第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2011年3月7日(月)
1 学校給食における地産地消の推進について
農業所得の大幅な減少や、担い手不足、又耕作放棄に伴う遊休農地約5,000ヘクタールの存在等、農山漁村の活力の低下でいま農家は厳しい状況を招いているといわれます。
一方、我が国の食料自給率は、カロリーベースで約40%と先進諸国の中では低い状況が続いているため、生産力の向上への取り組みが一層課題となっています。
国では、食料自給率向上に向けた各種施策の取り組みを進めていますが、県でも、児童・生徒の「食と農への理解」を深めるため、学校給食へ地域の食材の供給の拡大の取り組みを進めています。
子ども達の健全育成には、新鮮で安全・安心な「地産地消」の推進が不可欠であり、学校給食での利用が、継続的に見込まれれば、生産者は安定供給を見越した計画生産ができます。
「生産者の顔が見える」という安心・安全の観点からも、又、地域農業の活性対策としても、「学校給食と地産地消」は、効果が期待できるとともに、ひいては小売業をはじめとする地場産業の活性化等にもつながると考えます。
そこで、学校給食における地産地消の取り組み状況について、県では30%を地産地消の目標値として掲げていますが、その目標値の根拠・考え方と達成状況及び今後の課題について伺います。
また、先進的な取り組みの事例を参考までに1~2例お示し下さい。
2 大豆の計画生産について
日本型食生活に欠かせない大豆の国内の生産自給率は、現在、国内総需要で6%、このうち食用における国産大豆の自給率は21%に過ぎず、8割は海外輸入に依存する状況にあり、輸入への依存率が高いだけに遺伝子組み換えによる課題が消費者の不安材料ともなっています。
大豆は日本型食生活を支える醤油や食用油、又は豆腐及びその加工食品として最も日常的な食材であり、何より安全・安心の食生活のためにも国内生産量を向上させることが求められています。
そのため、私は、従来から本会議をはじめ、各種委員会や県民局会議等で大豆の計画生産についてねばり強く取り上げてきましたが、この度、私の地元の阪神北県民局管内の各関係行政機関で構成される「阪神北県民局大豆の地産地消プロジェクト」が立ち上がりました。
構成メンバーは、阪神教育事務所・宝塚健康福祉事務所・阪神農業改良普及センター・阪神農林振興事務所となっています。
このプロジェクトでの取り組みの中間報告として、2月10日に宝塚農林振興事務所長より、阪神地域における大豆の現状について説明を受けたところでありますが、県民局の取り組みとしては多分最初であろうと思われる、プロジェクト立ち上げについては、阪神北県民局長の英断によるものと、敬意を表するところです。
中間報告は、阪神地域における大豆の生産や消費の現状を中心としたものであり、計画生産の具体化については今後の取り組みにかかるところですが、プロジェクトメンバー間で課題について共通認識を持てたこと、特に従来ほとんど連携のなかった教育委員会と同じテーブルで協議出来たことは、今後の連携に向けた一歩前進との農林振興事務所長の言葉を大変多としております。
只、このプロジェクトの本格稼働には、まず特定の市町でモデル事業としてスタートさせることや、プロジェクトメンバーに地元生産者代表、消費者代表、市町など自治体の担当者、その他直接関係の深い民間等のメンバーを加えることが必要で、より広い視野にたった協議の中からベターな選択やより良い具体案が期待できるといえます。
例えば指定したデル市町の学校給食で年間に使用される大豆の量に対して、今後どんな生産体制が可能なのか、年間使用量の何%程度の確保が可能になるのか等の課題を一つ一つ積み上げていくことが必要になります。
また収穫の受け入れ先が確保されれば、現在、収穫を目的とせず農地保全のために「粗放栽培」として放置されている農地からの収穫が可能になり、今後の展開に期待が持てると考えられます。
これら県民局の取り組みが、大豆の生産拡大につながるとともに、大豆トラスト運動を広める意味からも広く市民にも参加を呼びかけることが、食育にも貢献することに繋がっていきます。
そこで、「粗放栽培」や「休耕農地」の実態を踏まえた、今後の県産大豆の計画生産に向けた具体策について、例えば県民局でのモデル実施も視野に入れた取り組みについて伺います。
3 遺伝子組換え食品の問題について
遺伝子組換え食品の課題については、世間で大きな話題となる前から、平成8年の決算特別委員会で指摘して以降、折に触れてとり上げてきました。
わが国では、遺伝子組み換え作物が食品として承認されてから14年が経過し、遺伝子組換え作物を栽培する国と作付面積は年々増加し、2009年現在、全世界の大豆 作付け面積の77%が組み替え作物であるといわれています。
一方で、遺伝子組み換え食品の人体に対するリスクや動植物を含めた環境への長期的な安全性についての議論はいまだ決着しておらず、そのため国民の多くが不安を覚えている状況にあります。
現在、遺伝子組み換え食品については、大豆や菜種、トウモロコシ等の7種類の農産物は流通が認められていますが、今後は魚等の動物も食品として出現することが予測され、消費者の目に触れないところで、着々とその分野の拡大が進むことに一抹の不安を抱く私一人でもあります。
2010年8月25日にアメリカ食品医薬品局(FDA)が、遺伝子組み換えの巨大なサケの承認審査を開始するとのことを文献で見ましたが、承認されれば組み替え動物食品として、最初のケースになります。
文献によれば、このサケは野生のサケに比べて最大25倍の体重と大変大きなもので、成熟期間も約半分で、これが承認され日本に輸入されることになった場合、このような大きなものは食卓にあがらず、切り身になり、加工されたりなどして、おそらくわからないままに、流通することが充分想定されます。
これに対し、生態系や人間の健康に対して影響が懸念されるとの意見が示されていたり、遺伝子組み換え食品の輸入には慎重なEU(欧州連合)の議会は、組み替えの魚の輸入を禁止するよう求めています。
日本では、全国農業協同組合連合会がアメリカでの非遺伝子組み換えトウモロコシの契約栽培に乗り出しているとのことで、この取り組みは国内で初めてということです。
このような現状にもにもかかわらず、流通している遺伝子組み換え食品のうち、表示義務が、大豆、トウモロコシなど7種類の農産物と、それらを原料とした加工食品32食品群等に限られているため、多くの消費者は気にかけながらも、遺伝子組み換え食品であることがわからぬまま口にしている状況にあります。
昨年も取り上げましたが、食品の加工工程中に、たんぱく質が除去、分解されている醤油、大豆油、コーン油等や、その原材料の食品中に占める割合が5%未満のものについては表示を省略することができます。
今後も食資源の外国依存がつづくとともに、加工技術の日進月歩の中で、表示は消費者にとって欠かせぬ食品選択の条件となります。
そこで、加工食品のトレーサビリティと原料原産地の表示の義務を拡大すること、遺伝子組み換え食品については、一部に表示を省略できるという現行法を改正して、表示の義務化を拡大・わかりやすくすることを国に指摘・要望し続けていただきたく思います。
加えて、県では遺伝子組み換え食品に係る表示の監視や試験検査が実施されておりますが、試験検査はどのような項目について実施されるのか、検査対象品目の選定と件数はどのような基準で行われるのか、又違反があった場合は消費者に対してどのように情報提供されるのか、そして、遺伝子組み換え食品に関わる消費者の判断に資する、適切かつ充分な情報提供を、啓発誌の作成等を含めてどのように展開されていかれるのか伺います。
4 ドギーバッグ運動等の推進について
農林水産省によると、捨てている食料は、年間約2,000万トン・とりわけ外食産業から出る食品ゴミは約300万トンにのぼり、捨てられる食料の価値は年間約11兆円にも及んでいるといいます。
農林水産省は飲食店での「食べきり」や「持ち帰り」を推奨しているものの、なかなか広がっていません。
豊かになった日本人の食生活の裏で、無駄に捨てられてしまう食品が減らない中、資源の有効活用の面からも、県としてもドギーバッグ運動の促進に取り組むことが必要ではないかと考えます。
ご承知のようにドギーバックは、レストラン等で食べ残した料理を持ち帰る為のバッグで、欧米ではごく普通に活用されており、お金を払う以上は食べきれない分を客自身の責任で持ち帰るのが当然とされています。
しかし、現在の日本では、「食の安全」に過敏なこともあって、お客が持ち帰った後まで、店側は責任が持てないといった「食の安全性」の観点から消極的な店も少なくなく、浸透しているとは言い難い状況にあります。
これに対する自治体の取り組みとして、例えば福井県における「食べきり・持ち帰り運動」や、千葉県におけるドギーバッグ5,000個の購入と配布といったことが上げられています。
一方、容器に日付を記入し、「お早めにお召し上がりください」と声をかけるなど、衛生面に細心の注意を払って持ち帰りの無料サービスをしている全国規模のチェーン店もあります。
本県において持ち帰り文化、ドギーバックが定着するかどうかは、県民一人一人の意識と、飲食店による精力的な取り組み、そしてそれを後押しする行政の働きにかかっているといえます。?
一昨年2月に、我が会派の岸口実議員が、『食を通じた健康づくりの取り組みとして県が推進している「食の健康協力店」に協力を求め、ドギーバッグ運動を推進してはどうか』と質問した際、農政環境部長からは「食品の買い過ぎ、つくり過ぎへの注意喚起、むだのない献立や調理方法の工夫などの啓発に加え、ドギーバッグ運動について紹介するなど、食品ロス削減に向けた消費者の意識改革に努める」との答弁がなされました。
従来から、私も委員会等で取り上げてきたテーマですが、ドギーバッグ運動を県としてどう認識され、県民意識の調査やPRについてどのように取り組んでこられたか、そして今後の取り組みや課題はどういったものが考えられるのかについて所見を伺います。
加えて、食資源を有効活用するドギーバッグ運動とともに、推進が必要と考えられるのがフードバンク活動です。
これは、包装の傷みなどで、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通出来なくなった食品を、企業から寄附を受け生活困窮者などに配給する活動で、アメリカでは40年に渡って行われてきているといわれます。
食べるのには全く問題が無い場合が多く、福祉施設等での利用もあり、そのために活動しているボランティア組織があり、そういった活動団体へのサポートも必要と考えておりますが、併せて所見を伺います。