第339回定例県議会 予算特別委員会 <病院局>
質問日:平成30年3月7日
議員名:前田 ともき
1.特定行為研修制度について
これまでチーム医療関連では、認定・専門看護師の養成やかかりつけ薬局の強化を指摘してきました。5年前の決算委員会で、まだ議論中だが実現を期待したいと申し上げた特定看護師が、2015年10月に特定行為研修制度として開始されました。これは、緊急度・重症度が高い患者への初期医療のための呼吸器・カテーテル管理や疼痛、不安、認知症関連の 症状の38の医療行為ができることになり、チーム医療の更なる推進に期待がかかります。
厚生労働省は2025年までに10万人以上養成する目標を掲げ、日本看護協会は、その意義として、在宅医療、外来、超急性期医療においては、看護師が病態の変化や疾患と患者背景を包括的にアセスメントし、特定行為も含めた医療・看護を提供する看護師を養成する必要がある、と発表しています。が、2017年12月段階で研修修了者は738人と進んでいません。研修には1年間と50万円程度の費用が必要となり、その負担は重い。さらに、医師の過労問題、残業代の未払いにも焦点があたりつつあります。
厚労省は医師の働き方改革に関する検討会を設置し、本年2月には「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」が病院団体向けに発出されました。しかし、中身は在院時間の管理や36協定の自己点検などの現状把握が中心。構造的に医師不足の対策につながるのは、この特定行為研修くらいではないでしょうか。
そこで、特定行為に係る看護師を含め認定看護師など専門的な技術・知識を習得した看護師の県立病院の今後の運営における意義と位置づけについて所見を伺います。また、専門的技術・知識を備えた看護師の養成にかかる研修等の費用は、公費で負担するものもあると伺っているが、その職員が研修終了後にすぐに退職してしまった場合には無駄になってしまうので、退職せずに働き続けてもらうための仕組みづくりが必要と考えるのですが、所見を伺います。
2.AYA世代の妊娠可能性(妊孕性)の温存について
思春期 と若年成人の英語頭文字を取って AYA世代。概ね15歳から40歳未満を対象にしたこの言葉を目にする機会が増えてきました。年間100万人のがん罹患者がいらっしゃいますが、40 歳未満でがんと診断 されるのは、2万数千人。全体の、数%なのでAYA世代特有の問題への対策が進んでいません。病院局には、がん治療前の生殖能力の温存について伺います。
さて、この問題を作るきっかけを作ったのは19歳でガンを発症した、妻:弘子との会話です。彼女は、数ヶ月前にがっかりした調子で僕にこういってきました。「どうやら妊娠は難しいかも。子供がとっても欲しかった」と。僕は驚きました。ただ、驚いたのは彼女の妊娠が難しい話ではなく。彼女がそのリスクを5年後に知ったということです。
抗がん剤を使うと生殖機能が落ちるとも言われていますが、術前に精子・卵子凍結して妊娠可能性を確保することも可能です。国立がん研究センターの調査では、15~29歳の10年生存率は男性が66%、女性が75%。今後の医療技術の進歩を考えると、将来の妊娠・子宝を期待していい数値だと思います。昨年7月、日本ガン治療学会はガイドラインを発表し、国立がん研究センター東病院は専門電話相談を設置しました。
ここ数年で急速に対策の必要性が認識され始めたものの、医師にこの問題がどれだけ周知されているか。患者にしっかりと情報提供されているのか懸念を持っています。そこで、県立病院での現状と今後の対策について伺います。