議会の動き

◆20年12月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  竹内 英明 議員
一般質問  北上 あきひと 議員
      石井 健一郎 議員

代表質問

(竹内 英明 議員)[発言方式:分割]

1 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)県の財政(調整)基金を取り崩さず補正予算を編成していることについて
(2)補正予算編成に地方負担が見込まれる場合の対応について
2 債務超過となっている県病院事業の更なる経営悪化対策について
3 コロナ禍での妊娠届減少率全国ワースト2、近畿圏が総じて低い理由について
4 税収減が見込まれる財政フレーム・大型投資事業の見直しについて
(1)県庁舎建替えについて
 (2)但馬空港の滑走路延長について
5 公益社団法人 兵庫みどり公社に対する県の早期抜本的経営支援について
6 神戸市長が内閣総理大臣に要望した特別自治市の法制化について
7 知事5期目の最終年、20年目を迎えている県政運営について

質問全文

質 問 日:令和2年12月4日(金)

質 問 者:竹内 英明 議員

質問方式:分割方式

1 新型コロナウイルス感染症対策について

(1)県の財政(調整)基金を取り崩さず補正予算を編成していることについて

「47都道府県の財政調整基金残高は2019年度末の決算時点で計1兆9,160億円だったが、20年9月末時点では65.5%減の計6,601億円まで落ち込んだ。取り崩した1兆2,559億円のうち、1兆318億円がコロナ対策によるものだった」という報道が10月19日付けの東京新聞でされた。47都道府県のうち42都道府県が基金を取り崩し、基金総額は前年度末の3分の1になったというものである。

東京都では9,000億円以上あった基金を8,000億円も取り崩し、大阪府でも1,562億円が今年度末には980億円になると見込まれている。東京都の場合、約5,000億円が制度融資の預託金なので全額がなくなるものではないが、その他の道府県でも基金が大きく減少することは間違いない。

一方、兵庫県の財政調整基金、本県では財政基金だが、33億円しかないが全く使われていない。飲食店等に対する休業要請等に対する支給金が4月に大きく議論されたが、もしこの事業に国の交付金が充当できないとなれば、どうなっていただろうか。交付金の細かい趣旨、国や総務省の動きを把握し、使えることを見越して先行して補正予算を編成していたと思うが、このあたりは総務省と兵庫県の関係だろうか。また、この支援金については市町に3分の1の財政負担もお願いしたが、この市町負担の考え方も大阪府などに先んじてアイデアを出したと聞いている。

そこで、財政の厳しい中で、国の交付金を最大限活用し、市町の力も借りながら、支給金については他府県にさほど見劣りすることなく、県単独の財源をつかわずに対策をとれたことは良かったと考えるが、経緯や当局の所見を伺う。

(2)補正予算編成に地方負担が見込まれる場合の対応について

国が追加のコロナ対策について地方に実質的な負担を求めてきた場合の対応について質問する。

国は、地方創生臨時交付金の追加配分を決定した。酒を提供する飲食店などの休業や時短要請等に協力する事業者が対象とされ、1日当たり最大2万円、日数は最大30日、上限は60万円で、国の負担割合は80%、地方負担が20%となっている。

東京都や大阪府をはじめ埼玉県でも、この追加配分枠を活用して時短要請を実施するようだが、地方負担分の財源は財政調整基金を見込んでいるようだ。もし、感染が飲食店等を中心に拡がっているとなれば、兵庫県でも再び休業要請が必要となるかもしれない。その場合に、20%の地方負担ができるのだろうか。

この地方負担分について、これまでに交付された国の臨時交付金を活用できるという話も聞いたが、やはり、万が一のときに国に頼らず支出できる基金、いわば貯金がほとんどないというのは県の危機管理として問題があると考える。

そこで、現在、国からの交付金の残余がどれくらいあるのか伺うとともに、国が追加のコロナ対策について地方に負担を求めてきた場合の財源対応について、また平時から財政基金に一定の残高を確保しておくことの必要性について、当局の所見を伺う。

2 債務超過となっている県病院事業の更なる経営悪化対策について

今年の夏、東京都新宿区にある有名な東京女子医科大学病院でコロナによる外来患者等の大幅な減少により、病院の経営が悪化し、夏のボーナスを全額カットする方針が出された。全看護師の5分の1にあたる約400人が退職の意向を示したとされ、大きな社会問題となった。コロナ感染回避のための診療抑制、退院患者の増加、手術の先送りなど、様々な減収要因が重なったことが原因とされている。

県立病院も、県立加古川医療センターを県内全域の患者に対応する新型コロナウイルス感染症拠点病院に、県立尼崎総合医療センターを重症患者等に対応する新型コロナウイルス感染症重症等特定病院に位置づけるなど、コロナ対策を大きく引き受けた。他の県立病院もその使命に鑑みて対応をしていると思っている。

国による診療報酬引き上げや専用病床の空床確保料の嵩上げなど支援策もあったが、経営面では、焼け石に水、県病院事業はその影響をより色濃く受けている状況だと考える。コロナ患者を率先して受け入れて、経営は火の車というのは役割とはいえ忍びないものがある。

ただでさえ、コロナの影響がなくても、退職手当引当金の引当不足が外部監査人から指摘されるなど厳しい状況だったが、2019年度決算では会計が始まって以来はじめて12億円の債務超過となった。県病院事業の経営は極めて厳しいと言える。

そこで、今年度、コロナの影響を受けた県病院事業の外来、入院の医業収益状況、収支見通しについて伺うとともに、県の既存財源による病院事業に対する財政支援が簡単ではないことから、国の交付金を活用した経営支援策などはないのか、また何か新しい国の支援策が検討されていないのか、当局の所見を伺う。

3 コロナ禍での妊娠届減少率全国ワースト2、近畿圏が総じて低い理由について

先ごろ、本県の人口流出がコロナ禍でも増加していると報道されて驚いたが、加えて、妊娠届が減少しているとの厚生労働省の発表もあった。

妊娠届の減少について私なりに分析すると、コロナの影響が生じたと見られる今年4月から7月までの妊娠届の数を都道府県別に前年と比較すると、全国が前年比8.7%減に対して、兵庫県は12.4%減であった。都道府県で減少率の順位をつけると兵庫県は全国ワースト2となっていることがわかった。

注目される東京都はワースト9の10.3%減で、近畿2府4県のうち滋賀県を除く5府県が9位の東京より低いワースト8以内に入っていることもわかった。コロナで妊娠に一番影響を受けた圏域は近畿圏であると見て取れる。

そこで、全国的に出生数が減少する中で、なぜ兵庫県や近畿圏の妊娠の数が特に大きく減少しているか、推測できる理由について伺う。

4 税収減が見込まれる中での財政フレーム・大型投資事業の見直しについて

(1) 県庁舎建替えについて

本県の財政状況を網羅的に示すストック指標である将来負担比率は、新行革プランに取り組み始めた2007年度の361.7%から2019年度に338.8%と22.9%改善された。22.9%の改善とは、県の将来負担比率の分母である8,918億円に乗じると2,042億円、12年間でざっと2千億円の負債が減ったということになる。県の県債残高が5兆円弱あること、この間、都道府県のワーストで変わらないことで、財政が大きく好転していないことがわかる。これがコロナの影響を大きく受けていない直近の2019年度決算の姿である。

コロナ禍での予算編成となる2021年度に向けて、県の財政見通しが公表されている。県税収入は、現2020年度の8,566億円の見込みが1,000億円減の7,500億円想定、2021年度は8,905億円のところ、2,000億円減の7,000億円となる可能性もあるとされている。最悪の想定のようだが、いずれにしろ県の財政フレームは大幅な下方修正が必要になる。

そこで、コロナの影響を見極めるために大型投資事業については、一旦立ち止まって考える必要があるのではないかと考える。

まず、現在、検討されている100億円を超えるような大型投資事業のうち最も計画が進んでいるのが県庁舎等の建替えである。県庁舎と県民会館の建替事業費は約700億円、JR元町駅西口周辺整備を含めると総事業費は1千億円とも言われている。

現在の庁舎が老朽化していること、いつ起こるかわからない南海トラフ地震に備えた防災拠点施設としての耐震基準を満たしていないこと、耐震補強工事と比較した上での建替えの結論を否定するわけではない。

とはいえ、県民がいま望んでいるかというとどうだろうか。建設費等が高額となる一方、住民が直接の恩恵を受けると思えず、県庁舎を利用する県民も多くはない。

県庁舎の建設費用を計画通り本当にまかなえるのかどうかを含めて少し時間をかけて様子をみるべきではないかと考える。現在、コロナの影響で5月に出される基本計画案が12月に延期され7ヶ月遅れとなっているが、さらに遅れる見込みとも聞いている。

そこで、今後、県庁舎建替え事業の進度調整等をすることは考えていないのか。当局の所見を伺う。

(2)但馬空港の滑走路延長について

もう一つの大型投資事業が但馬空港の滑走路延長である。航空法の施行規則改正により、現在1,200メートルの但馬空港を継続使用する場合は2027年3月までに滑走路外側の安全区域を100メートル拡張する必要性がある。

この際、滑走路そのものも800メートル追加して2,000メートルに延長し、プロペラ機しか運航できない滑走路からジェット機を運航可能にして乗客を増やす、羽田直行便をはじめ他地域への運航に参入してくれる航空会社を探す、これが知事の思いだと承知している。

コロナ禍となり、6月の定例議会の代表質問において我が会派の中田議員から、着手の前に慎重に再検討することを求めたが、7月のコウノトリ但馬空港のあり方懇話会の議事録をみると、既に「1,800mか 2,000mかは慎重な検討が必要」といった状況で、そもそもの延長の可否や財源負担、費用対効果はやはり別に議会でしっかり議論する必要があると感じた。

そもそも、この但馬空港の滑走路延長は、航空法施行規則の改正がなければ着手されていなかった可能性が高いものである。その事業規模も施行規則改正の対応だけなら100mで40億円のところ、2,000メートルとなるとその9倍となり、単純計算で400億円程度はかかると思われる。開港時の設置費自体が179億円だったのでその2倍もの金額になる。

近年、阪神間から空港までの高速道路の延伸により、周辺住民の利便性は昔に比べ向上していると聞いている。その意味で観光交流の拡大のための滑走路延長といえると思うが、私自身、羽田直行便があれば観光需要等は増えるとは思うが、県財政の現状からは負担が大きすぎると思う。

そこで、この事業実施については安全区域の100メートルの拡張にとどめ、県財政の状況をみて、財政が十分に回復したと判断されるときを待って滑走路の延長を再検討すべきであり、県庁舎建替え以上に、慎重にならなければならないと考えるが、当局の所見を伺う。

5 公益社団法人 兵庫みどり公社に対する県の早期抜本的経営支援について

もう一つ、いま大型投資事業を慎重に検討すべき理由の一つとして、過去の施策の中で、県が着手できていない財政課題が残っているという話をする。公益社団法人兵庫みどり公社への経営支援についてである。

公社が昨年3月にまとめた兵庫みどり公社中期経営方針の中で、「金利は比較的低利で推移しているものの、公社の年間支払利息は多額であり経営を圧迫している」との記載があった。調べたところ、金融機関からの借り入れは、日本政策金融公庫から324億円、三井住友銀行から344億円で計668億円となっており、支払利息は昨年度だけで5億円。過去10年の支払利息の合計は62億円にもなっていた。

また、同方針には、「膨らんだ投資額の回収が困難なことから見送りしている事業地の主伐を推進するため、投資額(特に利息分)に対する抜本的な支援を要請する」との記載もあった。これは主伐適齢期を迎えた木があるが、切って売却しても、帳簿上の価値に見合う収入が得られない、つまり、売却により赤字が顕在化するので、早期に金融支援をお願いしたい、そんな支援要請だと考える。

公社の財務諸表では21億円の正味財産、つまり自己資本があることになっている。その根拠となる主要な資産である森林の価値を調べてみると、実際の資産価値とは関係がない取得原価によって計算されていた。この原価とは、新植費、保育費、借入金支払利息、人件費等から造林補助金等を控除した額、つまり森林造成にかけた全ての費用から補助金を減じた額ということである。資産なのに経費の積み上げで、売却予定価格とは全く関係がない。この方式だと、支払利息などの経費が増えると、帳簿上、森林の価値は上がっていく。

その森林の評価額がいま668億円である。その内訳は植付け、下刈りや枝打ち、人件費などで構成されているが、最大はやはり借入金利息であり、306億円もの金額となっている。森林の評価額の46%を過去に支 払った利息が占めているということになる。

当初計画では、ヒノキの伐採が本格化するのが2023年度頃とされていたが、こうした帳簿上の価値と実態がかけ離れた状況で、計画どおり伐採を進めるとどうなるだろうか。含み損が顕在化して、債務超過の危機を迎えるだろう。

分収造林事業は国の施策で進めたといま恨み節をいっても仕方がない。林業公社のあった39都道府県のうち、15道府県が既に廃止し、府県が債務を引き受けている。存続中は24都県で、存続していても特定調停により県が巨額の債権放棄をした滋賀県造林公社のような事例もある。いずれも国による巨額の財政支援はない。

そこで、このまま年間5億円もの利息を金融機関に払い続けていいのか、私は知事の20年の在任中で最後に残されている未着手の課題だと思っており、巨額の新規投資事業に着手する前に抜本的な支援の方向性を示す必要があると考えるが、当局の所見を伺う。

6 神戸市長が内閣総理大臣に要望した特別自治市の法制化について

アメリカのトランプ大統領が掲げているスローガンはアメリカ・ファーストである。自国優先。アメリカ軍の駐留費用をアメリカの税金で負担しているのはおかしいとして、追加負担を同盟国にも要求した。

日本にも小池都知事が立ち上げた都民ファーストの会がある。その綱領をみると「私たちが自らの名に「都民ファースト」を冠するのは、 都政の第一目的は、都民の利益を最大化すること以外にないと考えるからである。」とある。

アメリカ・ファースト、 都民ファースト。あなたが払っている税金は、あなたのところで使うと聞いて嫌だと思う人はそういないだろう。

神戸ファースト。こんな言葉は聞いたことがないが、先月、神戸市長らが特別自治市の実現へ向けた法制化を総理官邸へ要望したとの神戸新聞の報道があった。内容を引用すると「神戸市の久元喜造市長と自民党市議団が12日、首相官邸で菅義偉首相と面会し、政令市の権限を強めて道府県から独立する「特別自治市」制度の早期法制化などを要望した」ということである。

特別自治市とは聞き慣れない言葉だが、2010年に指定都市市長会が初めて提案したもので、政令指定都市が都道府県から独立し、市域の県税を全て市税に移管し、市域で県が担っている事務は市に移管するというものである。

この動きをみて、ある歴史を思い出した。飾磨県の分離再設置運動である。兵庫県は今から144年前の1876年、明治9年に当時の飾磨県と豊岡・名東両県の一部を併合して、ほぼ現在の形となった。当初の原案では、飾磨県に豊岡県を併合させるものだったとされるが、当時、新政府の内務卿だった大久保利通が「開港場である兵庫県の力を充実させるように考え直せ」と部下に命じたと兵庫県史に記載されている。

一方、私の育った姫路市の歴史をまとめた姫路市史では、明治天皇の兵庫県巡幸に際して上奏された飾磨県再置請願理由書が引用されている。(飾磨県と)兵庫県との統合に反対である、とし、その根底には、兵庫県の財源としては播磨の国税や地方税が多い割りにその費途が少ないことが再置運動の理由であるとされている。

この請願は採用されず、飾磨県復活は実現しなかったが、神戸港やその周辺の開発や発展のために播磨をはじめ周辺地域が果たした財政的役割は大きかったと思っている。その後も発展を続け、人口、税収ともに随一となった神戸市がいま逆に兵庫県からの独立を目指し、自分たちの税金は自分たちで使うと。播磨の先人が聞き及べばなんというだろうか。

県による税の再配分を神戸市が問題視していることは、近年の神戸市会における県民緑税の議論を聞き及び承知している。また、大阪都構想もあって大都市制度が議論されることが増えてきた。

刺激が強いことを理解しているのか、HP等には記載されていないが、特別自治市となれば神戸市選出の兵庫県議会議員はいなくなる。アメリカ独立戦争時の有名なスローガン「代表なくして課税なし」の逆で課税がなくなるので代表も出せない。

自分たちが納めた税金は自分で使うといった理念は、それ自体が全て間違っているとは思わない。そうした声も踏まえて、納税者の意見にも配慮しながら、県土全体の発展をはかるのが知事の役割だと考える。とはいえ、いま明らかにバランスを欠いた再配分を強行しようとしているならまだしも、神戸市が特別自治市の法制化や兵庫県からの独立を目指していることについて、当局の所見を伺う。

7 知事5期目の最終年、20年目を迎えている県政運営について

井戸知事が知事に就任されたのは2001年(平成13年)。小泉政権がスタートした年、皇太子家に愛子さまが誕生された年であった。

20年という期間をどう評価するか。先月、大統領選挙が行われたアメリカでは50州のうち36州で州知事に多選制限が課せられており、その多くは2期8年までとなっている。日本では法や条例による多選規制は行われていないが、様々な意見があると考える。県の予算編成権、人事権をすべて握ることから職員が忖度をするようになるとか巷間聞く話である。どこかの県では県議との会合にも出席しなくなった知事がいるという話もある。当選を重ねていくと謙虚さが失われ、苦言を呈する人も減っていく。多選の弊害といわれるものである。

私が、13年前に初めてこの県議会本会議に出席したとき、驚いたことがある。井戸知事の議会での姿勢である。議会での首長の答弁は、代表質問や大会派の議員に限定していたり、幹部職員に多くを任せる、答弁そのものをめったに行わない首長もいる中で、井戸知事は少数会派の議員や無所属議員の一般質問にも必ず自ら答弁を行っておられた。また、再質問にも率先して手を挙げ、自らの言葉で答弁しておられる。これはどこの議会でも行われていることではない。議会に向き合う真摯な姿勢として感銘を受けたし、しかも、その姿勢は今も全く変わっていない。

議場において、多選の弊害を感じることはないが、職員や住民の受け止めはどうだろうか。20年というのは普通に考えれば長い期間である。職員の側が忖度してしまう環境が生じていないか、トップダウンでの政策決定の色濃い県政運営に、きちんと職員から指摘や意見が出る環境なのかなど、自身の権力の大きさゆえに自ら注意を払わなければ多選の弊害も生まれかねない。またメディアも含めた住民目線と自身の乖離が生じていないかなどにも注意をはかる必要があると考える。

そこで、自身は弊害は発生していないと考えていると思うが、どういったことに気をつけて知事の職務にあたってきたのか、そして最後に20年は長かったのか短かったのか。20年以上ももっと知事の職務を続けたいと考えているのか、伺う。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)

一般質問

(北上 あきひと 議員)[発言方式:一括]

1 猪名川町「大野アルプスランド」を活用した観光振興について
2 正規教員の確保について
3 性犯罪・性暴力防止と被害者支援について
 (1)政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基づく本県の取組と今後の課題について
 (2)学校等における性暴力防止と被害対応について
4 児童相談所の充実について
(1)専門職員の確保・育成について
(2)一時保護所の今後のあり方について

質問全文

質 問 日:令和2年12月7日(月)

質 問 者:北上 あきひと 議員

質問方式:一括方式

1 猪名川町「大野アルプスランド」を活用した観光振興について

標高753m阪神地域最高峰の猪名川町大野山を含むひょうご北摂地域は、「ひょうごツーリズム戦略」において兵庫の多彩な観光資源を有する地域として位置づけられていますが、さらなる魅力づくりや県内外への情報発信が課題と考えます。

当該地域一帯は猪名川渓谷県立自然公園に指定され、四季折々の自然を満喫できるなど、地域ポテンシャルの高い地域であります。「北摂里山-新発見-サイクルマップ」に大野山周遊のルートが設定されており、年間を通じて多くのサイクリストが訪れてもいます。360度遮るものがない山頂からは京セラドームやあべのハルカス、瀬戸内海、六甲山や氷ノ山が見渡せ、また夜景や星空も抜群です。8000万年前の白亜紀の時代、大野山周辺は火山活動が盛んであり、火山噴火でできた多くの巨岩が点在しており、不思議な形をした岩を巡りながら雄大な自然を感じることができるハイキングコースもあります。2019年4月には「大野アルプスランド」が、“プロポーズにふさわしいロマンティックな場所”として「恋人の聖地」に選定され、先月1日には記念式典が挙行されモニュメントが披露されました。

「大野アルプスランド」は猪名川町にとって自慢の観光スポットであり、町においては、天文台(アストロピア)の建設、下山道安全対策工事、上水道給水敷設、水洗トイレやキャンプ場炊事場の整備等を進められているところです。

ウィズコロナ・ポストコロナにおける「マイクロツーリズム」の普及、自然体験レジャーや環境学習への関心の高まり、多彩な文化芸術活動や生涯スポーツなど豊かな時間を求める県民意識の変容等に応えるために、県としても町との連携を深め、柔軟かつ積極的な活用を行うことを期待します。多自然地域ならではの魅力と尊厳の確立をめざし「大野アルプスランド」を活用した観光振興の取組を求めますが、県のご所見をお伺いします。

2正規教員の確保について

いじめや虐待、貧困等、子どもの人権に関わる課題が山積し、自己肯定感や学ぶ意欲を持てない子どもの存在の顕在化、不登校や特別な支援を要する子どもの増加等、教育課題が複雑化・困難化するとともに、保護者や地域への対応等、その役割は多様化し、教員の業務は増加しています。加えて、コロナ禍、様々な制約を強いられるなかにあって子どもたちのストレスも増大していると推測するところです。そのようななか、子どもと真摯に向き合い日々熱心に教育活動に取組む現場からは、苦悩と疲弊の声が伝わってきます。

先の決算委員会で、維新の会門隆志議員から、本年度県内小中学校の臨時的任用教員が教員全体の9%に上ることが明らかにされ「採用計画が不十分ではないのか」との質問がなされました。加えて門議員は「この質問のきっかけは学校現場からの訴え」であると述べられました。私も同様の「訴え」をかねて再三現場からお聞きをしてきたところです。川西市の場合、本来定員における臨時教員の割合は、小学校で約1割、中学校で約2割という現状です。国の定めた基準によって正規教員が配属されるべき定員枠に、必要な正規教員が十分には配属されないという状況が常態化しており、また臨時的任用教員の立場で極めて長期にわたり学級担任を続けている例も数多見聞するところであります。

定員内臨時的任用教員の職務・職責の実態は、学級運営や教科指導、保護者対応等、正規教員とほぼ同様で多忙であるにも関わらず、勤務労働条件は大きく異なることもあり、学校現場からは人材を確保することが難しいという声もあります。さらに年度途中における産休・育休・病休の教員の代替配置としての臨時的任用職員は一層確保が困難で、学校現場の多忙さを深めることにも繋がっています。必要な人員が配置できず、過度に多忙な状況が続くことは「若者の教職離れ」をより深刻化し、将来的にわたって優秀で良心的な人材の確保を妨げることになるのではないかと憂慮するものです。

定員内の教員は正規採用とするべきであり、必要な正規教員数を確保することで、学校現場の勤務労働環境の向上を図ることが望ましいと考えます。

また、現場で経験を積んだ優秀な臨時的任用教員には、その実績を評価し、正規採用への門戸を広げるべきではないでしょうか。

県教育委員会は、正規教員が配置されるべき定員内に臨時的任用教員が配置されている実態をどのように認識しておられるのか。正規教員の確保についてご所見をお伺いします。

3 性犯罪・性暴力防止と被害者支援について

(1)政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基づく本県の取組と今後の課題について

本県においては2017年4月に「ひょうご性被害ケアセンターよりそい」が開設され、弁護士事務所への付き添いや無料法律相談、臨床心理士によるカウンセリング等の支援が行われており、その相談件数は2018年度426件、2019年度340件に上ります。

また、本年6月、国の性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が決定され、2020年度から2022年度までの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」とすることが定められました。「方針」には、性犯罪・性暴力の特性として、「加害者の7~8割が顔見知りであるとの調査結果もあり、特に子供は、親、祖父母やきょうだい等の親族や、教師・コーチ、施設職員等、自分の生活を支えている人や友好的だと思っている人からの被害を受けること」や「このような相手からの被害や、継続的な性被害を受けている最中である場合には、被害を他人には言えない状況があること」「男性やセクシャルマイノリティが被害にあった場合、被害を申告しにくい状況があること」等が示されています。今回の質問は、県としてもこれら特性をふまえつつ的確で丁寧な施策の展開を重要とし、政府の「方針」と軌を一にして、「集中強化期間」に臨んでいることを確認するものです。

「方針」では自治体で取られるべき方策として、「ワンストップ支援センターの周知の徹底」、「多様な相談方法の提供」、「ワンストップ支援センターの増設の検討」、特に「病院との連携」は重要視され、「病院にセンターを設置することや、必ずつながることができる中核的病院との提携について、特に中長期的な関係の安定を見据えた公立病院や公的病院への設置や提携を含め、関係強化を図る」等の項目が列挙されています。心とからだに深い傷を負う性暴力被害者には、医療支援、しかも性暴力の特性を理解し多様な被害者に対応できる専門性ある存在が不可欠であることを、「方針」も示していると理解します。

本県では県立尼崎総合医療センターと同センター内に置かれているNPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」が、以前から性暴力被害者支援の体制を整え、警察とも連携しながら専門性ある医療支援を提供して来られ、内閣府の「方針」からみても、県の性暴力被害者支援政策にとって貴重で全国的にも先駆的な取組を実施しています。「支援センター・ひょうご」は「病院拠点型ワンストップ支援センター」として、2013年から継続的に性被害者支援を行っており、内閣府モデル事業に選定されるなど、兵庫における性暴力被害者支援の一翼を担ってこられました。県立尼崎総合医療センターの産婦人科部長でありNPO支援センターの理事長である田口奈緒医師は「当センターは、警察とも連携協力し、また産婦人科以外の小児科、外科、泌尿器科、精神科とも協働で被害者支援にあたっており、被害者の6割程度に医療支援を行っている。支援ニーズの高い子どもの性虐待や、課題となっている男性被害者等、様々な被害への対応が充実できる」とセンターの特徴を述べておられます。本県の性暴力被害者支援を前進させるために、県立尼崎総合医療センターと、NPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」が果たす役割は大きいと考えます。

私は、「ひょうご性被害ケアセンターよりそい」の機能強化にとって、現在もっている県内産婦人科医療機関との協力関係より一歩進めた連携関係を、県立尼崎総合医療センターと進めることが被害者の心とからだのケアに必要不可欠であると認識します。さらに、性暴力被害者支援の医療拠点として、県立尼崎総合医療センターを位置づけることが、政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の「集中強化期間」における取り組みの最優先事項だと認識します。NPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」による「病院拠点型ワンストップ支援サービス」は、現在のところ、県の財政的支援を受けておらず、内閣府男女共同参画局の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧」への掲載すらもなく、医療費公費補助の事務も県の委託を受けられていない状況です。先月の会派予算要望の際、井戸知事からも田口医師らの属人的な熱意と努力で運営されている旨のご発言がありました。相談業務や運営が持続可能であるよう県として必要な支援を行うことが県民の益に資すると確信しています。さらに、広域で人口も多い兵庫県にとって、すでに存在し、実績をあげている病院拠点型「性暴力被害者支援センター・ひょうご」を、将来的に県のワンストップ支援センターとして位置付けることも、有益な選択肢であると考えます。政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基づく、本県の取組と今後の課題をお示しください。

(2)学校等における性暴力防止と被害対応について

性暴力の被害当事者らで構成する民間団体「Spring」が本年8月・9月にインターネット上で行い5,899件の回答が寄せられた「性被害の実態調査アンケート」では、被害当時の年齢について「小学生以下」との回答が4割に上ることが、先日報道されました。学校等における、性暴力防止の取組の必要性を改めて認識するものです。

文部科学省は本年3月に「性犯罪・性被害の予防に向けた教育・啓発に関する取組」を明らかにし、「性犯罪・性被害の予防に関する教育・指導の充実」「相談体制の充実」「関係機関・地域との連携による啓発」「教職員の資質向上」が示されました。

先の質問項目でも触れた政府の「方針」では「性犯罪・性暴力を根絶していくためには、加害者にならない、被害者にならない、傍観者にならないための教育と啓発を行っていくことが必要である」と述べられています。

そこで、学校において、発達段階に応じた効果的な教育・啓発を期待するところです。

また学校等で性暴力被害が発生した際の対応は「目撃者がいないことが多く事実確認が難しいこと」「性の問題は扱いにくいこと」「プライバシーの配慮が必要であること」から、日頃からの準備や早期に「キャッチ」する仕組みがなければ上手くいかないと指摘されています。対応マニュアルの研究・作成、警察や弁護士との連携、研修等に努め、いざという際に児童生徒に寄り添い適切な対応が行えるよう必要な整備を求めるものです。

学校等における性暴力防止と被害対応について、教育委員会の取組と今後の課題をお示しください。

4 児童相談所の充実について

(1)専門職員の確保・育成について

昨年度、兵庫県内の児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は過去最多の8,308件、この10年間で3.6倍の件数増であります。全国で虐待により幼い命が奪われるケースが相次ぎ、児童虐待への県民の関心は高まり、児童相談所への期待は益々大きくなっています。県においては、来年4月に尼崎市と加東市に児童相談所を新設するなど、機能拡充に鋭意努めて頂いているところです。児童相談所が、県民の期待に応えて子どもの命と人権を守り、保護者を含む家庭全体を支える役割を担っていくためには、専門職員の確保・育成が何より肝心です。児童相談所への児童福祉司配置基準が人口4万人に1人から3万人に1人へ引き上げられたこと等により、全国の自治体が専門職員の採用に懸命になっているところであり、本議会知事提案説明においても計画的な採用と資質向上を図る旨が述べられました。

昨年度、県は「中央こども家庭センター一時保護所」における「パンク状態」を解消するために、受け入れ児童の定員を40人から54人に増やす方針を示しました。必要な職員加配に伴う人件費については、昨年9月県議会補正予算で整えましたが、実際には人材を確保することができず、当初めざした定員増は叶ってない状況です。子どもの人口に対する定員数が全国と比較して極めて少ない状態は依然として続いています。必要な保護の実施については、民間施設への入所や里親のご理解ご協力により行えているものと認識しますが、県施設の受け入れ児童の定員増は、喫緊の課題です。

また一時保護所現職員の年齢構成について、例えば正規保育士は8人の内7名が50歳代、1名が40歳代後半であり、年齢構成に偏りがあると言わざるを得ません。施設運営の面から、また援助技術など専門性の継承の面からも、若手・中堅・ベテランがバランスよく配置されることが望ましいと考えます。

児童相談所の専門職員には、幅広い知識と洗練された援助技術、臨床経験の蓄積によって編みだされる洞察力・交渉力・共感力・調整力など総合的な人間力が求められるのではないでしょうか。私は、専門職に相応しい雇用条件を実現することと、組織内での経験の蓄積・伝授を可能とする職員の年齢構成と人事異動のサイクルを実現することが、人材確保と人材育成に繋がるものと認識するところです。専門職員の確保・育成について県のご所見をお伺いします。

(2)一時保護所の今後のあり方について

現在、県の一時保護所は明石市に所在する「中央こども家庭センター」に設置される一ヶ所であり、他のこども家庭センターからの児童の移送や入所中の児童との面接等において距離的な負担が大きいことが課題となっています。広い県域で迅速、円滑、的確に保護を行うためには、複数ヶ所の設置が必要であり、また新型コロナウイルス感染症対応の観点からも、必要な定員の確保を成し遂げる為にも、複数設置が求められています。

県においては、近年、一時保護件数が増加傾向にあり、一時保護所が常に満床状態で児童養護施設等への一時保護委託が急増していることもあり、一時保護所のあり方について有識者検討会を設けられておられるところです。一時保護所への入所について、過去の各こども家庭センター別実人数を調べてみると、阪神間の西宮と川西のこども家庭センターからの子どもが半数前後を占める状況が続いています。入所人員や相談件数の実績から、阪神間への設置が求められており、また中核市の動向等を勘案すれば、特に阪神北地域への設置が必要だと考えるところであります。一時保護所の今後の在り方について、県のご所見をお伺いします。

北上 あきひと

(選挙区:川西市・川辺郡)

(石井 健一郎 議員)[発言方式:分割]

1 県職員の在宅勤務制度の取組について
2 会計年度任用職員制度の導入後の運用について
3 就職内定率急落に係る県の支援について
4 航空機産業の今後の見通しと県の支援について
5 県営住宅の共益費の徴収について
6 「魔の7歳」対策の推進について

質問全文

質 問 日:令和2年12月8日(火)

質 問 者:石井 健一郎 議員

質問方式:分割方式

1 県職員の在宅勤務制度の取組について

国は、コロナの感染拡大を防止する観点から、多くの人が集まる場所での感染の危険性を減らすため、通勤ラッシュや人混みを回避し、在宅での勤務も可能となるテレワークを積極的に活用するよう呼びかけており、コロナ禍が続く中、残念ながら、従来は時間や場所を有効に活用した多様な働き方を実現するためのテレワークが想定していなかった形で急速に普及している感がある。そして、今後は新たな働き方のひとつとして定着していくのではないかと考える。

県においては、平成27年に中学校就学までの子を養育する職員のうち、本庁で勤務する職員を、また平成30年4月からは対象を全職員に試行的に拡大し、在宅勤務制度の実施を始めたところだが、新型コロナ感染症対策に係る緊急事態宣言が発令され、対策業務に従事する職員を除き、在宅勤務により出勤者の原則7割削減に取り組んだところである。

テレワークの問題点として職員同士のコミュニケーションの取りにくさや私生活と仕事の切り替えの難しさ等が挙げられる。こういったことは時間外労働の把握があいまいになることにもなりかねない。テレワークであっても時間外労働は労働基準法で規制されており、地方自治体も法の趣旨を踏まえた対応が求められている。労働基準法では事業場外みなし労働時間制等を認めているが、本来は外勤の営業マン等、上司による労働時間の把握が難しい職種を念頭に設けられた制度である。県では、在宅勤務をする職員の勤務時間の把握等の労務管理をどのようにしているのか。また、電話をかけるとその職員は在宅勤務で今日はいません、というようなこともあったが、県民からの問い合わせに対応できるような、在宅勤務時の業務の進め方が求められているのではないか。

そこで、これからも在宅勤務という働き方は継続されると思われるが、緊急事態宣言期間中における在宅勤務の取組を踏まえた上で、今後どのように進めていくのか、当局の所見を伺う。

2 会計年度任用職員制度の導入後の運用について

厳しい地方財政の状況が継続する中、教育や子育てなど増大、また多様化する行政サービスの重要な担い手であった地方自治体における臨時・非常勤職員数は平成17年には約45万人だったが、平成28年には約64万人と増加していた。

また、地方公務員の一般職の非常勤職員の任用等に関する制度が不明確であるといった指摘もあり、様々な制度上の課題が挙げられていた。

そのような中で、地方公務員法と地方自治法の改正を受け、本年4月から、地方自治体で働く臨時・非常勤職員は会計年度任用職員へ移行し、一般職と同様に守秘義務や政治的行為の制限を課す一方で、期末手当の支給や職務の内容と責任、職務経験等に応じた給与決定、フルタイムの場合、退職金支払いの対象になるともしている。近年多様化する行政需要に対応する多くの臨時、非常勤職員全体の適正な任用・勤務条件の確保が会計年度任用職員制度の目的であるが、自治体にとっては人件費増加も懸念されることから、国は、会計年度任用職員制度への移行に伴い、財政上の制約を理由として、職の必要性を検討することなく職員を意図的に減らすこと、期末手当を支給する一方で給料を減額すること、フルタイムで任用していた職員の勤務時間をわずかに減らすことでパートタイムにすることは、法の趣旨から適切ではないと指摘している。

そこで、県として会計年度任用職員制度を導入した結果、適正な任用・勤務条件の確保といった、法の趣旨に合致する運用が出来ているのか、また、就労意欲の向上につながっているのか、当局の所見を伺う。

3 就職内定率急落に係る県の支援について

来春卒業予定で就職を希望する大学生等の就職の内定状況について文科省・厚労省が行った調査によると、大学生の就職内定率は前年度と比較し7ポイント減少し、7割を切った。これはリーマンショック以来の下落率であり、コロナ禍の影響が明らかになった。短大や専修学校も13~15ポイントと過去最大の落ち込みとなっている。ちなみに、大学生の地域別の就職内定率は関東地区が最も高く、74.4%であり、近畿地区は71.5%であった。

業界によっては、新型コロナウイルスの収束の見通しが不確実なため、採用人数の抑制や内定取り消し、さらには来年度の選考活動を行わないという動きも出ているという報道もある。国においては雇用状況の悪化を受けて、第2の就職氷河期をつくらないとし、卒業後3年以内の既卒者は新卒者扱いとするよう改めて経済団体に要請する等の対応をしているが、現在のコロナ禍の終息は見通せず今後とも厳しい状況が続くことも考えられる。

また、学生側も最近の売り手市場から一転したことや、コロナの影響で就職イベントの中止や大学構内の閉鎖によるオンライン授業の増加をはじめ、情報の共有が難しくなっている。さらにはオンラインによる説明会や面接を導入する企業も増加するなど就職活動の状況の変化もあり、困惑しているのではないかと思う。

コロナ禍で1月~9月の転出超過が全国で最悪となっている本県にとっては、新卒者の県内就職や県外からのUJIターン希望者の就職促進はもとより、東京や大阪への本県からの人口流出の他、四国や中国地方等、これまで本県に移住してきた層がコロナ禍で減っているという新しい課題もあると指摘されている。

そこで、県として市町とも連携し、県内の求人情報を積極的に把握し、学生と企業のマッチング支援を強化する必要があると考えるが、当局の所見を伺う。

4 航空機産業の今後の見通しと県の支援について

新型コロナウイルスの世界的流行により、航空業界は危機に瀕している。各国の出入国制限や空輸需要の縮小によって路線の運休、大幅減便を余儀なくされている。この世界的な航空機需要の消滅で航空機産業は全国的に大きなダメージを受けている。三菱重工では最盛期にはボーイング社から777と787で約270機分の機体部品を納入していたが、ボーイング社自体が2021年には年間で100機弱の生産まで引き下げる予定である。この影響は三菱重工に限らず、日本の航空機産業全体に及ぶことになる。県内にはボーイング787の機体部品を担当する川崎重工や新明和工業をはじめとする多くの航空機関連企業がある。航空機の部品数は自動車と比較しても大変多く、また、専門性も高い。特に、他の産業に切り替えにくい機体部分を担当する中小企業には相当な影響があると思われる。

この問題は早期に市場が回復する見通しが立っておらず、IATA(国際航空運送協会)では、今年は世界全体の航空需要で昨年比66%減少、来年はコロナ禍前の74%水準、2023年からようやく回復し始め、本格復帰は2024年という見通しを立てており、この3年間は厳しい状況が続く。

航空機産業に関しては、県としても世界的な需要拡大を踏まえ、成長が期待される産業部門の一つとして、様々なセミナー開催や国内で初めての航空産業非破壊検査トレーニングセンターを設置し人材の養成をする等積極的に取り組んできたところである。

この危機を乗り越えることにより好機が訪れる可能性が今後十分に期待される。コロナショックは短期間であれば資金繰り融資等で乗り切れることもあるが、長期間に亘ると、資金繰り融資は赤字補填に過ぎなくなる。もともと航空機産業はスパンの長い産業であり、10年、20年先を見据えて事業展開する必要がある。

そこで、ものづくり県・兵庫の一翼を支える、また、先導するポテンシャルのある県内の航空機産業に対する、県としての現状認識と今後の取組について、当局の所見を伺う。

5 県営住宅の共益費の徴収について

民間の賃貸住宅では、共用部分の電気代、水道代等の共益費は家賃とあわせ管理会社や不動産業者が徴収しているところが多い。一方、県営住宅では、家賃は県または指定管理業者が徴収し、共益費は自治会が徴収しているが、その徴収に苦慮している自治会もあると聞いている。

昨今、都市部のマンション等の集合住宅では、住民の高齢化、共働き家庭や独り暮らし世帯の増加に伴い、人間関係が希薄化し、隣戸の付き合いもあまりないというところも多くなり、今後もその傾向が強くなるであろうと想定されている。このことは、県営住宅も例外ではなく、2020年4月現在の入居戸数39,312戸のうち、世帯主が65歳以上の世帯数は23,560戸で59.9%となっている。また、高齢単身世帯は13,579戸で高齢世帯の56.7%を占めるなど、住民の高齢化は年々進んでいる。また、公営住宅には、市場で適切な住まいを確保することが困難な世帯に、安心して暮らせる住生活の場を提供するセーフティーネットとしての役割もあることから、その供給目的から考えるとその傾向が一般集合住宅よりも顕著に出てくることが考えられる。

公営住宅の管理問題については様々な課題があるが、まずは、自治会による共益費の徴収が困難になるケースも出てくることが懸念される。共益費の未納は徴収を担当する人にとって大きな負担であり、住民間のトラブルの要因となり、コミュニティの維持に大きな支障をきたす場合もあると認識している。

そこで、自治会による共益費の徴収については、県や指定管理者がアドバイスを行っていると伺っているところであるが、県においても、コミュニティの維持に支障をきたす県営住宅が出てくる前に、県による家賃と共益費の一体的な徴収について、早急に実施するべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

6 「魔の7歳」対策の推進について

我が国の交通事故死は歩行中や自転車利用中が欧米の2.5倍以上多いとされている。その中でも小学校1、2年生にあたる7歳の交通死傷者が交通事故死者数の最も多かった時と比較し減少しているとはいえ依然として多く、魔の7歳という言葉がある。

就学前は、幼稚園や保育所への送り迎えなど大人と一緒に行動することが多い子ども達が、小学生になると、子ども達だけで登下校や遊びに出かける機会が増える。そして、親から離れ、自分の足で街中に出た子ども達が、本来、子ども達を守るはずの大人によって、交通事故の犠牲になってしまっているのである。

その多くは身近な生活道路等で犠牲になることが多い。理由として都市部の住宅地では、狭い道路が多く、見通しが悪い上、住宅地内の道路が抜け道となっていることや、車と歩行者が分離できていないことが挙げられる。警察ではゾーン30等の取組を進めてある程度の効果を上げているようだが、通学時の近隣住民の交通整理等の協力がなければ、実際に速度を下げさせることはおぼつかない。狭い道路では警察の取り締まりもなかなか難しいと思われるが、ハンプ等の物理的なハード面対策は住民の理解を得にくいようで難航しているようだ。

しかしながら、悲惨な交通事故を減らすためには、このハード面対策について、その目的や効果を地域の住民によく説明し、理解を得ることへの努力が大切だと考える。近隣住民が活発に活動している地域では協力を得やすいということも考えられる。小学生については特に登下校の時間帯に注視する必要があるが下校時間は、分散下校となることから、見守り等に協力していただくことも困難と聞く。

大切なのは人の命を守ることであり、今までも取組を続けて頂いていることに感謝するとともに、ハード対策を含めた生活道路対策を更に推進するため、警察が、行政・地域としっかりと連携をとって悲惨な交通事故死をなくすことに努めるべきと考えるが、当局の所見を伺う。

石井 健一郎

(選挙区:神戸市灘区)