ふるさと納税の適正な運用を求める意見書
意見書 第57号
近年、ふるさと納税の受入額が急増している。2012年度までは年間100億円前後の水準で推移していたが、2014年度には389億円、2015年度には1,653億円に上っている。その大きな要因として、一部の自治体が、多くの寄附欲しさに、高級牛肉などの高額な地産品や換金性、資産性の高い商品券などを返礼品に採用し、テレビや投資雑誌に特集が組まれ、見返りを目当てにふるさと納税を行う寄附者が増えていることなど問題点が指摘されているところである。
一方、自治体が集めた寄附金も、かなりの部分が返礼品や仲介事業者に費やされている。さらに、寄附者の多くは、得られる返礼品目当てで、寄附の使われ方については関心が薄いという指摘もあり、制度本来の趣旨から逸脱するおそれがある。
このような状況を受け、総務省は、昨年4月に、換金性、資産性の高い返礼品や返礼割合の高い返礼品を送付しないよう、良識ある対応を求める通知を自治体に発出したが、強制力がないため十分な改善には至っていない。
よって、国におかれては、ふるさと納税制度が寄附者のふるさと振興への思いを反映し、経済的な見返りを求めない寄附金を活用して地域活性化を図る観点から創設された趣旨を踏まえ、自治体による寄附金の過度の受け入れ競争にならないよう、総務省通知の内容が適切に実行されるような措置を講じられることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年3月24日
兵庫県議会議長 藤 田 孝 夫