議会の動き

予算特別委員会◆20年02月定例会

副委員長  竹内 英明  議員(姫路市)
理  事  迎山 志保  議員(加古川市)
委  員  石井 健一郞 議員(神戸市灘区)
委  員  相崎 佐和子 議員(伊丹市)

竹内 英明 議員
 財政状況 | 企画県民部① | 病院局 | 公安委員会

迎山 志保 議員
 企画県民部② | 健康福祉部 | 教育委員会 | 総括審査

石井 健一郞 議員
 企画県民部① | 産業労働部・労働委員会 | 県土整備部 | 企業庁

相崎 佐和子 議員
 財政状況 | 企画県民部② | 健康福祉部 | 公安委員会 |
 農政環境部 | 県土整備部

<竹内 英明 議員>
●財政状況
1 県税収入の落ち込みと将来負担比率目標の下方修正について
2 兵庫県の財政状況と国の経済成長シナリオを用いた税収増想定のリスクについて
3 実質公債費比率対策と繰上償還について
(1)1,805億円の繰上償還と実質公債費比率の算定について
4 財政フレーム上の将来負担比率について
(1)実際より低く想定されてきた理由について(交付税措置率の過大見積もり)
(2)地方交付税(基準財政需要額算入見込)を過大に見込んでいた額について
(3)適正化の契機について
5 行財政運営審議会の見直しについて
(1)意見書作成者について
(2)審議会委員の人選について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(財政状況)

日 時:令和2年3月5日(木)

質問者:竹内 英明 委員

1 県税収入の落ち込みと将来負担比率目標の下方修正について

今回提案されている税収等の落ち込みだが、2019年度の330億円の減少から2028年度の690億円まで全て合計すると10年間で5545億円の減収となる。

一方、税収の落ち込みをカバーする地方交付税は1035億円しか増えない。交付税がなぜ増えないかは後に詳しく取り上げるが、収入が10年で4510億円も減少するのに支出を抑える方向にいかず、将来負担比率の目標の下方修正、つまり負担の先送りで対応しようとしている。具体的には現行の行財政運営方針では、将来負担比率は2028年度で219.3%となる見込みを今回274%に修正し、目標を280%程度とした。

274%想定だとしても将来負担比率が現計画より54.7%悪化するということだが、%だけでは金額がわからない。仮に直近の決算に基づく将来負担比率の分母から分子としての将来負担額を明らかにされたい。

2 兵庫県の財政状況と国の経済成長シナリオを用いた税収増想定のリスクについて

知事は行革で収支不足が解消され、今後攻めに転じるという意気込みを見せるが、本当に兵庫県の財政は良くなったのか。

実際は2018年度決算、新行革プランの11年で将来負担比率は361.7%から339.2%と22.5%改善されたに過ぎない。22.5%とは兵庫県の直近決算に基づく将来負担比率の分母8874億円で計算すると1997億円となる(8874×22.5%=1997億 ※H30決で試算)。大きく財政が好転したとは言えない。将来負担比率はワーストのままだ。

一方、同じ阪神淡路大震災の被災自治体である神戸市は三宮再開発など社会インフラの整備に舵を切る方針と聞く。神戸市の財政は政令市の中位程度に改善され、将来負担比率は71%と兵庫県とは比較にならないほど改善した。財政支出できる段階といえばそうだ。

そんな中で、本県の今後の税収の見通しはどうなのか。国の経済成長シナリオを用い、県税収入も右肩上がりとなっている(各年度3%増など)。2020年度当初予算の県税収入を1として名目の経済成長率を複利で計算していくと本計画の最終である2028年度は約27%も税収が増えることになる。一方、人口や労働者人口は右肩下がりである。税収だけが右肩上がりで増加するなんて想定できない。

2019年度ですら当初見込みより330億円も県税の収入が落ち込むと言われている。経済指標にしても2月に公表された実質GDPの前期比1.6%減、年6%超の急激な落ち込み、これは消費税増税によるものだが、市場予想を超えるものだった。実質賃金の低下なども報じられている。それに加えて現在流行している新型コロナウイルスの経済に与える影響は今回の変更には盛り込んでいない。

過去の検証をすれば、財政フレームの税収見込みは下方修正したものも多い。過去の見通しでは今年度で既に税収は1兆円を超えていたものもある。これは過去何度も私から指摘しているが、一向に改められない。将来負担比率ワースト2の北海道では、税収が増えないという前提で計画を立てている。本県も少なくとも国の慎重なベースラインシナリオを用いて県税収入を算定すべきだと考えるがどうか。

3 実質公債費比率対策と繰上償還について

(1)1805億円の繰上償還と実質公債費比率の算定について

実質公債費比率が導入された2006年度、本県の指数は全国ワースト2位の19.6だったのが、直近の2018年度決算では13.8とかなり改善されている(ワースト8位)。ワースト1は北海道の20.9だが、兵庫県とは7.1ポイントの大きな開きがある。北海道は将来負担比率では兵庫県よりも良い323.5(ワースト2)。北海道と兵庫県は将来負担比率こそほぼ同じ水準だが、実質公債費比率については全く異なる数値となっている。将来負担比率と実質公債費比率。ストック指標とフロー指標とも言われるが、財政状況を表すことにかわりはなく、似た傾向となるはずだがそうなっていない。

この原因は、県債管理基金の積立不足対策として外郭団体等の基金を集約し、見かけの基金残高を増やしていること、これは知事も実質公債費対策として認めているが、これに加えて公営企業会計との債権債務の相殺をしないことなども、実際より良い数値になっている原因ということは私から指摘している。またこれだけではなく繰上償還もある。

知事は会見の中で「来年度、公債費は3,000億円を超えて、今までで一番大きな規模ということになるのではないかと思われます」と発言している。それなのに過去のように実質公債費比率は高くならない。なぜか。財政健全化法の算定用式では、地方公共団体の繰上償還の意欲を減退させてしまわないよう「繰上償還」を行ったものについては、公債費から除外することとされている。2020年度当初予算の中の県債管理基金を活用した302億円の償還は繰上償還として実質公債費比率の算定から除外するつもりなのか伺う。

4 財政フレーム上の将来負担比率について

(1)実際より低く想定されてきた理由について(交付税措置率の過大見積もり)

将来負担比率で制度がスタートした平成19年度以降ワースト1位を保っている。2007年度361.7%という数値は2018年度決算で339.2%、19年度338.6%と見込まれる。実際この10年の行革期間ではさほど改善されていないことは先に指摘した通り。先送りされることは残念だが、それとは別のことをここでは指摘したい。

将来負担比率の算定にあたっては将来の負担金額から地方交付税の基準財政需要算入見込額を除外して計算することとなっている。万が一この見込額が誤っていればどうなるか。多く見込めれば将来負担比率を引き下げることが可能だ。

個別の県債の交付税措置率は決まっており、今回提示されている2020年度以降のように積み上げれば差異は発生しない。毎年度地方交付税の算定をしているということは先の需要額を一定把握しているということである。これを過去から30%という高い措置率を用いてきたことで交付税の基準財政需要額算入見込額を過大に算出し、結果として財政フレーム上の将来負担比率を過小に算出してきたのではないか。

(2)地方交付税(基準財政需要額算入見込額)を過大に見込んでいた額について

2020年度当初の投資の通常事業枠等に充当している県債の残高約2兆9000億円の交付税30%見込みだと将来的に約8700億円が措置されることとなるが、今後2020~2028年の平均交付税措置率17.1%を仮において試算すると約5000億円しか措置されない。つまり現方針では約3700億円も過大に見込んでいたこととなるのではないか。これを直近決算における将来負担比率の分母8874億円で割ると約41.7%。11年間の新行革プランの結果が吹き飛んでしまうのではないか。

(3)適正化の契機について

こうした算定だが、これを外に出すのは評価する。ただし、外部の人間にはわからない。表に出すことはきっかけが必要だったと思う。総務省に指摘されたのか。近年、投資事業の景気の良い話がどんどん出てきて、実際は本県財政の状況は良くなっていないという内部の声か、伺う。

5 行財政運営審議会の見直しについて

(1)意見書作成者について

「兵庫県行財政運営方針の変更案等に係る意見書」五百旗頭真財政運営審議会会長から兵庫県知事 井戸 敏三 様として、「令和2年2月 13 日付け諮問第 128 号で諮問のあった「兵庫県行財政運営方針の変更案等について、令和2年2月18日付で別添のとおり意見を提出します」ということで意見書が出され、我々にも届けられた。この意見書の作成者は誰か。

(2)審議会委員の人選について

今回の変更の肝である「変更後の将来負担比率の目標を280%水準と設定することについて」「将来負担比率の目標値の見直し等」の中で、「行財政構造改革期間中の将来負担比率の縮減率22.5%の2倍以上となる50%を縮減し、早期健全化基準(400%)の70%水準にまで引き下げようとするものである。これは、財政構造の改善に向けた取組が引き続き緩むことなく進められるものであることから、妥当であると考える。」と記されている。

これまで述べてきたように将来負担比率の目標が現行方針より55%も下方修正し、その県民負担額が4800億円も増加するような変更であるにも関わらず、一切このことに言及がない。

審議会委員には審議会の前にこの変更案を郵送し、事前に見てもらって2月13日に審議会を開催したというが、そもそも将来負担比率の算定方式やその県民負担額についての資料もなく、計算方法もわからないと思われる。はっきり申し上げて、私も初当選以来、兵庫県財政やその財政指標をみてきているが、いろんなテクニックを駆使したり、単式と複式会計の使い分けなどを含めて非常に複雑で公表資料だけで理解するのはかなり難しい。それくらい複雑で県庁職員と言っても財政課とか一部の方にしかわからないようなもの。

審議委員は県内各界を代表するような方々で大所高所からご意見を伺うことは大切だが、きちんとこうしたことを包み隠さず説明した上で意見を求めなければ議会で一昨日我々に説明したのと同じような内容ではまずこうしたことはわからないと思う。包括外部監査を経験し、公会計のことがわかった公認会計士に入っていただくとか、地方財政の専門家に複数入っていただくとかしてもらうことが必要だと考えるがどうか。

竹内 英明
姫路市

企画県民部①
1 ふるさと納税を活用している高額納税者の実態把握と控除上限の設定について
2 個人県民税の特別徴収に応じない悪質な事業者名の公表について
3 兵庫県競馬組合について
(1)16年振りの配分金について
(2)新型コロナウイルス流行の影響について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(企画県民部①)

日 時:令和2年3月6日(金)

質問者:竹内 英明 委員

1 ふるさと納税を活用している高額納税者の実態把握と控除上限の設定について

ふるさと納税を推奨する民間仲介会社のサイトやテレビCMを見ると、ふるさと納税は節税もできてかつ返礼品ももらえるからお得、とよく言われるのが、2,000円の負担でお肉などの返礼品がもらえるという話である。しかし、ふるさと納税には所得に応じた上限限度額があり、その限度額を超える額については節税効果はなく本当に寄付しただけになる。

若くして起業、成功したある有名経営者の方が20億円を自分の生まれ育った故郷である千葉県館山市にふるさと納税制度を活用して20億円の寄附をしたと報道された。その方は上場企業の経営者で、1億円を超える役員報酬があるためその報酬金額は有価証券報告書によって公表されている他、自ら創業した当該上場企業の株式を譲渡したことも公表されており、莫大な収益があることもわかっている。そうした所得を推計したサイトによると、所得金額で1500億円を超えるとされ、住民税の20%にあたる特例控除の上限に達する寄附金限度額は35億円にもなると推計されている。つまり20億円ふるさと納税をしても限度額内。2000円の負担の範囲内で返礼品を受けとることができると。20億円の上限30%の返礼品をもらったとしたら6億円。この方は、返礼品は不要と最初から宣言をされた。

しかし、国やこの方が現に住んでいる自治体側からすればどうだろうか。国の所得税と居住している市町村と都道府県の住民税をあわせて、逆に20億円の減収となる。この制度を利用するため先の経営者の追加負担はたった2000円だ。

自治体の住民税がふるさと納税による流出で減収となる場合は、その金額の75%が地方交付税措置されるが、地方交付税というのは国民の税金である。もし6億円の返礼品をもらったら純然たる6億円の減税となるということだ。サラリーマンの生涯獲得賃金の3人分。控除に上限がないからこんなこともありうる。高額納税者に控除の上限を設定するなどしないといけないのではないか。

本県の2018年度の状況でも、本県のふるさと納税受け入れ額は1億4千万円に対して翌年の県民税控除額が58億円となるなど流出金額が前年比で33%も増えており、その影響は深刻である。県は国に対して返礼品制度そのものを廃止するよう提案しているが、国や当制度で潤っている自治体からは見直しに慎重な声もある。まずは影響の大きい高額納税者によるふるさと納税利用の実態、どこに流れているのかなどの把握と控除上限金額の設定について質問する。

2 個人県民税の特別徴収に応じない悪質な事業者名の公表について

県の個人住民税の特別徴収のHPに「兵庫県及び県内41市町は、平成30年度から個人住民税の特別徴収を徹底しています!!」と記載されている。特別徴収とは、事業主の方が、所得税と同様に給与を支払う際に、毎月の給与から個人住民税を天引きし、従業員に代わって毎月納入する制度である。

この制度は、地方税法第321条の4及び各市町の条例の規定により、原則として所得税の源泉徴収をする全ての事業主の方に実施が義務づけられている。事業主の方に一定の負担をお願いせざるを得ないが、所得税の源泉徴収と比べ、税額の計算は市町が行いますので、税額を計算したり、年末調整をしてもらう手間はなく、所得税の源泉徴収をしているならその追加負担はさほどでもない。

また、従業員が常時10人未満の小規模な事業者には、申請により年12回の納期を年2回にする特別徴収における特例もある。

地方税法第321条の3において、「ただし、当該市町村内に給与所得者が少ないことその他特別の事情により特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、特別徴収の方法によらないことができる。」とも明記されており、難しいと判断されるところは除外される。

つまり指定されたら特別徴収しなければならない。地方税法第 321 条の 5 の規定では、特別徴収義務者は特別徴収税額決定通知書に記載された税額を納期限内に納入する義務があり、特別徴収を拒否した結果、納期限を経過した場合は、税金を滞納していることとなり、地方税法第 331 条に基づく滞納処分を行うこととなる。加えて、地方税法第 324 条第 3 項の規定により、「納入すべき個人の市町村民税に係る納入金の全部又は一部を納入しなかった特別徴収義務者は 10 年以下の懲役若しくは200 万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされている。大変厳しい規定であり、これは実際には行われていない。

そこで、こういった法の施行の前段階として、特別徴収事業者として指定されながら特別徴収を行わない悪質な事業者を公表するというのはどうか。真面目にやっていることが馬鹿を見ない社会にしなければならない。公表はかなりのインセンティブになると思うのだがどうか。

3 兵庫県競馬組合について

(1)16年振りの配分金について

今年1月、姫路競馬が7年半振りにレースを再開した。公営ギャンブル以外のレジャー産業の広まりなどから売得金が減少し、2010年度には5億5100万円の赤字を計上。以後、2014年度までの5年間を存廃の見極め期間として、累計が赤字となった場合は廃止になる可能性もあったが、2012年度のJRAのネット販売システムを使った地方競馬の馬券発売が始まり、SPAT4・楽天競馬・オッズパークなどのネットによる売上が大幅に伸び経営は改善し、存続が決まった。2012年度、売得金が299億円だったものが、毎年売上は増え、2018年度は654億円となっている。2019年度も好調に来ていたようで、来年度は2004年度以来16年振りに県に対して配分金がもたらされると聞いている。

兵庫県競馬組合を構成している県と姫路市、尼崎市への配分金額について伺う。

(2)新型コロナウイルス流行の影響について

新型コロナウイルスが発生し、園田競馬では無観客でのレースとなっており、JRAの姫路の場外発売も含めて競馬場での販売が中止されるなど、ネット以外の販売チャネルが失われ一定の影響があると見込まれる。現に3月3日から13日までの間、7日間にわたって園田競馬ではレースを実施しているがその影響について伺う。

●病院局
1 県立はりま姫路総合医療センター(仮称)について
(1)開院に向けた準備について
(2)移転する県立姫路循環器病センターの医療機器などの管理・適切な減価償却の実施について
2 包括外部監査人による退職給付引当金未計上の指摘について
3 県立病院事業の拡大傾向について
(1)医師数及び一般会計繰入金について
(2)県内市町立病院の県による引受けの検討について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(病院局)

日 時:令和2年3月9日(月)

質問者:竹内 英明 委員

1 県立はりま姫路総合医療センター(仮称)について

(1)開院に向けた準備について

県立はりま姫路総合医療センター(仮称)は、昨年9月に工事に着手し、2022年度上期の開院に向けた準備が進められている。新病院では、新たに呼吸器内科等7診療科を新設し、計34診療科で新病院をスタートさせると聞いている。

建物等ハード面の整備は着々と進んでいくと思うが、新病院をしっかり機能させるためには、再編統合に伴う医師、看護師等の確保や、具体の運用方法などソフト面の整備充実が最も重要である。

そこで、開院まで2年あまりとなる中、開院に向けた準備の進捗状況と今後の対応方針について伺う。

(2)移転する県立姫路循環器病センターの医療機器などの管理・適切な減価償却の実施について

2016年度の県の包括外部監査が行われた。対象は、県立病院の財務事務と経営管理についてだったが、この結果報告書をみると、2015年度の尼崎病院と塚口病院の統合による尼崎総合医療センターの設置の際に、2つの病院の減価償却が適切に行われておらず医療機器等の固定資産の除却損が出たと指摘されていた。

これまでも新病院に移行する際などにこうした減価償却や備品シール添付漏れ等のミスで、後に特別損失が発生するなどの問題が起こった記憶もある。統合に備えて医療機器や薬剤等の棚卸を行い、適切な資産管理をしておく必要があると思うがどうか。

2 包括外部監査人による退職給付引当金未計上の指摘について

同じ包括外部監査の結果報告書をみると、病院事業について様々な指摘や意見がある。その中で最も重要だと思われるのが退職給付引当金についての指摘である。公認会計士である外部監査人は「病院事業会計の平成28 年3月31 日現在の退職給付引当金の未認識額は、163億円となる。当該未認識の存在は会計基準上容認されているが、実質的な財政状態を把握するために、この163 億円を退職給付引当金として全額負債計上したと仮定すると、病院事業会計は91 億円の実質的な債務超過状態となる。(指摘事項)」としている。

公認会計士が債務超過であると主張するのは、退職手当の引当が十分にできていないからである。これはもう随分前になるが、平成20年度の決算特別委員会で私が指摘したことと同じことである。あれからもう10年以上も経過した。

この指摘に対して病院局はその「対応及び改善策」の中で、「退職給付引当金の計上は、債務超過を避けるため、平成26年度から15年にわたり均等費用処理することとし、同プランにおいて、その影響額(年約13 億円)を見込んだ上で黒字基調の経営を行っていく」としている。つまり通常の収支に加えて、毎年13億円の赤字要素をもった上で経営をし、その上で黒字を目指すということで、そうでなければ本当に理論上だけでなく制度上も債務超過に陥ってしまうということになる。

退職手当の15年均等処理による引当金処理の状況と近年の経営状況について問う。

3 県立病院事業の拡大傾向について

(1)医師数及び一般会計繰入金について

病院の収益は医師の数で決まるとも言われるが、実際にどうなっているのかお伺いするとともに、本県では病院事業に対して、高度専門・特殊医療、地域医療等について総務省等の繰入基準内の繰入を行っているとしているが、一般会計繰入金の金額は200億円以内で推移してきた感覚があるが、新行革プランによる抑制措置が終了し、増額されていると聞いているが、2020年度当初予算ではいくらなのか伺う。

(2)県内市町立病院の県による引受けの検討について

新行革プランが終了し、県の一般会計繰入金の金額も増加し、240億円にもなっている。これまで、一般会計繰入金に対する交付税の基準財政需要額算入率は約40%程度という答弁を得てきたので、ざっくりいうと140億円程度は県の一般財源を投入して、病院事業を維持していることになる。これは大きな金額だ。

その意味では、企業会計とはいえ、勤勉手当を含め他の公務員と実質同じ人事委員会勧告制度内の給与制度のあり方、経営指標と勤勉手当のリンク、地方独立行政法人化など考えなければならない課題は多い。

一部に県内の市町立病院の県による引受けを検討する声もあるが、経営面ではかなりの負担になると思うので、財務体質が脆弱なままで、そうしたことは無理だと思うので念の為、確認しておきたい。

●公安委員会
1 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)警察官が感染した場合の対応について
(2)マスク・アルコール消毒液・防護服等の在庫状況について
2 六代目山口組と神戸山口組の「特定抗争指定暴力団」指定後の状況と期限延長の必要性について
3 ふるさと納税を活用した暴力団事務所撤去応援プロジェクトについて
(1)寄附者の特徴と今後の活用方法、制度のPRについて

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(公安委員会)

日 時:令和2年3月10日(火)

質問者:竹内 英明 委員

1 新型コロナウイルス感染症対策について

(1)警察官が感染した場合の対応について

3月5日に全国で初めて警察官が新型コロナウイルスに感染したことが確認された。埼玉県警の50代の警察官で川口市の武南警察署に勤務しているという。

全国でこれだけ感染が拡がると警察官が感染してもおかしくない。埼玉県警では同じ署の交通課に勤務するほかの警察官についても、当面の間、自宅で待機する措置をとったということだ。兵庫県警で、万が一、警察官が感染した場合の対応について伺う。

(2) マスク・アルコール消毒液・防護服等の在庫状況について

警察庁は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、容疑者の取り調べの際などには必要に応じてマスクや手袋を着用することや、飲酒運転の取締りに際して、警察官の顔に息を吹きかけてもらう方法を避けることなどを全国の警察に指示していると聞く。

全国でマスク不足だが、週末の朝日新聞で、「岐阜県警本部では、大人数の緊急会議などのために、約2500枚の備蓄はあるが、日ごろの業務で使う分は、各警察署に任せている。ある警察署では、留置所の点検や検視にあたる警察官には公費でマスクを支給するが、地域課などは原則自費購入。公費支給分でも予算があってもものがない」と報道されていた。

兵庫県警ではどうなのか。マスクのほか、アルコール消毒液の在庫状況等について伺う。

また、週末に驚くような報道があった。新型コロナウイルス検査の陽性反応が出て、自宅待機を要請されていた愛知県蒲郡市の50代の男性が、外出して飲食店に行き、「ウイルスをばらまいてやる」と話し、通報を受けた蒲郡署員が防護服を着て出動するなど対応に追われたという事件。極めて特異な事例だと思うが、こうした感染を防ぐ防護服といった装備が各警察署に常備されているのか、あわせて伺う。

2 六代目山口組と神戸山口組の「特定抗争指定暴力団」指定後の状況と期限延長の必要性について

両団体は1月7日に特定抗争指定暴力団として官報に公示され、暴力団対策法に基づく厳しい規制を受けることになった。私も昨年末の12月議会の代表質問で早期指定を働きかけたが、実際に指定後どういった状況になっているのか。11月に殺人事件が起こった尼崎市や双方の拠点がある神戸市、姫路市などの警戒区域では、例えば、組員が5人以上で集まったり、抗争を誘発する行為をしたりすれば、逮捕が可能となったがそうした情報に接していない。大阪では4人の集合が確認されたが逮捕に至らずという一部報道もあった。また他府県では、警戒区域内での活動が困難になったので、警戒区域外に拠点を移動して活動しているという話も出ている。指定後の兵庫県の状況について説明願う。

また、抗争指定は、1月7日の官報公示から3ヶ月間とされており、延長をしないと4月6日に効力は失効するが、2012年の道仁会と九州誠道会の抗争が指定されたときは5回延長された。延長についても考えを伺う。

3 ふるさと納税を活用した暴力団事務所撤去応援プロジェクトについて

(1)寄附者の特徴と今後の活用方法、制度のPRについて

そうした抗争に住民が巻き込まれるのを防ぐため、暴力団事務所の近くに住む住民らが事務所撤去運動を行い、事務所の使用禁止などを求めて行う訴訟費用の負担について、暴力団追放センターを通して住民を支援するため、県では、ふるさと納税制度を活用して、寄附者を募り、昨年2018年度から「暴力団事務所撤去応援プロジェクト」を実施している。これでまでどのような活用がなされたのか、また他の自治体と違って豪華な返礼品がない本県のふるさと納税に協力下さっている寄附者の方はどんな方なのか。寄附者の特徴や思い等がわかれば教えてほしい。

また、これは大変ありがたい貴重なご寄附である。今後どういった事業に充当していくのか、また、こうした寄附制度の広報を更に実施していく必要もあると考えるが伺う。

<迎山 志保 議員>
●企画県民部②
1 地域の見守り体制強化について
2 青少年のインターネット依存防止対策について
(1)県下市町におけるインターネット利用対策状況について
(2)県におけるインターネット依存防止対策について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(企画県民部②)

日 時:令和2年3月6日(金)

質問者:迎山 志保 委員

1 地域の見守り体制強化について

兵庫県内では神戸連続児童殺傷事件が発生した平成9年頃から市町、県警、関係機関の協力により『子どもを守る110番の家・店・車』事業が展開され、現在、県下にはそれぞれ家57,920か所、店18,701か所、車26,943台とかなりの協力を頂いている。110番の家は市町教育委員会、防犯協会、PTA等設置主体が様々であるという状況からも、これら子どもを守る110番の活用の状況把握が困難であるが、平成26年2月定例会の質問に際し、我が会派の藤井議員が調査した結果、平成25年中の駆け込み件数は101件。うち迷子が大半を占めていた。犯罪抑止力には確実に繋がっているものの、地域の安全対策として更なる有効活用はできないだろうか。

2019年の刑法犯認知件数は前年比8.7%減であった。中でも今回注目したのが27.3%減った車上狙い。駐車監視機能付きドライブレコーダーの普及も影響しているのではないかと推察している。防犯カメラを集中的に設置した加古川市についても、県平均より大きな犯罪減少率となっている。

そこで、今年度もその体制強化が図られる『こども110番の家・店・車』であるが、効果的な運用という意味では、それぞれに設置されているカメラの利活用にも踏み込んではいかがかと思うが、ご所見をお伺いする。

2 青少年のインターネット依存防止対策について

厚労省の調査によるとインターネット依存が疑われる中高生はこの5年でほぼ倍の93万人。依存の疑いがある中高生は7人に1人。また、日本初の「インターネット依存外来」を開設した(独)国立病院機構久里浜医療センターを2016年~17年に受診した人の約90%はゲーム関連だと言われており、ゲーム障害については昨年WHOが新たな精神疾患の一つと認定したことも話題となった。インターネット依存は日常生活や学業に支障が出るばかりか、犯罪に巻き込まれたり、あるいはゲームの課金目的で犯罪に至ったりと、その影響は計り知れない。今年に入って香川県議会がネット・ゲーム依存症対策条例案を発表し、全国的にも賛否両論、物議を醸している。兵庫県は人とつながるオフラインキャンプなど先進的な取り組みを積極的に進めてきたが、近年のインターネット利用の低年齢化、拡大傾向にどう対応していくのか大きな課題である。

(1)県下市町におけるインターネット利用対策状況について

まず、県下市町におけるインターネット利用対策の状況であるが、当局におかれては、来年度もインターネット依存防止対策の推進事業やインターネット利用基準作成遵守支援事業などを予定されているが、市町におけるインターネット利用対策の現状、対策についてどう把握されているのかお伺いする。

(2)県におけるインターネット依存防止対策について

次に、県で実施されている人とつながるオフラインキャンプについての実施状況と成果、また、それらの取組をつうじた県のネット依存に対する認識や今後の展開についてもお聞かせ願いたい。

迎山 志保
加古川市

●健康福祉部
1 不妊に悩む夫婦への実効性ある支援について
(1)不妊治療の入り口支援について
(2)所得制限の見直しについて
2 こども家庭センターや市町の体制強化について
(1)こども家庭センターの体制について
(2)市町を含めた人材育成について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(健康福祉部)

日 時:令和2年3月9日(月)

質問者:迎山 志保 委員

1 不妊に悩む夫婦への実効性ある支援について

(1)不妊治療の入り口支援について

夫婦の3割が不妊を心配し、5.5組に1組が具体的に治療を経験している現在、不妊治療、妊活という言葉も一般化したものの、いまだ女性の問題であるとの認識は根強い。

しかしながら、不妊の48%は男性起因であり(WHO)、現在、日本人男性の4人に1人が不妊リスクを抱えているといわれている。

リクルートライフスタイルの調査によれば、不妊治療に取り組んだ男性の6割がもっと早くから主体的に行うべきだったなどと後悔していることが明らかになっている。積極的に取り組めなかった理由として『自然に授かりたかった』が30%を超え『なんとなく気が進まない』『自分には問題がない』『男性が関わる必要がない』と考えていた人がそれぞれ22%にのぼった。そして、実際に治療を経験した女性なら誰もが感じるであろうことは、なぜもう少し早く夫と一緒に取り組まなかったのかということである。

女性が一人悩んで病院に行く。するとまず身体のサイクルに応じて初期基礎検査で4 回程度の通院が必要であり、費用も平均50,000 円程度かかる。そこから個別の治療に入っていく際、病院から夫の協力を求められ、夫が初登場。ここで登場してくれればまだ良いが、忙しいことなどを理由になかなか協力が得られない現状もよく耳にする。

そして結果、夫に原因があることが分かりそこから妊娠に向けた治療がスタートする。

県は不妊治療に関して、県単独助成などの経済的支援、相談業務などを行っているが、まずは入り口で夫婦一緒に取り組むことを促すような政策展開が必要ではないかと考える。

例えば、埼玉県ではこうのとり検診推進事業として、夫婦そろって早期不妊検査を受けた場合医療保険適用・適用外に関わらず2万円を上限に助成している。

鳥取県では結婚後3年以内に夫婦一緒に受診すれば上限13,000円助成する制度を設けている。男性が早期に妊活に入ることで不妊治療において最も大切な時間やお金を無駄にしないことが可能になる。ぜひ夫婦そろっての入り口支援についての検討を求めるがいかがか。

(2)所得制限の見直しについて

先ほど、県単独助成制度について言及したが、対象者が所得の低い若い世代ということで、要件として、夫婦合算所得額が400万円未満に設定されている。

不妊治療は自由診療であり費用は病院によって異なるが、18年の調査で顕微授精1回につき50万円以上と答えた人が6割を超えている。この治療を複数回受けるとなると相当の経済的負担となる。治療にはお金がかかるので、仕事を辞めたくない。でも仕事を辞めなければ、治療に専念することができない。今、不妊治療に臨む夫婦は厳しい選択肢を迫られている。

そこで、国では不妊治療と仕事の両立を支援する制度を導入する企業向けマニュアルを作成したり、大手金融機関では男性も含め不妊治療に特化した有給制度を導入したりと、夫婦そろって治療と仕事を両立していく方向の支援が進められている。夫婦共働きが主流となりつつある今、所得制限をもう少し引き上げる検討をされて

はいかがかと考えるがご所見はいかがか。

2 こども家庭センターや市町の体制強化について

(1)こども家庭センターの体制について

こども家庭センターが対応すべきとされる児童虐待が増え続ける中、センターには様々な権限付与がなされ、求められる期待や責任がますます大きくなっている。それに応えるには、多岐にわたる業務を適切にこなせる組織体制の構築が欠かせない。

先日、ある会合でこども家庭センターにどんなイメージがあるかと聞くと、家庭に問題があれば子どもを引き離して連れて行くところ、大きな事件があったら頭を下げて謝罪しているところ、といったものが大半であった。

全国を騒がすような悲惨な死亡事件などが報道される度に、その対応のまずさを指摘され、何をやってるんだと世間から叩かれる存在との印象が強いようだ。

つい最近も、神戸市の児童相談所で深夜3時に駆け込んできた小6女児を追い返したことで、集中砲火を浴びている。

確かに過去の事件をみると、児童相談所の完全な過失が認められるものもあるが、そこだけを追及し糾弾するのは、めぐりめぐって子どものためにならないと私は考えている。児童相談所がその名の通り、本来持っている機能を十分に果たすためには、現状に即した体制の確立が何より求められる。

昨年、児童福祉法等の改正で、児童相談所の体制強化の中で保護者へのよりきめ細やかな指導などが求められることとなったが、県では来年度北播磨地区と阪神地区に新たなこども家庭センター設置に向けた予算を確保されようとしている。受持ちエリアが分散することで、基礎自治体との密な連携、より親身な対応が期待でき大変心強い。

しかしながら、児童福祉司など専門職の確保が全国的に困難な状態が続いている中で、体制確保に課題などはないか。新たな拠点ができることで一時保護施設やそれに伴う職員の配置などの見通しはいかがだろうか。現状における認識を伺う。

(2)市町を含めた人材育成について

昨今のこども家庭センターに求められる多岐にわたる業務に対応するため、国をあげて児童福祉司などの専門職員の増員を図ろうとされている。

県におかれても、国の「児童虐待防止対策総合強化プラン(平成30年12月)等に基づく増員が進められているところであるが、それに伴い職員の資質の向上もあわせて求められるところである。

また、今後ますます市町との連携が大切になってくるが、県内の子ども家庭総合支援拠点は12市町にとどまっており、令和4年度までに全市町村に設置するとの国の方針のもと、さらなる充実が求められる。OJTや研修を行うなど市町の人材育成についても県に求められるわけだが、市町を含めた県下の児童福祉人材の育成について、所見をお聞かせ願いたい。

●教育委員会
1 新型コロナウイルス感染症対策に係る学校の一斉休業について
(1)一斉休業に係る考え方について
(2)休業期間中の学業面での補填について
2 教職員の勤務時間の適正化について
(1)勤務実態の把握等について
(2)教職員が実力を発揮しやすい環境づくりについて
3 不登校の児童生徒への更なる支援について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(教育委員会)

日 時:令和2年3月13日(金)

質問者:迎山 志保 委員

1 新型コロナウィルス感染症対策に係る学校の一斉休業について

昨日、県では新型コロナウィルス感染症対策本部が開かれ、県立学校の休業は3月16日以降春季休業日の前日である3月23日まで継続し、市町組合教育委員会にもその旨要請することとなった。この決定により、学校は実質2週間の休業となり、より多方面に影響が出ることになる。そこで、県内の多くの学校で始まった3月3日からの一斉休業の考え方や今後の学業に係る課題への認識について伺う。

(1)一斉休業に係る考え方について

新型コロナウィルス感染症の発生拡大に伴い、国からの学校等における一斉臨時休業の要請を受け、県教育委員会でも、3月3日から3月15日まで、県立学校の一斉休業を決定するとともに、市町組合教育委員会に対し一斉休業を要請した。しかしながら、国からの要請では、休業期間は3月2日から春季休業の開始日までの間となっていたため、県教育委員会が当初の休業期間を決定するにあたりどのような議論がなされたのか伺う。

また、県内では早々に国の要請通りの決定をした自治体もあったが、当初休業しない決定をした小野市をはじめ、県下自治体によって休業期間が異なっている(もちろん学校保健安全法第20条によって学校の設置者に決定権限があるとされているので問題はないが)。しかし、このような緊急事態においては学校だけでなく企業や公的施設や民間施設など全方位に様々な協力要請を行うわけであり同じような体制をとるほうがベターではないかと考えるが、学校現場や基礎自治体、県民などから今回の県下の対応状況について何か声が届いていればご披露願う。

加えて、昨日発表された16日以降の休業継続の考え方及び市町組合教育委員会へどのように要請を行うのか、方針を伺う。

(2)休業期間中の学業面での補填について

このたび、休業を県の要請通りに行うと、実質2週間の休業となり、その後春季休業に入ることとなる。気になるのは今回の措置で、児童生徒が履修できなかった学習内容への対応である。今回の緊急措置により発生した、小・中学校及び県立高校で履修できなかった学習内容と、それらへの対応についての所見を伺う。

2 教職員の勤務時間の適正化について

(1)勤務実態の把握等について

来月1日から教職員の勤務時間や業務量の管理を求める「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」、いわゆる改正給特法が一部施行開始となる。これに伴い、県教育委員会では規則を制定した。

県教育委員会ではこれまでも教職員の勤務時間適正化に取り組んでこられたが、今回の規則に実効性を持たせるには勤務実態の客観的な把握が不可欠である。そこで、県内小・中学校及び県立高校での教職員の勤務実態の把握方法及び、今般の法改正に伴う、さらなる実態把握の徹底について所見を伺う。

(2)教職員が実力を発揮しやすい環境づくりについて

教職員の勤務実態をどこまで厳格に把握できるのか、また「月45時間、年間360時間」の時間外勤務の上限を守れる業務量や業務内容となっているか。これらの課題に対応するため、県教育委員会では、これまで様々な業務改善を積み上げられ、来年度新たにデジタル採点システムを導入するほか、引き続き県立学校に業務支援員を配置するなど、教職員が子どもと向き合う時間の確保に一層取り組まれるが、来年度にはまた新学習指導要領がスタートし、新たな負担も生じるだろう。

そのような状況の中、今回規則で示される上限時間の範囲で、教職員の力を発揮できる環境は整っているといえるのか。整っていないならば、現状の人員と業務量の関係が妥当でないということになるが、これを解決するための抜本的なメスの入れどころはどこだと認識されているのか、所見を伺う。

3 不登校の児童生徒へのさらなる支援について

不登校への対応について、県教育委員会では早期発見、早期対応に取り組んできたものの、残念ながらその数は減少傾向にはない。全ての児童生徒の学びを保障するという教育機会確保法の趣旨を踏まえるという意味では、中長期的には不登校児童生徒への遠隔授業実施の可能性や、フリースクールへの財政的な支援、高校入試での不登校生徒の不利益をなくしていくことに取り組んでいくことも、今後の検討課題と考える。

そのような状況の中、この度、県教育委員会が、不登校の児童生徒がフリースクールを活用しやすくするため、「民間施設に関するガイドライン」を策定されることは不登校児童生徒への支援策として、大きな一歩であると評価している。

そこで今回のガイドライン策定を通じて得られた様々な声をもとに、民間施設とどう連携し、これからの不登校対策に活かしていくのか、所見を伺う。

●総括審査
1 新型コロナウイルス対策について
(1)県下におけるマスクの確保状況について
(2)感染症病床の追加確保について
(3)経済対策について
2 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた財政フレームの見直しと大型投資事業について
3 社会情勢の変化に対応した自治体職員の災害対応力の向上につい  て
4 女性に選ばれる兵庫県に向けて
5 教職員の業務の見える化について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(総括審査)

日 時:令和2年3月17日(火)

質問者:迎山 志保 委員

1 新型コロナウイルス対策について

(1)県下におけるマスクの確保状況について

兵庫県下でのマスク不足の状況は改善の様子が見られず、県民の感染予防への不安は変わっていない。そんな中でも、優先されるべき医療機関で使う医療用のマスクの確保については、12日現在の状況として県下約4割の病院で1か月以内に枯渇すること、また11 県立病院についても3月末には備蓄が枯渇するとして、使用枚数の抑制や入手ルートを模索されていることが報告された。

また、同時に介護施設など高齢者が利用する社会福祉施設等でのマスク不足も日に日に深刻な状況になっている。

3月11 日の神戸新聞では、県が2月下旬から3月上旬に介護施設・事業所1,318 か所のマスクの備蓄について実態調査した結果、特に訪問介護現場では「4週間未満でなくなる」が半数以上、「1週間未満」が15%に及んでいると報道されている。

部局別審査時に、わが会派から県が備蓄しているマスクや消毒液を早急に困っている社会福祉施設等に提供すべきだと指摘したが、その際には「国の動向も見極めながら必要な対応を行う」と協議していることを明かしたが、具体的な動きはまだない。

この報道では、県の担当者の「緊急の要請はない。施設で調達しているのではいか」との対応も記されているが、こうした調査を実施してから既に10日程度経過しており、現場はより深刻な状況になっていると思われる。東京都では備蓄していたマスクのほか、企業や各種団体から寄贈を受けたマスクも配布してきたが、さらに追加対策としてマスクを約 350 万枚調達し、医療機関や社会福祉施設等に提供すると12 日公表した。

今月末には枯渇する医療用マスクの確保の見通しと、介護や保育現場など優先されるべき配布対象者へのマスクの供給の現状について伺うとともに、市町でも適宜可能な限りの配布など行っているが、本県でも各方面に寄贈を呼びかけ、備蓄マスクの配布など、マスクが必要な方に提供すべきではないかと考えるが、ご所見をお伺いする。

(2)感染症病床の追加確保について

現在、県内の感染症指定医療機関は8圏域9医療機関54病床であるが、既に発症者数はこの数を超えている。県は当初追加で100床の増床をはかることとしていたが、12日の対策本部の発表ではさらに100床、計254床の確保を目指すとされている。

このように、感染者が急激に増加した場合に、指定医療機関の専用病床だけでは足りない場合も想定しておかなければならない。厚生労働省が公表した推計式によると、兵庫県の流行ピーク時の入院患者数は9,820 人、うち重症床患者数は330 人と推定される。

こうした数字が正確かどうかは別として最悪の想定をしておくことも必要である。帰国者・接触者外来医療機関31病院をはじめ感染症患者を追加で受け入れる医療機関の負担は極めて重いことのほか、風評被害による患者数の減少も予想される。

大阪府の吉村知事は、「軽症者や無症状者も感染症の専門病院に入院していたら、体制がもたなくなるので選別が重要だ」と述べ、今後は患者の症状に応じて、入院先を感染症の指定医療機関以外の一般病床などにも広げていく考えを示しているが、既に54 の病床数を超える82名の陽性患者が出ている現在、確保できている病床数と空き病床の状況、目標の254 病床確保に向けた今後の見通しについて伺う。

(3)経済対策について

急激な売上の落ち込み等に対する事業継続のため、資金繰り支援を目的とした制度融資の利率や信用保証協会による保証料率の引き下げ、借換での低金利等の適用、融資までの日数短縮など、県独自の事業者支援は一定の支援をあげるものと理解している。

一方、資金繰り困難な事業者の中には、信用保証協会と聞いただけで審査に落ちると諦めてしまう人も多いだろう。また、低利とはいえ先の見えない中で新たな借入を行うことに躊躇う経営者も多いだろう。

2019年12月13日に県議会で全会一致で改正された「中小企業の振興に関する条例」では、「中小企業者の災害時の事業継続支援」として「県は、地震、風水害その他の災害時において中小企業者が速やかに復旧復興を図り、事業を継続することができるよう必要な施策を講ずるものとする」の条文を追加した。まさに今、災害時である。国の対応をただ待つのではなく、県として主体的に必要な措置を講じる必要がある。

東京都では、雇用保険に加入していない非正規雇用の人を含む中小企業の従業員向けに、100 万円を上限に実質無利子で融資を行うことなど独自の対策を打ち出し、これらの財源に、不測の事態が生じた場合にすぐ執行できる約40億円の予備費を充当するということである(兵庫県R1 予備費5億円)。本県でも、もうこれ以上は持ちこたえられないという状況にある事業者の悲鳴に何とか応えるべく、委縮している経済活動をどう動かしてくのかも大変重要である。

そこで、感染拡大が抑えられ、通常の経済活動が再開されることを前提として、知事が先頭に立ち、県民の閉塞感をなくし、先の希望を見いだせるように、緊急対策の他、できる限り早期に真の経済対策を実施する必要があると考えるが、今後の取組方針について、所見をお伺いする。

2 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた財政フレームの見直しと大型投資事業について

行財政運営方針の変更案が提起されているが、その主なものは、将来負担比率の目標設定の下方修正と県税収入見込の実態に即した減額である。

将来負担比率については、現方針では目標を2028年度に「震災関連県債残高を除き2016年度の全国平均200%程度」としていたが、今回、震災関連県債残高を含めて280%程度とし、想定では274%になるとしている。

実に54.7%、将来負担比率の分子である将来負担額約4,800億円分の下方修正である。その主な原因は、地方交付税の基準財政需要額算入見込額を約3,500億円過大に見積ってきたからであるが、大変大きな見直しである。

県税収入については、本年度の330億円の減少から2028年度の690億円の減少見込まで10年間の減少見込額は5,545億円。今回の変更で見込んでいない新型コロナウイルス感染症の影響を考えた時、下方修正は必至である。

県は毎年度の予算編成の際に適切に税収を見込み、財政フレームを毎年ローリングするので問題は生じないとしているが、現在検討されている大型投資事業に着手するかどうかの判断には財政フレームが基となる。

投資の裏打ちとなる財源に余裕があるのかないのか、財政フレームは楽観的であってはならないと考える。大型ビッグプロジェクトの検討にあたっては慎重にならなければならない。

既に着手に向け具体化が進んでいる県庁舎等再整備事業だけで700億円。加えて神戸三宮雲井通5丁目地区市街地再開発事業に、2019~2026年度の間で総額約78億円。

更に但馬空港の滑走路延長や2万人規模のアリーナ設置も検討されるが、いずれも数百億円規模のビッグプロジェクトである。これらが、経済が順調に成長するという税収見通しに基づき、着手妥当と判断されることは時期尚早ではないだろうか。

県では、昨年まで11年間に渡って職員の給与カットを含む新行革プランを実施し、収支均衡を達成することができたが、将来負担比率でみると2009年度の361.7%から2018年度の339.2%と22.5%改善されたに過ぎない。

財政の改善が容易でないことをよく示している。県庁舎等再整備事業以外の大型プロジェクト投資については、新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響、企業収益や消費税の落ち込み等を慎重に見極め、ゼロベースで考える必要があるのではないか。

真に効果の発現が高いもの、県民が誇りに思えるもの、自信をもってこんな時代だからこそやるべきだというものにしっかり投資をしてほしい。現状を鑑み、県税収入等の見込みを改めて精査し、財政フレームを見直すなど一度立ち止まって考えるべきではないか、見解をお伺いする。

3 社会情勢の変化に対応した自治体職員の災害対応力の向上について

阪神淡路大震災から25年。1995年と現在では、地域や社会の状況は一変している。18歳未満人口は2割減少し、65歳以上の高齢者数は約2倍になった。

介護認定においても、2000年2月時点で約12万7千人だったのが、2020年2月現在で約31万2千人となり、この20年で約2.5倍増加した。人口減少、少子高齢化は自治体財政の縮減に直結する。さらに兵庫県は独自の大きな課題、震災からの復興に向けてこの間、強力な行財政改革を進めてきた。

このことにより、2019年4月時点で1995年と比較し兵庫県職員は約38%減、市町の職員数は約22%減少している。この事実からわかることは、兵庫県の地域としての災害対応力は大幅に縮減しているということである。

災害時対応の基本は相変わらず自助、共助、そして公助だが、自助・共助の主体は高齢化、多様化しており、公助を担う人材は減少している。

ボランティアの数も阪神淡路に比べ、東日本、熊本、西日本豪雨と年追うごとに確保が困難になってきていると思われる。来たるべき巨大地震のみならず、毎年のように災害がおこり、全国同時多発的に被災している状況は、これまで日本が経験したことがない事態であり、支援人材も資金も、阪神・淡路大震災の時のように集中することはないと考えなければならない。

限られた資源の中で的確に且つ迅速に対応を進め被害拡大を防ぐためには、時間、マンパワー、経済的ロスを生まない効率的な対応が可能な環境が必要ではないか。

兵庫県では危機管理部門が災害対策、防災を所管しているが、福祉分野、住宅分野など復旧復興、被災者の生活再建にはスムーズな庁内連携が求められる。現在、県職員新任研修プログラムの中で災害に関する研修を行なっているが、それで十分といえるだろうか。

特に福祉や住宅など、発災の際には基礎自治体との調整役が求められる部局の職員については防災、災害対策業務のOJTを実施するなどして日常から防災を意識し、部局間の連携を構築しておくべきではないだろうか。災害復旧には幅広い分野の連携が求められる。

より多くの職員が一定の知識を共有していることで一刻を争う現場対応が変わってくるのではないか。ある意味、今も災害対応の真最中といえる。

部局間連携、県内の広域連携、情報共有は十分にできているといえるだろうか。社会情勢の変化に対応した自治体職員の対応力の向上が求められると考えるが、ご所見をお伺いする。

4 女性に選ばれる兵庫県に向けて

兵庫県が直面する大きな課題の一つに若い女性の流出がある。関西においては同様の傾向が強く、大阪と滋賀を除いた4府県で女性転出者数が転入者数を上回っている。

関西の女性の分析として大学・短大進学率をみてみると、69.5%で一位の東京のほか、京都、兵庫65%、奈良、大阪が上位に並んでいる。その一方、就業率は先ほど挙げた4府県が全国平均以下である。そして、若年女性は流出傾向となっており、この関連をどう考えるか。

もともと関西には老舗企業、大手企業の本社が多く存在した。

しかしながら、本社機能が次々に東京へ移った結果、女性が希望するような事務系職種が減った。兵庫県でいえば、もともと盛んだったファッション産業なども衰退し、大学短大を卒業した全体の7割近くの女性を地元にとどめる受け皿が格段に減っているのではないか。

志望職種に就きたいという思いが地元にとどまりたいという思いに勝り、不本意ながら故郷を離れていくという女性も少なくないのではないかと考える。

兵庫県は現在3,385人の転出超過である20~30代女性を2024年には転出転入均衡を目指すとしている。かなり厳しい目標設定だが、70,562人の女子学生に、様々な形で学生へのアプローチを進めている。

来年度の施策では、県内就職の促進として地方創生交付金を活用し、県内で活躍するロールモデルを世代別に発掘し、県内女子大生等とのネットワークを構築することで、若年女性の県内定着を促進する「若年女性に向けた県内定着PR事業」や、女子学生に対し就職活動前からキャリア相談の開催などによるライフプランを考慮したキャリアプランニングの取組支援を行う「女子学生と企業のプレマッチング支援事業」の拡充など、女性の就業につなげる取組が実施されることとなっている。

しかしながら、どれだけ接点を持つ機会を増やしても、希望する将来を描けるような就職先がなければ止まることはない。今ある企業の魅力を知ってもらうとともに、新たな産業、働き方を生み出す必要もある。

単に、希望する企業に就職するだけでなく、希望する生き方を選択でき、結婚し、子育てしやすい環境がなければ、魅力あるふるさと兵庫に帰りたいと思う女性も増えない。

関西圏の産業構造や伝統的な価値観の根強さから、多くの有能な女性が流出しているという現状にどう対応していくのか。今後ますます子供は減り、教育熱は高まり、女性はより自由に主体的に生き方を選んでいくだろう。

多様な価値観が認められ、女性が希望する生き方を選択して活躍できる地域になってこそ、関西で、兵庫で暮らすことを選択したいと思われる、選ばれる地域になるのではないかと考えるが、そのための方策について、所見を伺う。

5 教職員の業務の見える化について

教職員の業務改善については、これまでも様々に取り組んで来られた。しかしながら、直近の勤務実態調査における超過勤務の結果などを拝見すると目を見張る成果が出ているとは言えず、改めてこの課題の難しさを感じている。業務改善がなかなか進まない理由は、まずはマンパワー不足、財政的なものによるところが大であるが、もっと根源的なところに教員という仕事に対する教員本人の強い思い、地域や家庭からの過度な期待があるのではないだろうか。

登下校の指導や見守り、家庭訪問、校外学習に部活、運動会や卒業式の練習など、教員が抱えているさまざまな業務に教育的意義のないものはない。これらは業務の見直しの際、俎上に載せたとしても、いや待て、それぞれに大切だと逡巡することだろう。

部局審査でも申し上げたように、教育は無限だが教員は有限である。不要な業務は適切に切り離していかねばならない。地域も家庭もそれを理解し、そして教員本人こそがそこの肚落ちをしっかりやらなければ、教員の働き方を変え、真に質の高い教育を実現することはできないと考える。

昨年、教育現場では想像を絶するような教師間のいじめ事案が発覚した。

体罰やわいせつ事案も残念ながらなくならない。ストレスや過労による不本意な休職や退職を余儀なくされた教員もいる。

教員は自分たちが苦しければ恥じることなく苦しいということを見せるべきだと考える。閉鎖的と言われる学校空間の現実を可視化することでこれまでの当たり前を変えていけるのではないだろうか。

質の高い教育を目指すための本気の業務改善を進めるには、超勤の縮減等の単に対外的に説明のしやすい数値目標を押しつけるだけではなく、現場の思いを汲み、納得感を得ながら進めるべきだと考える。そのためには、学校組織や教職員、家庭や地域も含めた意識改革が必要だと感じるがいかがか。

<石井 健一郞 議員>
●企画県民部①
1 人と防災未来センターのさらなる利活用について
2 フェニックス共済について
3 災害時の避難者対応について
4 防災人材育成拠点の整備について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(企画県民部①)

日 時:令和2年3月6日(金)

質問者:石井 健一郞 委員

1 人と防災未来センターのさらなる利活用について

今年で震災25年の節目の年を迎え、人の入れ替わりも多く、また、震災の経験や記憶も薄れてきています。井戸知事も本定例会の冒頭の提案説明において、「必要なことは、過去から学び、未来につなぐこと。風化が懸念されている今だからこそ、この原点に立ち返り、経験や教訓を「忘れない、伝える、活かす、備える」のもと、次なる時代への安全を期さねばならない」と言われています。

兵庫県では、平成14年4月に阪神・淡路大震災の経験を語り継ぎ、その教訓を未来に生かすことを通じて、災害文化の形成、地域防災力の向上、防災政策の開発支援を図り、安全・安心な市民協働・減災社会の実現に貢献することを目的として人と防災未来センターを設置し、世界的な防災研究の拠点として、また災害全般に関する有効な対策の発信地として、これまで役立ててきました。震災から25年が経過した今、改めてその役目や機能を精査し、強化を図る必要があるのではないでしょうか。

令和2年度には人と防災未来センターの知見や阪神・淡路大震災の経験と教訓、災害への備えの重要性を広く発信するため、東京と仙台で出張の展示会をすることとなっており、そのことは意義深いと考えます。しかし、何よりも兵庫県内での震災の記憶の継承、そして防災意識を高めるといったことが大切です。まずは県民の皆さんに、これまで以上に来場していただくことを考えなければなりません。例えば、芸術文化センターで中学1年生を対象にわくわくオーケストラの教室が行われていますが、若者に震災を知ってもらうために、それに合わせて人と防災未来センターにも立ちよっていただくことを教育委員会に提案するようなことがあってもよいと思います。

そこで、震災の記憶の継承や防災意識の向上を図るため、人と防災未来センターの更なる利活用をどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

2 フェニックス共済について

次に、フェニックス共済についてお伺いします。

フェニックス共済は阪神・淡路大震災で学んだ教訓「助け合いの大切さ」を生かした住宅所有者間相互の「共助」の仕組みとして、平成17年9月1日から制度を開始しました。これまでも、県内の自然災害で合わせて約6億8千万円を支給し、被災者の住宅再建の一助を担ってきています。

県では、制度への加入促進を図るため、これまでも加入状況の改善に向けて取り組みを続けてきましたが、近年の住宅再建共済制度の全体加入率については微増であるものの、ほぼ横ばいの状況です。新年度はマンション管理会社に働きかけを強めるとのことであり、そのことは積極的に取り組んでいただきたいと思います。

しかしながら、これまでの取り組みで加入率が伸びない理由はおおむね把握できているものの伸び悩んでおり、抜本的な対策の見直しが必要ではないかと考えます。加入戸数と加入率を見ると、昨年度末で170,211戸、9.6%、本年1月末で172,074戸、9.7%と、この10ヶ月で1,863戸、0.1%の増加となっていますが、例えば、今年度の委託料約1億3,400万円の中で効果を得るために、どのような取り組みの工夫をされているのでしょうか。これからもフェニックス共済を継続していくためには、やはり加入率の向上を図ることが不可欠です。

そこで、今後のフェニックス共済の加入率向上には、抜本的な見直しが必要と考えますが、加入率向上に向けた効果的な取組について、どのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

3 災害時の避難者対応について

阪神淡路大震災時には、最大31万人を超える人々が避難し、学校以外、役所や公立ホールなどにも多くの避難者が身を寄せました。しかも、避難生活が長期間に渡ったこともあり、避難所を巡る様々な問題が発生したことから、この時の経験や教訓を今後の対策に生かすため、平成13年3月に「避難所管理・運営の指針」を策定し、市町における避難所の管理・運営等に関する事前対策の具体化やマニュアル作成を進めるうえで、基本となる考え方を明らかにするなど、その対策に取り組まれています。

このように避難所や避難者への対応は原則市町となり、現在は災害対策基本法により各市町による指定避難所や指定緊急避難場所が指定されているところではありますが、大きな災害が発生すれば県などの関連施設にも近隣の方が避難してくる可能性も十分にあり、また、発災直後にたまたま兵庫県を訪れていた方が、指定避難所等がわからず、避難者として来る可能性もあると思われます。しかしながら、その場合の対応については、十分に議論されているのでしょうか。

基本は市町が対応すべきであることは理解しておりますが、実際に避難者があれば、そのことに対応する職員が必要であったり、食事や布団等の手配もしなければならないことになります。そうなれば、県としての災害対応や災害時でも必要な行政機能に支障が生じることとなります。

そこで、県の関連施設にも避難者が来ることを想定し、いつまで、役所を避難所として開放するか等、事前に十分な議論が必要だと思いますが、見解をお伺いします。

4 防災人材育成拠点の整備について

来年度、広域防災センターの機能強化を目指すため、センターが有する施設、設備を活用し、多様な防災人材育成拠点として宿泊プログラムを実施するための宿泊施設を整備するとしています。センターは災害時は広域防災拠点として機能し、平常時は、消防職員や消防団員などの育成をはじめ、地震体験などの防災体験学習を実施するなど他にはない施設であり、この機能のさらなる活用を図ることにつながることから、整備の趣旨には賛同しています。

しかしながら、その整備にあたっては、広域防災センターのこれまでの人材育成プログラムのニーズを精査する中での発展形として宿泊施設を整備するということではなく、施設の建設を進める中で、対象者を見極める、これからプログラムを作っていくということであるならば、整備する宿泊施設が有効に利用されるかどうか疑問に感じるところです。

そこで、整備にあたっての考え方、及び宿泊施設の有効利用をどのように図っていこうとされているのか、ご所見をお伺いします。

石井 健一郞
神戸市灘区

●産業労働部・労働委員会
1 六甲山の賑わいづくりのための観光対策について
2 3府県広域連携等による誘客促進について
3 ITあわじ会議の成果と今後の展開について
4 商店街の賑わいづくりのための助成金について
5 新型コロナウイルス感染症による商店街への影響と対応について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(産業労働部)

日 時:令和2年3月10日(火)

質問者:石井 健一郎 委員

1 六甲山の賑わいづくりのための観光対策について

六甲山の活性化の推進にあたっては、観光客誘客のための利便性の向上や賑わい拠点の創出をはじめとする施策が必要であり、県においても六甲山上にある遊休施設の改修補助のメニューや六甲山ビジターセンターの六甲山自然体験シアターの整備や、六甲山ヒルクライム大会の開催に向けた検討を進められている。

六甲山においては阪神・淡路大震災後、摩耶ケーブルや六甲山ケーブルの運休に始まり、リゾートホテルを始めとする保養所等の宿泊施設の廃業や休業、老朽化や近年は自然災害による土砂災害の発生による度重なる交通手段の途絶等により六甲山への観光客を大いに減らした。誘客施設の整備については観光客が減っている中、低金利融資制度があってもなかなか、新しい投資がしにくいのではないかと思う。また、県や市が行っている賑わいづくりの事業は、規模が小さいものが多く、なかなか全体の賑わいづくりに結び付いていない。

神戸市と連携を図りながら、どのように六甲山の賑わいづくりのための観光対策を進めていくのか今後の展望をお伺いする。

2 3府県広域連携等による誘客促進について

県では3府県(兵庫・京都・鳥取)広域連携等による誘客促進を実施する。山陰地方の活性化には県域を越えた連携が必要である。

昨年6月には新温泉町や香美町、鳥取市などが連携し、日本遺産を活かした日本遺産「麒麟のまち」推進協議会を発足させたところである。そこで、さらに鳥取空港には羽田便が5往復していることからも、鳥取空港を拠点とした誘客促進策として鳥取空港を中心とし、現在はやや不便なバス等の交通ルートを整備し3県のモデルコースを作る。

鳥取空港・羽田空港に3県モデルコースのチラシやポスター、物産を置くことにより、首都圏から鳥取空港の利用客の取り込みの可能性があるのではないか。もとより、首都圏からは山陰地方に観光に来るにあたっては、県域を意識せず、周遊することが基本になる。

但馬空港の議論は議論として、まずは鳥取空港を中心とした但馬地域の観光客誘客策は一つの考え方であると思う。そこで、3府県広域連携の誘客促進策についての考え方を伺う。

3 ITあわじ会議の成果と今後の展開について

兵庫県では、国内外からIT分野の学識者、経営者等が一堂に会し、最先端技術の動向把握や意見交換を行い、次世代ITビジネス産業の創生に向けた気運醸成を図るため、「ITあわじ会議」を平成13年度以来毎年開催し来年度で19回目を迎える。

この会議は、最先端技術や次世代ITビジネスの創出などグローバル視点から政策提言や、ITを活用した地域づくりなどローカルな視点からの政策提言などの議論・意見交換を行い、兵庫の優れた技術や取組を国内外に発信するとのことである。

例年3月頃に、淡路夢舞台国際会議場で開催し、参加者は約300人。その費用は、委託費として来年度は1千700万円。かなりの経費をかけて実施しているように見える。毎年基調講演やパネルディスカッションを中心に実施しているが、効果は現れているのか、マンネリ化しているのではないか、見直しをする必要はないのかと思うところである。

そこで、これまで取り組んでこられたことが、兵庫県にどのような成果を生み出したのか、また、これまでの取り組みを踏まえ今後どのような展開を考えているのか伺う。

4 商店街の賑わいづくりのための助成金について

商店街賑わいづくりの助成金メニューが多く用意されている。商店街振興のためにこれらのメニューが有効に活用されるようにするため今回質問する。

商店街賑わいづくりは、その理事長をはじめ個店の店主の取組が大切であるが、商売をしながらの作業であり、業種によってはなかなか時間がとれないケースもある。そういった活動する店主がいなければどんなに魅力のある助成金メニューでも使えずに終わることも多いと聞く。

助成金制度の説明から申し込みまでの時間が短く、商店街での意思統一に間に合わない。作業が煩雑で申し込みに間に合わなかったということを聞く。

また、通常、商店街は複数の商店街組合や市場等で形成されているが、複数の商店街がまとまって申し込みすることはハードルが高く、地域全体の活性化につながらないことがあり、政策目的に反する。

そこで、より使いやすい商店街賑わいづくりの助成制度について更に検討を進めて頂きたいと思うが、県の見解を伺う。

5 新型コロナウイルス感染症による商店街への影響と対応について

新型コロナウイルス感染症の影響で、各地の行事やイベント等が中止、延期となっている。商店街・商工団体のイベントについても同様である。

こうした停滞ムードが収まらない中、新型コロナウイルスの影響で商店街を利用する客が大幅に減っている。いわゆる中小零細企業である店舗の集まりである商店街の各店のアルバイトを使う店舗では、営業時間の短縮や休業も想定され、アルバイト雇用の方も収入減の可能性がある。経営者からすれば店で感染者が発生した場合は事業環境があらゆる意味で経営環境が激変する可能性がある。

個人経営が大部分である商店街の各店舗にとっては現在の低利融資は問題の先送りになるだけであり、アルバイトで生計を立てている、または補っている方にとっても死活問題である。これは商店街に限らず、中小零細企業全般の問題ではあるが、新たな緊急融資の拡大や返済の緩和を、雇用保険に加入できないアルバイトの減収の補填策などをはじめ、相談窓口の拡充等の対応策が必要ではないかと考えるが、今回の新型コロナウイルス感染症による商店街への影響をはじめ現状認識と今後の対応について伺う。

●県土整備部
1 自然災害の復旧工事について
2 淡路島サイクリングルートの整備について
3 コウノトリ但馬空港のあり方について
(1)滑走路が延長された場合の就航会社の確保等について
(2)路線展開の検討について
(3)空港の維持及び運営について
(4)首都圏等へのアプローチについて

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(県土整備部)

日 時:令和2年3月12日(木)

質問者:石井 健一郞 委員

1 自然災害の復旧工事について

一昨年の7月豪雨では、西日本を中心に全国的に広範囲で記録的な大雨となり、県下各地でも被害が相次ぎました。私の地元である灘区の都賀川上流六甲川でも被害があり、河床がえぐれ土嚢が積まれている状況が続いていました。

県では直ちに復旧工事のための準備を進め、入札を行いましたが、結果としては、不調に終わっています。この不調に終わった原因でありますが、工事金額や工事件数の多さで業者側が嫌がったとお聞きしておりますが、昨年も入札が不調に終わっています。結局、必要な工事が被災してから一年半程放置されたこととなり、住民から苦情が相次ぎました。

もちろん、復旧工事がなされるまでの間、しっかりと管理して頂いていたということは理解しているものの、住民の立場からすれば、「何故、復旧しないんだ」との思いから、苦情を言われることも理解できます。

そこで、こういった災害復旧工事については、入札不調で終わらせずに早急に着手出来るような仕組みを作る必要があるのではないでしょうか。また、どうしてもできないという状況があるならば、住民の不安を解消するためにも地元への説明等を検討するべきではないかと考えますが、ご見解をお伺いします。

2 淡路島サイクリングルートの整備について

県では兵庫県自転車活用推進計画に基づき、サイクリングモデルルートにおいては、自転車の走行環境の整備を推進し、質の高いサイクリング環境を創出することとしており、特に淡路島を一周するモデルルートであるアワイチについては、国によるナショナルサイクルルート指定を視野に入れた整備を推進するとしています。

アワイチについては淡路島の振興策として大変期待しているところでありますが、今後とも計画的にサイクリストが満足するサイクリングルートを整備することが望まれています。その中でも、旧北淡町域の県道福良江井岩屋線は大変道路が狭くなっている一方で、今までこの地域になかった飲食施設が増え、賑わいをみせていますが、場所柄、車での利用とならざるを得ず、結果として車の通行量も増えていると思われます。また、大型トラックの通行も多く、サイクリングルートとしてはいささか走行環境が悪いですし、その結果、事故が起こる懸念もあります。そのため、私は全線といかないまでも部分的な道路拡幅などにより、早急に自転車の走行環境を改善することが必要と考えています。

そこで、特に観光資源として貴重なアワイチにおいては、県道福良江井岩屋線の問題を解消することが最重要と考えますが、見解をお伺いします。

3 コウノトリ但馬空港のあり方について

コウノトリ但馬空港のあり方懇話会の第一回目会議が、去る2月6日に開催されました。本年末までに、県民意見も聞いた上で但馬空港のあるべき姿や取り組むべき施策をとりまとめるとのことであり、その報告を見守りたいと考えています。

今回のあり方懇話会については、①10年後の但馬空港の姿を明確にする、②その姿を実現するために早急に取り組むべき施策を提案する、となっておりますが、実態としては、知事のジェット機就航を見込んだ滑走路の延長も含めた検討をしたいという意見表明からのあり方検討です。就航率を上げるということは大切でありますので、その点については、是非検討し、費用対効果の中ではありますが、改善を図るべきです。

そこで、但馬空港のあり方の議論の前提として、やや理解しにくいところがあるので以下、質問したいと思います。

(1)滑走路が延長された場合の就航会社の確保等について

滑走路延長はジェット便の就航が確約されることが前提であると考えています。但馬空港開設時には開港前に就航する予定だった航空会社が撤退し、別の航空会社に働きかけ、県が機体を購入し、就航にこぎ着けたという苦い経験があります。その轍を踏まないためにも就航する航空会社の確定は、絶対条件だと考えますが、航空会社の確保に向けた取組状況はどうなっているのか、また、仮にジェット便が就航した場合、但馬・伊丹路線と県が更新したATR機の取り扱いはどのように考えているのか、見解をお伺いします。

(2)路線展開の検討について

知事の話では、滑走路を延長してジェット化することにより、航空会社各社の判断で乗り入れを決めれば補助金負担はなくなるとのことでありましたが、実際にはなかなか難しいと思われます。

現状では、伊丹~但馬便は、機材大型化後も4万人程度の利用者であり、他の路線も航空会社は就航判断に至っていません。過去には、但馬~神戸便は東京直行便に資するものではないとのことで、実現しませんでした。また、関空便も利用者がないということで、議論が打ち切られています。

あわせて、東京直行便のある他の類似空港ですら多路線化はうまくいってません。今後、どのような路線展開を検討しようとされているのかお伺いします。

 (3)空港の維持及び運営について

但馬空港を南紀白浜空港と比較して考えてみたいと思いますが、南紀白浜空港は和歌山県にある唯一の空港です。当初、但馬空港と同様1,200mで開港しましたが、現在は作り直し2,000mで運営しています。JALが羽田便のみ1日3往復しており、但馬空港もこのような例に習おうとしているのかとも思えます。南紀白浜空港は2019年からコンセッション方式で民営化されていますが、空港本体は和歌山県が所有したまま、着陸料やテナント賃料などの料金収入と、県からの空港運営の補助金を合わせて事業としており、県営時は年約3億円を県が負担していましたが、民営化しても和歌山県からは空港運営費(サービス購入料)として、契約期間の10年間で24億5千万円の補助金を出すこととなっています。

そこで、但馬空港においても、滑走路延長で多額の費用の支出後も南紀白浜空港と同様、継続して県が空港維持費や運営費を出し続ける可能性が高いと考えますが、このことについてどのように考えるのか、あわせて、ジェット化した場合の収支見込について、見解をお伺いします。

 (4)首都圏等へのアプローチについて

但馬空港の周辺人口は但馬地域と京都府北部を合わせて約23.6万人ですが、実際は新温泉町の方は鳥取空港を使う可能性もあり、空港利用可能者としてはそれ程までにいないと考えています。補助金がなくなれば高い航空料金を払って利用する地元のお客も減るかもしれない、ということから考えると、滑走路を延長してジェット機を飛ばす意味は、ビジネスというよりも観光客の誘致に尽きるのではないでしょうか。

先程の南紀白浜空港でもやはりどれだけ路線を展開できるかということが課題になっています。そのためには観光資源の磨き上げと認知度の向上が大切です。和歌山県では空港周辺にはビーチや温泉、アドベンチャーワールドや熊野古道等観光資源が豊富にあり、環境としては但馬地域に似ているように感じます。しかし、観光客の75%が関西からで、首都圏では空港の存在を含めて、知名度が低いということが課題になっているようです。

但馬空港も南紀白浜空港とおかれた立場は同様であり、但馬地域、城崎温泉にしても大変魅力があると思いますが、私達が思っている以上に首都圏での知名度は低く、個人的にはその知名度は白浜よりも低いと感じています。また、首都圏周辺には既に魅力的な観光地が多く、但馬までの航空運賃で宿泊できる観光地が近くにあるのに、あまり知らない遠くの観光地を目指して行くということにはならないのではないでしょうか。

そこで、まずは但馬地域を関西圏での観光地として知ってもらうために、首都圏等へのアプローチをどのように考えているのか、見解をお伺いします。

●企業庁
1 播磨科学公園都市について
2 企業庁の事業について
3 淡路夢舞台の運営について
(1)新型コロナウイルスによる影響と感染防止対策について  
(2)今後の取組について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(企業庁)

日 時:令和2年3月12日(木)

質問者:石井 健一郞 委員

1 播磨科学公園都市について

播磨科学公園都市は、豊かな自然環境のなか、学術研究機関とナノテク分野をはじめとする「ものづくり」産業が集積するとともに、快適な居住環境や余暇機能を備える都市で、まちびらきから本年で23年を経過する。

現在でもまちの生活利便性向上のために、コンビニの設置や農産物直売所のリニューアルオープン、播磨光都サッカー場の利用促進によるスポーツ振興など魅力あるまちづくりに取り組んでいる。

その魅力あるまちづくり事業として、都市中心部のにぎわいづくりを目指すため交通結節点となるバスターミナルの整備は理解するが、新たなモビリティサービスに向けてMaaS連携を想定した自動運転車の公道等における実証運行の実施、ドローン活用に向け、商品搬送等をテーマとしたイベント等の実施を来年度事業として挙げられている。

これらの事業自体は今後に可能性のある事業でもあり、結果に期待したい。しかし、これらが播磨科学公園都市の分譲販売のための付加価値をつける企業庁の事業になり得るのかわかりにくい。この関連についてどういった考えに基づいているのかお伺いする。

 2 企業庁の事業について

企業庁では、「地域の振興と県民福祉の向上」「選択と集中の徹底」「健全経営の維持」の3つの基本的な考え方のもと、産業振興のための産業用地の分譲、良質な住宅用地の分譲などにより、県民福祉の向上と県土の発展に寄与されてきたところである。

その一方、企業庁は一つの独立した会社であり、事業継続のため利益を上げることが大切である。

そういった中で潮芦屋の分譲は利益を上げる案件ではなかったのではないか。住宅メーカーに土地売却するだけではなく、利益の出るしくみを作れたのではないかと思う。

折しも、平成30年9月に上陸した台風第21号により潮芦屋地区で大きな高潮被害があった。港湾を管理する県土整備部と連携し、高潮対策工事等に取り組んでいることは承知しているが、企業庁が管理するマリーナ護岸の工事はまだ着工していないようである。この護岸工事の費用はどこから捻出するのか。その費用は企業庁の持ち出しなのか伺う。

また、こういった災害等に対応するためにも、しっかりと備えていかなくてはならない。そのためにも、企業庁の事業は、独立採算であり、利益を上げるといった意識のもと事業を運営する必要があると考えるが、いかがか。

3 淡路夢舞台の運営について

(1)新型コロナウイルスによる影響と感染防止対策について

新型コロナウイルスが猛威を振るっている。

観光地では新型コロナウイルス感染症の影響で海外からの観光客が激減しており、さらに国内の感染拡大防止の呼びかけもあり、日本人観光客も大きく減少している。

宿泊施設においても、全国的にキャンセルが相次ぎ倒産する宿泊施設も出てきたと聞く。

このことから、(株)夢舞台が運営するウェスティンホテル淡路はシティホテルとリゾートホテルの要素があるが、同様に影響が出ているのではないか。国際会議などはキャンセルが出ているのではないか。影響はどうなっているのか伺う。

また、利用者が安心してホテル等を利用できるように、どのような感染防止対策を行っているのかを伺う。

(2)今後の取組について

新型コロナウイルス感染症による利用客の減少となるとホテルの経営は非常に苦しいものであると思われる。また、ウェディングの需要取り込みに向けて改装をしたが、これもあまり芳しくないと聞く。

淡路夢舞台は、北淡路地域の振興の拠点施設と企業庁は位置づけているが、今後、企業庁としてどのように取り組んでいくのか、経営が悪化した場合の支援を含め伺う。

<相崎 佐和子 議員>
●財政状況
1 財政フレームにおける下方修正について
2 県税収入における当初予算額と実績額の乖離について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(財政状況)

日 時:令和2年3月5日(木)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 財政フレームにおける下方修正について

1期目1年目の県議の目で県財政と令和2年度予算を見て、特に不安を感じた2点について伺う。

1点目は「財政フレームにおける下方修正」である。

令和2年度、兵庫県は「10年以上の行財政改革の取り組みにより県財政は一定落ち着き見せた。これからは新しい兵庫を創るステージへ」として、新規の大規模プロジェクト、すなわち県庁舎等再整備、但馬空港の滑走路延長の要否を含めた機能強化の検討、但馬における専門職大学の新設、大規模アリーナの建設検討などの積極投資を打ち出している。

もちろん、10年にわたって厳しい行財政改革プランを遂行して一定の成果を出 したことは大いに評価しているし、各プロジェクトはいずれも必要かつ有意義な事業であること間違いはない。また、投資的経費において、インフラ整備や防災減災対策については優先度が高く、地方財政計画の水準を基本として取り組む方針に異論はない。

ただ、県財政はどん底を脱したとはいえ未だ厳しい状態であり、そんな中で新規大規模プロジェクトを矢継ぎ早に打ち出すのは、果たして財政的にやっていけるのかと、1期目1年生として率直に不安を感じている。

この不安について、過日の本会議では「県庁舎整備に伴う影響については別枠としているが、その他の施設整備の実施については財政フレームの枠の中において推進する」と答弁があった。ならば安心と思いきや、その財政フレームすなわち「行財政運営方針」は、今年度からスタートしたにも関わらず1年目にして早速下方修正であり、財政フレーム自体が信頼性の高いものなのかに不安を感じるところである。

行財政運営方針が1年で下方修正となった原因を考察するに、1つは試算前提において、国が示す経済成長率のうち「成長実現ケース」を採用しているからではなかろうか。

内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」の中で「成長実現ケース」と「ベースラインケース」の2ケースを提示しており、兵庫県はこのうち成長率が高い「成長実現ケース」を、試算前提として採用している。しかし、方針は1年目にして下方修正を余儀なくされた。試算前提とする国の成長実現ケースについて、確実性に疑義を感じざるを得ない。

「成長実現ケース」の確実性については、第一生命経済研究所の調査によると、経済成長について成長実現ケースが明確に過大推計になっている」と結果を出している。また2019年GDPにおいて予測では実質1.3%名目2.4%だったのが、実際は実質0.9%名目1.8%で大幅に予測を外したにもかかわらず、1月に発表した最新試算では「景気は緩やかに回復傾向」として成長を見込んだ予測値を出しており、「政府の認識がやや甘いのではないか」(日本総研)などの声も上がっている。

これらの状況から県の財政フレームの試算前提において「成長実現ケース」ではなく「ベースラインケース」を採用するほうが、より確実な財政運営が可能だと考える。もしくは県独自の経済成長率で試算するほうが、自立した行財政運営が可能だと考える。

この点はこれまで何度も提案されているが、答弁は「成長実現ケースを採用する」とのことである。ならば懸念するのは、見込んだ成長が実現せず財政フレームの下方修正が今後も続いた場合、フレーム内で取り組むとしている新規の大規模プロジェクトを実施してよいのか、ということである。

そこで、ハイリスクとも言える「成長実現ケース」を採用し続けてフレーム下方修正が続いた場合、フレーム内で取り組むとした新規大規模プロジェクトをどうするのか、場合によっては見直しをするのか、ご所見を伺う。

2 県税収入における当初予算額と実績額の乖離について

1期目1年目の議員として不安に感じた2点目は「県税収入における当初予算額と実績額の乖離」である。

令和元年度の県税収入において、当初予算より県税と地方法人特別譲与税を合わせた県税等で332億円不足として減額補正予算が組まれている。補正を組まざるを得ないとの観点から補正予算の議案には賛成するところである。

ただ、当初予算に対して332億円もの減収には驚いた。緊急事態の際にのみ使用するイメージだった減収補填債まで使用しての減収に、そもそもの当初予算おける収入見込み額が妥当であったかと不安を感じた。これまではどうかと遡ると。前年度の平成30年度も県税収入において当初予算額より減収となり、2月補正で35億円の減額補正を行っている。

財政は「入るを量りて出ずるを制す」と言われるが、当初予算額と実績額の乖離を鑑みるに、そもそも入るを的確に量れているのかに疑問を感じ、ならば出ずるも制することが困難であると思いいたる次第である。

さらに、このたび新型コロナウイルスの影響で当初予算を審議している現時点から、県税を含む歳入全体の低下が容易に予想できる状況である。

そこで、当初予算の県税収入について、どのように見込んで編成したのか、また新型コロナウイルスの影響により、現時点での見込みよりさらに県税が減収するであろう事態に対して、どのように考えているのか、ご所見を伺う。

相崎 佐和子
伊丹市

●企画県民部②
1 男性育休の取得率向上について
2 広報について
(1)新たな地域創生における戦略的な広報について
(2)U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)の今後の展開について
(3)広報紙配布における市町との連携について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(企画県民部②)

日 時:令和2年3月6日(金)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 男性育休の取得率向上について

小泉進次郎環境大臣の取得で話題となった男性の育休取得。2点の理由から進めるべきと考える。1つは母親のサポート。出産した女性は、出産や授乳による睡眠不足での身体的な疲弊とともに、育児を担うことによる精神的な負担を抱えている。産婦のうち約10%(初産婦25%)が産後ウツ発症のハイリスク者とされ、妊産婦の死因第一は自殺などの状況から、父親のサポートとケアが必須である。2つ目の理由は、男性の意識変革。女性は妊娠による劇的な体の変化から親になる自覚が徐々に芽生えるが、男性は体の変化がない分、育休取得により子育て脳へのバージョンアップが促進されると言われる。

つまり男性の育休は、母親のサポートとケアをしながら父親として主体的に育児をするために、取得して当然のことである。なお「男性が育休をとって何をするの?」と聞かれることがあるらしいが、育児をするのである。育休は子どもが生まれたから貰えるご褒美の休みではない。親として育児をする期間である。

然るに男性育休の現状は芳しくない。2018年度の取得率は6.16%。政府が掲げる2020年度までに13%という目標値の半分にも満たない実情である。

取得が進まない原因は大きく2点ある。1つ目は制度、特に給与の点。現在、育児休業開始から6か月は67%。以降は50%の給与支払いであり、給与はゼロにはならないが減少する実情である。なお厚労省は80%まで引き上げる方針を掲げており、育休中の税控除などを含めるとほぼ同額の給与が保証されることになり期待するところである。進まない理由の2点目は社会や職場の意識。育休取得を申し出にくい業務の内容や量、また雰囲気などが実際には多く存在する。

つまり、男性育休を進めるには、制度と意識の両面からの改善が必須であり、行政は改善を担う役割と責任を担っており、兵庫県も積極的に取り組まねばならない。都道府県によっては熱心なところも見受けられる。新潟県では、男性育休取得の際、雇い主と父親に一定のルールのもと補助金を支給している。また神奈川県・三重県・島根県などのように、知事による「イクボス宣言」などで男性の育児参画を支援する姿勢を強いメッセージとして打ち出す都道府県も増加中である。

そこで、兵庫県として、社会全体で男性の育児参画を進める姿勢を明確に表示し、そして男性の育休取得を促進する制度改革と意識向上にいっそう取り組むべきだと考えるが、当局の所見を伺う。

2 広報について

(1) 新たな地域創生における戦略的な広報について

兵庫県が現在抱える最大の課題は、人口減少である。第2期となる地域創生戦略が始まろうとしているが、重要な視点は、原因を探り、兵庫県に住みたい、住み続けたいと思ってもらえる施策を講じることだ。同時にその施策を知ってもらうことも肝要である。

現在県の広報においては、民間から広報官など広報のプロを招致して県全体の広報力アップなどに取り組んでおり、また広報専門員も県の魅力アップに貢献しており、大いに評価をしている。ただ、地域創生を実現するには、「兵庫県は住みたい街、住み続けたい街にするために本気で取り組んでいるのだ」という県の姿勢、「兵庫県はこんなに住みやすいところなのだ」という県の各施策について、よりインパクトが強いものを発信できないかと考えるところである。

広報はまず「何を伝えたいか」を明確にすることが重要である。そこで「兵庫は住みたい街住み続けたい街である」ことを伝えると定め、インパクトのあるキャッチコピーを付けて(センスがないので提案はできないが例えば「兵庫ライフ、最高!」「夢と幸せの兵庫人生」「住むなら兵庫」など)、地域別やライフステージごとに具体的な施策をPRする、ということに取り組みたいと考える。

そこで、新たな地域創生戦略の着実な実現に向け、人口減少への対策として、提案した内容を含めて積極的戦略的でインパクトがあってメッセージ性の高い広報を打ちたいと考えるが、当局の所見を伺う。

(2) U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)の今後の展開について

県広報では現在、U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)を展開している。兵庫五国を擬人化し、各国の魅力を4コマ漫画やイラストで表現し、ポスターや広報紙、HPなどで発信している。

五国あるがゆえに統一的な広報は困難とされてきたのを逆手にとり、あえて違いをPRすることで兵庫の魅力を発信する当プロジェクトは、大変に面白いと評価している。

課題は、まだ浸透性に余地があることであろう。つまり、面白いプロジェクトなのにまだまだ知られていないと感じている。県民だよりひょうごの4コマ漫画は毎回楽しみであるし、HPの「五国あるある」は面白くて読みふけってしまう。そこで、当プロジェクトを本にまとめることを提案する。1章はイラストや4コマ漫画の掲載、2章は県民から寄せられた五国あるあるの紹介、3章は五国それぞれの出身著名人のインタビュー。読み応えのある1冊になるのではなかろうか。

そこで、U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)についての今後の展開、また本の出版について、当局の所見を伺う。

(3)  広報紙配布における市町との連携について

県は広報紙として「県民だよりひょうご」を月1回発行している。経費について、数年前に編集、印刷、広告の委託先を分割したことで約1億円の経費削減に成功したと聞いている。配布について、市町の広報紙と一緒に配布することでさらに経費を削減できないかと考える。

広報紙は県下各市町も作成配布している。配布について例えば伊丹市は、競争入札により民間業者にポスティングを委託している。ポスティング業務は、いわゆる抱き合わせで発注すると価格が下がる。それぞれ一部5円でポスティングしていたものを、一緒にポスティングするなら5円+5円=10円のところを、抱き合わせ価格で8円という話である。そうすれば依頼先の経費は5円が4円になる。

当然、市町によって広報紙の発行回数や時期、配布方法は異なるので一斉実施は困難だろうが、可能な市町だけでもコラボレーションできれば、県も市町も配布経費の削減が可能である。

そこで、経費削減の観点から、県広報紙「県民だよりひょうご」の配布を市町と連携することを検討してはどうかと考えるが、当局の所見を伺う。


●健康福祉部
1 新型コロナウイルス感染症の対策について
(1)十分な検査体制について
(2)マスクの支給支援について
2 養親希望者手数料負担軽減事業の導入について
3 地域医療構想実現に向けた基金等の活用について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(健康福祉部)

日 時:令和2年3月9日(月)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 新型コロナウイルス感染症の対策について

(1)十分な検査体制について

新型コロナウイルス感染症が拡大している。何よりも感染拡大を防止すること、混乱による県民生活への影響を最小限に抑えることが、県に強く求められている。

県として、県民の不安や懸念に対応することが重要と考え、SNSなどで県に対しての意見を伺った。寄せられたものから特に多かった2点を取り上げる。

1つ目は、十分な検査体制である。こんなお声が集まった。「PCR検査を希望しても断られるらしい」「検査の実施件数が少ないのではないか」「民間などでも検査できるように」「検査数などを広く公表してほしい」など。

つまり、PCR検査の実施状況に不安や懸念を抱かれているようである。

そこで、検査体制について、どのように検査の必要性を判断しているのか、必要な方への検査は的確に実施されているのか、今後の検査はどう方向づけているのかについて、ご所見を伺う。

(2)マスクの支給支援について

次に多かったお声が、マスク不足である。店舗に行っても売っておらずマスクを入手できないとのお声はもちろん、高齢者施設や訪問介護などの福祉機関でマスクが不足しているとのお声が寄せられた。深刻な事態である。

そこで、高齢者施設や訪問介護現場でのマスク不足について、調査はしているのか、現状をどう認識しているのか、今後どう対策するのか、ご所見を伺う。

2 養親希望者手数料負担軽減事業の導入について

「養親希望者手数料負担軽減事業の導入」について伺う。特別養子縁組を金銭的にサポートしようという提案である。

「特別養子縁組」とは、様々な事情で実の親が子どもを育てることが困難な場合、育ての親を希望する者とマッチングをして養子として縁組するものである。子どもの命と人生を守る崇高な取り組みである。

2018年に「養子縁組あっせん法(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律)」が施行された。それまで養子縁組のあっせん業者は届出制のみであったゆえ、業者の中には営利を目的とした人身売買の疑いから行政指導を受けるケースもあった。この法律であっせん業者は許可制となり、営利でなく福祉目的であることが確認された21団体が、現在あっせん事業に取り組んでいる。

特別養子縁組の課題の1つが、経費負担だと言われている。民間のあっせん業者を利用して育ての親を希望する者(以下養親希望者)は、縁組に際して多額の経費を負担する。調査すると委託費55万~230万、その他にも登録費・研修費などもかかる。福祉を目的とした確実な養子縁組に必要な経費であるが、ハードルの1つでもある。そこで養親希望者の経費負担を軽減する「養親希望者手数料負担軽減事業」が2019年に国において整備された。国1/2、都道府県等1/2負担で、一件につき30万円(令和2年度~35万円)を補助する制度であるが、現在導入しているのは東京都と山口県のみで兵庫県は未導入である。

神戸家庭裁判所での特別養子縁組の許容件数は平成28年度で23件。このうち、県こども家庭センターが関与した10件、神戸市こども家庭センターが関与した5件を除くと8件。仮にこの件数の補助をした場合、県負担は140万円。県財政規模からみると大きな負担ではない。それより兵庫県が事業を導入すること自体が、支援姿勢の表明と特別養子縁組の推進において意義が大きいと考える。

実際に特別養子縁組をされた養親者からいただいた「次の誰かのために、兵庫県でもこの事業が導入されますように」とのお言葉が胸に刻まれている。

そこで、県でも養親希望者手数料負担軽減事業を導入したいと考えるが、ご所見を伺う。

3 地域医療構想実現に向けた基金等の活用について

兵庫県では、これから求められる医療に的確に対応できる体制を整備するために、2018年改定の「兵庫県保健医療計画」を基軸に、地域医療構想の実現に取り組んでいる。

構想実現のキモは、病院の再編統合と病床の機能分化であると捉えている。これを具体化するには、熟議と経費が必要である。熟議においては各圏域の「地域医療構想調整会議」で検討を重ねられている。経費においては、医療介護推進基金に注目している。国2/3、県1/3の負担で、医療や介護の経費をサポートする取り組みであり、病院の再編統合や病床の機能分化等に充当が可能である。また国が新年度より設置の方針を打ち出した病床ダウンサイジングに特化した財政支援にも注目する。活用しない手はない。

実際に病院の再編統合や病床ダウンサイジングを検討している県下の自治体病院を有する市町からは、これらの基金などを活用しての経費サポートを県に望む声が大きい。

そこで、県は、医療介護推進基金または国の病床ダウンサイジング財政支援を活用して、地域医療構想の実現に尽力する市町や医療機関の経費的なサポートをする必要があると考えるが、ご所見を伺う。

●公安委員会
1 信号灯器のLED化について
(1)LED化に伴う経費削減について
(2)LED化に伴う電気料金契約の見直しについて

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(公安委員会)

日 時:令和2年3月10日(火)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 信号灯器のLED化について

(1)LED化に伴う経費削減について

信号灯器のLED化が推進されている。LED化は3点のメリットがある。1点目のメリットは、エネルギーの削減。LED式は従来の電球式より消費電力が約1/7になり、エネルギー削減が図られることから、地球温暖化対策などの環境面で効果がある。2点目のメリットは、メンテナンスの簡素化。電球式は約2年で球を交換する必要があるが、LED式はそもそも電球ではないので長寿命であり、交換の時期が長くなることでメンテナンスの簡素化が図られる。3点目のメリットは、安全性の向上。従来の電球式は西日が当たった際など、どの色が点灯しているか確認が困難になったりするが、LED式はいかなる状況下でも確認がしやすく安全性が向上する。

このようなメリットがある信号灯器のLED化だが、兵庫県の達成率は、車両用灯器が38.9%、歩行者用灯器が29.1%なる状況である。

LED化をいっそう推進するために、経費削減の観点でLED化を考えてみる。

メリットとしてエネルギー削減をあげたが、消費電力が低下すれば県が電力会社に支払う電気料金も低下し、経費削減につながるであろう。

信号灯器と同様に街路灯もLED化が推進されている。街路灯においては、LED化での初期経費=イニシャルコストと、維持経費=ランニングコストの比較、つまりLED式に変換するのにいくらかかるか、電気料金とメンテナンス代がいくら節約になるかを試算して、長い目で見れば早くLED化した方が経費削減になることが試算され、一気にLED化が進んだと認識している。信号灯器も、そのような試算ができないものかと考える。信号灯器のLED化における経費削減の効果を数値として示すことができれば、財政の観点からもLED化をいっそう推進できるのではないか。

そこで、信号灯器をLED化した場合、数値的に経費削減の効果を示すことは可能でしょうか。LED化は経費削減に効果があるのでしょうか、ご所見を伺います。

(2)LED化に伴う電気料金契約の見直しについて

過去のご答弁をひもとくと、信号灯器の電気料金の支払い方法について、従量制と定額制があるとのことである。従量制は使用した分だけ料金を支払う形態であり、定額制は一定額を支払う形態である。県内の信号灯器約8万4千灯のうち、約1万7千灯が従量制で、約6万7千灯が定額制と聞く。

定額制において、LED化すれば使用料が約1/7になるのだから、定額制の額自体の契約を見直すのが妥当ではなかろうか。

そこで、定額制の信号灯器が多く存在する中、LED化したなら電力量を改めて算出し、契約額を見直すことは実施しているのか、ご所見を伺う。

●農政環境部
1 県産特産品のブランド化に向けた支援について
(1)発掘・育成・販路拡大について
(2)地理的表示(GI)の活用促進について
2 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の導入支援について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(農政環境部)

日 時:令和2年3月11日(水)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 県産特産品のブランド化に向けた支援について

(1)発掘・育成・販路拡大について

県産農林水産物またその加工品には魅力的なものが多く存在する。支援をして産地振興につなげたいと考える。それには発掘と育成、そして販路拡大であろう。

まず発掘である。地元にとっては当たり前でも地域外の消費者からみれば、魅力的な物が眠っている可能性がある。百貨店やスーパーなどのバイヤーとのコラボレーションなどを含めて発掘に取り組みたい。次に発掘した物の特産品への育成である。特産品といえるだけの品質を確保し、安定供給の道筋をつける。そして、他産地に対する優位性を打ち出して高級化する。最後に販路拡大。国内はもちろん、国外においても安全安心で高品質な日本産の農林水産物の需要が高まっている状況を好機と捉え、特に輸出におけるプロモーションを展開する。これらに取り組むことで、農林漁業者の収入を安定、向上させ、雇用機会を創出し、産地の振興につなげたい。

そこで、県産特産品のブランド化に向けて、発掘と育成、販路拡大についての状況と今後の取り組みについて、ご所見を伺う。

(2)地理的表示(GI)の活用促進について

県産特産品のブランド化について、さらに掘り下げる。ブランド化に成功したなら、模倣品の抑止やノウハウ流出の防止といった保護が必要である。そのために、地域団体商標や地理的表示(GI:Geographical Identification)の制度を活用したい。

これらは、例えば「神戸ビーフ」「夕張メロン」のように、産地と産品がセットになって知られているような特産物について、知的財産として保護し、模倣品から守り宣伝効果を高める目的を持つ登録制度である。地域団体商標と地理的表示は、目的は同様であり経緯や内容が若干異なっている。

地域団体商標は、地域ブランドの名称を商標権として登録し、その名称を独占的に使用することができる制度であり、地理的表示は、生産地と結びついた特性を有する農林水産物等の名称を品質基準とともに登録し、地域の共有財産として保護する制度である。地理的表示は、100か国以上が加盟するTRIPS協定(トリップス協定=知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)で保護されており、特に日本とEUとの経済連携協定では、地理的表示を相互保護しているので、EU向けの輸出において地理的表示を取得しておくことは有効である。

両方登録するのが最大の効果を発揮するとされているが、県において今後、輸出に販路を拡大する方向ゆえ、特に地理的表示の登録を推進したい。

地理的表示は2015年にスタートし、県内での登録は「但馬牛」「神戸ビーフ」「佐用もち大豆」の3件のみである。

そこで、県産特産品のブランド化において、特に県内で登録数が少ない地理的表示の登録を、輸出の販路拡大の観点からも促進したいと考えるが、ご所見を伺う。

2 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の導入支援について

営農型太陽光発電=ソーラーシェアリングとは、農作物をつくりながら、太陽光で発電するものである。田畑の上に櫓を設置して太陽光パネルを配置し、太陽の光を農作物と太陽光発電で分け合う。1つの土地で農業と発電事業を両立させる取り組みである。

農業の観点では、農業従事者にとって農業収入に加えて、太陽光発電による売電収入を得られることから、生活の安定につながる。エネルギーの観点では、太陽光発電の拡充により再生可能エネルギーの促進や地球温暖化対策にもつながる。さらに災害対策の観点では、地産地消型の分散型電源であることから、大規模停電時の対策として有効である。

太陽光パネルで日陰になると農作物の育ちに悪影響を与えるのではないかと心配になるが、植物には一定量以上の太陽光は光合成に利用できない限界点(光飽和点)があり、余った太陽光を発電に利用しようとの発想である。多すぎる太陽光は作物のストレスになることもあり、余分な太陽光を遮ることで農産物の品質を向上させるとも言われている。

ソーラーシェアリングは以上のメリットがあることから、県内では宝塚市のすみれ発電など取り組み事例があるが、さらに拡充したいところである。

導入には大きく2つの課題が指摘されているが、県が支援できると考える。

課題の1つ目は、初期投資が必要なことである。例えば、固定価格買取制度を活用した売電収入により、長期ビジョンでは採算が取れるものの、太陽光発電装置の価格が下落してはいるが、一定の初期経費が必要であり、農業従事者においては躊躇するところである。県では地域団体等に対して「地域創生!再エネ発掘プロジェクト」において無利子の貸し付けを可能にしているが、あまり知られていないかもしれない。

課題の2つ目は知識やノウハウが不足していること。農地転用手続や売電の仕組みについての知識が不足しており、農業従事者においては、どうやって始めてよいか分かりづらい。ここは県がバックアップできると考える。

そこで、ソーラーシェアリングをさらに推進するために、農業従事者等への周知や、知識やノウハウを伝えて下支えする、貸付の仕組みを紹介するなどして、県として導入を支援したいと考えるが、ご所見を伺う。

●県土整備部
1 大阪国際(伊丹)空港の今後について
(1)国際線就航について
(2)低騒音機の導入について
2 用地取得における事業の効率化について

全文

令和2年 令和元年度予算特別委員会(県土整備部)

日 時:令和2年3月12日(木)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 大阪国際(伊丹)空港の今後について

(1)国際線就航について

伊丹空港は、都市部に存在する利便性の高い空港として、年間1,650万人の方にご利用いただいている。これまでの様々な経緯から、運用時間7時~21時、離発着回数上限370回、国内線のみの就航という枠組みの中で運用している。

運用時間と離発着回数は安全と環境の観点から慎重な議論が必要だが、国内線のみに限られている規制については、安全と環境に万全を期した上で緩和を検討するに値すると捉えている。

伊丹空港の国際線復便を検討する理由は2点ある。1点目は関西全体の活性化。関西国際空港・神戸空港・伊丹空港の関西3空港が関西エアポート(株)による実質的な一体運営となり、空港ごとに利用客を奪い合うことなく3空港全体で利用客の増加を目指す体制になった。ワールドマスターズゲームズ2021関西や大阪・関西万博などによるインバウンドの拡大も見据え、関西の3空港すべてで国際線を就航させることが、関西全体の活性化につながると考える。

2点目は災害時の対応。海上空港である関西国際空港や神戸空港が災害時に連絡橋が不通になるなど利用困難になった場合、伊丹空港において国内線のみならず国際線も補完する必要が生じる。リスクマネジメントの観点から伊丹空港の国際線を検討していただきたい。

伊丹空港の国際線復便は、地元の合意を経て国の規制を緩和するという流れになる。地元の合意について、協議の場は「関西3空港懇談会」である。昨年5月の「関西3空港懇談会」では、伊丹空港についてまずは環境対策を進めるとの結果に終わった。つまり一部地域で騒音値が環境基準を上回っているため、まずはその対策を、とのことである。

懇談会での協議内容を否定するつもりはない。神戸空港について規制緩和のコンセンサスに成功し、運用時間の拡大等により利用客が増加中であることは大いに評価している。ただ、伊丹空港を忘れないでほしい。

そこで伺う。県として伊丹空港について国内線に限定されている現在の規制を緩和するスタンスを維持すべきと考えるが、ご所見を伺う。

(2)低騒音機の導入について

関西3空港懇談会において、伊丹空港に課せられた宿題は、環境対策=騒音値の低下である。騒音値の低下は、低騒音機の導入が一番のポイントであろう。各エアラインが導入を進めている低騒音機について、都市部の空港である伊丹空港の離発着便に優先的に回してもらいたいところだ。

低騒音機をどこの便で使用するかは、各エアラインの裁量であり、県は決定権を有していない。県ができることは、エアラインへの要望、国や運営会社への働きかけである。

そこで伺う。県は伊丹空港の騒音値低下の対策としてどんな取り組みをしているのか、国・運営会社・各エアラインとの協議の際に伊丹空港への低騒音機導入を要望をしてほしいと考えるが、ご所見を伺う。

2 用地取得における事業の効率化について

10年にわたって取り組まれた「行財政構造改革」において、大改革の1つは職員数の3割削減であった。昨年10月に取りまとめられた「行財政構造改革の成果」によると、一般行政部門の職員定数は平成19年度8279人から平成30年度5795人まで減少している。

職員数3割削減という身を切っての行財政改革には敬意を表しているが、現場では人数が減少した分、業務の効率化等が不可避な状況であろう。

特に地方の現場はどうか。用地取得の最前線で働かれている土木事務所の用地課職員数についてみると、正規職員は平成19年度125名から平成30年度68名になり半減したと聞く。さらに用地取得の実務経験10年以上のベテラン職員は、平成19年度48名で全体の4割を占めていたのが、平成30年度19名で全体の3割に低下した。

つまり人数が半減しベテランの割合も減少したということである。事業実施の要となる土木事務所の用地取得体制がこの10年間で質・量ともに脆弱化している状況下、事業の効率化、スピードアップは不可避であろう。

そこで伺う。土木事務所の用地取得業務ついて、全体数やベテランが減少したことを受け、対策として研修等による用地課職員の人材育成はもとより、用地取得期間の短縮に向けた工夫が必要と考えるが、今後どのように取り組むのか、ご所見を伺う。