議会の動き

前田 ともき議員が質問(決算審査・財政状況)を実施

平成24年度決算特別委員会質問要旨(財政状況)

質 問 日:平成25年10月8日(火)

質 問 者:前田 ともき委員

1 財政フレームの中間実績について

平成24年度決算で財政フレームの前半5年が終わったことになる。

ストック部分については、単年度決算を見ても、計画と実績のかい離が比較的わかりやすいが、フローの累計金額による計画と実績のかい離については、なかなか分かりにくい。前半5年間の累計額を見ることで、単年度の特殊要因に左右されない、これまでの努力の成果が表れるのだと思う。

また、財政フレームは全体感を把握する上では非常に重要である一方で、数値を何とか調整するやり方もいろいろと議論があったところ。

19年度の決算委員会でも議論があったように、600億円以上の歳入欠陥が法人関係税収の減少と地方債発行抑制によってもたらされ、年度後半の一部事業中止などの混乱が起こった。県税の多くは景気に大きく左右される。

日銀神戸支店の調査によると、バブル崩壊後の失われた20年で兵庫県経済の平均経済成長率は0.1%と全国平均(0.68%)を下回り全国45位とあったが、よく見ると、前半の震災影響に伴うもので大きく全国平均を下回り、直近では全国平均よりちょっと上ということでホットした。

やはり、財政フレームの中でも影響力の大きい、重要な指標である中間進捗というものをここで一度確認しておく必要がある。

そこで、以下3点について伺いたい。

(1)歳入の計画と実績について

県税収入について、財政フレーム開始の平成20年度から24年度決算までの5年間の累計ベースによる当初計画額と実績額について伺いたい。

(答弁①)

(2)歳出の計画と実績について

次に、扶助費等の社会保障関係費について、財政フレーム開始の平成20年度から24年度決算までの5年間の累計ベースによる当初計画額と実績額について伺いたい。

また、人件費の状況についても同様に当初計画額と実績額について伺いたい。

(答弁②)

(3)アベノミクスの財政フレームへの影響について

名目成長率3%、インフレ2%を達成した場合の財政フレームへの影響について、県債残高の多い本県においては、インフレ転換による金利上昇も大きく影響すると思うが、この点について当局の所見を伺いたい。

(答弁③)

2 人口減少による長期財政への影響と収支の見通し

昨年の本会議一般質問で、人口減少社会への対応として、インフラを「使う」から「捨てる」も視野に入れ、広範囲に広がった人口分布の在り方を、インフラや生活の質の維持コストから考え直し、縮小都市への転換を提言した。

人口減少はインフラ以外にも大きな影響を及ぼす分野がある。それは納税者の絶対数が減少することによる税収減、一方で人口減少と連動しては減らない固定費的な社会保障費やインフラ・箱もの維持費、そこで懸念されるのが数十年後といった人口減少が現実化したときの、本県の長期財政への影響である。

平成17年3月に県が発表した「人口減少社会の展望研究報告書」によると、62年までに本県の人口は12年に比べて約100万人減少すると予想されているが、人口減少と共に税収も右肩下がりになるという危機感を抱いている。

24年度における本県の税収は、個人県民税が2,115億円、地方消費税が1,016億円、自動車税が630億円で、この3税は人口減少と一定の相関関係といえるだろう。

また、市町村税については、総務省の「平成25年版地方財政の状況」によると、市町村民税の個人分32.8%、固定資産税44.0%という構成になっており、人口が減少する、地価も下がり、住宅も下がる、となると短期的には地価が上昇しているところもあるが、数十年という長期の時間軸でみると、個人住民税や固定資産税もやはり人口減少の影響を免れない。

 30年度までの財政フレームは、内閣府が公表している名目経済成長率の見込みをベースに県税等を見込んでいる。安倍内閣は名目成長率3%を掲げており、私自身もそうなったらいいなと強く思う。

行財政構造改革調査特別委員会の我が会派での意見表明では、財政フレームにおいて31年度以降も一定年度表示すべきと提言した。

そこで、人口減少による税収見込みという点について、平成62年には本県の人口は、100万人減少すると予想されているが、その人口減少に起因する県税収入全体の減少額がどの程度であると予想しているのか伺いたい。

また、大きく影響の受ける税目とその減少額はどれくらいであると予想しているのか伺いたい。

あわせて、高齢化により平成31年度以降も増加が見込まれる本県の社会保障費について、どのように考えるのか伺いたい。

(答弁④)

3 未利用容積(空中権)の活用による歳入確保について

従来から予算・決算委員会において、県有地の活用や未利用地の売却が議論されてきた。

新行革プランにおいても、低利用・未利用財産等の処分(売却・交換・貸付等)計画の推進や県有施設の有効活用、利活用などが図られている。

今回は、私は未利用地だけでなく、未利用容積の売却についてお伺いしたい。

平成24年に東京駅がグランドオープンし、丸の内近辺も大規模な再開発がなされている。その再開発を促進しているのが、特例容積率適用地区制度であり、東京駅が駅舎復元費500億円のうち300億円を同制度で調達された。東京駅が同制度、唯一の事例でもある。

容積率の移転制度は、隣接地間での移転を可能とする一団地の総合的設計制度、計画の一体性を要する容積適正配分型地区計画や特定街区などが存在し、様々な場面で活用がなされている。しかし、特例容積率適用地区制度は、従来制度とは異なる、より自由度の高い、より合理的な制度だ。また、首都高の建設費の調達方法としても、特例容積率適用地区制度と他の制度を組み合わせて資金調達する案も浮上している。

 私の確認したところでは、兵庫県や県警本部で保有している土地価格は約300億円から400億円はあると踏んでいる。神戸市が保有する土地も含めるとかなりの金額になりそうだ。当然、これらは未利用地ではなく、既存の建物が建っているので土地そのものは売却できない。しかし、例えば、過去に、県公館の未利用容積を県警本部建て替え時に適用した事例もあり、そのほかにも、容積率をフルに使える未利用地があるのではないか。他にも、従来は容積率をフルに活用していたが、都市計画の変更によって容積率が上昇した結果、未利用容積が増えたところもあると考えられる。

これまでの未利用地の駐車場等への転用といった平面的な活用から一歩踏み込んで、未利用となっている容積率いわゆる空中権部分を行政財産から一般財産に変更した上で賃貸や売却することで、新たな歳入確保が期待できるのではないか。

そこで、厳しい財政状況の下、既存の総合的設計制度や新しい特例容積率適用地区制度も活用することで歳入確保が図られると考えるが、当局の考えを伺いたい。

(答弁⑤)

4 宿泊税の創設について

私は、これまでに観光を産業のこれからの一つの柱と考え、カジノ・コンテンツ・クルーズ・メディカル・スポーツなど多くの観光施策を提言し、概ね提言したいことは網羅した。あとは食くらいか。

我が国では、本年6月に閣議決定された日本再興戦略において、訪日外国人旅行者数を平成42年には本年の3倍の3,000万人を目標とするなど、観光産業の振興は更にその重要性が増しつつあり、このたび決定した32年の東京オリンピック開催に向け今後の展開が期待される。本会議でも、我が会派の石井健一郎議員からこれからの本県の産業構造、従来のモノづくり1本からの脱却について質疑があった。

しかし、足りないものがある。それは財源だ。観光広報を中心とする諸外国の政府観光局の予算案でも、韓国293億円、マレーシア132億円であるのに対して、日本は31億円と大幅に財源と広報が不足している。

本県の24年度の観光関連の決算を見てみても極めて少ない。ファムトリップで50万円とか。桁が1つ違うのではないか。フィルムコミッション向け200万円でいったい何ができるのか。最近ではチンタオで中国版ハリウッド創るぞってことで8,000億円の投資。現状の予算規模では、ヨーロッパやアメリカはおろかアジアでも勝てるわけがない。

平成18年1月に財団法人日本交通公社が発表した「自主研究レポート2006」によると、4泊5日の国際旅行を標準モデルとした支払税額(宿泊、レンタカー、飲食、航空に関する税総額)は、世界主要52都市の平均は14.0%で、1位はコペンハーゲンの24.3%、一方、東京は6.3%と52都市の中で6番目に低く、このことは、ニューヨーク州のホテル税が約6%と、ホテル税だけで年間約5億ドルの税収があり十分な財源が確保できているのに対し、本県の観光ツーリズム関連予算は約2億円しかないことからみても明らかである。

税収確保の機会損失、更に観光振興の財源不足の原因ともいえる状況と考える。

観光振興のための財源確保として法定外目的税、レンタカー税やレストラン税など諸外国で導入事例は各種あるが、県民の負担感や徴収効率の妥当性から、いわゆるホテル税の導入を提案したい。

そこで、観光産業の振興を図るためにも自主財源の確保は重要であり、地域の理解を得ることのできる観光施策を考えることも含めて宿泊税を創設すべきと考えるが、この点について当局の所見を伺いたい。また、例えば、一律1泊100円として宿泊税を導入した場合の本県の税収について伺いたい。

(答弁⑥)

5 ふるさと納税の抜本的改革

増収策については、新しい制度を提言した。

今回は既存のふるさと納税制度、従来からその強化に関する提言は委員会等でなされている。

ふるさと納税の意義は素晴らしい。井戸知事もふるさと兵庫を県政推進6つの約束の1つとして掲げ、4期目再選を果たした。意義は素晴らしい、税制上も非常に有利だ。しかし、うまくいっていない。

制度の創設から5年。今年9月に総務省が行った「ふるさと納税に関する調査」では、都道府県と市町村を加えた寄付金総額は、初年度の77億円から毎年微増を続け、平成23年度は震災の影響で138億円と大幅に増加したが、翌年度は96億円までに落ち込んだ。

そこで、以下4点について伺いたい。

(1)ふるさと納税のこれまでと改善について

「ふるさとひょうご寄附金」について、過去5年の寄附金の推移、「ふるさとひょうご応援サイト」の過去5年のページビューの推移とこれまでふるさと納税制度について、どのような改善がされてきたのか伺いたい。

(答弁⑦)

(2)クラウドファンディングの活用について

まず、資金調達の仕組みを抜本的に改善しなければならない。ふるさとひょうご応援サイトや啓発リーフレットでは、全国に散らばる兵庫県民や趣旨に賛同する人々にリーチできない。コストも高額になる。そこで、クラウドファンディングを提言したい。

 これは、インターネットを通じて、個人やNPO、ベンチャー企業が個人投資家から小口の資金を調達するもので、世界の資金調達金額は、平成21年、5億ドルから23年、51億ドルと5年で10倍の急成長を遂げている。本年6月に閣議決定された日本再興戦略においても、資金調達の多様化でクラウドファンディングが記載され、法整備に向けて議論が始まっている。

 この仕組みは行政の寄付募集と一番親和性が高いと考える。1個人・1NPO・1企業ではどうしても詐欺リスクがある。これまで、証券取引法で個人向けに広く企業の資金調達を制限してきた理由でもある。しかし、行政ではどうか?その詐欺リスクは低く、個人も安心して寄付ができる。

そこで、ふるさと納税にクラウドファンディングを主軸とするべきと考えるが、当局の考えについて伺いたい。

(答弁⑧)

(3)個別プロジェクトごとの寄附について

本県のふるさと納税は現在、寄付者に対して寄付金額の使途を特段に限定せずに募集している。これでは、絶対集まらない。ふるさと意識を持つ人は兵庫県へではなく、自分の生まれ育った市町村に寄付をするだろう。そこで、大事なのは県が行う意義あるプロジェクトに賛同してもらう人に訴えること。兵庫県はピッコロ劇団1.8億円など多様な意義ある事業を実施しているが、厳しい財政においては継続断念となる可能性もある。名古屋市営東山動物園ではクラウドファンディングでコアラ保存の資金調達を行い、1週間で目標の3倍300万円、最終的には約470万円を調達した。

ふるさと意識だけに訴えるのではなく、「兵庫県の鳥コウノトリを守ろう」や「鎮魂の思いをつないでいこうルミナリエ」とか各プロジェクトの趣旨・意義に賛同する人々を全国から集めるよう、事業ごとにふるさと納税の寄付先を選定できるように変更すべきと考えるが、当局の所見を伺いたい。

(答弁⑨)

(4)各部局の自主財源として

 財政の自由度が狭まる中で、新規事業や意欲的な事業を実行することがなかなか難しい現状にある。職員の皆さんのモチベーションは給与削減や超過労働によってのみ下がるのではなく、県民のため、政策実現を行いたい。しかし、予算がなく、仕事はルーティング中心。というところにもモチベーション低下が出てくるように思う。

予算節約インセンティブ制度がある。長く続く行革で金額的にはほぼ機能していない状況だと思うが、各部局の既存事業をふるさと納税の対象にして、寄付金額の何割、つまり資金調達分の何割かは、新規事業の予算として認めるといったインセンティブ制度は考えられないか、この点について、当局の考えを伺いたい。

(答弁⑩)