議会の動き

決算特別委員会 13年09月定例会

副委員長 黒田 一美議員(神戸市垂水区)

理事 大塚 たかひろ議員(神戸市須磨区)

委員 石井 秀武議員(神戸市西区)

委員 山本 千恵議員(伊丹市)

委員 前田 ともき議員(神戸市東灘区)

黒田 一美議員

企画県民部① | 農政環境部 | 教育委員会

大塚 たかひろ議員

企画県民部① | 産業労働部 | 県土整備部 | 総括審査

石井 秀武議員

財政状況 | 企画県民部② | 健康福祉部 | 県土整備部 | 企業庁

山本 千恵議員

企画県民部② | 健康福祉部 | 公安委員会 | 農政環境部 | 病院局

前田 ともき議員

財政状況 | 産業労働部 | 公安委員会 | 教育委員会 | 病院局

黒田 一美議員

● 企画県民部①

1 「参画と協働」の基本認識について

2 参画と協働による県行政の推進について

(1)県民の県行政への参画の状況について

(2)全庁的な政策調整への「参画と協働」の理念の反映について

全文

決算特別委員会  [ 10月9日(水)企画県民部①・黒田副委員長 ]

1 「参画と協働」の基本認識について

はじめに、「参画と協働」の基本認識についてお伺いします。

18年前の阪神・淡路大震災は、日本で初めての近代的な大都市における直下型地震であり、大きな破壊力をもって、甚大な人的被害と家屋の倒壊・焼失、都市基盤の損壊、さらには商業・業務機能の停滞といった様々な被害を引き起こしました。

兵庫県の呼びかけで、被災者の一人ひとりの生活再建を支援していくことを目的に、行政や学識経験者のみでなく、ボランティア、住まい・まちづくり、生活、保健・医療、文化、心のケア等、現場の専門の方々と共に行政と被災者の間に立つ中間的組織として「被災者復興支援会議」を震災から半年を経過した平成7年7月17日に立ち上げました。

被災者復興支援会議は、平成10年度末まで設置されましたが、その間、メンバーにより、「移動いどばた会議」と称し、143回に亘って広い被災地を訪問し、各地で被災者、支援者、市民、県民との直接の対話を通じて生活実態の把握や意見・要望の聴取を行い、その情報をもとに、行政の意見も訊きながら、対応する施策を練り上げていったという経過であります。

この被災者復興支援会議の経過により、「参画と協働」の理念が生まれ、平成14年に制定された「県民の参画と協働の推進に関する条例」における基本理念として反映されたものと私なりに理解しています。条例は施行から10年が経過し、この基本理念も確実に定着してきているのではないかと感じています。

また、現在では、条例に規定する「地域づくり活動支援指針」と「県行政参画・協働推進計画」は相互に密接に関連することから、一体的な推進方策である「参画と協働の推進方策」により、「参画と協働」を進められています。

そこで、はじめに県当局として「参画と協働」の意義について、どのように考えているのか、その基本認識について改めてお伺いします。

(答弁 ①)

2 参画と協働による県行政の推進について

次に、参画と協働による県行政の推進についてお伺いします。(先ほどのご答弁にもありましたが、)参画協働条例でも謳われていますように、参画と協働には、①地域社会の共同利益の実現への参画と協働としての「県民と県民のパートナーシップ」、②県行政への参画と協働としての「県民と県行政のパートナーシップ」の2つの場面があるとされているところですが、本日は、県行政への参画と協働に対象を絞って、以下、2点についてお伺いします。

(1)県民の県行政への参画の状況について

はじめに、県民の県行政への参画の状況についてお伺いします。

県民の県行政への参画について、県行政参画・協働推進計画は、①「県民と情報を共有する」こと、②「県民と知恵を出し合う」こと、③「県民と力を合わせる」ことの3本柱で構成されています。

私は、このうち、2つめの「県民と知恵出し合う」ことを充実させ、県民の意見をより広く反映させていくことが特に重要であると考えています。

具体の手段としては、①県民の提案について、提出機会を確保するとともに、具体の施策の形成や事業展開に繋げていくこと②審議会などへの参加を通じて、県民の参画機会を確保していくことであります。

参画と協働により県民意見を広く反映させていくことは、県民の負託に的確に応えながら県政を進めていくにあたっての根幹でありますが、現実に、政策立案・事業展開をしていくにあたっては、県行政への県民の参画と協働の活用方法についても担当課の判断に委ねられる部分が大きい側面があります。

従いまして、各部局において参画と協働の基本理念を踏まえ、適切に取組んでいく事が求められるところであります。

そこで、県民の県行政への参画について、どのような形で「参画と協働」が推進されているのか、その課題や今後の方針とともにお伺いします。

また、参画と協働の基本理念を庁内各部局にどのように浸透させているのかについても併せてお伺いします。

(答弁 ②)

(2) 全庁的な政策調整への「参画と協働」の理念の反映について

最後に、全庁的な政策調整への「参画と協働」の理念の反映について簡単にお伺いします。

政策立案や事業実施にあたって「参画と協働」のプロセスを踏まえることは、それによりコストが著しく増大する場合などを除いて、複雑・高度化する県民ニーズに応え、質の高い行政サービスを提供していくうえで、欠かせないものであると思っています。

参画協働条例や県行政への県民の参画と協働の推進については、現在、県民生活課で所管しておられることについては、理解しています。しかしながら、県行政全体の政策の企画及び立案においては、「参画と協働」の趣旨を踏まえながら県民意見を反映させていく必要があり、そのためには、全庁横断的な取り組みが求められるのではないかと考えます。

そこで、重要施策の総合調整など、全庁的なの政策を企画及び立案いていくにあたり、「参画と協働」の理念をどのように反映させているのか、お伺いします。

(答弁 ③)

●農政環境部

1 水産物の消費拡大に向けた取り組みについて

2 漁業の魅力発信について

3 特定外来生物による被害対策について

(1)被害状況及び捕獲体制について

(2)都市部における対策の充実・強化について

全文

決算特別委員会  [ 10月15日(月)農政環境部・黒田副委員長 ]

1 水産物の消費拡大に向けた取り組みについて

はじめに、水産物の消費拡大に向けた取り組み、お伺いします。

水産王国である我が国において、「魚離れ」が続いています。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、1人が1日に食べる魚介類の量はこれまでほぼ減少の一途をたどり、平成18年以降は肉類の消費が魚介類の消費を上回る傾向が続いています。魚離れは、若者だけでなく、50歳以上の中高年でもその傾向が見られます。

魚離れの原因としては、食生活の変化と家族形態の変化の2点が指摘されています。食生活の変化による原因としては、調理を簡易にする電子レンジなどの調理家電の普及やレトルト食品、ファーストフードやコンビニエンスストアの登場により食生活の簡易化や欧米化したことなどが指摘されています。一方、家族形態による変化につきましては、核家族化に伴い、①どうしても子ども中心のメニューとなることや、②魚料理は調理が面倒な場合も多く、親から調理について教わる機会がなくなったこと、③さらには、都市集中型の生活では、収集の日まで生ゴミを家屋の中に置いておかなければならず、特に可食部が少ない魚種の廃棄があること。さらには、④家族が食事する時間がバラバラで家庭内において個食化の傾向が進んでいることなどが、家族形態の変化に伴う原因として指摘されているところです。

水産庁の試算では、平成34年には、平成22年に比べて、魚介類の消費量が更に2割程度減ることが見込まれることから、国では、消費者を水産物及びその加工品に向けていくため、2012年8月から「魚の国のしあわせ」プロジェクトを開始しています。

このまま試算どおり魚介類の消費量が減り、肉食へ転換していくと、動脈硬化など生活習慣病の増大を招くことも懸念されます。現在では、多くの消費者は、魚をスーパーマーケットで購入するようになり、従来は、魚屋さんが担っていた美味しい食べ方や旬や味など魚の魅力を消費者へ伝達する力が失われており、今まで以上に漁業や水産物に親しみをもってもらう視点が必要ではないかと感じています。

また、消費者を水産物等に向けていくだけではなく、水産物を消費者に向けていくことも必要であります。

そこで、水産物の消費拡大に向けた対策を食に関わる関係者とともに進めていく必要がありますが、これまでの取組み状況について、魚離れの現状認識と併せてお伺いします。

(答弁 ①)

2 漁業の魅力発信について

次に、魚離れを防ぐ意味で、漁業の魅力発信について、お伺いします。

漁業は、朝は早くから働き、仕事場は揺れる船上であるうえ、港に帰っても魚の水揚げや梱包など、翌日の漁に備え準備をしなければならず、誰の目からもきつい仕事であり、漁村で生まれ育った方以外は、漁業という仕事と接することはほとんどないのではないかと思います。

しかしながら、その一方で漁業者しか味わうことのできない魅力もあります。私の友人である垂水の漁業者からは、「10年程前までは、沖に出るとスナメリが数頭、船と一緒になって泳ぎ、獲れた魚を投げてやると嬉しそうに飛びついていましたが、最近になってまたこの光景が見られるようになってきた」という話を聞きました。

また、垂水の塩屋漁港では若手漁業者が毎年5月には「大漁市」と称して、獲ったばかりの魚をそのまま販売しています。そこには、「タモリ」という、薄茶色の縦縞の魚が売っていました。自宅で食べましたが、煮ても焼いてもとても美味しくいただける魚でした。この「大漁市」では、市場に卸すほどの量が獲れない魚も安価で販売し、普段ありつけない魚を買うことができるので、大人気です。前獲れで、鮮度が高く、多種多様な魚があるという本県のさかなの特徴を活かしたイベントであります。

このように、漁業には自然と一緒になって働くことのできる魅力や多様な食を提供できる魅力があります。

そこで、漁業への理解をより深め、兵庫の魚や漁業に親しんでもらえるように、漁業や水産物の魅力をもっと発信していくべきと考えますが、これまでの取組みについて、今後の取組みと併せてお伺いします。

(答弁 ②)

3 特定外来生物による被害対策について

最後に、特定外来生物なかでもアライグマによる被害対策についてお伺いします。

特定外来生物の中でも、雑食で繁殖力が強いアライグマによる被害が近年特に増加し、農業被害が深刻になっています。また、最近では農村部だけではなく、市街地でも多く確認されており、私の地元神戸市垂水区でも、海に近いJR垂水駅や垂水区役所の近くでも捕獲され、昨年度は38頭が捕獲されており、神戸市内では917頭も捕獲されているとのことです。

アライグマが引き起こす問題としては、農業被害のほか、住宅等の建物への侵入による汚損被害も報告されているほか、生態系への影響などがあります。

(1)被害状況及び捕獲体制について

そこで、まずは特定外来生物のなかでもアライグマによる被害の状況について、県内の捕獲体制と併せてお伺いします。

また、捕獲から処分までは、わなの運搬・設置・回収・捕獲した個体の処分が一連のプロセスになるかと思いますが、1頭あたりに要する経費についても併せてお伺いします。

(答弁 ③)

(2)都市部における対策の充実・強化について

最後に、都市部における対策の充実・強化についてお伺いします。

アライグマは野生動物であることから、その捕獲は鳥獣保護法で禁止されています。また、アライグマ回虫、狂犬病、レプトスピラ症などの人畜共通のキャリア動物で、人が近づくと興奮して咬みついたり引っ掻くなどの攻撃をすることがあることから、都市部において出没した場合、アライグマに対する知識のない方が不用意に触れると怪我するだけではなく感染症や寄生虫に感染する危険性があります。

そこで、都市部においてアライグマが出没した場合は、家屋侵入による生活環境への悪影響や感染症等への感染リスクなどがより高くなると思われますので、都市部でのアライグマへの対策を充実・強化させていくべきと考えますがご所見をお伺いします。

(答弁 ④)

●教育委員会

1 人権教育資料の活用について

(1)人権教育資料の改訂の必要性について

(2)人権教育資料の有効活用について

2 小中学校における加配教員の確保について

(1)加配教員の現状について

(2)教育現場の実情を踏まえた加配教員の確保について

全文

決算特別委員会  [ 10月17日(水)教育委員会・黒田副委員長 ]

1 人権教育資料の活用について

(1)人権教育資料の改訂の必要性について

はじめに、人権教育資料の活用について、2点お伺いします。

1点目に人権教育資料の改訂の必要性についてお伺いします。

人権は、人権教育・啓発に関する基本計画 において、「人間の尊厳に基づいて各人が持っている固有の権利であり、社会を構成する全ての人々が個人としての生存と自由を確保し、社会において幸福な生活を営むために欠かすことのできない権利」とされています。

また、今日の人権教育の基礎にもなっています平成12年に策定された「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」では、人権教育を「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」と定義されています。

また、人権の尊重については、本県の教育の特色として、ひょうご教育創造プランにも記載されており、人権が守られる「ふるさと兵庫づくり」のためには、人権教育の充実が欠かせないものとなっています。

人権教育には、人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に理解させていくとともに、人権が持つ価値や重要性を直感的に感受し、それを共感的に受けとめるような感性や感覚、すなわち人権感覚を育成することが併せて必要とされています。

人権教育の充実・深化を図るため、幼稚園・小学校低学年・中学年・高学年・中学生・高校生の区分により発達段階に応じた人権教育資料を平成11年度以降順次、作成・活用されています。

作成から概ね10年が経過した平成22年度以降、再度人権教育資料を順次改訂され、今年度までに改訂が完了するとお伺いしていますが、時間の経過に伴い、従前の資料について、どのような課題が生じていたのか、改訂の必要性についてはじめにお伺いします。

(答弁 ①)

(2)人権教育資料の有効活用について

次に、人権教育資料の有効活用について、お伺いします。

私も、小学生用の「ほほえみ」3種類、改訂前ではありますが、中学生用の「きらめき」、高校生用の「HUMAN RIGHTS」を読ませていただきました。いのちの大切さや多文化共生、夜間中学校識字学級等について具体に紹介されています。

また、「世界人権宣言」や日本最初の人権宣言ともいわれる「水平社宣言」のほか、法の下の平等を定めた「日本国憲法第14条」、日本政府が「部落問題の解決を国策として取り組む国民的課題である」ことを初めて確認した「同和対策審議会答申」、さらには、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」や県教育委員会が平成10年に定めた「人権教育基本方針」など、一見難しいと思われる人権擁護の課題や理念等について、成長段階に合わせて分かりやすく作成され、一方的に読むだけではなく、話し合いながら考えさせる、参加型の内容になっています。

また、多文化共生の課題や阪神・淡路大震災を体験したうえでの人権といのちの大切さなど兵庫らしい人権課題やインターネットメールによる人権侵害などの時代に応じた人権課題についても、的確に取りあげられており、よく考えて作られていると感心しました。

しかしながら、(先ほどの答弁にも資料の活用が課題であるとのことでありましたが、)これら人権教育資料がいかにすばらしいものであっても、きちんと活用されなければ意味がありません。

そこで、子どもたちの心に、人権感覚を芽生えさせ、人権意識の向上につなげていくことをめざし、改訂した人権教育資料の有効活用に向けて今後どのように取組んでいくのか、人権教育に充てる時間の確保とともに、お伺いします。

(答弁 ②)

2 小中学校における加配教員の確保について

(1)加配教員の現状について

次に、小中学校における加配教員の確保について、2点お伺いします。

小中学校の教職員数については、いわゆる義務標準法に基づき、学級数や児童生徒数に連動した基礎定数に加え、特に個別の課題に対応する加配定数があります。

近年、児童生徒の状況や保護者や社会からの要請が多様化・高度化するとともに、学習指導要領の改訂による授業時間数の増加に伴い、放課後の時間が少なくなるなど、教職員の時間的・精神的負担が増大していることについては、既に各方面から指摘されているところであります。

加えて、最近では、不登校や問題行動をはじめ様々な教育上の課題を抱える生徒が増加しています。

このような課題に対応していくには、教員定数の中でも、特にこの加配教員の配置が、重要になってくるところです。各学校で加配教員が1人いることにより、生徒へのかかわりや学校運営において大きな違いがあると伺っています。

そこで、加配教員の重要性について、どのように認識されているのか、お伺いします。

(答弁 ③)

(2)教育現場の実情を踏まえた加配教員の確保について

最後に、教育現場の実情を踏まえた加配教員の確保について、お伺いします。

現在、加配教員の定数は、文部科学省が財務省と毎年単年度で協議し、決定されることとなっています。

先ほどの質問でも述べましたように、各学校における加配教員の影響が大きいにもかかわらず、その数が毎年の予算編成の中で増減するのでは、学校現場が先々を見通しつつ、計画的に教育活動を行っていくことの支障となるおそれもあります。

小中学校の児童生徒数は、ある程度見込むことができることから、加配教員の確保並びにその配置についても、単に定数を増やすだけでなく、学校現場が計画性をもって取り組めるようにすることが必要であると考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁 ④)

黒田 一美議員
神戸市垂水区

大塚 たかひろ議員

●企画県民部①

1 横尾忠則現代美術館のあり方について

(1)個人の名を冠した美術館の運営について

(2)今後の美術館の運営方針について

(3)横尾美術館の利用促進について

2 高齢者の交通安全対策について

(1)高齢者の交通安全対策の成果について

(2)高齢者の事故を防ぐ交通安全対策のあり方について

全文

質問日:平成25年10月8日(金) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 横尾忠則現代美術館のあり方について

(1)個人の名を冠した美術館の運営について

昨年11月、神戸市灘区にある県立美術館王子分館の原田の森ギャラリー西館をリニューアルし、世界的美術家、横尾忠則氏から寄贈、寄託を受けた、世界最大の横尾作品コレクションと、膨大なアーカイブ資料を収蔵・展示する「横尾忠則現代美術館」がオープンした。

横尾氏は、ご存じのとおり、西脇市出身の美術家であり、県においては県立美術館の前身の県立近代美術館時代から、横尾忠則展を何度か開催してきた。そういった縁もあって、平成19年に横尾氏より約3万点に及ぶ作品のうち、主要なものを段階的にふるさとである兵庫県に寄贈したいと申し出があり、原田の森ギャラリー西館整備企画委員会の提言を受け、県立美術館王子分館に「横尾忠則現代美術館」の設置を決定した。

同館では、3千点に及ぶ横尾氏の貴重な作品の展示・保存をしている。また、来館者が身近に前衛美術に触れることができるよう、オープンスタジオでの公開制作やワークショップ、さらにはコンサートの開催など、子どもから大人まで幅広い世代を対象とした多彩なイベントが開催されていると伺っている。

美術館は、コレクションの形成とその公開を通して、多様な価値観や感性が存在することを広く分かちあい、学術・文化の発展、郷土意識の涵養、あるいは教育・学習の支援を主な役割としている。公立の美術館は設置目的、美術館の独自の役割や地域に対する使命を明らかにする必要があると考える。

横尾美術館の開館、運営にあたっては、24年度に2億25,129千円を新規事業として計上し、開館記念式典や作品展示準備等の初動経費、展覧会や作品の保存、イベント等の運営費などに充てている。

そこで、本美術館の開館・運営にあたってのコストに、県民の税金が使われている訳であるが、個人の冠をつけた美術館を自治体が運営することについて、県としてどのように捉えているのか伺う。

また、美術作品は保有した時点から、公開・非公開に関わらず経年劣化が始まり、その維持管理のためにコストが生じる。県民の美術館として、県民財産である作品を守る必要から、今後の維持管理費の見通しについてもお聞かせいただきたい。

(2)今後の美術館の運営方針について

横尾忠則氏は、世界的美術家とはいえ自治体が運営する美術館の名称に個人の名前をつけているのは珍しいのではないかと調べてみたところ、他府県においても同様に地元にゆかりのある芸術家個人の名前を冠にした公立の美術館があった。

例えば、神奈川県にある「川崎市岡本太郎美術館」。この美術館では、建物に自然を十分に取り入れた設計が施され、「体験型展示空間」をコンセプトに地域住民との協働によるイベントや、他の芸術家とのジョイント展示などの工夫によって、岡本氏の作品等を感動的に伝えている。また、香川県には、「県立東山魁夷せとうち美術館」があり、コンパクトながら目標入場者を毎年上回る動員数を達成するなど、大変魅力ある施設となっている。

美術館には教育的、郷土意識の涵養などの役割も兼ねている。横尾氏は兵庫県出身の画家で、少年時代に過ごした西脇時代の経験や就職してからの神戸時代等が、今も作品のモチーフとなり、繰り返し描かれている。横尾美術館を通して、横尾さんの芸術家となっていくストーリーや同じ兵庫出身の画家であるという意識を横尾作品を通して見せていくことも、公立美術館としては大事なことではないか。

もちろんご存命で、現在も精力的に作品を制作されている訳であるが、文化遺産ではなく、現在進行形で生きている文化を展示している。作品だけではなく、作品に付随する本人からのメッセージやストーリーなどを蓄積していける美術館だともいえる。これをもっと積極的に強みにしていけるのではないか。

今後の横尾忠則現代美術館の運営方針について伺う。

 (3)横尾美術館の利用促進について

横尾美術館では、来館者の利用促進のために、企画展の開催、来館者に実体験してもらうワークショップ、さらには、存命であられる横尾氏個人の多岐に渡る人的ネットワークを活用した講演会や音楽ライブを開催し、来館者が楽しむことができる工夫を行っている。

しかし、一度だけの来館ではなく、継続的に美術館に足を運んでもらう、いわゆる「リピーター」になってもらうには、それらに加え、やはり近隣の施設や地元との連携を図り、誘客を促進する仕掛けづくりが必要と考える。

まず、すぐ近くに市立の動物園があり、南に行くと徒歩圏内にはHAT神戸に県立美術館、「人と防災未来センター」といった県立施設がある。また、平成22年には、王子動物園から県立美術館までを「ミュージアムロード」と命名し、神戸市・地域商店街・住民が一体となって、イベント等を開催して、文化施設が集積する南北の地域を盛り上げている。

現在、県においては、横尾美術館と県立美術館との相互の割引チケットを発行したり、期間限定で無料バスを走らせたりしているが、今後、近隣の施設や観光資源とどのように連携させ、横尾美術館の利用促進につなげていくのか伺う。

2 高齢者の交通安全対策について

(1)高齢者の交通安全対策の成果について

近年の交通事故の状況を見ると、人身事故件数は顕著に減少傾向を示している。しかしその反面、高齢者が関係した交通事故の占める割合は年々増加している。昨年の県下の交通事故死者数は179人で、そのうち高齢者は48.6%を占めている。その特徴としては、歩行中、または自転車乗用中の事故が多く、約8割の67人の方が亡くなっており、さらにそのうち、自宅から500メートル以内の事故の発生が約7割の43人である。

県では、これまでから高齢者の交通事故の多い地域を「高齢者交通事故防止対策推進地域」に指定するなど、市町等と連携した取り組みを推進している。具体的な例を挙げると、24年度予算「交通安全シルバー元気アップ大作戦」において、同地域にお住まいの高齢者にわかりやすい事故防止アドバイスを掲載した「交通安全シルバー元気アップかわら版」の配布のほか、高齢者と接する機会の多い組織・団体等で活動する方を交通安全ワンポイント指導員として委嘱し、交通安全の呼びかけを強化するなど、地域密着型の啓発活動を展開している。さらには、警察・交通安全協会等とともに参加・体験・実践型の自転車教室を開催し、その受講者に自転車教習修了証を交付する自転車運転免許証等制度に取り組んでいる。

そこで、県として高齢者の事故防止に向けた交通安全対策の取り組みとその効果について伺う。

(2)高齢者の事故を防ぐ交通安全対策のあり方について

先ほどの答弁で取り組みを伺い、対策が一定の成果を上げていることは十分認識できた。

一方で、内閣府が発行した「平成25年度版 高齢社会白書」によると、我が国の総人口は昨年10月1日現在で1億2,752万人、うち65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,079万人。総人口に占める65歳以上人口の割合、いわゆる高齢化率は24.1%で前年度から0.8ポイントも増加した。現在、我が国は、世界に例のない速さで高齢化が進んでおり、どの国もこれまで経験したことのない超高齢社会を迎えている。これまでの「人生65年時代」から「人生90年時代」に突入しようとしているのがまさに今である。

したがって、今後、高齢者が増えるにつれ、高齢者に対して交通安全の啓蒙活動をし、今まで以上の効果を上げていくには、限界があると考える。それは、高齢者の特性を考えた時、やはり体力的な即時の判断力の低下がいなめないからである。そうであるならば、高齢者の交通事故を防ぐには、高齢者の特性を高齢者ではない若い世代に認識してもらう必要があると考える。

そこで、県として高齢者の交通事故を防ぐために、高齢者の特性を踏まえた若者向けの交通安全対策について伺う。

●産業労働部

1 企業立地支援制度のあり方について

(1)新事業・雇用創出型産業集積促進補助金について

① これまでの実績・効果と今後の見通しについて

② 今後の企業誘致の取組方針について

2 商店街の活性化について

(1)商店街活性化事業について

(2)支援策のあり方について

全文

質問日:平成25年10月11日(金) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 企業立地支援制度のあり方について

(1) 新事業・雇用創出型産業集積促進補助金について

県では、県内の優れた産業基盤及び地域特性を生かしつつ、県内において新たな経済的環境にふさわしい多様な産業が集積する拠点を形成することで、県内産業の活性化と新たな雇用の創出を図り、それによって県内産業の発展と地域経済の振興を図るため、平成14年に「産業の集積による経済及び雇用の活性化に関する条例」、いわゆる「産業集積条例」を施行し、条例に基づき、指定拠点地区に進出する企業に対して、雇用や設備投資等について支援を行う「新事業・雇用創出型産業集積促進補助金」制度を平成14年度から実施してきた。

同制度のメニューとしては、まず、雇用補助として一人あたり補助額30万円(但馬や丹波、淡路地域など促進地域は60万円)で、限度額3億円として補助を受けることができる。次に設備投資補助として、土地を除く投資額の3%以内の補助率(促進地域は10億円以下の部分が5%以内)、限度額は上限なしで補助を受けることができる。最後に、エネルギー対策設備補助は補助率2分の1で限度額が3億円で補助が受けられるというものである。

 ① これまでの実績・効果と今後の見通しについて

そこでまず、新事業・雇用創出型産業集積促進補助金について、これまでの実績及び効果と今後の見通しについて伺う。

 ②今後の企業誘致の取組方針について

一昨日、パナソニックは2013年度末をめどに、プラズマテレビ向けのパネルの生産を停止し、尼崎工場を売却する方針を固めたという報道がなされた。兵庫県では、同社に巨額の補助金を投入し、三工場を誘致したわけだが、報道内容が事実であるとすれば、他社との液晶の競争の中で、採算が悪化し、わずか8年ですべての工場が撤退することとなる。

これまでの企業誘致においては、地域経済発展のために企業誘致ありき、広大な敷地をとにかく活用すべき、他の自治体との競争の中で負けてはならない、ということが優先されてきたのではないか、という厳しい声もある。今後は今回のパナソニックの事例のように企業のリスク の動向を行政も日頃から注視・分析し、防止策を持ったうえで、誘致を進めていく必要があると考える。

そこで、今後の企業誘致の取組方針について伺う。

(2) 都市中心部の立地促進の方針について

県では、平成14年に「産業集積条例」を施行し、「新産業創造拠点地区」や「国際経済拠点地区」、「産業集積促進地区」など5つの拠点地区内において、新規成長事業を行う事業者に対して、助成等の支援措置を行っている。

これまで、県内の64地区における企業進出に対し、不動産取得税の不均一課税や新事業・雇用創出型産業集積促進補助金、拠点地区進出貸付等の支援措置が行われてきた。これらの取り組みによって、拠点地区に進出した企業は、平成24年11月末までに689社に上っている。

しかし、近年、大阪駅北側の「うめきた」再開発や、西宮市のアサヒビール工場の移転など、県内からの企業の流出・撤退などの影響が懸念される事案もあることから、それらへの対策として、今年度からは、さらに市街地の高度利用や工場跡地等の有効活用による産業集積を促進するため、産業集積条例を改正し、「都市再生高度業務地区」と「工場跡地等再生促進地区」の2つの拠点を追加し、法人事業税の軽減等により立地企業を支援するなど企業立地支援制度の充実・強化することとした。

そこでまず、産業集積の24年度の実績について伺う。また、今年度から施行する条例改正による、新たな2地区の追加によって、産業集積がどのように進むと見込んでおられるのか併せて伺う。

2 商店街の活性化について

兵庫県内の商店数は、昭和57年の75,383件をピークに減少傾向となり、平成24年には43,414件となった。全国的に見ても同様に、人口減少や消費者ニーズの多様化、大型店舗の進出、さらには後継者不足など商店街を取り巻く環境は厳しく、その結果、多くの商店街では来街者が減少し、空き店舗が増加、来街者がさらに減少、と負のスパイラルに歯止めがかからなくなっており、閉鎖によってシャッターを下ろした店舗等が目立ついわゆる「シャッター通り商店街」が増加している。

かつて商店街は、単に物を売るという機能だけではなく、地域の住民にとって交流の場であるなど、地域の公共財としての機能を有し、町のアイデンティティーという役割も兼ね備えていた。今、人口減少社会の中で進行する急速な高齢化社会などの社会情勢の変化に伴い、地域コミュニティの衰退がおこっている。

これからの商店街は、かつて有していた機能を生かし、介護や子育て施設、NPOの活動拠点づくり、郊外型小売店を利用できない買い物弱者のための買い物支援、さらには、全国一律の品ぞろえの大型小売店とは違い、地元の産品を取り扱うことなどによって地域経済の循環機能も果たすなど、地域の公共財としての役割を果たことでその存在意義を高めていってはどうだろうか。このような取り組みはひいては商店街の活性化につながり、今後、商店街を再構築していくべき時期が来ているのではないかと考える。

もちろん、商店街の活性化には、商工団体、地域住民、行政が一体となって取り組むことが必要であるのは言うまでもありません。

そこで、商店街の活性化に向け、県が取り組む2つの事業について伺う。

(1) 商店街活性化事業について

県においては、地域商業の再生・活性化に向けて、多彩なメニューにより小売商業を支援している。中でも、商店街の魅力をアップし、賑わいを創出するために県が支援を行う事業の一つに、「商店街活性化事業」がある。同事業は、商店街振興組合等が地域資源などを活用しながら実施するソフト事業である。

同事業には、商店街が地域と一体となって取り組むイベントに対して支援を行う「元気づくり事業」と、NPOや大学、専門学校、自治会など地域に根ざした団体や市町が連携して、先導的な複数の取り組みに対して支援する「先導的活性化事業」がある。

平成23年度の実績は、「元気づくり事業」は81件で補助額1,741万3千円、「先導的活性化事業」は4件で補助額693万1千円となっている。いずれにしても、使いやすい補助金、街づくりを包括的にとらえた総合的な支援のあり方が重要と考える。

そこで、商店街活性化事業の24年度の実績について、過去の実績との比較と、併せて、活用によってどのような効果がもたらされたのか事例を挙げてご説明いただきたい。

(2) 支援策のあり方について

県においては、商店街や周辺地域の賑わい、衰退の程度に応じて活性化の方向性を示すとともに、それらに応じてハード、ソフトの両面から支援することによって、商店街及びまちの再生を図っている。

しかしながら、アーケードや街路灯など共同施設の整備、賑わいづくりのためのイベントへの補助、新規出店にかかる事業費の一部補助などといった現状の支援だけでは、消費者ニーズや後継者不足問題など、現在の商店街を取り巻く趨勢に合わない場合もあり、商店街の抜本的な活性化には繋がっていかないと考える。

事業の補助金の枠、事業内容などがすでにあり、それに応募してきた商店街に対し支援していくという方法は、商店街にとっては、補助金も少額で使いにくいものとなっているだけでなく、一過性のものとなり、活性化していくというような継続的なものになっていかず有効な支援とならないのが現状である。

県としては、商店街の公益性、緊急度、重要度などを考慮して支援先を認定し、それらの商店街に対し、個別に案件を精査しどのような支援の仕方が適切なのかというような視点が必要なのではないか。

そこで、商店街の活性化のためには、商店街がそれぞれの地域において住民ニーズに見合うものになっていくべきであると考え、次の4つの取り組みを提案したい。

まず1点目は、商店街の空き店舗に福祉的、教育的なものを誘致することによって地域コミュニティを再生するなど、地域の公共財としての機能を強化し、まちづくりと一体となった取り組みを行うこと。2点目は、地元農産物や地場産品といった地域資源を活用するなど大型店との徹底した差別化を図ること。3点目は、公益の視点から、空き店舗や空き地となった商店街の建物・土地について、店舗融通システムを構築するなど、有効に活用する仕組みを検討すること。最後に4点目は、行政の支援の見直しなどによって、今後も商店街が存続し、継続していけるような販路拡大支援といったソフト面に対する支援を行っていくこと、である。

さらには、限られた予算の中で広く薄く支援するよりも、市町のモデルとなるような先導的な支援を集中的に行うことが効果的と思われる。補助率、補助限度額の引き上げも検討していくべきと考える。

そこで、これらの提案について県のご所見を伺う。

●県土整備部

1 公共交通について

(1)ひょうご公共交通10カ年計画について

(2)公共交通の維持・確保について

2 歩行者・自転車分離大作戦について

3 空港の利用促進について

(1)関西国際空港・大阪国際空港(伊丹空港)の利用促進について

(2)関西3空港一体運用に向けた神戸空港のあり方について

全文

質問日:平成25年10月16日(水) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 公共交通について

(1) ひょうご公共交通10カ年計画について

道路や上下水道といった社会基盤は、行政が計画に基づいて整備し、年々利便性が向上しているものの、大都市以外の地方の路線バスや鉄道、旅客船などの地域公共交通は、近年、自家用自動車の普及拡大等に伴って、利用者数が低迷しており、運行本数の減少による利便性の低下はもとより、運行地域からの撤退により、地域の衰退に拍車がかかることが危惧されている。

一方で、自家用自動車を運転しない子どもや高齢者等にとっては、地域公共交通の利便性が低下することは、自らの移動が制約されてしまうこととなり、さらには今後、社会の高齢化が急速に進展する中で、公共交通利用の需要が増え、生活交通確保の観点から、また、地域活性化、観光振興、環境問題への対応の観点からも、地域公共交通の維持・確保は非常に重要な課題となる。

市町や地域住民等が、この課題に取り組もうとした場合、そのまま適用できる訳ではないが、全国各地におけるさまざまな先進事例が非常に参考になると考える。

県においては、「地域でつくる今後の公共交通」をテーマに、それぞれの地域にとってふさわしい公共交通の実現に向けて、平成17年度に「ひょうご交通10カ年計画」を策定した。また、昨年度には同計画を見直して「ひょうご公共交通10カ年計画」を策定した。

そこで、今回の計画の見直しにあたって、地域公共交通についてはどのような課題認識を持たれ、どのように見直されたのか伺う。

(2) 公共交通の維持・確保について

平成19年、「社会経済情勢の変化に対応し、地域公共交通の活性化及び再生のための地域における主体的な取組及び創意工夫を総合的、一体的かつ効率的に推進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与することを目的」に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が制定された。そして、同法の第四条で、「都道府県は、市町村、公共交通事業者等その他の関係者が行う地域公共交通の活性化及び再生を推進するため、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。」と定められている。

県においては、「ひょうご交通10カ年計画」の基本戦略「既存鉄道の安全確保と輸送サービスの向上」「だれもが使いやすい公共交通のネットワークの形成」「徒歩と公共交通で健康に生きるライフスタイルの普及」に基づいて、鉄道やバスなど公共交通の維持・確保のため、神戸電鉄粟生線存続のための無利子貸付36億円やJR山陰本線・播但線の地上設備改善費用の一部負担約5億円、その他、路線バスの維持確保のための補助など、さまざまな事業に計画的に取り組まれている。

しかし、これが財政的に充足しているならば、より効果的な施策を実施することはさほど難しいことではないが、現に財政状況が厳しい中、多額の投資は困難と考える。また、社会経済情勢など公共交通を取り巻く環境が変化していく中にあっては、新しい計画に基づき、施策が最も効果的に実施されることが重要である。

そこで、県として公共交通の維持・確保に向けてどのような視点を持って取り組んでいるか伺う。

2 歩行者・自転車分離大作戦について

近年、健康志向、あるいは環境保護の観点などから自転車を利用する人が増え、それに伴って自転車と歩行者との間で重大な事故が増加しており、歩行者・自転車通行空間の安全対策が喫緊の課題となっている。

自転車の通行については、道路交通法等では次のように規定されている。

「Ⅰ.自転車は、車道が原則、歩道は例外、Ⅱ.車道は左側を通行、Ⅲ.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行、ただし歩道通行できるのは①道路標識等で指定された場合、②運転者が児童、幼児等の場合、③車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合 」となっている。

しかしながら、私が見る限りでは、たいていの自転車は歩道を通行し、車道を走る自転車はごくまれで、走っていても自転車同士のすれ違いをかわすために一方が車道によける場合や、ロードレーサーと呼ばれるスポーツタイプの自転車がほとんどで、歩行者は自転車が近づくと申し訳なさそうによけており、法律とは逆の「車道が例外」となっている。

県では24年度、新規事業として「歩行者・自転車分離大作戦」として650,000千円を計上し、歩道や路肩のカラー舗装などによる自転車通行空間の確保と歩行者の安全対策を実施している。

そこで、この「自転車・歩行者分離大作戦」事業の進捗状況と効果について伺う。

3 空港の利用促進について

(1) 関西国際空港・大阪国際空港(伊丹空港)の利用促進について

昨年4月、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律」が施行され、「新関西国際空港株式会社」が設立された。そしてその3カ月後の7月には、関空と伊丹空港が経営統合され、両空港は新会社によって一体的に管理運営が行われることとなった。

また先月には、県が持っていた大阪国際空港ターミナル株式会社の株式を新会社に約16億7千万円で売却することが決定したとの報道があった。新会社では今後、運営権売却に向けて、ターミナルビル改修によって集客を図り、収益の向上に取り組もうとしている。

今後、県においては、両空港のさらなる活用に向け、新会社との連携を引き続き図っていくことが重要と考える。

そこで、県では平成24年度予算で、「関西国際空港・伊丹空港の利用促進」に3千50万円を計上しているが、その実績について伺う。併せて、県として、新会社との現在及び売却後の関わり方と、また、来年度実施を目指す空港運営権の民間売却の見通しについてどのような考えをもっているのかについてもお聞かせいただきたい。

(2) 関西3空港一体運用に向けた神戸空港のあり方について

昨年3月の関空におけるピーチ・アビエーション就航などLCCの増加に伴い、関空の利用者数が急増しており、つい先日も新聞報道によると、以前関空で就航していた香港エクスプレスが来月からLCCを就航するとの発表があったところである。一方で、神戸空港の利用者数が減少に転じているという話も聞こえてくる。

県では県内から神戸空港へのアクセス充実、航空路線・便数の拡大、神戸空港利用者の拡大を図るため、利用推進事業等を展開するとして、平成24年度予算として450万円を計上している。事業の内容は、主には路線情報のPR、航空会社に対する広報PR支援、県内及び就航都市でのキャラバン活動、県民向けイベントなど「神戸空港の新たな活用方策の検討」ということであるが、神戸空港に関して言えば地元の神戸市や近隣の市町と連携しながら対策に取り組んでいくべきと考える。

また、将来的には関空、伊丹、神戸空港の関西3空港の一体運用を見据えた取り組みも推進していかねばならないと考える。

そこで、神戸空港のこれまでの取り組み実績と、これからの神戸空港のあり方について当局のご所見を伺う。

●総括審査

1 24年度決算の成果と課題について

2 収入確保に向けた取り組みについて

(1)未収金対策の充実強化について

(2)事業ごとの資金調達について

3 県有施設並びに県内市町の公共施設の耐震化促進について

4 「無縁社会」の根絶に向けた取り組みについて

5 県内中小企業に対する金融支援について

6 第2期「ひょうご教育創造プラン」の策定について

7 警察組織の効率的な運用について

全文

質問日:平成25年10月22日(火) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 24年度決算の成果と課題について

平成24年度当初予算は、国の中期財政フレームに基づいて一般財源総額が平成23年度水準に抑制される一方、社会保障関係費の増加による歳出の自然増や実需要喚起などの経済雇用対策や少子対策など地方独自の施策に取り組むための投資的経費や行政経費が削減されており、引き続き厳しい財政環境の中で編成された。

また、長引くデフレ不況、景気低迷からの早期脱却や地域の雇用情勢の改善、需要創出発現の為、国の補正予算等に基づき、12月と2月に2度にわたり経済対策に係る補正予算を編成された。

特に2月補正予算は臨時議会を開催して、大型の補正が行われた。国会議決に先立って編成され、いち早く事業化に結びつけるなど、現状の課題認識に基づいた的確な対応が行われたと認識している。

第二次行革プランの2年目となった平成24年度も、行財政全般にわたる改革の推進など、施策の「選択と集中」に取り組みつつ、県の将来像と取組方向を示す21世紀ひょうご長期ビジョンのもと、ひょうご経済・雇用活性化プログラムやひょうご農林水産ビジョン2020など「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に向けて県政の重点施策の推進に取り組むという、たいへん難しい施策運営を行っていると理解しているところである。

そこで、決算委員会の総括審査にあたり、まず、平成24年度の決算の状況について、県としてどのような成果があったと考えているか。

また、継続した課題があると考えているか。知事として平成24年度の決算について自己評価していただくとともに、間もなく取り組まれる平成26年度予算編成にどのような思いを持って取り組まれようとされているのかをお伺いする。

2 収入確保に向けた取り組みについて

(1) 未収金対策の充実強化について

まず、「未収金対策の充実強化」について伺う。

先日開催されました財政状況の特別審査において税収確保対策についてお伺いしたところ、「県税の徴収歩合が全国平均を上回ることを目標に、全県及び県民局に税収強化対策本部を設置し、税収確保対策に取り組んできた。その結果、平成23年度には徴収歩合が38年ぶりに全国平均を上回り、平成24年度は2年連続で目標を達成し、また全税目で徴収歩合が前年度に比べ同率か上回る結果となった。」とのご答弁をいただいた。行革による職員定数が削減される中にあっても、個人住民税特別対策官の継続設置や、悪質な滞納事案の円滑な処理促進を図るための県警OBの嘱託員配置により税収確保に向けてしっかりと取り組んでいただいていることに感謝申し上げる。

しかしながら、昨年度決算の県税も含めた収入未済額の合計は309億円余りに上り、前年度から6億円ほど減となっているが、県税以外の収入未済額については前年度から約78百万円増加し、118億円になっているとのことである。

財政状況が厳しいなかにあって、300億円を超える収入未済額は、県民負担の公平性の観点からも看過できない状況となっており、確実に収入に結び付けていくことが求められる。

未収金への対策が進んでいない理由として債権回収のノウハウが共有できていないことや庁内の支援体制が十分でないことを挙げられ、これら全庁共通課題への対応などを進めていくため債権管理推進本部を設置するとともに、平成23年度末の収入未済額が1千万円以上の債権等を特定債権に指定し、計画的に収入未済額の縮減に取り組むため、今後3か年における特定債権ごとの債権管理目標を設定したとのことであった。

しかしながら、その目標設定について、①現年分は、回収率が前年度以上となること。②繰越分は平成24年度末の収入未済額約115億円のうち、3年間で約7億5千万円を回収することとなっているが、その答弁を聞いていて、物足りなさを感じた。

滞納債権を回収していくことは、なんとかごまかして債務額を減らそうとする人、強硬に払わない人、払いたくても払えないという人など、さまざまな人に対応していかなければならず、たとえ業務といえども、非常につらい仕事であり、担当職員のモチベーションを維持していくことも困難である。

そこで、収入未済額がこのように多額になっている状況では、財政運営の安定化を図る上で大きな障壁となっていることから、未収金対策の機運を高め、他の業務に優先して、積極的に未収金対策を進めていくべきと考えますが、今後の未収金対策への取り組み姿勢について改めて伺う。

(2) 事業ごとの資金調達について

ふるさと納税の意義は素晴らしく、井戸知事はふるさと兵庫を県政推進6つの約束の1つとして掲げ、4期目再選を果たされた。

その税制上の優遇措置は大変強力なもので、寄附した額から2千円を差し引いたほぼ全額が所得税及び住民税から控除することができる。しかし、それをうまくPRできておらず、全国的にも本県の寄付実績を見ても明らかだ

確かに、国民一人あたりの寄付金額は欧米と比較しても数分の一だが、寄付の根本にある、支え合いや共生といった考えは日本国民にも当然根付いている。何が問題かといえば、集め方の問題である。集め方の改善策として、先の財政状況審査では、具体的な事業を掲げて寄付を募る方法を検討する旨答弁された。

具体的な事業で募集する。これは非常に正しい。ふるさと意識を持つ人は市町村に寄付する。昨年度のふるさと納税の額は、兵庫県は約900万円だが、神戸市は約6,500万円、淡路市約5,700万円と数字を見てもあきらかである。県は事業で訴えるべきと考える。

しかし、具体的事業を掲げて募集しても、今度は募集の方法が既存のリーフレットやふるさとひょうご応援サイトのみでは、やはり集まらない。

例えば「第2のふるさと納税」として、いくつかの具体的事業において民間のサイト等を利用したクラウドファンディングを活用し集めた金額の一定金額を担当部局の自主財源としてインセンティブを与えるなど、限られた予算の中では新たな資金調達の工夫が必要と考える。

その他にも、近年、企業においては、社会的貢献活動(CSR)の一環として森林保護・創造活動をおこなっており、県においても、企業の自主的な取り組みである企業の森づくり活動を支援している。また、兵庫県森林組合連合会等では、環境省のオフセット・クレジット(J-VER)制度を活用して、二酸化炭素排出量を相殺しようとする企業から森林整備費用を調達する橋渡し役となる取り組みを行っている。

そこで、県として今後、事業ごとに資金を調達していくことについて、どのように進めていこうとされているのか伺う。

3 県有施設並びに県内市町の公共施設の耐震化促進について

全国には、災害時に地域の拠点となる役所や学校などの公共施設で、大地震が起きると倒壊の危険性が高い建物が3,800棟近くあると指摘されている。阪神・淡路大震災後、耐震化が比較的に進んでいると思われている兵庫県であるが、全国順位では、教育施設が13位、庁舎施設が8位、医療施設が19位。耐震化率は、いずれも70~80%台で、決してトップレベルではない。むしろ警察署など全国平均を下回るケースもあり、震災を経験した被災県として、本来ならば全国の耐震化率を引っ張る存在でなければならないにもかかわらず、財政面等を理由に耐震化が進んでいないのが現状である。県内市町においては、予算不足で対策が進められない市町もある。一方、南海トラフ巨大地震で大きな被害が予測される静岡、愛知、三重県等では教育施設、県有庁舎等の耐震化率はいずれも90%を超えていると伺っている。

本県においては現在、第2次行革プランの実行中であり、県有施設の耐震化工事についても予算執行に一定の進度調整が行われている。例えば災害時に重要な活動の拠点となる警察署の耐震化一つをとっても、一つの署で数億円以上かかる事業であるが、震災から19年経つ中、県内48署のうち11署がまだ、耐震化工事が行われておりませんし、他の県有施設の耐震化工事も考えれば、そういった予算でいつ県民の命を守る耐震化工事を終えることになるのか、その目処は立っていないと言わざるを得ない。限られた財源の中、選択と集中をより徹底し、県有施設等、県内防災拠点の耐震化工事を進めることは大きな課題である。

そこで、県有施設の耐震化対策の重要性とその順位付けをどのように考えておられるのか。また、県内市町の役所をはじめ、災害時に必要な公共施設の耐震化について、県としてどのような把握をし、また、支援をしているのか伺う。

4 「無縁社会」の根絶に向けた取り組みについて

部局審査において、無縁社会での独居の高齢者や障害者への対応について質問し、答弁では「住民の異変を発見し、行政サービスに繋ぐ仕組みづくりを支援するため、各家庭を訪問し異変を発見する可能性の高い民間事業者及び兵庫県社会福祉協議会、兵庫県民生委員児童委員連合会と、兵庫県地域見守りネットワーク応援協定を締結し、推進することで、各市町における重層的な見守り体制の構築を支援して行きたいと考える。」と述べられた。

東京都監察医務院が公表しているデータによれば、23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数は平成14年の1,364人から20年には2,211人と1.6倍に増加。また(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者が誰にも看取られることなく賃貸住宅内で死亡したケースは平成11年度の発生件数207人から20年度には613人と9年間で約3倍に増加した。

独居の高齢者は相当な件数にのぼり、継続的に見守りを行う必要があるので、民間事業者等に付加サービスとして行ってもらうなら有効性があるかもしれないが、本来の業務のついでに「見守り」をするならば、実効性にかけるのではないか。事業者に過度な期待はできないのではないだろうか。マンパワーだけでは解決できないのではないかと考える。

例えば、携帯電話回線を利用した端末を活用した高齢者の見守りサービスを行っている通信事業者もある。山形県飯豊町では補助金制度を活用してこのシステムを導入している。これにより、従来は訪問による安否確認にかかっていた時間や費用の負担等が軽減されたという報告がある。実効性をあげようとしたら、機械に監視されているようになるが、実質的な見守りのための精度はあがる。一方で、無縁社会の中で社会から孤立している方々が地域とつながるということをうながす取り組みというのは必要であろう。そういった意味で難しい取り組みであるということは理解できる。

しかし、今後、社会の少子高齢化が急速に進行する中で、コストや増大する需要を考えれば、ITの活用を考えざるを得ない。ITを見守り体制構築の1つの手段として、メニューに加え、重層的な体制を構築していく視点も重要と考える。

そこで、「無縁社会」の根絶に向け、見守りの重層的な体制を実効性のあるものにするため、県はさらなる取り組みが必要と考えるが、当局の所見を伺う。また、県は、孤独死ゼロを目指すのか、それとも無縁社会化の進行防止の観点から見守り対策に取り組むのか、2つの目指すべき方向性があると思うが、県の取り組みに対する考えを併せて伺う。

5 県内中小企業に対する金融支援について

我が国の経済は、バブル経済の崩壊以後、デフレが進行し、円高による国際競争力の低下、さらには少子高齢化などの社会情勢も加わり、景気低迷を続けてきた。昨年の12月には安倍内閣が誕生し、アベノミクスの経済政策により、少し先行きの明るさが見えてきたとはいえ、リーマンショック以後、大企業が恩恵を受ける一方、中小企業者においては売上げの減少や赤字経営により引き続き厳しい資金繰りを強いられている。銀行や信金の預金に対する貸出金の比率、すなわち預貸率は、6月にいずれも過去最低を更新し、特に中小企業向けの信金預貸率の50%割れは深刻であり、産業活性化の基盤である中小企業に資金が供給されていない。

県では、これまで制度融資において、金融機関や兵庫県信用保証協会と連携し、中小企業向けに経営安定のための資金繰り資金や、開業から設備投資、新規事業のための長期かつ低利な資金融資を行うなど、多様な資金メニューを設けてきた。しかし、最近の融資実績の推移を見ると減少傾向にあり、平成24年度は、融資枠5,000億円に対して、実績1,572億円と達成率が約3割にとどまっている。

確かに最近では景気の先行きに明るさが見え始めているが、景気の効果が中小企業者まで実感できる状況になるには、まだ時間が必要である。

そこで、24年度の制度融資の利用実績が減少している原因をどのように認識しているのか。また、これからの制度融資の方向性をどのように捉えているのかについて当局の所見を伺う。

6 第2期「ひょうご教育創造プラン」の策定について

本県では、平成15年度に策定した「兵庫の教育改革プログラム」の成果と課題を踏まえ、平成21年6月に「ひょうご教育創造プラン(兵庫県教育基本計画)」を新たに策定した。プランでは、「元気兵庫へ こころ豊かな人づくり ~県民すべてがかかわる兵庫の教育の実現~」を基本理念として、「生きる力を培う」「兵庫の特色ある教育」「学校・家庭・地域が一体となった取組」「信頼される学校づくり」など6つの教育施策の重点目標を定め、「兵庫型教科担任制」の導入や兵庫型「体験教育」の展開、オープンスクールの実施など、さまざまな事業に着実に取り組まれてきた。

しかし一方で、少子高齢化や高度情報化、雇用格差の拡大といった社会経済情勢が急速に変化するとともに、いじめや体罰、さらに、インターネットやスマートフォン等を介した有害情報の氾濫や、それがきっかけとなり生徒が犯罪に巻き込まれるケースの発生、それら問題に対する学校関係者の対応、さらには、教員の過重な勤務時間等が全国的な問題となるなど、学校教育を取り巻く情勢も大きく変化している。

こういった社会情勢、教育を取り巻く情勢の変化や、国の第2期「教育振興基本計画」の内容を踏まえ、県では今年度中に第2期プランを策定されることとなっている。すでに検討委員会を立ち上げて、これまでの課題の検証等を通じて、第2期プランの策定に取り組まれている。

課題については、先の6月定例会の代表質問において、我が会派から「地域の教育力向上に向けた取り組みの推進」として、学校と地域の連携について質問をさせていただいたところである。そのほかには例えば、平成27年度入試から実施される新通学区域の県民へのさらなる周知徹底を今後どうするのか。また、いじめ・体罰問題に対し、具体的にどう取り組んでいくか。近年、家庭の教育力が低下していると言われる中にあって、学校と家庭の役割をどう明確化し、家庭とどう連携していくのか。さらには、団塊世代のベテラン教員の大量退職に伴って若手職員の資質向上・メンタルヘルスにどのような対策で臨むのかといった、本県独自の課題から全国的な課題まで多様な課題が存在する。

そこで、平成21年度のプラン策定からこれまでの課題と成果についてどのように認識し、また、それらを第2期プランにどのように反映させていくのかについて当局の所見を伺う。

7 警察組織の効率的な運用について

兵庫県の財政状況は、財政フレームを見ても極めて厳しいことは明らかである。また、介護・医療費は過去5年間で当初計画を600億円以上上振れした歳出増加となっている。

一方、兵庫県警察の人員については、ほぼ現状維持を基本としているが、これから5年後・10年後も聖域でいられるのかどうか不安も残る。そのため、将来的な人口減少や予算制約に伴う警察官の削減も視野に入れた組織の運用について、部局審査において質問を行った。

本日は、警察署の業務負担に焦点を当てて質問する。

警察庁は先月、同庁と全国の警察に本当に必要な「通達」のみ出すよう指示を出し、これによって、業務の合理化と効率化が進めていくという記事を目にした。第一線業務の肥大化に歯止めをかけ、本来の仕事に集中できるようにとの狙いがあるようだ。

また、10月12日の神戸新聞には、県警は、来春にも姫路市内の3警察署の管轄区域を再編するための検討を始める、との記事が掲載されていた。

この記事によると、全国有数の規模で管轄区域が広い姫路署において、署員数の増加により管理が行き届かなくなり、昨年以降、捜査書類への虚偽記載など署員の不祥事が増加したことや、地元から地域に密着したきめ細かな対応を求める声が寄せられたことから、市内3警察署の管轄区域を再編して、他の2署との均衡を図り、管理機能の強化と治安維持に努めるとのことであった。

現在、本県警察官一人当たりの刑法犯認知件数は約6.4件で、全国平均の約5.4件を上回っているうえ、近年、特にストーカー等の男女間のトラブルを初めとする各種相談対応には、迅速適正かつ厳格な対応が求められるほか、サイバー犯罪や振り込め詐欺など刻々と変化する犯罪等への対応など、その負担は増す一方となっていることなどからも、本県警察官の負担は大きく、署員を管理する署長にも過度な負担がかかっていることは明らかといえる。

警察組織の効率的な運用のためには、先に質問したICT活用による生産性の向上や、組織や人員配置の見直しによる体制面での効率化も一つの手法であるが、職員一人ひとりの勤務管理や事務作業の手続きの簡素化などで効率化を図ることも一つの手法と考える。

例えば、佐賀県や三重県等においては「庁内分権」と称して、人事や予算編成等の業務権限を委譲するなど業務の効率化を進めている例があるようだが、県警察においても同様に「署内分権」を進め、業務の効率化により、警察組織を効率的に運用していくべきと考えるが所見を伺う。

大塚 たかひろ
神戸市須磨区

石井 秀武議員

●財政状況

1 税収確保対策について

(1)目標設定について

(2)法人事業税の外形標準課税の対象法人への課税調査について

(3)納税環境の整備について

2 未収金対策について

(1)収入未済額の状況について

(2)今後の債権管理について

① 債権管理推進本部の今後の進め方について

② 債権管理支援チームによる支援について

全文

質問日:平成25年10月22日(火) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 24年度決算の成果と課題について

平成24年度当初予算は、国の中期財政フレームに基づいて一般財源総額が平成23年度水準に抑制される一方、社会保障関係費の増加による歳出の自然増や実需要喚起などの経済雇用対策や少子対策など地方独自の施策に取り組むための投資的経費や行政経費が削減されており、引き続き厳しい財政環境の中で編成された。

また、長引くデフレ不況、景気低迷からの早期脱却や地域の雇用情勢の改善、需要創出発現の為、国の補正予算等に基づき、12月と2月に2度にわたり経済対策に係る補正予算を編成された。

特に2月補正予算は臨時議会を開催して、大型の補正が行われた。国会議決に先立って編成され、いち早く事業化に結びつけるなど、現状の課題認識に基づいた的確な対応が行われたと認識している。

第二次行革プランの2年目となった平成24年度も、行財政全般にわたる改革の推進など、施策の「選択と集中」に取り組みつつ、県の将来像と取組方向を示す21世紀ひょうご長期ビジョンのもと、ひょうご経済・雇用活性化プログラムやひょうご農林水産ビジョン2020など「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に向けて県政の重点施策の推進に取り組むという、たいへん難しい施策運営を行っていると理解しているところである。

そこで、決算委員会の総括審査にあたり、まず、平成24年度の決算の状況について、県としてどのような成果があったと考えているか。

また、継続した課題があると考えているか。知事として平成24年度の決算について自己評価していただくとともに、間もなく取り組まれる平成26年度予算編成にどのような思いを持って取り組まれようとされているのかをお伺いする。

2 収入確保に向けた取り組みについて

(1) 未収金対策の充実強化について

まず、「未収金対策の充実強化」について伺う。

先日開催されました財政状況の特別審査において税収確保対策についてお伺いしたところ、「県税の徴収歩合が全国平均を上回ることを目標に、全県及び県民局に税収強化対策本部を設置し、税収確保対策に取り組んできた。その結果、平成23年度には徴収歩合が38年ぶりに全国平均を上回り、平成24年度は2年連続で目標を達成し、また全税目で徴収歩合が前年度に比べ同率か上回る結果となった。」とのご答弁をいただいた。行革による職員定数が削減される中にあっても、個人住民税特別対策官の継続設置や、悪質な滞納事案の円滑な処理促進を図るための県警OBの嘱託員配置により税収確保に向けてしっかりと取り組んでいただいていることに感謝申し上げる。

しかしながら、昨年度決算の県税も含めた収入未済額の合計は309億円余りに上り、前年度から6億円ほど減となっているが、県税以外の収入未済額については前年度から約78百万円増加し、118億円になっているとのことである。

財政状況が厳しいなかにあって、300億円を超える収入未済額は、県民負担の公平性の観点からも看過できない状況となっており、確実に収入に結び付けていくことが求められる。

未収金への対策が進んでいない理由として債権回収のノウハウが共有できていないことや庁内の支援体制が十分でないことを挙げられ、これら全庁共通課題への対応などを進めていくため債権管理推進本部を設置するとともに、平成23年度末の収入未済額が1千万円以上の債権等を特定債権に指定し、計画的に収入未済額の縮減に取り組むため、今後3か年における特定債権ごとの債権管理目標を設定したとのことであった。

しかしながら、その目標設定について、①現年分は、回収率が前年度以上となること。②繰越分は平成24年度末の収入未済額約115億円のうち、3年間で約7億5千万円を回収することとなっているが、その答弁を聞いていて、物足りなさを感じた。

滞納債権を回収していくことは、なんとかごまかして債務額を減らそうとする人、強硬に払わない人、払いたくても払えないという人など、さまざまな人に対応していかなければならず、たとえ業務といえども、非常につらい仕事であり、担当職員のモチベーションを維持していくことも困難である。

そこで、収入未済額がこのように多額になっている状況では、財政運営の安定化を図る上で大きな障壁となっていることから、未収金対策の機運を高め、他の業務に優先して、積極的に未収金対策を進めていくべきと考えますが、今後の未収金対策への取り組み姿勢について改めて伺う。

(2) 事業ごとの資金調達について

ふるさと納税の意義は素晴らしく、井戸知事はふるさと兵庫を県政推進6つの約束の1つとして掲げ、4期目再選を果たされた。

その税制上の優遇措置は大変強力なもので、寄附した額から2千円を差し引いたほぼ全額が所得税及び住民税から控除することができる。しかし、それをうまくPRできておらず、全国的にも本県の寄付実績を見ても明らかだ

確かに、国民一人あたりの寄付金額は欧米と比較しても数分の一だが、寄付の根本にある、支え合いや共生といった考えは日本国民にも当然根付いている。何が問題かといえば、集め方の問題である。集め方の改善策として、先の財政状況審査では、具体的な事業を掲げて寄付を募る方法を検討する旨答弁された。

具体的な事業で募集する。これは非常に正しい。ふるさと意識を持つ人は市町村に寄付する。昨年度のふるさと納税の額は、兵庫県は約900万円だが、神戸市は約6,500万円、淡路市約5,700万円と数字を見てもあきらかである。県は事業で訴えるべきと考える。

しかし、具体的事業を掲げて募集しても、今度は募集の方法が既存のリーフレットやふるさとひょうご応援サイトのみでは、やはり集まらない。

例えば「第2のふるさと納税」として、いくつかの具体的事業において民間のサイト等を利用したクラウドファンディングを活用し集めた金額の一定金額を担当部局の自主財源としてインセンティブを与えるなど、限られた予算の中では新たな資金調達の工夫が必要と考える。

その他にも、近年、企業においては、社会的貢献活動(CSR)の一環として森林保護・創造活動をおこなっており、県においても、企業の自主的な取り組みである企業の森づくり活動を支援している。また、兵庫県森林組合連合会等では、環境省のオフセット・クレジット(J-VER)制度を活用して、二酸化炭素排出量を相殺しようとする企業から森林整備費用を調達する橋渡し役となる取り組みを行っている。

そこで、県として今後、事業ごとに資金を調達していくことについて、どのように進めていこうとされているのか伺う。

3 県有施設並びに県内市町の公共施設の耐震化促進について

全国には、災害時に地域の拠点となる役所や学校などの公共施設で、大地震が起きると倒壊の危険性が高い建物が3,800棟近くあると指摘されている。阪神・淡路大震災後、耐震化が比較的に進んでいると思われている兵庫県であるが、全国順位では、教育施設が13位、庁舎施設が8位、医療施設が19位。耐震化率は、いずれも70~80%台で、決してトップレベルではない。むしろ警察署など全国平均を下回るケースもあり、震災を経験した被災県として、本来ならば全国の耐震化率を引っ張る存在でなければならないにもかかわらず、財政面等を理由に耐震化が進んでいないのが現状である。県内市町においては、予算不足で対策が進められない市町もある。一方、南海トラフ巨大地震で大きな被害が予測される静岡、愛知、三重県等では教育施設、県有庁舎等の耐震化率はいずれも90%を超えていると伺っている。

本県においては現在、第2次行革プランの実行中であり、県有施設の耐震化工事についても予算執行に一定の進度調整が行われている。例えば災害時に重要な活動の拠点となる警察署の耐震化一つをとっても、一つの署で数億円以上かかる事業であるが、震災から19年経つ中、県内48署のうち11署がまだ、耐震化工事が行われておりませんし、他の県有施設の耐震化工事も考えれば、そういった予算でいつ県民の命を守る耐震化工事を終えることになるのか、その目処は立っていないと言わざるを得ない。限られた財源の中、選択と集中をより徹底し、県有施設等、県内防災拠点の耐震化工事を進めることは大きな課題である。

そこで、県有施設の耐震化対策の重要性とその順位付けをどのように考えておられるのか。また、県内市町の役所をはじめ、災害時に必要な公共施設の耐震化について、県としてどのような把握をし、また、支援をしているのか伺う。

4 「無縁社会」の根絶に向けた取り組みについて

部局審査において、無縁社会での独居の高齢者や障害者への対応について質問し、答弁では「住民の異変を発見し、行政サービスに繋ぐ仕組みづくりを支援するため、各家庭を訪問し異変を発見する可能性の高い民間事業者及び兵庫県社会福祉協議会、兵庫県民生委員児童委員連合会と、兵庫県地域見守りネットワーク応援協定を締結し、推進することで、各市町における重層的な見守り体制の構築を支援して行きたいと考える。」と述べられた。

東京都監察医務院が公表しているデータによれば、23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数は平成14年の1,364人から20年には2,211人と1.6倍に増加。また(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者が誰にも看取られることなく賃貸住宅内で死亡したケースは平成11年度の発生件数207人から20年度には613人と9年間で約3倍に増加した。

独居の高齢者は相当な件数にのぼり、継続的に見守りを行う必要があるので、民間事業者等に付加サービスとして行ってもらうなら有効性があるかもしれないが、本来の業務のついでに「見守り」をするならば、実効性にかけるのではないか。事業者に過度な期待はできないのではないだろうか。マンパワーだけでは解決できないのではないかと考える。

例えば、携帯電話回線を利用した端末を活用した高齢者の見守りサービスを行っている通信事業者もある。山形県飯豊町では補助金制度を活用してこのシステムを導入している。これにより、従来は訪問による安否確認にかかっていた時間や費用の負担等が軽減されたという報告がある。実効性をあげようとしたら、機械に監視されているようになるが、実質的な見守りのための精度はあがる。一方で、無縁社会の中で社会から孤立している方々が地域とつながるということをうながす取り組みというのは必要であろう。そういった意味で難しい取り組みであるということは理解できる。

しかし、今後、社会の少子高齢化が急速に進行する中で、コストや増大する需要を考えれば、ITの活用を考えざるを得ない。ITを見守り体制構築の1つの手段として、メニューに加え、重層的な体制を構築していく視点も重要と考える。

そこで、「無縁社会」の根絶に向け、見守りの重層的な体制を実効性のあるものにするため、県はさらなる取り組みが必要と考えるが、当局の所見を伺う。また、県は、孤独死ゼロを目指すのか、それとも無縁社会化の進行防止の観点から見守り対策に取り組むのか、2つの目指すべき方向性があると思うが、県の取り組みに対する考えを併せて伺う。

5 県内中小企業に対する金融支援について

我が国の経済は、バブル経済の崩壊以後、デフレが進行し、円高による国際競争力の低下、さらには少子高齢化などの社会情勢も加わり、景気低迷を続けてきた。昨年の12月には安倍内閣が誕生し、アベノミクスの経済政策により、少し先行きの明るさが見えてきたとはいえ、リーマンショック以後、大企業が恩恵を受ける一方、中小企業者においては売上げの減少や赤字経営により引き続き厳しい資金繰りを強いられている。銀行や信金の預金に対する貸出金の比率、すなわち預貸率は、6月にいずれも過去最低を更新し、特に中小企業向けの信金預貸率の50%割れは深刻であり、産業活性化の基盤である中小企業に資金が供給されていない。

県では、これまで制度融資において、金融機関や兵庫県信用保証協会と連携し、中小企業向けに経営安定のための資金繰り資金や、開業から設備投資、新規事業のための長期かつ低利な資金融資を行うなど、多様な資金メニューを設けてきた。しかし、最近の融資実績の推移を見ると減少傾向にあり、平成24年度は、融資枠5,000億円に対して、実績1,572億円と達成率が約3割にとどまっている。

確かに最近では景気の先行きに明るさが見え始めているが、景気の効果が中小企業者まで実感できる状況になるには、まだ時間が必要である。

そこで、24年度の制度融資の利用実績が減少している原因をどのように認識しているのか。また、これからの制度融資の方向性をどのように捉えているのかについて当局の所見を伺う。

6 第2期「ひょうご教育創造プラン」の策定について

本県では、平成15年度に策定した「兵庫の教育改革プログラム」の成果と課題を踏まえ、平成21年6月に「ひょうご教育創造プラン(兵庫県教育基本計画)」を新たに策定した。プランでは、「元気兵庫へ こころ豊かな人づくり ~県民すべてがかかわる兵庫の教育の実現~」を基本理念として、「生きる力を培う」「兵庫の特色ある教育」「学校・家庭・地域が一体となった取組」「信頼される学校づくり」など6つの教育施策の重点目標を定め、「兵庫型教科担任制」の導入や兵庫型「体験教育」の展開、オープンスクールの実施など、さまざまな事業に着実に取り組まれてきた。

しかし一方で、少子高齢化や高度情報化、雇用格差の拡大といった社会経済情勢が急速に変化するとともに、いじめや体罰、さらに、インターネットやスマートフォン等を介した有害情報の氾濫や、それがきっかけとなり生徒が犯罪に巻き込まれるケースの発生、それら問題に対する学校関係者の対応、さらには、教員の過重な勤務時間等が全国的な問題となるなど、学校教育を取り巻く情勢も大きく変化している。

こういった社会情勢、教育を取り巻く情勢の変化や、国の第2期「教育振興基本計画」の内容を踏まえ、県では今年度中に第2期プランを策定されることとなっている。すでに検討委員会を立ち上げて、これまでの課題の検証等を通じて、第2期プランの策定に取り組まれている。

課題については、先の6月定例会の代表質問において、我が会派から「地域の教育力向上に向けた取り組みの推進」として、学校と地域の連携について質問をさせていただいたところである。そのほかには例えば、平成27年度入試から実施される新通学区域の県民へのさらなる周知徹底を今後どうするのか。また、いじめ・体罰問題に対し、具体的にどう取り組んでいくか。近年、家庭の教育力が低下していると言われる中にあって、学校と家庭の役割をどう明確化し、家庭とどう連携していくのか。さらには、団塊世代のベテラン教員の大量退職に伴って若手職員の資質向上・メンタルヘルスにどのような対策で臨むのかといった、本県独自の課題から全国的な課題まで多様な課題が存在する。

そこで、平成21年度のプラン策定からこれまでの課題と成果についてどのように認識し、また、それらを第2期プランにどのように反映させていくのかについて当局の所見を伺う。

7 警察組織の効率的な運用について

兵庫県の財政状況は、財政フレームを見ても極めて厳しいことは明らかである。また、介護・医療費は過去5年間で当初計画を600億円以上上振れした歳出増加となっている。

一方、兵庫県警察の人員については、ほぼ現状維持を基本としているが、これから5年後・10年後も聖域でいられるのかどうか不安も残る。そのため、将来的な人口減少や予算制約に伴う警察官の削減も視野に入れた組織の運用について、部局審査において質問を行った。

本日は、警察署の業務負担に焦点を当てて質問する。

警察庁は先月、同庁と全国の警察に本当に必要な「通達」のみ出すよう指示を出し、これによって、業務の合理化と効率化が進めていくという記事を目にした。第一線業務の肥大化に歯止めをかけ、本来の仕事に集中できるようにとの狙いがあるようだ。

また、10月12日の神戸新聞には、県警は、来春にも姫路市内の3警察署の管轄区域を再編するための検討を始める、との記事が掲載されていた。

この記事によると、全国有数の規模で管轄区域が広い姫路署において、署員数の増加により管理が行き届かなくなり、昨年以降、捜査書類への虚偽記載など署員の不祥事が増加したことや、地元から地域に密着したきめ細かな対応を求める声が寄せられたことから、市内3警察署の管轄区域を再編して、他の2署との均衡を図り、管理機能の強化と治安維持に努めるとのことであった。

現在、本県警察官一人当たりの刑法犯認知件数は約6.4件で、全国平均の約5.4件を上回っているうえ、近年、特にストーカー等の男女間のトラブルを初めとする各種相談対応には、迅速適正かつ厳格な対応が求められるほか、サイバー犯罪や振り込め詐欺など刻々と変化する犯罪等への対応など、その負担は増す一方となっていることなどからも、本県警察官の負担は大きく、署員を管理する署長にも過度な負担がかかっていることは明らかといえる。

警察組織の効率的な運用のためには、先に質問したICT活用による生産性の向上や、組織や人員配置の見直しによる体制面での効率化も一つの手法であるが、職員一人ひとりの勤務管理や事務作業の手続きの簡素化などで効率化を図ることも一つの手法と考える。

例えば、佐賀県や三重県等においては「庁内分権」と称して、人事や予算編成等の業務権限を委譲するなど業務の効率化を進めている例があるようだが、県警察においても同様に「署内分権」を進め、業務の効率化により、警察組織を効率的に運用していくべきと考えるが所見を伺う。

●企画県民部②

1 広域防災の推進について

(1)関西広域支援・受援実施要綱にかかる市町との連携について

(2)ひょうご災害緊急支援隊・県外災害ひょうご支援隊について

(3)中長期派遣職員の適任生とサポート体制の充実について

2 私学振興について

(1)魅力ある学校づくりや特色ある教育活動等に対する助成について

(2)私立高等学校等生徒授業料軽減補助について

全文

質問日:平成25年10月9日(水) 質問者:民主党・県民連合 石井秀武 委員

1 広域防災の推進について

(1) 関西広域応援・受援実施要綱にかかる市町との連携について

関西広域連合では、災害発生時の広域応援体制を強化するために、「関西防災・減災プラン」に基づき、25年3月に、広域災害発生時等における、被災府県からの職員や物資等に関する応援要請の集約をするとともに、被災していない府県への応援要請・応援先の配分等の府県間調整を担い、関西全体の防災に関する責任主体として広域連合が機能を発揮できるように、広域連合が広域応援を実施する手順を取りまとめた「関西広域応援・受援実施要綱」を作成した。

要綱では、応援・受援の手順をマニュアル化し、応援派遣・物資供給など分野別に、広域連合、都道府県、市町など各機関の活動内容・手順・連絡先等を具体的に示しており、実際に広域災害が発生した場合でも、大変有用なマニュアルになると思われる。

一方で、府県と市町との連携については、災害対策基本法では「府県は市町村が処理する防災業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有する」とされ、関西防災・減災プランにおいても「応援府県は、市町村と連携し、被災府県・市町村の支援を行うこと」とされている。さらに、この要綱においては「構成府県は平時から、市町村に対し、要綱の内容を周知し、運用にあたっての協力を求めること」とされている。

そこでまず、県においては、万一の広域災害に備え、要綱に基づく応援・受援体制を市町とともに構築するために、市町に対して現在どの程度、要綱の周知が図られ、今後どのように連携を維持していくのか伺う。

※ 阪神・淡路大震災や東日本大震災等の経験と教訓を生かして作られた要綱であるので、市町への周知と連携をしっかりと図って、絵に描いた餅とならないよう、日頃から防災訓練などで活用して、広域災害に備えていただきたい。

(2) ひょうご災害緊急支援隊・県外災害ひょうご緊急支援隊について

県では、地震や風水害などの大規模災害が発生した際に、災害対応の経験・知識や専門職員の不足などから、初動・応急対策を迅速かつ的確に実施することが困難となった県内の被災市町に対し、災害対応の知識や経験を持つ県や市町職員等を迅速に派遣する「ひょうご災害緊急支援隊」を平成22年に創設した。

さらに本年3月には、東日本大震災への支援の経験を踏まえ、同支援隊の体制を整備し、県外で発生する災害に対し迅速かつ積極的な対応を図る「県外災害ひょうご緊急支援隊」を新たに創設した。

幸いにも県内・県外とも同支援隊の派遣は未だ無いと伺っているが、災害はいつ発生するか分からない。そのためにも、普段から想定しうるあらゆる災害に備えて、即時の対応ができるように準備しておくことが重要であると考える。

そこで、県では、支援隊についてどの程度の災害から派遣を想定されているのか。また、感染症によるパンデミックや原発事故が発生した場合等も、県として支援隊を派遣し、関係部局とも連携した上で、できうる範囲で支援を行っていくべきと考えるが当局のご所見を伺う。

※ 平時からあらゆる災害等を想定して、派遣職員の体制づくりを構築していただき、万が一の時は被災地に駆けつけて、過去の経験と教訓を生かして初動・応急対策に取り組んでいただきたい。

(3) 中長期派遣職員の適任性とサポート体制の充実について

平成23年3月に発生した東日本大震災の発生直後から、阪神・淡路大震災で多くの支援を受けた本県は、災害対策支援本部を設置し、カウンターパート方式によって宮城県を中心に、物資の支援、職員の支援などにより、被災地の早期復旧・復興に向けて積極的に支援を行ってきた。

職員の派遣については、被災地支援の局面が緊急・応急対応期にあっては短期派遣で、復旧・復興期へと変化して以降は、中長期の派遣を行い、平成25年3月15日までに、短期派遣と中長期派遣を合わせると約13万6千人もの職員が本県から被災地に派遣された。被災地に寄り添いながら、復旧・復興に向けて懸命に業務に精励されてきた職員の方々のご苦労には感謝と敬意を表する。

現在、中長期派遣中の職員は先月9月1日現在134名である。都市計画や市街地再開発、道路等公共施設の災害復旧業務などを担当する建築・土木職員等の方々で、半年から数年にわたって派遣されている。

さて、今年1月、県内の自治体から被災地に派遣された職員が自ら命を絶たれるという大変痛ましい出来事が発生した。男性は昨年10月から派遣され、被災地では土地区画整理事業などを担当されていたという。派遣はこの3月末までの6カ月間の予定であった。派遣した市の市長は記者会見で「誠実な人柄で、被災者に寄り添って頑張ってくれていた。無念だ」と話したといいます。

もちろん県におかれては、派遣職員を定期的に地元に返したり、報告を受けたりされており、従前から派遣職員に対するメンタルケアついては十分配慮されていると思う。また、先週の4日、5日には井戸知事自らが被災地・宮城県を訪れ、県からの派遣職員を激励されておりました。知事の訪問は、派遣職員にとって大変心強いものだったでしょう。

しかしながら、一見気丈に見えて弱い部分を見せない人間もいる。数日から数週間の短期派遣であっても、気持ちが入りすぎてしまうこともあるだろうし、ましてや長期派遣ともなると、現地での長期生活で誰にも相談できず、一人で悩んでしまうことも少なくないと思う。

そこで、中長期で派遣される職員については、周りの評価だけでなく、派遣前に心理テスト等を行い適任性の判断の一助とする、また、派遣中においても例えば気遣いの必要のない同年齢の職員等とSNSなどを使って、定期的に情報交換を行うなど、サポート体制を一層充実させるべきと考えるが当局の所見を伺う。

※ 選任にしても、サポート体制にしても、さまざまな手法が考えられるが、ぜひ適任者を選んでいただき、また、派遣中もその職員にとって最善となるサポート体制を構築していただきたい。

2 私学振興について

私立学校は、建学の精神に基づいた独自の教育方針によって、特色ある教育を提供し、本県の学校教育の推進力として大きな役割を果たしている。

昨年4月現在で、県内の私立学校・幼稚園の学校数は528校で、全学校数の22.5%、私立学校に通う園児・生徒数は124,200人で、全園児・生徒数の17.3%となっている。

以上のことから、県では、公教育の一翼を担う私立学校に対して、教育条件の維持・向上、修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全性確保等を目的として、経常経費や教育活動に係る経費、修学助成などさまざまな支援を行っているところである。

そこで、私学振興にかかる取り組み2点について伺う。

(1) 魅力ある学校づくりや特色ある教育活動等に対する助成について

県では、私立学校に対して、魅力ある学校づくりや特色ある教育活動等に対する助成に加え、少子対策として、地域や保護者のニーズに対応した子育て支援の積極的な取り組みに対しても支援を行っており、それら事業の24年度予算額は12億367万円となっている。

そのうち、小・中・高校関係の事業は3事業、一つ目は「私立学校経常費特別補助」で予算額6,210万円、二つ目は「私立中学校社会体験活動推進事業補助」で予算額150万円、三つ目は「私立小学校環境体験活動事業費補助」で予算額が68万5千円である。また、幼稚園、小・中・高校における施設の耐震補強工事に対する補助事業の予算額が8,506万7千円であり、これら4つの事業の合計額は、1億4,935万2千円である。

今述べた4つの事業以外は、幼稚園関係9事業であり、主なものとしては「私立幼稚園預かり保育推進事業」が予算額約3億4千万円、幼稚園で取り組む特別支援教育推進事業は予算額約2億2千万円となっている。これらは、「魅力ある学校づくりや特色ある教育活動に対する助成」の予算額12億367万円のうち、10億5,431万8千円、約87.6%が幼稚園の事業に対する補助額で計上されている。

それら事業は、すべての園児・生徒が選択している訳ではないものの、単純に一人あたり金額で比較すると、幼稚園児一人あたり約2万2千円、小学生1,700円、中学生4,300円、高校生2千円となり、これを見ても幼稚園にかける予算の割合が非常に高くなっている。

そこで、私立幼稚園に対する事業補助額が、小・中・高校の事業補助額に比べかなり手厚くなっている理由についてご所見を伺う。

※ 私たちが学生の頃は、ほとんどの生徒が偏差値や建学の精神で学校を選んでいたように思うが、最近では、特色や魅力のある取り組みを志望理由とする生徒も増えてきている。

そういった意味からも、幼稚園への補助の重要性は理解できるが、「魅力ある学校づくりや特色ある教育活動等に対する助成」を、限られた予算ではあるが、小・中・高校の魅力ある取り組みにも補助を広げていただきたい。

(2) 私立高等学校等生徒授業料軽減補助について

民主党政権下であった平成22年度に、家庭の状況にかかわらず、高校生等が、安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、国の費用により、公立高等学校の授業料を無償化するとともに、国立・私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金が創設された。また、県においても、県単独補助により、学資負担者の経済的負担を軽くするため、低所得世帯に重点をおいた授業料軽減補助を行うこととした。

文部科学省の調査では、高校の無償化、修学支援金により、経済的な理由による公立・私立高校の中退者数が減少し、さらには高校を中退した生徒が再入学・編入学する人数が増加するなど、本制度導入による確かな成果が実証されている。

そこで、本県が取り組む「私立高等学校等生徒授業料軽減補助」について、24年度の実績と成果について伺う。また、現在、自公により、高校無償化に所得制限を導入し、捻出した財源で修学支援金の増加や、低所得者向けの給付型奨学金の創設を検討しているようだが、その場合、県費負担額は増加するのか、それとも減少するのか併せてお答え願う。

※ 県においては、今後とも公教育の一翼を担う私立学校の生徒・親御さんの経済的負担が現状より増えることの無いようお願いする。

●健康福祉部

1 孤独死・孤立死への対策について

(1)無縁社会化に対する県の認識について

(2)生活困窮者への対応について

(3)地域における見守り体制の構築について

2 高齢者を悪質商法から守る取組みの推進について

(1)高齢者を狙った悪質商法に関する消費者トラブルの現状について

(2)高齢者向けの消費者トラブル防止対策について

全文

決算特別委員会  [ 10月10日(木)健康福祉部・石井(秀)委員 ]

1 孤独死・孤立死への対策について

はじめに、孤独死・孤立死への対策について、お伺いします。

昨年のはじめ、高齢者や障害のある方などが、近隣に気づかれずに亡くなり、相当日数が経ってから発見されるという、いわゆる「孤立死・孤独死」という悲惨な事件の発生が相次ぎました。1月には、札幌市で40代の姉妹が生活困窮から孤独死し、続いて2月には、さいたま市で親子が餓死、3月には立川市や川口市など、1月から4月までに報道で発表されているだけでも、13件の孤独死・孤立死が発生しています。それ以降も全国で孤独死あるいは孤立死と呼ばれるケースが相次いで発見され、地域社会の“無縁社会”化が、改めて問題視されました。

以前の孤独死は、家族構成の変化により独り暮らしをしていた老人が死後、だいぶ経過してから、久し振りに訪ねてきた親族に発見されるというのが典型パターンでありましたが、昨年のケースでは、複数の家族がなくなっていることさらには都市部に集中しているのがその特徴であります。

また、近年増加中の高齢者がその親を介護している、いわゆる“老老介護”の事例で、介護していた側が急病などで突然死し、副次的に動けない要介護者側が餓死するケースが増えているほか、貧困の拡大による生活困窮状態にある世帯が社会から孤立し、死に至るケースも目立ってきています。

孤独死もしくは孤立死には明確な定義がなく、死者数について統計データはありませんが、このような事案は増加しており、しかも高齢単身世帯の増加に伴い、今後ますます増えることが懸念され、自治体においてもその対策が求められています。

以上の点を踏まえ、孤独死・孤立死への対策について、以下3点にわたりお伺いします。

(1)無縁社会化に対する県の認識について

はじめに、無縁社会化に対する県の認識について、お伺いします。

また、無縁社会化を防止していくにあたり、県が担うべき役割をどのように認識しているのか、ご所見をお伺いします。

(答弁 ①)

(2)生活困窮者への対応について

次に、生活困窮者への対応について、お伺いします。

生活困窮者への自立支援については、今年度のわが会派の6月定例会の代表質問において、ここに居ります山本議員が質問し、支援の入口は相談支援であり、本県においてもワンストップでの相談体制が必要である旨を指摘したところですが、生活困窮による孤独死・孤立死が続く状況を鑑みれば、生活困窮者を早期に発見し、生活保護等の福祉サービスに結びつけていくことについても併せて求められるものと考えますが、生活困窮者への対応の現状について県の所見を伺います。

(答弁 ②)

(3)地域における見守り体制の構築について

最後に、孤独死・孤立死対策としての地域における見守り体制の構築についてお伺いします。

要援護世帯への対応として、高齢単身世帯や障害者と高齢の身内だけの世帯等孤独死・孤立死の発生リスクが高い世帯を中心に、地域における身近で日常的な見守りが効果的であるとの認識のもと、各地に取組みが広がりつつあります。

また、国は、一連の孤独死・孤立死の状況をうけて、昨年2月以降各省庁より発出され、さらに昨年5月には厚生労働省が各省庁から出された通知を包括する形で、「地域において支援を必要とする者の把握及び適切な支援のための方策等について」という通知を都道府県・政令市等あてに発出されています。

地域における見守りをしていくにあたっては、個人情報の共有が適切に行われる必要がありますが、地方自治体が保有している個人情報の取扱いについては、いわゆる「過剰反応」が見られることも指摘されており、そのことにより福祉部局と関係者の情報共有に支障を来たしているのではないかと危惧しているところです。

先の通知では、消費者庁や厚生労働省より、個人情報保護法においても、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときについては、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供できること」となっており、この規定について、国からも適切に解釈・運用するよう通知がなされているところです。

そこで、県内各市町または社協や民生委員協議会、神戸市ではふれまち協議会等の地域団体が、適切な情報共有のもと、高齢単身世帯や障害者と高齢の身内だけの世帯等、要援護世帯の異変を早期に察知し、救急救命、福祉サービス提供につなげていけるよう、孤独死を早期に発見するための見守り体制を構築していく必要がありますが、県としての取組み状況及び課題について、今後の展望と併せてお伺いします。

(答弁 ③)

2 高齢者を悪質商法から守る取組みの推進について

(1)高齢者を狙った悪質商法に関する消費者トラブルの現状について

次に、「高齢者を悪質商法から守る取組みの推進について」について、2点お伺いします。

はじめに、高齢者を狙った悪質商法に関する消費者トラブルの現状についてです。

高齢者が悪質な投資や訪問販売等の被害にあうケースが続発しています。

今年度の高齢社会白書によりますと、65歳以上のいる世帯は平成23年現在で1,942万世帯であり、そのうち、単独世帯は470万世帯と、約24パーセントを占めており、10年前と比べて、およそ1.5倍となっており、今後も単身世帯の高齢者が増加することが予想されています。

高齢者は健康や財産・住まいなどに対して不安を感じていることが多く、さらには独り暮らしの孤独感も大きいことから、悪質業者はこのような高齢者を狙い、必要のない商品やサービスを無理やり契約させようと言葉巧みに近づき、高齢者をねらった悪質商法によるトラブルが後を絶ちません。

しかし、被害額が少額である場合や、高度な法的問題も含むため、裁判費用を考え泣き寝入りするケースや逆に裁判するぞと脅され金額を振り込んでしまう場合も耳にします。

また、高齢者の消費者被害には,「だまされたことに気付きにくい」「被害にあっても誰にも相談しない」という特徴もあることのことで、表面化していないケースもかなりの数に上るものと思われます。

そこで、本県における高齢者を狙った悪質商法に関する消費者トラブルの現状について、県当局としてどのように把握しておられるのか、高齢者を狙った悪質商法の代表的な事例と併せてお伺いします。

(答弁 ④)

(2)高齢者向けの消費者トラブル防止対策について

次に、高齢者向けの消費者トラブル防止対策についてお伺いします。

高齢者に限ったことではありませんが、被害にあわないためには、悪質商法の手口を知っておくことが重要です。

県民一人ひとりが消費生活の知識を身につけ実践していくことは、消費者被害に遭わないためだけでなく、高齢者の生活の質を高めることや、資源を大切にすること、環境に配慮した消費生活を送っていくうえで重要であると考えます。

私個人の考えとしては、悪質商法の事例は様々でありますが、①寂しいからといって、家に入れないこと、②現金の振込みや契約をその場で執拗に求められたら悪質商法であることを、高齢者に徹底していくことが何より必要であると考えています。

そこで、最も被害の多い高齢者が悪質商法の被害に遭わないよう、高齢者トラブルを防止するための施策及び悪質商法事業者への対応、併せて今後の取組についてお伺いします。

(答弁 ⑤)

●県土整備部

1 大規模自転車道の利活用について

(1)自転車道の安全管理対策について

(2)自転車を活用した神戸電鉄粟生線等の利用促進について

(3)播磨中央自転車道の全線開通に向けた見通しについて

2 県立都市公園の市町への移譲について

(1)県立都市公園の市町への移譲条件について

(2)廃止による維持管理費の削減額について

(3)移譲後の運営に対する県の関わりについて

全文

決算特別委員会  [ 10月16日(水)県土整備部・石井(秀)委員 ]

1 大規模自転車道の利活用について

はじめに、大規模自転車道の利活用について、3点お伺いします。

今定例会で、和田委員より「淡路島のロングライド150」や「あわいち」の紹介がされ、淡路島内における自転車道の整備について質問がありました。現在、淡路島はサイクリストに大変注目されていますので、県として分かりやすい案内板や誘導サインの設置、さらには危険個所や駐輪スペースを整備していただけることは、自転車の愛好家として、また、全国高等学校選抜自転車競技大会などを誘致したいと思っている私として、大変興味深い質問でありました。

さて、本県における大規模自転車道は、自然公園やレクレーション施設等を結ぶとともに、増大する自転車利用に対処するため、昭和49年度から整備されています。昭和60年度に完成した全長35.0キロの姫路明石自転車道、昭和61年度から着手し平成6年度に完成した全長22.5キロの加古川右岸自転車道、平成7年に着手し、現在整備中の播磨中央自転車道線の3路線であります。播磨中央自転車道線は、来年度にはいこいの村はりまの南側のⅠ期工区13.6キロのうち未整備区間0.8キロの整備を完了する予定とお聞きしています。

この整備により東播磨・北播磨・中播磨の3つの県民局管内において全長71.1キロの自転車道が整備されることとなります。(本来でありましたら、各自転車道の特徴を紹介させていただきたいところですが、時間の関係もありますので、ここでは割愛させていただきます。)

昨今の自転車ブーム以前からも、全国的にも、本州と四国を結ぶ「しまなみ海道」に並行して走る全長80.4キロの「瀬戸内海横断自転車道」や近場では琵琶湖東部を走る全長26.2キロの「びわ湖よし笛ロード」などは、おすすめの自転車道であります。また先般訪問した安曇野では、「あづみ野やまびこ自転車道」や「安曇野スケッチロード」など、地域の観光拠点を生かした魅力あるコースづくりで人気を博しています。

今回の未整備区間の整備・開通に伴い、明石から加西まで自転車道で繋がることになります。長距離を楽しむサイクリストはもちろんのこと、家族連れや観光客などにも魅力を感じていただけるよう、整備するだけでなく、利活用してもらう仕掛けづくりが必要であると考えていますので、以下3点にわたり質問させていただきます。

(1)自転車道の安全管理対策について

はじめに、先程も紹介させていただきましたが、人気のある自転車道では、周辺にレンタサイクル施設を整えているほか、周辺の観光資源を生かしたモデル周遊コースの案内など、きめ細やかな対応がなされています。また、増加する自転車利用に伴い、自転車どうしの事故や歩行者と自転車が錯綜することによる事故が増加する傾向にあることから、自転車専用通行帯の整備や自転車歩行者道内の通行位置の明示など、自転車走行空間を確保していくことについても、きめ細やかな対応がなされているように感じています。

そこで、特に自転車道を安全に活用していただくため、自転車道の整備にあたり、横断交通に対する注意喚起の案内板や誘導サインの設置など、安全管理上の課題に対して、どのように考えているのかお伺いいたします。

(答弁 ①)

(2)自転車を活用した神戸電鉄粟生線等の利用促進について

次に、「自転車を活用した神戸電鉄粟生線等の利用促進」について、お伺いします。

粟生線の利用促進については、先ほど芦田委員から質問されたところですが、現在、神戸電鉄への自転車の持ち込みについては、「解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であって、折りたたんで専用の袋に収納したもの」に限り無料で持ち込むことが出来ます。

一方、近江鉄道などはサイクルトレインとして無料で自転車を車内に持ち込むことができます。

そういった事例を踏まえ、粟生線や北条鉄道に無料で折りたたまずにそのまま気軽に自転車を積むことができる環境を整えることができれば、サイクリストを神戸から集客することも一定程度期待できるのではないかと思いますが、鉄道を所管する県土整備部として、このアイデアを鉄道事業者へ提案することに対して、どのような所見をお持ちなのかお伺いします。

(答弁 ②)

(3)播磨中央自転車道線の全線開通に向けた見通しについて

最後に、播磨中央自転車道線の全線開通に向けた見通しについてお伺いします。

姫路明石自転車道の終点である明石には、明石公園内に自転車競技場があります。また、現在整備中の播磨中央自転車道線の本来の起点であります播磨中央公園にはサイクルランドがあり、点と点をしっかりと自転車道で結ぶことにより、自転車道としてより魅力ある仕掛けづくりができるのではないかと思っています。

本県の大規模自転車道は、昭和49年度の姫路明石自転車道への着手以来、着々と整備されてきた自転車道であり、全線開通により国内有数の魅力ある自転車道に発展できると思っています。残りの区間を整備していくにあたっては、既に整備された自転車道について、利用促進を確実に図っていくことがその条件となると考えていますが、全線開通に向けた今後の見通しについて、お伺いします。

(答弁 ③)

2 県立都市公園の市町への移譲について

次に、県立都市公園の市町への移譲について、お伺いします。

県立都市公園の市町への移譲については、3年前の新行革プランの総点検において、「地元利用率が高い、公園内の施設を地元市町が管理しているなど、地域性が強い小規模な都市公園」については、廃止することとし、神陵台緑地、明石西公園、西武庫公園、北播磨余暇村公園がその対象となりました。

また、廃止する施設のうち、地元市町が移譲を希望する施設については移譲するとの方針も併せて出され、その結果、昨年4月には西武庫公園については、尼崎市に、北播磨余暇村公園については多可町にそれぞれ移譲されました。

残念ながら、明石西公園、神陵台緑地については、市町との移譲協議が整わず、都市公園としては、廃止することになりました。明石西公園の南側の園地は隣接する県立がんセンター敷地として一般開放し、北側テニスコートは、体育保健課に移管したうえで県立神戸西テニスコートとして運営しています。また、神陵台緑地についても、環境林として一般開放され、いずれの施設におかれましても県民が利用する機能を残しつつ、県有財産として活用され評価しています。

その一方で、移譲した2施設については、移譲前の予算特別委員会で、ここにおられます、谷井委員より、市町に移譲する県立都市公園も含めた公的施設については、県は移譲交付金を渡すことで、移譲を完了したというのではなく、市町と一体となって、市町がきちんと運営できるようになったと確認できるようになるまでサポートしていくべきとの質問があったところですが、私は今回、昨年4月に移譲してから1年半が経過したこの機会を捉えて改めて、以下3点についてお伺いしたいと思います。

(1)県立都市公園の市町への移譲条件について

はじめに、県立都市公園の移譲にあたっての条件について、お伺いします。

(答弁 ④)

(2)廃止による維持管理費の削減額について

県立都市公園の維持管理費は、行革の取組みの中で削減してきていることと思いますが、この度、4公園を県立都市公園として廃止したことと併せて、県立都市公園全体に係る年間の維持管理費はどの程度削減されたのか、お伺いします。

(答弁 ⑤)

(3)移譲後の運営に対する県の関わりについて

最後に、移譲後の運営に対する県の関わりについてお伺いします。

移譲後にあっては、より住民に身近な市町により運営されることから、地域の主体的・自主的な運営による地域の活性化が期待できます。その一方で、移譲後においても、県民にとって必要な機能については、移譲前の水準を最低限維持していく必要があることから、移譲後も施設が適切に運営されているか、モニタリングしていく必要があります。

そこで、移譲した2施設における移譲後の運営について、これまで特に問題となった事例は聞いていませんが、移譲後の公園の運営に対して県としてどのように関わっているのか、ご所見をお伺いします。

(答弁 ⑥)

●企業庁

1 権現ダムの活用について

(1)権現ダムの安全管理について

(2)周辺道路を含めた権現ダムの活用について

2 アセットマネジメント推進計画について

3 進度調整池の現状と今後の対応方針について

4 今後の企業庁のあり方について

全文

質問日:平成25年10月18日(金) 質問者:民主党・県民連合 石井秀武 委員

1 権現ダムの活用について

(1) 権現ダムの安全管理について

先日、この決算委員会の県土整備部関連の質疑を行うに当たって、加西市の「いこいの村はりま」から加古川市にある権現ダムまでの播磨中央自転車道を、自転車に乗り現地調査を行った。その途中、道路沿いのため池では、道路の路肩から釣りを行っている人が何人もおり、すぐ脇をダンプカーが通り過ぎるという大変危険な状況であった。権現湖においても、立ち入り禁止の看板が設置されているにもかかわらず、同様に多くの人が立ち入って釣りをしており、中にはボートで乗り入れる人もいた。もはや付近の地域一帯がなし崩し的な状態になっているような状況であった。

私の地元、神戸市西区では、数年前にため池で遊んでいた児童がおぼれ、不幸にも亡くなる事故があった。その池の周囲には高さ約二メートルのフェンスが張り巡らされていたが、児童はフェンスを乗り越え池に近づき落ちたとみられている。権現ダムでは、立ち入り禁止の看板を設置されているようだが、残念ながらほとんど意味のないものとなっている。

このほか、釣り人が捨てるゴミの問題だけでなく、ボートで乗り入れた場合、エンジンからオイルが漏れると、水質に悪影響を及ぼし、工業用水を活用する企業に迷惑をかけてしまうなど、新たな問題も発生する。

そこで、企業庁として、同ダムの立入禁止区域についてどのような方針のもと安全管理をされているのか伺う。

(2) 周辺道路を含めた権現ダムの活用について

権現ダムは一周約10キロメートルあり、その周りの道路は、県道、市道そして企業庁がそれぞれ管理している。

近隣にある同じ工業用水道を供給する平荘ダムでは、普段から多くの方々が湖周辺をウォーキングやランニング、サイクリング等で楽しんでおり、駅伝大会も実施されている。

また、川西市にある、治水と上水の多目的ダムである一庫ダムでは、施設の見学会や周辺でマラソン大会が開催されている。

一方、権現ダムの周りには、市が管理するオートキャンプ場が隣接していることから、周りの道路と一体となった活用を見込むことができる。例えば、自転車レースのうち、一定時間での距離を競うエンデューロという耐久レースを周りの道路で実施すれば、高速道の出入口からも大変近く、多くの参加者が見込まれると考える。

さらには、来年度、播磨中央自転車道第1工区(13.6km)が完成する予定で、これによって加古川右岸自転車道と繋がって、加古川流域で一連の自転車道が形成されることになる。権現ダムはそれぞれの道路を繋ぐ中継地となり、今後、周辺道路において多くの自転車愛好家らの利用が見込まれると考える。

そこで、資産の有効活用や地域おこしといった観点から、周辺道路を含む権現ダムの活用について、県民局や市役所などの団体から、県民が広く参加できるイベントを開催する旨の申し出があった場合、企業のための工業用水道のダム施設ではあるが、企業庁として協力が可能かどうか伺う。

2 アセットマネジメント推進計画について

全国的に水道・工業用水道施設の多くは建設から数十年が経過しており、老朽化対策が急務となっている。

本県でも例外ではないことから、企業庁におかれては、水道・工業用水道施設にかかる修繕・更新を計画的に行うため、平成20年度にアセットマネジメント推進計画を策定し、効率的かつ効果的な修繕・更新工事の実施に取り組まれている。

同計画は、平成21年度から60年度までの40年間を計画期間とし、管路施設、電機・機械設備、土木・建築施設についてそれぞれ使用目標年数を定め、計画的に修繕・更新工事を実施することとなっており、特に、水道施設については、費用総額が40年間で約2,100億円となっている。

そこで、今後、施設更新のピークについて、どのような見通しを立てておられるのか、また、そのための財源確保対策である建設改良積立金積み立ての考え方とも合わせて伺う。

3 進度調整地の現状と今後の対応方針について

企業庁では、地域の活性化、熟成に向けて地域整備事業として、播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市、神戸三田国際公園都市などにおいて、企業誘致あるいは宅地分譲などに取り組まれている。

24年度実績では、21.4ヘクタールの分譲が行われたが、未売却面積は174.5ヘクタールあり、現在、住宅分野の景況が好調な中で、今後は分譲すべき用地は早期分譲に努めるなど、一層の誘致分譲に期待するところである。

一方で、播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市には、現在、事業展開がなされていない広大な土地、「進度調整地」を保有されている。

それらの進度調整地は、維持管理にかかる費用は低いと推測されるが、取得された時とは社会経済情勢も大きく変わっていることから、特段の対応方針を定めず、長期間保有し続けることは望ましいものではないと思われる。

本年度は、新経営ビジョンの策定や第2次行革プランの3年目の見直しの年で一つの契機であり、進度調整地は何らかの方向性を示す必要があると考える。

そこで、進度調整地の現状と今後の対応方針について伺う。

4 今後の企業庁のあり方について

企業庁は、昭和41年に工業用水道事業と電気事業の2事業を行う企業局として発足、昭和49年に組織の強化を図るために企業庁に改組され、県民生活や産業活動に不可欠な水道用水や工業用水の安定的供給、地域の魅力と活力を高める地域整備などに取り組まれてきた。

しかし、近年においては人口減少社会など社会経済情勢の変化の中で、水需要や土地需要が減少するなど、企業庁を取り巻く環境が大きく変化している。

水道事業を見ると、アセットマネジメント推進計画に基づいて老朽化施設を更新しながら、引き続き安心・安全な水の供給に取り組んでいく必要があるものの、一方では、例えば、東京都において、海外の水道設備を受注するため、第3セクターを創設し、今年4月には台湾と技術協力に関する覚書を締結するなど、新しい事業展開に取り組んでいる団体もある。

また、地域整備事業についても、産業用地、住宅用地の分譲が進み、終了に向かいつつある地区もある。

一方で、今年度からは再生可能エネルギーの普及拡大を図るため、ダム堤体など既存のインフラを利用して、20年間にわたってメガソーラー事業に取り組まれている。

以上のように、事業に一定のめどが付きつつあると思われるが、厳しい社会・経済状況の中、第2次行革プランを基本としつつ、企業庁として従来から行っている事業のみを粛々と行っていくのか、もしくは時代の要請に応じた新たな事業を展開していくのか、今後の企業庁のあり方、存在意義についてご所見を伺う。

以上

石井 秀武
神戸市西区

山本 千恵議員

●企画県民部②

1 災害時要援護者支援指針と支援体制について

(1)災害時要援護者支援指針の策定について

(2)実効性のある支援体制づくりについて

2 防災リーダーや防災士の活躍の場について

3 自主防災組織の訓練の実施について

全文

質 問 日:平成25年10月9日(水) 質 問 者:山本 千恵委員

1 災害時要援護者支援指針と支援体制について

(1)災害時要援護者支援指針の策定について

県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成14年に「災害弱者支援指針」を、また、19年には「災害時要援護者支援指針」を策定し、同時に市町が参考にするモデルマニュアルを作成した。

今年6月には、東日本大震災を契機として、今後30年以内に60%~70%の高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震をはじめとする自然災害への備えを高めるとともに、障害者や高齢者あるいは外国人県民など、地域における災害時要援護者の対策を強化することを目的に、この災害時要援護者支援指針を改定したところである。

今年6月の本会議代表質問においても、本格的な少子高齢化社会を迎え、介護を必要とする高齢者等が増えるほか、経済社会のグローバル化などにより来日外国人が今後、一層増えることが予想されるなかにおいて、これら災害時要援護者に対する発災直後から当面の間の避難後生活の支援体制の必要性について当局の所見を求めたところである。

被災者の中でも災害時要援護者とされる方々については、それぞれニーズが様々であり、そのニーズに応えていくためにはそれらを集約できる各分野の専門コーディネーターが必要である。

そういった意味では、本指針は、よりきめ細かく支援体制を網羅したものであると思うが、そこで、本指針の改定にあたっては、11名の委員で年5回会議を行ったと聞いているが、委員の選任について、選任方法及びどのような分野の委員が選任されたのか、伺いたい。

(答弁①)

(2)実効性のある支援体制づくりについて

次に、いざという時に本指針が最大限に活かされ、災害時要援護者へのサポートがいきわたるためには、具体的な訓練や関連組織との協力関係、定期的なプロセスの確認を重ねてこそ、非常事態における臨機応変かつ的確な支援を行うことができる。
例えば、平成19年に結ばれた近畿2府4県の協定による災害時通訳登録制度は、災害時に要援護者となる日本語が十分でない外国人被災者に対して、災害時通訳をメインとする支援技術を持ったボランティアの相互協力、つまり被災地外からの災害時通訳ボランティアを派遣し合う協定である。

災害時の通訳は非日常の言葉が多いため知識が必要となるが、共通のトレーニングを行うことで、数少ない支援者を被災地外から互いに融通して窮地を乗り切る仕組みとなる。

この登録制度によれば、ボランティア登録をする人は年1回程度の研修会の参加が求められているが、私が確認したところ、本県では昨年度は他府県が実施している研修会を斡旋する程度で、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県として、このような状況で良いのか、という思いがある。

本指針が絵に描いた餅にならないために、実効性のある支援体制づくりを進める必要があると思う。

そこで、実効性のある支援体制を構築していくためには、多くの部局が関係して、横断的に対応していくことが必要であると考えるが、その点について当局の所見を伺いたい。

(答弁②)

2 防災リーダーや防災士の活躍の場について

災害に備えるソフト面の取り組みの代表格として、「防災リーダー」の養成事業があげられる。平成24年度実績では、決算額705万円、新たな防災リーダーが239人誕生し、総数は1,406人となった。

防災リーダーは、自主防災組織のリーダーとして、平常時には防災訓練の実施や地域住民に対する防災知識の普及・啓発など、また災害時には、避難誘導や初期消火、給水・給食など自主防災組織の活動を効果的に実践するために、中心となって活動を行っている。

一方で、「防災士」という資格がある。これは、(特非)日本防災士機構による民間資格であるが、消防本部や日本赤十字社の「救急法等講習」、「普通救命講習」、「上級救命講習」も修了しており、防災等について知識を備えた人材である。

防災士に関しては、兵庫県防災士会という形で組織化されており、地域の防災活動に参画し、災害の事前対策や応急対策等、地域の防災活動計画に助言を行うなどの活動を行っている。

防災教育を広める観点、またいざという時に「地域の中の頼れるリーダー」であるためには、防災リーダーや防災士会の会員が、それぞれの役割を明確にしつつ、地域で活動する場が増えることが望ましい。

そこで、防災リーダーの育成だけではなく、防災士を含めた活躍の場がどの程度確保されているかについて、当局の考えを伺いたい。

(答弁③)

3 自主防災組織の訓練の実施について

兵庫県下には、5,716の自主防災組織があり、そのうち約92.5%は町内会を単位としている。隣保協働の精神に基づく自発的な防災組織として位置づけられ、市町村がその充実に努めるものと規定されている。

コミュニティの重要性については誰もが認識するところで、防災に限らず、子育てや見守り、町並みの手入れや交通安全など、日々の生活の中の助け合い支え合いが日常の中にあり、いざというときには、その日頃のつながりが力を発揮する

県政推進プログラム100の中に、「全ての自主防災組織での毎年1回以上のより実践的な防災訓練の実施」がある。訓練実施率の具体的な数値目標を掲げて取り組みを進めており、平成24年度は全自主防災組織の90%が訓練を実施する計画に対して、実績は73.0%にとどまっている。過去3年の実施率を見てみても、22年度は目標80%に対して72.1%、23年度は目標85%に対して71.2%、24年度が目標90%に対して73%と実績がほぼ横ばいであり、5%ずつ実施率が上昇する計画とはほど遠い結果となっている。

理由としては、担い手の高齢化や訓練ノウハウの不足などがあげられているが、この理由は23年度のできなかった理由と同じである。23年度の反省を踏まえた24年度の取り組みが、功を奏さなかったということになるのか。

そこで、過去3年間の取り組みの結果、大きな効果が上がらなかったことを踏まえ、まず、今年度の取り組みの現状と方向性について、当局の所見を伺いたい。

(答弁④)

●健康福祉部

1 EPA介護福祉士への日本語支援について

2 県営住宅を活用したステップハウスの活用方策について

(1)平成24年度における利用実績について

(2)今後の活用方策について

3 民間シェルターの利用実態について

全文

質 問 日:平成25年10月10日(木) 質 問 者:山本 千恵委員

1 EPA介護福祉士への日本語支援について

EPA介護福祉士とは、経済連携協定に基づき、外国人の介護福祉士候補者を受け入れるもので、現在では、平成20年度からインドネシアと、21年度からフィリピンの2カ国との間で受け入れ事業を実施している。

具体的には、日本の介護施設で就労・研修をしながら、日本の介護福祉士資格を目指すもので、これまでに1,091人を受け入れてきたところである。

既に、現在においても介護人材の不足は周知の事実であるが、平成27年にはベビーブーム世代が前期高齢者に到達し、その10年後の37年には高齢者人口は約3,600万人に達すると推測され、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるいわゆる2025年問題は社会保障費の急増という面だけでなく、介護を必要とする方、認知症の方の増加に伴い介護キャパシティの絶対的な不足が懸念される。

本事業は、国庫10/10の事業であるため、県の支出を伴わないが、既に、県内においても受け入れが行われており、就労や研修などの取り組みが進められている。

経済連協定のもと、相手国との経済上の連携を強化する観点でスタートしたものではあるものの、海外人材の活用は、介護業界においても十分担い手となり得ると考える。

しかしながら、日本の介護現場で就労し、国家資格を取得することは、容易なことではなく、言葉の壁をはじめ生活習慣の違いなど乗り越えなければならない問題は多く、これまでの国家試験の全体の合格率は6~7割であるのに対して、EPA受け入れの外国人候補者の全国平均の合格率が4割程度、一方で兵庫県は3割を切る状況である。

日本語の指導を事業所任せにしていては、指導の内容にバラツキが生じ、非効率的であるし、候補者同士の励まし合いができない。

全額国庫事業であるとはいえ、県としても本事業の内容や実績を把握し、必要

な支援を講じるべきと考える。

そこで、せっかく県費を使わずに事業実施ができるのであれば、本事業の効果を上げるために、日本語能力の向上という点について、県としても支援策を検討すべきと考えるが、当局の所見について伺いたい。

(答弁①)

2 県営住宅を活用したステップハウスの活用方策について

(1)平成24年度における利用実績について

昨年9月の本会議一般質問において、県営住宅を活用したステップハウスの利用について、平成21年度以降、利用のない状況に対して、ニーズとシーズのミスマッチを指摘したところである。

当局からは、この点について、同様の機能を果たし、職員も常駐する母子生活支援施設への入所希望者が多かったことから、このステップハウスの利用がなかったとの答弁があった。

このステップハウスは、DV被害者が緊急一時保護施設を退所し、その後の家庭生活を再建するための準備施設であり、県下では県営住宅を活用して5戸用意しているものである。

このことを考えてみても、地域社会の中で地域住民とも関わりながら、より自立を促進していくためのものであって、母子生活支援施設の目的や制度導入の趣旨も違うのではないかと思う。

そこで、まずこのステップハウスの24年度の利用実績について伺いたい。また、入居促進に向けたこれまでの取り組みについて伺いたい。

(答弁②)

(2)今後の活用方策について

一時保護施設を退所したDV被害者が自立に向けて、本当に何を必要としているのか、また、一方で行政としても、地域住民と一緒に安心して暮らしていくためにはどういうサポートが必要なのかを見極めることができなければ、今後も、低利用・未利用の状況は続くであろうし、そもそも、ステップハウスとして県営住宅を5戸も確保しておく必要があるのかということにもなりかねない。

一方で、県営住宅の中には、都市部に位置してアクセスも良いところは、若い夫婦や高齢者にとっては人気であるが、抽選倍率が高くなかなか空きがないような状況にある。

これらステップハウスとして優先的に確保している県営住宅について、より効果的に活用していくために、当局としてどのような方策を考えているのか所見を伺いたい。

(答弁③)

3 民間シェルターの利用実態について

県内におけるDV相談件数は、年々増加の一途をたどっており、昨年度の相談件数は15,278件で、平成20年度の12,872件と比べると、この5年間で2,400件も増えている。

相談を受け付けている機関によって相談件数に多少の増減はあるものの、傾向としては、県関係機関における相談から市町の相談窓口に相談することが増えてきているように読み取れる。これは、地域住民の関心の高まり等を受け積極的な広報活動を実施するなど、これまでの取り組みが功を奏し、とにかく相談してみようと雰囲気ができてきているのかもしれない。

相談件数の増加とともに増えているのが、一時保護件数である。基本的には女性家庭センター一時保護所において一時保護するが、女性家庭センターが満室となった場合は、民間シェルターを含む緊急一時保護委託施設で保護を行う。

県をはじめ行政にとっても、これまで以上にDV対策にしっかりと取り組んでいく必要性を感じるところである。24年度決算では、民間の支援団体が運営する一時保護施設である民間シェルターへの緊急一時保護に関する業務委託は4団体に対して合計8,852千円となっており、平成24年度当初予算は2,815千円だったので、想定以上の一時保護が発生したことがわかる。また、過去3年間の緊急一時保護実数は、平成22年度は1,508件でうち民間シェルターが695件、平成23年度が2,384件、うち1,207件、平成24年が4,990件、うち1,719件。民間シェルターの実際の現場では、被害者やその子どもを含めて、一人一人に応じた非常にきめ細やかな対応がとられている現状を考えれば、金銭的に施設運営は非常に厳しいと言わざるを得ない状況である。

先に述べたとおり、県では、女性家庭センターの一時保護所が満室となった場合に、厳しい運営実態の民間シェルターを含む一時保護施設に依存しなければならないが、この状況について、どのように分析されているか、急激な緊急一時保護件数の増加に照らして当局の所見について伺いたい。

(答弁④)

●公安委員会

1 警察署協議会について

2 女性警察官の環境整備について

全文

●農政環境部

1 山田錦について

(1)ほんまもん山田錦拡大支援事業について

(2)山田錦の安定供給に向けた取り組みについて

2 環境配慮への取り組みについて

(1)環境マネジメントシステムの取り組み状況について

(2)中小企業の温室効果ガス削減に向けた取り組みについて

全文

質 問 日:平成25年10月11日(金) 質 問 者:山本 千恵委員

1 警察署協議会について

警察署協議会については、平成23年度決算特別委員会において、水田裕一郎委員が取り上げた際、設置から10年を経過しての成果・検証について、協議会委員からの意見や要望などが県警察の業務改革のきっかけとなる等、答弁されている。

県下48ある警察署協議会の運営費に、24年度は、1,579万3,000円の予算が計上されているが、内訳は、おおよそ1協議会あたり30万円強で、主に年4回四半期毎に行われる会議に委員が出席する際の報酬や旅費に充てるお金である。

そこでまず、お尋ねするが、当局として警察署協議会をどのように活用しようと考え、また、当協議会をどう位置づけているのか伺いたい。

あわせて、協議会や委員に対してどのような成果をもたらしてくれることを期待しているのか、その達成度をどのように捉えているのかについて示して欲しい。

(答弁)

2 女性警察官の環境整備について

女性警察官の対応が求められる事案も増えており、女性警察官を増加するべく、積極的な採用努力も重ねていると聞いているが、現在、県下では809名(6.8%)の女性警察官が、県民の暮らしを守るために活躍をしている。809名の女性警察官は、巡査、巡査部長で9割強を占めていて、警視、警部、警部補はまだまだ少なく、これからに期待したいところである。

女性警察官には、どんどん活躍してほしいわけですが、平成25年の2月定例会における女性警察官の環境整備についての質問の答弁で、「全署に女性専用の仮眠室は設けられているものの、シャワー室については男女兼用となっている署や女性専用の仮眠室やトイレが設置できていない交番がある。」とのことであった。

24年度決算における警察施設の新増改築、整備に要する警察施設整備費の執行状況は、予算現額17億8,482万円に対し、執行額は17億8,267万円、不用額は214万円と執行率99%を超えている。

その主なものは、神戸水上警察署改築移転整備事業(本庁執行分・工事請負費)として10億9,781万円、生田警察署元町通交番庁舎新築ほかに1億5,265万円、留置施設整備工事ほかに5,882万円、佐用警察署耐震改修に2億3,304万円である。

先の9月には、「緊急に措置すべき事業の実施」として、当初の2署を含み追加で35署のシャワー室の整備(5,604万円)とレディース交番(932万円)の仮眠室整備が進められることになった。

そこで、今なお設備が不足している署や交番がどの程度あるのか、整備見込についてお伺いする。

(答弁)

●病院局

1 看護師の働きやすい職場づくりについて

2 医療事故防止標準マニュアルの活用について

3 県立こども病院の運営について

全文

質 問 日:平成25年10月18日(金) 質 問 者:山本 千恵委員

1 看護師の働きやすい職場づくりについて

県立病院に勤務する職員は、平成24年4月1日現在で5,273人と前年度に比

べて389人増加している。そのうち、看護師は3,541人と全体の約7割近くを占める。

本格的な少子高齢化社会を迎え、近年、全国的に医療現場において医師・看護師の不足が深刻化しており、特に、看護師については、離職率が10%台で推移するなど、看護師不足の大きな要因とも言われている。

そのような中にあって、20年度以降の県立病院における看護師数の推移をみると、年々、増加傾向にあり20年度の3,013人に比べると、24年度は528人増加しており、看護師の確保に様々な取組みが功を奏していると考える。

しかしながら、夜勤や救急の対応などによる精神的、肉体的な負担は大きく、特に、看護師は女性が多いことから、育児・子育てなどの家庭生活との両立が難しいことも指摘されており、このことは、本県の県立病院においても同じことが言えると思う。

そこで、過酷な職場環境に置かれている看護師が離職することなく、働き続けられる職場づくりを目指して、これまでどのような取り組みをしてきたのか、当局の所見を伺いたい。

また、高度専門・特殊医療を担う県立病院の看護師が高い志を持って働くためには、質の向上が欠かせないと思うが、これまでどのような取り組みをしてきたのか、あわせて伺いたい。

(答弁①)

2 医療事故防止標準マニュアルの活用について

医療事故防止標準マニュアルは、平成14年8月に策定されて以来、これまでに4回の改定を重ね、医療に対する社会的ニーズの変化に適切に対応したマニュアルとなっている。

このマニュアルの内容は、医療事故防止の基本事項から始まり、医療事故防止のポイントが行為別に細かく示され、想定されるヒヤリ・ハット事例とその防止策が紹介されるなど、現場で実践的に使える内容であると思う。

現在、県下の県立病院には、5,000人を超える職員が従事しており、医師、看護師、薬剤師、放射線技師等の正規職員のほかにも、看護補助者等の非正規職員や調理員等の委託業者が従事している。これらの方々も県立病院に従事している以上、直接、医療行為に関わらないとしても、医療事故に関与する可能性は否定できないと思う。

医療事故は、合併症もあれば、ヒューマンエラーに他ならない医療過誤もあるが、いずれにしても医療現場において必ず人が関わっている。

そこで、以上のようなことを鑑みると、リスクマネジメントの側面から考えて、非正規職員や委託業者を含めた全ての病院関係者が、医療事故防止に関する知識を持つべきと考えるが、医療事故防止標準マニュアルをどのように活用されているのか、当局の所見について伺いたい。

(答弁②)

3 県立こども病院の運営について

県立こども病院は、平成28年度のポートアイランドへの移転に合わせ、神戸市立中央市民病院・救命救急センターや低侵襲がん医療センター、チャイルドケモハウス等との連携をはじめとする医療の高度化やサービスの向上、小児がん拠点病院としてのさらなる機能充実を目指しており、県民の期待は非常に大きい。

一方、県内唯一の小児専門病院として、今後、重い疾病で苦しむ子どもや家族の様々なニーズにより一層応えていく必要もあると思う。

子どもが重い病を患ったり、病状が重篤化した際に治療を受けられる病院があることが、子どもやその家族にとって安心できる環境であると思う。

そこで、県下の重い疾病に苦しむ多くのこどもが、居住する地域にかかわらず、必要な場合にはこども病院の診察を受けることができる体制整備が必要であると考えるが、当局のご所見を伺いたい。

(答弁③)

山本 千恵
伊丹市

前田 ともき議員

●財政状況

1 財政フレームの中間実績について

(1)歳入の計画と実績について

(2)歳出の計画と実績について

(3)アベノミクスの財政フレームへの影響について

2 人口減少による長期財政への影響と収支の見通し

3 未利用容積(空中権)の活用による歳入確保について

4 宿泊税の創設について

5 ふるさと納税の抜本的改革

(1)ふるさと納税のこれまでと改善について

(2)クラウドファンディングの活用について

(3)個別プロジェクトごとの寄附について

(4)各部局の自主財源として

全文

平成24年度決算特別委員会質問要旨(財政状況)

質 問 日:平成25年10月8日(火)

質 問 者:前田 ともき委員

1 財政フレームの中間実績について

平成24年度決算で財政フレームの前半5年が終わったことになる。

ストック部分については、単年度決算を見ても、計画と実績のかい離が比較的わかりやすいが、フローの累計金額による計画と実績のかい離については、なかなか分かりにくい。前半5年間の累計額を見ることで、単年度の特殊要因に左右されない、これまでの努力の成果が表れるのだと思う。

また、財政フレームは全体感を把握する上では非常に重要である一方で、数値を何とか調整するやり方もいろいろと議論があったところ。

19年度の決算委員会でも議論があったように、600億円以上の歳入欠陥が法人関係税収の減少と地方債発行抑制によってもたらされ、年度後半の一部事業中止などの混乱が起こった。県税の多くは景気に大きく左右される。

日銀神戸支店の調査によると、バブル崩壊後の失われた20年で兵庫県経済の平均経済成長率は0.1%と全国平均(0.68%)を下回り全国45位とあったが、よく見ると、前半の震災影響に伴うもので大きく全国平均を下回り、直近では全国平均よりちょっと上ということでホットした。

やはり、財政フレームの中でも影響力の大きい、重要な指標である中間進捗というものをここで一度確認しておく必要がある。

そこで、以下3点について伺いたい。

(1)歳入の計画と実績について

県税収入について、財政フレーム開始の平成20年度から24年度決算までの5年間の累計ベースによる当初計画額と実績額について伺いたい。

(答弁①)

(2)歳出の計画と実績について

次に、扶助費等の社会保障関係費について、財政フレーム開始の平成20年度から24年度決算までの5年間の累計ベースによる当初計画額と実績額について伺いたい。

また、人件費の状況についても同様に当初計画額と実績額について伺いたい。

(答弁②)

(3)アベノミクスの財政フレームへの影響について

名目成長率3%、インフレ2%を達成した場合の財政フレームへの影響について、県債残高の多い本県においては、インフレ転換による金利上昇も大きく影響すると思うが、この点について当局の所見を伺いたい。

(答弁③)

2 人口減少による長期財政への影響と収支の見通し

昨年の本会議一般質問で、人口減少社会への対応として、インフラを「使う」から「捨てる」も視野に入れ、広範囲に広がった人口分布の在り方を、インフラや生活の質の維持コストから考え直し、縮小都市への転換を提言した。

人口減少はインフラ以外にも大きな影響を及ぼす分野がある。それは納税者の絶対数が減少することによる税収減、一方で人口減少と連動しては減らない固定費的な社会保障費やインフラ・箱もの維持費、そこで懸念されるのが数十年後といった人口減少が現実化したときの、本県の長期財政への影響である。

平成17年3月に県が発表した「人口減少社会の展望研究報告書」によると、62年までに本県の人口は12年に比べて約100万人減少すると予想されているが、人口減少と共に税収も右肩下がりになるという危機感を抱いている。

24年度における本県の税収は、個人県民税が2,115億円、地方消費税が1,016億円、自動車税が630億円で、この3税は人口減少と一定の相関関係といえるだろう。

また、市町村税については、総務省の「平成25年版地方財政の状況」によると、市町村民税の個人分32.8%、固定資産税44.0%という構成になっており、人口が減少する、地価も下がり、住宅も下がる、となると短期的には地価が上昇しているところもあるが、数十年という長期の時間軸でみると、個人住民税や固定資産税もやはり人口減少の影響を免れない。

 30年度までの財政フレームは、内閣府が公表している名目経済成長率の見込みをベースに県税等を見込んでいる。安倍内閣は名目成長率3%を掲げており、私自身もそうなったらいいなと強く思う。

行財政構造改革調査特別委員会の我が会派での意見表明では、財政フレームにおいて31年度以降も一定年度表示すべきと提言した。

そこで、人口減少による税収見込みという点について、平成62年には本県の人口は、100万人減少すると予想されているが、その人口減少に起因する県税収入全体の減少額がどの程度であると予想しているのか伺いたい。

また、大きく影響の受ける税目とその減少額はどれくらいであると予想しているのか伺いたい。

あわせて、高齢化により平成31年度以降も増加が見込まれる本県の社会保障費について、どのように考えるのか伺いたい。

(答弁④)

3 未利用容積(空中権)の活用による歳入確保について

従来から予算・決算委員会において、県有地の活用や未利用地の売却が議論されてきた。

新行革プランにおいても、低利用・未利用財産等の処分(売却・交換・貸付等)計画の推進や県有施設の有効活用、利活用などが図られている。

今回は、私は未利用地だけでなく、未利用容積の売却についてお伺いしたい。

平成24年に東京駅がグランドオープンし、丸の内近辺も大規模な再開発がなされている。その再開発を促進しているのが、特例容積率適用地区制度であり、東京駅が駅舎復元費500億円のうち300億円を同制度で調達された。東京駅が同制度、唯一の事例でもある。

容積率の移転制度は、隣接地間での移転を可能とする一団地の総合的設計制度、計画の一体性を要する容積適正配分型地区計画や特定街区などが存在し、様々な場面で活用がなされている。しかし、特例容積率適用地区制度は、従来制度とは異なる、より自由度の高い、より合理的な制度だ。また、首都高の建設費の調達方法としても、特例容積率適用地区制度と他の制度を組み合わせて資金調達する案も浮上している。

 私の確認したところでは、兵庫県や県警本部で保有している土地価格は約300億円から400億円はあると踏んでいる。神戸市が保有する土地も含めるとかなりの金額になりそうだ。当然、これらは未利用地ではなく、既存の建物が建っているので土地そのものは売却できない。しかし、例えば、過去に、県公館の未利用容積を県警本部建て替え時に適用した事例もあり、そのほかにも、容積率をフルに使える未利用地があるのではないか。他にも、従来は容積率をフルに活用していたが、都市計画の変更によって容積率が上昇した結果、未利用容積が増えたところもあると考えられる。

これまでの未利用地の駐車場等への転用といった平面的な活用から一歩踏み込んで、未利用となっている容積率いわゆる空中権部分を行政財産から一般財産に変更した上で賃貸や売却することで、新たな歳入確保が期待できるのではないか。

そこで、厳しい財政状況の下、既存の総合的設計制度や新しい特例容積率適用地区制度も活用することで歳入確保が図られると考えるが、当局の考えを伺いたい。

(答弁⑤)

4 宿泊税の創設について

私は、これまでに観光を産業のこれからの一つの柱と考え、カジノ・コンテンツ・クルーズ・メディカル・スポーツなど多くの観光施策を提言し、概ね提言したいことは網羅した。あとは食くらいか。

我が国では、本年6月に閣議決定された日本再興戦略において、訪日外国人旅行者数を平成42年には本年の3倍の3,000万人を目標とするなど、観光産業の振興は更にその重要性が増しつつあり、このたび決定した32年の東京オリンピック開催に向け今後の展開が期待される。本会議でも、我が会派の石井健一郎議員からこれからの本県の産業構造、従来のモノづくり1本からの脱却について質疑があった。

しかし、足りないものがある。それは財源だ。観光広報を中心とする諸外国の政府観光局の予算案でも、韓国293億円、マレーシア132億円であるのに対して、日本は31億円と大幅に財源と広報が不足している。

本県の24年度の観光関連の決算を見てみても極めて少ない。ファムトリップで50万円とか。桁が1つ違うのではないか。フィルムコミッション向け200万円でいったい何ができるのか。最近ではチンタオで中国版ハリウッド創るぞってことで8,000億円の投資。現状の予算規模では、ヨーロッパやアメリカはおろかアジアでも勝てるわけがない。

平成18年1月に財団法人日本交通公社が発表した「自主研究レポート2006」によると、4泊5日の国際旅行を標準モデルとした支払税額(宿泊、レンタカー、飲食、航空に関する税総額)は、世界主要52都市の平均は14.0%で、1位はコペンハーゲンの24.3%、一方、東京は6.3%と52都市の中で6番目に低く、このことは、ニューヨーク州のホテル税が約6%と、ホテル税だけで年間約5億ドルの税収があり十分な財源が確保できているのに対し、本県の観光ツーリズム関連予算は約2億円しかないことからみても明らかである。

税収確保の機会損失、更に観光振興の財源不足の原因ともいえる状況と考える。

観光振興のための財源確保として法定外目的税、レンタカー税やレストラン税など諸外国で導入事例は各種あるが、県民の負担感や徴収効率の妥当性から、いわゆるホテル税の導入を提案したい。

そこで、観光産業の振興を図るためにも自主財源の確保は重要であり、地域の理解を得ることのできる観光施策を考えることも含めて宿泊税を創設すべきと考えるが、この点について当局の所見を伺いたい。また、例えば、一律1泊100円として宿泊税を導入した場合の本県の税収について伺いたい。

(答弁⑥)

5 ふるさと納税の抜本的改革

増収策については、新しい制度を提言した。

今回は既存のふるさと納税制度、従来からその強化に関する提言は委員会等でなされている。

ふるさと納税の意義は素晴らしい。井戸知事もふるさと兵庫を県政推進6つの約束の1つとして掲げ、4期目再選を果たした。意義は素晴らしい、税制上も非常に有利だ。しかし、うまくいっていない。

制度の創設から5年。今年9月に総務省が行った「ふるさと納税に関する調査」では、都道府県と市町村を加えた寄付金総額は、初年度の77億円から毎年微増を続け、平成23年度は震災の影響で138億円と大幅に増加したが、翌年度は96億円までに落ち込んだ。

そこで、以下4点について伺いたい。

(1)ふるさと納税のこれまでと改善について

「ふるさとひょうご寄附金」について、過去5年の寄附金の推移、「ふるさとひょうご応援サイト」の過去5年のページビューの推移とこれまでふるさと納税制度について、どのような改善がされてきたのか伺いたい。

(答弁⑦)

(2)クラウドファンディングの活用について

まず、資金調達の仕組みを抜本的に改善しなければならない。ふるさとひょうご応援サイトや啓発リーフレットでは、全国に散らばる兵庫県民や趣旨に賛同する人々にリーチできない。コストも高額になる。そこで、クラウドファンディングを提言したい。

 これは、インターネットを通じて、個人やNPO、ベンチャー企業が個人投資家から小口の資金を調達するもので、世界の資金調達金額は、平成21年、5億ドルから23年、51億ドルと5年で10倍の急成長を遂げている。本年6月に閣議決定された日本再興戦略においても、資金調達の多様化でクラウドファンディングが記載され、法整備に向けて議論が始まっている。

 この仕組みは行政の寄付募集と一番親和性が高いと考える。1個人・1NPO・1企業ではどうしても詐欺リスクがある。これまで、証券取引法で個人向けに広く企業の資金調達を制限してきた理由でもある。しかし、行政ではどうか?その詐欺リスクは低く、個人も安心して寄付ができる。

そこで、ふるさと納税にクラウドファンディングを主軸とするべきと考えるが、当局の考えについて伺いたい。

(答弁⑧)

(3)個別プロジェクトごとの寄附について

本県のふるさと納税は現在、寄付者に対して寄付金額の使途を特段に限定せずに募集している。これでは、絶対集まらない。ふるさと意識を持つ人は兵庫県へではなく、自分の生まれ育った市町村に寄付をするだろう。そこで、大事なのは県が行う意義あるプロジェクトに賛同してもらう人に訴えること。兵庫県はピッコロ劇団1.8億円など多様な意義ある事業を実施しているが、厳しい財政においては継続断念となる可能性もある。名古屋市営東山動物園ではクラウドファンディングでコアラ保存の資金調達を行い、1週間で目標の3倍300万円、最終的には約470万円を調達した。

ふるさと意識だけに訴えるのではなく、「兵庫県の鳥コウノトリを守ろう」や「鎮魂の思いをつないでいこうルミナリエ」とか各プロジェクトの趣旨・意義に賛同する人々を全国から集めるよう、事業ごとにふるさと納税の寄付先を選定できるように変更すべきと考えるが、当局の所見を伺いたい。

(答弁⑨)

(4)各部局の自主財源として

 財政の自由度が狭まる中で、新規事業や意欲的な事業を実行することがなかなか難しい現状にある。職員の皆さんのモチベーションは給与削減や超過労働によってのみ下がるのではなく、県民のため、政策実現を行いたい。しかし、予算がなく、仕事はルーティング中心。というところにもモチベーション低下が出てくるように思う。

予算節約インセンティブ制度がある。長く続く行革で金額的にはほぼ機能していない状況だと思うが、各部局の既存事業をふるさと納税の対象にして、寄付金額の何割、つまり資金調達分の何割かは、新規事業の予算として認めるといったインセンティブ制度は考えられないか、この点について、当局の考えを伺いたい。

(答弁⑩)

●産業労働部

1 ひょうご経済・雇用活性化プログラムの評価について

2 ひょうご産業活性化センターについて

(1)平成24年度の活動実績と評価について

(2)センターの位置づけについて

(3)民間公募・生え抜き強化について

3 民間経済団体との連携について

4 補助金・融資等の不正受給防止について

5 メザニン融資制度の創設

(1)県制度融資の実績等について

(2)メザニン融資制度の創設

全文

質 問 日:平成25年10月11日(金) 質 問 者:前田 ともき委員

1 ひょうご経済・雇用活性化プログラムの評価について

ひょうご経済・雇用活性化プログラムは、10~20 年先を見通し、本県のあるべき産業構造を実現するため、経済・雇用分野での県政運営の基本的な考え方及び平成23 年度から25 年度の具体的施策を示すもので、名目県内総生産20兆円を目指すとある。

雇用無くしては、職を求めて人口流出が加速する、そして兵庫県は衰退する。

所得拡大無くしては、生活の安定は無く、県民生活は不幸になる。経済成長無くしては、県財政は悪化の一途をたどり、県民負担は重くなる。企業の活性化は県民の幸せ、兵庫県財政の将来を担う、極めて重要な政策であると考えている。

 そこで、まず、全体目標である名目GDP20兆円への挑戦を掲げる本プログラムについて、雇用状況も含めて24年度の成果指標に対する評価について伺いたい。

(答弁①)

2 ひょうご産業活性化センターについて

(1)平成24年度の活動実績と評価について

 公益財団法人ひょうご産業活性化センターは、県内事業所の99%をカバーし、雇用の80%を担う、中小企業の経営支援や企業誘致、県内企業の海外展開支援など雇用でも経済成長でも大きな役割を担う、総合支援の最前線である。

そこで、まず本県経済活性の一翼を担う、当センターの平成24年度の活動実績とその評価について伺いたい。

あわせて、24年度において、センターが支援した起業件数や中小企業の経営改善動向とその評価について伺いたい。

(答弁②)

(2)センターの位置づけについて

中小企業に対する支援体制については、国、県、市、さらには各種団体、民間企業も含めて多様で複雑である。

そこで、先日開催された行財政構造改革調査特別委員会において、我が会派からは、全ての公社・外郭団体について改めてゼロベースから見直すことを提言したところであるが、当センターの存在意義や組織及び費用対効果上のこれまでの改善点について伺いたい。

(答弁③)

(3)民間公募・生え抜き強化について

次に、兵庫県から派遣している部課長職以上の人数とこれまでのキャリアパスについて伺いたい。

また、経営経験のない県職員が中小企業支援の最前線に幹部として派遣することのメリット・デメリットについて、当局の考えを伺いたい。

(答弁④)

3 民間経済団体との連携について

全ての行政の施策は、皆さんの声を広く、深くお伺いしながら、政策立案・意思決定を行っていくことが大事であり、我々議会もその一翼を担っているわけである。特に、産業活性化、企業経営の部分は、企業経営者の話を真摯にうかがう必要があると思う。

激しいグローバル競争社会の中で、1秒の人件費なんぼで工数改善とか1銭単位の経営改善を図っており、行政では正直まねができないと思う。

先日も、昨年10月にアメリカのニューヨークを襲ったハリケーンによる被害者向けに食糧配給をするボランティアが「トヨタ生産方式」を採り入れ、食糧配給の効率を大幅に改善したという記事を見た。ローラーコンベヤーによる受け渡しやスペースに無駄のない箱設計などの改善で、配給にかかる時間が3時間から1.2時間に激減したということである。

つまり、企業は絶え間ない改善努力とその能力を十分に有しているわけだが、行政の規制や支援の不備により、日本の製造業が6重苦にあるともいわれる中で、行政も企業経営と同様のスピード感で改善していく必要がる。

 その点では、兵庫県商工会議所連合会や神戸経済同友会のような、民間企業や経済人が組織した経済団体との連携はもちろん、その提言も企業経営の現場からの意見として、真摯に検討すべきだ。

そこで、平成23年度、県に対して、用途地域の規制緩和、分譲価格の適正化の環境整備により、企業立地を促進することなどを要望した兵庫県商工会議所連合会や、

海外からの企業誘致のために外資保税地域の創設などを提言した神戸経済同友会など、本県経済を活性化しようとアイデアを出している経済団体との連携状況と今後の方針について伺いたい。

(答弁⑤)

4 補助金・融資等の不正受給防止について

 みずほ銀行が系列のオリエントコーポレーション提携ローンを通じて、230件、2億円の自動車購入資金の融資を行っていたとして大問題になっている。オリコといえば、東証一部上場企業で総資産4兆円以上の大手信販会社である。そのレベルでも、その審査の網をすり抜けて、暴力団向けの融資が実行されていた。

また、今年6月には、神奈川県相模原市の機械部品製造業者が国の中小企業緊急雇用安定助成金約5億円を不正受給していたことが判明した。

反社会的勢力はもちろん、一般企業でも悪意を持って行政の助成金を搾取しようと狙っている事例が散見される。

そこで、まず産業労働部では、一般企業も交付対象とするような補助金や委託料について、暴力団関係か否かの照会を原則実施しているのか伺いたい。

また、補助金や委託料のほか県の制度融資も含めて、不正受給防止や反社会的勢力根絶に向けたチェック体制のあり方について、当局の所見を伺いたい。

(答弁⑥)

5 メザニン融資制度の創設

(1)県制度融資の実績等について

 既に、県では、金融機関や兵庫県信用保証協会と連携して、中小企業向けに開業資金から設備投資向け資金、新規事業のための資金など多様なラインナップをそろえている。

 しかし、今年8月の日本経済新聞において、国内銀行の預金に対する貸出金の比率(預貸率)は、6月に70.4%と四半期ベースで過去最低を更新したと報道されていた。

特に、中小企業の取引先が中心の信用金庫は初めて50%を割ったことは、中小企業向けの資金調達の環境にも影響を及ぼすと考える。

金融緩和が行われているものの、本来資金が必要とする企業に資金がきちんと供給されていないのではないかという危惧がある。

 そこで、まず、24年度における制度融資の融資目標と実績及びその評価について伺いたい。

(答弁⑦)

(2)メザニン融資制度の創設

そこで、提案したいのがメザニン融資制度の創設である。

メザニンとは中2階という意味だが、株式と借入の間の条件、他の債権よりも返済順位が劣り、元利金の返済期間を長期化させる代わりに、金利が高めに設定された融資で資本性融資ともいえる。

PFIへの資金供給に一部民間企業もメザニンでの供給を行っているが、まだまだこれから。特に、官民インフラファンドはメザニン部分への資金供給が柱とされている。

平成20年4月に、日本政策金融公庫が、創業や新事業展開等に取り組む事業者の財務体質強化を図るための資金として取り扱いを開始した「挑戦支援資本強化特例制度」は、融資期間が7年以上15年以内で期限一括返済、1年ごとに直近決算の業績に応じて8.55%、4.75%、0.90%の3区分の利率が適用され、無担保・無保証という、従来の融資プランからは考えられない、まさに中小企業のニーズにマッチしたメザニン融資制度の一つではないかと思う。

リスクの取り方が難しい面もあるが、民間金融機関からの資金調達が困難な中小事業者の資金需要に応えるためにも、メザニン融資制度の創設が必要であると考えるが、この点について、当局の所見を伺いたい。

(答弁⑧)

●公安委員会

1 犯罪インフラ撲滅による犯罪の未然防止について

2 警察組織の生産性向上に向けた取り組みについて

(1)情報分析支援システム(CIS-CATS)の運用状況等について

(2)組織や人員配置の見直し警察組織の効率的な運用について

3 適正な自動車の速度規制のあり方について

全文

決算特別委員会  [ 10月11日(金)公安委員会・前田委員 ] 

1 犯罪インフラ撲滅による犯罪の未然防止について

はじめに、「犯罪インフラ撲滅による犯罪の未然防止について」お伺いします。

犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいい、基盤そのものが合法なものであっても、犯罪に悪用されている状態にあれば、犯罪インフラとして含むものであります。

振込詐欺などの特殊詐欺の被害は、今年の1月から6月で211億円余りに上り、過去最悪だった2012年の上半期の155億円に対して約56億円上回り、被害額は1日平均1億円を超える状況となっています。また、最近では有名人に成りすまし、不特定多数にメールを送って出会い系に登録させ、サイト利用料の名目でおよそ37万人余りから、116億円以上を集めていた詐欺グループが警視庁に摘発されたケースもありました。

犯罪者は手を変え品を変えながら、被害者を作り出し、たとえ、警察が犯人を摘発しても、被害者には被害額はほとんど返ってこないものと思います。

従いまして、やはり犯罪を起こさせない、犯罪グループが組織的に効率よく運営できないような、未然抑止が重要で、そのためには、犯罪を効果的、効率よく達成するためのツールとして利用される他人名義の携帯電話や預貯金口座、外国人犯罪を助長するヤード、規制薬物等の密売などのためのネット上の闇サイトや掲示板、偽装のための身分証明書やバーチャルオフィスなど様々な犯罪ツールについて、利用される前に撲滅していくことが、犯罪の未然防止、被害者の拡大を防ぐ、根源的な対策に繋がっていくものであります。

犯罪インフラは、近年、詐欺、窃盗、サイバー犯罪等のあらゆる犯罪の分野で着々と構築され、巧妙に張り巡らされており、治安に対する重大な脅威となっています。警察庁でも、平成23年3月から犯罪インフラ対策プランを策定し、本県警察においても、同年6月から対策推進室が設置されています。

そこで、本県警察における、これまでの犯罪インフラ撲滅策への取り組み状況について、その成果及び現状の課題と併せてお伺いします。

(答弁 ①)

2 警察組織の生産性向上に向けた取り組みについて

(1)情報分析支援システム(CIS-CATS)の運用状況等について 

次に、警察組織の生産性向上に向けた取り組みについて、お伺いします。

警察部門は、治安維持という住民サービスに直結する部門で簡単には削減するわけにはいきませんが、兵庫県警察は約1.2万人の大組織で、それなりの経費もかかっていることも事実です。従いまして、警察組織におきましては、捜査費用等も際限なくあるわけではありませんので、常にかかっている費用を意識しながら、業務の合理化・効率化に取組んでいただきたいと考えていますので、あえて、ここでは「生産性の向上」と表現していています。

今年度の予算委員会でもICTを活用した捜査の効率化について提言させていただいたところであります。その際にも指摘いたしましたが、将来的な人口減少や予算制約に伴う警察官の削減という議論も十分にありえるので、ICTの活用により人的資源を補っていく視点が必要であります。

警察組織におけるICTへの投資としては、平成21年から全都道府県で運用が開始されているCIS-CATSは、犯罪手口・犯罪統計や地図情報や被疑者の写真などのデータベースを統合した、情報分析支援システムがあります。

CIS-CATSを活用した犯罪関連情報の総合的な分析を進め、捜査の方向性や捜査の優先順位の判断を支援することなど、捜査効率をいかに高めていくかが重要であります。加えて、また、ICTを苦手とする高齢警察官も、積極的にシステムを活用することにより、これまで現場で培った知識や経験と併せて、より効率的な捜査に繋げていただきたいところです

そこで、本県におけるCIS-CATSのこれまでの運用状況について、現状抱える課題とともにお伺いします。

(答弁 ②)

(2)組織や人員配置の見直しによる警察組織の効率的な運用について 

次に、組織や人員配置の見直しによる警察組織の効率的な運用について、お伺いします。

先ほどはICTでしたが、次は、直接的な生産性の向上についてです。誰しも同じような光景を見たことがあるかも知れませんが、私も生産性に疑問を持った経験があります。数年前、県内の主要幹線道路で車の接触事故を見かけました。破損の状況はさほどひどいものではありませんし、夜遅くなので交通量もそんなに多くはない状況でしたが、警察官が7・8人で対応していました。素人目線でも明らかに人員が多いのではないかと正直思いました。

事故の当事者同士が言い争っている場合や、安全確保の必要性の程度については、実際に現場に駆けつけて見ないと、一概に必要な人員が確定しないのかもしれませんが、どのようなケースにどれだけの警察官を投入するのか、一定の判断基準が必要なのかもしれません。

この点、平成12年度より実施されています、警察改革の一環で、警察庁長官官房長から、「人員の配置と運用の抜本的な見直しについて」の通達がだされています。この通達には、業務の在り方や必要性にまで踏み込んだ見直しや効率運用に向けた人員と組織の見直しなどについて、徹底的に合理化を推進するよう指示がなされているところです。

そこで、この通達を含めた、人員・組織・業務の在り方、効率的な運用に向けたこれまでの取り組み状況について、今後の見通しとともにお伺いします。

(答弁 ③)

3 適正な自動車の速度規制のあり方について

最後に、「適正な自動車の速度規制のあり方について」について、お伺いします。

自動車の速度規制は交通安全や円滑化などの観点のみならず、地域経済にも影響を与えています。

企業や工場を誘致する際には、移動時間の短縮が経済効果に直結することから、交通アクセスは重要な判断要素の一つになります。北近畿豊岡自動車道の整備により、豊岡市から兵庫県庁までの所要時間が約20分短縮され、所要時間の短縮による経済効果は年間約187億円に上ると予想されています。地域間の往来に係る時間が短縮されますと当然に、交流人口が拡大し、地域経済の活性化に繋がっていくことが期待されます。

警察庁は平成21年10月に新たな速度規制基準を17年ぶりに導入し、基準速度は従来どおり40~60 km/hとしたまま、通行機能を重視した構造の道路では70・80km/hが可能とする一方、生活道路は原則30km/hのメリハリある規制速度に改めました。いわゆるゾーン30もこの流れで創設されたものです。

今年の8月に警察庁交通局より公表されました資料「速度規制の見直し状況と課題」によりますと、平成21年度から23年度の全国の見直し状況は一般道36.2%、生活道路区間規制38.2%、自動車道路45%、生活道路区域規制いわゆるゾーン30が43.6%となっています。本県警察における速度規制の見直しの状況について速度規制の見直し後の変化とともにお伺いします。

(答弁 ④)

●教育委員会

1 ICTを活用した教育について

(1)ICTを活用した授業の実績と評価について

(2)MOOCS(大規模公開オンライン講座)への参加

2 スポーツ振興について

(1)スポーツ施設の整備と民間施設の誘致について

(2)スポーツ部局の組織強化

全文

質 問 日:平成25年10月17日(木) 質 問 者:前田 ともき委員

1 ICTを活用した教育について

(1)ICTを活用した授業の実績と評価について

平成23年4月、文部科学省は、教育の情報化に関する総合的な推進方策である「教育の情報化ビジョン」を策定し、2020年までに電子黒板を1クラスに1台整備、タブレット等の情報端末を児童・生徒に1人1台整備としている。本年6月に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言でも、2010年代中には、全ての小学校・中学校・高等学校・特別支援学校等で教育環境のIT化と、学校と家庭がシームレスでつながる教育・学習環境の整備を目指すとある。

文部科学省の平成24年度の学校における教育の情報化の実態に関する調査結果によると、ソフトでは、ICT活用指導力研修を受講した教員の割合は、全国平均は28.2%で、兵庫県は全国平均を上回っている。一方で、教員のICT活用指導力が全国で30位台と低迷している。ハードは、校務用PC配備や電子黒板など7項目のうち5項目が全国平均を上回っている。

そこで、教員のICT活用指導力が全国で30位台と低迷している理由と、また、ICTを活用した授業のあり方について、教師側及び生徒側の評価をどう捉えているのか、当局の所見を伺いたい。

(答弁①)

(2)MOOCS(大規模公開オンライン講座)への参加

MOOCSはMassive Open Online Courses の略で、「大規模公開オンライン授業」の意味で、インターネットを通じて全世界どこでも、無料で、いつでも授業を受講できるサービスである。

スタンフォード大学の教授によって創立されたコーセラは、世界有数の大学90大学で約500講座、全世界500万人が登録しており、スタンフォード大学やイエール大学、東京大学も講義を提供している。

また、カーンアカデミーは初等教育から大学レベルの講義まで、物理、数学、生化学から美術史、経済学、ファイナンス、さまざまな科目のビデオ教材が4,200本もアップされて、世界中で月間600万人が学習しているとされている。

そこで、本県のMOOCSへの参加を提案したい。例えば、日本史の安土桃山時代の授業。MOOCSで教える教師を、自薦・他薦で募集し、選考委員会で教師を選定し、MOOCSプラットフォームで授業を無料配信する。

どんなメリットがあるのか。教師のメリットは、授業の教材開発やノウハウ共有化がより低コストで、より多くの教師が、より便利に可能となる。スーパーティーチャー派遣事業で約23百万円、約1,000回の模擬授業や研修派遣を実施しているが、ネットを活用すれば、授業を欠席した場合の代替授業や復習への活用、別の教師の授業を見ることでセカンドオピニオン的な活用、更には経済的に塾に通えない生徒の支援にもなる。他にも、県はインスパイアハイスクール71百万円や特色ある教育課程で約5.2億円などの多様な授業の提供に努めている。約6億円の費用をかけているが、ネットを活用すれば、無料で特色ある授業を県下の高校生はもちろん、全国の人々が生涯学習としても受講できる。このように教師・生徒の双方に大きなメリットがある。

そこで、本県においてもMOOCS活用によるオンライン授業配信を実施すべきと考えるが、当局の所見について伺いたい。

(答弁②)

2 スポーツ振興について

 「兵庫県スポーツ推進計画」は重点目標を5項目定めているが、私が特に重要視している成人のスポーツ実施率と手軽に参加できるスポーツ環境の整備について伺う。

私はこれまでスポーツ振興を掲げてきた。それは、単純にスポーツって素晴らしいというだけではない。スポーツ・運動の実施率向上により、本県財政の改善に寄与すると考えているからだ。

 高齢化により、介護費・医療費が増加している。先日の財政状況決算委員会でも平成20年度から24年度の5年間だけで、介護費・医療費等の社会保障関係費が計画よりも645億円増加していることが判明した。

この増加をできるだけ緩やかにしなければならない。そのためには、健康寿命の延伸と延伸のための認知症・メタボ・ロコモ3大対策。その解決策が運動実施率の拡大だ。

 では、なぜスポーツか?この会議室の中にいる人に、毎日1万歩歩けというと地獄やーと声があがる。しかし、ゴルフを毎日1ラウンドしろといったらどうか。天国やーという人も出てくる。

つまり、同じ運動強度METS数でもスポーツを通すことで、運動が無理なく楽しくできる。だから、スポーツ強化を訴えており、県民アンケートでもスポーツ振興のために県に求める事業のトップはスポーツ環境の整備だ。

 そこで、以下2点について伺いたい。

(1)スポーツ施設の整備と民間施設の誘致について

兵庫県スポーツ推進計画では、平成33年度の最終目標として身近に利用できるスポーツ施設数を1,900としているが、直近の整備の進捗状況と今後、どのような施設を強化していくのか当局の所見を伺いたい。

また、行政中心のスポーツ施設・サービスでスポーツ実施率向上に向けた取り組みが十分と考えるのか、民間のスポーツ・運動施設の誘致のための支援制度の創設をスポーツ×健康寿命の延伸、スポーツ産業振興の観点からも健康福祉部や産業労働部と連携して、すべきと考えるが当局の所見についてあわせて伺いたい。

(答弁③)

(2)スポーツ部局の組織強化

兵庫県スポーツ推進計画に基づき、平成33年度までの10年をかけて、ハード・ソフト面でスポーツを推進しているなかにあって、生涯スポーツ関係の24年度決算額は僅か8,356千円であるが、他方で組織を強化することにより、スポーツを推進していく体制も必要と考える。

そこで、スポーツ振興課をスポーツ振興部への格上げやスポーツ監の設置をすべきと考えるが当局の所見について伺いたい。

(答弁④)

●病院局

1 県立病院における治験の取り組み状況について

2 経営形態の検討状況について

3 認定看護師・専門看護師の養成について

全文

決算特別委員会  [ 10月18日(金)病院局・前田委員 ] 

1 県立病院における治験の取り組み状況について

はじめに、県立病院における治験の取り組み状況についてお伺いします。

我が国では、新開発の薬を患者に投入できるまでの時間差、あるいは海外での新薬を国内承認できるまでの時間差であるドラッグ・ラグや先端医療機器の承認が遅れ、使えるようになるまでのデバイス・ラグが他国に比べて長くなっており、治験体制の未整備がそのボトルネックの1つとされています。

国では、その充実・強化を図ることを目的として、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」を2012年3月に発表されました。そこでは、早期・探索的な段階の臨床研究・治験の実施体制の整備、企業主導治験以外の医師主導治験や臨床研究に対する更なる支援についても、その必要性が指摘されています。

また、県立病院においても、病院構造改革推進方策の中で、県立病院の医療水準を向上するため、各種の臨床研究を推進するとともに、医薬品等の安全性を高めるとともに、医療の質の向上を図るため、臨床治験を推進することを基本方向としていますが、人口あたりの大学病院や国立病院が全国的にみても少ない本県においては、治験拠点医療機関の指定を受けているがんセンターを拠点病院として、神戸医療産業都市との連携や「早期・探索的臨床試験拠点」・「臨床研究中核病院」の指定も視野に入れながら、ぜひとも積極的に臨床治験に取組んでいただきたいと思っています。

そこで、これまでの県立病院における治験及び臨床研究の実績について、今後の臨床治験の取組みの見通しとともにお伺いします。

(答弁 ①)

2 経営形態の検討状況について

次に、病院事業の経営形態の検討状況についてお伺いします。

県立病院改革プランの終期である平成25年度までは、地方公営企業法の全部適用を維持し、経営改善や診療機能の充実など病院構造改革に取組むとしており、平成23年度の決算特別委員会においても小田議員の質問に対して、その旨の答弁がありました。

病院構造改革推進方策の実施計画においては、独立行政法人化した他府県の事例等を調査・検証など、本県病院事業にふさわしい経営形態のあり方を検討するとしています。具体的には独立行政法人化した他府県の事例等を調査・検証とあります。また、独立行政法人化により、業績や職責に応じた弾力的な人事給与制度による医師・看護師確保対策の推進や予算の複数年主義への移行、診療時間や組織の弾力化や業者選定の柔軟性確保など多くのメリットがあります。その一方で、独法化にあたってシステムの改修や規程類の策定などのイニシャルコストがかかることや新たな機関の増加による意思決定の複雑化、理事長による専断等のデメリットも考えられます。更なる、病院改革の推進のためにも医療サービスの低下を招かないよう、本県の県立病院の状況を踏まえた抜本的な経営形態の改善を検討していく必要があると考えています。

そこで、今年度終了まであと半年を切る状況となりましたが、他府県の事例調査・検証の結果など、病院事業の経営形態の検討状況について、今後の見通しと併せてお伺いします。

(答弁 ②)

3 認定看護師・専門看護師の養成について

最後に、認定看護師・専門看護師の養成についてお伺いします。

認定看護師は、21分野の熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護が実践できる看護師で、高度化・専門分化が進む医療現場において、実践、指導および相談の3つの役割を果たし、看護ケアの広がりと看護の質の向上を目的として制度化されたものであり、日本看護協会が策定した資格認定制度の資格の一つであります。今年の7月現在全国で12,522名の登録があり、うち560名が本県の登録となっています。

一方、専門看護師は、より複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して、水準の高い看護ケアを効率よく提供するための知識や技術を備えた特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する看護師で、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つの役割を果たし、認定看護師と同様に、日本看護協会が策定した資格認定制度の資格の一つであります。昨年12月現在全国で1,048名の登録があり、うち94名が本県の登録となっています。

資格の取得には、通算5年以上の実務研修、うち3年以上は認定看護分野の研修があることに加え、認定看護師は6ヶ月以上の教育課程を、専門看護師については看護系大学院修士課程修了者で所定の単位の取得をそれぞれ経て、日本看護協会の試験に合格しなければならないこととなっており、非常にハードルが高いものとなっています。

看護師不足への対応も重要な課題となっておりますが、採用した看護師の資質向上を図っていくことは、医師を含めた医療チームの質の向上につながることから、より良質な医療を提供していくにあたり欠かすことができないものであるとともに、看護師自身のキャリアアップにも繋がっていくものであります。

そこで、県立病院における認定看護師・専門看護師養成に向けた取り組みとその実績・評価とともに、資格取得者に対する処遇についてお伺いします。

(答弁 ③)

前田 ともき
神戸市東灘区