予算特別委員会質問(健康福祉部)
平成26年3月6日(木)
1 児童養護施設入所者の18歳を超える場合の支援について
(1)措置延長の適用状況について
最近、日本の親の保育放棄に対し、専門家はネグレクトという言葉を使用しています。ネグレクトとは、無視する・軽視するという意味で、マザーテレサは、愛情の反対は無関心と言っています。そこで社会的ネグレクトを受けていると言えるかもしれない児童養護施設の子供たちの将来について質問します。
親がいない児童や、虐待とかネグレクトで親と切り離す必要がある児童・生徒は、児童養護施設で生活し学校に通っています。しかし、原則的に18歳になると同施設を出なくてはなりません。仮に大学に行きたいと思っても、その後の住居や生活費等の社会的支援はなくなり、自立しなくてはなりません。大学には奨学金制度がありますが、入学金・授業料だけで奨学金は消えてしまいます。その他に、生活費・住居費が必要となることを考えると、大学進学を諦めてしまう生徒が多いというのが現状です。
子供は親を選べませんし、子供に罪はありません。教育の機会均等という意味からも、進学したいという子供は、社会全体で支援すべきだと思います。そして大学進学希望者には、児童養護施設の入所を卒業まで可能にして頂きたいと思います。
一方、高校を卒業したのち就職した子供が、仕事とのミスマッチが原因で3カ月以内に職を辞める場合が非常に多いと聞いています。しかも、彼らには親や相談相手がおらず、注意をしてくれる人もいなければ、話を聞いてもらえる人もいません。児童養護施設から切れた子供たちは、住む場所の支援もなくなり、まさに社会からもネグレクトされるという現実になります。そして、仕事を辞めれば崩れていく場合が多く、犯罪に手を染めることに進行していくこともあります。
20歳以上の成人の場合は、本人の責任と言えます。しかし、未成年のうちは、親・社会にも責任があります。特に、児童養護施設を18歳で退所してから成人までの支援が必要だと考えます。児童福祉法の適用は18歳迄で、まさに18~20歳のこの時期が、法の狭間となっています。この対策として、児童養護施設の入所年齢を2年延長し、せめて未成年の間は、住宅の心配をする必要がない状態にすべきだと考えます。さらに大学進学を目指す若者には大学卒業までの入所を認めるべきだと思います。
そこでお尋ねします。確かに児童福祉法第31条では、措置延長することが出来るとなっています。しかし、この「申し込みがあった場合は措置延長出来る」という表現は、いかにも“面倒を見てやっても良い”という上から目線であるため、使い勝手が悪いと思います。現実に、この措置延長を適用している子供は、県全体で何人いるのでしょうか?またどのような場合に、この規定が適用されているのでしょうか、まずお尋ねします。
(2)未成年者等に対する入所支援について
措置延長の適用が1割強という現状では、十分活かされているとは到底言えません。本当に子供たちの立場からの措置延長ではないことに大きな問題があると思います。児童・その親から申込みがあってから、措置延長をするという待ちの姿勢ではなく、行政から積極的に働きかけることが必要だと思います。更に、原則として全ての児童を延長対象として捉え、意向確認を行った上で、児童が自立して生活を希望する場合であっても、社会人や大学生となって困った時には、いつでも施設に相談が出来る等の見守りの体制を築いて頂きたいと願うものです。
子供には責任がない中で、親がいないから勉強する機会が奪われるとか、住む所がないというのは、何としても避けなくてはなりません。施設で育ち、懸命に生きようとしている若者から、将来の夢や希望を奪うことにならないよう、是非、18歳を超える場合にあっても、せめて未成年には大学進学を含めて入所支援を求めるものですが、基本的な考え方をお尋ねします。