取組む方向で検討していると聞いています。キャベツは、加工・業務用、家庭用ともに需要の大きい野菜の一つでもあり、県下では、玉ねぎ、レタスに次ぐ出荷量では第3位となっています。

素人考えで申し訳ありませんが、ハウス栽培の軟弱野菜なら、天候に大きく左右されることなく、計画的に実証することができると思いますが、露地野菜であるキャベツを選定しようとする理由についてお伺いします。

また、今後、他品目への展開していくのか、今後の見通しについても併せてお伺いします。

3 新規就農者の育成・確保対策について

(1)新規就農者の育成状況について

次に、新規就農者の育成状況についてお伺いします。

高齢化による農業従事者の減少が急速に進む一方で、新規就農者の育成が追いついておらず、県では、今年度より新規就農者の育成目標を従来の200人から300人に引き上げました。

従来の県・地域の就農支援センターを中心とした取組に加え、「青年就農給付金の給付事業」、「JAや企業等による研修農場の設置を支援する事業」、新規参入者等の立ち上がりを支援するため、地域の指導的農業者に「後見人的応援活動を委託する事業」などに取組まれています。

そこで、これまでの60歳未満の新規就農者の農業経営の状況について、①就農者数、②定着率、③就農場所、④就農後の経営作目などを中心にお聞かせ願います。

また、これまでの新規就農に関する施策の成果・効果について、どのように評価しているのか、併せてお聞かせ願います。

(2)今後の新規就農者の育成について

新規就農者の増加要因として、青年就農給付金の魅力による就農喚起、農の雇用事業の拡大による雇用就農の大幅増、就農スタートアップ支援事業による就農への踏み切り易さの向上などが挙げられるところですが、昨年2月の代表質問でも触れましたとおり、前政権下で画期的に実施されるようになった青年就農給付金によるところがやはり大きいのではないかと思っています。

しかしながら、冒頭のコメントでも触れましたように、農業を営むことは、並大抵のことでは出来るものではありませんので、審査が甘いと安易な考えや準備不足の就農者が増えて、制度の主旨を達成することができず、失敗を助長することにもなりかねません。新規就農者に対しては、事業経営者としの自覚と決意を促すよう、青年就農給付金の制度運用については、厳格に行っていただきたいところです。

先日、自民党の原テツアキ議員が一般質問で、青年就農給付金(経営開始型)の支給要件である「人・農地プラン」の課題と対策について質問されました。ご答弁では、今年度中に127プランが策定される見込みで、来年度にかけて集中的にプランの策定に取り組むことでしたので、是非とも、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、地域が抱える「人と農地の問題」の解決に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

少し、長い前置きとなりましたが、先ほどのご答弁にもありましたように、どうしても新規就農者が都市近郊に偏り、地域偏在が生じてしまいます。

そこで、今後は、この制度がある程度定着してくると、県下で発生している耕作放棄地や遊休農地対策をはじめ、本県農業の充実・強化ひいては再構築の面でも、ただ単に新規就農者を育成するのではなく、必要なところに必要な人材を育成していくといった観点で、政策的・戦略的に新規就農者を育成していくことも必要ではないかと考えますがご所見をお伺いします。また、県として、新規就農者の地域偏在について、そもそもどのように認識されておられるのか、併せてご所見をお伺いします。